説明

自動取引装置

【課題】プラパート3を床面に接地させていないときに金庫ユニット4を引き出すことを防止し自動取引装置1が転倒することを防止する。
【解決手段】金庫ユニット4を備え、プラパート3を収納して移動しプラパート3を引き出して設置する自動取引装置1において、前記プラパート3を収納したときに当該プラパート3の上部先端を挿入させて前記金庫ユニット4を引き出せないようにする凹部を前記金庫ユニット4の底部に設け、前記凹部は、切欠き部4aまたはねじタップ部4bとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユニットを備え、プラパートを収納して移動しプラパートを引き出して設置する入出金機などの自動取引装置における転倒防止構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、この種の自動取引装置では、装置を移動するときはキャスタとともに装置底部に備えたプラパートをキャスタの接地位置より上側に収納してキャスタにて移動し、装置を設置するときはキャスタの接地位置より下側にプラパートを下げて装置を固定し倒れないようになっている。
【0003】
そして、移動時でも転倒しないような構造とするために、底部に、張り出し及び収納可能に設けられた転倒防止足と、転倒防止足に取り付けられ移動のための手段を収納したキャスタと、転倒防止足を、キャスタにて支持してなす転倒角よりもキャスタにて支持してなす転倒角を大きくする位置に張り出し可能として、装置が転倒しないようにする技術はあった(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−148583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の自動取引装置では、プラパートを床面に接地させていないときに、金庫ユニット・メカユニット等の重量のあるユニットを自動取引装置から引き出したときは、自動取引装置の重心バランスが崩れて転倒防止足では支えきれず転倒し、自動取引装置を毀損したりオペレータに怪我を負わせてしまったりすることがあった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前述の課題を解決するために次の構成を採用する。すなわち、ユニットを備え、プラパートを収納して移動しプラパートを引き出して設置する自動取引装置において、前記プラパートを収納したときに当該プラパートの上部先端を挿入させて前記ユニットを引き出せないようにする凹部を前記ユニットの底部に設けた。
【発明の効果】
【0007】
本発明の自動取引装置によれば、以上のように構成したので、プラパートを床面に接地させていないときは、ユニットを引き出せないようにすることができ、自動取引装置の転倒を確実に防ぐことができる。
また、以上のように構成したので、派生的効果として、自動取引装置を移動する際に、金庫ユニットが前記切欠き部と前記プラパート上部先端により固定されるので、金庫ユニットが引き出されて、金庫ユニットが盗難されたり、装置内部の構造を見られてしまうおそれもなくすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施例1の自動取引装置の外観斜視図である。
【図2】実施例1の自動取引装置の要部構成図である。
【図3】実施例1の自動取引装置の金庫ユニットの構成図である。
【図4】実施例1の自動取引装置の要部拡大図および動作説明図である。
【図5】実施例1の自動取引装置の要部拡大図および動作説明図である。
【図6】実施例2の自動取引装置の金庫ユニットの構成図である。
【図7】実施例2の自動取引装置の要部構成および動作説明図である。
【図8】実施例2の自動取引装置の要部構成および動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係わる実施の形態例を、図面を用いて説明する。図面に共通する要素には同一の符号を付す。
【0010】
なお、以下の説明では、金融機関等に設置され入出金等の取引を行う自動取引装置を例として説明するが、両替機などの現金処理機、乗車券等の発券を行う自動券売機、或いはコピー機などであってもよい。
【実施例1】
【0011】
(構成)
図1は、実施例1の自動取引装置の構成を示した外観斜視図であり、図2は、実施例1の自動取引装置の要部構成を示した側面図である。
【0012】
同図に示したように実施例1の自動取引装置1は、操作カバー部2と、図示しないスライドレール等により矢印Aのように前面側へ引出し可能な金庫ユニット4と、同様に引出し可能な上部引出ユニット5、下部引出ユニット6を備える。操作カバー部2には、図示しない操作モニタや入出金口、操作部等が設けられる。
【0013】
また、実施例1の自動取引装置1の下部には、装置を移動するためのキャスタ8と、自動取引装置1を移動および設置するときに上側に収納および床側に引出し可能なプラパート3が配置されている。
【0014】
なお、本例では、重量のあるユニットとして金庫ユニット4、比較的軽量なユニットとして上部引出ユニット5および下部引出ユニット6を備えた例として説明するが、その他のユニットを備えた構成であっても勿論よい。
【0015】
次に、図2の自動取引装置の要部構成図、図3の金庫ユニットの構成図、図4および図5の要部拡大図を用いて、自動取引装置の要部構成をさらに詳細に説明する。
【0016】
実施例1の自動取引装置では、図4のように、プラパート3のプラパートねじ部3aを取付けるための装置キャビネットねじ部7aが装置キャビネット7に備えられており、この装置キャビネットねじ部7aにプラパートねじ部3aを嵌め込むことより図5のようにキャスタ8の内側まで収納できるようになっている。
【0017】
一方、金庫ユニット4には、図3のa部のように、金庫ユニット4を引き出せないようにする凹部としての、切欠き穴4aが備えられており、図5のようにプラパート3を収納したときに、プラパートねじ部3aが切欠き穴4aに入り込み、金庫ユニット4を引き出すときのストッパーとして機能するようになっている。
【0018】
(動作)
以上の構成により実施例1の自動取引装置は、以下のように動作する。この動作を、前出図4および図5を用いて以下詳細に説明する。
【0019】
まず、図4のように、キャスタ8の高さを超えてプラパート3が矢印Bのように床面に接地された状態では、プラパートねじ部3aが金庫ユニット4に設けられた切欠き穴4aから抜けた状態となり、金庫ユニット4の図示しないロック部を解除すれば矢印Aのように引き出すことができ、紙幣等の媒体の取り出しや収納などの保守を行うことができる。
【0020】
一方、図5のように、自動取引装置1を移動等しようとして、プラパート3をキャスタ8の高さより低くして床面に接地していない状態とした場合では、プラパート3は矢印Cのように移動し、プラパートねじ部3aが切欠き穴4aに入り込んだ状態となる。
【0021】
この状態で、金庫ユニット4の図示しないロック部を解除し金庫ユニット4を引き出そうとしても、金庫ユニット4下部の切欠き穴4aがプラパートねじ部3aに突き当たり、引き出すことができない。従って、自動取引装置1の転倒を防止することができる。
【0022】
(実施例1の効果)
以上のように、実施例1の自動取引装置によれば、ユニットを備え、プラパートを収納して移動しプラパートを引き出して設置する自動取引装置において、前記プラパートを収納したときに当該プラパートの上部先端を挿入させて前記ユニットを引き出せないようにする切欠き部をユニット底部に設けるようにしたので、プラパートを床面に接地させていないときにユニットを引き出すことを防止し自動取引装置が転倒することを防止することができる。
【0023】
また、実施例1の自動取引装置によれば、派生的効果として、自動取引装置を移動する際に、金庫ユニットが前記切欠き部と前記プラパート上部先端により固定されるので、金庫ユニットが引き出されて、金庫ユニットが盗難されたり、装置内部の構造を見られてしまうおそれもなくすことができる。
【実施例2】
【0024】
(構成)
実施例2の自動取引装置1では、図6の金庫ユニット4の構成図に示したように、金庫ユニット4を引き出せないようにする凹部として、実施例1にて金庫ユニット下部に備えた切欠き部4aに替えて、プラパートねじ部3aを挿入可能なねじタップ部4bを備えている。その他の構成は、実施例1の構成と同様であるので簡略化のためにその詳細な説明は省略する。
【0025】
(動作)
以上の構成により、実施例2の自動取引装置1は以下のように動作する。この動作を図7、図8の実施例2の自動取引装置の要部構成および動作説明図を用いて以下詳細に説明する。
【0026】
まず、図7のように、キャスタ8の高さを超えてプラパート3が矢印Bのように床面に接地された状態では、プラパートねじ部3aが金庫ユニット4に設けられたねじタップ部4bから抜けた状態となっており、金庫ユニット4の図示しないロック部を解除すれば矢印Aのように引き出すことができ、紙幣等の媒体の取り出しや収納などの保守を行うことができる。
【0027】
一方、図8のように、自動取引装置1を移動等しようとして、プラパート3をキャスタ8の高さより低くして床面に接地していない状態とした場合では、プラパート3は矢印Cのように移動し、ねじタップ部4bにプラパートねじ部3aが篏合した状態となっている。
【0028】
この状態で、金庫ユニット4の図示しないロック部を解除し金庫ユニット4を引き出そうとしても、金庫ユニット4下部のねじタップ部4bがプラパートねじ部3aに篏合されており引き出すことができない。従って、自動取引装置1の転倒を確実に防止することができる。
【0029】
なお、以上のように、プラパート3を床面に接地していない状態とすると金庫ユニット4と装置キャビネット7がねじにより勘合された状態となるため、ねじタップ部4bとプラパートねじ部3aが自動取引装置1を移動するときの金庫ユニット4の固定金具としても作用する。
【0030】
(実施例2の効果)
以上のように、実施例2の自動取引装置によれば、ユニットを備え、プラパートを収納して移動しプラパートを引き出して設置する自動取引装置において、前記プラパートを収納したときに当該プラパートの先端と篏合するねじタップ部をユニット底部に設けたので、プラパートを床面に接地させていないときにユニットを引き出すことを確実に防止し自動取引装置が転倒することを防止することができる。
【0031】
また、実施例2の自動取引装置によれば、派生的効果として、自動取引装置を移動する際に金庫ユニットが前記ねじタップ部と前記プラパート上部先端により確実に固定されるので、金庫ユニットが引き出されて金庫ユニットが盗難されたり、装置内部の構造を見られてしまうおそれを確実になくすことができるとともに、新たな輸送用の金具を設ける必要がなくなり経済的効果をも奏する。
【産業上の利用可能性】
【0032】
以上述べたように、本発明は、ユニットを備え、プラパートを収納して移動しプラパートを引き出して設置する入出金機などの自動取引装置に広く用いることができる。
【符号の説明】
【0033】
1 自動取引装置
2 操作カバー部
3 プラパート
3a プラパートねじ部
4 金庫ユニット
4a 切欠き穴
4b ねじタップ部
5、6 引出しユニット
7 装置キャビネット
7a 装置キャビネットねじ部
8 キャスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユニットを備え、プラパートを収納して移動しプラパートを引き出して設置する自動取引装置において、
前記プラパートを収納したときに当該プラパートの上部先端を挿入させて前記ユニットを引き出せないようにする凹部を前記ユニットの底部に設けたことを特徴とする自動取引装置。
【請求項2】
前記凹部は、前記プラパートを収納したときに当該プラパートの上部先端が入り込む切欠き部としたことを特徴とする請求項1記載の自動取引装置。
【請求項3】
前記凹部は、前記プラパートを収納したときに当該プラパートの上部先端と篏合するねじタップ部としたことを特徴とする請求項1記載の自動取引装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−48398(P2012−48398A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−188740(P2010−188740)
【出願日】平成22年8月25日(2010.8.25)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【出願人】(591089556)株式会社 沖情報システムズ (276)
【Fターム(参考)】