説明

自動取引装置

【課題】トップカバー5の回転支点7を装置本体6に固定し当該トップカバー5を開閉可能な自動取引装置1において、簡易で安価な構成で、前記トップカバー5を開いたときに置忘れ媒体4が滑り落ちることを確実に防止する。
【解決手段】落下防止部材2を前記回転支点7近傍のトップカバー5に設けるようにした。または、前記回転支点7を、装置本体6端面より前記回転支点7と反対側の所定の位置で装置本体6に固定し、前記装置本体6端面側の筐体の上部を突出させて落下防止突起部12を設けるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トップカバーを開いて保守を行う現金処理機等の自動取引装置において、トップカバー上に置き忘れた物品等が設置床等に落下することを防止するトップカバー構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の現金処理機などの自動取引装置では、図4(a)に示したように、装置内を保守するためにトップカバー5に回転支点7を設けて装置本体6に固定し、図4(b)の矢印Aのように開くことができる構造となっている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−272453号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の自動取引装置では、図4に示したように、ジャム除去などの保守を行うときにトップカバー5を矢印Aのように開くと、トップカバー5上に置き忘れたカードや硬貨等の置忘れ媒体4が、トップカバー5上を滑り、背面壁8bと装置間の隙間に落下してしまい、硬貨等はさらに散らばってしまい、隙間に落下した置忘れ媒体4を拾うためには、長い棒状のような物を使って拾い上げるか、設置された自動取引装置1の設置を解除して移動させて拾っていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、前述の課題を解決するために次の構成を採用する。すなわち、トップカバーの回転支点を装置本体に固定し当該トップカバーを開閉可能な自動取引装置において、落下防止部材を前記回転支点近傍のトップカバーに設けるようにした。
【0006】
または、前述の課題を解決するために、トップカバーの回転支点を装置本体に固定し当該トップカバーを開閉可能な自動取引装置において、前記回転支点を、装置本体端面より前記回転支点と反対側の所定の位置で装置本体に固定し、前記装置本体端面側の筐体の上部を突出させて落下防止突起部を設けるようにした。
【発明の効果】
【0007】
本発明の自動取引装置によれば、以上のように構成したので、簡易で安価な構成で、前記トップカバーを開いたときに置忘れ媒体が滑り落ちることを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施例1の自動取引装置の概観斜視図である。
【図2】実施例1の自動取引装置の構成および動作説明図である。
【図3】実施例2の自動取引装置の構成および動作説明図である。
【図4】従来の自動取引装置の構成および動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係わる実施の形態例を、図面を用いて説明する。図面に共通する要素には同一の符号を付す。
【0010】
なお、以下の説明では、金融機関等に設置され顧客等の操作により入出金等の取引を行う自動取引装置を例として説明するが、両替機などの現金処理機、乗車券等の発券を行う自動券売機、或いはコピー機などであってもよい。
【実施例1】
【0011】
(構成)
図1は、実施例1の自動取引装置の構成を示した概観斜視図であり、図2は、実施例1の自動取引装置の構成を示した側面図である。
【0012】
図1に示したように、実施例1の自動取引装置は、硬貨を入金或いは出金する硬貨入出金口12と、紙幣を投入或いは出金する紙幣入出金口11と、取引操作画面を表示するとともに所定の入力を行うタッチパネルとからなる操作部14と、取引開始前の認証のためのカード等を挿入し排出するカード挿入排出口16とをトップカバー5に備える。
【0013】
さらに、実施例1の自動取引装置は、図2に示したように、トップカバー5に回転支点7を設けて装置本体6に固定してトップカバー5を開閉できるようにし、トップカバー5の回転支点7近傍の装置背面側に落下防止部材2が設けられた構造となっている。落下防止部材2は、図示していないがネジ止めや接着或いは溶着させることよりトップカバー5端部に取付けてもよいし、トップカバー5とともに成型するようにしてもよい。
【0014】
なお、落下防止部材2は、側断面が所定の挟角を形成するL字形状であって、トップカバー5が全開になった場合でも立ち上り面の角度θが水平方向よりも上向きになるようになっている。当該角度θは、置忘れ媒体4の落下を確実に防止するためには60度程度以上とするのが好ましい。また、落下防止部材2の左右両端から置忘れ媒体4が落下することをも防止するために、図示していないが、落下防止部材2の左右両端を蓋っておくとなおよい。
【0015】
(動作)
以上の構成により実施例1の自動取引装置は、以下のように動作する。この動作を、前出図2を用いて以下詳細に説明する。
【0016】
入出金取引等における硬貨や紙幣等の搬送において、ジャム等が発生すると、係員は、ジャム除去などの保守を行うためにトップカバー5を開放する。
【0017】
このとき、それまでの取引において使用していたカードや硬貨等を操作者がトップカバー5の上に置き忘れたまま、トップカバー5を矢印Aのように開くと、置忘れ媒体4がトップカバー5上を矢印Bのように滑り落ちる。
【0018】
すると、落下し始めた置忘れ媒体4は、トップカバー5の背面側に備えた落下防止部材2にぶつかって保持され、それ以上落下することがない。
【0019】
(実施例1の効果)
以上のように、実施例1の自動取引装置によれば、トップカバーの回転支点を装置本体に固定し当該トップカバーを開閉可能な自動取引装置において、落下防止部材を前記回転支点近傍のトップカバーに設けるようにしたので、簡易な構成で、前記トップカバーを開いたときに置忘れ媒体が滑り落ちることを確実に防止することができる。
【実施例2】
【0020】
(構成)
図3は、実施例2の自動取引装置の構成を示す図である。同図に示したように、実施例2の自動取引装置では、実施例1の自動取引装置の落下防止部材2に替えて、装置本体6の背面筐体の上部を突出させて落下防止突起部12を設けている。この場合も実施例1の落下防止部材2と同様、落下防止突起部12の左右両端から置忘れ媒体4が落下することをも防止するために、図示していないが、落下防止突起部12の左右両端を蓋うようにしておくとなおよい。
【0021】
また、実施例2の自動取引装置では、トップカバー5の回転支点7を装置本体6の背面より前面側の所定の位置で装置本体6に固定し、トップカバー5を図3(b)矢印Aのように開くことができるようになっている。その他の構成は、実施例1の構成と同様であるので簡略化のためにその詳細な説明は省略する。
【0022】
(動作)
以上の構成により、実施例2の自動取引装置1は以下のように動作する。この動作を前出図3を用いて以下詳細に説明する。
【0023】
実施例1と同様、入出金取引等における紙幣等の搬送などにおいて、ジャム等が発生すると、係員は、ジャム除去などの保守を行うためにトップカバー5を開放する。
【0024】
このとき、それまでの取引において使用していたカードや硬貨等を操作者がトップカバー5の上に置き忘れたまま、トップカバー5を矢印Aのように開くと、置忘れ媒体4がトップカバー5上を矢印Bのように滑り落ちる。
【0025】
すると、実施例2の自動取引装置では、落下し始めた置忘れ媒体4は、トップカバー5の背面側に備えた落下防止突起部12にぶつかって止まり、それ以上落下することがない。
【0026】
(実施例2の効果)
以上のように、実施例2の自動取引装置によれば、トップカバーの回転支点を装置本体に固定し当該トップカバーを開閉可能な自動取引装置において、前記回転支点を、装置背面より前面側の所定の位置で装置本体に固定し、前記装置背面側の筐体の上部を突出させて落下防止突起部を設けるようにしたので、部材を増やすことなく安価な構成で、実施例1の効果と同様、トップカバーを開いたときに置忘れ媒体が滑り落ちることを確実に防止することができる。
【0027】
《その他の変形例》
以上の実施例の説明では、トップカバー5の回転支点7を装置本体6の背面側に備える例として説明したが、トップカバー5の回転支点7を左右いずれかの側面側に備えて左右方向にトップカバー5を開く場合であってもよいし、或いは、前面側にトップカバー5の回転支点7を備え前面側にトップカバー5を開く場合にも本発明を適用することもできる。
【0028】
この場合、回転支点7側が壁となるように設置された場合では、壁との間に置忘れ媒体4が落下しないようにできるという前述の実施例の自動取引装置と同様の効果があり、壁がない方向に回転支点7を備える場合であっても、多数の硬貨等を置き忘れていた場合などではこれらが落下して散らばってしまうという問題を解決することができる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
以上述べたように、本発明は、トップカバーを開いて保守を行う自動取引装置などに広く用いることができる。
【符号の説明】
【0030】
1 自動取引装置
2 落下防止部材
4 置忘れ媒体
5 トップカバー
6 装置本体
7 回転支点
8a 設置床
8b 背面壁
12 落下防止突起部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トップカバーの回転支点を装置本体に固定し当該トップカバーを開閉可能な自動取引装置において、
落下防止部材を前記回転支点近傍のトップカバーに設けるようにしたことを特徴とする自動取引装置。
【請求項2】
前記落下防止部材は、側断面が所定の挟角を形成するL字形状であって、
当該挟角は、トップカバーが全開になったときに立ち上り面の角度が水平よりも上向きになるようにしたことを請求項1記載の自動取引装置。
【請求項3】
トップカバーの回転支点を装置本体に固定し当該トップカバーを開閉可能な自動取引装置において、
前記回転支点を、装置本体端面より前記回転支点と反対側の所定の位置で装置本体に固定し、前記装置本体端面側の筐体の上部を突出させて落下防止突起部を設けるようにしたことを特徴とする自動取引装置。
【請求項4】
前記回転支点は、装置後面側若しくは前面側または左右いずれかの側面側に設けたことを特徴とする請求項1ないし請求項3いずれか記載の自動取引装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−43070(P2012−43070A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−181869(P2010−181869)
【出願日】平成22年8月16日(2010.8.16)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【出願人】(591089556)株式会社 沖情報システムズ (276)
【Fターム(参考)】