説明

自動取引装置

【課題】装置本体と、該装置本体の前面に取り付けられる前面パネルと、前記装置本体内に取り付けられるユニットとを同一の固定シャフトによって固定することにより、保守、点検等の際に前面パネルとユニットとの位置合わせを容易、かつ、正確に行うことができ、保守、点検等に要する負荷及び時間を低減することができ、さらに、媒体つまりの発生を防止して故障率を低減することができ、構造が簡素で、ランニングコストが低く、信頼性を高くすることができるようにする。
【解決手段】装置本体と、該装置本体の前面に開閉可能に取り付けられる前面パネルと、前記装置本体内に取り付けられ、該装置本体の後面から取り外し可能なユニットとを有する自動取引装置であって、前記装置本体と前面パネルとユニットとは、同一の固定シャフトによって相互に固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動取引装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、銀行、信用金庫等の金融機関の支店、コンビニエンスストア、スーパーマーケット、デパート等の商店の店舗等には、ATM(Automatic Teller Machine:現金自動預払機)、CD(Cash Dispenser:現金自動支払機)等の自動取引装置が設置されている。そして、利用者は前記自動取引装置を自分で操作して、入金、出金、振込、振替等の金融取引を行うようになっている。
【0003】
ところで、海外では、自動取引装置を店舗等の建物の屋内に配設するのみならず、通りに面した建物の外壁に埋め込むように取り付けること、すなわち、自動取引装置を外壁設置することがある。外壁設置の場合、自動取引装置の前面であって、タッチパネル、テンキー、カードスロット、紙幣の入出金口等を含む顧客操作部が配設された部分のみが壁面に露出し、自動取引装置の後面が建物内に位置するように取り付けられる。そして、外壁設置された自動取引装置の場合、前面を開くことは物理的に困難であり、また、通りに面した前面を開いて自動取引装置の内部を視認可能にすることはセキュリティの観点から望ましくないので、一般的には、後面に配設された後面扉を開いて紙幣等の補充や保守点検を行うようになっている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
もっとも、タッチパネル等のように前面に実装されている部品の交換、故障調査等の作業は、後面から行うことが困難であるから、自動取引装置の装置本体の前面に開閉可能な前面パネルを配設することも行われている。なお、前面パネルの開放、自動取引装置の装置本体内に取り付けられる各種のユニットの組立、着脱等は、後面扉の開放後に行われることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−94480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記従来の自動取引装置においては、前面パネルとユニットとの位置合わせが困難であり、前面パネルとユニットとの位置合わせが不正確であるために故障率が高くなってしまう。例えば、前面に紙幣が出入りする入出金口が配設された紙幣入出金ユニットを自動取引装置の装置本体内に取り付ける場合には、前記入出金口の位置が、前面パネルに配設された紙幣の入出金口の位置と一致するようにする必要がある。しかし、自動取引装置の装置本体の後面扉を開放して、後方から紙幣入出金ユニットを装置本体内に取り付ける作業においては、紙幣入出金ユニットの前面の入出金口と前面パネルの入出金口との位置関係を視認することができず、位置合わせを厳密に行うことが困難である。そのため、紙幣入出金ユニットの入出金口と前面パネルの入出金口との間の位置ずれに起因する紙幣のつまり等が発生しやすく、故障率が高くなってしまう。
【0007】
また、前面パネルが開閉可能な自動取引装置の場合、前面パネルを閉じた後のロックを、後方から操作するロックレバーの係合によって行うようになっているので、係合の完了を視認することができず、ロックが不完全となることがある。この場合、前面パネルに配設された入出金口等の開口の位置が、対応するユニットの前面に配設された開口の位置とずれてしまい、前述した紙幣のつまりのような媒体つまりが発生し、故障率が高くなってしまう。
【0008】
さらに、自動取引装置の搬送時に振動を受けることによって、前記ロックレバーの係合部が変形すると、前面パネルに配設された開口の位置が更にずれてしまい、媒体つまりの発生率が更に高くなり、故障率が更に高くなってしまう。
【0009】
本発明は、前記従来の自動取引装置の問題点を解決して、装置本体と、該装置本体の前面に取り付けられる前面パネルと、前記装置本体内に取り付けられるユニットとを同一の固定シャフトによって固定することにより、保守、点検等の際に前面パネルとユニットとの位置合わせを容易、かつ、正確に行うことができ、保守、点検等に要する負荷及び時間を低減することができ、さらに、媒体つまりの発生を防止して故障率を低減することができ、構造が簡素で、ランニングコストが低く、信頼性の高い自動取引装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そのために、本発明の自動取引装置においては、装置本体と、該装置本体の前面に開閉可能に取り付けられる前面パネルと、前記装置本体内に取り付けられ、該装置本体の後面から取り外し可能なユニットとを有する自動取引装置であって、前記装置本体と前面パネルとユニットとは、同一の固定シャフトによって相互に固定される。
【0011】
本発明の他の自動取引装置においては、さらに、前記ユニットは、その前面に配設されたユニット側開口を備え、前記前面パネルは、前記ユニット側開口に対応するパネル側開口を備え、前記装置本体と前面パネルとユニットとが前記固定シャフトによって相互に固定されると、前記ユニット側開口とパネル側開口とが位置決めされる。
【0012】
本発明の更に他の自動取引装置においては、さらに、前記前面パネルには貫通孔(こう)を備えるパネル用軸受部材が固定され、前記ユニットには貫通孔を備えるユニット用軸受部材が固定され、前記装置本体には貫通孔を備える装置本体用軸受部材が固定され、前記パネル用軸受部材、ユニット用軸受部材及び装置本体用軸受部材の貫通孔に前記固定シャフトが挿通される。
【0013】
本発明の更に他の自動取引装置においては、さらに、前記パネル用軸受部材の貫通孔には雌ねじ部が形成され、前記固定シャフトの先端部に形成された雄ねじ部が前記雌ねじ部に螺(ら)合する。
【0014】
本発明の更に他の自動取引装置においては、さらに、前記装置本体の後面に開閉可能に取り付けられる後面扉を更に有し、該後面扉は、前記固定シャフトが固定されないと閉止不能である。
【0015】
本発明の更に他の自動取引装置においては、さらに、前記後面扉が閉止しないと運用不能である。
【0016】
本発明の更に他の自動取引装置においては、さらに、前記固定シャフトは後端に固定部を備え、該固定部が前記装置本体又はユニットに固定されると前記固定シャフトが回転不能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、自動取引装置においては、装置本体と、該装置本体の前面に取り付けられる前面パネルと、前記装置本体内に取り付けられるユニットとを同一の固定シャフトによって固定する。これにより、保守、点検等の際に前面パネルとユニットとの位置合わせを容易、かつ、正確に行うことができ、保守、点検等に要する負荷及び時間を低減することができ、さらに、媒体つまりの発生を防止して故障率を低減することができ、構造を簡素化し、ランニングコストを低減し、信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施の形態における自動取引装置の斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態における自動取引装置の内部構造を示す要部平断面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態における自動取引装置の内部構造を示す要部側断面図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態における自動取引装置の斜視図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態における自動取引装置の内部構造を示す要部平断面図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態における自動取引装置の内部構造を示す要部側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0020】
図1は本発明の第1の実施の形態における自動取引装置の斜視図である。
【0021】
図において、10は、本実施の形態におけるATM、CD等の自動取引装置であり、銀行、信用金庫等の金融機関の支店等に配設され、利用者が、自分で操作して入金、出金、通帳記帳、残高照会、振込、振替、送金等の取引、すなわち、金融取引を行うための装置である。なお、前記自動取引装置10は、コンビニエンスストア、スーパーマーケット、デパート等の商店の店舗、地下街、駅の構内、市役所、病院等の公共施設、工場、事務所等の私企業、駐車場、道路脇(わき)等の屋外等に配設されていてもよい。
【0022】
なお、前記自動取引装置10は、必ずしも金融取引を行うための装置に限定されるものではなく、例えば、無担保ローン、カードローン等のローン契約を行うために自分で操作する無人契約端末、チケット予約や商品購入申込みを行うためのショッピング端末、タバコや飲料を販売する自動販売機、店舗のレジに配設された代金の精算を行うためのPOS(Point of Sales)端末、駅の構内等に配設された鉄道の切符を発券するための券売機、空港等に配設された航空機の搭乗券を発券するための発券機等であってもよい。
【0023】
ここでは、説明の都合上、自動取引装置10が金融取引を行うための装置であって、好適には、海外における銀行のような金融機関の支店等の店舗の建物に外壁設置され、紙幣を用いた金融取引を行うATM、CD等の自動取引装置である場合についてのみ説明する。
【0024】
前記自動取引装置10は、筐(きょう)体としての装置本体12と、該装置本体12の前面に開閉可能に取り付けられた前面パネル13と、前記装置本体12の後面に開閉可能に取り付けられた後面扉14とを有する。なお、前記前面パネル13は、回動軸18を中心に回動することによって、開閉する。
【0025】
そして、前記前面パネル13には、操作部15が配設されている。該操作部15は、タッチパネルとして機能する表示装置であり、CRT、液晶ディスプレイ、LED(Light Emitting Diode)ディスプレイ等から成り、表示手段としての機能と入力手段としての機能とを兼ね備え、操作手順その他の情報をイラスト、文字又は文言によって画面に表示して顧客を誘導するとともに、暗証番号、金額、口座番号、取引の承認、確認、取消等に対応するキーを表示し、利用者の入力を受け付ける。
【0026】
また、前記装置本体12の内部には、預金、振替、振込すべき紙幣又は出金される紙幣を、投入又は取り出し可能なユニットとしての紙幣入出金ユニット17が取り付けられている。さらに、前記前面パネル13には、パネル側開口として、利用者が紙幣を投入又は取り出すための入出金口であるパネル側入出金口16が配設されている。そして、入金取引の際に利用者がパネル側入出金口16から紙幣を投入すると、紙幣入出金ユニット17は、投入された紙幣を識別し、計数して、内蔵する収納庫内に収納する。また、出金取引の際には、紙幣入出金ユニット17は、収納庫から紙幣を繰り出し、計数して、パネル側入出金口16から紙幣を排出して利用者に引き渡す。
【0027】
なお、前記装置本体12の内部には、必要に応じ、前記紙幣入出金ユニット17に加えて、キャッシュカード等のカードを取り扱い、利用客IDを取得するカード取扱ユニット、硬貨の投入又は取り出しが可能な硬貨入出金ユニット、預金通帳等の通帳に記帳する通帳記帳ユニット等の各種のユニットを取り付けることができる。また、同様に、前記前面パネル13には、カード取扱ユニット、硬貨入出金ユニット、通帳記帳ユニット等の各種のユニットに対応して、カードを挿入又は排出するためのカードスロット、硬貨を投入又は取り出すための硬貨入出金口、通帳を挿入又は排出するための通帳スロット等の各種のパネル側開口を取り付けることができる。
【0028】
本実施の形態においては、説明の都合上、紙幣入出金ユニット17以外のユニット及びパネル側入出金口16以外のパネル側開口については、説明を省略する。
【0029】
次に、前記自動取引装置10の内部構造について詳細に説明する。
【0030】
図2は本発明の第1の実施の形態における自動取引装置の内部構造を示す要部平断面図、図3は本発明の第1の実施の形態における自動取引装置の内部構造を示す要部側断面図である。
【0031】
前記紙幣入出金ユニット17の前面には、ユニット側開口として、紙幣の入出金口であるユニット側入出金口21が配設されている。図3に示されるように、前面パネル13が閉じられ、かつ、装置本体12内への紙幣入出金ユニット17の取付が完了した状態においては、パネル側入出金口16とユニット側入出金口21とは位置が整合しており、すなわち、位置合わせがされている。したがって、パネル側入出金口16から投入された紙幣は、スムーズにユニット側入出金口21を通過して紙幣入出金ユニット17内に取り込まれ、ユニット側入出金口21から排出された紙幣は、スムーズにパネル側入出金口16を通過して利用者に引き渡される。この場合、ユニット側入出金口21の前端と前面パネル13の内面、すなわち、パネル側入出金口16の後端との間隔は、図3において、Lで表される所定値となっている。なお、前記前面パネル13は、必要に応じて、操作部15の交換作業に必要な位置まで、回動軸18を中心に、回動させることができる。
【0032】
そして、22は、装置本体12と、前面パネル13と、紙幣入出金ユニット17とを固定する固定シャフトであり、前後方向(図2及び3における左右方向)に延在し、前記装置本体12内に配設される。前記固定シャフト22の先端部には雄ねじ部が形成され、該雄ねじ部が、前面パネル13の内側に固定されたパネル用軸受部材23の貫通孔に形成された雌ねじ部に螺入される。
【0033】
また、紙幣入出金ユニット17の側面にはユニット用軸受部材24が固定され、装置本体12の内側面には装置本体用軸受部材25が固定されている。前記ユニット用軸受部材24及び装置本体用軸受部材25には、それぞれ、貫通孔が形成され、固定シャフト22は、ユニット用軸受部材24及び装置本体用軸受部材25の貫通孔に回転可能に挿通される。そして、前記固定シャフト22の先端部に形成された雄ねじ部をパネル用軸受部材23の貫通孔に形成された雌ねじ部に螺入してねじ締めすることによって、前記固定シャフト22は固定される。
【0034】
これにより、紙幣入出金ユニット17は、装置本体12内において、図2及び3に示されるような位置に固定される。また、前面パネル13も装置本体12に固定される。つまり、前面パネル13及び紙幣入出金ユニット17は、パネル用軸受部材23、ユニット用軸受部材24及び装置本体用軸受部材25の各貫通孔が同軸上に並ぶような位置に固定される。
【0035】
また、前記固定シャフト22の後端部には、保守担当者が操作するシャフト操作部としてのノブ26が固定されている。そして、該ノブ26には、図2に示されるように、固定部として半径方向に延出する第1固定部26a及び第2固定部26bが一体的に接続され、前記第1固定部26a及び第2固定部26bは、ビス、ボルト等の固定手段によって、紙幣入出金ユニット17の背面及び装置本体用軸受部材25に、それぞれ、固定されている。これにより、固定シャフト22は、回転不能となっている。
【0036】
なお、前記第1固定部26a及び第2固定部26bの紙幣入出金ユニット17の背面及び装置本体用軸受部材25への固定は、適宜、省略することもできるが、振動等によって固定シャフト22が回転する可能性があるときは、第1固定部26a及び第2固定部26bを紙幣入出金ユニット17の背面及び装置本体用軸受部材25へ固定しておくことが望ましい。
【0037】
また、図1に示される例において、後面扉14は開いた状態となっているが、図2及び3に示される例において、後面扉14は閉じた状態となっている。そして、後面扉14は、図示されない錠装置を備え、自動取引装置10の管理者又は該管理者の委託を受けた保守担当者が所持する鍵(かぎ)等の解錠手段によって施錠及び開錠することができる。
【0038】
図2及び3に示される状態は、前面パネル13が閉じられて固定され、紙幣入出金ユニット17が装置本体12内に固定され、固定シャフト22は回転不能に固定され、後面扉14は閉じられて施錠された状態である。
【0039】
次に、前記構成の自動取引装置10の動作について説明する。
【0040】
まず、故障等の発生によって、点検、修理、交換等のために紙幣入出金ユニット17を取り外す場合について説明する。
【0041】
この場合、まず、保守担当者は、解錠手段によって開錠し、後面扉14を、図1に示されるように、開放する。続いて、ビス、ボルト等の固定手段を外し、ノブ26の第1固定部26a及び第2固定部26bを紙幣入出金ユニット17の背面及び装置本体用軸受部材25から外して、固定シャフト22を回転可能とする。そして、ノブ26を操作して固定シャフト22を回転させ、該固定シャフト22の先端部に形成された雄ねじ部とパネル用軸受部材23の貫通孔に形成された雌ねじ部との螺合を解除させる。なお、固定シャフト22を回転させる方向は、前記雄ねじ部及び雌ねじ部が右ねじである場合には左回り方向であり、前記雄ねじ部及び雌ねじ部が左ねじである場合には右回り方向である。そして、前記雄ねじ部と雌ねじ部との螺合を解除するように固定シャフト22を回転させると、該固定シャフト22が後方に移動するので、ノブ26は、図3において26cで示される位置にまで移動する。
【0042】
このように、前記雄ねじ部と雌ねじ部との螺合を解除すると、固定シャフト22をパネル用軸受部材23、ユニット用軸受部材24及び装置本体用軸受部材25の貫通孔から引き抜いて取り外すことができる。そして、固定シャフト22が取り外されると、紙幣入出金ユニット17は、装置本体12に固定されていない状態となるので、装置本体12から後方に引き出して、取り外すことができる。
【0043】
また、自動取引装置10を搬送する場合であって、搬送時に振動を受ける場合には、図2及び3に示されるように、固定シャフト22の雄ねじ部をパネル用軸受部材23の雌ねじ部に螺合し、さらに、ノブ26の第1固定部26a及び第2固定部26bを紙幣入出金ユニット17の背面及び装置本体用軸受部材25にビス、ボルト等の固定手段によって固定することにより、固定シャフト22を回転不能としておく。これにより、前面パネル13及び紙幣入出金ユニット17が、装置本体12において強固に固定されるので、自動取引装置10が振動を受けても、前面パネル13及び紙幣入出金ユニット17の位置がずれてしまうことがない。
【0044】
さらに、前面パネル13に配設された操作部15の点検、修理、交換等を行う場合、保守担当者は、解錠手段によって開錠し、後面扉14を、図1に示されるように、開放する。続いて、ビス、ボルト等の固定手段を外し、ノブ26の第1固定部26a及び第2固定部26bを紙幣入出金ユニット17の背面及び装置本体用軸受部材25から外して、固定シャフト22を回転可能とする。そして、ノブ26を操作して固定シャフト22を回転させ、該固定シャフト22の先端部に形成された雄ねじ部とパネル用軸受部材23の貫通孔に形成された雌ねじ部との螺合を解除させ、ノブ26が26cで示される位置にまで移動するように、固定シャフト22を後方に移動させる。続いて、操作部15の点検、修理、交換等の作業に必要な位置まで、前面パネル13を回動軸18を中心に回動させる。
【0045】
なお、固定シャフト22が固定されておらず、ノブ26が26cで示される位置にある状態、すなわち、前面パネル13及び紙幣入出金ユニット17が固定されていない状態にあるときは、後面扉14とノブ26とが干渉するので、後面扉14は閉止不能となり、施錠することができない。そして、後面扉14が閉じていないと、図示されない検出手段によって検出され、自動取引装置10が運用状態にならない、すなわち、運用不能となるように設定されている。
【0046】
このように、本実施の形態においては、点検、修理、交換等の際に、前面パネル13のパネル側入出金口16の後端とユニット側入出金口21の前端との間隔を視認することができなくても、固定シャフト22によって前面パネル13及び紙幣入出金ユニット17を固定すると、前記間隔が自動的に所定値Lに設定される。したがって、パネル側入出金口16とユニット側入出金口21との位置合わせが容易、かつ、確実に行われるので、紙幣のつまりが発生することがなく、故障率を低減することができる。また、パネル側入出金口16とユニット側入出金口21との位置を確認するために必要な手間と時間とを削減することができる。
【0047】
また、固定シャフト22が固定されていないと、後面扉14を閉じて施錠することができず、自動取引装置10が運用状態にならないので、自動取引装置10の組立不良に起因する故障率を低減することができる。
【0048】
さらに、ノブ26の第1固定部26a及び第2固定部26bを紙幣入出金ユニット17の背面及び装置本体用軸受部材25に固定することによって、固定シャフト22を回転不能とすることができるので、搬送時等に振動を受けても固定シャフト22が回転してしまうことがなく、前面パネル13及び紙幣入出金ユニット17の位置がずれてしまうことがない。したがって、故障率を低減することができる。
【0049】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略する。また、前記第1の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
【0050】
図4は本発明の第2の実施の形態における自動取引装置の斜視図、図5は本発明の第2の実施の形態における自動取引装置の内部構造を示す要部平断面図、図6は本発明の第2の実施の形態における自動取引装置の内部構造を示す要部側断面図である。
【0051】
本実施の形態における自動取引装置10は、装置本体12に対して紙幣入出金ユニット17をスライド可能に前後方向に移動させるためのスライドレール装置28を備える。該スライドレール装置28によって、図4に示されるように、紙幣入出金ユニット17を装置本体12にスムーズ、かつ、容易に引き出すことができる。そのため、紙幣入出金ユニット17の点検、修理、部品交換等の保守を容易に行うことができる。
【0052】
また、装置本体12の内側面には、装置本体用軸受部材25に加えて、第2装置本体用軸受部材27が固定されている。該第2装置本体用軸受部材27には貫通孔が形成され、固定シャフト22は、ユニット用軸受部材24、装置本体用軸受部材25及び第2装置本体用軸受部材27の貫通孔に回転可能に挿通される。なお、第2装置本体用軸受部材27は、パネル用軸受部材23に近接した位置に配設される。
【0053】
その他の点の構成及び動作については、前記第1の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
【0054】
このように、本実施の形態においては、点検、修理、交換等の際に、前面パネル13のパネル側入出金口16の後端とユニット側入出金口21の前端との間隔を視認することができなくても、固定シャフト22によって前面パネル13及び紙幣入出金ユニット17を固定すると、前記間隔が自動的に所定値Lに設定される。したがって、パネル側入出金口16とユニット側入出金口21との位置合わせが容易、かつ、確実に行われるので、紙幣のつまりが発生することがなく、故障率を低減することができる。また、パネル側入出金口16とユニット側入出金口21との位置を確認するために必要な手間と時間とを削減することができる。
【0055】
また、固定シャフト22が固定されていないと、後面扉14を閉じて施錠することができず、自動取引装置10が運用状態にならないので、自動取引装置10の組立不良に起因する故障率を低減することができる。
【0056】
さらに、ノブ26の第1固定部26a及び第2固定部26bを紙幣入出金ユニット17の背面及び装置本体用軸受部材25に固定することによって、固定シャフト22を回転不能とすることができるので、搬送時等に振動を受けても固定シャフト22が回転してしまうことがなく、前面パネル13及び紙幣入出金ユニット17の位置がずれてしまうことがない。したがって、故障率を低減することができる。
【0057】
さらに、固定シャフト22によって紙幣入出金ユニット17を装置本体12に固定するので、スライドレール装置28で発生する位置ずれを吸収することができる。
【0058】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、自動取引装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0060】
10 自動取引装置
12 装置本体
13 前面パネル
14 後面扉
16 パネル側入出金口
17 紙幣入出金ユニット
21 ユニット側入出金口
22 固定シャフト
23 パネル用軸受部材
24 ユニット用軸受部材
25 装置本体用軸受部材
26a 第1固定部
26b 第2固定部
27 第2装置本体用軸受部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)装置本体と、
(b)該装置本体の前面に開閉可能に取り付けられる前面パネルと、
(c)前記装置本体内に取り付けられ、該装置本体の後面から取り外し可能なユニットとを有する自動取引装置であって、
(d)前記装置本体と前面パネルとユニットとは、同一の固定シャフトによって相互に固定されることを特徴とする自動取引装置。
【請求項2】
前記ユニットは、その前面に配設されたユニット側開口を備え、
前記前面パネルは、前記ユニット側開口に対応するパネル側開口を備え、
前記装置本体と前面パネルとユニットとが前記固定シャフトによって相互に固定されると、前記ユニット側開口とパネル側開口とが位置決めされる請求項1に記載の自動取引装置。
【請求項3】
前記前面パネルには貫通孔を備えるパネル用軸受部材が固定され、
前記ユニットには貫通孔を備えるユニット用軸受部材が固定され、
前記装置本体には貫通孔を備える装置本体用軸受部材が固定され、
前記パネル用軸受部材、ユニット用軸受部材及び装置本体用軸受部材の貫通孔に前記固定シャフトが挿通される請求項1又は2に記載の自動取引装置。
【請求項4】
前記パネル用軸受部材の貫通孔には雌ねじ部が形成され、前記固定シャフトの先端部に形成された雄ねじ部が前記雌ねじ部に螺合する請求項3に記載の自動取引装置。
【請求項5】
前記装置本体の後面に開閉可能に取り付けられる後面扉を更に有し、
該後面扉は、前記固定シャフトが固定されないと閉止不能である請求項1〜4のいずれか1項に記載の自動取引装置。
【請求項6】
前記後面扉が閉止しないと運用不能である請求項5に記載の自動取引装置。
【請求項7】
前記固定シャフトは後端に固定部を備え、該固定部が前記装置本体又はユニットに固定されると前記固定シャフトが回転不能となる請求項1〜6のいずれか1項に記載の自動取引装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2011−54005(P2011−54005A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−203336(P2009−203336)
【出願日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【出願人】(591089556)株式会社 沖情報システムズ (276)
【Fターム(参考)】