説明

自動取引装置及び冷却制御装置

【課題】自動取引装置内の温度上昇を抑えることにより、装置の故障の発生を防止する自動取引装置用の冷却制御装置を提供することを目的とする。
【解決手段】間仕切り2により顧客側ブース3と装置裏側ブース4が分けられ、自動取引装置5が両方のブース3、4に露出している。顧客側ブース3に温度計13を設け、顧客側ブース3内の温度を検出する。装置裏側ブース4に温度計15を配設し、装置裏側ブース4内の温度を検出する。また自動取引装置5の顧客側に冷却ファン10を設けるとともに、装置裏側に冷却ファン11を設ける。自動取引装置5の制御部9は、温度計13による温度と温度計15による温度を比較し、温度が低い側の冷却ファンをオンし、温度の高い側の冷却ファンをオフする。これにより常に温度が低い側の空気を装置内に取り入れることができ、故障の発生を防止することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金融機関等に設置され、顧客操作により取引を自動的に行い、間仕切りにより顧客側と装置裏側に分けられた自動取引装置および該自動取引装置を冷却する冷却制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、銀行等に自動取引装置を設置する場合、顧客が操作を行う前面側と係員が操作を行う後面側とを仕切るように間仕切りが設けられる。間仕切りを設けることにより、装置の裏側で行員や保守員が現金の出し入れ等の作業を行うのを顧客から見えないようにするためである。
【0003】
また自動取引装置には、装置内を冷却するための冷却ファンが設けられている。装置の稼動による装置内の温度上昇を抑えるためである。このような冷却ファンを設けた自動取引装置は、例えば、特開平10−255103号公報に開示さている。上記公報には、自動取引装置内の紙幣取扱部や硬貨取扱部などの複数のユニットのそれぞれに、温度センサと冷却ファンを個別に設け、ユニットの温度が設定温度よりも高くなると、そのユニットのみを冷却ファンで冷却し、設定温度より低くなると、そのユニットの冷却を停止する技術が開示されている。
【特許文献1】特開平10−255103号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら従来においては、装置裏側のブースは密閉されている場合が多く、排気環境が悪い。そのためブース内の温度が上昇しやすく、温度が上昇した状態で装置を冷却した場合、ブース内の熱い空気が冷却ファンにより装置内に吸入されることになる。その結果、装置内の冷却が充分にできず、想定外の温度上昇により装置の故障が発生する惧れがあるという問題があった。
【0005】
そこで本発明は、自動取引装置内の温度上昇を抑えることにより、装置の故障の発生を防止する自動取引装置および冷却制御装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明による自動取引装置は、間仕切りにより分けられた顧客側ブースと装置裏側ブースの両方のブースに露出したものであって、 前記顧客側ブース側に設けられた第1の冷却ファンと、前記装置裏側ブース側に設けられた第2の冷却ファンと、前記顧客側ブース側に配設された第1の温度検出手段および前記装置裏側ブース側に配設された第2の温度検出手段に接続され、該第1の温度検出手段により検出された温度と前記第2の温度検出手段により検出された温度を比較し、低い方の温度を検出した温度検出手段が配設されたブース側の冷却ファンを作動する制御手段とを設けたことを特徴とするものである。
【0007】
また本発明による冷却制御装置は、間仕切りにより分けられた顧客側ブースと装置裏側ブースの両方のブースに露出した自動取引装置を冷却するものであって、前記顧客側ブースと前記装置裏側ブースに配設され、各ブース内の温度を検出する温度検出手段と、前記温度検出手段により検出された前記各ブース内の温度を比較する比較手段と、前記各ブースにそれぞれ配設され、それぞれ自動取引装置の内部を冷却する冷却ファンと、前記比較手段により、前記温度検出手段により検出された各ブースのそれぞれの温度のうち低いと判定された温度を検出した温度検出手段が配設された側のブース側の冷却ファンを作動させることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、顧客側ブースに設けられた第1の温度検出手段により検出された温度と、装置裏側ブースに設けられた第2の温度検出手段により検出された温度とを比較し、低い方の温度を検出した温度検出手段が設けられるブース側の冷却ファンを作動させる。これにより温度が低い方の空気を装置内に取り入れることができ、故障の発生を防止することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面にしたがって説明する。各図面に共通する要素には同一の符号を付す。図1は本発明の実施の形態における自動取引装置の設置ブースを示す平面図である。図1において、設置ブース1は間仕切り2により顧客側ブース3と装置裏側ブース4に分けられている。自動取引装置5は間仕切り2により顧客側が顧客側ブース3に露出し、後側が装置裏側ブース4に露出するように配置されている。
【0010】
自動取引装置5の顧客側には、顧客操作部6、紙幣投入排出口7、硬貨投入口8などが設けられている。また自動取引装置5の内部には制御部9および冷却ファン10、11が設けられている。冷却ファン10は自動取引装置5の前部(顧客側ブース3側)に設けられ、顧客側ブース3内の空気を装置内に送り込むことにより冷却する。冷却ファン11は自動取引装置5の装置裏側ブース4側に設けられ、装置裏側ブース4側の空気を装置内に送り込むことにより冷却するものである。また顧客側ブース3の壁12には温度計13が設置され、また装置裏側ブース4の壁14にも温度計15が設置されている。温度計13、15は、それぞれのブース3、4内の空気の温度を検出し、検出した温度情報を制御部9に送信する。
【0011】
図2は実施の形態の自動取引装置を示すブロック図である。図2において、自動取引装置5には、制御部9、ファンモータ16、17、紙幣入出金部18、硬貨入出金部19、通帳処理部20、カード処理部21および顧客操作部6が接続されており、制御部9はこれらの各部を制御する。ファンモータ16は自動取引装置5の顧客側ブース3側に設置された冷却ファン10を駆動させる。ファンモータ17は装置裏側ブース4側に設置された冷却ファン11を駆動させる。
【0012】
紙幣入出金部18、硬貨入出金部19、通帳処理部20、カード処理部21および顧客操作部6は自動取引装置5には周知のユニットであるため、また本発明には直接関係しないため、詳細な説明は省略する。また制御部9には温度計13、15が接続されている。温度計13、15によるブース内温度計測情報は制御部9に送られる。
【0013】
次に実施の形態における自動取引装置に対する冷却制御動作を図3に示すフローチャートにしたがって説明する。自動取引装置5の制御部9は、内部プログラムにより所定時間毎に温度計13、15の温度情報をセンスしている(ステップ1)。制御部9は、温度計13または温度計15の温度情報により、顧客側ブース3内の温度と、装置裏側ブース4内の温度のどちらが高いか判断する(ステップ2)。
【0014】
ここで例えば、装置裏側ブース4の温度計15で検出した温度の方が高いと判断した場合、制御部9は、ファンモータ16を駆動し、温度が低い方の顧客側ブース3側の冷却ファン10をオンして作動させる(ステップ3)。さらに温度が高い方の装置裏側ブース4側の冷却ファン11をオフさせる(ステップ4)。
【0015】
またステップ2で、顧客側ブース3の温度計13で検出した温度の方が高いと判断した場合、制御部9は、ファンモータ17を駆動し、温度が低い方の装置裏側ブース4側の冷却ファン11をオンして作動させる(ステップ5)。さらに温度が高い方の顧客側ブース3側の冷却ファン10をオフさせる(ステップ6)。
【0016】
以上の動作を繰り返し、所定時間毎に常に温度の低い方の冷却ファンを作動させ、温度の高い方の冷却ファンを停止させる。これにより自動取引装置5の内部の冷却は良好に行われ、温度上昇による故障等を防止することが可能となる。
【0017】
上記実施の形態では、温度の低い方の冷却ファンを作動させた後、温度の高い方の冷却ファンを停止しているが、温度の高い方の冷却ファンについては、逆回転させるようにしてもよい。この場合の動作を図4に示すフローチャートにしたがって説明する。
【0018】
自動取引装置5の制御部9は、内部プログラムにより所定時間毎に温度計13、15の温度情報をセンスしている(ステップ11)。制御部9は、温度計13または温度計15の温度情報により、顧客側ブース3内の温度と、装置裏側ブース4内の温度のどちらが高いか判断する(ステップ12)。
【0019】
ここで例えば、装置裏側ブース4の温度計15で検出した温度の方が高いと判断した場合、制御部9は、ファンモータ16を駆動し、温度が低い方の顧客側ブース3側の冷却ファン10をオンして作動させる(ステップ13)。そして制御部9は、温度が高い方の装置裏側ブース4側のファンモータ17を逆回転させ、冷却ファン11を逆回転させる(ステップ14)。冷却ファン11の逆回転により、自動取引装置5内の空気の排気を行うことができ、自動取引装置5内の暖かい空気を排出するとともに、温度が低い方の顧客側ブース3側の冷却ファン10による吸気を促進することができる。
【0020】
またステップ12で、顧客側ブース3の温度計13で検出した温度の方が高いと判断した場合、制御部9は、ファンモータ17を駆動し、温度が低い方の装置裏側ブース4側の冷却ファン11をオンして作動させる(ステップ15)とともに、温度が高い方の顧客側ブース3側の冷却ファン10を逆回転させる(ステップ16)。この場合も、冷却ファン10の逆回転により、自動取引装置5内の空気の排気を行うことができ、自動取引装置5内の暖かい空気を排出するとともに、温度が低い方の装置裏側ブース4側の冷却ファン11による吸気を促進することができる。
【0021】
上記実施の形態では、冷却ファン10、11を自動取引装置5の制御部9で制御するようにしているが、これに限らず、独立の冷却装置を設けて、自動取引装置5とは独立して上記と同様の冷却動作を行うようにしてもよい。また、上記実施の形態では自動取引装置5を例に説明したが、間仕切りされたブースの両側に設置される装置であれば他の装置を冷却する場合にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施の形態における自動取引装置設置ブースを示す平面図である。
【図2】実施の形態の自動取引装置を示すブロック図である。
【図3】実施の形態における冷却制御動作を示すフローチャートである。
【図4】実施の形態における他の冷却制御動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0023】
2 間仕切り
3 顧客側ブース
4 装置裏側ブース
5 自動取引装置
9 制御部
10、11 冷却ファン
13、15 温度計

【特許請求の範囲】
【請求項1】
間仕切りにより分けられた顧客側ブースと装置裏側ブースの両方のブースに露出した自動取引装置において、
前記顧客側ブース側に設けられた第1の冷却ファンと、
前記装置裏側ブース側に設けられた第2の冷却ファンと、
前記顧客側ブース側に配設された第1の温度検出手段および前記装置裏側ブース側に配設された第2の温度検出手段に接続され、該第1の温度検出手段により検出された温度と前記第2の温度検出手段により検出された温度を比較し、低い方の温度を検出した温度検出手段が配設されたブース側の冷却ファンを作動する制御手段とを設けたことを特徴とする自動取引装置。
【請求項2】
前記制御手段は、高い方の温度を検出した温度検出手段が配設されたブース側の冷却ファンを停止する請求項1記載の自動取引装置。
【請求項3】
前記制御手段は、高い方の温度を検出した温度検出手段が配設されたブース側の冷却ファンを逆回転する請求項1記載の自動取引装置。
【請求項4】
間仕切りにより分けられた顧客側ブースと装置裏側ブースの両方のブースに露出した自動取引装置を冷却する冷却制御装置において、
前記顧客側ブースと前記装置裏側ブースに配設され、各ブース内の温度を検出する温度検出手段と、
前記温度検出手段により検出された前記各ブース内の温度を比較する比較手段と、
前記各ブースにそれぞれ配設され、それぞれ自動取引装置の内部を冷却する冷却ファンと、
前記比較手段により、前記温度検出手段により検出された各ブースのそれぞれの温度のうち低いと判定された温度を検出した温度検出手段が配設された側のブース側の冷却ファンを作動させることを特徴とする冷却制御装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記比較手段により、前記温度検出手段により検出された各ブースのそれぞれの温度のうち高いと判定された温度を検出した温度検出手段が配設された側のブース側の冷却ファンを停止する請求項4記載の冷却制御装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記比較手段により、前記温度検出手段により検出された各ブースのそれぞれの温度のうち高いと判定された温度を検出した温度検出手段が配設された側のブース側の冷却ファンを逆回転する請求項4記載の冷却制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−129992(P2008−129992A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−316819(P2006−316819)
【出願日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】