説明

自動保留機能を有する電話装置

【課題】個別保留とシステム保留とがある電話システムの形態において、個別保留か、システム保留かを用途に応じて自動判別して、切り替えることができる電話装置を提供する。
【解決手段】ハンドセットに装着されている2つの接触センサ(グリップセンサ103、送話口センサ104)のセンサ情報をセンサ監視部102を介して主制御部101へ送信し、主制御部101が受信したセンサ検知情報にて、個別保留動作(表示部113に保留中画面を表示させ、マイク107をミュートし、スピーカ106へ保留音を送出させる)、システム保留動作(表示部113に保留中画面と無線子機2にて保留解除できることを知らせる画面を表示させ、マイク107をミュートし、スピーカ106へ保留音を送出させる)を自動判別して行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保留機能を有する電話機に関し、人の操作において的確な保留状態を自動的に行えるようにした電話装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の保留機能を有する電話装置においては、電話装置本体の保留ボタンを押下することで保留回路を動作させる構成が一般的であった。しかしこのような従来の電話装置では、保留状態を設定、解除するごとに保留ボタンを押下する必要があった。
【0003】
これに対し、受話部に接触センサを設け、通話者の耳の接触状態を監視して、通話者の耳から受話部が離れたことを検知したときに通話を保留にする技術がある(特許文献1)。
【0004】
一方、電話機本体(親機)に無線子機が接続されているといった複数台内線を持つ電話システムにおける保留には、保留を行った電話機でしか解除できない保留(個別保留)と、保留した時にすべての内線無線子機で保留解除できる保留(システム保留)とがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−99535号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の技術を、上記のような個別保留とシステム保留とがある電話システムに適用する場合、どちらの保留か判別できないという問題がある。
【0007】
そこで、本発明の目的は、個別保留とシステム保留とがある電話システムの形態において、個別保留か、システム保留かを用途に応じて自動判別して、切り替えることができる電話装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(クレーム1を丸写し)
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ハンドセットのグリップ部ならびに送話口部に接触センサを設け、通話中のハンドセットを持つ手の位置やハンドセットの載置を検知し、個別保留、システム保留を切り替えるので、通話者が行うハンドセットの操作から自動的に個別保留、システム保留を判別し、保留を切り替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明による電話機のブロック構成図および全体構成図である。
【図2】本発明によるセンサ検知と電話機の状態を示す図である。
【図3】本発明による親機の動作フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
【0012】
図1は本発明による電話機のブロック構成図および全体構成図である。
【0013】
図1の全体構成は、PSTN網である回線網3に接続し、本発明対象である電話機の親機1と、親機1の子機である無線子機2から構成される。
【0014】
親機1は、主制御部101、センサ監視部102、グリップセンサ103、送話口センサ104、通話制御部105、スピーカ106、マイク107、保留設定部108、回線制御部109、キー入力制御部110、キー入力部111、表示制御部112、表示部113、無線子機制御部114とから構成される。
【0015】
101は親機1の動作全般を制御する主制御部である。
【0016】
102はハンドセットに取り付けられたグリップセンサ103および送話口センサ104の各接触センサから送られてきた信号を受信するセンサ監視部であり、センサ検知情報を取得し、主制御部101へセンサ検知情報を送信する。
【0017】
103はグリップセンサであり、ハンドセットを人の手がグリップしたことを検知する接触センサである。
【0018】
104は送話口センサであり、机に接触したことまたは人の手によって送話口部を塞がれたことを検知する接触センサである。
【0019】
105は、ハンドセット内部のスピーカ106とマイク107を制御する通話制御部であり、主装置101からの要求にて、スピーカ106に保留音を送出/停止、マイクからの音声をミュート/解除を行う。
【0020】
106はハンドセット内部のスピーカであり、回線網(PSTN網)3からの図示しない相手電話機からの音声または保留音を、回線制御部109を介して送出する。
【0021】
107はハンドセット内部のマイクであり、回線網(PSTN網)3からの音声を図示しない相手電話機へ回線制御部109を介して送出する。
【0022】
108は保留設定部であり、グリップセンサ103と送話口センサ104が接触した場合、あるいは送話口センサ104のみが接触していた場合、センサ監視部102にてセンサ検知情報を検知すると、個別保留またはシステム保留を行い、スピーカ106と回線網(PSTN網)3へ保留音を送出する。また、個別保留中又はシステム保留中に、グリップセンサ103のみの接触していた場合、センサ監視部102にてセンサ検知情報を検知し、スピーカ106と回線網(PSTN網)3へ送出していた保留音を解除する。
【0023】
ここで、個別保留とは、保留操作を行った電話機でしか保留解除できず、ハンドセット内部のマイク107に入ってくる音声にミュートをかけ、ハンドセット内部のスピーカ106に保留音を送出することである。
【0024】
また、システム保留(またはパーク保留)とは、保留操作を行った電話機以外(無線子機等)でも保留解除ができ、ハンドセット内部のマイク107に入ってくる音声にミュートをかけ、ハンドセット内部のスピーカ106に保留音を送出することである。
【0025】
109は回線制御部であり、回線網(PSTN網)3から図示しない相手電話機との呼を制御し、図示しない相手電話機へ音声の送出、受信を制御する。
【0026】
110はキー入力制御部であり、キー入力部111にて押下されたキー情報を受信し、主制御部101へ送信する。
【0027】
112は表示制御部、113は液晶ディスプレイ(LCD)等による表示部であり、保留状態であった場合に、主制御部101からの要求にて、表示制御部112より表示部113へ保留中画面を表示させる。
【0028】
114は無線子機2の通話を制御する無線子機制御部であり、システム保留中時に無線子機2のコマンドを主制御部101にて受信可能とし、親機1に加え無線子機2でも保留解除が可能とする。
【0029】
図2は本発明によるセンサ検知と電話機の状態を示す図である。
【0030】
図(A)は、手でハンドグリップ部を持っている図である。このとき、グリップセンサ103が検知して、個別保留中またはシステム保留中であったならば、保留を解除して通話となる。
【0031】
図(B)は、手でハンドグリップ部を持ちながら、送話口を塞いでいる図である。このとき、グリップセンサ103と送話口センサ104が検知して、通話中の呼を保留して個別保留にする。
【0032】
図(C)は、送話口を下向きに机に置かれた図である。このとき送話口センサ104が検知して、通話中の呼を保留してシステム保留にする。
【0033】
図3は本発明による親機の動作フローチャートである。
【0034】
本フローは、親機1が回線網(PSTN網)3から図示しない相手電話機からの着信呼を受付け、当該呼に応答し通話を確立、または親機1が回線網(PSTN網)3を介して相手電話機に対して発信し、相手電話機が応答し通話を確立した状態(通話中)からスタートする(S200)。
【0035】
親機1は通話中にてグリップセンサ103と送話口センサ104両方が一定時間検知した場合(S201,YES)、センサ監視部102にてセンサ検知情報を受信し、主制御部101へと送信する。すると、親機1は個別保留となり(S202)、保留設定部108より、通話制御部105を介して、スピーカ106へ保留音を送出し、マイク107からの音声を通話制御部105にてミュートをかける。また、親機1は表示制御部112にて、表示部113に保留中であることと、無線子機2で保留解除不可なことを知らせる画面を表示する。さらに、親機1は無線子機制御部114にて無線子機2のボタン押下での無線コマンドを無効とし、無線子機2での保留解除動作を不可とする。
【0036】
親機1が個別保留中(S202)に、グリップセンサ103のみが一定時間検知した場合(S203,YES)、親機1は、センサ監視部102にてセンサ検知情報を受信し、主制御部101へと送信する。すると、個別保留解除となり、親機1は、保留設定部108にて通話制御部105を介してスピーカ106へ送出していた保留音を停止し、マイク107のミュートを解除し、外線通話を再開する(S204)。また、親機1は、表示制御部112にて表示部113に表示させていた個別保留中画面を通話中画面へ遷移させる。
【0037】
親機1が通話中に送話口センサ104のみが一定時間検知した場合(S205,YES)、センサ監視部102がセンサ検知情報を受信し、主制御部101へと送信する。すると、親機1がシステム保留(S206)となり、保留設定部108にて、通話制御部105を介してスピーカ106へ保留音を送出し、マイク107からの音声を通話制御部105にてミュートをかける。また、親機1は、表示制御部112にて、表示部113に保留中であることと、無線子機2で保留解除可能なことを知らせる画面を表示し、主制御部101にて無線子機2のボタン押下での無線コマンドを無線子機制御部114にて有効とし、子機での保留解除動作を可能とする。
【0038】
また無線子機2が保留解除動作を行わず(S207,NO)、グリップセンサ103のみが一定時間検知した場合(S209,YES)、親機1は、センサ監視部102にてセンサ検知情報を受信し、主制御部101へと送信する。すると、親機1がシステム保留解除となり、親機1は、保留設定部108にて、通話制御部105を介してスピーカ106へ送出していた保留音を停止させ、マイク107のミュートを通話制御部105にて解除し、外線通話が再開となる(S210)。また、親機1は、表示制御部112にて、表示部113に表示させていたシステム保留中画面を通話中画面へ遷移する。
【0039】
無線子機2が保留解除操作をするか(S207,YES)、グリップセンサ103のみが一定時間検知(S209,YES)しない限り、システム保留(S206)を継続する。
【0040】
無線子機2が、保留解除動作を行った場合(S207,YES)、無線子機2が通話相手との通話へ開始する(S208)。親機1は、表示制御部112にて、無線子機2が通話中であることを表示する。また、無線子機2が通話中の場合、親機1は、センサ監視部102にて、センサ検知情報を主制御部101へ送信しない。
【0041】
無線子機2が、通話を終話した場合(S211,YES)、親機1は、終話処理を行う(S212)。そして、親機1は、無線子機制御部114が無線子機2が終話したこと検知すると、終話したことを主制御部101へ送信し、親機1は待機状態へ遷移する。
【0042】
無線子機2にて通話を終話せず(S211,NO)、無線子機2にてシステム保留操作をした場合(S213,YES)、親機1は、システム保留動作へと遷移する(S206)。
【0043】
親機1が通話中にハンドセットがオンフックすると(S214,YES)、終話処理(S212)へ遷移する。
【0044】
親機1が通話中にハンドセットがオンフックでなかった場合(S214,NO)、通話中のままとなる。
【0045】
以上、本発明の実施例について説明した。
【0046】
本発明では、親機1に接触センサであるグリップセンサ103および送話口センサ104を設け、親機1が通話中に図2(B)のようにグリップセンサ103および送話口センサ104の双方の接触センサが一定時間検知すると、当該通話を個別保留するようにした。
【0047】
これにより、通話中に話者の通話を止める際の自然な動作を検出して個別保留を実行するので話者は個別保留のための特定の操作を行わなくてもよい。
【0048】
また、親機1が通話中に図2(B)または図2(C)のようにグリップセンサ103および送話口センサ104の接触センサが検知すると当該通話を個別保留し、送話口センサ104のみの接触センサが検知すると当該通話をシステム保留するようにした。
【0049】
これにより、グリップセンサ103と送話口センサ104の検出結果に応じて個別保留とシステム保留を切替えることができる。
【0050】
また、グリップセンサ103および送話口センサ104の接触センサは一定時間接触している場合にのみ動作するようにした。
【0051】
これにより、通話中に接触センサを間違えて触った場合であっても自動的に切替えない。
【0052】
尚、本実施例では、説明を簡単化するために単体電話機の親機と無線子機を例として説明したが本願はこれに限定しない。例えば、複数の内線端末と内線端末を収容する主装置から構成されるボタン電話システムであってもよいし、複数のIP電話端末と当該IP電話端末の呼制御を行う呼制御サーバから構成されるIP電話システムに本発明を適用してもよい。
【0053】
尚、本実施例では、グリップおよび送話口部にセンサを設け、個別保留およびシステム保留について説明したが本願はこれに限定しない。例えば、受話部に接触センサ(以下、受話部センサ)と通話相手が送話中であることを検知する相手送話検出部をさらに設け、グリップ部および受話部センサがグリップおよびユーザの耳が当たっていることを検知すると相手送話検出部を起動し、通話相手が送話中に受話部センサのみが未検知になった場合に、通話相手の送話音量が大きいと判断して、自動的にスピーカを音量を下げるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1・・・親機
2・・・無線子機
3・・・回線網(PSTN網)
101・・・主制御部
102・・・センサ監視部
103・・・グリップセンサ
104・・・送話口センサ
105・・・通話制御部
106・・・スピーカ
107・・・マイク
108・・・保留設定部
109・・・回線制御部
110・・・キー入力制御部
111・・・キー入力部
112・・・表示制御部
113・・・表示部
114・・・無線子機制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通話中の呼を保留する保留手段を備える電話装置であって、
自電話装置が備えるハンドセットのグリップ部に設けられた接触センサからのデータを解析して前記グリップ部がグリップされた状態であるか否かを検知するグリップ検知手段と、前記ハンドセットの送話部に設けられた接触センサからのデータを解析して前記送話部が塞がれた状態か否かを検知する送話部閉塞検知手段と、を有し、
通話中に前記グリップ検知手段が前記グリップ部がグリップされている状態を検知していると共に前記送話部閉塞検知手段が前記送話部が塞がれている状態を検知している時間が所定時間を超えた場合に前記保留手段を自動的に起動することを特徴とする自動保留機能を有する電話装置。
【請求項2】
複数の内線電話機と前記内線電話機の発着信に係る処理を実行する主装置から成る電話装置であって、
前記主装置は、前記内線電話機のいずれかが通話中の呼を保留した場合に当該内線電話機以外の内線電話機による保留解除を禁止する個別保留手段と、前記内線電話機のいずれかが通話中の呼を保留した場合に当該内線電話機以外の内線電話機による保留解除を許容するシステム保留手段と、有し、
前記内線電話機の一部または全ては、ユーザがグリップするハンドル部に設けられた接触センサを備えるハンドセットと、前記接触センサからのデータを解析して前記ハンドル部がグリップされた状態であるか否かを検知するグリップ検知手段と、前記ハンドセットの送話部に設けられた接触センサからのデータを解析して前記送話部が塞がれた状態か否かを検知する送話部閉塞検知手段と、を有し、
通話中に前記グリップ検知手段が前記ハンドル部がグリップされている状態を検知していると共に前記送話部閉塞検知手段が前記送話部が塞がれている状態を検知している時間が所定時間を超えた場合に前記個別保留手段を起動することを特徴とする自動保留機能を有する電話装置。
【請求項3】
請求項2に記載の電話装置であって、
通話中に前記グリップ検知手段が前記ハンドル部がグリップされている状態を検知していると共に前記送話部閉塞検知手段が前記送話部が塞がれている状態を検知している時間が所定時間を超えた場合に前記個別保留手段を起動し、
通話中に前記グリップ検知手段が前記ハンドル部がグリップされていない状態を検知している時間が所定時間を超えた場合に前記システム保留手段を起動することを特徴とする自動保留機能を有する電話装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−58824(P2013−58824A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−194556(P2011−194556)
【出願日】平成23年9月7日(2011.9.7)
【出願人】(000134707)株式会社ナカヨ通信機 (522)
【Fターム(参考)】