説明

自動分析装置

【課題】特に複数のモジュールに対し、複数のメンテナンス機能を同時に実施するときに、メンテナンスに要する時間を事前に確認できるようにして、ユーザの経験に頼らなくても作業スケジュールを予測しやすい自動分析装置を提供することにある。
【解決手段】入力部101により、ユーザが希望するメンテナンス機能及びメンテナンス機能を実施するモジュールを指定する。所要時間算出部108は、入力部101により指定されたモジュールがメンテナンスに要する所要時間を算出する。表示部102には、所要時間算出部108により算出された所要時間を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動分析装置に係り、特に、自動分析装置のメンテナンスを行う際に好適な自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の自動分析装置は、ユーザがメンテナンス機能を個々に実施したり、あるいは、複数同時に実施するなどして、実施すべきメンテナンスを個々に選択するようにしている。近年では、人員削減、検体分析処理量の増加、また緊急を要する検体への即時対応など、ルーチン業務が過密になってきている。メンテナンススケジュールにおいて十分な空き時間にメンテナンスを実施できる余裕がある場合は良いが、過密になるルーチン業務スケジュールになればなるほど、空き時間に適切なメンテナンスを実施する必要がでてきている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
自動分析装置において、十分な空き時間に実施されるメンテナンスは勿論、特に分析スケジュールの合間などに行われるメンテナンスは、選択モジュール、実行回数などの実行条件によりメンテナンス所要時間が変化する。
【0004】
しかしながら、従来の自動分析装置では、メンテナンスに要する時間は、メンテナンスを実行しなければ、そのメンテナンスに要する時間が把握できなかった。そのため、その時点で実行すべきかどうかは、ユーザの経験、記憶に頼ることになっていたため、特に経験の浅いユーザには、あらかじめ予測することは困難であった。
【0005】
本発明の目的は、特に複数のモジュールに対し、複数のメンテナンス機能を同時に実施するときに、メンテナンスに要する時間を事前に確認できるようにして、ユーザの経験に頼らなくても作業スケジュールを予測しやすい自動分析装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)上記目的を達成するために、本発明は、メンテナンスを必要とするモジュールを備えた自動分析装置であって、ユーザが希望するメンテナンス機能及びメンテナンス機能を実施するモジュールを指定する入力手段と、該入力手段により指定されたモジュールがメンテナンスに要する所要時間を算出する所要時間算出手段と、該所要時間算出手段により算出された前記所要時間を表示する手段を備えるようにしたものである。
かかる構成により、メンテナンスに要する時間を事前に確認できるようにして、ユーザの経験に頼らなくても作業スケジュールを予測し得るものとなる。
【0007】
(2)上記(1)において、好ましくは、前記所要時間算出手段は、個々のメンテナンス機能の所要時間以外に、指定されたモジュールごとのメンテナンス所要時間、複数指定されたメンテナンス機能のトータル所要時間を算出するようにしたものである。
【0008】
(3)上記(1)において、好ましくは、前記入力手段により指定された実行パラメータによりメンテナンス機能を実施するメンテナンス実行部を備えるようにしたものである。
【0009】
(4)上記(1)において、好ましくは、前記入力手段により指定された実行パラメータを記憶する実行パラメータ記憶部を備えるようにしたものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、特に複数のモジュールに対し、複数のメンテナンス機能を同時に実施するときに、メンテナンスに要する時間を事前に確認できるようにして、ユーザの経験に頼らなくても作業スケジュールを予測しやすいものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図1〜図3を用いて、本発明の一実施形態による自動分析装置の構成及び動作について説明する。
最初に、図1を用いて、本実施形態による自動分析装置の構成について説明する。
図1は、本発明の一実施形態による自動分析装置の全体構成を示す概略図である。
【0012】
本実施形態の自動分析装置は、操作部1と、検体試料容器2が設置された搬送ラック3と、試薬容器8が設置された試薬ディスク7と、反応容器6が設置された反応ディスク5と、検体試料容器2の検体試料を反応容器6に分注する検体試料分注機構4と、試薬容器8の試薬を反応容器6に分注する試薬分注機構9と、反応容器6の検体試料などを攪拌する攪拌機構10と、反応容器6内の分析対象成分の吸光度を読み取る光度計11と、使用後の反応容器6などを洗浄する洗浄機構12を備えている。試薬ディスク7には、試薬分注機構9が試薬容器8内の試薬を吸引するための開口部(図示省略)が開いている。
【0013】
検体試料分注機構4、反応ディスク5、反応容器6、試薬ディスク7、試薬容器8、試薬分注機構9、攪拌機構10、光度計11、洗浄機構12はひとつのモジュール内に存在し、モジュールはユーザの好みにより、複数台構成になることもある。
【0014】
また、分析装置に用いるモジュールの構成は、図1に示したものと異なるものもある。例えば、図1に示したモジュールを第1モジュールと称すると、第2モジュールは、試薬に関する構成が異なる。すなわち、第1モジュールでは、試薬ディスク7に複数(例えば、40種類)の試薬が搭載可能であり、1個の試薬分注機構7により選択した試薬を分注することで、第1モジュールは40種類の分析項目の分析が可能な多機能なモジュールである。
【0015】
それに対して、第2モジュールは、試薬ディスク7は備えておらず、その代わりに、複数(例えば、4台)の試薬分注機構を備えており、1台の試薬分注機構でモジュールの上部に配置された複数(例えば、4種類)の試薬ボトルから試薬を選択して分注可能であり、第2モジュールは16種類の分析項目の分析が可能な多機能なモジュールである。試薬ボトルの容量は、試薬ディスク7に搭載された試薬容器の容量よりもかなり大きく、多数の検体への試薬供給が可能である。従って、第2モジュールは、分析項目数は限定されるが、一般的に実施される標準的な分析項目について多数の検体の分析が可能な標準的なモジュールである。
【0016】
その他に、電解質分析が可能な第3モジュールや、免疫分析が可能な第4モジュールがある。
【0017】
自動分析装置は、あらかじめ搭載可能なモジュール数が決まっている。例えば、4台のモジュールが搭載可能な場合には、第1の例として、2台の第1モジュールと、2台の第2モジュールを搭載したり、第2の例として、第1〜第4モジュールを各1台づつ搭載したりというように、自動分析装置を使用するユーザの要望に応じて、組み合わせるモジュールを変更することができる。
【0018】
このような構成を持つ自動分析装置においては、反応容器、分注機構の洗浄を行うなど、常に安定した分析結果が得られるように、定期的なメンテナンスを実施する必要がある。
【0019】
次に、図2を用いて、本実施形態による自動分析装置におけるメンテナンス機能を実行するための構成について説明する。
図2は、本発明の一実施形態による自動分析装置におけるメンテナンス機能を実行するための機能構成を示すブロック図である。
【0020】
本実施形態の自動分析装置は、メンテナンス実行のために、メンテナンス機能を指定する入力部101と、実行パラメータを読み込み、および書き込みを制御する実行パラメータアクセス部104と、実行パラメータを記憶する実行パラメータ記憶部105と、実行パラメータの内容を実行単位に解析する実行パラメータ解析部103と、実行パラメータ解析部103から受け渡された実行パラメータごとにメンテナンスの所要時間を算出する所要時間算出部108と、所要時間算出部108から受け渡された所要時間情報をトータル所要時間、モジュールごとの所要時間、メンテナンス機能ごとの所要時間に整理し、表示部に受け渡す所要時間報告部106と、所要時間報告部106から受け渡された各所要時間を表示する表示部102と、実行パラメータ解析部103から受け渡された実行パラメータに従いメンテナンスを実施するメンテナンス実行部107とを備えている。
【0021】
次に、動作を説明する。
【0022】
最初に、入力部101よりユーザが好みのメンテナンス機能を単数、あるいは複数指定する。入力部101より指定された実行パラメータは、実行パラメータ解析部103に受け渡される。
【0023】
実行パラメータ解析部103は、指定されたメンテナンス機能1つ1つに対して、指定されたモジュールを判断し、指定されたモジュールに対するメンテナンス機能、実行回数などの実行パラメータを所要時間算出部108へ順次受け渡す。
【0024】
所要時間算出部108は、指定されたメンテナンス機能の実行スケジュールに従い、メンテナンス固定動作時間、実行回数による可変動作時間を基に算出する。また、所要時間算出部108は、指定されたメンテナンスの所要時間、指定されたモジュールごとのメンテナンス所要時間を算出する。所要時間算出部108は、指定されたメンテナンスの所要時間、指定されたモジュールごとのメンテナンス所要時間が算出すると、各所要時間は所要時間報告部106へ受け渡される。
【0025】
所要時間報告部106は、ユーザが指定した全てのメンテナンス機能において、各メンテナンスの所要時間、指定されたモジュールごとのメンテナンス所要時間を受け渡された時点で、ユーザが指定したメンテナンス機能全てのトータルメンテナンス所要時間を算出する。トータルメンテナンス所要時間は、指定されたメンテナンス機能において、同じモジュールに対する各メンテナンス所要時間の総和を求め、その中で一番所要時間の長いモジュールのメンテナンス所要時間をトータルメンテナンス所要時間とする。所要時間報告部106は、指定されたメンテナンス機能の各メンテナンス所要時間、指定されたモジュールごとのメンテナンス所要時間、トータルメンテナンス所要時間を表示部102へ受け渡す。
【0026】
表示部102は、指定されたメンテナンス機能の各メンテナンス所要時間、指定されたモジュールごとのメンテナンス所要時間、トータルメンテナンス所要時間を表示する。
【0027】
入力部101は、ユーザが単数、または複数指定したメンテナンス機能の実行パラメータの保存を指示した場合には、入力部101は、保存要求と共に実行パラメータを実行パラメータアクセス部104へ受け渡す。
【0028】
実行パラメータアクセス部104は、実行パラメータの書き込みの指示を実行パラメータと共に実行パラメータ記憶部105へ受け渡す。
【0029】
実行パラメータ記憶部105は、ハードディスクなどに実行パラメータを記憶する。
【0030】
入力部101は、ユーザが単数、または複数指定したメンテナンス機能の実行パラメータの実行を指示した場合には、入力部101は、メンテナンス実行要求と共に実行パラメータを実行パラメータ解析部103へ受け渡す。
【0031】
実行パラメータ解析部103は、入力部101がメンテナンス実行要求を行った場合、メンテナンス実行部107に対してメンテナンス実行要求と共に、ステップ3にて行った実行パラメータ解析と同じように受け渡す。また、同時に実行パラメータアクセス部104に対して、実行パラメータの書き込みの指示を実行パラメータと共に実行パラメータ記憶部105へ受け渡す。
【0032】
実行パラメータ記憶部105は、ハードディスクなどに実行パラメータを記憶する。また、メンテナンス実行部107では、実行パラメータ、実行スケジュールに従いメンテナンスを実行する。
【0033】
表示部102は、初めて画面表示した場合などは、実行パラメータアクセス部104に全てのメンテナンス機能の実行パラメータ取得要求を指示する。
【0034】
実行パラメータアクセス部104は、全てのメンテナンス機能の実行パラメータ読み込み指示を実行パラメータ記憶部105へ受け渡す。
【0035】
実行パラメータ記憶部105は、ハードディスクなどから全てのメンテナンス機能の実行パラメータを読み込み実行パラメータアクセス部105へ受け渡す。
【0036】
実行パラメータアクセス部105は、全てのメンテナンス機能の実行パラメータを表示部102へ受け渡す。
【0037】
表示部102は、全てのメンテナンス機能の実行パラメータを表示する。
【0038】
次に、図3を用いて、本実施形態による自動分析装置におけるメンテナンス画面の構成について説明する。
図2は、本発明の一実施形態による自動分析装置におけるメンテナンス機能を実行するための機能構成を示すブロック図である。
【0039】
図1に示した操作部1は、図2に示したマウスやキーボートなどの入力部101と、モニターなどの表示部102から構成されるGUIである。図3に示すメンテナンス画面は、表示部102への表示例であり、この表示部102に対して、入力部101からメンテナンス項目を選択、指示することで、算出されたメンテナンス設定時の所要時間を表示できるものである。
【0040】
ここで、図3を用いて、メンテナンス所要時間を表示する際の画面操作について説明する。
【0041】
最初に、メンテナンス画面を開く。モジュールの構成は、自動分析装置の種類によって異なるため、表示されるモジュールの個数は変化する。
【0042】
例えば、図3のメンテナンス画面では、メンテナンスを要するモジュールが、モジュールA、モジュールB、モジュールC、モジュールDというように、4個のモジュールがある場合のレイアウト一例である。
【0043】
次に、用途リストボックス204からユーザが利用したい用途を指定する。用途ボックス204には、例えば、図示のように、「ユーザ用途1」,「ユーザ用途2」,「ユーザ用途3」のように、複数のユーザ用途が表示されている。この中で、ユーザが利用したい用途をマウス等を用いて指定することで、指定されたユーザ用途に含まれる複数のメンテナンス項目が用途リストボックス204の右側のメンテナンス項目リストボックス207に表示される。図示の例では、「ユーザ用途1」が指定され、その右側のメンテナンス項目リストボックス207に、「ユーザ用途1」に含まれるメンテナンス項目として、「メンテナンスA」,「メンテナンスB」,「メンテナンスC」等の複数のメンテナンス項目が表示された状態を図示している。
【0044】
さらに、メンテナンス項目リストボックス207からユーザが実施したいメンテナンス機能を指定する。単一のみではなく複数のメンテナンスを指定することが可能である。そのために、リストボックス207の項目ごとにチェックボックス206を設け、指定されていることが分かるような方法を取る。例えば、図3では、「メンテナンスA」,「メンテナンスB」が指定されている状態を示している。
【0045】
次に、実行パラメータ203を指定する。例えば、図3では、モジュールA、モジュールB、モジュールC、モジュールDが指定されている状態を示している。例えば、モジュールA、モジュールBを指定し、モジュールC、モジュールDを指定しないという指定の方法もとることができる。また、実行パラメータ203の下の方には、メンテナンスAを実行する実行回数が、「N1」回であることを示している。実行パラメータ203は、主にモジュール指定、実行回数入力を行うが、その他にメンテナンスに必要なパラメータが存在する場合には、このエリアに表示してもよいものである。
【0046】
以上の操作を実行すると、その時点の実行パラメータにより、トータル所要時間、モジュールごとの所要時間、メンテナンス機能ごとの所要時間を算出して表示する。表示場所については、ユーザに見やすい位置を考慮し配置する。例えば、図3では、トータル所要時間は、トータル所要時間202に表示し、モジュールごとの所要時間は、モジュールごとの所要時間201に表示し、メンテナンス機能ごとの所要時間は項目ごとの所要時間208に表示している。
【0047】
例えば、所要時間208に示すように、「ユーザ用途1」の「メンテナンスA」の所要時間はt1A分であり、「メンテナンスB」の所要時間はt1B分である。また、所要時間201に示すように、例えば、メンテナンスAを4個のモジュール全てについて行い、メンテナンスBを4個のモジュール全てについて行った場合、モジュールAにおけるメンテナンスの所要時間はTA分であり、モジュールBにおけるメンテナンスの所要時間はTB分であることが表示される。さらに、メンテナンスA,Bを全てのモジュールA,B,C,Dに対して行うと、各モジュール毎に所要時間TA分,TB分,TC分,TD分は同じとなるが、例えば、メンテナンスBは、モジュールA,Bのみで行ったり、モジュールA,Bの構成と,モジュールC,Dの構成が異なる場合には、各モジュール毎に所要時間TA分,TB分,TC分,TD分は異なる。そのような場合、トータル所要時間202は、各モジュール毎に所要時間TA分,TB分,TC分,TD分の最大値がTT分として表示される。
【0048】
なお、表示形態については、ユーザに効果的に知らせるようにするとよいものである。例えば、図3では、本発明で最も重要であるトータル所要時間202を他のメンテナンス画面内の文字よりも文字サイズを大きくし、かつ太字という表示形態で示している。
【0049】
次に、保存ボタン210により、以上の操作で決定された内容を装置の記憶部に保存できる。
【0050】
そして、実行ボタン211により、以上の操作で決定された内容にて装置メンテナンスを実施できる。また、以上の操作で決定された内容を同時に保存することもできる。
【0051】
なお、用途リストボックス204及びメンテナンス項目リストボックス207には、スクロールボタン205が設けられている。
【0052】
ここで、メンテナンスの設定の具体的な内容について説明する。前述したように、モジュールの種類としては、例えば、4種類あるが、ここでは、自動分析装置が4台のモジュールから構成可能であり、2台の第1モジュールと、2台の第2モジュールから構成されているものとする。図3に示したモジュールA,Bを第1モジュールとし、モジュールC,Dを第2モジュールとする。
【0053】
最初に、図3の用途リストボックス204には、「ユーザ用途1」,「ユーザ用途2」が図示されているが、これらについて具体的に説明する。
【0054】
自動分析装置におけるユーザ用途としては、例えば、「通常メンテナンス(電源立ち上げ時のメンテナンス)」,「プローブに関するトラブル発生時」,「機構系に関するトラブル発生時」,「試薬バーコードリーダに関するトラブル発生時」等がある。
【0055】
次に、「通常メンテナンス(電源立ち上げ時のメンテナンス)」に対する「メンテナンス項目」としては、種々の箇所を洗浄する「洗浄」,流路内に試薬や洗剤を充填する「プライム(流路内の充填)」,サンプル・試薬の流路の気泡を抜く「エアパージ(ピペッタの気泡抜き)」,反応槽の水を新しい水と交換する「反応槽水交換」,光度計の光量を確認する「光度計チェック」,反応容器の水ブランク吸光度を測定する「セルブランク測定」,試薬切れセンサをチェックする「試薬切れセンサチェック」等がある。
【0056】
ここで、前述の第1モジュールと第2モジュールとでは、各部の機構の構成が異なるため、メンテナンス項目によっては、それぞれメンテナンスに要する時間が異なる。また、第1モジュールでは必要だが、第2モジュールでは不要なものもある。例えば、「メンテナンス項目」が「洗浄」においては、セル洗浄,試薬ノズル洗浄,反応系洗浄,試薬分注流路洗浄等がある。ここで、試薬ノズル洗浄,試薬分注流路洗浄は、第1モジュールでは実施するが、第2モジュールでは不要なものである。また、セル洗浄は、第1モジュールでは14分掛かるが、第2モジュールでは24分掛かり、また、反応系洗浄は、第1モジュールでは38分掛かるが、第2モジュールでは25分掛かるというように、メンテナンスに要する時間が異なる。
【0057】
また、「メンテナンス項目」が「プライム(流路内の充填)」においては、「試薬プライム」,「セル洗浄プライム」等がある。ここで、流路内に試薬を充填する「試薬プライム」は、第1モジュールでは実施されるが、第2モジュールでは実施されず、また、流路内に洗剤を充填する「セル洗浄プライム」は、第2モジュールでは実施されるが、第1モジュールでは実施されないものである。
【0058】
実行パラメータ203の実行回数「N1」回は、1回で固定されているメンテナンス項目と、複数回で可変のメンテナンス項目がある。例えば、試薬流路を水で洗浄する「試薬ノズル洗浄」は、実行回数を可変設定できるものである。そして、「通常メンテナンス(電源立ち上げ時のメンテナンス)」は、毎日、自動分析装置の立ち上げ前に実行されるため、毎日1回は実行されるものであるので、「試薬ノズル洗浄」は、念のため「2」回に設定する。しかしながら、1週間に1度とか、1ヶ月に1度は、「試薬ノズル洗浄」の実行回数を「5」回として、念入りに洗浄するようにする。
【0059】
以上のように、メンテナンス項目に応じて、モジュール毎にメンテナンスの所要時間が異なったり、モジュールによっては実施・不実施のメンテナンス項目があったり、実行回数が異なったりする場合がある。そのため、従来は、図3に示すメンテナンスの画面で,メンテナンス項目を選択しただけでは、どの程度時間が掛かるか不明であった。それに対して、本実施形態では、図3に示したように、各モジュール毎の所要時間、また、全体としてのトータル所要時間を表示できるようにしている。このような構成の自動分析装置であれば、ユーザは、メンテナンス機能を指定する、算出されたメンテナンス所要時間表示を見るという単純な行為により、空き時間内にメンテナンス実施が可能か容易に判断できるようになる。すぐに判断できることにより、少しでもメンテナンスに要する時間を省くことも可能となる。また、毎朝、装置を立ち上げて行う分析準備のためのメンテナンスにおいては、本発明の機能により、事前にメンテナンス所要時間を把握できるため、装置立上げ時間帯も逆算でき、無駄に早めに装置立上げを行わなくて済み、節電の効果もある。メンテナンスの所要時間を提示することで、メンテナンス自体だけでなく、メンテナンス以外のスケジュールを組み立てる際に効果がある。
【0060】
以上、説明したように、本実施形態によれば、選択する、表示を見るという単純な行為により、メンテナンスの所要時間を認識でき、ユーザの検査スケジュールに合わせたメンテナンススケジュールを組むことができる。または、メンテナンススケジュールから次回検査スケジュールを組み立て可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の一実施形態による自動分析装置の全体構成を示す概略図である。
【図2】本発明の一実施形態による自動分析装置におけるメンテナンス機能を実行するための機能構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態による自動分析装置におけるメンテナンス機能を実行するための機能構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0062】
1…操作部
2…検体試料容器
3…搬送ラック
4…検体試料分注機構
5…反応ディスク
6…反応容器
7…試薬ディスク
8…試薬容器
9…試薬分注機構
10…攪拌機構
11…光度計
12…洗浄機構
101…入力部
102…表示部
103…実行パラメータ解析部
104…実行パラメータアクセス部
105…実行パラメータ記憶部
106…所要時間報告部
107…メンテナンス実行部
108…所要時間算出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メンテナンスを必要とするモジュールを備えた自動分析装置であって、
ユーザが希望するメンテナンス機能及びメンテナンス機能を実施するモジュールを指定する入力手段と、
該入力手段により指定されたモジュールがメンテナンスに要する所要時間を算出する所要時間算出手段と、
該所要時間算出手段により算出された前記所要時間を表示する表示手段を備えることを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
請求項1記載の自動分析装置において、
前記所要時間算出手段は、個々のメンテナンス機能の所要時間以外に、指定されたモジュールごとのメンテナンス所要時間、複数指定されたメンテナンス機能のトータル所要時間を算出することを特徴とする自動分析装置。
【請求項3】
請求項1記載の自動分析装置において、
前記入力手段により指定された実行パラメータによりメンテナンス機能を実施するメンテナンス実行部を備えることを特徴とする自動分析装置。
【請求項4】
請求項1記載の自動分析装置において、
前記入力手段により指定された実行パラメータを記憶する実行パラメータ記憶部を備えることを特徴とする自動分析装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2010−122123(P2010−122123A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−297378(P2008−297378)
【出願日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】