説明

自動二輪車のピッチ角推定装置及びピッチ角推定方法

【課題】自動二輪車の車体のピッチ角を算出するに際して、傾斜センサ等の専用のセンサを使用することなく、車速センサからの信号のみでピッチ角が推定可能なピッチ角推定装置を得る。
【解決手段】自動二輪車の車速を検出する車速検出手段1と、前記車速検出手段で検出された車速vを基に、1階微分項dv/dt及び2階微分項d2v/dt2を求める微分項算出手段2と、前記微分項算出手段で検出された1階微分項dv/dt及び2階微分項d2v/dt2から、A,Bを係数として、ピッチ角θ=Adv/dt+Bd2v/dt2を計算してピッチ角θを算出するピッチ角算出手段3とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動二輪車の車体のピッチ角を推定する技術に関し、特に、自動二輪車の車速のみからピッチ角を推定するピッチ角推定装置及びピッチ角推定方法に関する。このピッチ角推定装置を使用することで、自動二輪車に搭載された前照灯(ヘッドライト)の光軸方向を制御すること等が行われる。
【背景技術】
【0002】
従来、自動二輪車における前照灯光軸方向制御装置として、ポテンションメータ、角速度センサ、舵角センサ、車速センサで車体のピッチ角を検出し、走行中にピッチ角、バンク角、舵角などが変化しても前照灯の照射範囲を安定的に確保する構造が特許文献1に提案されている。
【0003】
また、四輪車における前照灯光軸方向制御装置として、車速を微分した加速度から推定される車体のピッチ角と、車両に配設される傾斜センサの絶対傾斜角とから求められる推定路面傾斜角によって算出される制御角に基づいてアクチュエータを駆動し、ヘッドライトの光軸方向を制御する技術が特許文献2に提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−324191号公報
【特許文献2】特開2001−341578号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のピッチ角検出方法によれば、ピッチ角を算出するための各種センサが必要となるため、装置が複雑化するとともに高価になるという課題が存在する。
【0006】
また、特許文献2のピッチ角検出方法によれば、車速の微分値である加速度のみを車体のピッチ角演算に用いるため、車体の加速度の大きな変化部分(過度状態)ではピッチ角の制御結果が敏感になり過ぎる傾向があるため実際の値より大きくなることや、サスペンションの減衰力が考慮されていないため、実際より大きく変化した値となることが考えられる。このため車両の加速度をそのまま制御値として使用するのは、ブレーキ操作時や加速時におけるノーズダイブやノーズリフトによる車体変化が大きな二輪車には不向きであると考えられる。
更に、ピッチ角検出のシステムとしては、傾斜センサも必要となるため、コストが嵩むという課題も考えられる。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みて提案されたもので、自動二輪車の車体のピッチ角を算出するに際して、傾斜センサ等の専用のセンサを使用することなく、車速センサで検出した車速のみでピッチ角が推定可能なピッチ角推定装置、ピッチ角推定方法、更には光軸方向制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため請求項1の自動二輪車のピッチ角推定装置は、自動二輪車のピッチ角推定装置において、前記自動二輪車の車速を検出する車速検出手段(1)から検出された車速vを基に、車体加速度項(1階微分項dv/dt)に車体加速度の微分項(2階微分項d2v/dt2)を加えた関数で表わされる前記自動二輪車のサスペンションストローク変化を基にして車体ピッチ角θを推定するピッチ角算出手段(3)を備えて成ることを特徴としている。
【0009】
請求項2は、請求項1の自動二輪車のピッチ角推定装置において、前記車速vから前記車体加速度項(1階微分項dv/dt)及び車体加速度の微分項(2階微分項d2v/dt2)を求める微分項算出手段(2)を備え、前記ピッチ角算出手段(3)は、前記微分項算出手段(2)で求めた1階微分項dv/dt及び2階微分項d2v/dt2から、A,Bを係数として、ピッチ角θ=Adv/dt+Bd2v/dt2を算出することを特徴としている。
【0010】
請求項3は、請求項2の自動二輪車のピッチ角推定装置において、前記係数A,Bは、前記自動二輪車のバネ上質量をm、バネ上質量高さをh、ホイールベースをlwbとし、重力加速度をgとし、a,cを前輪及び後輪のサスペンションの仕様により設定された値とし、b,dを前輪及び後輪のサスペンションストローク変化に対して予め実験で求められる係数とした場合に、
A=mgh(c−a)/(lwb)2
B=mgh(b−d)/(lwb)2
で算出した値であることを特徴としている。
【0011】
請求項4は、請求項1の自動二輪車のピッチ角推定装置において、前記ピッチ角算出手段(3)で算出したピッチ角を基に、前記自動二輪車の前照灯(6)の光軸方向を制御する光軸方向制御手段を備えたことを特徴としている。
【0012】
請求項5の自動二輪車のピッチ角推定方法は、自動二輪車の前輪サスペンションのストロークの変化量をlf´、後輪サスペンションのストロークの変化量をlr´、ホイールベースをlwbとした場合に、前記自動二輪車のピッチ角θは、前輪サスペンションのストロークの変化量lf´と後輪サスペンションのストロークの変化量lr´の差(lf´−lr´)をホイールベースlwbで除算して推定することで、前記自動二輪車に搭載した車速センサで検出した車速から前記車体加速度項及び車体加速度の微分項を求めて前記ピッチ角θを算出することを特徴としている。
【0013】
請求項6は、請求項5の自動二輪車のピッチ角推定方法において、前記前輪サスペンションのストロークの変化量lf´は、前輪接地荷重変化量(wf)に前記前輪接地荷重変化量の微分項(dwf/dt)を加算して求め、前記後輪サスペンションのストロークの変化量lr´は、後輪接地荷重変化量(wr)に前記後輪接地荷重変化量の微分項(dwr/dt)を加算して求めることを特徴としている。
【0014】
請求項7は、請求項6の自動二輪車のピッチ角推定方法において、前記自動二輪車のバネ上質量をm、バネ上質量高さをh、ホイールベースをlwbとし、重力加速度をgとした場合に、
前輪の接地荷重変化量(wf)は、
wf=−{mgh/(lwb)}{dv/dt}で求め、
後輪の接地荷重変化量(wr)は、
wr={mgh/(lwb)}{dv/dt}で求める
ことを特徴としている。
【0015】
請求項8は、請求項5の自動二輪車のピッチ角推定方法において、前記ピッチ角θは、車体重心位置を中心として反時計回りの動きを負とし、前記各サスペンションのストローク変化量は、前記自動二輪車の車体上方向への動きを正として設定することを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
本発明のピッチ角推定装置及びピッチ角推定方法によれば、自動二輪車の前後のサスペンションストローク変化を表わす式を基に、微分項算出手段(2)で検出された車速vの車体加速度項(1階微分項dv/dt)及び車体加速度の微分項(2階微分項d2v/dt2)を用いてサスペンションストロークの変化量を推定して車体のピッチ角を推定することで、車速センサ(1)からの車速信号のみでピッチ角を算出することができ、計算負荷を低くして処理速度を速くすることができる。
また、推定されたピッチ角は、車速vの2階微分項d2v/dt2を含むことで、自動二輪車において実際のピッチ角に近い値を得ることができる。
【0017】
自動二輪車の前照灯(6)の光軸方向を制御する光軸方向制御手段を備えたピッチ角推定装置によれば、車速センサ(1)からの車速信号のみでピッチ角を推定し前照灯(6)の光軸制御を可能とするので、安価な構造で自動二輪車におけるピッチ角の変化に適した光軸制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明のピッチ角推定装置が搭載された自動二輪車の側面説明図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るピッチ角推定装置のブロック図である。
【図3】ピッチ角推定装置におけるピッチ角の推定に必要な各値を説明するための自動二輪車の簡略側面説明図である。
【図4】(a)(b)はピッチ角を推定して計算した場合のグラフである。
【図5】光軸方向制御手段を備えたピッチ角推定装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明のピッチ角推定装置の実施形態の一例について、図面を参照しながら説明する。本発明のピッチ角推定装装置は、例えば、図1に示すような自動二輪車60に搭載される。
【0020】
自動二輪車60は車体フレーム61を備え、車体フレーム61の前端部には、ステアリングステム62を回動自在に軸支するヘッドパイプ63が結合されている。ステアリングステム62の上部には左右一対の操向ハンドル64が取り付けられている。操向ハンドル64の中央位置には、スピードメータ(速度計)、タコメータ(エンジン回転計)、燃料計、距離計及び各種インジケータ等が配置されたメータ部65が配設されている。
【0021】
ヘッドパイプ63の下部には、前輪WFを回転自在に軸支する左右一対のフロントフォーク(前輪サスペンション)66が取り付けられている。フロントフォーク66には、前輪WFを覆うフロントフェンダ67が取り付けられている。
車体フレーム61には、前輪WFの後方位置にエンジン68が支持され、エンジン後方にはスイングアーム69を介して駆動輪である後輪WRが支持されている。車体フレーム61の左右後端側と後輪WRの左右軸部側との間には、後輪サスペンション70がそれぞれ装着されている。前輪サスペンション66及び後輪サスペンション70は、サスペンションのダンパー効果により、荷重の動的変化に対して伸縮する。
【0022】
また、操向ハンドル64の後方位置には、車体フレーム61に支持される燃料タンク71及びその後方位置に配置された乗員用シート72が設けられている。
乗員用シート72の下側には、メータ部65等の電装品について制御やエンジンの点火装置や燃料噴射装置等を制御するECU4が配設されている。
【0023】
ヘッドパイプ63の前方には、前照灯(ヘッドライト)6が取り付けられている。前照灯(ヘッドライト)6は、ステップモータ(不図示)により車体変化(自動二輪車のブレーキ操作時や加速時におけるノーズダイブ、ノーズリフトに伴う車体の変化)に対してピッチ角方向に回動可能とすることで光軸が制御可能に構成されている。
また、前輪WFの軸部近傍位置には、車輪の回転速度によって車速を検出する車速センサ1が装着されている。
【0024】
ピッチ角推定装置は、図2に示すように、自動二輪車の車速vを検出する車速センサ(車速検出手段)1と、車速vの加速度項(1階微分項dv/dt)及び加速度項の微分項(2階微分項d2v/dt2)を求める微分項算出手段2と、車速vの加速度項(1階微分項dv/dt)及び加速度項の微分項(2階微分項d2v/dt2)から車体のピッチ角θを推定するピッチ角算出手段3から構成されている。
【0025】
車速センサ1は、車輪の回転速度によって車速vを検出する一般的なもので構成されている。
微分項算出手段2は、車速センサ1で検出された車速vを基に、単位時間当たりの速度の変化量(加速度)である1階微分項dv/dtを算出するとともに、単位時間当たりの加速度の変化量である2階微分項d2v/dt2を算出する。
ピッチ角算出手段3は、微分項算出手段2で検出された1階微分項dv/dt及び2階微分項d2v/dt2から、A,Bを係数として、ピッチ角θ=Adv/dt+Bd2v/dt2を計算することでピッチ角θを算出する。すなわち、車速検出手段1から検出された自動二輪車の車速vを基に、車体加速度項(1階微分項dv/dt)に車体加速度の微分項(2階微分項d2v/dt2)を加えた関数で車体ピッチ角θを推定する。
微分項算出手段2及びピッチ角算出手段3は、自動二輪車の電装品についての各種制御を行う制御部(ECU)4内に構成されている。
【0026】
以下、ピッチ角算出手段3における係数A,Bの算出の仕方について、図3を参照しながら説明する。
図3は自動二輪車のモデル図(簡略外観説明図)であり、図1と同じ部位には同一符号を付している。
自動二輪車は、車速vで走行し、実際の路面に対する車体の前後方向における傾斜角度をピッチ角θとする。ここで、サスペンションのストロークは上方向が(+)、ピッチ角は反時計回りが(−)に設定する。この場合において、前輪WFの前輪サスペンション66による鉛直方向のストローク変化量lf´は、前輪WFの接地荷重をwf ,後輪の接地荷重をwr ,バネ上質量をm,バネ上質量高さをh,重力加速度をgとした場合、数1で表すことができる。
【0027】
【数1】

【0028】
数1において、wf´は前輪接地荷重変化量、a及びbは係数である。
同様に、後輪WRの後輪サスペンション70による鉛直方向のストローク変化量lr´は、数2で表すことができる。
【0029】
【数2】

【0030】
数2において、wr´は後輪接地荷重変化量、c及びdは係数である。
数1及び数2においる係数a,cはサスペンションの仕様により設定される値であり、b,dは、実際に試験機で加振状態とした時の、サスペンション荷重変化とストローク変化のデータから数1,数2に当てはめて求めた係数である。
【0031】
前輪接地荷重変化量wf´は、バネ上質量をm,バネ上質量高さをh,重力加速度をgとした場合、数3で表すことができる。
【0032】
【数3】

【0033】
同様に、後輪接地荷重変化量wr´は、数4で表すことができる。
【0034】
【数4】

【0035】
図3のモデル図において、自動二輪車のホイールベースをlwbとした場合、ピッチ角θは、tanθから数5で表わすことができる。
【0036】
【数5】

【0037】
そして、数5は、ピッチ角θのとり得る範囲においては、三角関数(tan)を省略した数6に近似することができる。
【0038】
【数6】

【0039】
ここで、数6に、数1、数2、数3、数4を代入すると、数7が得られる。
【0040】
【数7】

【0041】
数7における係数A,Bは、それぞれ
A=mgh(c−a)/(lwb)2
B=mgh(b−d)/(lwb)2
であり、mgh/(lwb)2を基に係数(c−a)又は係数(b−d)を乗じた値となる。
【0042】
実際値であるピッチ角基準値に対して、数7を使用してピッチ角の推定値を算出した場合の計算結果の例を図4(a)に示す。比較のため、数7における2階微分項(Bd2v/dt2)を省略して計算したピッチ角の推定値を図4(b)に示す。図4(a)(b)における点線はピッチ角基準値であり、ピッチ角推定値がピッチ角基準値に対して変動することなく近い値となるのが好ましい。
図4(b)における矢印P及び矢印Qでは、車体が振動的にピッチ運動した場合、推定されるピッチ角変化が大きくなるのに対し、図4(a)の同じ箇所においてはピッチ角推定値の変化が少ないことが確認できる。
【0043】
また、サスペンションストロークと接地荷重変化量が動的に比例関係にあるとした場合、加速度の変化が大きい場合には、図4(b)の矢印Rのように、サスペンションのストロークが実際より大きく計算されるため、ピッチ角推定値が大きくなる。
これに対して、数7により推定されるピッチ角推定値は、図4(a)において図4(b)の矢印Rと同じ箇所である加速度の大きな変化を伴う部分でも、サスペンションのストローク変化(サスペンションのダンパー効果により、荷重の動的変化に対し、ストロークは比例的に増加しない)が実際に近い値に計算されるため、ピッチ角推定値についてもピッチ角基準値から大きく離れる部分が少なくなり、実際値に近い値を推定することができる。
その結果、加速度に大きな変化がある場合でも、ピッチ角が極端に大きくならないため制御性の向上を図ることができる。したがって、ブレーキ操作時や加速時におけるノーズダイブやノーズリフトに伴う車体変化が大きい自動二輪車のピッチ角算出に適した手法となる。
【0044】
上述したピッチ角推定装置によれば、車速センサ1から得られた車速vのみでピッチ角θを推定できるため、ピッチ角算出用の特別なセンサを付加することなく、安価なシステムでピッチ角θを算出することができる。
また、ピッチ角算出手段3では、車速のみで推定ピッチ角を計算し、さらに三角関数を用いていないため、計算負荷を低くして処理速度を速くすることができる。また、従来に比較して計算能力の低いCPUを使用してピッチ角の算出を可能とするので、安価なシステムとすることができる。
【0045】
次に、光軸方向制御手段を備えたピッチ角推定装置について、図5を参照して説明する。
光軸方向制御手段を備えたピッチ角推定装置は、車速vを検出する車速センサ1と、車体のピッチ角方向に前照灯6の光軸を回動するアクチュエータとしてのステップモータ5と、車速センサ1から推定されるピッチ角θに基づきピッチ角方向補正量を算出し、ステップモータ5を介してピッチ角方向における光軸の角度を補正する光軸方向制御手段を有する制御部4とを備えている。
車速センサ1は、車輪の回転速度によって車速vを検出する一般的なものである。制御部4(光軸方向制御手段)は、光軸制御用のプログラムを内蔵したマイクロコンピュータから構成され、ピッチ角算出手段3で算出したピッチ角を基に、自動二輪車の前照灯6の光軸方向を制御する。ステップモータ5は、制御部4から出力されたパルス信号に応じて所定の角度だけ車体のピッチ角方向において正逆に回動するものである。
【0046】
光軸方向制御手段を備えたピッチ角推定装置によれば、車速センサ1からの車速信号のみでピッチ角を推定し前照灯6の光軸制御を可能とするので、安価な構造で自動二輪車におけるピッチ角の変化に適した光軸制御を行うことができる。
【符号の説明】
【0047】
1…車速センサ(車速検出手段)、 2…微分項算出手段、 3…ピッチ角算出手段、 4…制御部(ECU)、 5…ステップモータ、 6…前照灯(ヘッドライト)、 60…自動二輪車、 66…フロントフォーク(前輪サスペンション)、 70…後輪サスペンション。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動二輪車のピッチ角推定装置において、
前記自動二輪車の車速を検出する車速検出手段(1)から検出された車速vを基に、
車体加速度項(1階微分項dv/dt)に車体加速度の微分項(2階微分項d2v/dt2)を加えた関数で表わされる前記自動二輪車のサスペンションストローク変化を基にして車体ピッチ角θを推定するピッチ角算出手段(3)を備えて成る
ことを特徴とする自動二輪車のピッチ角推定装置。
【請求項2】
前記車速vから前記車体加速度項(1階微分項dv/dt)及び車体加速度の微分項(2階微分項d2v/dt2)を求める微分項算出手段(2)を備え、
前記ピッチ角算出手段(3)は、前記微分項算出手段(2)で求めた1階微分項dv/dt及び2階微分項d2v/dt2から、A,Bを係数として、ピッチ角θ=Adv/dt+Bd2v/dt2を算出する
請求項1に記載の自動二輪車のピッチ角推定装置。
【請求項3】
前記係数A,Bは、
前記自動二輪車のバネ上質量をm、バネ上質量高さをh、ホイールベースをlwbとし、重力加速度をgとし、
a,cを前輪及び後輪のサスペンションの仕様により設定された値とし、
b,dを前輪及び後輪のサスペンションストローク変化に対して予め実験で求められる係数とした場合に、
A=mgh(c−a)/(lwb)2
B=mgh(b−d)/(lwb)2
で算出する
請求項2に記載の自動二輪車のピッチ角推定装置。
【請求項4】
前記ピッチ角算出手段(3)で算出したピッチ角を基に、前記自動二輪車の前照灯(6)の光軸方向を制御する光軸方向制御手段(4)を備えた請求項1に記載の自動二輪車のピッチ角推定装置。
【請求項5】
自動二輪車の前輪サスペンションのストロークの変化量をlf´、後輪サスペンションのストロークの変化量をlr´、ホイールベースをlwbとした場合に、
前記自動二輪車のピッチ角θは、
前輪サスペンションのストロークの変化量lf´と後輪サスペンションのストロークの変化量lr´の差(lf´−lr´)をホイールベースlwbで除算して推定することで、
前記自動二輪車に搭載した車速センサで検出した車速から前記車体加速度項及び車体加速度の微分項を求めて前記ピッチ角θを算出する
ことを特徴とする自動二輪車のピッチ角推定方法。
【請求項6】
前記前輪サスペンションのストロークの変化量lf´は、前輪接地荷重変化量(wf)に前記前輪接地荷重変化量の微分項(dwf/dt)を加算して求め、
前記後輪サスペンションのストロークの変化量lr´は、後輪接地荷重変化量(wr)に前記後輪接地荷重変化量の微分項(dwr/dt)を加算して求める
請求項5に記載の自動二輪車のピッチ角推定方法。
【請求項7】
前記自動二輪車のバネ上質量をm、バネ上質量高さをh、ホイールベースをlwbとし、重力加速度をgとした場合に、
前輪の接地荷重変化量(wf)は、
wf=−{mgh/(lwb)}{dv/dt}で求め、
後輪の接地荷重変化量(wr)は、
wr={mgh/(lwb)}{dv/dt}で求める
請求項6に記載の自動二輪車のピッチ角推定方法。
【請求項8】
前記ピッチ角θは、車体重心位置を中心として反時計回りの動きを負とし、前記各サスペンションのストローク変化量は、前記自動二輪車の車体上方向への動きを正として設定する請求項5に記載の自動二輪車のピッチ角推定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−23179(P2013−23179A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−163210(P2011−163210)
【出願日】平成23年7月26日(2011.7.26)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)