説明

自動分析装置

【課題】ラックの取り扱いが安全で検査を迅速に行うことができる自動分析装置を提供する。
【解決手段】試料を収容した試料容器17を保持するサンプルラック4と、サンプルラック4が配列載置されるトレイ51と、トレイ51上に載置されたサンプルラック4を引き出して、そのサンプルラック4に保持された試料容器17内の試料の吸引位置及び吸引が行われた後の退避位置へ移動する第1乃至第6の移動機構56乃至61と、トレイ51上から引き出されるサンプルラック4が通過する開口部541をサンプルラック4の配列方向に移動可能に設けた第1乃至第6の移動機構56乃至61を覆う遮蔽部54と、サンプルラック4が通過する開口部541を開閉する開閉機構55とを備え、開閉機構55は、サンプルラック4が通過するとき以外に開口部541を閉じている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体に含まれている成分を分析する自動分析装置に係り、特に、ヒトから採取した試料を収容する容器が収納されるサンプラを備えた自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動分析装置は生化学検査項目や免疫検査項目等を対象とし、被検体から採取された被検試料と各検査項目の試薬との混合液の反応によって生ずる色調や濁りの変化を、分光光度計や比濁計等の測光ユニットで光学的に測定することにより、被検試料中の様々な検査項目成分の濃度や酵素の活性等で表される分析データを生成する。また、生化学検査項目の内、ナトリウムイオン、カリウムイオン、塩素等の電解質を、この電解質に選択的に応答するイオンセンサと一定の電位を発生する参照電極間を電解質測定ユニットで測定することにより、分析データを生成する。
【0003】
この自動分析装置では、サンプル分注プローブで試料容器内の被検試料等の試料を吸引して反応容器内に吐出する。また、試薬分注プローブで試薬容器の試薬を吸引して反応容器に吐出する。そして、反応容器内に吐出された試料と試薬の混合液を測光ユニットや電解質測定ユニットで測定する。
【0004】
ところで、試料容器はサンプラに収納され、そのサンプラには血液や尿等の被検試料を収容した採血管やサンプルカップ等の試料容器を保持するラック、このラックが一列に載置される装置前列に配置されたトレイ、及びこのトレイ上に載置されたラックをこのラックに保持された試料容器内の試料を吸引する吸引位置まで移動する移動機構を備えたラックサンプラ方式の自動分析装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
そして、ラックサンプラ方式には、ラックをトレイ上の載置された位置から引き込み位置まで移動した後、トレイから分岐した吸引位置まで移動する方式がある。また、トレイ上に載置されたラックをトレイ奥側から移動したアームが取り出した後、そのアームを吸引位置まで移動する方式がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−108938号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、ラックサンプラ方式では、トレイ上に載置されたラック及び試料容器の視認性はよいものの、吸引位置におけるラックの被検試料の分注終了毎にトレイ上の全てのラックが一方向へ移動して全てのラックの位置が変動するため、必要とする被検試料の位置を把握することが困難となり、検査に時間が掛かる問題がある。
【0008】
また、アームを用いた方式では、ラックがトレイ上を移動することはないものの、アームがどの位置のラックを取り出そうとしているのか分かりづらい。このため、例えばトレイ上のラックを手で引き抜こうとしたとき、そのラックをアームが取り出そうとする事態が想定されるため、細心の注意が必要である。
【0009】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、ラックの取り扱いが安全で検査を迅速に行うことができる自動分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の自動分析装置は、試料及び試薬を反応容器に分注して、その混合液を測定する自動分析装置において、前記試料を収容する試料容器を保持したラックと、前記ラックが配列載置されるトレイと、前記トレイ上に載置された前記ラックを配列方向以外の方向へ引き出して、そのラックに保持された前記試料容器内の試料の吸引が可能な吸引位置へ移動する移動手段と、前記移動手段により前記トレイ上から引き出される前記ラックが通過する開口部を前記配列方向へ移動可能に設けた前記移動手段を覆う遮蔽手段と、前記ラックが通過するとき以外に閉じている前記開口部を開閉する開閉手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、試料を収容する試料容器を保持したラックが配列載置されるトレイから、そのラックを配列方向以外の方向へ引き出して吸引位置へ移動する移動機構を設けることにより、必要とする試料の位置の把握が容易になり、検査を迅速に行うことができる。
【0012】
また、前記移動機構に引き出されるラックが通過する開口部を移動可能に設けた前記移動機構を覆う遮蔽部と、ラックが通過するとき以外に閉じている前記開口部を開閉する開閉機構とを設けることにより、ラックを安全に取り扱うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施例に係る自動分析装置の構成を示すブロック図。
【図2】本発明の実施例に係る分析部の構成を示す斜視図。
【図3】本発明の実施例に係るサンプルラックの一例を示す外観図。
【図4】本発明の実施例に係るサンプラ部の構成の一例を示す平面図。
【図5】本発明の実施例に係る自動分析装置の動作を示すフローチャート。
【図6】本発明の実施例に係る自動分析装置の動作を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明による自動分析装置の実施例を、図1乃至図6を参照して説明する。
【実施例】
【0015】
図1は、本発明の実施例に係る自動分析装置の構成を示したブロック図である。この自動分析装置100は、各検査項目の標準試料、被検体から採取された被検試料、この被検試料などを管理するための管理試料等の各試料と各検査項目に該当する試薬の混合液を測定して標準データ、被検データ、管理データ等を生成する分析部25と、分析部25の測定に関る各分析ユニットの駆動及び制御を行う分析制御部26とを備えている。
【0016】
また、分析部25で生成された標準データ、被検データ、管理データ等を処理して検量データ、分析データ、管理分析データ等の生成を行うデータ処理部30と、データ処理部30で生成された検量データ、分析データ、管理分析データ等を印刷出力や表示出力する出力部40と、各種コマンド信号の入力等を行う操作部80と、分析制御部26、データ処理部30、及び出力部40を統括して制御するシステム制御部90とを備えている。
【0017】
図2は、分析部25の構成を示した斜視図である。この分析部25は、標準試料、被検試料、管理試料等の試料を収容し、その試料の識別情報であるサンプルIDを表す例えばバーコードラベルが貼付された試料容器17と、この試料容器17を保持するサンプルラック4と、このサンプルラック4を試料容器17内の試料の吸引が可能な吸引位置へ移動する移動機構を有するサンプラ部5と、各試料に含まれる検査項目の成分に反応する1試薬系及び2試薬系の第1試薬や、1試薬系の各試料を希釈するための第1試薬を収容する試薬容器6とを備えている。
【0018】
また、この試薬容器6を回動可能に保持する試薬ラック1aを有する試薬容器6を収納するための試薬庫1と、2試薬系の第1試薬と対をなす第2試薬を収容する試薬容器7と、この試薬容器7を回動可能に保持する試薬ラック2aを有する試薬容器7を収納するための試薬庫2と、円周上に配置された複数の反応容器3を回転可能に保持する反応ディスク45とを備えている。
【0019】
また、吸引位置のサンプルラック4に保持された試料容器17内の試料を吸引して反応容器3内へ吐出する分注を行うサンプル分注プローブ16と、サンプル分注プローブ16を回動及び上下移動可能に保持するサンプル分注アーム10と、試料の分注終了毎にサンプル分注プローブ16を洗浄する洗浄槽16aとを備えている。
【0020】
また、試薬庫1に収納された試薬容器6内の第1試薬を吸引して試料が分注された反応容器3内に吐出する分注を行う第1試薬分注プローブ14と、第1試薬分注プローブ14を回動及び上下移動可能に保持する第1試薬分注アーム8と、第1試薬の分注終了毎に第1試薬分注プローブ14を洗浄する洗浄槽14aとを備えている。
【0021】
また、反応容器3内に分注された試料と第1試薬の混合液を撹拌する第1撹拌子18と、第1撹拌子18を回動及び上下移動可能に保持する第1撹拌アーム20と、混合液の撹拌終了毎に第1撹拌子18を洗浄する洗浄槽18aとを備えている。
【0022】
また、試薬庫2に収納された試薬容器7内の第2試薬を吸引して試料及び第1試薬が分注された反応容器3内に吐出する分注を行う第2試薬分注プローブ15と、第2試薬分注プローブ15を回動及び上下移動可能に保持する第2試薬分注アーム9と、第2試薬の分注終了毎に第2試薬分注プローブ15を洗浄する洗浄槽15aとを備えている。
【0023】
また、反応容器3内の試料、第1試薬、及び第2試薬の混合液を撹拌する第2撹拌子19と、第2撹拌子19を回動及び上下移動可能に保持する第2撹拌アーム21と、混合液の撹拌終了毎に第2撹拌子19を洗浄する洗浄槽19aとを備えている。
【0024】
また、校正液を収容した校正液ポット22aと、反応容器3内の混合液及び校正液ポット22a内の校正液を吸引する吸引プローブ22と、吸引プローブ22により内部に吸引された混合液及び校正液に含まれる例えばナトリウムイオン、カリウムイオン、及び塩素イオンの各検査項目成分を測定する電解質測定ユニット23と、吸引プローブ22及び電解質測定ユニット23を回動及び上下移動可能に保持する吸引アーム24とを備えている。
【0025】
また、各反応容器3内の混合液を光学的に測定する測光ユニット13と、吸引プローブ22により吸引された後の反応容器3や測光ユニット13により測定された後の反応容器3内の洗浄及び乾燥を行う洗浄ユニット12とを備えている。
【0026】
そして、電解質測定ユニット23は、第1試薬により希釈された混合液と校正液の各検査項目成分に選択的に応答するイオンセンサと一定の電位を発生する参照電極間を測定することにより例えば起電力データで表される標準データ、被検データ、管理データ等の測定データを生成し、生成した測定データをデータ処理部30に出力する。
【0027】
また、測光ユニット13は、回転移動して測光ポイントを通過する反応容器3内の標準試料や被検試料を含む混合液に光を照射し、その混合液内を透過した各検査項目の波長光の検出信号に基づき例えば吸光度データで表される標準データ、被検データ、管理データ等の測定データを生成する。そして、反応容器3の測光ポイント通過毎に生成した測定データをデータ処理部30に出力する。
【0028】
分析制御部26は、分析部25の各分析ユニットを駆動する機構を有する機構部27と、この機構部27の各機構及び分析部25におけるサンプラ部5の移動機構等を制御する制御部28とを備えている。そして、機構部27は、試薬庫1の試薬ラック1a及び試薬庫2の試薬ラック2aを夫々回動する機構、並びに反応ディスク45を回転する機構を備えている。また、サンプル分注アーム10、第1試薬分注アーム8、第2試薬分注アーム9、第1撹拌アーム20、第2撹拌アーム21、及び吸引アーム24を夫々回動及び上下移動する機構等を備えている。
【0029】
図1に示したデータ処理部30は、分析部25の電解質測定ユニット23や測光ユニット13から出力された測定データである標準データ、被検データ、管理データを処理して各検査項目の検量データ、分析データ、管理分析データ等の生成を行う演算部31と、演算部31で生成された標準データ、分析データ、管理分析データ等を保存するデータ記憶部32とを備えている。
【0030】
演算部31は、電解質測定ユニット23や測光ユニット13から出力された標準データ及びこの標準データの標準試料に予め設定された標準値から、各検査項目成分の濃度や活性と標準データの関係を表す検量データを生成し、生成した検量データを出力部40に出力すると共にデータ記憶部32に保存する。
【0031】
また、電解質測定ユニット23や測光ユニット13から出力された被検データや管理データに対応する検査項目の検量データをデータ記憶部32から読み出す。そして、読み出した検量データを用いて電解質測定ユニット23や測光ユニット13から出力された被検データや管理データから濃度値や活性値として表される分析データや管理分析データを生成する。次いで、生成した分析データや管理分析データを出力部40に出力すると共にデータ記憶部32に保存する。
【0032】
データ記憶部32は、ハードディスク等のメモリデバイスを備え、演算部31から出力された検量データを検査項目毎に保存する。また、演算部31から出力された各検査項目の分析データを被検試料毎に保存する。更に、演算部31から出力された各検査項目の管理分析データを管理試料毎に保存する。
【0033】
出力部40は、データ処理部30の演算部31から出力された検量データ、分析データ、管理分析データ等を印刷出力する印刷部41及び表示出力する表示部42を備えている。そして、印刷部41は、プリンタなどを備え、演算部31から出力された検量データ、分析データ、管理分析データ等を予め設定されたフォーマットに従って、プリンタ用紙などに印刷する。
【0034】
表示部42は、CRTや液晶パネルなどのモニタを備え、演算部31から出力された検量データ、分析データ、管理分析データ等を表示する。また、自動分析装置100で検査可能な各検査項目の分析パラメータを設定するための分析パラメータ設定画面、各検査項目に該当する試薬の試薬情報を設定するための試薬情報設定画面、被検試料毎にこの被検試料を識別する氏名やID等の識別情報及び検査項目を設定するための被検試料情報設定画面、管理試料毎にこの管理試料を識別する識別情報及び検査項目を設定するための管理試料情報設定画面等を表示する。
【0035】
操作部80は、キーボード、マウス、ボタン、タッチキーパネルなどの入力デバイスを備え、検査項目毎の分析パラメータの設定、試薬情報の設定、被検試料や管理試料の識別情報及び検査項目の設定、被検試料や管理試料の測定開始等を行うための操作を行う。
【0036】
システム制御部90は、CPU及び記憶回路を備え、操作部80からの操作により入力されたコマンド信号、各検査項目の分析パラメータの情報、被検試料や管理試料毎に設定された検査項目の情報等の入力情報を記憶回路に記憶した後、これらの入力情報に基づいて、分析制御部26、データ処理部30、及び出力部40を統括してシステム全体を制御する。
【0037】
次に、図1乃至図4を参照して、分析部25におけるサンプルラック4及びサンプラ部5の構成の詳細を説明する。図3は、サンプルラック4の一例を示す外観図である。また、図4は、サンプラ部5の構成の一例を示す平面図である。
【0038】
図3において、サンプルラック4は、上面に形成された採血管やサンプルカップ等の試料容器17を1列に並べて保持可能な例えば5つの開口部4aと、サンプラ部5の内部に移動するための底面先端部近傍に形成された窪み4bと、この窪み4bの近傍に取り付けられ、そのサンプルラック4の識別情報である例えば試料の種別を表す緊急、精度管理、一般等のラックIDが書き換え可能に書き込まれたICチップ4cとを備えている。なお、ラックIDを記したバーコードラベルを底面の先端部近傍に貼付するように実施してもよい。
【0039】
そして、精度管理のラックIDが記憶されたICチップ4cを内蔵する精度管理用のサンプルラック4をサンプラ部5に載置することにより、予め設定された間隔でそのラックに保持された試料容器17内の管理試料の測定が行われる。
【0040】
また、一般のラックIDが記憶されたICチップ4cを内蔵する一般用のサンプルラック4をサンプラ部5に載置することにより、そのラックに保持された試料容器17内のルーチン検査の被検試料の測定が行われる。
【0041】
更に、緊急のラックIDが記憶されたICチップ4cを内蔵する緊急用のサンプルラック4をサンプラ部5に載置することにより、一般用のサンプルラック4よりも優先してそのラックに保持された試料容器17内の被検試料の測定が行われる。
【0042】
図4は、サンプラ部5の構成を示した平面図である。このサンプラ部5は、複数のサンプルラック4が配列載置可能なトレイ51と、トレイ51上に載置された各サンプルラック4を検出するラック検出器52と、トレイ51上に載置されたサンプルラック4のラックIDを非接触的に読み取るラックリーダ53と、サンプルラック4が通過する開口部541をサンプルラック4の配列方向に移動可能に設けたサンプル部5のトレイ51及びラック検出器52以外の部分を覆う遮蔽部54とを備えている。
【0043】
また、サンプルラック4が通過するとき以外に閉じている遮蔽部54の開口部541を開閉する開閉機構55と、サンプルラック4をトレイ51上から引き出して吸引位置へ移動する第1乃至第5の移動機構56乃至60と、吸引位置へ移動したサンプルラック4をトレイ51上の元の位置へ退避させるための第6の移動機構61と、サンプルラック4に保持された試料容器17を検出する容器検出器62と、試料容器17に貼付されたバーコードラベルからサンプルIDを読み取るサンプルリーダ63とを備えている。
【0044】
更に、ラックリーダ53、遮蔽部54の開口部541、開閉機構55、第2及び第3の移動機構57,58、容器検出器62、及びサンプルリーダ63を、第1の移動機構56の駆動によりサンプルラック4の配列方向へ移動可能に支持する支持体64とを備えている。
【0045】
そして、開閉機構55及び第1乃至第6の移動機構56乃至61の動作は、分析制御部26の制御部28により制御される。
【0046】
トレイ51は、操作者が自動分析装置100に対して作業を行う側である自動分析装置100の前側に配置され、上面が長方形を成している。そして、上面の長手方向に一列に配列載置されるサンプルラック4の配列方向への移動を不可能にして位置決めを行うための仕切り板51aと、隣り合う仕切り板51a間に載置されたサンプルラック4の窪み4bに係合する第2の移動機構57が移動可能なように設けられた切欠き51bを備えている。
【0047】
ここでは、サンプルラック4に保持された試料容器17の配列方向に対して、サンプルラック4の配列方向が例えば垂直になるようにサンプルラック4をトレイ51上に載置する。
【0048】
このように、サンプルラック4が配列載置されるトレイ51を自動分析装置100の前側に配置することにより、サンプルラック4の載置及び取り出しを行うときの取り扱いが容易になる。また、サンプルラック4及びこのサンプルラック4に保持された試料容器17の視認性をよくすることができる。
【0049】
また、配列方向への移動を不可能にしてサンプルラック4をトレイ51上に載置することにより、配列方向にサンプルラック4の移動が可能なようにトレイ51上に空きスペースを確保する必要がないため、トレイ51上に同時に多数のサンプルラック4を載置することができる。
【0050】
更に、配列方向への移動を不可能にしてサンプルラック4をトレイ51上に載置することにより、サンプルラック4やこのサンプルラック4に保持された試料容器17の位置を容易に把握することができるため、必要とする試料を迅速に見つけ出すことができる。
【0051】
ラック検出器52は、トレイ51上面の各隣り合う仕切り板51a間に配置され、トレイ51上に載置されたサンプルラック4の位置を検出する。そして、その検出したラック位置検出信号を分析制御部26の制御部28に出力する。
【0052】
ラックリーダ53は、サンプルラック4のICチップ4cに対して電波の送受信を行うリーダを有し、サンプルラック4の配列方向である矢印LR方向及びこの方向とは反対方向である矢印LL方向へ移動可能にトレイ51の下方に配置されている。そして、位置検出器52で検出されたサンプルラック4のラックIDを移動中又は停止したときに読み取り、その読み取ったラックIDの情報を制御部28に出力する。なお、サンプルラック4にバーコードラベルを貼付した場合には、バーコードリーダを用いるようにする。
【0053】
遮蔽部54は、サンプラ部5のトレイ51及びラック検出器52以外の前方を覆う2つの移動カバー542と、2つの移動カバー542を巻き取る2つの巻き取り機構543と、サンプラ部5のトレイ51及びラック検出器52以外の両側方を覆う2つの側方カバー544と、サンプラ部5のトレイ51及びラック検出器52以外の後方を覆う後方カバー545と、サンプラ部5のトレイ51及びラック検出器52以外の上方を覆う図中では切欠き図で示した上方カバー546とにより構成される。
【0054】
2つの移動カバー542は、例えば布等の柔軟で巻き取り可能な材質から成り、LR方向及びLL方向に移動可能にトレイ51の後方にトレイ51の長手方向に沿って配置される。また、夫々一端部が1個のサンプルラック4の進入が可能な距離離間して支持体64に支持され、各一端部及び支持体64の一部によりLR方向及LL方向へトレイ51の後方近傍を移動可能な開口部541が形成されている。そして、開口部541は、ラックリーダ53によりラックIDが読み取られたサンプルラック4が載置されたトレイ51の後方へ移動する。
【0055】
2つの巻き取り機構543は、トレイ51の長手方向における両端近傍の後方に配置され、各移動カバー542の他端部を一定の張力で巻取ることにより、開口部541がLR方向又はLL方向へ移動したときの2つの移動カバー542がほぼ平面に保たれる。
【0056】
上方カバー546には、試料の吸引が可能なように、サンプル分注プローブ16が上方から遮蔽部54内へ進入する吸引口546aが設けられている。
【0057】
開閉機構55は、遮蔽部54の開口部541を開閉するためのLR方向及びLL方向へ移動可能なドア55aを有し、自動分析装置100の待機中及び試料の測定中における支第1内至第6の移動機構56内至61の動作中などサンプルラック4が開口部541を通過するとき以外に、その開口部541を閉じている。
【0058】
このように、サンプラ部5の可動する全てのサンプラユニットを遮蔽部54及びドア55aで覆うことができる。
【0059】
また、試料の測定中において、ラックリーダ53によりラックIDが読み取られたサンプルラック4をトレイ51上から引き出して遮蔽部54内へ移動する場合、そのサンプルラック4の後方で停止した開口部541を開き、そのサンプルラック4がトレイ51上から後方に引き出されて開口部541を通過した後に閉じる。
【0060】
このように、サンプルラック4をトレイ51上から遮蔽部54内へ移動する場合、開口部541を開くことにより、サンプルラック4が移動するタイミングであることを自動分析装置100の操作者に知らせることができる。また、サンプルラック4の後方で開口部541を開くことにより、サンプルラック4が障害となって開口部541内へ手などを入れることを防ぐことができる。これにより、サンプラ部5の可動部に触れることなく、サンプルラック4を安全に取り扱うことができる。
【0061】
更に、遮蔽部54内のサンプルラック4をトレイ51上の元の位置へ移動する場合、その元の位置の後方で停止した後の遮蔽部54内のサンプルラック4が閉じているドア55aに近接したときに開き、そのサンプルラック4が開口部541を通過した後に閉じる。
【0062】
このように、サンプルラック4を遮蔽部54内からトレイ51上へ移動する場合、開口部541を開くことにより、サンプルラック4を移動するタイミングであることを操作者に知らせることができる。また、ドア55aに近接したときにドア55aを開くことにより、サンプルラック4が障害となって開口部541内へ手を入れることを防ぐことができる。これにより、サンプラ部5の可動部に触れることなく、サンプルラック4を安全に取り扱うことができる。
【0063】
第1の移動機構56は、トレイ51の長手方向に平行に配置された例えばねじ軸56aと、このねじ軸56aの回転によりLR方向及びLL方向に移動可能に係合する支持体64に固定されたナット56bと、ねじ軸56aを回転するモータ56cとにより構成される。そして、支持体64を移動させて、サンプルラック4、ラックリーダ53、開閉機構55、第2乃至第4の移動機構57乃至59、容器検出器62、サンプルリーダ63、及び遮蔽部54の開口部541の各サンプラユニットをLR方向及びLL方向へ移動する。
【0064】
なお、ラックリーダ53が第1の移動機構56から独立してトレイ51の下方をLR方向及びLL方向へ移動可能なように、第7の移動機構を設けるように実施してもよい。
【0065】
第2の移動機構57は、トレイ51上に載置されたサンプルラック4をこのラックに保持される試料容器17の配列方向に移動可能な移動アーム57aを備えている。ここでは、トレイ51上に載置されるサンプルラック4の配列方向に対してそのラックに保持される試料容器17の配列方向が垂直であるため、移動アーム57aはLR方向及びLL方向に対して垂直な方向である矢印LB方向及びこのLB方向とは反対方向である矢印LF方向に移動する。そして、開閉機構55により遮蔽部54の開口部541が開かれた後、移動アーム57aをLF方向に移動させて、移動アーム57aの先端がトレイ51の切欠き51bの下方に達した位置で停止する。次いで、移動アーム57aの先端部を下方から切欠き51bの上に載置されたサンプルラック4の窪み4bに係合させた後にLB方向に移動させて、そのサンプルラック4をトレイ51上から引き出して遮蔽部54内の第3及び第4の移動機構58,59上へ移動する。
【0066】
容器検出器62は、遮蔽部54内の開口部541の近傍に配置され、トレイ51から第3及び第4の移動機構58,59へ移動中のサンプルラック4の各開口部4aに保持された試料容器17を検出し、その検出した検出信号のタイミングに基づいてサンプルラック4の試料容器17の位置を含む容器位置検出信号を制御部28に出力する。
【0067】
なお、サンプルラック4が開口部541を通過しているとき以外に何らかの物体を検出した場合、その検出信号を制御部28に出力する。制御部28では、容器検出器62からの検出信号に基づいて、開口部541内への試料容器17以外の物体の進入エラーの情報をシステム制御部90に出力する。システム制御部90では、制御部28からの進入エラーの情報を表示部42に表示すると共に、サンプラ部5の動作を停止させる。
【0068】
サンプルリーダ63は、試料容器17に貼付されたバーコードラベルのサンプルIDを読み取るバーコードリーダを有している。そして、トレイ51から第3及び第4の移動機構58,59上へ移動中のサンプルラック4の各開口部4aに保持された試料容器17のサンプルIDを読み取り、その読み取ったサンプルIDの情報を制御部28に出力する。
【0069】
第3の移動機構58は、時計回り及び反時計回りに回転可能に第4の移動機構59を支持する回転テーブル58aを備えている。そして、第2の移動機構57により回転テーブル58a及び第4の移動機構59上に移動されたサンプルラック4を、第4の移動機構59と共に時計回りに90°回転する。
【0070】
第4の移動機構59は、例えばベルト59aを循環させるベルトコンベアである。そして、時計回りに回転された角度(ラック授受角度)において、サンプルラック4を第5の移動機構60上へ移動する。
【0071】
第5の移動機構60は、ベルト60aを循環させるベルトコンベアである。そして、第4の移動機構59により移動されたサンプルラック4をLR方向へ移動した後、サンプル分注プローブ16によりサンプルラック4に保持された試料容器17内の試料の吸引が可能な吸引位置で停止する。吸引位置で停止後、破線で示した円軌道を取るサンプル分注プローブ16により、サンプルリーダ63に読み取られたサンプルIDが測定対象の試料容器17内の試料が吸引され、反応容器3内に吐出する分注が行われる。測定対象の試料の分注後、サンプルラック4を更にLR方向へ移動した後に退避位置で停止する。
【0072】
第6の移動機構61は、退避位置で停止した第5の移動機構60上のサンプルラック4をLF方向へ押し出して、第1の移動機構56により退避位置の前方へ移動されるラック授受角度の第4の移動機構59上へ移動する。
【0073】
そして、第4の移動機構59は、第6の移動機構61により移動されたサンプルラック4を、第3及び第4の移動機構58,59上へ移動する。第1の移動機構56は、第3及び第4の移動機構58,59上へ移動されたサンプルラック4を、このラックが載置されたトレイ51の元の位置の後方へ移動する。第2の移動機構57は、トレイ51の元の位置の後方へ移動されたサンプルラック4を反時計回りに90°回転する。開閉機構55は、開口部541を開く。第2の移動機構57は、第3の移動機構58により回転されたサンプルラック4を、トレイ51上へ移動する。サンプルラック4が開口部541を通過した後、開閉機構55は、開口部541を閉じる。
【0074】
このように、遮蔽部54内へ移動したサンプルラック4をトレイ51の元に位置に戻すことにより、サンプルラック4やこのサンプルラック4に保持された試料容器17の位置を容易に把握することができるため、必要とする試料を迅速に見つけ出すことができる。
【0075】
また、サンプルラック4を遮蔽部54内外へ移動するためにサンプルラック4が通過するとき以外にその開口部541を閉じることにより、サンプラ部5の可動する全てのサンプラユニットを遮蔽部54及びドア55aで覆うことができる。これにより、サンプラ部5の可動部に触れることなく、サンプルラック4を安全に取り扱うことができる。
【0076】
なお、トレイ51上に載置するサンプルラック4の位置の設定が可能なラック位置設定画面を表示部42に表示させ、操作部80から設定入力したトレイ51の位置に第2の移動機構57を移動させて、その位置に載置されたサンプルラック4を遮蔽部54内へ引き込むように実施してもよい。
【0077】
以下、図1乃至図6を参照して、自動分析装置100の動作の一例を説明する。
図5及び図6は、自動分析装置100の動作を示すフローチャートである。図5は、分析部25におけるサンプラ部5のトレイ51上に載置されたサンプルラック4を吸引位置まで移動する動作を示している。また、図6は、サンプル分注プローブ16により試料が吸引された後、サンプルラック4をこのラックが載置されたトレイ51上の元の位置まで移動する動作を示している。
【0078】
図5において、表示部42の分析パラメータ設定画面で設定された各検査項目の分析パラメータ、試薬情報設定画面で設定された各検査項目の試薬情報、被検試料情報設定画面で設定された測定対象の被検試料のサンプルID及び検査項目の情報がシステム制御部90の記憶回路に保存されている。
【0079】
自動分析装置100の操作者が、測定対象の被検試料を収容した試料容器17を例えば1個載せたサンプルラック4を、トレイ51上に置いた後、操作部80から測定開始の操作を行うことにより、自動分析装置100は動作を開始する(ステップS1)。
【0080】
システム制御部90は、分析制御部26、データ処理部30、及び出力部40に測定を指示する。分析制御部26の制御部28は、システム制御部90の指示に基づいて機構部27及びサンプラ部5の制御を開始する。ラック検出器52は、トレイ51上に載置されたサンプルラック4の位置を検出し、その検出したラック位置検出信号を分析制御部26の制御部28に出力する(ステップS2)。
【0081】
第1の移動機構56は、ラック検出器52からの検出信号に応じた制御部28の制御により支持体64を移動させて、ラック検出器52により検出されたトレイ51の位置の後方へ、サンプルラック4、ラックリーダ53、開閉機構55、第2乃至第4の移動機構57乃至59、容器検出器62、サンプルリーダ63、及び遮蔽部54の開口部541の各サンプラユニットを移動する(ステップS3)。
【0082】
各サンプラユニットが移動された後、ラックリーダ53は、位置検出器52で検出された位置のサンプルラック4のラックIDを読み取り、その読み取ったラックIDの情報を制御部28に出力する(ステップS4)。
【0083】
なお、トレイ51上に複数のサンプルラック4が載置されている場合、ラックリーダ53は移動中に複数のサンプルラック4のラックIDを読み取る。そして、複数のサンプルラック4の中に緊急用のラックが含まれている場合、緊急用のラックの被検試料を優先させて測定するために、その緊急用のラックの位置の後方で各サンプラユニットを停止する。
【0084】
開閉機構55は、ドア55aをLR方向に移動して、閉じていた開口部541を開く(ステップS5)。
【0085】
開口部541が開かれた後、第2の移動機構57は、移動アーム57aを移動させて、トレイ51上のラックリーダ53に読み取られたサンプルラック4を第3及び第4の移動機構58,59上へ移動する(ステップS6)。
【0086】
サンプルラック4の第3及び第4の移動機構58,59上への移動中に、容器検出器62は、そのサンプルラック4に保持された試料容器17を検出し、その検出した容器位置検出信号を制御部28に出力する(ステップS7)。
【0087】
なお、サンプルラック4に試料容器17が保持されていない場合、その情報を表示部42に表示すると共に、そのサンプルラック4をトレイ51上の元の位置へ移動する。
【0088】
試料容器17が検出された後、サンプルリーダ63は、容器検出器62により検出された試料容器17に貼付されたバーコードラベルからサンプルIDを読み取り、その読み取ったサンプルIDの情報を制御部28に出力する(ステップS8)。
【0089】
なお、読み取られたサンプルIDが被検試料情報設定画面で設定された測定対象の被検試料のサンプルIDに一致しない場合、そのサンプルID不一致の情報を表示部42に表示すると共に、そのサンプルラック4をトレイ51上の元の位置へ移動する。
【0090】
サンプルラック4が第3及び第4の移動機構58,59上へ移動された後、開閉機構55は、ドア55aをLL方向へ移動して、開いていた開口部541を閉じる(ステップS9)。
【0091】
開口部541が閉じられた後、第3の移動機構58は、第2の移動機構57により回転テーブル58a及び第4の移動機構59上に移動されたサンプルラック4を、時計回りに90°回転する(ステップS10)。
【0092】
サンプルラック4が回転された後、第4の移動機構59は、第3の移動機構58により回転されたサンプルラック4を第5の移動機構60上へ移動する(ステップS11)。
【0093】
サンプルラック4が第5の移動機構60上へ移動された後、第5の移動機構60は、第4の移動機構59により移動されたサンプルラック4を吸引位置へ移動する(ステップS12)。
【0094】
サンプルラック4が吸引位置へ移動された後、サンプル分注プローブ16により、サンプルリーダ63に読み取られた測定対象の試料容器17内の試料が吸引され、反応容器3内に吐出する分注が行われる。
【0095】
図6において、測定対象の試料が分注された後、第5の移動機構60は、サンプルラック4を退避位置へ移動する(ステップS13)。
【0096】
サンプルラック4が退避位置へ移動された後、第1の移動機構56は、支持体64を移動させて、各サンプラユニットを退避位置の前方へ移動する(ステップS14)。
【0097】
各サンプラユニットが退避位置の前方へ移動された後、第6の移動機構61は、第5の移動機構60により退避位置へ移動されたサンプルラック4を第4の移動機構59上へ移動する(ステップS15)。
【0098】
サンプルラック4が第4の移動機構59上へ移動動された後、第4の移動機構59は、第6の移動機構61により移動されたサンプルラック4を、ベルト59a及び第3の移動機構58上へ移動する(ステップS16)。
【0099】
サンプルラック4が第3及び第4の移動機構58,59上に移動された後、第1の移動機構56は、第3及び第4の移動機構58,59上に移動されたサンプルラック4を、このラックが載置されたトレイ51の元の位置の後方へ移動する(ステップS17)。
【0100】
サンプルラック4がトレイ51の元の位置の後方へ移動された後、第3の移動機構58は、第4の移動機構59により移動されたサンプルラック4を反時計回りに90°回転する(ステップS18)。
【0101】
サンプルラック4が回転された後、第2の移動機構57は、第3の移動機構58により回転されたサンプルラック4を、開口部541が閉じられたドア55aに近接する位置まで移動する(ステップS19)。
【0102】
開閉機構55は、ドア55aをLR方向に移動して、閉じていた開口部541を開く(ステップS20)。
【0103】
開口部541が開かれた後、第2の移動機構57は、ドア55aに近接する位置まで移動したサンプルラック4を、このラックが載置されたトレイ51上の元の位置へ移動する(ステップS21)。
【0104】
サンプルラック4がトレイ51上の元の位置へ移動された後、開閉機構55は、ドア55aをLL方向に移動して、開いていた開口部541を閉じる(ステップS22)。
【0105】
なお、操作部80からサンプラ表示操作が行われると、システム制御部90は、ラック検出器52からのラック位置検出信号、ラックリーダ53からのラックIDの情報、容器検出器62からの容器位置検出信号、及びサンプルリーダ63からのサンプルIDの情報や、各第1乃至第6の移動機構56乃至61の動作の状況を制御部28から収集する。そして、収集した情報に基づいて、トレイ51上に載置されたサンプルラック4の位置及びこの位置のラックIDの情報、そのサンプルラック4に保持された試料容器17の位置及びこの位置のサンプルIDの情報、そのサンプルラック4の遮蔽部54内に置ける位置等を表示部42にリアルタイムに表示する。
【0106】
このように、サンプルラック4のラックIDや位置の情報、このサンプルラック4に保持された試料容器17のサンプルIDの情報等をリアルタイムに表示部42に表示することにより、遮蔽部54内のサンプルラック4及び試料容器17の状況を容易に把握することができる。
【0107】
その後、反応容器3に分注された被検試料が測定され、この測定により生成された分析データが出力部40に出力されたとき、システム制御部90が測定の停止を指示することにより、自動分析装置100は動作を終了する(ステップS23)。
【0108】
以上述べた本発明の実施例によれば、サンプルラック4が配列載置されるトレイ51を自動分析装置100の前側に配置することにより、サンプルラック4を容易に取り扱うことができる。また、サンプルラック4及びこのラックに保持された試料容器17の視認性をよくすることができる。
【0109】
また、配列方向への移動を不可能にしてサンプルラック4をトレイ51上に載置することにより、配列方向にサンプルラック4の移動が可能なようにトレイ51上に空きスペースを確保する必要がないため、トレイ51上に同時に多数のサンプルラック4を載置することができる。
【0110】
更に、配列方向への移動を不可能にしてサンプルラック4をトレイ51上に載置することにより、サンプルラック4やこのラックに保持された試料容器17の位置を容易に把握することができるため、必要とする試料を迅速に見つけ出すことが可能となり、検査を迅速に行うことができる。
【0111】
そして、サンプルラック4に保持された試料容器17内の試料の吸引を行うためにそのサンプルラック4を遮蔽部54内へ移動する場合、開口部541を開くことにより、サンプルラック4が移動するタイミングであることを操作者に知らせることができる。また、サンプルラック4の後方で開口部541を開くことにより、サンプルラック4が障害となって開口部541内へ手などを入れることを防ぐことができる。また、試料の吸引を終えた試料容器17を保持するサンプルラック4を遮蔽部54外へ移動する場合、開口部541を開くことにより、サンプルラック4を移動するタイミングであることを自動分析装置100の操作者に知らせることができる。また、ドア55aに近接したときにドア55aを開くことにより、サンプルラック4が障害となって開口部541内へ手を入れることを防ぐことができる。更に、サンプルラック4を遮蔽部54内外へ移動するためにサンプルラック4が通過するとき以外にその開口部541を閉じることにより、サンプラ部5の可動する全てのサンプラユニットを遮蔽部54及びドア55aで覆うことができる。以上により、サンプラ部5の可動部に触れることなく、サンプルラック4を安全に取り扱うことができる。
【符号の説明】
【0112】
4 サンプルラック
5 サンプラ部
17 試料容器
51 トレイ
51a 仕切り板
51b 切欠き
52 ラック検出器
53 ラックリーダ
54 遮蔽部
55 開閉機構
55a ドア
56 第1の移動機構
56a ねじ軸
56b ナット
56c モータ
57 第2の移動機構
57a 移動アーム
58 第3の移動機構
58a 回転テーブル
59 第4の移動機構
59a ベルト
60 第5の移動機構
60a ベルト
61 第6の移動機構
62 容器検出器
63 サンプルリーダ
64 支持体
541 開口部
542 移動カバー
543 巻き取り機構
544 側方カバー
545 後方カバー
546 上方カバー
546a 吸引口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料及び試薬を反応容器に分注して、その混合液を測定する自動分析装置において、
前記試料を収容する試料容器を保持したラックと、
前記ラックが配列載置されるトレイと、
前記トレイ上に載置された前記ラックをこのラックの配列方向以外の方向へ引き出して、前記試料容器内の試料の吸引が可能な吸引位置へ移動する移動手段と、
前記移動手段により前記トレイ上から引き出される前記ラックが通過する開口部を前記配列方向へ移動可能に設けた前記移動手段を覆う遮蔽手段と、
前記ラックが通過するとき以外に閉じている前記開口部を開閉する開閉手段とを
備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
前記ラックは、前記試料容器を1列に並べて保持可能な複数の開口部を有し、
前記移動手段は、前記トレイ上に載置された前記ラックをこのラックに保持される前記試料容器の配列方向へ引き出すようにしたことを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項3】
前記ラックは、前記配列方向への移動不可能に前記トレイ上に載置されることを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項4】
前記トレイは、前記自動分析装置の前側に配置され、
前記開口部は、前記トレイの後方の近傍に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項5】
前記ラックに取り付けられたそのラックの識別情報を読み取る読み取り手段を有し、
前記開閉手段は、前記読み取り手段により読み取られた前記ラックの後方に移動された前記開口部を開閉するようにしたことを特徴とする請求項4に記載の自動分析装置。
【請求項6】
前記読み取り手段は、前記トレイの下方を前記配列方向に移動可能に配置されていることを特徴とする請求項5に記載の自動分析装置。
【請求項7】
前記識別情報は、前記ラックに取り付けられたICチップに書き換え可能に書き込まれ、
前記読み取り手段は、前記ICチップに書き込まれた前記識別情報を非接触的に読み取るようにしたことを特徴とする請求項5に記載の自動分析装置。
【請求項8】
前記ラックが載置される前記トレイの位置を設定する位置設定手段を有し、
前記開閉手段は、前記位置設定手段により設定された前記トレイの位置へ移動された前記開口部を開閉するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate