説明

自動取引装置

【課題】利用者の操作により現金を取扱う自動取引装置において、利用者の無駄な操作を減らし、取引時間を短縮する。
【解決手段】利用者が操作して所望の取引を選択する操作部4と、紙幣入出金口3に投入された紙幣を鑑別する鑑別部39とを備え、当該鑑別結果に基づいて前記選択取引を行い、前記鑑別部39により鑑別できた金額および鑑別できなかった紙幣の枚数から入金金額を推定し、当該推定した金額を前記操作部4に表示して入金金額または振込金額として選択できるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現金を投入して所望の取引を行う現金自動預払機等の自動取引装置において金種鑑別ができなかったときの処理技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の自動取引装置では、入金金額や振込金額を入力し、当該金額の紙幣、硬貨をそれぞれの入出金口から投入すると、当該紙幣、硬貨を計数し、操作入力した入金金額や振込金額が入金計数した金額と一致するまで入金処理を行い、一致した後に、次の処理に移行するようになっている(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭63−298498号公報
【特許文献2】特開昭61−233890号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の自動取引装置では、利用者がテンキーなどを用いて入金や振込む金額をあらかじめ操作入力する必要があり利用者にとっては煩わしい操作が必要であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、前述の課題を解決するため次の構成を採用する。すなわち、利用者が操作して所望の取引を選択する操作部と、媒体入出金口に投入された媒体を鑑別する鑑別手段と、鑑別結果に応じて、所望の取引を行う自動取引装置において、前記鑑別手段により鑑別できなかった媒体の枚数から鑑別できなかった金額を推定し、当該推定金額を前記操作部に表示して入金金額または振込金額として選択できるようにした。
【発明の効果】
【0006】
本発明の自動取引装置によれば、利用者が操作して所望の取引を選択する操作部と、媒体入出金口に投入された媒体を鑑別する鑑別手段とを備え、当該鑑別結果に基づいて前記選択取引を行う自動取引装置であって、前記鑑別手段により鑑別できた金額および鑑別できなかった媒体の枚数から入金金額を推定し、当該推定した金額を前記操作部に表示して入金金額または振込金額として選択できるようにしたので、利用者の無駄な操作を減らし、取引時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】実施例1の自動取引装置の概観斜視図である。
【図2】実施例1の自動取引装置の図1矢印A方向から見た側面図である。
【図3】実施例1の自動取引装置の制御系ブロック図である。
【図4】実施例1の自動取引装置の動作フローチャート図である。
【図5】実施例1の自動取引装置の動作説明図である。
【図6】実施例1の自動取引装置の操作画面例である。
【図7】実施例1の自動取引装置の動作説明図である。
【図8】実施例1の自動取引装置の操作画面例である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明に係わる実施の形態例を、図面を用いて説明する。図面に共通する要素には同一の符号を付す。
【実施例1】
【0009】
(構成)
実施例1の自動取引装置は、図1のような外観をしており、硬貨入出金口2、紙幣入出金口3、操作部4、通帳挿入口5、カード挿入口6を備えている。
【0010】
硬貨入出金口2および紙幣入出金口3は、それぞれ硬貨および紙幣が投入されるとともに、これらが排出される開口部である。硬貨入出金口2および紙幣入出金口3には、それぞれシャッタが設けられ、シャッタが駆動されることにより硬貨入出金口2および紙幣入出金口3がそれぞれ開閉される。これらの奥部には、後述する硬貨および紙幣の入出金処理を行う硬貨処理部25および破線で示した紙幣処理部26が設けられている。
【0011】
通帳挿入口5は、取引で使用される通帳がここから挿入され、取引が終了すると通帳が排出される部分で、その奥部には、後述する通帳処理部23が設けられている。カード挿入口6は、カードが挿入または排出される部分で、その奥部には、後述するカード処理部21が設けられている。
【0012】
操作部4は、取引に際して操作画面を表示するLCDと、取引選択、暗証番号や取引金額などを入力するタッチパネルが一体化されて構成される。
【0013】
図2は、実施例1の自動取引装置の内部構成を示し図1の矢印A方向から見た側面図である。なお、硬貨処理部25は簡略化のために省略している。同図に示したように、実施例1の自動取引装置の内部は、利用者が操作する操作部4や紙幣入出金口3などからなる接客部38、紙幣の真偽を判定する鑑別部39、入金紙幣を一時的に保留する一時保留部30、そして、装置下側には、紙幣貯蔵部31として金種別のカセットが設けられている。
【0014】
また、本発明には直接関係しないが、精査取引時のリジェクト紙幣や利用者が受け取らなかったリジェクト紙幣などを収納しておくリジェクト紙幣収納部33が設けられている。
【0015】
(制御系の構成)
次に、実施例1の自動取引装置の制御系は、図3の制御系ブロック図に示したように、後述の各部の制御を行う主制御部20と、表示されるガイダンスに従い利用者が操作する操作部4とが設けられている。
【0016】
さらに、実施例1の自動取引装置の制御系には、キャッシュカード等に記録された口座番号等の情報のリードライトを行うカード処理部21、操作ガイダンス等を音声出力する音声案内部22、口座番号等の情報が記録された通帳の磁気ストライプのリードライトおよび通帳への印字制御を行う通帳処理部23、取引明細を印字出力する明細票処理部24、硬貨の入出金制御を行う硬貨処理部25、紙幣の入出金制御を行う紙幣処理部26が設けられている。
【0017】
さらに、各部に電源を供給する電源部27、主制御部20の記憶部であり各種の制御パラメータを格納できる記憶手段としてのメモリ部28、ホストコンピュータ50とのインタフェイスを制御するインタフェイス部29が設けられている。
【0018】
(動作)
以上の構成により、実施例1の自動取引装置は以下のように動作する。この動作を図4の動作フローチャート、図5の動作説明図、図6の操作画面例を用いて以下詳細に説明する。
【0019】
まず、利用者が自動取引装置1に近づき、前面に備えた図示しない近接センサ等により利用者を検知すると、操作部4に取引選択画面を表示する(ステップS01)。そして、操作部4により入金処理または振込処理が選択されると紙幣処理部26の入出金口である紙幣入出金口3への紙幣投入待ち状態となる(ステップS02)。
【0020】
そして、紙幣が投入されると、投入された紙幣は、紙幣処理部26の鑑別部39に搬送され、鑑別計数される(ステップS03)。
【0021】
そして、リジェクト紙幣があったときは(ステップS04)、正常に鑑別された紙幣は紙幣処理部26の一時保留部30に格納し、リジェクトされた紙幣は、紙幣入出金口3に搬送する(ステップSS05)。このとき、紙幣処理部26は、正常に計数された紙幣枚数や金額とリジェクトされた紙幣枚数を主制御部20に通知する。
【0022】
そして、主制御部20は、リジェクト紙幣は金額が不明であるため、リジェクト紙幣の枚数から入金されたと思われる金額を推定し、図6の画面例G01に示したように操作部4に表示する(ステップS06)。
【0023】
例えば、100万円を入金または振込む取引において、入金紙幣のうち、万円券98枚は鑑別でき、2枚がリジェクトとなったときは、図5のように、リジェクト紙幣2枚は、2枚がいずれも万円券であるケース101、1枚が万円券で1枚が五千円券であるケース102、1枚が万円券で1枚が千円券であるケース103、2枚が五千円券あるケース104、1枚が五千円券で1枚が千円券であるケース105、2枚が千円券であるケース106のいずれかと推定される。
【0024】
以上の推定に基づき、これに対応する金額のボタン101〜106を図6のように表示し、「入金した金額の2枚が鑑別できませんでした。」「入金した金額は、以下のいずれかではないですか。」「入金した金額ボタンを選択してください。」とガイダンス100を表示し、また、取引を中断するための取消ボタン150もこれらとともに表示する。
【0025】
すると、利用者は、画面G01のボタン101〜106から入金した金額のボタンを押下する(ステップS07)。或いは、このとき、取引を中断したいときは取消ボタン150を押下する。この場合、一時保留部30の紙幣を紙幣入出金口3へ搬送し(ステップS12)、利用者が紙幣入出金口3から紙幣を受取り、取引終了となる。
【0026】
取引を継続し入金した金額のボタンを選択したときは、利用者がリジェクト紙幣を受け取るまで待ち(ステップS08)、受け取ったときは、ステップS02に戻り、利用者が受け取ったリジェクト紙幣或いは新たな利用者の紙幣を紙幣入出金口3に投入されるのを待ち、以降同様の処理を繰り返す。
【0027】
本例では、入金または振込金額が100万円であるので、利用者はボタン101を選択し、リジェクト紙幣が2枚発生しているので、再度、利用者が受け取ったリジェクト紙幣或いは新たな利用者の紙幣として、万円券2枚を投入することになる(ステップS02)。
【0028】
そして、再度計数し(ステップS03)、例えば、投入された2枚のうち1枚が再度リジェクトとなった場合は(ステップS04)、鑑別された1枚を一次保留部30に搬送し、リジェクトとなった1枚を紙幣入出金口3に搬送し(ステップS05)、リジェクトとなった1枚の金額が不明であるため、この枚数から、入金されたと思われる金額を推定し、図8の画面例G02に示したように操作部4に表示する(ステップS06)。
【0029】
この場合は、図7のように、リジェクト1枚の紙幣の金額のケースは、万円券であるケース201、五千円券であるケース202、千円券であるケース203のいずれかと推定される。
【0030】
以上の推定に基づき、これに対応する金額のボタン201〜203を表示し、「入金した金額の1枚が鑑別できませんでした。」「入金した金額は、以下のいずれかではないですか。」「入金した金額ボタンを選択してください。」とガイダンス200を表示し、また、取引を中断するための取消ボタン250もこれらとともに表示する。
【0031】
すると、利用者は、画面G02のボタン201〜203から入金した金額のボタンを押下する(ステップS07)。或いは、このとき、取引を中断したいときは取消ボタン250を押下する。この場合、一時保留部30の紙幣を紙幣入出金口3へ搬送し、利用者が紙幣入出金口3から紙幣を受取り、取引終了となる。
【0032】
取引を継続し入金した金額のボタンを押下したときは、利用者がリジェクト紙幣を受け取るまで待ち(ステップS08)、受け取ったときは、ステップS02に戻り、利用者が受け取ったリジェクト紙幣或いは新たな利用者の紙幣を紙幣入出金口3に投入されるのを待ち、以降同様の処理を繰り返す。
【0033】
そして、再度計数し正常に計数できたかどうかを判定し(ステップS03、S04)、正常に計数できリジェクト紙幣がなかったときは、計数された紙幣を一時保留部30に搬送し(ステップS09)、計数された金額が選択金額と一致しているかどうかを判定し(ステップS10)、一致しているときは、紙幣処理部26の一時保留部30の紙幣を紙幣貯蔵部31に搬送し、ホストコンピュータ50にインタフェイス部29を経由して、入金取引の場合は入金金額等を送信し、振込取引の場合は振込人、振込先、金額等の情報をホストコンピュータに送信して、本処理を終了する(ステップS11)。
【0034】
一方、ステップS10にて、計数された金額が選択金額と一致していないときは、選択された金額と入金金額とが一致していないときは、操作部4や音声案内部22などによりその旨をガイダンス出力し、ステップS02に戻り、新たな紙幣の投入を待ち、以降同様の処理を行う。
【0035】
なお、以上の実施例の説明では、紙幣の入金取引、振込取引について説明したが、硬貨を取り扱う入金取引や振込取引、或いは硬貨および紙幣を混合して入金や振込を行う場合などにおいても、リジェクトされた枚数から入金された金額を推定し、以上と同様の処理を行うこともできる。
【0036】
(実施例1の効果)
以上詳細に述べたように実施例1の自動取引装置によれば、利用者が操作して所望の取引を選択する操作部と、紙幣入出金口に投入された紙幣を鑑別する鑑別手段とを備え、当該鑑別結果に基づいて前記選択取引を行う自動取引装置において、前記鑑別手段により鑑別できなかった紙幣の枚数から鑑別できなかった金額を推定し、当該推定金額を前記操作部に表示して入金金額として選択できるようにしたので、利用者の無駄な操作を減らし、取引時間を短縮することができる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
以上述べたように、本発明は、現金を投入して所望の取引を行う現金自動預払機等の自動取引装置に広く用いることができる。
【符号の説明】
【0038】
1 自動取引装置
2 硬貨入出金口
3 紙幣入出金口
4 操作部
20 主制御部
26 紙幣処理部
28 メモリ部
29 インタフェイス部
30 一次保留部
31 紙幣貯蔵部
39 鑑別部
50 ホストコンピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者が操作して所望の取引を選択する操作部と、媒体入出金口に投入された媒体を鑑別する鑑別手段とを備え、当該鑑別結果に基づいて前記選択取引を行う自動取引装置であって、
前記鑑別手段により鑑別できた金額および鑑別できなかった媒体の枚数から入金金額を推定し、当該推定した金額を前記操作部に表示して入金金額または振込金額として選択できるようにしたことを特徴とする自動取引装置。
【請求項2】
前記媒体は、紙幣または硬貨のいずれかまたは両方であることを特徴とする請求項1記載の自動取引装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−128870(P2011−128870A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−286506(P2009−286506)
【出願日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】