説明

自動取引装置の底部基台

【課題】構成が簡単で、簡単に作成でき、低コストで強度を高めることができる自動取引装置の底板基台を提供する。
【解決手段】底板基台を、底板ケース1と、平板を断面コの字状の凹凸形状を繰り返すよう折り曲げて複数の上面凸部6を形成した底板部材2と、底板部材2の上面凸部6が嵌り込む下面凹部9を設けた側縁支持部材3とで構成する。そして、底板ケース1の内側に側縁支持部材3を配置して底板ケース1と側縁支持部材3とを溶接接合し、その後、側縁支持部材3の下面凹部9に底板部材2の上面凸部6が嵌り込むようにして底板ケース1に底板部材2を嵌め込んで位置決めし、底板ケース1と底板部材2を溶接接合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、箱形の本体ケースを有する自動取引装置の本体ケースの底部の結合される底板基台に関する。
【背景技術】
【0002】
箱形の本体ケースを有する自動取引装置の本体ケースの底部に結合される底板基台として、箱状の底板ケースの下面に補強板をかぶせて溶接接合等で固定するものが従来から知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2004−21805号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の自動取引装置の底板基台は、底板基台の強度、特に補強板の強度が十分でなくて、自動取引装置本体の重量等で変形してしまうことがあった。そして、従来の技術では、低コストで補強板の強度を高めることができなかった。
【0004】
本発明は、構成が簡単で、簡単に作成でき、低コストで強度を高めることができる自動取引装置の底板基台を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の自動取引装置の底板基台は、箱形の本体ケースを有する自動取引装置の本体ケースの底部に結合される自動取引装置の底板基台であって、平板を四方に枠部を形成するよう折り曲げて下面が開放された箱形に形成された底板ケースと、板状で、少なくとも2つの側縁部断面が例えば折り曲げ加工により形成された凹凸形状を繰り返し、凹凸形状が前記2つの側縁部間略全域に渡って延びるように形成され、底板ケースの開放された下面を覆うように配置される底板部材と、底板部材の凹凸形状の少なくとも両端縁部の凹部又は凸部が嵌り込む複数の凹凸支持部を有し、底板ケースの内側の少なくとも左右の側縁部の前後方向略全域または前後の側縁部の左右方向略全域に渡るように配置される側縁支持部材とで構成されている。そして、底板ケースと底板部材と側縁支持部材とが組み立てられ、接合により固定されている。
【0006】
自動取引装置の底板基台はこのような底板ケースと底板部材と側縁支持部材とで構成し、組み立てて接合により相互に固定することで、構成が簡単で、簡単に作成でき、低コストで強度を高めることができるものとなる。
【0007】
また、この自動取引装置の底板基台は、上記構成に加えて、さらに、底板部材の凹凸形状の中央部の凹部又は凸部が嵌り込む複数の凹凸支持部を有し、底板ケースの内側の左右の側縁部に配置される左右の側縁支持部材の間となる略中央部に前後方向略全域に渡るように配置され、あるいは前後の側縁部に配置される前後の側縁支持部材の間となる略中央部に左右方向略全域に渡るように配置される中央支持部材が設けられ、該中央支持部材が、底板ケースと底板部材と側縁支持部材とともに組み立てられ、接合により固定されているものとすることができる。
【0008】
このような中央支持部材を備えた構成とすることで、構成が簡単で、簡単に作成でき、低コストであることを維持しつつ、自動取引装置の底板基台の強度を一層高めることができる。
【0009】
底板ケースと底板部材と側縁支持部材とを相互に固定するための接合、あるいは底板ケースと底板部材と側縁支持部材と中央支持部材を固定するための接合は、溶接接合であってよい。
【0010】
このように溶接接合によって部材同士を固定することで、構成が簡単で、簡単に作成でき、低コストであることを維持しつつ、自動取引装置の底板基台の強度を高めることができ、ビス等で固定する場合に比べて部品点数も削減できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、自動取引装置の底板基台を、構成が簡単で、簡単に作成でき、低コストで強度の高いものとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図3は、本発明の実施形態における底板基台の一例を示している。図1は底板基台を斜め下方から視た分解斜視図、図2は底板基台の底板部材の構成を示す正面図(a)および底面図(b)、図3は底板部材の前後方向の縦断面図である。
【0013】
図1に示す底板基台は、自動販売機等の箱形の本体ケースを有する自動取引装置の本体ケースの底部に溶接によって結合される底板基台である。
【0014】
この底板基台は、箱形の底板ケース1と、底板ケース1の開放された下面を覆うように配置される底板部材2と、底板ケース1の内側に配置されて底板部材2を支持する左右の側縁支持部材3とで構成し、それらを組み立て、溶接接合により固定する方法で作成するものである。
【0015】
底板ケース1は、矩形一枚板の平板を四方に枠部5を形成するよう断面U字状に折り曲げて下面が開放された箱形に形成されている。
【0016】
底板部材2は、矩形一枚板の平板を一方向である組付時の前後方向(以下、単に、「前後方向」という。)に間隔を置いて断面コの字状の凹凸形状を繰り返し、上面側に突出して直線状に略平行に延びる複数(図示の例では3本であるが、これに限らない。)の上面凸部6が、凹凸形状を繰り返す方向に直交する方向である、底板ケース1に組み付けた時の左右方向(以下、単に「左右方向という。」)の両端を含む略全域に渡って略平行に延びるよう折り曲げて形成されている。
【0017】
また、左右の側縁支持部材3は、底板ケース1の内側の左右の側縁部の前後方向略全域に渡るように配置されるもので、それぞれが細長い矩形で一枚板の平板を断面L字状に折り曲げて形成され、断面L字の1辺が底板ケース1の枠部5の内側の高さよりも底板部材2の板材自身の厚みだけ小さい寸法幅で略垂直に立ち上がり、他の1辺が略水平となるよう底板ケースに組み付けられる。そして、その組み付け時に略水平となる部分の下面には、組み付け時に底板部材2の各上面凸部6の両端縁部が嵌り込むよう、その下面幅方向(組み付け時の左右方向)の略中央から略垂直に立ち上がる部分の外面(底板ケース1の中央側に面する面)まで達する下面凹部9が、前後方向に間隔を置いて複数形成されている。
【0018】
側縁支持部材3に形成された下面凹部9は、底板部材2に形成された上面凸部6よりわずかに幅が広くて、且つ僅かに高さが高く、また、底板部材2の上面凸部6の間隔と同じ間隔で設けられたもので、底板部材2が底板ケース1に取り付けられるときに、底板部材2の上面凸部6が側縁支持部材3の下面凹部9に嵌まり込んで係止され、底板部材2の上面凸部6が係止部として機能し、側縁支持部材3,3の下面凹部9が被係止部として機能して、底板部材2が位置決めされる。
【0019】
側縁支持部材3の前後方向の両端付近には、自動取引装置の本体ケースに脚部となるボルトを取り付けるための脚部取付穴4が設けられている。また、底板ケース1の四隅には、側縁支持部材3,3の脚部取付穴4に重なる位置に脚部取付穴(図示されていない)が設けられている。
【0020】
また、底板部材2は、凹凸形状を繰り返す方向である前後方向の両端に、底板ケース1の枠部5の内側の高さとほぼ同じ高さとなるように上方向にL字状に折り曲げて形成された高さ規制部7が設けられ、底板ケース1の下面に底板部材2を被せて取り付けた時に、高さ規制部7の上縁が底板ケース1の内側上面に当接し、底板ケース1の枠部5の下面と底板部材2の凹凸形状部の最下面が面一の高さとなるよう構成されている。
【0021】
また、底板部材2の四隅には、側縁支持部材3の脚部取付穴4が隠れないように切り欠かれた逃げ部8が設けられている。
【0022】
そして、底板部材2は、前後方向の長さが、底板ケース1の前後の枠部5の間にぴったりとはまり込む長さであり、左右方向の長さが、底板ケース1の枠部5の内側の左右の側縁支持部材3に設けられた下面凹部9に上面凹部6の端部が収まる長さであって、底板ケース1の下面に底板部材2を被せて取り付けるときに、前後が底板ケース1の枠部5の間にすっぽりと収まり、左右が上面凹部6の端部にて側縁支持部材3,3の下面凹部9に嵌まり込んで位置決めされる。
【0023】
なお、側縁支持部材3の下面凹部9は、機械で打ち抜いた穴であってもよい。
【0024】
図4は、本発明の実施形態における底板基台の底板ケースの他の例の斜め下方から視た斜視図である。先の図1〜図3の例では、側縁支持部材3は底板ケース1の内側の左右の側縁部にのみ設けているが、図4に示す例では、それら左右の側縁部に配置される左右の側縁支持部材3に加えて、それら左右の側縁支持部材3の間となる略中央部に前後方向略全域に渡るように側縁支持部材3と平行に中央支持部材10を設け、左右の側縁部に加えて中央部でも底板部材2を支持するようにしている。
【0025】
中央支持部材10は、細長い矩形で一枚板の平板を断面コの字状に折り曲げて形成され、断面コの字の平行な2辺が底板ケース1の枠部5の内側の高さよりも底板部材2の板材自身の厚みだけ小さい寸法幅で略垂直に立ち上がり、他の1辺が略水平となるよう底板ケースに組み付けられる。そして、その組み付け時に略水平となる部分の下面には、組み付け時に底板部材2の各上面凸部6の中央部が嵌り込むよう、その下面幅方向の全域に、略垂直に立ち上がる2辺の外面まで達する下面凹部11が、前後方向に側縁支持部材3の下面凹部9と同間隔で同数形成されている。このような中央支持部材10を設けることで、底板基台は中央付近の強度が一層高まる。この中央支持部材10の下面凹部11もまた、機械で打ち抜いた穴であってもよい。
【0026】
図5は本発明の実施形態の他の例における底板基台の底板部材の凹凸形状の第1の変形例を示す縦断面図(a)および第2の変形例を示す縦断面図(b)である。図1〜図3および図4に示す例では、底板部材2の凹凸形状は、断面コの字状の凹凸形状を繰り返す形状であるが、それ以外に、図5の(a)に示すように、底板部材2の上面凸部6が断面半円形となるようにしてもよく、また、図5の(b)に示すように、底板部材2の上面凸部6が断面三角形の突起状となるようにしてもよい。
【0027】
また、底板部材2の上面凸部6は、側縁支持部材3の下面凹部9に嵌まり込んで係止され、また、図4に示す例では側縁支持部材3の下面凹部9および中央支持部材10の下面凹部11に嵌り込んで係止されるもので、底板部材2の上面凸部6および中央支持部材10の下面凹部11が係止部として機能し、側縁支持部材3,3の下面凹部9が被係止部として機能するが、その他、変形例として、縁支持部材3(および中央支持部材10)側に係止部となる凸部(下面凸部)を設け、底板部材2側に被係止部となる凹部(上面凹部)を設けるようにしてもよい。
【0028】
図6は本発明の実施形態の他の例における底板基台の底板部材の凹凸パターンの第1の変形例を示す縦断面図(a)および第2の変形例を示す縦断面図(b)である。図1〜図3、図4等に示す例では、底板部材2は、平板を組付時の前後方向に凹凸形状を繰り返し、上面凸部6が左右方向に延びるよう折り曲げて形成されているが、底板部材2の凹凸パターンは、図6の(a)に示すように前後方向あるいは左右方向に対し傾斜した斜め方向に凹凸形状を繰り返すよう折り曲げ形成するものであってもよく、また、図6の(b)に示すように左右方向に凹凸形状を繰り返し、上面凸部6が前後方向に延びるよう折り曲げ形成するものであってもよい。底板部材2の凹凸パターンが図6の(a)に示すように斜め方向に凹凸形状を繰り返すものである場合、底板ケース1の内側の四方の側縁部に側縁支持部材3を設けるようにすればよく、また、底板部材2の凹凸パターンが図6の(b)に示すように左右方向に凹凸形状を繰り返すものである場合、底板ケース1の内側の前後の側縁部に側縁支持部材3を設けるようにすればよい。
【0029】
これら実施形態の底板基台の作成にあたっては、まず、底板ケース1の内側に側縁支持部材3(および中央支持部材10)を配置して底板ケース1と側縁支持部材3(および中央支持部材10)とを溶接接合する。そして、その後、側縁支持部材3の下面凹部9(および中央支持部材10の下面凹部11)に底板部材2の上面凸部6が嵌り込むようにして底板ケース1に底板部材2を嵌め込んで位置決めし、底板ケース1と底板部材2を溶接接合する。こうして底板基台が完成する。完成した底板基台は、自動取引装置の本体ケースの底部に溶接固定される。
【0030】
底板部材の凹凸形状は、上記実施形態のように折り曲げ加工で形成する以外に、絞り加工で形成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施形態における底板基台の一例の斜め下方から視た分解斜視図である。
【図2】図1の底板基台の底板部材の構成を示す図で、(a)は正面図、(b)は底面図である。
【図3】図1の底板基台の底板部材の前後方向の縦断面図である。
【図4】本発明の実施形態における底板基台の底板ケースの他の例の斜め下方から視た斜視図である。
【図5】本発明の実施形態の他の例における底板基台の底板部材の凹凸形状の第1の変形例を示す縦断面図(a)および第2の変形例を示す縦断面図(b)である。
【図6】本発明の実施形態の他の例における底板基台の底板部材の凹凸パターンの第1の変形例を示す縦断面図(a)および第2の変形例を示す縦断面図(b)である。
【符号の説明】
【0032】
1 底板ケース
2 底板部材
3 側縁支持部材
4 脚部取付穴
5 枠部
6 上面凸部(係止部)
7 高さ規制部
8 逃げ部
9 下面凹部(被係止部)
10 中央支持部材
11 下面凹部(被係止部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱形の本体ケースを有する自動取引装置の前記本体ケースの底部に結合される自動取引装置の底板基台であって、
平板を四方に枠部を形成するよう折り曲げて下面が開放された箱形に形成された底板ケースと、
板状で、少なくとも2つの側縁部断面が凹凸形状を繰り返し、凹凸形状が前記2つの側縁部間略全域に渡って延びるように形成され、前記底板ケースの開放された下面を覆うように配置される底板部材と、
前記底板部材の凹凸形状の少なくとも両端縁部の凹部又は凸部が嵌り込む複数の凹凸支持部を有し、前記底板ケースの内側の少なくとも左右の側縁部の前後方向略全域または前後の側縁部の左右方向略全域に渡るように配置される側縁支持部材とで構成され、
前記底板ケースと前記底板部材と前記側縁支持部材とが組み立てられ、接合により固定されていることを特徴とする自動取引装置の底板基台。
【請求項2】
前記底板部材の凹凸形状の中央部の凹部又は凸部が嵌り込む複数の凹凸支持部を有し、前記底板ケースの内側の前記左右の側縁部に配置される左右の側縁支持部材の間となる略中央部に前後方向略全域に渡るように配置され、あるいは前記前後の側縁部に配置される前後の側縁支持部材の間となる略中央部に左右方向略全域に渡るように配置される中央支持部材が設けられ、該中央支持部材が、前記底板ケースと前記底板部材と前記側縁支持部材とともに組み立てられ、接合により固定されていることを特徴とする請求項1記載の自動取引装置の底板基台。
【請求項3】
前記底板部材の凹凸形状が折り曲げ加工により形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の自動取引装置の底板基台。
【請求項4】
前記接合が溶接接合であることを特徴とする請求項1、2または3記載の自動取引装置の底板基台。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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