説明

自動二輪車用表示装置、表示装置、自動二輪車用表示方法、自動二輪車用表示プログラムおよび自動二輪車用表示プログラムを格納した記録媒体

【課題】車体安定性に関わる運転技術に基づいて運転レベルを客観的に判断することができる自動二輪車用表示装置、自動二輪車用表示方法、自動二輪車用表示プログラムおよび自動二輪車用表示プログラムを格納した記録媒体を提供する。
【解決手段】車載端末10の各種センサが計測したセンス値およびGPS受信部が検出した自動二輪車の位置情報をデータベースサーバ30が通信等により収集し、データベースサーバ30の分析部32が、収集された各種センス値の情報および自動二輪車の位置情報に基づいて運転者の運転を順序化して、車載端末10の表示部に順序化された結果を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動二輪車の走行時における運転情報を収集して分析や表示などを行い、運転者に安全運転を促すことができる自動二輪車用表示装置、表示装置、自動二輪車用表示方法、自動二輪車用表示プログラムおよび自動二輪車用表示プログラムを格納した記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
自動二輪車(オートバイ)の運転においては、初心者とベテランの運転技術の差により事故発生率が異なることが知られている。自動二輪車の運転には、四輪車と異なり運転者(ライダー)の体全体で車体を安定させてコントロールして安全に運転するための運転技術要素が多く、免許取立てなどの初心者ライダーは、それを十分に理解できていないにもかかわらず、峠道などで無理な運転をする事により、転倒事故などを起こしやすい傾向にある。
【0003】
自動二輪車の車体を安定させて安全に運転するための運転技術要素としては、コーナリング中の車体の傾斜角に対してライダー自身の傾斜角を示すリーン角度、ハンドルの舵角、路面に対する車体傾斜角などといった車体の状態を示す値(角度)の他に、膝でガソリンタンクを挟み下半身を安定してホールドするニーグリップをする力や、ハンドルのグリップを握る力などのライダーが車体に加える力も、車体を安定させて運転するための技術要素として重要である。
【0004】
例えば、ニーグリップでガソリンタンクを膝で挟み込むことにより、より車体が安定する。コーナリング最中では、ニーグリップを効かせることで車体が安定し、タイヤのグリップを稼ぐことができることで、安定的に曲がれると一般的に言われている。
【0005】
また、ハンドルのグリップを強く握りすぎてしまうことにより、ハンドル動作の自由度を妨げる。自動二輪車には倒れ込んだときに、倒れ込んだ方向へ勝手にハンドルに舵角が付くセルフステアと呼ばれる力が発生する事により、コーナリング中の自動二輪車の動きを妨げずに車体が安定する。グリップを強く握ると、肩に余計な力が加わってしまい、ハンドルの自由度を妨げる傾向になるため、グリップを握り込むのは、手をそえる程度が最適であると一般的に言われている。
【0006】
自動二輪車の運転情報を取得して安全運転を促すものとしては、例えば特許文献1に記載のオートバイの安全運行管理システムが提案されている。特許文献1に記載のオートバイの安全運行管理システムは、車体に加わる衝撃に関する情報、車体の現在位置に関する情報、及び運転操作機器の操作に関する情報を取得し、これらの情報に基づいて車体の運行状況を判断し、車体の運行状況が予め定めた安全運行基準の範囲を逸脱した場合に警報を発生することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−310510号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載されたオートバイの安全運行管理システムは、運転操作機器の操作に関する情報として、アクセルやブレーキといった直接的な操作手段を検出しているだけなので、無謀運転のみしか検出することが出来ないという問題がある。そのため、上述した車体安定性に関わる運転技術に基づいた運転レベルなどは分からなかった。つまり、当該ライダーの車体のコントロールがどの程度のレベルにあるのかは分からなかった。
【0009】
また、特許文献1に記載されたオートバイの安全運行管理システムは、本人の運転結果のみを管理するに留まっており、他人と比較して、運転レベルを客観的に判断することができない。そのため、速度を控えることや急ブレーキを無くすといったことしか判断できず、現状の運転レベルをどのように改善すればスムーズに運転できるのかが具体的に分からないという問題があった。
【0010】
そこで、本発明は、例えば、車体安定性に関わる運転技術に基づいて運転レベルを客観的に判断することができる自動二輪車用表示装置、表示装置、自動二輪車用表示方法、自動二輪車用表示プログラムおよび自動二輪車用表示プログラムを格納した記録媒体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の自動二輪車用表示装置は、ニーグリップする力およびハンドルのグリップを握る力のうち少なくともいずれか一方の力を計測する力計測手段と、前記力を計測した時点の前記自動二輪車の位置を検出する位置検出手段と、前記力計測手段が計測した前記力の情報および前記位置検出手段が検出した前記位置の情報を収集する情報収集手段と、前記情報収集手段が収集した前記力の情報および前記位置検出手段が検出した前記位置の情報に基づいて前記運転者の運転を分析する分析手段と、前記分析手段が分析した結果を表示する表示手段と、を備えたことを特徴としている。
【0012】
請求項2に記載の自動二輪車用表示装置は、走行時に運転者が自動二輪車に対して加える力を計測する力計測手段と、前記力を計測した時点の前記自動二輪車の位置を検出する位置検出手段と、他の運転者の情報を収集する情報収集手段と、前記力計測手段の計測結果と、前記位置検出手段の検出結果と、前記情報収集手段の収集結果と、に基づいて前記運転者の運転を分析する分析手段と、前記分析手段が分析した結果を表示する表示手段と、を備え、前記情報収集手段が、前記力の情報および前記位置の情報を収集する、ことを特徴としている。
【0013】
請求項11に記載の自動二輪車用表示装置は、走行時に運転者が自動二輪車に対して加える力を計測する力計測手段と、前記力を計測した時点の前記自動二輪車の位置を検出する位置検出手段と、外部に設けられたサーバと通信する通信手段と、情報を表示する表示手段と、を備え、前記通信手段は、前記力計測手段による計測結果および前記位置情報検出手段による検出結果をサーバに送信するとともに、前記送信された情報と他の運転手の前記力の情報および前記位置の情報とから前記運転者の運転を分析した分析結果を前記サーバから受信し、前記表示手段は、前記通信手段が受信した前記分析結果を表示する、ことを特徴としている。
【0014】
請求項12に記載の表示装置は、外部から自動二輪車に関する情報を取得し、当該取得した情報を表示する表示装置であって、前記自動二輪車の運転者に対して計測されたニーグリップする力およびハンドルのグリップを握る力のうち少なくともいずれか一方の力の情報と、前記力が計測された時点の前記自動二輪車の位置情報と、に基づいて分析された前記運転者の運転分析結果を受信する通信手段と、前記通信手段が受信した前記運転分析結果を表示する表示手段と、を備えることを特徴としている。
【0015】
請求項13に記載の自動二輪車用表示方法は、走行時に運転者が自動二輪車に対してニーグリップする力およびハンドルのグリップを握る力のうち少なくともいずれか一方の力を計測する力計測ステップと、前記力を計測した時点の前記自動二輪車の位置を検出する位置検出ステップと、前記力計測ステップで計測した前記力の情報および前記位置検出ステップで検出した前記位置の情報を収集する情報収集ステップと、前記情報収集ステップで収集した前記力の情報および前記位置検出手段が検出した前記位置の情報に基づいて前記運転者の運転を分析する分析ステップと、前記分析ステップにおいて分析した結果を表示する表示ステップと、を備えたことを特徴としている。
【0016】
請求項14に記載の自動二輪車用表示プログラムは、走行時に運転者が自動二輪車に対してニーグリップする力およびハンドルのグリップを握る力のうち少なくともいずれか一方の力を計測する力計測手段と、前記力を計測した時点の前記自動二輪車の位置を検出する位置検出手段と、前記力計測手段が計測した前記力の情報および前記位置検出手段が検出した前記位置の情報を収集する情報収集手段と、前記情報収集手段が収集した前記力の情報および前記位置検出手段が検出した前記位置の情報に基づいて前記運転者の運転を分析する分析手段と、前記分析手段が分析した結果を表示する表示手段と、してコンピュータを機能させることを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施例にかかる自動二輪車用表示装置の構成図である。
【図2】図1に示された自動二輪車用表示装置の車載端末の構成を示したブロック図である。
【図3】図2に示された圧力センサの自動二輪車における取り付け位置を示した平面図である。
【図4】図2に示された圧力センサの自動二輪車における取り付け位置を示した平面図である。
【図5】図2に示されたリーン角監視カメラの自動二輪車における取り付け位置を示した正面図である。
【図6】図2に示された舵角センサの自動二輪車における取り付け位置を示した平面図である。
【図7】車載端末で各センサの計測値情報を収集する際の動作の動作を示したフローチャートである。
【図8】図7に示されたフローチャートで収集された各センサの計測値情報の分析動作を示したフローチャートである。
【図9】データベースサーバに対してメモリカード経由でデータをアップロードする場合を示した説明図である。
【図10】データベースサーバで分析された結果の一例を示したグラフである。
【図11】車載端末を搭載した自動二輪車が走行する道路の一例を示した地図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態にかかる自動二輪車用表示装置を説明する。本発明の一実施形態にかかる自動二輪車用表示装置は、力計測手段が計測した走行時に運転者が自動二輪車に対してニーグリップする力およびハンドルのグリップを握る力のうち少なくともいずれか一方の力の情報およびその力を計測した時点の位置検出手段が検出した自動二輪車の位置の情報を情報収集手段が収集し、分析手段が、情報収集手段が収集した力の情報および自動二輪車の位置の情報に基づいて運転者の運転を分析して、表示手段が分析手段が分析した結果を表示するので、車体安定性に関わる運転技術のうち特に運転者が自動二輪車に対してニーグリップする力およびハンドルのグリップを握る力のうち少なくともいずれか一方の力に関する情報を計測して分析した結果を運転者に表示して、運転者が運転技術を判断させることができる。
【0019】
また、力計測手段が計測した走行時に運転者が自動二輪車に対して加える力の情報と、その力を計測した時点の位置検出手段が検出した自動二輪車の位置情報と、情報収集手段が収集した他の運転者の力の情報および位置の情報と、に基づいて、分析手段が分析し、表示手段が分析手段が分析した結果を表示するので、車体安定性に関わる運転技術のうち特に運転者が自動二輪車に対してニーグリップする力およびハンドルのグリップを握る力のうち少なくともいずれか一方の力に関する情報を計測して分析した結果を運転者に表示して、運転者が運転技術を判断させることができる。また、情報収集手段が、他の運転者の情報も収集して分析するので、他の運転者と比較することができる。
【0020】
また、情報収集手段が収集した力の情報を蓄積する蓄積手段を備え、分析手段が、蓄積手段に蓄積されている力の情報に基づいて他の運転者の力の情報と比較して分析するようにしてもよい。このようにすることにより、他の運転者の力の情報と比較することができるので、自分の運転レベルを客観的に判断することができる。
【0021】
また、分析手段が、蓄積手段に蓄積されている前記力の情報を順序化するとともに、表示手段が、当該順序化された力の情報のうち、一つの力の情報について順序の中における位置付けを表示するようにしてもよい。このようにすることにより、複数の運転者から収集した力の情報の中における自分自身の位置付けを具体的に把握することができ、より客観的に運転レベルを判断することができる。
【0022】
また、分析手段が、位置の情報に基づいて、道路上の同じ曲率半径を持つカーブごとに他の運転者と比較して分析してもよい。このようにすることにより、同じ曲率半径を持つカーブごとに運転者の運転を分析することで、複数の運転者の情報を適切に比較することができ、より客観的な判断を行うことができる。
【0023】
また、自動二輪車の速度情報を計測する速度計測手段を備え、情報収集手段が、速度情報を収集するとともに、分析手段が、速度情報に基づいて運転者の運転を分析してもよい。このようにすることにより、他の運転者と比較する場合は、最低速度や平均速度など速度条件が同じ運転者と比較して分析することができるため、複数の運転者の情報を適切に比較することができ、より客観的な判断を行うことができる。また、個人のみで分析する場合も、速度に応じた力の情報を示すことができるため、運転者が走行を振り返って見直すことができる。
【0024】
また、分析手段が、蓄積手段に蓄積された力の情報の平均を求め、平均を基準として情報収集手段で収集された力の情報に対して警告を行う警告手段を備えてもよい。このようにすることにより、平均から外れた力の情報が収集された場合は、その力を加えた運転者に対して警告をすることができ、具体的に運転者に改善を促すことができる。
【0025】
また、自動二輪車の車体の状態情報を計測する状態計測手段を備え、情報収集手段が、車体の状態情報を収集するとともに、分析手段が、自動二輪車の車体の状態情報に基づいて運転者の運転を分析してもよい。このようにすることにより、自動二輪車に対して加える力の情報以外の車体安定性に関わる運転技術である、例えば、リーン角度やハンドル舵角および車体傾斜角などの情報も考慮した分析を行うことができる。
【0026】
また、自動二輪車の周辺環境情報を取得する周辺環境取得手段を備え、情報収集手段が、周辺環境情報を収集するとともに、分析手段が、周辺環境取得手段が取得した自動二輪車の周辺環境に基づいて運転者の運転を分析してもよい。このようにすることにより、天候や気温、時刻、路面状況などの周辺環境を考慮した分析を行うことができる。
【0027】
また、自動二輪車の走行前に予め判明している運転者個人に関する情報を入力する運転者情報入力手段を備え、情報収集手段が、自動二輪車の走行前に予め判明している運転者個人に関する情報を収集するとともに、分析手段が、運転者情報入力手段から入力された自動二輪車の走行前に予め判明している運転者個人に関する情報に基づいて運転者の運転を分析してもよい。このようにすることにより、運転者の年齢や免許暦、或いは自動二輪車の車種などの走行前に予め判明している運転者個人に関する情報を考慮した分析を行うことができる。
【0028】
また、力計測手段が計測した走行時に運転者が自動二輪車に対してニーグリップする力およびハンドルのグリップを握る力のうち少なくともいずれか一方の力の情報と、その力を計測した時点の位置検出手段が検出した自動二輪車の位置の情報と、をサーバに送信し、サーバにおいて、分析された結果を受信して、表示手段が分析した結果を表示してもよい。このようにすることにより、車体安定性に関わる運転技術のうち特に運転者が自動二輪車に対してニーグリップする力およびハンドルのグリップを握る力のうち少なくともいずれか一方の力に関する情報を計測して分析した結果を運転者に表示して、運転者が運転技術を判断させることができる。また、サーバが分析した結果を受信しているので、分析手段等の複雑な処理を外部に委託することができ、装置の小型化を図ることができる。
【0029】
また、外部から自動二輪車に関する情報として、自動二輪車の運転者に対して計測されたニーグリップする力およびハンドルのグリップを握る力のうち少なくともいずれか一方の力の情報と、力が計測された時点の自動二輪車の位置の情報と、に基づいて分析された運転者の運転分析結果を通信手段が受信し、表示手段が、通信手段が受信した運転分析結果を表示してもよい。このようにすることにより、車体安定性に関わる運転技術のうち特に運転者が自動二輪車に対してニーグリップする力およびハンドルのグリップを握る力のうち少なくともいずれか一方の力に関する情報を分析した結果を運転者に表示して、運転者が運転技術を判断させることができる。また、外部で分析した結果を受信して表示するのみであるので、力に関する情報の計測や分析手段等の複雑な処理を外部に委託することができ、装置の単純化を図ることができる。
【0030】
また、本発明の一実施形態にかかる自動二輪車運転分析表示方法は、力計測ステップで計測した走行時に運転者が自動二輪車に対してニーグリップする力およびハンドルのグリップを握る力のうち少なくともいずれか一方の力の情報およびその力を計測した時点の位置検出ステップで検出した自動二輪車の位置の情報を情報収集ステップで収集し、分析ステップで、情報収集ステップで収集した力の情報および自動二輪車の位置の情報に基づいて運転者の運転を分析して、表示ステップで分析ステップにおいて分析した結果を表示するので、車体安定性に関わる運転技術のうち特に運転者が自動二輪車に対してニーグリップする力およびハンドルのグリップを握る力のうち少なくともいずれか一方の力に関する情報を計測して運転者に表示して、運転者が運転技術を判断させることができる。
【0031】
また、本発明の一実施形態にかかる自動二輪車運転分析表示プログラムは、力計測手段が計測した走行時に運転者が自動二輪車に対してニーグリップする力およびハンドルのグリップを握る力のうち少なくともいずれか一方の力の情報およびその力を計測した時点の位置検出手段が検出した運転者が自動二輪車の位置の情報を情報収集手段が収集し、分析手段が、情報収集手段が収集した力の情報および自動二輪車の位置の情報に基づいて運転者の運転を分析して、表示手段が分析手段が分析した結果を表示するので、車体安定性に関わる運転技術のうち特に運転者が自動二輪車に対してニーグリップする力およびハンドルのグリップを握る力のうち少なくともいずれか一方の力に関する情報を計測して運転者に表示して、運転者が運転技術を判断させることができる。
【0032】
また、上述した自動二輪車運転分析表示プログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよい。このようにすることにより、当該プログラムを機器に組み込む以外に単体でも流通させることができ、バージョンアップ等も容易に行える。
【実施例】
【0033】
本発明の一実施例にかかる自動二輪車用表示装置1を図1乃至図11を参照して説明する。自動二輪車用表示装置1は図1に示すように、車載端末10と、データベースサーバ30と、から構成されている。車載端末10は例えば自動二輪車のハンドルなどに取り付けられ、当該自動二輪車の現在位置情報や後述する各種センサで計測された計測値情報をデータベースサーバ30へ送信したり、データベースサーバ30から受信した分析情報を表示したりする。また、車載端末10は、目的地までの経路案内などを行うナビゲーション機能も備えている。データベースサーバ30は、事業所などに設置されたコンピュータなどで構成され、車載端末10から送信された現在位置情報やセンサ計測値情報を分析して、分析結果を車載端末10へ送信する。また、データベースサーバ30は複数の車載端末10と通信して、各車載端末10から送信された現在位置情報やセンサ計測値情報などを格納(蓄積)する。なお、車載端末10とデータベースサーバ30とは無線通信を行うが、直接通信や専用回線に限らず公衆回線を経由して通信を行ってもよいことはいうまでもない。
【0034】
また、図1に記載の自動二輪車用表示装置1の構成は、一例でありこれに限られるものではない。図1は、自動二輪車用表示装置1が備える各構成部を車載端末10とデータベースサーバ30とに分けて備えてもよいことを示しており、例えば、車載端末10を構成する一部を、データベースサーバ30が備えることとしてもよいし、逆にデータベースサーバ30を構成する一部を、車載端末10が備えることとしてもよい。
【0035】
車載端末10は、図2に示したように、圧力センサ11、12と、リーン角監視カメラ13と、舵角センサ14と、傾斜センサ15と、車速センサ16と、CPU17と、メモリカード18と、周辺環境取得部19と、表示部20と、地図データ格納部21と、GPS受信部22と、通信部23と、を備えている。
【0036】
力計測手段としての圧力センサ11、12は、例えば薄膜のフィルム形のセンサで構成されている。圧力センサ11は、図3に示すように自動二輪車のガソリンタンクの両側面、即ち、運転者がガソリンタンクを膝で挟み込む位置であるとともに運転者からの圧力が加わる膝から腿部分にかかる位置に設置する。つまり、圧力センサ11は運転者が自動二輪車に対して加える力の情報としてニーグリップする力を計測するセンサである。
【0037】
圧力センサ12は、図4に示すように自動二輪車のハンドルのグリップの中に巻き込むようにして設置する。つまり、圧力センサ12は運転者が自動二輪車に対して加える力の情報としてハンドルのグリップを握る力を計測するセンサである。
【0038】
状態計測手段としてのリーン角監視カメラ13は、車体の軸線上に設けられて運転者の方向を撮影するカメラであり、撮影された画像から運転者の体を画像処理により検出し、車体の軸線を基準線、つまり撮影された画像においては垂直方向の線を基準として、その基準線と検出された運転者の体の角度をリーン角度として算出する。
【0039】
状態計測手段としての舵角センサ14は、ハンドルの回転軸に設けられている。舵角センサ14としては、例えば回転軸に設けられた摺動版とセンサ本体の抵抗体とが摺動し、それによって変化する抵抗値でハンドルの舵角(操舵角)を計測する構成のセンサなどが挙げられるが、ハンドルの舵角を計測できるセンサであればどのようなものでもよい。
【0040】
状態計測手段としての傾斜センサ15は、車体の傾斜角(バンク角ともいう)を計測するセンサであり、例えば車体下向きの加速度を計測する加速度センサで構成されている。加速度センサは、圧電効果を利用したものや、サーボ機構を利用したもの等、どのようなものでもよい。
【0041】
車速計測手段としての車速センサ16は、自動二輪車の車速を計測するセンサであり、例えばエンジンのクランク軸の回転数に応じた信号を出力するものや、車輪の回転数に応じた信号を出力するもので構成される。車速センサ16は、車載端末10の一部としてではなく、自動二輪車に予め設けられているものから信号のみを取り込むようにしてもよい。
【0042】
CPU17は、予め定めたプログラムに従って各種の処理や制御などを行う中央演算処理装置であり、CPU8のためのプログラム等を格納した読み出し専用のメモリであるROMや、各種のデータを格納するとともにCPU8の処理作業に必要なエリアを有する読み出し書き込み自在のメモリであるRAMなどを内蔵する。本実施例では、各センサから入力された計測値の情報やGPS受信部22が受信した電波から算出された現在位置の情報などを通信部23を介してデータベースサーバ30に出力したり、データベースサーバ30から受信した分析結果などを表示部20に表示させたりする。また、ナビゲーション機能の制御なども行う。
【0043】
情報収集手段としてのメモリカード18は、不揮発性の半導体メモリとその半導体メモリの書き込みや読み出しの制御を行う回路等を有するカード状の記録媒体と、当該記録媒体が着脱自在に構成され、CPU17との間で書き込み情報や読み出し情報の入出力が行われるインタフェース部と、を備えている。本実施例では、各センサから入力された計測値の情報や現在位置の情報などが書き込まれる。
【0044】
周辺環境取得手段としての周辺環境取得部19は、天候や気温、時刻、路面状況などの周辺環境を取得する。周辺環境取得部19は、例えば温度計、湿度計、時計などを備えている。また、周辺環境取得部19は、後述するデータベースサーバ30に設けて、天候や気温、時刻などは外部(例えばインターネット上)のサーバ等から取得するようにしてもよい。また、路面状況(ドライ/ウェット)は天候から推測してもよい。
【0045】
表示手段としての表示部20は、例えば液晶ディスプレイなどで構成され、CPU17から出力される表示データ(分析データやナビゲーション用のデータ等)を表示する。また、表示部20は、タッチパネルを備え、車載端末10の操作のための入力手段を構成する。
【0046】
地図データ格納部21は、表示部20に表示するための地図データが格納されている。
【0047】
位置検出手段としてのGPS受信部22は、複数のGPS(Global Positioning System)衛星から、自身の緯度及び経度情報や時間情報等の測位用データを含む電波を定期的に受信してCPU17に出力する。なお、現在位置を検出する手段としてはGPSに限らず、自立センサ(角速度センサ)などを用いてもよい。
【0048】
情報収集手段、通信手段としての通信部23は、データベースサーバ30の通信部31と無線通信を行う。通信部23は、CPU17から入力された各センサの計測値情報と現在位置情報などを送信するとともに、データベースサーバ30から受信する分析結果などをCPU17へ出力する。なお、通信部23は、車載端末10と一体に構成されていなくともよく、例えば、通信部23を携帯電話や通信専用機器などで構成して車載端末10とはコネクタやケーブル或いは短距離無線通信などにより接続可能としてもよい。
【0049】
データベースサーバ部30は、図1に示したように通信部31と、分析部32と、データ格納部33と、を備えている。
【0050】
情報収集手段、通信手段としての通信部31は、車載端末10の通信部23と無線通信を行う。通信部31は、車載端末10から受信した各センサの計測値情報と現在位置情報などを分析部32とデータベース格納部33へ出力するとともに、分析部32から入力される分析結果などを送信する。
【0051】
分析手段としての分析部32は、通信部31を介して受信した各センサの計測値情報を、現在位置情報に基づいて分析して、分析結果を通信部31を介して車載端末10に送信する。
【0052】
蓄積手段としてのデータ格納部33は、車載端末10から受信した各センサの計測値情報と現在位置情報などを格納(蓄積)する。
【0053】
次に、上述した構成の自動二輪車用表示装置1の動作を図7および図8を参照して説明する。図7は、車載端末10で各センサの計測値情報を収集する際の動作を示したフローチャートである。図7に示したフローチャートはCPU17で実行される。
【0054】
まず、ステップS11において、運行前事前情報入力を行ってステップS12に進む。運行前事前情報は、例えば表示部20のタッチパネルから入力する。運行前事前情報とは、例えば、年齢や免許取得暦など運転者個人に関する情報である。また、運転する自動二輪車の車種、年式やタイヤの銘柄なども運転者に関する情報に含める。つまり、運行前事前情報とは、自動二輪車の走行前に予め判明している運転者個人に関する情報である。また、周辺環境のうち路面状況や天候などは、本ステップで運行前事前情報として運転者が予め入力してもよい。
【0055】
次に、位置検出ステップとしてのステップS12において、走行を開始して、計測地点に到達した場合はステップS13に進む。計測地点は、予め計測する道路や区間を車載端末10内で設定しておいても良いし、データベースサーバ30内に予め設定して、車載端末10では常時計測して、データベースサーバ30内で分析する際に計測地点を参照するようにしてもよい。
【0056】
次に、力計測ステップとしてのステップS13において、各センサの計測値を取得してステップS14に進む。即ち、圧力センサ11、12と、リーン角監視カメラ13と、舵角センサ14と、傾斜センサ15と、車速センサ16と、で計測されたニーグリップ、ハンドルのグリップを握る力、リーン角度、ハンドルの舵角、車体の傾斜角、車速といった各センサの計測値を取得する。
【0057】
次に、ステップS14において、通信部23が接続中か否かを判断し、接続中である場合(YESの場合)はステップS15に進み、接続されていない場合(NOの場合)はステップS16に進む。通信部23は上述したように車載端末10に一体に構成せずに接続可能(着脱自在)に構成しても良いため、通信部23が接続されているか、つまり、データベースサーバ30へ通信で各センサの計測値等を送信可能か否か判断している。
【0058】
次に、情報収集ステップとしてのステップS15において、ステップS13で取得した各センサの計測値の情報をデータベースサーバ30へアップロードして終了する。この際に計測地点を示す現在位置を示す情報も同時に送信する。データベースサーバ30では、アップロードされた情報(つまり収集された情報)はデータ格納部33に格納される。即ち、通信部23、31が、運転者が自動二輪車に対して加える力の情報および位置検出手段が検出した自動二輪車の位置情報を収集する情報収集手段として機能している。
【0059】
一方、ステップS16においては、メモリカード18へ書き込みをしてステップS17に進む。本ステップでは、通信部23が接続されていないと判断されたため、各センサの計測値の情報はメモリカード18(記録媒体)に書き込む。この際に計測地点を示す現在位置を示す情報も同時に書き込む。
【0060】
次に、情報収集ステップとしてのステップS17において、運行(走行)終了後にインターネット経由でデータベースサーバ30へアップロードして終了する。つまり、図9に示したように、走行終了後にメモリカード18を、PC(パーソナルコンピュータ)などのインターネットに接続されている機器に取り付けて、PC経由でデータベースサーバ30に各センサの計測値の情報や計測地点を示す現在位置を示す情報をアップロードする。データベースサーバ30では、アップロードされた情報(つまり収集された情報)はデータ格納部33に格納される。なお、メモリカード18を使用してアップロードする場合は、インターネットに接続されたPCに限らず、データベースサーバ30が通信可能な公衆回線等に接続され、かつ、メモリカード18を読み込み可能な携帯端末(携帯電話やスマートフォン等)を用いてもよい。
【0061】
図8は、図7のフローチャートで収集された各種センス値の分析動作を示したフローチャートである。図8に示したフローチャートはステップS21〜S27が分析部32で実行され、ステップS28がCPU17で実行される。
【0062】
まず、ステップS21において、個人データの分析か否かを判断し個人データの分析である場合(YESの場合)はステップS28に進み、個人データの分析でない場合(NOの場合)はステップS22に進む。個人データの分析とは、詳細は後述するが、例えば1日など、車載端末の1回の起動期間に走行した各センサの計測値の変化を時系列或いは走行した経路と対応させて表示することである。個人データの分析の場合は、他のユーザ(他の運転者)の情報とは比較しないので、収集した各センサの計測値の変化を時系列或いは走行した経路と対応するように再構成して車載端末10に送信する。
【0063】
次に、ステップS22において、最大R箇所の分析か否かを判断し最大R箇所の分析である場合(YESの場合)はステップS23に進み、最大R箇所の分析でない場合(NOの場合)はステップS22に進む。最大R箇所の分析とは、詳細は後述するが、例えば1日など、車載端末の1回の起動期間に走行した道路のうち最大のRを持つカーブについて他のユーザと比較して表示することである。
【0064】
次に、ステップS23において、最低速度ポイントを検出して最大R箇所を検出してステップS24に進む。つまり、本フローチャートでは、最大R箇所の検出として最低速度で走行した区間を最大のRを持つカーブであるとして検出している。但し、最大R箇所の検出は、この方法に限らず、例えば、データベースサーバ30が地図データを持ち、地図データに各道路のRの情報を含めておき、地図データを参照して走行した経路における最大のRの箇所を検出するようにしてもよい。
【0065】
次に、ステップS24において、最低速度が同一のユーザを比較対象としてステップS27に進む。本ステップでは、ステップS23で検出した最大R箇所において、同一の速度で走行しているユーザの各センサの計測値を比較対象として抽出している。即ち、道路上の同じ曲率半径を持つカーブごとに、速度情報に基づいて他の運転者の運転と比較している。
【0066】
一方、ステップS25においては、各センサの計測値を平均化してステップS26に進む。本ステップでは、最大R箇所といった特定のカーブを比較するのではなく、複数のカーブを含む特定の区間全体を比較対象とし、そのために、その区間における各センサの計測値を平均化している。
【0067】
次に、ステップS26において、比較対象の区間における平均速度が同一のユーザを比較対象としてステップS27に進む。本ステップでは、比較対象の区間における平均速度が同一のユーザの各センサの計測値を比較対象として抽出している。即ち、速度情報に基づいて他の運転者の運転を比較している。
【0068】
次に、分析ステップとしてのステップS27において、各センサの計測値を順序化してステップS28に進む。順序化とは、各センサの計測値を降順または昇順に並べることである。また、順序化と同時に、自身(本フローチャートで分析対象とする計測値を送信してきた車載端末10、つまり分析対象とするユーザ)が順序化されたうちのどこに位置付けられているかを示す情報も付与する。そして、この順序化された各センサの計測値等は分析結果として車載端末10に送信される。
【0069】
次に、表示ステップとしてのステップS28において、車載端末10の表示部20に分析結果を表示して終了する。表示部20には、他のユーザと比較する場合は、例えば図10に示したようにグラフ化して表示し、自身の計測値が含まれる部分は色を変えるなどとして判別できるようにする。即ち、一つの力の情報について順序の中における位置付けを表示している。
【0070】
ここで、上述した自動二輪車用表示装置1の動作例を図11を参照して説明する。図11は車載端末10を搭載した自動二輪車が走行する道路の一例を示した地図である。
【0071】
図11に示した計測区間A〜Fは車載端末10が各センサが計測する区間(即ちカーブ)を示している。各計測区間では車載端末10が図7のフローチャートのように動作して各センサの計測値をデータベースサーバ30に送信する。
【0072】
次に、走行後に行う分析であるが、まず、個人データの分析を行う場合を説明する。個人データの分析を行う場合は、上述したように、車載端末の1回の起動期間に走行した各センサの計測値の変化を時系列或いは走行した経路と対応させて表示することであり、例えば、各センサの計測値の変化量を、計測する項目毎に地図上に色付けして表示することで、ユーザは客観的に運転状況の反省をすることができる。或いは、速度とニーグリップなど複数の計測値の変化を表示させてもよい。また、仮にコーナリング中に転倒してしまった場合などについても、転倒を各センサの計測値が大きく崩れることで検出し、その転倒前の入力状況が好ましくない場合が無かったかなど、後から確認することができる。
【0073】
次に、他のユーザとの比較を行う場合であって、最大R箇所における比較を行う場合は、図8のステップS23で最大R箇所を検出する。図11の場合、計測区間Bを最大R箇所とすると、このカーブにおいて同一の速度で走行したユーザと各センサの計測値の比較が行われる。この同一速度は、比較するデータ数が少ない場合は、厳密に同一ではなく例えば±数km/h程度の範囲を同一速度と見做してもよい。そして、計測値毎に比較対象のユーザの計測値とともに順序化し、車載端末10においてグラフ化されて表示される。図10は、ニーグリップの例である。ここで、自身の計測値が含まれる分布は他と異なる色等で表示する(図10の1.25〜1.5kg/cm2)。
【0074】
このようにすることで、同じカーブを同じ速度で走行しているユーザの中で自分がどの分布に属しているかが判断できる。仮にニーグリップの圧力センス値が弱い分布に属していた場合、今後はニーグリップをより意識して運転するようにしなければならない等、運転レベルを客観的に判断できるようになる。また、例えば、自身がグラフの両端など平均から大きく離れる位置にある場合は、「平均に近づけるようにしましょう」などといった警告メッセージをグラフとともに表示させてもよい。即ち、表示部20が警告手段として機能する。
【0075】
次に、他のユーザとの比較を行う場合であって、平均した計測値における比較を行う場合は、図8のステップS25で各センサの計測値の平均化をする。図11の場合、計測区間A〜Fで計測された各センサの計測値を平均化し、平均速度が同一のユーザと各センサの計測値の比較が行われる。この平均速度は、比較するデータ数が少ない場合は、厳密に同一ではなく例えば±数km/h程度の範囲を同一と見做してもよい。そして、最大R箇所における比較を行う場合と同様に、計測値毎に比較対象のユーザの計測値とともに順序化し、車載端末10においてグラフ化されて表示される。
【0076】
本実施形態によれば、車載端末10の各種センサが計測した計測値の情報およびGPS受信部22が検出した自動二輪車の位置情報をデータベースサーバ30が通信等により収集し、データベースサーバ30の分析部32が、収集された各センサの計測値の情報および自動二輪車の位置情報に基づいて運転者の運転を順序化して、車載端末10の表示部20に順序化された結果を表示するので、車体安定性に関わる運転技術のうち特に運転者が自動二輪車に対して加える力であるニーグリップやハンドルのグリップを握る力および、車体の状態であるリーン角やハンドルの舵角、車体傾斜角を計測して順序化し、当該運転者の運転時に計測された各センサの計測値が順序の中でどの位置付けにあるかを運転者に表示して、客観的に運転技術を判断させることができる。
【0077】
また、道路上の同じRを持つカーブごとに他の運転者の計測値と比較して分析したり、特定の道路の区間において、平均速度が同じ運転者の運転と比較して分析したりしているので、複数の運転者の情報を適切に比較することができ、より客観的な判断を行うことができる。
【0078】
また、順序化して、他の運転者と比較して分析した場合は、グラフ化して表示し、さらに全体の平均を求めてその平均から大きくかけ離れている場合は、「平均に近づけるようにしましょう」などといった警告メッセージグラフとともに表示を行うので、運転者に対して警告をすることができ、具体的に運転者に改善を促すことができる。
【0079】
また、他の運転者と比較しないで収集した各センサの計測値を時系列や走行した経路と対応させて表示することにより、走行後に自身の運転を見直すことができる。
【0080】
なお、上述した実施例において、車載端末10は、ナビゲーション機能を備えていたが、勿論備えなくてもよい。本発明においては、自動二輪車には、各種センサ類(圧力センサ11、12、リーン角監視カメラ13、舵角センサ14、傾斜センサ15、車速センサ16)と、CPU17と、GPS受信部22と、通信部23またはメモリカード18のうちずれか一方があればよく、表示部20は、例えば、走行後に別途PC等でデータベースサーバ30にアクセスして分析結果をダウンロードできるようにすれば自動二輪車には無くてもよい。つまり、分析結果はリアルタイムにユーザに対して送信しなくともよい。
【0081】
また、各種センサ類も、圧力センサ11、12のうち少なくともいずれか一方があればよく、他のセンサは必要に応じて備えればよい。その場合車速による比較はできなくなるものの、特定のカーブや複数のカーブを含む区間における圧力センサ11、12の計測値の比較は可能であるため、最低限の分析は可能となる。ただし、最低限の分析となるため、車速センサ16は備えた方が好ましい。
【0082】
また、地図データ格納部21も車載端末10に備えずにデータベースサーバ30に備えるようにしてもよい。或いは、地図データを持たずにGPS受信機22から得られる現在位置の軌跡によってカーブのRを認識してもよい。
【0083】
また、上述した実施例では、周辺環境取得部19で、天候や気温、時刻、路面状況等を取得しているので、これらの情報もデータベースサーバ30に送信し、分析部32では、これらの情報に基づいて運転者の運転の分析を行ってもよい。例えば、天候が雨の場合は、他のユーザの計測値として雨の場合の値を比較対象としたり、時刻が夜の場合は、他のユーザの計測値として夜の場合の値を比較対象としたりする。
【0084】
また、上述した実施例では、表示部20のタッチパネルから運転者に関する情報を入力しているので、この情報もデータベースサーバ30に送信し、分析部32では、これらの情報に基づいて運転者の運転の分析を行ってもよい。例えば、運転者個人の免許暦が5年である場合は、免許暦が5年の他のユーザの計測値を比較対象としたり、運転者と同じ車種の自動二輪車の計測値を比較対象としたりする。即ち、表示部20を運転者情報入力手段として機能させている。
【0085】
また、上述した実施例では、最大Rを持つカーブにおいて比較を行っていたが、任意のカーブで比較できるようにしてもよい。例えば、画面表示された地図上でユーザが選択することで任意のカーブを選択し、選択されたカーブにおいて比較を行うようにしてもよい。また、同じ地点のみを比較対象とせずに、異なる地点でもカーブのRが同じ場合は比較対象としてもよい。
【0086】
また、上述した実施例では、自動二輪車用表示装置1として、車載端末10と、データベースサーバ30と、から構成されていたが、データベースサーバ30の持つ各機能(分析部32、データ格納部33)を車載端末10が備えてもよい。この場合、車載端末10は、他の車載端末10からの各センサの計測値や周辺環境情報および自動二輪車の走行前の予め判明している運転者の個人情報といった他の運転者の情報を受信し、自身と、他の車載端末10からの各センサの計測値に基づいて分析を行う。なお、他の車載端末10からの各センサの計測値は、直接通信に限らず、中継装置等を介して受信してもよいし、一旦外部サーバ等に蓄積し、そのサーバ等にアクセスして取得(受信)してもよい。
【0087】
また、上述した実施例では、各センサの計測情報を送信したユーザの分析結果は当該ユーザの車載端末またはPC等に送信していたが、ユーザに限らず、自動二輪車メーカーや警察等に設置した端末に表示されるようにしてもよい。つまり、一つの力の情報について順序の中における位置付けを表示する表示手段は、ユーザ端末に限らない。
【0088】
前述した実施例によれば、以下の自動二輪車用表示装置1、自動二輪車運転分析表示方法、自動二輪車運転分析表示プログラムが得られる。
【0089】
(付記1)走行時にニーグリップする力、ハンドルのグリップを握る力を計測する圧力センサ11、12と、
ニーグリップする力、ハンドルのグリップを握る力を計測した時点の自動二輪車の位置を検出するGPS受信部22と、
圧力センサ11、12が計測したニーグリップする力、ハンドルのグリップを握る力の情報およびGPS受信部22が検出した自動二輪車の位置の情報を収集する通信部23、31と、
通信部23、31が収集したニーグリップする力、ハンドルのグリップを握る力の情報およびGPS受信部が検出した位置の情報に基づいて運転者の運転を分析する分析部32と、
分析部32が分析した結果を表示する表示部20と、
を備えたことを特徴とする自動二輪車用表示装置1。
【0090】
(付記2)走行時にニーグリップする力、ハンドルのグリップを握る力を計測するステップS13と、
自動二輪車の位置を検出するステップS12と、
ニーグリップする力、ハンドルのグリップを握る力を計測した時点のステップS13で計測したニーグリップする力、ハンドルのグリップを握る力の情報および前記位置検出ステップで検出した自動二輪車の位置の情報を収集するステップS15と、
ステップS15で収集したニーグリップする力、ハンドルのグリップを握る力の情報およびステップS12で検出した位置の情報に基づいて運転者の運転を分析するステップS27と、
ステップS27において分析した結果を表示するステップS28と、
を備えたことを特徴とする自動二輪車用表示方法。
【0091】
(付記3)走行時にニーグリップする力、ハンドルのグリップを握る力を計測する圧力センサ11、12と、
ニーグリップする力、ハンドルのグリップを握る力を計測した時点の自動二輪車の位置を検出するGPS受信部22と、
圧力センサ11、12が計測したニーグリップする力、ハンドルのグリップを握る力の情報およびGPS受信部22が検出した自動二輪車の位置の情報を収集する通信部23、31と、
通信部23、31が収集したニーグリップする力、ハンドルのグリップを握る力の情報およびGPS受信部が検出した位置の情報に基づいて運転者の運転を分析する分析部32と、
分析部32が分析した結果を表示する表示部20と、
してコンピュータを機能させることを特徴とする自動二輪車用表示プログラム。
【0092】
これらの自動二輪車用表示装置1、自動二輪車用表示方法、自動二輪車用表示プログラムによれば、車体安定性に関わる運転技術のうち特にニーグリップする力やハンドルのグリップを握る力に関する情報を計測して運転者に表示して、運転者に運転技術を判断させることができる。
【0093】
なお、前述した実施例は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施例に限定されるものではない。すなわち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0094】
1 自動二輪車用表示装置
11 圧力センサ(力計測手段)
12 圧力センサ(力計測手段)
13 リーン角監視カメラ(状態計測手段)
14 舵角センサ(状態計測手段)
15 傾斜センサ(状態計測手段)
16 車速センサ(速度計測手段)
17 CPU
18 メモリカード(情報収集手段)
19 周辺環境取得部(周辺環境取得手段)
20 表示部(表示手段、警告手段、運転者情報入力手段)
22 GPS受信部(位置検出手段)
23 通信部(情報収集手段、通信手段)
31 通信部(情報収集手段、通信手段)
32 分析部(分析手段)
33 データ格納部(蓄積手段)
S12 計測地点到達(位置検出ステップ)
S13 各種センス値取得(力計測ステップ)
S15 サーバへアップロード(情報収集ステップ)
S17 運行終了後、インターネット経由でデータベースサーバへアップロード(情報収集ステップ)
S27 各種センス値順序化(分析ステップ)
S28 分析結果表示(表示ステップ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行時に運転者が自動二輪車に対してニーグリップする力およびハンドルのグリップを握る力のうち少なくともいずれか一方の力を計測する力計測手段と、
前記力を計測した時点の前記自動二輪車の位置を検出する位置検出手段と、
前記力計測手段が計測した前記力の情報および前記位置検出手段が検出した前記位置の情報を収集する情報収集手段と、
前記情報収集手段が収集した前記力の情報および前記位置検出手段が検出した前記位置の情報に基づいて前記運転者の運転を分析する分析手段と、
前記分析手段が分析した結果を表示する表示手段と、
を備えたことを特徴とする自動二輪車用表示装置。
【請求項2】
走行時に運転者が自動二輪車に対して加える力を計測する力計測手段と、
前記力を計測した時点の前記自動二輪車の位置を検出する位置検出手段と、
他の運転者の情報を収集する情報収集手段と、
前記力計測手段の計測結果と、前記位置検出手段の検出結果と、前記情報収集手段の収集結果と、に基づいて前記運転者の運転を分析する分析手段と、
前記分析手段が分析した結果を表示する表示手段と、
を備え、
前記情報収集手段が、前記力の情報および前記位置の情報を収集する、
ことを特徴とする自動二輪車用表示装置。
【請求項3】
前記情報収集手段が収集した前記力の情報を蓄積する蓄積手段を備え、
前記分析手段が、前記蓄積手段に蓄積されている前記力の情報に基づいて他の運転者の前記力の情報と比較して分析する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の自動二輪車用表示装置。
【請求項4】
前記分析手段が、前記蓄積手段に蓄積されている前記力の情報を順序化するとともに、
前記表示手段が、当該順序化された前記力の情報のうち、一つの前記力の情報について前記順序の中における位置付けを表示する
ことを特徴とする請求項3に記載の自動二輪車用表示装置。
【請求項5】
前記分析手段が、前記位置の情報に基づいて、道路上の同じ曲率半径を持つカーブごとに他の運転者と比較して分析することを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか一項に記載の自動二輪車用表示装置。
【請求項6】
前記自動二輪車の速度情報を計測する速度計測手段を備え、
前記情報収集手段が、前記速度情報を収集するとともに、前記分析手段が、前記速度情報に基づいて前記運転者の運転を分析する分析することを特徴とする請求項1乃至5のうちいずれか一項に記載の自動二輪車用表示装置。
【請求項7】
前記分析手段が、前記蓄積手段に蓄積された前記力の情報の平均を求め、
前記平均を基準として前記情報収集手段で収集された前記力の情報に対して警告を行う警告手段を備えたことを特徴とする請求項3乃至6のうちいずれか一項に記載の自動二輪車用表示装置。
【請求項8】
前記自動二輪車の車体の状態情報を計測する状態計測手段を備え、
前記情報収集手段が、前記車体の状態情報を収集するとともに、前記分析手段が、前記自動二輪車の車体の状態情報に基づいて前記運転者の運転を分析することを特徴とする請求項1乃至7のうちいずれか一項に記載の自動二輪車用表示装置。
【請求項9】
前記自動二輪車の周辺環境情報を取得する周辺環境取得手段を備え、
前記情報収集手段が、前記周辺環境情報を収集するとともに、前記分析手段が、前記自動二輪車の周辺環境に基づいて前記運転者の運転を分析することを特徴とする請求項1乃至8のうちいずれか一項に記載の自動二輪車用表示装置。
【請求項10】
前記自動二輪車の走行前に予め判明している前記運転者個人に関する情報を入力する運転者情報入力手段を備え、
前記情報収集手段が、前記自動二輪車の走行前に予め判明している前記運転者個人に関する情報を収集するとともに、前記分析手段が、前記自動二輪車の走行前に予め判明している前記運転者個人に関する情報に基づいて前記運転者の運転を分析することを特徴とする請求項1乃至9のうちいずれか一項に記載の自動二輪車用表示装置。
【請求項11】
走行時に運転者が自動二輪車に対してニーグリップする力およびハンドルのグリップを握る力のうち少なくともいずれか一方の力を計測する力計測手段と、
前記力を計測した時点の前記自動二輪車の位置を検出する位置検出手段と、
外部に設けられたサーバと通信する通信手段と、
情報を表示する表示手段と、
を備え、
前記通信手段は、前記力計測手段による計測結果および前記位置情報検出手段による検出結果をサーバに送信するとともに、前記送信された情報と他の運転手の前記力の情報および前記位置の情報とから前記運転者の運転を分析した分析結果を前記サーバから受信し、
前記表示手段は、前記通信手段が受信した前記分析結果を表示する、
ことを特徴とする自動二輪車用表示装置。
【請求項12】
外部から自動二輪車に関する情報を取得し、当該取得した情報を表示する表示装置であって、
前記自動二輪車の運転者に対して計測されたニーグリップする力およびハンドルのグリップを握る力のうち少なくともいずれか一方の力の情報と、前記力が計測された時点の前記自動二輪車の位置の情報と、に基づいて分析された前記運転者の運転分析結果を受信する通信手段と、
前記通信手段が受信した前記運転分析結果を表示する表示手段と、
を備えることを特徴とする表示装置。
【請求項13】
走行時に運転者が自動二輪車に対してニーグリップする力およびハンドルのグリップを握る力のうち少なくともいずれか一方の力を計測する力計測ステップと、
前記力を計測した時点の前記自動二輪車の位置を検出する位置検出ステップと、
前記力計測ステップで計測した前記力の情報および前記位置検出ステップで検出した前記位置の情報を収集する情報収集ステップと、
前記情報収集ステップで収集した前記力の情報および前記位置検出手段が検出した前記位置の情報に基づいて前記運転者の運転を分析する分析ステップと、
前記分析ステップにおいて分析した結果を表示する表示ステップと、
を備えたことを特徴とする自動二輪車用表示方法。
【請求項14】
走行時に運転者が自動二輪車に対してニーグリップする力およびハンドルのグリップを握る力のうち少なくともいずれか一方の力を計測する力計測手段と、
前記力を計測した時点の前記自動二輪車の位置を検出する位置検出手段と、
前記力計測手段が計測した前記力の情報および前記位置検出手段が検出した前記位置の情報を収集する情報収集手段と、
前記情報収集手段が収集した前記力の情報および前記位置検出手段が検出した前記位置の情報に基づいて前記運転者の運転を分析する分析手段と、
前記分析手段が分析した結果を表示する表示手段と、
してコンピュータを機能させることを特徴とする自動二輪車用表示プログラム。
【請求項15】
請求項14に記載の自動二輪車用表示プログラムを格納したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2012−254729(P2012−254729A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−129145(P2011−129145)
【出願日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)