説明

自動化機器

【課題】開閉可能な操作パネル2を備えた自動化機器1において、高精度な構造や調整を要することなく、操作パネル2を確実にロックできるようにし、或いはさらにロックされない状態では確実に自動化機器1が稼動しないようにする。
【解決手段】
操作パネル2の内側に、ナット15を備えたロックフレーム2fを複数設け、装置本体側に、操作パネル2を閉じたときにロックフレーム2fに対向するそれぞれの位置にナット15と連結可能なネジ棒16を回転自在に支持して設け、装置背面側より操作パネル2をロックできるようにした。或いはさらに、それぞれのロックフレーム2fに、操作パネル2をロックしたときのネジ棒16の先端の移動により操作パネル2のロックを検出するマイクロスイッチ12を設け、すべてのマイクロスイッチ12がロックを検出したときに自動化機器1を稼動できるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現金自動預払機や現金処理装置などの自動化機器の扉のロック機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、現金自動預払機や現金処理装置などの自動化機器においては、紙幣等の現金を取扱うために十分な防盗性を有することが必要であり、一方、防盗性を確保するために装置コストが高くならないことも必要とされている。
【0003】
このような自動化機器の一つである従来の紙幣収納装置では、爪部による切り欠き部への引っ掛けにより扉をロックし、キーの操作によりロックを解除するロック機構において扉が開かれたことを検出する複数の開閉検出センサを扉に備え、扉がロック状態の時にいずれかの開閉検出センサが、扉が開いた状態を検出したときは紙幣収納装置の扉が不正に開かれたとして警報等を出力するようにした技術はあった(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−67518号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の自動化機器では、扉の変形や誤操作により扉が完全に閉められない場合やハーフロックの状態が発生した場合でも開閉検出センサにより扉が閉じられたとして検出される場合があり、ロック機構によりロックされない状態で自動化機器が稼動してしまうおそれがあった。
【0006】
一方、上記不具合を解消するために、扉や装置本体の形状を高精度にしてロックを確実にしたり、開閉検出センサの取り付けを高精度にして検出ミスをなくすようにすると、部品コストが高くなったり、長時間の調整作業が必要となり、装置コストが高くなってしまうといった問題が発生する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前述の課題を解決するため次の構成を採用する。すなわち、開閉可能な扉を備えた自動化機器において、前記扉の内側に、ネジ穴を備えたロックフレームを複数設け、装置本体側に、前記扉を閉じたときに前記ロックフレームに対向するそれぞれの位置に前記ネジ穴と連結可能な連結手段を回転自在に支持して設け、装置背面側より前記扉をロックできるようにし、或いはさらに前記それぞれのロックフレームに、前記扉をロックしたときの前記連結手段の先端位置により前記扉のロックを検出するロック検出手段を設け、前記すべてのロック検出手段がロックを検出したときに自動化機器を稼動できるようにした。
【発明の効果】
【0008】
本発明の自動化機器によれば、以上のように構成したので、高精度な構造や調整を要することなく、操作パネルを確実にロックできるようにし、或いはさらにロックされない状態では確実に自動化機器が稼動しないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例1の自動化機器の構成図である。
【図2】実施例1の自動化機器の操作パネルの構成図である。
【図3】実施例1の自動化機器の要部構成図である。
【図4】実施例1の自動化機器のロック機構の構成を示す側面図である。
【図5】実施例2の自動化機器のロック機構の構成を示す側面図である。
【図6】実施例3の自動化機器のロック機構の構成図である。
【図7】実施例3の自動化機器のロック機構の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係わる実施の形態例を、図面を用いて説明する。図面に共通する要素には同一の符号を付す。
【実施例1】
【0011】
(構成)
図1は、実施例1の自動化機器1の外観構成図である。同図に示したように、実施例1の自動化機器1は、装置前面側に、開閉可能な扉としての操作パネル2がヒンジ等からなる回動支点1xにて矢印A、矢印Dのように回動可能に取り付けられており、この操作パネル2に、操作ガイダンス等を表示する表示部3、操作者を識別するIDカード等を挿入するカード挿入口4、取引結果等を印字して取引明細として排出するレシート排出口5、入金する紙幣の投入口および紙幣を出金する出金口となる紙幣挿入排出口6、パスワードや金額等を入力するためのキー入力装置7が取り付けられている。
【0012】
図2は、操作パネル2の内側の外観構成図であり、図3は自動化機器1の要部を示した内部構成図であり、図4は図3のa部拡大図(側面図)である。
【0013】
まず、図2に示したように、操作パネル2側の内側には、ロックフレーム2fがA部、B部、すなわち装置前面側から見て左右の側端に設けられ、ロックフレーム2fには後述するネジ穴を有するナット15がカシメや溶接などにより固着されている。なお、同図に示したように、左右のロックフレーム2fを梁(はり)部により連結した構成ではなく、梁(はり)部を設けることなく左右のロックフレーム2fのみ設けるようにしてもよい。
【0014】
そして、装置本体側には、図3および図4のように、操作パネル2を閉じたときにロックフレーム2fに対向する位置、すなわち装置本体の両側のサイドフレーム内側に本体側固定金具1aおよび1bがそれぞれ取り付けられ、この本体側固定金具1aおよび1bにより先端にネジ部16aが設けられた連結手段としてのネジ棒16が回転自在にそれぞれ支持されて取付けられている。
【0015】
なお、実施例1の自動化機器1では、開閉検出センサは、図示していないが、従来技術と同様、操作パネル2を閉じたときに装置本体と当接する端部に数箇所設けるようにすればよい。
【0016】
(動作)
以上の構成により実施例1の自動化機器1は、以下のように動作する。すなわち、操作パネル2に取り付けられた各ユニットや装置本体の保守を行うときは、まず、背面扉20を開錠して開き、背面側よりそれぞれのネジ棒16を矢印C方向とは逆方向に回転してナット15から外して、操作パネル2を自動化機器1の回動支点1xを支点として跳ね上げて、保守を行う。
【0017】
そして、保守が終了すると、操作パネル2を矢印D方向に降ろし、図3、図4の状態とし、背面側よりネジ棒16の先端ネジ部16aを矢印Bのようにナット15に押し付けて嵌合させ、矢印Cのように回転してロックする。この動作を図2に示したA部、B部について同様に行い、操作パネル2をロックした後、背面扉20を閉めて施錠する。
【0018】
このとき、操作パネル2を閉じたときに装置本体と当接し、開閉検出センサが押され、スイッチオンの状態となる。このスイッチオンの状態を図示しない制御部にて検知していずれかの開閉検出センサがオンの状態でないときはロックされていないと判定して、ロックの確認が必要である旨のメッセージ等を表示或いは音声出力して、自動化機器1を稼動しないようにする。
【0019】
(実施例1の効果)
以上のように、実施例1の自動化機器によれば、開閉可能な操作パネルを備えた自動化機器において、前記操作パネルの内側の装置前面側から見て両側面に、ナットを固着したロックフレームを備え、前記操作パネルを閉じたときに前記両ロックフレームに対向する位置に本体側固定金具を設け、当該本体側固定金具に回転自在に支持されたネジ棒を設け、装置背面側から前記ネジ棒の先端ネジ部を前記ナットに嵌合させて回転しロックするようにしたので、高精度な構造を要することなく、操作パネルが完全に閉められない状態をなくし、操作パネルを確実にロックすることができる。
【実施例2】
【0020】
(構成)
図5は、実施例2の自動化機器1のロック機構の構成図である。同図に示したように、実施例2の自動化機器1では、操作パネル2の内側の装置前面側から見て左右の側端に設けられたロックフレーム2fにネジ13にて固定されるロック検出手段としてのマイクロスイッチ12がそれぞれ設けられた構成となっている。
【0021】
なお、マイクロスイッチ12には操作パネル2をネジ棒16により装置本体にロックしたときに先端ネジ部16aにて押されスイッチオンの状態となるスイッチレバー12aが備えられている。その他の構成は実施例1の自動化機器と同様であるので、簡略化のためにその詳細な説明は省略する。
【0022】
(動作)
以上の構成により、実施例2の自動化機器1は、以下のように動作する。この動作を前出図5を用いて以下詳細に説明する。なお、保守を行うときの動作は実施例1と同様であるので簡略化のためにその詳細な説明は省略する。
【0023】
保守が終了すると、操作パネル2を矢印D方向に降ろし、図5の状態とし、背面側よりネジ棒16の先端ネジ部16aを矢印Bのようにナット15に押し付けて嵌合させ、矢印Cのように回転してロックする。この動作を左右両側面のネジ棒16について同様に行い、操作パネル2をロックした後、背面扉20を閉めて施錠する。
【0024】
このとき、先端ネジ部16aによりスイッチレバー12aが押され、スイッチオンの状態となる。このスイッチオンの状態を装置前面側から見て左右の側端に設けられたそれぞれのマイクロスイッチ12について図示しない制御部にて検知していずれかのマイクロスイッチ12がオンの状態でないときはロックされていないと判定して、ロックの確認が必要である旨のメッセージ等を表示或いは音声出力して、自動化機器1を稼動しないようにする。
【0025】
(実施例2の効果)
以上のように実施例2の自動化機器によれば、開閉可能な操作パネルを備えた自動化機器において、前記操作パネルの内側の装置前面側から見て両側面に設けられたロックフレームにマイクロスイッチをそれぞれ設け、当該マイクロスイッチに、ロックしたときに本体側固定金具に回転自在に支持されたネジ棒の先端ネジ部にて押されスイッチオンの状態となるようなスイッチレバーを備え、前記操作パネルを閉じたときに前記両ロックフレームに対向する位置に本体側固定金具を設け、当該本体側固定金具に回転自在に支持されたネジ棒を設け、装置背面側から前記ネジ棒の先端ネジ部を前記ナットに押し付けて嵌合させてロックすることができるようにしたので、高精度な構造や調整を要することなく、実施例1の効果に加え、ロックされない状態では確実に自動化機器を稼動しないようにすることができる。
【実施例3】
【0026】
(構成)
図6および図7は、実施例3の自動化機器1のロック機構の要部構成を示す斜視図および側面図である。同図に示したように、実施例3の自動化機器1では、一方端部(下側)寄りに備えた回動支点9cにより大きく回動可能なアーム手段としての板バネ9を設け、ロックフレーム2fに固定されたスタッド11に前記回動支点9cをEリング10により固定した構成となっている。なお、前記アーム手段は、弾性のある板バネ9に替えて、弾性がないモールド等で成型したアームバーにて構成するようにしてもよい。
【0027】
また、板バネ9は、操作パネル2のロックを解除し矢印Aのように開いたときにロック検出手段としてのマイクロスイッチ12がスイッチオンの状態のままとならないように、付勢手段としてのトーションバネ14により矢印F方向とは逆方向に付勢されるようになっている。なお、マイクロスイッチ12のスイッチレバー12aの戻り力を強くすれば、付勢手段としてのトーションバネ14を設けなくてもよい。その他の構成は実施例1の自動化機器と同様であるので、簡略化のためにその詳細な説明は省略する。
【0028】
(動作)
以上の構成により、実施例3の自動化機器1は、以下のように動作する。この動作を前出図6および図7を用いて以下詳細に説明する。なお、保守を行うときの動作は実施例1と同様であるので簡略化のためにその詳細な説明は省略する。
【0029】
保守が終了すると、操作パネル2を矢印D方向に降ろし、図6、図7の状態とし、背面側よりネジ棒16の先端ネジ部16aを矢印Bのようにナット15に押し付けて嵌合させ、矢印Cのように回転してロックする。この動作を左右両側面のネジ棒16ついて同様に行い、操作パネル2をロックした後、背面扉20を閉めて施錠する。
【0030】
このとき、先端ネジ部16aにより板バネ9の下側の一方端部が矢印Eのように押されると、回動支点9cを支点として板バネ9の上側の他方端部が矢印Fのように大きく回動し、スイッチレバー12aを押し、マイクロスイッチ12がスイッチオンの状態となる。
【0031】
このスイッチオンの状態を装置両側面のスイッチについて図示しない制御部にて検知していずれかのスイッチがオンの状態でないときはロックされていない状態であると判定して、ロックの確認が必要である旨のメッセージを表示或いは音声出力し、自動化機器1が稼動しないようにする。
【0032】
以上のように、一方端部寄りに回動支点9cを有する板バネ9を備え、先端ネジ部16aによる板バネ9の一方端部の移動量を、弾性をもって増幅させて他方端部を大きく回動するようにしたので、ネジ棒16の締め込み具合やマイクロスイッチ12の取付精度にばらつきがあっても、マイクロスイッチ12は確実にオンオフする。
【0033】
(実施例3の効果)
以上のように実施例3の自動化機器によれば、開閉可能な操作パネルを備えた自動化機器において、前記操作パネルの内側の装置前面側から見て両側面に設けられたロックフレームに、一方端部寄りに設けた回動支点を支点として回動可能な板バネと、前記操作パネルをロックしたときに前記ネジ棒の先端ネジ部により前記板バネの一方端部を押して他方端部を回動し当該回動によりロック状態を検出するマイクロスイッチを備え、前記すべてのマイクロスイッチがロック状態を検出したときに自動化機器を稼動できるようにしたので、実施例2の効果に加え、ネジ棒の締め込み具合やマイクロスイッチの取付精度にばらつきがあっても、ロックされない状態を確実に検出することができ、ロックされない状態では確実に自動化機器を稼動しないようにすることができる。
【0034】
《その他の変形例》
以上の実施例の説明では、装置前面に備え垂直方向に回動して開閉する操作パネル2のロック機構として説明したが、背面の扉であってもよいし、水平方向に回動させて開閉する扉であってもよい。そして、水平方向に開閉する扉の場合は、扉の内側の上下方向の端部に本発明のロック手段を設けるようにすればよい。
【0035】
また、以上の実施例の説明では、背面扉20を備えた例を示したが、背面扉20を備えることなく背面側を壁等に押し付けて設置する装置であっても、本発明を適用することができる。
【0036】
また、実施例2および実施例3の説明では、ロック状態を検出するロック検出手段としてマイクロスイッチにより検出する例を説明したが、先端ネジ部16aの位置や板バネ9の回動をフォトセンサ等により検出するようにしてもよい。
【0037】
また、以上の実施例の説明では、ロックフレーム2fを装置前面側から見て左右の側端に設けるように説明したが、中央にも設けるようにしてもよいし、さらに多く設けるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、防盗性を要し扉のロックが必要な現金自動預払機や現金処理装置などの自動化機器に広く用いることができる。
【符号の説明】
【0039】
1 自動化機器
1a、1b 本体側固定金具
1x 回動支点
2 操作パネル
2f ロックフレーム
9 板バネ
9c 回動支点
10 Eリング
11 スタッド
12 マイクロスイッチ
12a スイッチレバー
13 ネジ
14 トーションバネ
15 ナット
16 ネジ棒
16a 先端ネジ部
20 背面扉

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉可能な扉を備えた自動化機器において、
前記扉の内側に、ネジ穴を備えたロックフレームを複数設け、
装置本体側に、前記扉を閉じたときに前記ロックフレームに対向するそれぞれの位置に前記ネジ穴と連結可能な連結手段を回転自在に支持して設け、
装置背面側より前記扉をロックできるようにしたことを特徴とする自動化機器。
【請求項2】
前記それぞれのロックフレームに、前記扉をロックしたときの前記連結手段の先端位置により前記扉のロックを検出するロック検出手段を設け、
前記すべてのロック検出手段がロックを検出したときに稼動できるようにしたことを特徴とする請求項1記載の自動化機器。
【請求項3】
前記それぞれのロックフレームは、一方端部寄りに設けた回動支点を支点として回動可能なアーム手段と、前記扉をロックしたときに前記連結手段により前記アーム手段の一方端部を押して他方端部を回動し当該回動によりロック状態を検出するロック検出手段を備え、
前記すべてのロック検出手段がロック状態を検出したときに稼動できるようにしたことを特徴とする請求項1記載の自動化機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−234501(P2012−234501A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−104630(P2011−104630)
【出願日】平成23年5月9日(2011.5.9)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】