説明

自動券売機

【課題】顧客に良質なサービスを提供すると共に、販売側のイメージを良くする効果を顧客に与えることができる自動券売機を提供する。
【解決手段】この自動券売機1は、顧客が選択した特定アイテムに係る券を発行する券印刷部(券発行手段)11と、発行した券に記録され、この券を特定する情報を読み取るための読取部(読取手段)3と、複数の券に夫々記録された情報を組み合わせたときに、セット割引の対象となるか否かを判定して制御する制御部(制御手段)13と、メニューを含む情報を表示する表示手段及び表示手段により表示された情報中から特定アイテムを選択する入力手段を有するタッチパネル2と、入力手段を操作することにより選択された特定アイテムの価格についての決済を行なう金銭処理部12と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動券売機に関し、さらに詳しくは、券に印刷された特定アイテムの情報を読み込んで、特定アイテムの組み合わせがセット割引に該当するか否かを判定する自動券売機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、役所、企業、電鉄の駅構内、アミューズメント施設等に設けられる食堂、レストラン等においては、人件費の抑制、発券の効率化等のために、入場者に対して予め自動券売機により発券を行なうシステムを採用することが多い。特に、食堂、レストラン等では、ボタンを押すごとに食券を発券するタイプの自動券売機が多く設置されている。また、調理の効率化と顧客へのサービスを目的に複数のアイテムを組み合わせて、単品で購入するよりも合計金額を安く設定したセット割引が設けられている場合もある。このとき、顧客はセット割引に気づかずに単品で複数のアイテムの食券を購入した後で、セット割引に気づいた場合、食券の買い直しができないため、あきらめるか、或いは従業員に申し出て精算してもらうといったことが必要であった。しかし、このようなことが繁忙時に発生すると従業員にとって手間が掛かるばかりでなく、他の顧客に対して迷惑をかけるといった問題がある。また、食事を終えた後にセット割引に気が付くといった場合もあった。
また、特許文献1には、単品メニューとセットメニューの注文を受けるためのPOSシステムについて開示されている。即ち、顧客の要望を聞いて単品メニューあるいは予め指定されたセットメニューを容易にPOS端末に入力することができる。もし、予め指定されたメニューの組み合わせでない場合は、エラーとなり単品扱いとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−132440公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示されている従来技術は、顧客がセットメニューとして注文しなければ単品として注文したことになってしまう。POS端末を操作する店員が気づく場合もあるが、確実性がないという問題がある。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、特定アイテム情報が記録された券を発券すると共に、該券に記録された特定アイテム情報を読み取る読取装置を備えた自動券売機であって、読取手段により読み込まれた特定アイテム情報の組み合わせが、セット割引可能であると判定されると、組み合わされた情報に係るアイテムの合計金額からセット割引の金額を減算した差額金額を返金することにより、顧客に良質なサービスを提供すると共に、販売側のイメージを良くする効果を顧客に与えることができる自動券売機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はかかる課題を解決するために、請求項1は、顧客により投入された金銭を受け入れる金銭受入れ部と、該顧客が購入を希望する特定アイテムを選択するアイテム選択手段と、金銭を前記金銭受入れ部に投入した顧客が前記アイテム選択手段を用いて選択した特定アイテムに係る券を発行する券発行手段と、発行した券に記録された該券を特定する情報を読み取るための読取手段と、顧客に金銭を返却する返却手段と、複数の券に夫々記録された前記情報を組み合わせたときに、セット割引の対象となるか否かを判定し且つ前記各手段を制御する制御手段と、を備えた自動券売機であって、前記制御手段は、前記読取手段により読み込まれた前記情報の組み合わせが、予め設定した前記セット割引に該当する組合せか否かを判定する判定部を備え、該判定部により前記情報の組み合わせが前記セット割引可能であると判定されると、前記組み合わされた各情報に係る各アイテムの合計金額から前記セット割引の金額を減算した差額金額を返金することを特徴とする。
例えば、食堂やレストラン等に設置されている自動券売機では、調理の効率化と顧客へのサービスを目的に複数のアイテムを組み合わせて、単品で購入するよりも合計金額を安く設定したセット割引が設けられている場合がある。しかし、セット割引が設定されているのを知らずに、単品で複数のアイテムを購入した後にそれに気づく場合がある。このような場合、従業員の手を煩わさずに顧客が自ら返金処理できれば、双方にとってメリットとなる。そこで本発明では、券に記録されている特定アイテムの情報を読み取る読取手段を自動券売機に備え、読取手段により読み込まれた情報の組み合わせが、予め設定したセット割引が可能であると判定されると、組み合わされた情報に係るアイテムの合計金額からセット割引の金額を減算した差額金額を返金する。これにより、顧客に良質なサービスを提供すると共に、販売側のイメージを良くする効果を顧客に与えることができる。
【0006】
請求項2は、前記券に記録されている情報は、前記特定アイテムに係る情報、該特定アイテムを発券した時刻、及び該特定アイテムを発券した順番を表すIDであることを特徴とする。
自動券売機は、顧客が購入した券が食券の場合、何のアイテムを、何時、何枚購入したかをデータとして蓄積して売上ログを作成し、販促データとして利用される場合が多い。そのためには、少なくとも特定アイテムに係る情報、特定アイテムを発券した時刻、及び特定アイテムを発券した順番を表すIDを券に記録しておく必要がある。これにより、売上ログ並びにセット割引であるか否かを判定するために必要十分な情報を提供することができる。
請求項3は、前記判定部は、前記IDの組み合わせが連番となる場合に、前記特定アイテムに係る情報の組み合わせが予め設定したセット割引に該当するか否かを判定することを特徴とする。
判定部は、まず読取手段から読み込まれた情報から、IDの組み合わせが連番であるか否かを判定する。これは、IDが連番でなければ同一の顧客が購入した可能性が低く、判定する意味のない無駄な判定処理を行わないためである。また、券に記録されている情報は必ずしもID順に読み込まれるとは限らないので、例えば、IDが「2、1、3」の順番に読み込まれた場合でも、この組み合わせは「1、2、3」の連番となり、同一の人が購入した可能性が強いと見做せる。これにより、無駄な判定処理を省略して処理速度を速めることができる。
【0007】
請求項4は、前記判定部は、前記特定アイテムを発券した時刻が所定の時間内である場合に、前記特定アイテムに係る情報の組み合わせが予め設定したセット割引に該当するか否かを判定することを特徴とする。
判定部は、まず読取手段から読み込まれた情報から、特定アイテムを発券した時刻が所定の時間内であるか否かを判定する。これは、IDが所定の時間内で処理されていなければ同一の顧客が購入した可能性が低く、判定する意味のない無駄な判定処理を行わないためである。これにより、無駄な判定処理を省略して処理速度を速めることができる。
請求項5は、前記制御手段は、前記判定部によりセット割引であると判定されたIDを再使用不可とするために、該IDを無効IDとして記憶することを特徴とする。
例えば、顧客が食券を購入した直後に、セット割引の対象であることに気が付いて情報を読み込ませて返金処理を完了し、その後、食事が終了した後に再び半券を読み込ませて返金処理を行おうとする不正が発生する可能性がある。本発明では、その不正を防止するために、判定部によりセット割引であると判定されたIDを無効IDとして記憶する。これにより、一度読み込まれて返金処理が完了した券を再使用することを防止して、不正を未然に防止することができる。
【0008】
請求項6は、前記制御手段は、前記判定部によりセット割引であると判定された場合、前記組み合わされた情報に係るアイテムの合計金額から前記セット割引の金額を減算した差額金額を売上ログから減算するように処理することを特徴とする。
売上ログは、一日の売上データを売上の順番(IDの順)に記録して集計したものである。従って、返金処理が発生した場合は、それに該当するIDのアイテムをセットアイテムに変更して且つ金額も減額する必要がある。これにより、返金処理が発生しても、売上ログの売上金との不一致を無くすことができる。
請求項7は、前記券に記録されている情報は、1次元バーコード、又は2次元コードであることを特徴とする。
特定アイテムが決定すると、券に特定アイテムに係る情報、特定アイテムを発券した時刻、及び特定アイテムを発券した順番を表すIDを記録する必要がある。記録は印刷による方法と磁気による方法等があるが、磁気による方法は装置が高価となるため、本発明では印刷による方法を採用する。そのとき、情報量に応じて1次元バーコード、又は2次元コードの何れかを選択する。これにより、装置を安価に且つ情報量に応じたコードを採用することができる。
【0009】
請求項8は、前記金銭受入れ部に代えて、電子マネーに対応する金銭的価値を受け入れる電子マネー受入れ部を備えたことを特徴とする。
券を購入するときに、現金が不足であったり、現金を持ち合わさない場合がある。そのようなとき、クレッジトカードのような電子マネーにより購入できると手間が省ける。これにより、現金と電子マネーとを有効に使い分けることができる。
請求項9は、前記返却手段に代えて、電子マネーに対応する金銭的価値を返却する電子マネー返却手段を備えたことを特徴とする。
券を購入するときに、現金が不足であったり、現金を持ち合わさない場合がある。そのようなとき、クレッジトカードのような電子マネーにより購入できると手間が省ける。また、セット割引による返金がある場合は、電子マネーで返金される。これにより、現金を持ち合わせない場合でも、自動券売機により所望の券を購入でき、且つ現金と同様に返金動作を行なうことができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、券に記録されている特定アイテムの情報を読み取る読取手段を自動券売機に備え、読取手段により読み込まれた情報の組み合わせが、予め設定したセット割引が可能であると判定されると、組み合わされた情報に係るアイテムの合計金額からセット割引の金額を減算した差額金額を返金するので、顧客に良質なサービスを提供すると共に、販売側のイメージを良くする効果を顧客に与えることができる。
また、自動券売機は、少なくとも特定アイテムに係る情報、特定アイテムを発券した時刻、及び特定アイテムを発券した順番を表すIDを券に記録しておくので、売上ログ、並びにセット割引であるか否かを判定するための必要十分な情報を提供することができる。
また、判定部は、まず読取手段から読み込まれた情報から、IDの組み合わせが連番であるか否かを判定するので、無駄な判定処理を省略して処理速度を速めることができる。
また、判定部は、まず読取手段から読み込まれた情報から、特定アイテムを発券した時刻が所定の時間内であるか否かを判定するので、無駄な判定処理を省略して処理速度を速めることができる。
【0011】
また、判定部によりセット割引であると判定されたIDを無効IDとして記憶するので、一度読み込まれて返金処理が完了した券を再使用することを防止して、不正を未然に防止することができる。
また、返金処理が発生した場合は、売上ログの中の該当するIDのアイテムをセットアイテムに変更して且つ金額も減額するので、返金処理が発生しても、売上ログの売上金との不一致を無くすことができる。
また、情報量に応じて1次元バーコード、又は2次元コードの何れかを選択するので、装置を安価に、且つ情報量に応じたコードを採用することができる。
また、電子マネーにより自動券売機を使用することができるので、現金と電子マネーとを有効に使い分けることができる。
また、電子マネーにより自動券売機を使用することができるので、現金を持ち合わせない場合でも、自動券売機により所望の券を購入でき、且つ現金と同様に返金動作を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る自動券売機の外観を示す図である。
【図2】本発明の自動券売機を備えた自動券売機の機能ブロック図である。
【図3】本発明の自動券売機から発行される食券の一例を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る自動券売機の動作を説明するフローチャートである。
【図5】本発明の実施例に係る利用者が購入した食券の内容を時系列に並べて表した図である。
【図6】本発明の実施例に係る売上ログを更新した一例を示す図であり、(a)は返金前の売上ログ、(b)は返金後に更新した後の売上ログである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
【0014】
図1は本発明の第1の実施形態に係る自動券売機の外観を示す図である。
この自動券売機1は、メニューを含む情報を表示する表示手段及び表示手段により表示された情報中から顧客が購入を希望する特定アイテム(料理、飲料等)を選択する入力手段を有する券売機タッチパネル(アイテム選択手段)2と、発行した券に記録された該券を特定する情報を読み取るための読取部(読取手段)3と、電子マネーに記録されている情報を読み取るリーダライタ30と、入力手段によって選択された特定アイテムの価格に相当する金銭を投入するコイン投入口8及び紙幣挿入口5と、コイン投入と紙幣の挿入を解除するリジェクトボタン4と、つり銭がある場合に押すつり銭ボタン6と、つり銭を払出すつり銭口7と、選択された特定のアイテムについての決済された情報(アイテム情報)を印刷した券を取り出す券取出口9と、制御ボードや電源装置等を収納する収納部10と、を備えて構成されている。尚、本実施形態では、読取部3として食券15に印刷された2次元コードを読取る2次元コードリーダを備えている場合について説明する。また、コイン投入口8、及び紙幣挿入口5を含めて金銭受入部12、リジェクトボタン4、つり銭ボタン6、及びつり銭口7を含めて金銭返却部16と呼ぶ。
【0015】
まず、本自動券売機1の概略的な動作について説明する。利用者がこの自動券売機1の前面側に立つと、利用者を検知したセンサが制御部13に検知情報を出力し、制御部13は券売機タッチパネル2にメニューを含む情報を表示させる。利用者は、券売機タッチパネル2に表示されたメニュー内容から、特定のアイテムに相当する料金をコイン投入口8及び紙幣挿入口5に投入する。そして、特定のアイテムのボタンをタッチすることにより、そのアイテム情報が印刷された食券が券取出口9から発行される。ここで、利用者が食券15を購入した後でアイテムの組み合わせがセット割引に該当することに気づいた場合、購入した食券15に印刷されている2次元コード19(図3参照)を読取部3にかざして2次元コード19を読取らせる。このとき、セット割引に該当するアイテムの食券全てを読み込ませる。制御部13はこの情報に基づいてセット割引であるか否かを判定部14で判定し、セット割引であると判定すると、単品アイテムの合計金額からセット割引金額を減算した差額をつり銭口7から返金する(詳細は後述する)。
【0016】
図2は本発明の実施形態に係る自動券売機の機能ブロック図である。同じ構成要素には図1と同じ参照番号を付して説明する。この自動券売機1は、顧客により投入された金銭を受け入れる金銭受入部12と、顧客が購入を希望する特定アイテムを選択するタッチパネル(アイテム選択手段)2と、金銭を金銭受入部12に投入した顧客がタッチパネル2を用いて選択した特定アイテムに係る券を発行する券印刷部(券発行手段)11と、顧客に金銭を返却する金銭返却部(返却手段)16と、発行した券に記録され、この券を特定する情報を読み取るための読取部(読取手段)3と、電子マネーに記録されている情報を読み取るリーダライタ(電子マネー受入れ部、電子マネー返却手段)30と、複数の券に夫々記録された情報を組み合わせたときに、セット割引の対象となるか否かを判定し且つ各部を制御する制御部(制御手段)13と、を備えた自動券売機1であって、制御部13は、読取部3により読み込まれた情報の組み合わせが、予め設定したセット割引に該当する組合せか否かを判定する判定部14を備え、判定部14により情報の組み合わせがセット割引可能であると判定されると、組み合わされた情報に係るアイテムの合計金額からセット割引の金額を減算した差額金額を金銭返却部16を介して返金する。
【0017】
例えば、食堂やレストラン等に設置されている自動券売機では、調理の効率化と顧客へのサービスを目的に複数のアイテムを組み合わせて、単品で購入するよりも合計金額を安く設定したセット割引が設けられている場合がある。しかし、セット割引が設定されているのを知らずに、単品で複数のアイテムを購入した後にそれに気づく場合がある。このような場合、従業員の手を煩わさずに利用者が自ら返金処理できれば、双方にとってメリットとなる。そこで本実施形態では、食券15に記録されている特定アイテムの情報(2次元コード)16を読み取る読取部3を自動券売機1に備え、読取部3により読み込まれた情報の組み合わせが、予め設定したセット割引が可能であると判定されると、組み合わされた情報に係るアイテムの合計金額からセット割引の金額を減算した差額金額を返金する。これにより、利用者に良質なサービスを提供すると共に、販売側のイメージを良くする効果を利用者に与えることができる。
【0018】
図3は本発明の自動券売機から発行される食券の一例を示す図である。この食券15は、2次元コード19とアイテム名と価格を印刷した領域と、切り取り線17を境にアイテム名「ラーメン」とその価格「600円」が印刷されている領域18がある。従って、2次元コード19には、アイテム情報、時間情報、及びIDが少なくとも記録されている。即ち、自動券売機1は、利用者が購入した券15が食券の場合、何のアイテムを、何時、何枚購入したかをデータとして蓄積して売上ログを作成し、販促データとして利用する場合が多い。そのためには、少なくとも特定アイテムに係る情報、特定アイテムを発券した時刻、及び特定アイテムを発券した順番を表すIDを券15に記録しておく必要がある。これにより、売上ログ並びにセット割引であるか否かを判定するために必要十分な情報を提供することができる。
また、特定アイテムが決定すると、券に特定アイテムに係る情報、特定アイテムを発券した時刻、及び特定アイテムを発券した順番を表すIDを記録する必要がある。記録は印刷による方法と磁気による方法等があるが、磁気による方法は装置が高価となるため、本実施形態では印刷による方法を採用する。そのとき、情報量に応じて1次元バーコード、又は2次元コードの何れかを選択する。これにより、装置を安価に且つ情報量に応じたコードを選択することができる。
【0019】
図4は本発明の実施形態に係る自動券売機の動作を説明するフローチャートである。自動券売機1は金銭が紙幣挿入口5又はコイン投入口8に投入されたかをチェックする(S1)。金銭が投入されない場合は(S1でN)、ステップS8に進んで2次元コード19が読取部3から読み込まれたかをチェックする(S8)。読み込まれなければ(S8でN)、ステップS1に戻って繰り返す。
【0020】
一方、ステップS1において金銭が投入されると(S1でY)、タッチパネル2に投入金額で購入可能なアイテムを表示する(S2)。次に、利用者がアイテムを選択すると(S3)、選択されたアイテムの2次元コード19を印刷した食券を券印刷部11から発行する(S4)。このとき、制御部13は残金があるか否かをチェックして(S5)、残金がなければ(S5でN)ステップS8に進むが、残金があれば(S5でY)つり銭ボタン6が押されたかをチェックして(S6)、押されなければ(S6でN)ステップS2に戻って残金で購入可能なアイテムを表示する。
ステップS6でつり銭ボタン6が押されると(S6でY)、つり銭をつり銭口7に払い出す(S7)。そのとき、利用者が食券15を購入した後でアイテムの組み合わせがセット割引に該当することに気づいた場合、購入した食券15に印刷されている2次元コード19を読取部3にかざして2次元コード19を読取らせる(S8でY)。このとき、セット割引に該当するアイテムの食券全てを読み込ませる。制御部13は、読み込まれた2次元コードのIDを解析して無効IDとして登録されているか否かをチェックする(S9)。無効IDとして登録されていた場合は(S9でY)、セット割引でない旨をタッチパネル2に表示して(S16)ステップS1に戻る。
【0021】
ステップS9で無効IDに登録されていない場合は(S9でN)、複数のIDの組み合わせが連続しているか否かをチェックする(S10)。連続していなければ(S10でN)、同一人が購入した食券でないと判断してセット割引でない旨をタッチパネル2に表示して(S16)ステップS1に戻る。ステップS10でIDの組み合わせが連続していると(S10でY)、複数のアイテムの組み合わせがセット割引に該当するか否かを判定部14で判定する(S11)。セット割引に該当しなければ(S11でN)セット割引でない旨をタッチパネル2に表示して(S16)ステップS1に戻る。ステップS11でセット割引に該当する場合は(S11でY)、そのIDを無効IDとして登録する(S12)。そして、払戻金を計算して(S13)、売上ログから払戻金を減額するように更新して(S14)、払戻金をつり銭口7から返金する(S15)。
ステップS12で一度読み込まれたIDを無効IDにする理由は、例えば、利用者が食券を購入した直後に、セット割引の対象であることに気が付いて情報を読み込ませて返金処理を完了し、その後、食事が終了した後に再び半券を読み込ませて返金処理を行おうとする不正が発生する可能性がある。本実施形態では、その不正を防止するために、判定部14によりセット割引であると判定されたIDを無効IDとして記憶する。これにより、一度読み込まれて返金処理が完了した券を再使用することを防止して、不正を未然に防止することができる。
【0022】
図5は本発明の実施例に係る利用者が購入した食券の内容を時系列に並べて表した図である。この図では、「アイテム情報」21、「時間情報」22、「ID」23の項目を表示している。ここで、IDは食券が購入された順番に連続番号として登録される。例えば、一番先頭には「アイテム情報」21が「ラーメン」、「時間情報」22が「12:10」、「ID」23が「1」、次に「アイテム情報」21が「チャーハン」、「時間情報」22が「12:15」、「ID」23が「2」というように進み、「アイテム情報」21が「ラーメン」、「時間情報」22が「12:20」、「ID」23が「4」、「アイテム情報」21が「ギョーザ」、「時間情報」22が「12:21」、「ID」23が「5」、「アイテム情報」21が「ごはん」、「時間情報」22が「12:21」、「ID」23が「6」の組み合わせが「Aセット」に該当する場合について考える。一例として、単品で購入する場合の金額が、「ラーメン」が600円、「ギョーザ」が250円、「ごはん」が150円で合計1000円のとき、このアイテムの組み合わせのセット割引の金額が800円とする。
【0023】
利用者が食券を購入した後に、このアイテムの組み合わせが「Aセット」に該当すると気づいたとすると、利用者は食券を読取部3にかざして2次元コードを読み込ませる。この場合は、「ラーメン」、「ギョーザ」、「ごはん」の3枚を読み込ませる。読み込ませる順番は順不動でも構わない。制御部13は読み込んだ2次元コードからIDを解析して、IDの組み合わせが連続しているか否かをチェックする。例えば読み込んだIDの順番が「5、4、6」であった場合でも、組み合わせが「4、5、6」と連続するため、同一の利用者が購入した食券であると判定する。尚、読み込んだIDの順番が「1、4、6」であった場合は、アイテムは同一であってもIDの組み合わせが「1、4、6」と連続しないため、同一の利用者が購入した食券でないと判定する。また、同一の利用者を判定する他の方法として、時間情報が所定の時間内であるか否かで判定する方法もある。即ち、上記の例の場合では、「ラーメン」が「12:20」、「ギョーザ」が「12:21」、「ごはん」が「12:21」と購入時間が1〜2分以内に終了しているため同一の利用者として見做すことができる。しかし、同じアイテムでもIDの順番が「1、4、6」であった場合は、時間が「12:10」、「12:21」、「12:21」となり、両者に10分以上の開きがあるため、アイテムが同じでも同一利用者による購入と見做せない。このように、IDが連続した場合は同一利用者と見做せるので、制御部13はそのIDのアイテム情報から「ラーメン」、「ギョーザ」、「ごはん」がセット割引にあるか否かを判定部14で判定して、この組み合わせが「Aセット」に該当すると判定する。その結果、単品の合計金額「1000円」から「Aセット」の金額「800円」を減算して、差額「200円」をつり銭口7から返金する。
【0024】
判定部14は、まず読取部3から読み込まれた情報から、IDの組み合わせが連番であるか否かを判定する。これは、IDが連番でなければ同一の顧客が購入した可能性が低く、判定する意味のない無駄な判定処理を行わないためである。これにより、無駄な判定処理を省略して処理速度を速めることができる。
また、判定部14は、まず読取部3から読み込まれた情報から、特定アイテムを発券した時刻が所定の時間内であるか否かを判定する。これは、IDが所定の時間内で処理されていなければ同一の顧客が購入した可能性が低く、判定する意味のない無駄な判定処理を行わないためである。これにより、無駄な判定処理を省略して処理速度を速めることができる。
【0025】
図6は本発明の実施例に係る売上ログを更新した一例を示す図である。図6(a)は返金前の売上ログ、図6(b)は返金後に更新した後の売上ログである。図6(a)の売上ログ24には、ID23、単価25、累計26、時間22がIDごとに配列されて記録されている。尚、各IDに対応するアイテム情報21を記録するようにしてもよい。例えば図のように、先頭から「ID」1は「単価」600円、「累計」600円、「時間」12:10と記録される。同様に、「ID」2は「単価」700円、「累計」1300円、「時間」12:15と記録される。このようにIDの順番に各項目が記録される。ここで「ID」4、5、6の行27がセット割引として返金された場合について説明する。行27の単品での合計金額は1000円であるので、「累計」は「ID」6の時点で2550円である。しかし、返金が発生したと仮定すると、返金額が200であるので、図6(b)のように「ID」4(行28)にセット割引の単価800と変更になり、それに伴って「累計」も2550円から2350円に減額される。そして全体の行が上にスクロールされる。このときID5、6を欠番にしても良いし、IDを変更しても構わない。
即ち、売上ログ24は、一日の売上データを売上の順番(IDの順)に記録して集計したものである。従って、返金処理が発生した場合は、それに該当するIDのアイテムをセットアイテムに変更して且つ金額も減額する必要がある。これにより、返金処理が発生しても、売上ログの売上金との不一致を無くすことができる。
【0026】
以上の通り、本実施形態では食券の自動券売機について説明したが、乗車券或いは入場券の自動券売機に本発明を適応することもできる。また、本実施形態では、金銭受入部12により現金を受け入れて差額の計算を行い、現金を金銭返却部16から返金する例について説明したが、金銭受入部12及び金銭返却部16の代わりに、リーダライタ30により電子マネー(ICカード)に記録されている情報を読み取って、電子マネーによって決済するようにしても構わない。
【符号の説明】
【0027】
1 自動券売機、2 タッチパネル、3 読取部、4 リジェクトボタン、5 紙幣挿入口、6 つり銭ボタン、7 つり銭口、8 コイン投入口、9 券取出口、10 収納部、11 券印刷部、12 金銭受入部、13 制御部、14 判定部、15 食券、16 金銭返却部、17 切り取り線、18 領域、19 2次元コード、21 アイテム情報、22 時間情報、23 ID、24 売上ログ、25 単価、26 累計、30 リーダライタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客により投入された金銭を受け入れる金銭受入れ部と、該顧客が購入を希望する特定アイテムを選択するアイテム選択手段と、金銭を前記金銭受入れ部に投入した顧客が前記アイテム選択手段を用いて選択した特定アイテムに係る券を発行する券発行手段と、発行した券に記録された該券を特定する情報を読み取るための読取手段と、顧客に金銭を返却する返却手段と、複数の券に夫々記録された前記情報を組み合わせたときに、セット割引の対象となるか否かを判定し且つ前記各手段を制御する制御手段と、を備えた自動券売機であって、
前記制御手段は、前記読取手段により読み込まれた前記情報の組み合わせが、予め設定した前記セット割引に該当する組合せか否かを判定する判定部を備え、該判定部により前記情報の組み合わせが前記セット割引可能であると判定されると、前記組み合わされた各情報に係る各アイテムの合計金額から前記セット割引の金額を減算した差額金額を返金することを特徴とする自動券売機。
【請求項2】
前記券に記録されている情報は、前記特定アイテムに係る情報、該特定アイテムを発券した時刻、及び該特定アイテムを発券した順番を表すIDであることを特徴とする請求項1に記載の自動券売機。
【請求項3】
前記判定部は、前記IDの組み合わせが連番となる場合に、前記特定アイテムに係る情報の組み合わせが予め設定したセット割引に該当するか否かを判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の自動券売機。
【請求項4】
前記判定部は、前記複数の特定アイテムを発券した時刻が所定の時間内である場合に、前記特定アイテムに係る情報の組み合わせが予め設定したセット割引に該当するか否かを判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の自動券売機。
【請求項5】
前記制御手段は、前記判定部によりセット割引であると判定されたIDを再使用不可とするために、該IDを無効IDとして記憶することを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の自動券売機。
【請求項6】
前記制御手段は、前記判定部によりセット割引であると判定された場合、前記組み合わされた情報に係るアイテムの合計金額から前記セット割引の金額を減算した差額金額を売上ログから減算するように処理することを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の自動券売機。
【請求項7】
前記券に記録されている情報は、1次元バーコード、又は2次元コードであることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の自動券売機。
【請求項8】
前記金銭受入れ部に代えて、電子マネーに対応する金銭的価値を受け入れる電子マネー受入れ部を備えたことを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載の自動券売機。
【請求項9】
前記返却手段に代えて、電子マネーに対応する金銭的価値を返却する電子マネー返却手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至8の何れか一項に記載の自動券売機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−39962(P2011−39962A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−189027(P2009−189027)
【出願日】平成21年8月18日(2009.8.18)
【出願人】(305027456)ネッツエスアイ東洋株式会社 (200)