説明

自動二輪車用サイドバッグ

【課題】走行中でも水平状態に安定した状態で装着でき、収納物の出し入れ作業がし易く、万一転倒した場合でも中身が飛び出ることが無い自動二輪車用サイドバッグを提供する。
【解決手段】 剛性を有する箱状であって、車体のサイドカウリング等の張り出しに沿って、箱の側面に凹部を形成すると共に、車両に水平に装着する手段を設ける。そして、サイドバッグ本体の箱の上面にファスナーにて双方向開閉式内蓋を設け、当該内蓋の全てを被覆すべく剛性を有する外蓋体を設け、当該外蓋体の被覆状態を保持するマグネットホックと合せて、マグネットホックと垂直を成す方向に少なくとも一箇所の帯環状の面ファスナ(鈎繊毛接着布)を設けることである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動二輪車の車体側部に装着する自動二輪車用サイドバッグに関するものである。 詳しくは、走行中でも水平状態に安定した状態で装着でき、収納物の出し入れが容易で、且つ、万一転倒した場合でも収納物が飛び出ることのない自動二輪車用サイドバッグである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の自動二輪車用サイドバッグは、車体に固定するサイドバッグ本体と、このサイドバッグを開口する蓋体によって構成されているものである。前記サイドバッグ本体は、上方に向けて開口する箱状に形成し、前記蓋体はサイドバッグ本体に着脱自在または揺動自在に取付けている。また、振り分け型のサイドバッグはシートを跨ぐように橋渡しした連結ベルトなどで、左右に引っ張った状態で取付けている。
【0003】
上記のように構成されているので、サイドバッグの蓋体を開けるときには、平行移動と揺動との二動作を必要とするので、蓋体の開閉がめんどうであった。また、最近の自動二輪車は車体のデザイン上、シート横のサイドカウリングの張り出しが大きく、前記振り分けバッグ型の自動二輪車用サイドバッグの取り付けが、常に安定した状態となるように、確実に水平状態として取付けることができなくなっている。(図2参照)
これは、外観が見苦しいばかりでなく、バッグの下側の角が車両からはみ出すので安全上も大きな問題となっている。特に剛性材で硬い箱状に形成されているものは図2のように互いに傾斜した状態で装着されることとなってしまうので危険である。
従って、両方のサイドバッグは、水平状態に装着することが求められてもいた。
【0004】
その他一部の従来の布製サイドバッグは、外形が布によって変形するので、シート横のサイドカウリングの張り出しが大きくても、その形状に沿って、ある程度は馴染むことができるのであるが、反面にはバッグが変形して見苦しく、しかも収納要領が低減してしまうことや、収納物の取出しが困難になるという欠点があった。
【0005】
そこで、蓋体の開閉がし易く、且つ、走行中や転倒した場合にサイドバグの蓋が外れて収納物が飛び出してしまうという問題に対して、収納物が飛び出ないように完全なロック機構を設けた以下(例えば特許文献1参照)の技術も公開されている。
しかしながら、完全なロックは複雑な機構を必要としてコストが掛かるばかりでなく、ロックの機構が故障した場合には開閉不能になって大きな問題となる。
蓋体の開閉が容易で、しかも簡単な構造で収納物を安全に守り、更に、左右両方のサイドバッグを水平状態に装着するというものについては効果的な技術は今まで見られない。
【参考文献】
【特許文献1】 特開2000−108966

【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような問題を解決すると共に、多くの市場の要求にも応えようとするものである。即ち、サイドバッグが車両幅をはみ出すことなく安全に、水平状態に安定した状態で装着でき、収納物の出し入れ作業がし易く、万一転倒した場合でも中身が飛び出ることが無い自動二輪車用サイドバッグを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の自動二輪車用サイドバッグは剛性を有する箱状であって、車体のサイドカウリング等の張り出しに沿って、箱の側面に凹部を形成すると共に、車両に水平に装着する手段を設けることである。
【0008】
また、サイドバッグ本体の箱の上面にファスナーにて双方向開閉式中蓋を設け、当該中蓋の全てを被覆すべく剛性を有する外蓋を設け、当該外蓋の被覆状態を保持するマグネットホックと合せて、マグネットホックと垂直を成す方向に少なくとも一箇所の環状の面ファスナ(鈎繊毛接着布)を設けることである。
【発明の効果】
【0009】
以上のとおり、本発明の自動二輪車用サイドバッグによれば、以下の多くの優れた効果を奏する。
請求項1の発明によれば、剛性を有する材料で箱状に形成し、箱の側面に凹部を形成したので、サイドバッグの形状が変形したり、崩れることがなくなり、しかも、張り出した車体形状に合っていて、確実な取り付けがなされ、バッグのぐらつきがないので、走行中に車両を安定化させることができる。しかも、水平状態でスッキリした外観が得られる。
【0010】
また、請求項2の発明によれば、サイドバッグ本体の上面にファスナーにて双方向開閉式内蓋を設け、当該内蓋の全てを被覆すべく剛性を有する外蓋を設け、当該外蓋の被覆状態を保持するマグネットホックと合せて、マグネットホックと垂直を成す方向に少なくとも一箇所の環状の面ファスナ(鈎繊毛接着布)を設けたので、収納物を二重蓋によって守り、そして簡単な一動作(挙動)で確実に開閉作業がすることができ、収納物の出し入れがし易くなる。しかも、万一転倒した場合でもサイドバッグの中身(収納物)が飛び出ることを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明のサイドバッグを装備した自動二輪車の背面図で、図2は従来のサイドバッグを装備した自動二輪車の背面図である。
図1および図2に示すように、1は自動二輪車で、11は車両のハンドルで、13は車両のシートと14はサイドカウリングであり、2は装着ベルトおよび21固定ベルトで、3はサイドバッグである。
【0012】
図1で示すように、本発明におけるサイドバッグ3は自動二輪車1の左右に張り出しているサイドカウリング14があるにもかかわらず、シートの上を跨ぐ装着ベルと2によって、水平状態に対称的に装着され、固定ベルト21で車両の中心軸に近い位置にて固定されているので安定した姿勢となっている。
これに対して、図2で示すように、従来のサイドバッグを装備した場合には、自動二輪車1の左右に張り出しているサイドカウリング14があるために、相互に傾斜した状態でシートの上を跨ぐ装着ベルと2によって取付けられ、不安定な姿勢であり、特にサイドバッグ3の底の角がハンドル11の幅を超えて飛び出してしまい大変危険な走行状態となっている。この問題を解決したのが、本発明の最大の狙いである。
【0013】
図3は本発明のサイドバッグの断面図である。
図3で示すように、例えば硬質ウレタン樹脂などの剛性を有する材質で成形(成型)品とした箱状のサイドバッグ3のサイドバッグ本体4の箱である側面に自動二輪車1の左右に張り出しているサイドカウリング14に一定の間隔を保有させて凹ませた形状の凹部41を形成すると共に、車両に水平に装着する手段として、長さを任意に調整できる革帯または幅広面ファスナーによる装着ベルト2を設けたものである。
【0014】
以上のように構成されているので、こうした場合に於いては、前記の図1に示し、前述のように、サイドバッグ3は自動二輪車1の左右に張り出しているサイドカウリング14があるにもかかわらず、シートの上を跨ぐ装着ベルと2によって、水平状態に対称的に装着され、固定ベルト21で車両の中心軸に近い位置にて、しっかりと固定されているので安定した姿勢とすることができる。また、成形(成型)時に型に所定の模様などのデザインを入れることも可能である。
【0015】
図4は本発明のサイドバッグの外蓋体6を開けた状態の上面から見た斜視図である。
図3および図4に示すように、車両の中心軸に近い面に凹部41を形成したサイドバッグ本体4の上面にファスナー71にて双方向開閉式布製中蓋7を設け、当該中蓋7の全てを被覆すべく剛性を有する外蓋体6を剛性材で成形(成型)して設け、当該外蓋体6の被覆状態を保持するマグネットホック65と合せて、該マグネットホック65と垂直を成す方向に、対向させて一対の帯環状の面ファスナー(鈎繊毛接着布)66を環軸が箱の縁に沿うような向きの位置として上部を外蓋体6の縁部材61と共に縫いこみ固着して設けたものである。
そして、外蓋体6はヒンジ布63によって、車軸方向から外側に向かって開閉できるように取付けられている。また、外蓋体6は中蓋7の全てを被覆した状態において、本体側板6の上端付近に一列に設けた一方の極のマグネットホック66と対向する外蓋体6の内側に一列に取付けられた他方の極のマグネットホック65とが一致して接着するとともに、同時に該マグネットホック65と垂直を成す方向に、対抗する一対の帯環状の面ファスナー(鈎繊毛接着布)66もそれぞれ接着するようにして外蓋体6の内側に取付けられている。
【0016】
また、必要に応じて、車両軸の外側に本体側板5と側板折込み布51を設けることによって、本体4の底を拡大させることができるようにする。拡大を必要としない時には、折込んでしまえるような、折込み布ファスナー52をバッグ前後の面から底にかけて開閉できるように取付けておく。
【0017】
こうすることによって、収納物を二重蓋によって守り、そして簡単な一動作(挙動)で確実に開閉作業がすることができ、収納物の出し入れがし易くなる。しかも、万一転倒した場合でもサイドバッグの中身(収納物)が飛び出ることを防止することもできて好ましい。
【0018】
特に対抗する一対の環状の面ファスナー(鈎繊毛接着布)66は、常に縁に沿って帯環状を成すことによって、外蓋体6を被せた時には、その円環が押しつぶされて変形する弾力性の作用によって、マグネットホック66の接着と同時に確実に対向するファスナー(鈎繊毛接着布)66接着するので、使用者の一挙動だけで特に意識することなく外蓋体6の完全な閉鎖固着ができることとなる。
【0019】
尚、上述した実施例にあっては、外蓋体6がサイドバッグ本体4に常に接続された構造としているが、これに代えて、例えば、両側共にマグネットホック65を設け、外蓋体6を垂直方向への開閉移動構造とすることも考えられる。
これによって、外蓋体6を必要な場合はトレーなどに利用することができる。
【0020】
更に、その他の実施例として、以上に述べた考え方に基づく各種変形型バリエーションも可能である。
上記各構成品の形状や、硬質ウレタンの他、アルミなどの金属類の材質等いずれも記載している実施例に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲において、包含されるべくものである。
例えば、本実施例ではサイドバッグ本体4は左右対称的に振り分け連結されて構成されている場合を示しているが、片側だけのサイドバッグでも、同様なことが考えられ、本発明が適用されるものである。
【0021】
また、外蓋体6や中蓋7の開閉・固定方法も帯面ファスナーを箱の全周囲や両側に設けるなど、各種の手段が考えられ、適宜最良なものを選択することもできる。
更に、外蓋体6や中蓋7を廃止することや、それらを特殊な形状にすることも、場合によっては有り得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明のサイドバッグを装備した自動二輪車の背面図である。
【図2】従来のサイドバッグを装備した自動二輪車の背面図である。
【図3】本発明のサイドバッグの断面図である。
【図4】本発明のサイドバッグの外蓋体を開けた状態の上面から見た斜視図である。
【符号の説明】
【0023】
1 自動二輪車
11 ハンドル
13 シート
14 サイドカウリング
2 装着ベルト
21 固定ベルト
3 サイドバッグ
4 サイドバッグ本体
41 凹部
43 底支持具
5 サイドバッグ本体側板
51 側板拡大折込み布
52 側板折込みファスナー
6 外蓋体
61 縁部材
63 ヒンジ布
65 マグネットホック
66 面ファスナー(鈎繊毛接着布)
7 中蓋
71 ファスナー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主として自動車二輪車に装備する剛性を有する箱状のサイドバッグであって、車体のサイドカウリング等の張り出しに沿って、箱の側面に凹部を形成すると共に、車両に水平に装着する手段を設けたことを特徴とする自動二輪車用サイドバッグ。
【請求項2】
サイドバッグ本体の箱の上面にファスナーにて双方向開閉式中蓋を設け、当該中蓋の全てを被覆すべく剛性を有する外蓋体を設け、当該外蓋体の被覆状態を保持するマグネットホックと合せて、マグネットホックと垂直を成す方向に少なくとも一箇所の帯環状の面ファスナ(鈎繊毛接着布)を設けたことを特徴とする請求項1に記載する自動二輪車用サイドバッグ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−308146(P2008−308146A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−183726(P2007−183726)
【出願日】平成19年6月18日(2007.6.18)
【出願人】(592016485)株式会社デイトナ (8)