説明

自動取引装置

【課題】取引中に、利用者の衣服の袖等が偶然、取消ボタンに触れた場合、急にシャッタが閉まり、これに驚いて手を引く際に怪我をするという課題があった。
【解決手段】取引中に入力操作部12に上に表示されている取消ボタン12eが偶然押下されたときは、取消確認手段31aにより、利用者に取引の取消の可否の確認を促す取消確認画面を入力操作部12に表示し、利用者に取引の取消可否を確認する。その結果、取消可否が否のときは、前記取引を継続し、可のときは、シャッタ閉鎖手段31bにより、紙幣投入取出口13又は硬貨投入取出口14のシャッタを閉鎖し当該の取引を終了させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金融機関の店舗、コンビニエンスストア等に設置され、利用者により取引操作を行う現金自動預け払い機(以下「ATM」という。)等の自動取引装置、特に、紙幣投入取出口や硬貨投入取出口等のシャッタの開閉制御の技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ATM等の自動取引装置には、利用者が取引操作時に現金を投入し、且つ自動取引装置が放出した現金を利用者が取り出すための、接客口である紙幣投入取出口及び硬貨投入取出口が設けられている。
【0003】
この接客口には、異物が接客口に混入することを防ぐためと防犯上の観点からシャッタが設けられており、必要なタイミングで開閉するように構成されている。例えば、入金取引では、利用者が取引を選択するとシャッタが開き、現金(=紙幣や硬貨)の投入を促すようになっている。利用者が現金を投入するとシャッタが閉まり、自動取引装置は現金の計数を行い入金額の確認を利用者に促す。このとき、確認ボタンが押下されると入金取引が継続されるが、取消しボタンが押下されると、シャッタを開き現金の受取を促して取引を終了させるようになっている。
【0004】
引出し取引においては、ホストコンピュータとの通信により暗証番号等による本人確認が終了すると、現金の計数が行われて接客口に現金が放出され、シャッタが開くように構成されている。
【0005】
下記の特許文献1には、自動取引装置にシャッタ開閉スイッチを設け、引出し取引において、利用者がこのシャッタ開閉スイッチを押下することにより、シャッタを開けるようにした技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−65810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の自動取引装置では、取引中において、利用者の衣服の袖等が偶然、利用者の意に反して、取消ボタンに触れた場合、急にシャッタが閉まり、これに驚いて手を引く際に怪我をするという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のうちの第1の発明の自動取引装置は、利用者の操作によって取引を行う自動取引装置であって、前記利用者に操作画面を表示し、入力を促すための入力操作部と、前記利用者との間で現金を受け渡しするための接客口と、前記接客口に設けられた開閉自在なシャッタと、操作中の前記取引を取消す取消信号を出力するスイッチ手段と、前記取消信号を受けて、前記利用者に前記取引の取消の可否の確認を促す取消確認画面を前記入力操作部に表示し、前記取引の取消可否を出力する取消確認手段と、前記取消可否が否のときは、前記取引を継続し、可のときは、前記シャッタを閉鎖するシャッタ閉鎖手段とを有している。
【0009】
第2の発明の自動取引装置は、利用者の操作によって取引を行う自動取引装置であって、前記利用者に操作画面を表示し、入力を促すための入力操作部と、前記利用者との間で現金を受け渡しするための接客口と、前記接客口に設けられた開閉自在なシャッタと、操作中の前記取引を取消す取消信号を出力するスイッチ手段と、前記取消信号を受けて、前記取消信号の出力が連続して複数回あったときは、前記利用者に注意を促す注意喚起画面を、前記入力操作部に表示して前記取引の取消の可否の確認を促し、前記取引の取消可否を出力する注意喚起・取消確認手段と、前記取消信号を受けて、前記取消信号の出力が連続して複数回でなかったときは、前記利用者に前記取引の取消の可否の確認を促す取消確認画面を前記入力操作部に表示し、前記取引の取消可否を出力する取消確認手段と、前記取消可否が否のときは、前記取引を継続し、可のときは、前記シャッタを閉鎖するシャッタ閉鎖手段とを有している。
【0010】
第3の発明の自動取引装置は、利用者の操作によって取引を行う自動取引装置であって、前記利用者に操作画面を表示し、入力を促すための入力操作部と、前記利用者との間で現金を受け渡しするための接客口と、前記接客口に設けられた開閉自在なシャッタと、操作中の前記取引を取消す取消信号を出力するスイッチ手段と、前記取消信号を受けて、前記入力操作部から前記取消信号以外の入力があったときは、前記取消信号を無効とする取消無効手段と、前記取消信号を受けて、前記入力操作部から前記取消信号以外の入力がなかったときは、前記利用者に前記取引の取消の可否の確認を促す取消確認画面を、前記入力操作部に表示して前記取引の取消可否を出力する取消確認手段と、前記取消可否が否のときは、前記取引を継続し、可のときは、前記シャッタを閉鎖するシャッタ閉鎖手段とを有している。
【0011】
第4の発明の自動取引装置は、利用者の操作によって取引を行う自動取引装置であって、前記利用者に操作画面を表示し、入力を促すための入力操作部と、前記利用者との間で現金を受け渡しするための接客口と、前記接客口に設けられた開閉自在なシャッタと、前記接客口に設けられた接客口センサと、操作中の前記取引を取消す取消信号を出力するスイッチ手段と、前記取消信号を受けて、前記接客口センサがオン状態かオフ状態かを判定して判定結果を出力するセンサ判定手段と、前記判定結果がオン状態のときは、前記取消信号を無効とする取消無効手段と、前記判定結果がオフ状態のときは、前記利用者に前記取引の取消の可否の確認を促す取消確認画面を、前記入力操作部に表示して前記取引の取消可否を出力する取消確認手段と、前記取消可否が否のときは、前記取引を継続し、可のときは、前記シャッタを閉鎖するシャッタ閉鎖手段とを有している。
【発明の効果】
【0012】
本発明の自動取引装置では、次の(1)〜(4)のような効果がある。
(1) 取消ボタンが押下されたときは、取消確認画面を表示して取引を継続するか否かを確認するように構成したので、突然シャッタが閉まり利用者が怪我をすることが防止できる。
【0013】
(2) 取消ボタンの押下が2回以上続いたときは、利用者に対して注意喚起画面を表示するようにしたので、より早く利用者はトラブルの原因に気づくことができる。
【0014】
(3) 取消ボタンが押下されたとき、入力操作部の他のエリアも押下されている場合は、取消ボタンの押下を無効とするようにしたので、突然シャッタが閉まり利用者が怪我をすることが防止できる。
【0015】
(4) 取消ボタンが押下されたとき、接客口の内部に手があるか否かを接客口センサにより検出し、手があったときは、取消ボタンの押下を無効とするようにしたので、突然シャッタが閉まり利用者が怪我をすることが防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は本発明の実施例1における図2のATMの機能ブロック図である。
【図2】図2は本発明の実施例1における自動取引装置(例えば、ATM)を示す外観図である。
【図3】図3は図1中の入力操作部12上に取引開始前に表示される取引選択画面を示す図である。
【図4】図4は実施例1における図1中の入力操作部12上に表示される入金リジェクト確認画面を示す図である。
【図5】図5は実施例1における図1中の入力操作部12上に表示される取消確認画面を示す図である。
【図6】図6は本発明の実施例1における図1及び図2のATM10の入金取引時の動作を示すフローチャートである。
【図7】図7は本発明の実施例2における図2のATMの機能ブロック図である。
【図8】図8は実施例2における図7中の入力操作部12上に表示される注意喚起画面を示す図である。
【図9】図9は本発明の実施例2における図7のATM10Aの入金取引時の動作を示すフローチャートである。
【図10】図10は本発明の実施例3における図2のATMの機能ブロック図である。
【図11】図11は本発明の実施例3における図10のATM10Bの入力取引時の動作を示すフローチャートである。
【図12】図12は本発明の実施例4における図2のATMの機能ブロック図である。
【図13】図13は本発明の実施例4における図12のATM10Cの入金取引時の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明を実施するための形態は、以下の好ましい実施例の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、明らかになるであろう。但し、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例1】
【0018】
(実施例1の構成)
図2は、本発明の実施例1における自動取引装置(例えば、ATM)を示す概略の外観図である。
【0019】
本実施例1のATM10は、銀行の店舗、コンビニエンスストア等に設置され、利用者自身の操作により、現金の預入れ(=入金)、現金の引出し、振込、残高照会、通帳記入等の取引を行うためのものである。
【0020】
ATM10は、熱や衝撃に対し一定の強度を有する鉄材で作られたキャビネット11で覆われている。ATM10の前面には、利用者が操作するための操作面11aが略水平に利用者の方向に突き出している。操作面11aの奥方向には、操作面11aから連続して投入面11bが設置されている。更に、投入面11bに連続して挿入面11cが略垂直に立ち上がっている。
【0021】
前記操作面11aには、操作のためのガイダンスを表示し各種取引のための入力を行う入力操作部12が設けられている。投入面11bには、入出金取引等、現金を扱う取引で使用する接客口、すなわち紙幣投入取出口13と硬貨投入取出口14とが設けられている。更に、接客口の上部には、異物が接客口に混入することを防ぐためと防犯上の観点から開閉自在なシャッタが設けられている。
【0022】
挿入面11cには、通帳取扱口15、キャッシュカード(以下単に「カード」という。)取扱口16及び音声等を出力するスピーカ17が設けられている。カードには、磁気ストライプが設けられており、磁気ストライプには、金融機関コードや顧客の口座番号、氏名等の顧客情報が記憶されている。
【0023】
図1は、本発明の実施例1における図2のATMを示す概略の機能ブロック図である。
【0024】
このATM10は、中央処理装置及び主記憶装置(以下「MEM」という。)からなる制御部31を有している。制御部31は、プログラム制御によりATM10全体を制御するものであり、この制御部31には、図示しないハードディスク等の不揮発性の補助記憶装置及びホストコンピュータとの通信を制御する通信制御部が接続されている。制御部31は、更に、取消確認手段31a及びシャッタ閉鎖手段31bを有している。制御部31により制御される入力操作部12は、文字や図形等で構成される操作画面を表示する画面表示機能と、情報入力のためのタッチパネル等による入力機能とを有している。
【0025】
ATM10は、制御部31により制御されるカード処理部32、音声案内部33、通帳処理部34、紙幣処理部35、及び硬貨処理部36を有している。カード処理部32は、カードの内容の読み取り書き込みを行うものである。音声案内部33は、スピーカ17を介して利用者に各種の案内を行う機能を有している。通帳処理部34は、通帳の記帳処理を行うものである。紙幣処理部35は、紙幣の真贋を鑑別し、計数し、入出金処理を行うものである。硬貨処理部36は、硬貨の真贋を鑑別し、計数し、入出金処理を行うものである。
【0026】
更に、接客口である紙幣投入取出口13及び硬貨投入取出口14には、シャッタ37が設けられている。このシャッタ37は、異物が接客口に混入することを防ぐためと、防犯上の観点から設けられており、必要なタイミングで開閉するように構成されている。接客口の内部には、異物又は手の存在を検出する接客口センサ38が設けられている。
【0027】
図3は、図1中の入力操作部12上に取引開始前に表示される取引選択画面例を示す図である。
【0028】
本取引選択画面は、ATM10に電源が投入されたときに表示される。取引選択画面上には、取引科目を表す、預入れボタン12a―1、引出しボタン12a―2、振込ボタン12a―3、公共料金払込みボタン12a―4、残高照会ボタン12a―5、通帳記入ボタン12a―6、振替ボタン12a―7、及び暗証番号変更ボタン12a―8の取引選択ボタン12a(=12a−1〜12a−8)が配列されている。
【0029】
図4は、実施例1における図1中の入力操作部12上に表示される入金リジェクト確認画面を示す図である。
【0030】
入金取引時に破損した紙幣や汚れの著しい紙幣或いは正当な紙幣とは判別されなかった紙幣等があったときは図4に示すような案内画面が表示される。この案内画面には、「入金できない紙幣がありました。お受け取りの後、確認ボタンを押してください。」のメッセージと確認ボタン12bが表示されている。
【0031】
図5は、実施例1における図1中の入力操作部12上に表示される取消確認画面を示す図である。
【0032】
本操作画面は、取引中に取消ボタンが押下されたときに表示され、「取引中に取消ボタンが押されました。取引を取消しますか。」のメッセージと、はいボタン12c、及び、いいえボタン12dが表示されている。
【0033】
(実施例1のATM10の全体動作)
図1、図2及び図3を用いて、引出し取引を例にATM10全体の動作を説明する。
【0034】
利用者がATM10に接近すると、図示しない近接センサがこれを検出し、入力操作部12に電源が投入される。電源が投入されると、入力操作部12に図3の取引選択画面が表示される。
【0035】
図3の取引選択画面では、預入れボタン12a―1、引出しボタン12a―2、振込ボタン12a―3、公共料金払込みボタン12a―4、残高照会ボタン12a―5、通帳記入ボタン12a―6、振替ボタン12a―7及び暗証番号変更ボタン12a―8が入力操作部12にグラフィック表示され、利用者に取引の選択を促す。利用者がこれらの取引選択ボタン12a(=12a−1〜12a−8)の1つを選択し、押下することにより、該当する取引が開始される。
【0036】
例えば、利用者が自口座から現金を引き出すときは、引出しボタン12a―2を押下する。引出しボタン12a―2の押下により、引出し取引が開始され、通帳及びカードの插入を促すメッセージが操作画面に表示される。通帳が通帳取扱口15に挿入されると、通帳処理部34はこれを取り込み、記帳の準備を行う。カードが、カード取扱口16に挿入されると、カード処理部32は、カードの磁気ストライプを読み取り、制御部31内のMEMに記憶する。
【0037】
次に、入力操作部12には、利用者の希望する出金額を入力するための操作画面が表示される。この操作画面を用いて、利用者により出金額が入力される。続いて、暗証番号を入力するための操作画面が表示される。顧客により暗証番号が入力されると、口座番号、金額、暗証番号等が制御部31で編集され、図示しないホストコンピュータに送信される。ホストコンピュータでは、ATM10からの電文を受信すると、受信した口座番号から当該利用者の口座ファイルから口座情報を読み出し、受信した暗証番号とホストコンピュータが保持している暗証番号とが一致するかチェックする。
【0038】
暗証番号が不一致のときは、ホストコンピュータは、その旨をATM10に送信する。ATM10は、暗証番号入力画面を入力操作部12に表示し、利用者に暗証番号の再入力を促す。暗証番号が一致したときは、ホストコンピュータは、当該取引を有効とし、当該口座ファイルの残高から受信した入金額を減算し新残高とする。未記帳分の通帳記帳データがあれば、新残高とともにATM10に送る。ATM10では、これを受信すると、通帳処理部34で取り込んだ通帳にホストコンピュータから受信した記帳データを印刷する。
【0039】
同時に、紙幣処理部35では、ATM10内部の図示しない保管庫から紙幣を取り出し、計数し、紙幣投入取出口13にセットする。硬貨入出金部40も同様に、保管庫から硬貨を取り出し、計数し、硬貨投入取出口14にセットする。次に、入力操作部12には、通帳、キャッシュカード及び現金の取り出しを促すメッセージが表示され、利用者は、通帳取扱口15、カード取扱口16及び紙幣投入取出口13、硬貨投入取出口14から通帳、キャッシュカード及び現金を取り出す。
【0040】
(実施例1のATM10の入金取引時の動作)
図6は、本発明の実施例1における図1及び図2のATM10の入金取引時の動作を示すフローチャートである。
【0041】
本実施例1におけるATM10の動作は、通常の入金取引の流れを示すステップS1〜S13の入金取引処理と、その入金処理の途中でスイッチ手段(例えば、取消ボタン)が押下されたときの処理の流れを示すステップS21〜S28の取消ボタン押下処理とから構成される。
【0042】
取消ボタン押下処理は、入金取引処理に対してサブルーチンの関係にあり、入金取引処理の取消ボタンの押下が有効であるステップにおいて、取消ボタンが押下されると、取消ボタン押下処理が起動される。取消ボタン押下処理において、入金処理の取消でなかったときは、取消ボタン押下処理は、リターン処理を実行して取消ボタンが押下された時点の入金取引処理のステップの次のステップへ戻るように構成されている。
【0043】
ATM10への電源の投入によりATM10の動作が開始され、ステップS1において、図3に示す取引選択画面が入力操作部12に表示される。ステップ2において、利用者により、預入れボタン12a―1が押下されることにより入金取引が選択される。ステップS3において、カードの挿入等の入金取引が実施され、ステップS4において、シャッタが開けられる。ステップ5において、利用者により紙幣が紙幣投入取出口13にセットされる。
【0044】
ステップS6において、紙幣のセットが完了すると、シャッタが閉じられ、ステップS7において、紙幣の真贋のチェック及び計数が実行される。ステップS8において、入金レジェクトがあったか否か、すなわち、破損した紙幣や汚れの著しい紙幣或いは正当な紙幣とは判別されなかった紙幣等があったか否かがチェックされる。
【0045】
ステップS8において、入金リジェクトがなかったときは(NO)、ステップS13において、入金金額の確認及び取引媒体排出等の取引終了処理が実行され本処理を終了する。ステップS8において、入金リジェクトがあったときは(YES)、ステップS9において、シャッタ37が開になり、ステップS10において、図4に示す入金リジェクト確認画面が表示される。この案内画面には、「入金できない紙幣がありました。お受け取りの後、確認ボタンを押してください。」のメッセージと確認ボタン12bが表示される。
【0046】
ステップS11において、利用者により接客口(=紙幣投入取出口)13からリジェクトされた紙幣が取り出され、ステップS12において、確認ボタン12bが押下され、ステップS6へ戻る。
【0047】
このような入金取引処理の動作の途中であって、取消ボタンの押下が有効であるタイミングにおいて、取消ボタンが押下されると、取消ボタン押下処理が起動される。ステップS21において、図5に示す取消確認画面が表示される。この取消確認画面には、「取引中に取消ボタンが押されました。取引を取消しますか。」のメッセージと、はいボタン12c、及び、いいえボタン12dが表示されている。いいえボタン12dが押下されたときは(NO)、リターン処理を実行して、取消ボタンが押下された時点の入金取引処理のステップの次のステップへ戻る。
【0048】
はいボタン12cが押下されたときは(YES)、ステップS23へ進み、ステップS23において、接客口に紙幣が存在するか否かが判定される。紙幣の有無は、図示しない紙幣センサによって検出される。紙幣があると判定されたときは、ステップ27へ進む。紙幣がないと判定されたときは、ステップS24において、紙幣がATM10の図示しない一時保留部に取り込まれているか否かが判定される。紙幣が一時保留部にないときは(NO)、ステップS28へ進む。
【0049】
紙幣が一時保留にあるときは(YES)、ステップS25において、一時保留部の紙幣を接客口へ搬送し、ステップS26でシャッタ37を開ける。ステップS27において、利用者により紙幣が受け取られ、ステップS28において、シャッタ37が閉じられる。ステップS13へ進み、ステップS13において、取引媒体排出等の取引終了処理が実行され本処理を終了する。
【0050】
(実施例1の効果)
本実施例1によれば、ATM10での入金取引時に、利用者の袖等で誤って取消ボタン12eを押下しても、取消確認画面を表示して本当に入金処理の取消を行うのか否かを確認するように構成したので、突然、シャッタ37が閉まり利用者が怪我をすることを防止できる。
【実施例2】
【0051】
(実施例2の構成)
図7は、本発明の実施例2における図2のATMの機能ブロック図であり、実施例1を示す図1中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0052】
本実施例2におけるATM10Aの構成は、実施例1を示す図1のATM10の構成とほぼ同様であり、実施例1の構成に注意喚起・取消確認手段31cAが追加されている点が異なる。
【0053】
図8は、実施例2における図7中の入力操作部12上に表示される注意喚起画面を示す図である。
【0054】
この注意喚起画面には、「取引中に取引ボタンが押されました。洋服の袖などが操作画面に触れていないかご確認ください。取引を取消しますか。」のメッセージと、はいボタン12c、及び、いいえボタン12dとが表示されている。
【0055】
(実施例2のATM10Aの入金取引時の動作)
図9は、本発明の実施例2における図7のATM10Aの入金取引時の動作を示すフローチャートであり、実施例1を示す図6中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0056】
本実施例2におけるATM10Aの入金取引時の動作は、以下のように実施例1と同様のステップS1〜S13及びステップS21〜S28と、本実施例2の特徴であるステップS31〜S34とに従って処理が行われる。
【0057】
本実施例2の入金取引処理は、実施例1とほぼ同様の処理であり、ATM10Aへの電源の投入によりATM10Aの動作が開始され、ステップS1の取引選択面表示処理、ステップS2の入金取引選択処理、ステップS3の入金取引実施処理、ステップS4のシャッタ開処理、ステップS5の紙幣をセット処理、ステップS6のシャッタ閉処理、ステップS7の紙幣の計数実施処理、ステップS8の入金リジェクトか否かの判定処理、ステップS9のシャッタ開処理、ステップS10の入金リジェクト確認画面処理、ステップS11の紙幣受取処理、及びステップS12の確認ボタン押下処理が実行され、実施例1と同様にステップS6に戻る。
【0058】
但し、ステップS8において、入金リジェクトでなかったときは(NO)、ステップS38に進み、回数カウンタをクリアしてからステップS13へ進む処理が、実施例1の処理と異なる。
【0059】
本実施例2の取消ボタン押下処理では、実施例1の取消ボタン押下処理に対して、ステップS31〜S34が追加されている。
【0060】
入金処理において、取消ボタンが有効なタイミングで取消ボタンが押下されたときは、取消ボタン押下処理が起動される。ステップS31において、取消ボタンの押下が2回目以上であるか否かが判定される。取消ボタンの押下が連続して2回目以上であったときは(YES)、ステップS32へ進み、図7に示す注意喚起画面が表示される。この注意喚起画面には、「操作中に取引ボタンが押されました。洋服の袖などが操作画面に触れていないかご確認ください。操作を取消しますか。」のメッセージと、はいボタン12c、及び、いいえボタン12dとが表示され、ステップS22へ進む。
【0061】
ステップS31において、取消ボタンの押下が2回目以上でなかったときは(NO)、実施例1と同様に取消確認画面が表示され、ステップS22へ進む。
【0062】
ステップS22において、入金取引を取消すか否かが判定される。取消さない場合は(NO)、ステップS33において、取消ボタンの押下回数のカウンタである回数カウントをカウントアップし、リターン処理を実行して、取消ボタンが押下された時点の入金取引処理のステップの次のステップへ戻る。
【0063】
入金取引を取り消す場合は(YES)、ステップS23へ進む。実施例1と同様に、ステップS23の紙幣が接客口にあるかの判定処理、ステップS24の紙幣が一時保留部にあるかの判定処理、ステップS25の紙幣の搬送処理、ステップS26のシャッタ37の開処理、ステップS27の紙幣受取処理、及びステップS28のシャッタ37の閉処理が実行され、ステップS34に進む。
【0064】
ステップS34において、回数カウンタがクリアされ、ステップS13の取引終了処理が実行されて本処理を終了する。
【0065】
(実施例2の効果)
本実施例2によれば、実施例1の効果に加え、取消ボタン12eの押下が2回目以上続いたときは、利用者に対して注意喚起画面を表示するようにしたので、衣服等が取消ボタン12eに接触している場合は、より早く、利用者はトラブルの原因に気づくことができる。
【実施例3】
【0066】
(実施例3の構成)
図10は、本発明の実施例3における図2のATMを示す概略の機能ブロック図であり、実施例1を示す図1中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0067】
本実施例3におけるATM10Bの構成は、実施例1を示す図1のATM10構成とほぼ同様であり、実施例1の構成に取消無効手段31dBが追加されている点が異なる。
【0068】
(実施例3のATM10Bの入金取引時の動作)
図11は、本発明の実施例3における図10のATM10Bの入金取引時の動作を示すフローチャートであり、実施例1を示す図6中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0069】
本実施例3におけるATM10Bの入金取引時の動作は、以下のように実施例1と同様のステップS1〜S13及びステップS21〜S28と、本実施例3の特徴であるステップS41,42とに従って処理が行われる。
【0070】
本実施例3の入金取引処理は、実施例1と同様の処理であり、ATM10Bへの電源の投入によりATM10Bの動作が開始され、ステップ1の取引選択面表示処理、ステップS2の入金取引選択処理、ステップS3の入金取引実施処理、ステップS4のシャッタ開処理、ステップS5の紙幣をセット処理、ステップS6のシャッタ閉処理、ステップS7の紙幣の計数実施処理、ステップS8の入金リジェクトか否かの判定処理、ステップS9のシャッタ開処理、ステップS10の入金リジェクト確認画面処理、ステップS11の紙幣受取処理、及びステップS12の確認ボタン押下処理が実行され実施例1と同様にステップS6に戻る。
【0071】
ステップS8において、入金リジェクトでなかったときは(NO)、ステップS13に進み、取引終了処理が実行され処理を終了する。
【0072】
本実施例3の取消ボタン押下処理では、実施例1の取消ボタン押下処理に対して、ステップS41,S42が追加されている。
【0073】
入金取引処理において、取消ボタンが有効なタイミングで取消ボタンが押下されたときは、取消ボタン押下処理が起動される。ステップS41において、取消ボタン以外の入力エリアが押下されたか否かが判定される。取消ボタン以外の入力エリアが押下されたときは(YES)、ステップS42において取消無効処理を実行して、リターン処理を実行し、取消ボタンが押下された時点の入金取引処理のステップの次のステップへ戻る。
【0074】
ステップS41において、取消ボタン以外の入力エリアが押下されていなかったときは(NO)、ステップS22へ進む。
【0075】
以下は、実施例1と同様に、ステップS22の入金取引を取消すか否かの判定処理、ステップS23の紙幣が接客口にあるかの判定処理、ステップS24の紙幣が一時保留部にあるかの判定処理、ステップS25の紙幣の搬送処理、ステップS26のシャッタ37の開処理、ステップS27の紙幣受取処理、及びステップS28のシャッタ37の閉処理が実行され、ステップS13の取引終了処理が実行されて本処理を終了する。
【0076】
(実施例3の効果)
本実施例3によれば、入金時又は入金リジェクト時に利用者が誤って取消ボタン12eを押下した際、取消ボタン12e以外のエリアも押下していた場合は、利用者の衣服の袖等が接触したものと判断して取消処理を無効とするようにしたので、シャッタ37が急に閉じることを防ぐ効果がある。
【実施例4】
【0077】
(実施例4の構成)
図12は、本発明の実施例4における図2のATMを示す概略の機能ブロック図であり、実施例1を示す図1中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0078】
本実施例4におけるATM10Cの構成は、実施例1を示す図1のATM10の構成とほぼ同様であり、実施例1の構成に取消無効手段31dC及びセンサ判定手段eCが追加されている点が異なる。
【0079】
(実施例4のATM10Cの入金取引時の動作)
図13は、本発明の実施例4における図12のATM10Cの入金取引時の動作を示すフローチャートであり、実施例3を示す図11中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0080】
本実施例4におけるATM10Cの入金取引時の動作は、以下のように、実施例1と同様のステップS1〜S13及びステップS21〜S28と、本実施例4の特徴であるステップS51,52とに従って処理が行われる。
【0081】
本実施例4の入金取引処理は、実施例1と同様の処理であり、ATM10Cへの電源の投入によりATM10Cの動作が開始され、ステップ1の取引選択面表示処理、ステップS2の入金取引選択処理、ステップS3の入金取引実施処理、ステップS4のシャッタ開処理、ステップS5の紙幣をセット処理、ステップS6のシャッタ閉処理、ステップS7の紙幣の計数実施処理、ステップS8の入金リジェクトか否かの判定処理、ステップS9のシャッタ開処理、ステップS10の入金リジェクト確認画面処理、ステップS11の紙幣受取処理、及びステップS12の確認ボタン押下処理が実行され、実施例1と同様にステップS6に戻る。
【0082】
ステップS8において、入金リジェクトでなかったときは(NO)、ステップS13に進み、取引終了処理が実行されて処理を終了する。
【0083】
本実施例4の取消ボタン押下処理は、実施例1の取消ボタン押下処理に対して、ステップS51,S2が追加されている。
【0084】
入金取引処理において、取消ボタンが有効なタイミングで取消ボタンが押下されたときは、取消ボタン押下処理が起動される。ステップS51において、接客口センサ38がオンか否かが判定される。ステップS51で接客口センサ38がオンのときは(YES)、ステップS52において取消処理を無効としてリターン処理を実行し、取消ボタンが押下された時点の入金取引処理のステップの次のステップへ戻る。
【0085】
接客口センサ38がオフ状態のときは(NO),ステップS21へ進む。以下、実施例1と同様に、ステップS21の取引確認画面表示処理、ステップS22の入金取引を取消すか否かの判定処理、ステップS23の紙幣が接客口にあるかの判定処理、ステップS24の紙幣が一時保留部にあるかの判定処理、ステップS25の紙幣の搬送処理、ステップS26のシャッタ37の開処理、ステップS27の紙幣受取処理、及びステップS28のシャッタ37の閉処理が実行され、ステップS13の取引終了処理が実行されて本処理を終了する。
【0086】
(実施例4の効果)
本実施例4によれば、入金処理時に、誤って取消ボタン12eを押下したときは、接客口センサ38で利用者の手の有無を検出し、有りのときは、取消処理を無効とするようにしたのでシャッタ37が急に閉まることを防止できる。
【0087】
(変形例)
本発明は、上記実施例に限定されず、種々の利用形態や変形が可能である。この利用形態や変形例としては、例えば、次の(a)〜(e)のようなものがある。
【0088】
(a) 自動取引装置は、金融機関の店舗、コンビニエンスストア等に設置されるATM10,10A,10B,10Cのみに限定されない。利用者による操作で取引を行う装置であれば、広く適用できる。例えば、駅等に設置される券売機、空港等に設置される航空券発行機、スーパーマーケットに設置されるセルフレジ、市役所等に設置される証明書発行機等が考えられる。
【0089】
(b) 現金として紙幣で説明したが、硬貨でも同様に本発明が適用できる。
【0090】
(c) 入金取引を例に説明したが、例えば、引出し取引や振込取引等の他の取引でも適用可能である。
【符号の説明】
【0091】
10,10A,10B,10C ATM
12 入力操作部
12e 取消ボタン
13 紙幣投入取出口
14 硬貨投入取出口
31,31A、31B、31C 制御部
31a,31aA,
31aB、31aC 取消確認手段
31b,31bA,
31bB,31bC シャッタ閉鎖手段
31cA 注意喚起・取消確認手段
31dB,31dC 取消無効手段
31eC センサ判定手段
37 シャッタ
38 接客口センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の操作によって取引を行う自動取引装置において、
前記利用者に操作画面を表示し、入力を促すための入力操作部と、
前記利用者との間で現金を受け渡しするための接客口と、
前記接客口に設けられた開閉自在なシャッタと、
操作中の前記取引を取消す取消信号を出力するスイッチ手段と、
前記取消信号を受けて、前記利用者に前記取引の取消の可否の確認を促す取消確認画面を前記入力操作部に表示し、前記取引の取消可否を出力する取消確認手段と、
前記取消可否が否のときは、前記取引を継続し、可のときは、前記シャッタを閉鎖するシャッタ閉鎖手段と、
を有することを特徴とする自動取引装置。
【請求項2】
利用者の操作によって取引を行う自動取引装置において、
前記利用者に操作画面を表示し、入力を促すための入力操作部と、
前記利用者との間で現金を受け渡しするための接客口と、
前記接客口に設けられた開閉自在なシャッタと、
操作中の前記取引を取消す取消信号を出力するスイッチ手段と、
前記取消信号を受けて、前記取消信号の出力が連続して複数回あったときは、前記利用者に注意を促す注意喚起画面を、前記入力操作部に表示して前記取引の取消の可否の確認を促し、前記取引の取消可否を出力する注意喚起・取消確認手段と、
前記取消信号を受けて、前記取消信号の出力が連続して複数回でなかったときは、前記利用者に前記取引の取消の可否の確認を促す取消確認画面を前記入力操作部に表示し、前記取引の取消可否を出力する取消確認手段と、
前記取消可否が否のときは、前記取引を継続し、可のときは、前記シャッタを閉鎖するシャッタ閉鎖手段と、
を有することを特徴とする自動取引装置。
【請求項3】
利用者の操作によって取引を行う自動取引装置において、
前記利用者に操作画面を表示し、入力を促すための入力操作部と、
前記利用者との間で現金を受け渡しするための接客口と、
前記接客口に設けられた開閉自在なシャッタと、
操作中の前記取引を取消す取消信号を出力するスイッチ手段と、
前記取消信号を受けて、前記入力操作部から前記取消信号以外の入力があったときは、前記取消信号を無効とする取消無効手段と、
前記取消信号を受けて、前記入力操作部から前記取消信号以外の入力がなかったときは、前記利用者に前記取引の取消の可否の確認を促す取消確認画面を、前記入力操作部に表示して前記取引の取消可否を出力する取消確認手段と、
前記取消可否が否のときは、前記取引を継続し、可のときは、前記シャッタを閉鎖するシャッタ閉鎖手段と、
を有することを特徴とする自動取引装置。
【請求項4】
利用者の操作によって取引を行う自動取引装置において、
前記利用者に操作画面を表示し、入力を促すための入力操作部と、
前記利用者との間で現金を受け渡しするための接客口と、
前記接客口に設けられた開閉自在なシャッタと、
前記接客口に設けられた接客口センサと、
操作中の前記取引を取消す取消信号を出力するスイッチ手段と、
前記取消信号を受けて、前記接客口センサがオン状態かオフ状態かを判定して判定結果を出力するセンサ判定手段と、
前記判定結果がオン状態のときは、前記取消信号を無効とする取消無効手段と、
前記判定結果がオフ状態のときは、前記利用者に前記取引の取消の可否の確認を促す取消確認画面を、前記入力操作部に表示して前記取引の取消可否を出力する取消確認手段と、
前記取消可否が否のときは、前記取引を継続し、可のときは、前記シャッタを閉鎖するシャッタ閉鎖手段と、
を有することを特徴とする自動取引装置。
【請求項5】
前記スイッチ手段は、前記入力操作部に表示された取消ボタンであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の自動取引装置。
【請求項6】
前記現金は、紙幣及び/又は硬貨であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の自動取引装置。
【請求項7】
前記接客口は、紙幣投入取出口及び/又は硬貨投入取出口であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の自動取引装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−266920(P2010−266920A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−115375(P2009−115375)
【出願日】平成21年5月12日(2009.5.12)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】