説明

自動取引装置

【課題】異物を係員が回収する場合において、顧客にとって回収されては困る異物が異物受け手段に落下したときに、顧客がその異物を拾うために紙幣収容部に無理に手を入れて紙幣収容部を壊してしまう可能性をなくす手段を提供する。
【解決手段】 投入された紙幣を収容する紙幣収容部15と、該紙幣収容部に紙幣を載置すると共に、異物を分離する収容底部15Aと、分離した異物を返却する異物返却部31と、分離した異物を回収する回収トレー32と、前記収容底部の下方で、かつ前記異物返却部と前記回収トレーとの間に設置され、前記分離した異物を一時的に集積し、該異物を前記異物返却部もしくは前記回収トレーとに振分ける異物振分機構28と、前記異物の返却が必要とされた場合に、前記異物振分機構により前記異物を前記異物返却部に搬送し、前記異物の返却は不要とされた場合に、前記異物振分機構により前記異物を前記回収トレーに搬送することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入金された紙幣を1枚毎に分離搬送して処理する現金自動預払機等の自動取引装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の現金自動預払機は、硬貨やクリップ等の異物が混入した紙幣が紙幣収容部に投入されたときに、紙幣収容部の収容底部の開口部から異物を落下させることによって異物を分離し、紙幣収容部の下方に設置した異物受け手段に集積させ、集積した異物を回収するときは係員が異物受け手段を外部に取り出すようにしている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平10−154255号公報(第3頁段落0016−第3頁段落0018、第2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した従来の技術において、異物受け手段に落下した異物を係員が回収しているため、顧客が紙幣収容部に紙幣と一緒に硬貨等の回収されては困る異物を投入してしまい、その異物が異物受け手段に落下した場合に、顧客が落ちた異物を拾うために紙幣収容部の収容底部の開口部に無理に手を入れることで紙幣収容部を壊してしまうという可能性がある。
【0004】
また、一般の現金自動預払機の中には、異物受け手段に落下した異物を全て異物返却部に搬送して集積することによって顧客に返却しているものもある。
この場合に、返却された異物が顧客にとって不要なものであるときは、顧客は返却された異物を受取らないでそのまま異物返却部に放置することがあり、放置された異物が異物返却部に残留すると異物返却部内が異物で満杯となって異物返却部が詰まってしまい、異物の返却を正常に行うことができなくなるという問題がある。
【0005】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、異物を係員が回収する場合において、顧客にとって回収されては困る異物が異物受け手段に落下したときに、顧客がその異物を拾うために紙幣収容部に無理に手を入れることのない異物返却手段を提供することを目的とする。
また、異物を異物返却部に搬送して顧客に返却する場合において、顧客が放置した異物で異物返却部が満杯になって、異物の返却を正常に行うことができなくなることを防止する手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために、投入された紙幣を収容する紙幣収容部と、該紙幣収容部に紙幣を載置すると共に、異物を分離する収容底部と、分離した異物を返却する異物返却部と、分離した異物を回収する回収トレーと、前記収容底部の下方で、かつ前記異物返却部と前記回収トレーとの間に設置され、前記分離した異物を一時的に集積し、該異物を前記異物返却部もしくは前記回収トレーとに振分ける異物振分機構と、該異物振分機構に一時集積した異物を撮影可能なカメラ部と、前記異物振分機構に集積した異物の有無を検知する異物検知手段と、前記カメラ部によって撮影した前記異物の画像と、該画像に写る異物の返却の要否を問う画面を表示する表示部とを備え、前記異物の返却が必要とされた場合に、前記異物振分機構により前記異物を前記異物返却部に搬送し、前記異物の返却は不要とされた場合に、前記異物振分機構により前記異物を前記回収トレーに搬送することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
これにより、本発明は、顧客に異物振分機構に一時集積した異物を表示して、顧客が異物の返却を必要とした場合には異物を異物返却部に搬送するため、顧客にとって回収されては困る異物が異物振分機構に落下した場合に、顧客がその異物を拾うために紙幣収容部に無理に手を入れることがなくなるという効果が得られる。
また、顧客が異物の返却を不要とした場合に、異物を回収トレーに搬送して回収するようにしたので、顧客が放置した異物によって異物返却部が満杯となるのを防止することができ、異物の返却を常に正常に行うことができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に、図面を参照して本発明による自動取引装置の実施例について説明する。
【実施例1】
【0009】
図1は実施例1の現金自動預払機を示す斜視図、図2は実施例1の現金自動預払機を示すブロック図、図3は実施例1の紙幣取扱部の概略構成を示す断面図、図4は実施例1の紙幣収容部の内部を示す斜視図、図5は実施例1の紙幣収容部付近を示す説明図である。
図1において、1は自動取引装置としての現金自動預払機である。
2はLCD等の表示部であり、取引選択画面や各種の入力画面、顧客の処置を促す画面等を表示する。
【0010】
3は入力部であり、テンキー等を備えており、顧客の暗証番号や入出金金額等の入力を受付ける。
図2において、5は現金自動預払機1の制御部であり、現金自動預払機1の各部を制御する。
6は記憶部であり、制御部5が実行するプログラムやそれに用いる各種のデータおよび制御部5による処理結果等を格納する。
【0011】
また、記憶部6は顧客との取引が正常に行われた後に、顧客の口座番号と取引名、取引金額、制御部5のタイマー機能から認識した取引時刻等の取引履歴情報を記憶する。
7はカード取扱部であり、カード挿入口7aに挿入された顧客のキャッシュカード等の取引カードの磁気ストライプに記録されているカード情報を読み書きする機能を有する。
8はレシート取扱部であり、顧客との取引結果を取引明細票に印刷してレシート発行口8aから発行する等の機能を有する。
【0012】
9は紙幣取扱部であり、現金自動預払機1へ投入された紙幣の受入れ、出金する現金の払い出し等を行う機能を有する。
10は異物検知手段としての画像解析部であり、後述するカメラ部35で撮影した画像をもとに異物の有無を検知する機能を有する。
図3において、12は紙幣投入口シャッタ部であり、現金自動預払機1の筐体1aに設けた筐体シャッタ13と、紙幣収容部15の上方に設けられ、紙幣収容部15に立てた状態で収容された紙幣Pの面の鉛直方向に開閉する両開きの扉14a、14bを有するスライド式の収容部シャッタ14により構成される。
【0013】
紙幣収容部15は、図4に示すように、立てた状態で収容された紙幣Pの面に直交する方向に異物を分離する所定の隙間、例えば流通している最も大きい硬貨の直径が通過する程度の隙間を開けて支持棒としての丸棒16を並べた収容底部15aを備え、顧客が投入した紙幣Pおよび出金取引で払出す紙幣Pを立てた状態で丸棒16上に載置すると共に、紙幣Pに紛れて投入されたクリップや硬貨等の異物が丸棒16間の隙間から落下させて分離し、下方に設置されている後述する搬送ベルト28上に集積するように構成されている。
【0014】
19は検知センサであり、光学式等のセンサであって、紙幣収容部25内の紙幣Pの有無を検知する。
20は分離ローラであり、紙幣Pの搬送路22の最上流に配置され、紙幣収容部25内で対向配置されたビルプレス21との間に紙幣Pが収容された紙幣Pをビルプレス21により分離ローラ20に押し付けて分離ローラ20を回転させることにより一枚づつ分離して搬送路22へ繰出す。
【0015】
搬送路22は、対向配置されたローラあるいはベルト等により構成され、紙幣Pを挟持して搬送する。
23は鑑別部であり、紙幣収容部15から搬送路22により搬送された紙幣Pの真偽、正損、金種等を鑑別する。
24は一時保管部であり、鑑別部23にて鑑別された紙幣Pを一時的に保管する。
【0016】
25は金種別カセット部であり、鑑別部23で鑑別された紙幣Pを設定された金種ごとに集積する。
図5において、26は異物一時集積部であり、異物の周りを囲うように配置された側面板27と、異物を一時的に集積して振分ける異物振分機構としての搬送ベルト28とにより構成され、側面板27と搬送ベルト28との間には異物としての硬貨が縦向きに落ちたときにそのまま搬送ベルト28上を転がって落ちない程度の隙間を有する。
【0017】
搬送ベルト28は、モータ29によって正逆回転可能に構成され、顧客が異物を必要として顧客に異物を返却するときは図4の矢印Aに示す方向に回転して異物を異物搬送路30を介して異物返却部31へ搬送し、顧客が異物を不要として異物を破棄するときは図4の矢印Bに示す方向に回転して異物を回収トレー32へ搬送する。
異物搬送路30は、搬送ベルト28と異物返却部31との間で、搬送ベルト28から搬送された異物が異物返却部31へ滑り落ちるように傾斜して設置される。
【0018】
異物返却部31は、顧客に返却する異物を集積し、集積した異物を顧客が外部に取り出すための返却口31aを有している。
回収トレー32は、顧客が不要とした異物を集積して回収するためのトレーであり、紙幣収容部15に紙幣Pを投入している顧客から見えない位置に配置され、現金自動預払機1に着脱可能に装着される。
【0019】
35はカメラ部であり、搬送ベルト28上に集積した異物を撮影するために搬送ベルト28の上面を撮影するカメラである。
36は照明部であり、カメラ部35の近傍に設置され、カメラ部35が撮影する搬送ベルト28の上面に光を当てる照明である。
上記の現金自動預払機1の記憶部6には、予めカメラ部35で異物が上に乗っていない状態の搬送ベルト28を撮影した画像、つまり初期画像を格納する。更に画像解析部10で顧客との取引中にカメラ部35が撮影している画像と初期画像とを比較することによって異物を検出したときに撮影した画像を表示部2に表示する異物画像表示処理プログラムを加えた取引処理実行プログラムを格納している。そして制御部5と取引処理実行プログラムにより本実施例の現金自動預払機1のハードウェアとしての各種の機能手段が形成される。
【0020】
上述した構成の作用について、図6に示す実施例1の現金自動預払機の異物処理の動作を示すフローチャートを用い、Sで示すステップに従って説明する。
S1、現金自動預払機1の制御部5は、表示部2に取引選択画面を表示して待機する。
本実施例では、顧客は預入取引の選択肢を選択する。
S2、預入取引を行うことを認識した制御部5は、表示部2に取引カードの挿入を促す文言を表示し、顧客が取引カードをカード取扱部7に挿入すると、制御部2は筐体シャッタ13および収容部シャッタ14を開くと共に、表示部2に紙幣の投入を促す文言を表示する。そして顧客は紙幣Pを紙幣収容部15に投入する。
【0021】
S3、顧客により紙幣Pが紙幣収容部15に投入されると、制御部5は検知センサ19によって紙幣Pを検知し、紙幣Pが投入されたことを認識する。
S4、制御部5は、タイマー機能により紙幣Pが投入されてから一定時間経過したことを認識すると、筐体シャッタ13および収容部シャッタ14を閉じる。
S5、制御部5は、紙幣収容部15内の紙幣Pをビルプレス21により押し付けて分離ローラ20を回転させ、紙幣Pを一枚づつ分離して搬送路22へ繰出し、ステップS2で認識した預入取引処理に関する動作を通常通りに実行し、記憶部6に取引履歴情報を記憶する。
【0022】
ここで、紙幣Pに紛れて異物が紙幣収容部15に投入されてしまった場合、このような異物の内、収容底部15aまで落ちた異物は収容底部15aの隙間から落下されることにより、紙幣Pから分離されて搬送ベルト28に一時集積される。
また、紙幣Pの間に挟まれている等ですぐに収容底部15aまで落ちなかった異物は、紙幣Pをビルプレス21で押し付けて分離ローラ20によって紙幣Pを一枚づつ搬送路22に繰出したときに異物は搬送路22に繰出されないので、収容底部15aから落下して搬送ベルト28に集積される。
【0023】
S6、制御部5は、全ての紙幣Pを搬送路22へ繰出したことを認識し、照明部36を点灯して異物振分機構としての搬送ベルト28に光を当て、カメラ部35によって搬送ベルト28の撮影を開始すると共に、記憶部6に格納した初期画像を読み出し、画像解析部10によって読み出した初期画像とカメラ部35で撮影している画像とを比較する。
このとき、紙幣収容部15から落下した異物が搬送ベルト28に集積している場合には、カメラ部35が撮影している画像には異物が写るので、搬送ベルト28に異物が投入されたことを認識する。
【0024】
S7、異物投入を認識した制御部5は、カメラ部35で撮影した異物の画像と、例えば「異物の混入がございました返却をご希望の場合はご返却ボタンを、ご不要であれば不要ボタンを押してください」等の異物の返却の要否を問う文言、異物を返却するためのご返却ボタン、不要な異物を回収するための不要ボタン等を表示した異物処理選択画面を表示する。
【0025】
S8、制御部5は、顧客が入力部3で不要ボタンを押下したことを認識したときはステップS9へ分岐し、顧客が入力部3でご返却ボタンを押下したことを認識したときはステップS10へ移行する。
なお、所定時間が経過してもいずれのボタンも押下されないときには、不要ボタンおよびご返却ボタンの点滅表示や、図示しない音声スピーカによる音声出力等で顧客に操作を促すようにする。
【0026】
S9、不要ボタンの押下によって異物の返却が不要であると認識した制御部5は、モータ29によって搬送ベルト28を図4に示す矢印B方向に回転させて異物を回収トレー32に搬送して回収し、顧客に取引カードを返却して顧客との取引を終了する。
S10、ご返却ボタンの押下によって異物の返却が必要であると認識した制御部5は、モータ29によって搬送ベルト28を図4に示す矢印A方向に回転させて異物を異物搬送路30へ搬送し、搬送した異物を異物搬送路30から異物返却部31に滑り落とすことにより、異物を異物返却部31の返却口31aに搬送して返却し、顧客に取引カードを返却または取引明細票を発行して取引を終了する。
【0027】
なお、ステップS6にて異物無しと判定したときには、ステップS7からステップS10の異物処理は行わないのは言うまでもない。
以上説明したように、本実施例では、カメラ部で搬送ベルトの上面を撮影して異物を認識したときには、表示部に異物処理選択画面を表示する。そして顧客による異物の返却の入力が行われた場合は、異物を異物返却部に搬送して顧客に返却するので、顧客が搬送ベルトの上面に落下した異物を拾うために紙幣収容部に無理に手を入れることがなくなり、紙幣収容部が壊されてしまる可能性を防止することができる。
【0028】
また、顧客による異物を不要とした旨の入力が行われた場合は異物を回収トレーに搬送して回収するため、顧客が放置した異物によって異物返却部が詰まってしまうのを防止することができ、異物の返却を常に正常に行うことができる。
また、搬送ベルトによって異物を必ず異物返却部あるいは顧客から見えない位置に配置した回収トレーに搬送するため、顧客との取引終了後には搬送ベルトに異物は残らないので、現金自動預払機の異物振分機構に集積している異物の中に混ざっている硬貨を探して取り出すことを目的として現金自動預払機を利用する顧客が紙幣収容部に無理に手を入れて紙幣収容部を壊されてしまうことを防止することができ、このような目的を持った顧客による現金自動預払機の利用を抑止することができる。
【0029】
さらに、異物処理選択画面を表示したことによって、顧客に異物があることを知らせることができるため、顧客が異物返却部に返却された異物を取り忘れてしまうのを防止することができる。
なお、上記実施例1において、取引が正常に行われた後に、顧客の口座番号と取引名、取引金額、制御部のタイマー機能から認識した取引時刻等の取引履歴情報を記憶するとして説明したが、カメラ部で撮影した画像を取引履歴情報に加えるようにすれば、搬送ベルトに付箋等の粘着性のある異物が貼り付いたままになったときに、取引履歴情報の画像から粘着性の異物がどの顧客の取引から存在していたかを容易に判別することができる。
【0030】
また、上記実施例1において、カメラ部で撮影した画像を記憶して取引履歴情報に加えると共に、異物返却部に集積した異物を検知するセンサを設け、異物返却後に所定時間経過しても異物返却部に異物が残っていることを認識したときに、係員に異物の残留を報知して記憶部に記憶した取引履歴情報に異物を取り忘れたことを加えて記憶するようにすれば、顧客が異物を取り損ねて異物返却部に異物が残留した場合に、係員が取引履歴情報を参照して残留した異物がどの顧客のものであるかを確認することができる。
【実施例2】
【0031】
図7は実施例2の紙幣収容部付近を示す説明図、図8は実施例2の紙幣収容部付近を示す斜視図である。
なお、上記実施例1と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
本実施例のカメラ部35は、紙幣収容部15の内部を撮影できる位置から搬送ベルト28の上面を撮影できる位置までを往復移動可能に構成される。
【0032】
図7、図8において、50は遮蔽機構であり、収容底部15aと搬送ベルト28との間に配置した2枚の斜板50a、50bにより構成され、斜板50a、50bは上部から下部にかけて互いの間隔を狭めるように配置すると共に、斜板50aの下部側の先端と斜板50bの下部側の端部の上面との間を異物が通り抜ける程度の間隔を設けるように対向して設置される。
【0033】
これによって、顧客が紙幣収容部15の収容底部15aの隙間から搬送ベルト28を見ようと覗き込んだ場合に、遮蔽機構50によって顧客の視界から搬送ベルト28を遮るので、顧客からは搬送ベルト28に集積した異物が見えないようになる。
本実施例2の記憶部6は、カメラ部35で撮影した紙幣Pが投入されていない状態の紙幣収容部15の画像、つまり図9に示す紙幣収容部15の初期状態を示す画像と、カメラ部35で撮影した異物が上に乗っていない状態の搬送ベルト28の画像、つまり図10に示す搬送ベルトの初期状態を示す画像とを格納する。
【0034】
上述した構成の作用について、図11に示す実施例2の現金自動預払機の異物処理の動作を示すフローラチャートを用いて、SAで示すステップに従って説明する。
なお、本実施例2では紙幣収容部15に投入された紙幣Pの投入状態を解析する機能を有する現金自動預払機1に適用し、最初に紙幣収容部15内の紙幣Pの投入状態を認識して預入取引処理を行ってから、次に本実施例のカメラ部35による異物の撮影や異物返却部31または回収トレー32への異物の搬送を行う。
【0035】
本実施例のステップSA1からステップSA2までの動作は上記実施例1のステップS1からステップS2までの動作と同様であるのでその説明を省略する。
SA3、制御部5は、筐体シャッタ13および収容部シャッタ14を開いたのをきっかけに、カメラ部35による紙幣収容部15の内部の撮影を開始すると共に、記憶部6に格納した紙幣収容部15の初期状態を示す画像を読み出し、画像解析部10によって読み出した画像をもとにしてカメラ部35で撮影中の撮影画像の解析を行う。
【0036】
SA4、顧客により紙幣Pが紙幣収容部15に投入されると、図12に示すように撮影画像に紙幣が写り、制御部5は画像解析部10によって撮影画像内の紙幣を認識してその紙幣Pの投入状態を解析する。
SA5、制御部5は、解析した投入状態から斜めに投入されている紙幣や、2つ折れ紙幣等の紙幣ジャムの原因となる紙幣や、レシート等の搬送ベルト28上に落下しないと考えられる異物を検知する等の投入状態に異常が有ると認識したときはステップSA6に分岐し、投入状態に異常が無いと認識したときはステップSA7に移行する。
【0037】
SA6、投入状態の異常を認識した制御部5は、表示部2に投入された紙幣Pの投入状態に異常有りあるいは異物が混入していることを通知する文言と、紙幣Pの投入状態の修正および異物の除去を促す旨とを表示した紙幣抜取再投入画面を表示し、この時には検出センサ19により紙幣Pの抜取検知すると共に、ステップSA3に戻って再度カメラ部35による紙幣収容部15の内部の撮影を開始する。
【0038】
SA7、投入状態に異常が無いと認識した制御部5は、筐体シャッタ13および収容部シャッタ14を閉じる。
SA8、制御部5は、紙幣収容部15内の紙幣Pをビルプレス21により押し付けて分離ローラ20を回転させて一枚づつ分離して搬送路22へ繰出し、ステップSA2で認識した預入取引処理に関する動作を通常通りに実行する。
【0039】
ここで、紙幣Pに紛れて異物が紙幣収容部15に投入されてしまった場合、このような異物の内、収容底部15aまで落ちた異物は収容底部15aの隙間から落下させることにより、紙幣Pから分離する。
また、紙幣Pの間に挟まれている等ですぐに収容底部15aまで落ちなかった異物は、紙幣Pをビルプレス21で押し付けて分離ローラ20によって紙幣Pを一枚づつ搬送路22に繰出したときに異物は搬送路22に繰出されずに収容底部15aから落下する。
【0040】
収容底部15aから落下した異物は斜板50aの下部側の先端と斜板50bの下部側の端部との間を滑り落ちて搬送ベルト28の上面に一時集積される。
SA9、制御部5は、照明部36を点灯して搬送ベルト28の上面に光を当てると共に、カメラ部35を下降させて搬送ベルト28の上面の撮影を開始する。
このとき、搬送ベルト28には異物が集積しているので、カメラ部35で撮影している画像は図13に示すように異物の写った画像となる。
【0041】
SA10、制御部5は、記憶部6に格納した搬送ベルト28の初期状態の画像を読み出し、画像解析部10によって読み出した初期状態の画像とカメラ部35で撮影している画像とを比較し、カメラ部35で撮影している画像内の異物を検知することによって搬送ベルト28に異物が集積していることを認識する。
SA11、制御部5は、図14に示すカメラ部35によって撮影した異物の画像と「異物の混入がございました返却をご希望の場合はご返却ボタンを押してください」という異物の返却の要否を問う文言、異物を返却するためのご返却ボタン、不要な異物を破棄するための不要ボタンを表示した異物処理選択画面を表示する。
【0042】
本実施例のステップSA12からステップSA14までの動作は、上記実施例1のステップS8からS10までの動作と同様であるのでその説明を省略する。
このように、本実施例においては、遮蔽機構50を搬送ベルト28と収容底部15aとの間に設けて顧客が収容底部15aの隙間から下方を見たときの顧客の視界から搬送ベルト28に集積する異物を遮ることができる。
【0043】
以上説明したように、本実施例2では、上記実施例1の効果に加えて、遮蔽機構を搬送ベルトと収容底部との間に設けて搬送ベルト上の異物を顧客の視界から遮るため、紙幣を投入した際に搬送ベルトに落下した異物を見た顧客がその場ですぐに異物を取り出そうとするのを防止するので、更に顧客が紙幣収容部に無理に手を入れようとすることを防止することができる。
【0044】
なお、上記実施例2においては、遮蔽機構を2枚の斜板によって構成するとして説明したが、顧客が紙幣収容部から下方を見たときに搬送ベルトに一時集積した異物を顧客の視界から遮るように配置した1枚の斜板によって構成するようにしてもよい。
【実施例3】
【0045】
図15は実施例3の紙幣収容部付近を示す説明図である。
なお、上記各実施例と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
60は、異物振分機構としての傾斜可動板であり、回転支点60aにステッピングモータ61が取付けられ、収容底部15aから落下した異物を一時的に集積すると共に、ステッピングモータ61によって矢印C方向に回転することによって異物搬送路30と略同一線上となるように傾斜して異物を異物搬送路30に滑り落とし、又は矢印D方向に回転することによって一端が回収トレー32の上方に位置するように傾斜して異物を回収トレー32に滑り落として搬送するように構成される。
【0046】
なお、通常の傾斜可動板60は水平状態であり、図示しない検出センサによって水平となる位置が把握されている
本実施例の記憶部6には、予めカメラ部35で異物が上に乗っていない状態の傾斜可動板60を撮影した画像、つまり初期画像を格納している。
上述した構成の作用について説明する。
【0047】
紙幣収容部15に紙幣Pに紛れて投入された異物は紙幣収容部15の収容底部15aから落下し、紙幣Pから分離されて斜板50aの下部側の先端と斜板50bの下部側の端部との間を滑り落ちる。
斜板50aの下部側の先端と斜板50bの下部側の先端との間を滑り落ちた異物は、傾斜可動板60の上面に落下して集積される。
【0048】
そして、照明部36を点灯して傾斜可動板60の上面に光を当ててカメラ部35で傾斜可動板60を撮影すると共に、記憶部6に格納した初期画像を読み出し、画像解析部10によって読み出した初期画像とカメラ部35で撮影している画像とを比較する。このとき紙幣収容部15から分離した異物が傾斜可動板60に集積している場合には、カメラ部35が撮影している画像には異物が写っているので、傾斜可動板60に異物が集積していることを認識する。
【0049】
異物を認識したら、上記実施例1と同様にして異物処理選択画面を表示する。
顧客によってご返却ボタンが押下されたときはステッピングモータ61によって傾斜可動板60を異物搬送路30の方に傾け、異物を異物搬送路30に滑り落とし、異物搬送路30を介して異物返却部31に異物を搬送して顧客に返却する。
顧客によって不要ボタンが押下されたときはステッピングモータ61によって傾斜可動板60を回収トレー32の方に傾けて異物を滑り落とし、回収トレー32に搬送して回収する。
【0050】
このように、異物を顧客に返却するときはステッピングモータ61により、傾斜可動板60を異物集積部23側に回転させて傾斜させ、異物を異物搬送路30に滑り落として異物集積部23に搬送し、顧客が異物を不要としたときはステッピングモータ61により、傾斜可動板60を回収トレー32側に回転させて傾斜させ、異物を回収トレー32に搬送して回収する。
【0051】
以上説明したように、本実施例は、上記各実施例と同様の効果を得ることができる。
なお、上記実施例2、実施例3において、斜板を異物が滑り落ちる方向に沿った中心がへこむように折り曲げて形成すれば、収容底部から分離した異物が斜板の中心に寄せられながら滑り落ちるために、搬送ベルトあるいは傾斜可動板に落下したときに一箇所に異物を集積することができる。
【0052】
なお、上記各実施例においては、画像解析部によってカメラ部で現在の搬送ベルトを撮影した画像と記憶部に格納した初期画像とを比較して現在の画像に異物があることを認識することによって異物を検知するとして説明したが、異物検知手段としての光学式等の異物検知センサを紙幣収容部と搬送ベルトの間で複数配置して紙幣収容部から落下した異物がセンサを遮ったときに異物を検知するようにすれば、カメラ部で撮影した画像を解析する手間を省くことができる。
【0053】
なお、上記各実施例においては、現金自動預払機を例に説明したが、自動取引装置としての紙幣両替機や発券機、金融機関の窓口の中に設置される現金処理機等に用いるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】実施例1の現金自動預払機を示す斜視図
【図2】実施例1の現金自動預払機を示すブロック図
【図3】実施例1の紙幣取扱部の概略機構を示す断面図
【図4】実施例1の紙幣収容部の内部を示す斜視図
【図5】実施例1の紙幣収容部付近を示す説明図
【図6】実施例1の現金自動預払機の異物処理の動作を示すフローチャート
【図7】実施例2の紙幣収容部付近を示す説明図
【図8】実施例2の紙幣収容部付近を示す斜視図
【図9】実施例2の紙幣収容部の初期状態を示す画像
【図10】実施例2の搬送ベルトの初期状態を示す画像
【図11】実施例2の現金自動預払機の異物処理の動作を示すフローチャート
【図12】紙幣が収容された紙幣収容部を示す画像
【図13】搬送ベルトに異物が集積した状態を示す画像
【図14】実施例2の異物処理選択画面を示す説明図
【図15】実施例3の紙幣収容部付近を示す説明図
【符号の説明】
【0055】
1 現金自動預払機(自動取引装置)
2 表示部
3 入力部
5 制御部
6 記憶部
7 カード取扱部
7a カード挿入口
8 レシート取扱部
8a レシート発行口
9 紙幣取扱部
10 画像解析部(異物検知手段)
12 紙幣投入口シャッタ部
13 筐体シャッタ
14 収容部シャッタ
14a、14b 扉
15 紙幣収容部
15a 収容底部
16 丸棒(支持棒)
19 検知センサ
20 分離ローラ
21 ビルプレス
22 搬送路
23 鑑別部
24 一時保管部
25 金種別カセット部
26 異物一時集積部
27 側面板
28 搬送ベルト(異物振分機構)
29 モータ
30 異物搬送路
31 異物返却部
31a 返却口
32 回収トレー
35 カメラ部
36 照明部
50 遮蔽機構
50a、50b 斜板
60 傾斜可動板(異物振分機構)
60a 回転支点
61 ステッピングモータ



【特許請求の範囲】
【請求項1】
投入された紙幣を収容する紙幣収容部と、
該紙幣収容部に紙幣を載置すると共に、異物を分離する収容底部と、
分離した異物を返却する異物返却部と、
分離した異物を回収する回収トレーと、
前記収容底部の下方で、かつ前記異物返却部と前記回収トレーとの間に設置され、前記分離した異物を一時的に集積し、該異物を前記異物返却部もしくは前記回収トレーとに振分ける異物振分機構と、
該異物振分機構に一時集積した異物を撮影可能なカメラ部と、
前記異物振分機構に集積した異物の有無を検知する異物検知手段と、
前記カメラ部によって撮影した前記異物の画像と、該画像に写る異物の返却の要否を問う画面を表示する表示部とを備え、
前記異物の返却が必要とされた場合に、前記異物振分機構により前記異物を前記異物返却部に搬送し、
前記異物の返却は不要とされた場合に、前記異物振分機構により前記異物を前記回収トレーに搬送することを特徴とする自動取引装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記収容底部を、前記載置された紙幣と直交する方向に隙間をあけるように支持棒を並べて構成したことを特徴とする自動取引装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
前記異物振分機構が、正逆回転可能に構成された搬送ベルトであることを特徴とする自動取引装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2において、
前記異物振分機構が、前記異物返却部側または前記回収トレー側に回転する傾斜可動板であることを特徴とする自動取引装置。
【請求項5】
請求項1から請求項3または請求項4において、
前記異物振分機構と前記収容底部との間に、外部より前記収容底部を覗き込んだときに前記異物を視界から遮り、かつ前記収容底部で分離した異物を前記異物振分機構に落下させる斜板を有する遮蔽機構を設けたことを特徴とする自動取引装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記遮蔽機構を、2枚の斜板で構成し、該2枚の斜板を上部から下部にかけて互いの間隔を狭めるように配置すると共に、一方の斜板の先端と他方の斜板の端部の上面との間に間隔を設けて対向させたことを特徴とする自動取引装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−34936(P2007−34936A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−220827(P2005−220827)
【出願日】平成17年7月29日(2005.7.29)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】