説明

自動式顕微鏡のための自動的なカセットおよびスライド操作システム

複数の顕微鏡スライドをカセット内に準備し、個々のスライドをそれらの夫々のカセットから自動的かつ順次的に取出し、各スライドをプロトコルにより規定された如く顕微鏡の下方に位置決めし、且つ、検査後に上記スライドをその適切なカセットへと戻す、自動的なカセットおよびスライド操作システムが開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に関する相互参照
本出願は、2006年8月4日に出願された米国仮出願第60/821,545号の優先権の特典を主張するものであり、該出願は言及したことにより全体的に本明細書中に援用される。本明細書において引用される全ての文献およびそれらの言及文献は、付加的もしくは代替的な詳細、特徴および/または技術的背景の教示に対して適切である場合、言及したことにより本明細書中に援用される。
発明の背景
本発明は概略的に、複数の顕微鏡スライドをカセット内に準備し、各スライドを個別的かつ順次的に自動式顕微鏡へと自動的に転送することで各スライドが検査かつ分析されることを許容し、且つ、引き続いて各スライドを上記顕微鏡から回収して元のカセットへと戻すシステムに関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0002】
【特許文献1】なし
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】なし
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
各実施例においては、以下のものが開示される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
複数のスライドを離間された平行形態で保持すべく構成された複数のスロットを画成するカセット内に収容されたスライドを取出し且つ再配置する機構であって、
自身を貫通する長手チャネルを含む送給アームと、
第1端部および第2端部を有する仮想的長手軸心を囲繞する長手引出しスプリング・ワイヤであって、上記第1および第2端部は相互に対し且つ該引出しスプリング・ワイヤの上記仮想的長手軸心に対して直交して屈曲され、該長手引出しスプリング・ワイヤは屈曲された各端部が上記送給アームにおける上記長手チャネルから突出する如く該チャネル内に位置され、且つ、該引出しスプリング・ワイヤが上記長手チャネル内で回転可能とされることで各屈曲端部が上記送給アームに関する配向を変更し得る如く該長手引出しスプリング・ワイヤは上記長手チャネル内に作用的に位置される、という長手引出しスプリング・ワイヤとを備えて成る、機構。
【0006】
複数の顕微鏡スライドを格納するスライド・マガジン・カセットであって、
頂部表面と、底部表面と、2つの側部表面とを備えるハウジングであって、各表面はそれらの間の貫通空隙を画成するというハウジングと、
上記ハウジングの上記側部表面の各々に対して取付けられ且つ上記貫通空隙内へと突出する複数の対合係止構造であって、該対合係止構造の各々は反対側の側部表面に取付けられた別の対の係合構造に対して実質的に平行であり、上記平行な対合係止構造の各々は、各係止構造間に単一の顕微鏡スライドを係合して支持することを許容すべく、且つ、上記貫通空隙のいずれかの側から平行な係止構造の対に対して直角に力が付与されたときに各係止構造に関する上記スライドの移動を許容すべく構成かつ離間されるという複数の対合係止構造とを備えて成る、スライド・マガジン・カセット。
【0007】
離間された平行構成で複数の顕微鏡スライドを夫々保持すべく構成された複数のスロットを画成するカセットと、
上記カセットが当該空隙内に位置されるのを許容すべく構成された空隙を画成する底壁部および2つの側壁部を有する上昇器ハウジングと、
上記上昇器ハウジングに対して作用的に接続された上昇器制御機構であって、上記上昇器ハウジングを垂直軸心に沿い昇降すべく作用的に構成された上昇器制御機構と、
上記上昇器ハウジングから上記カセットを降荷すべく作用的に構成されたカセット降荷機構と、
上記カセット降荷機構および上記上昇器制御機構に対して作用的に接続されたコントローラであって、上記カセットから一枚以上の顕微鏡スライドが供与された後に上記カセット降荷機構を制御して上記上昇器ハウジングから上記カセットを降荷させるべく構成されるというコントローラとを備えて成る、
顕微鏡カセット操作システム。
【0008】
カセット入力ポートと、カセット出口ポートと、カセット・スライド取出しアセンブリと、スライド載荷台とを有するシステムにおいて、検出可能デバイスを取入れたカセット内の一連のポートに格納された複数の顕微鏡スライドを自動的に操作する方法であって、
上記スライドを有する上記カセットを上記入力ポートにて受容する段階と、
上記入力ポートにおける上記カセットを、上記検出可能デバイスを検知することにより検出する段階と、
上記複数の顕微鏡スライドの内の一枚のスライドを上記カセットにおけるポートから自動的に取出し、且つ、該顕微鏡スライドを上記スライド載荷台上へと載置する段階と、
上記顕微鏡スライドを上記スライド載荷台から自動的に取り外し、且つ、上記スライドを、それが取出された上記ポートに再位置決めする段階と、
一枚以上の上記顕微鏡スライドが上記カセットから取出され且つ該スライドが取出された上記ポート内に該スライドが再位置決めされた後、上記出口ポートから上記カセットを取出す段階と、
を備えて成る、方法。
【0009】
各実施例は、以下の図面を用いて記述される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施例の各事象の順序を概略的に記述する簡素化されたアルゴリズムのフローチャートである。
【図2】顕微鏡スライド保持カセットの簡略図である。
【図3】上昇器アセンブリの簡略図である。
【図4】送給アーム・アセンブリおよびアクチュエータの幾つかの概観を示す図である。
【図5】送給アームの実施例の側面、平面および底面を示す図である。
【図6】引出しスプリングの実施例の平面および側面を示す図である。
【図7】X軸スライド載荷台の実施例を示す図である。
【図8】X軸スライド載荷台上に取付けられたY軸スライド載荷台の実施例を示す図である。
【図9】Y軸スライド載荷台上に取付けられたZ軸載荷台およびスライド・ホルダの実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
開示された実施例において、自動的なスライドおよびカセット操作システムは、1)カセット100、2)カセット操作器、3)スライド操作アセンブリ、および、4)スライド・ホルダ載荷台290を含んでいる。
【0012】
図1に示された如く、調製された個々のスライドは、カセット100内へと装填10される(図2)。実施例において各カセット100は、26枚のスライドの容量を有する(当然乍ら、これより多くもしくは少なく保持され得る)。作動時に各カセット100はカセット操作器内へと装填15され、該カセット操作器は、第1の顕微鏡スライドがスライド操作器によりカセット100から取出され得る様に該カセットを位置決め20する。上記スライド操作器はスライドを取出すと共に該スライドを、スライド・ホルダ載荷台290(図9)により保持されたスライド・ホルダ内に載置25する。スライド・ホルダ載荷台290は、スライドを顕微鏡の視野内に載置30する。顕微鏡検査の間、プロトコルにより決定された如くスライド・ホルダ載荷台290はスライドをX、YおよびZの直交軸において再位置決め35する。顕微鏡検査が完了した後、上記スライド操作器はスライドを上記スライド・ホルダから取り外す40。上記スライド・ホルダは次に、上記スライドをカセット100に再挿入45する。上記カセット操作器は、上記スライド操作器が次のスライドにアクセスし得る様にカセット100を再位置決め50する。上記プロセスは、カセット100内の全てのスライドが検査されるまで反復55される。カセット100は次に、取り外しのために出力ポートまで移動60され、且つ、次のカセット100がアクセスのために位置決めされる。
【0013】
図2に示された実施例においてカセット100は、検査されるべき顕微鏡スライドを保持する矩形状のカートリッジである。カセット100は、相互に固着される右側プラスチック半体105および左側プラスチック半体106として実施され得る。各カセット100は、顕微鏡スライドを保持する複数のスロット110を有する。実施例においては26個のスロットが利用可能であり、その場合に各スロットは底部から頂部にかけて1〜25と付番され、26番目のスロットは基準スライドに対してCと名付けられる。この様に、各カセット100は25枚までの患者スライドを保持し得る。
【0014】
カセット100のスロットの各々は、カセット100内にスライドが設置されるとき、配向に関わらずにそれを保持する手段を有する。実施例において各スロットは、両端部にスプリング状のフィンガを夫々有する。これはカセット100の独特の特徴であり、各スライドを該カセット100内へと搬送するときに確実なスライド保持が可能とされる。この特徴によれば、カセット100はスライド格納容器としても適切とされる。
【0015】
各カセット100は検出可能デバイスを含み、該デバイスによれば、カセット操作器200上に取付けられた外部センサはカセット100の存在を検出し得る。実施例において上記検出可能デバイスは、外部磁気センサ215がカセット100の存在を検出し得る様に各カセット100の底部に挿入された円形磁石115である。付加的もしくは代替的に、この機能に対しては、光学的または無線識別(RFID)によるタグの如き他の形式の検出可能デバイス216が採用され得る。これらのタグを照会することにより、記録された識別データを復元すべく、付加的センサ217が取入れられ得る。
【0016】
実施例において、カセット100は底部表面に2つの案内部を有する。これらの案内部の内の第1案内部120によれば、コンベア・ベルトによるカセット100の確実な係合が許容される。第2案内部121は、そのカセット100がカセット操作器に正しい方向で装填されることを確実にする配向ピンを収容する役割を果たす。
【0017】
顕微鏡システム内へと装填する場合のカセット100の正しい配向の視覚的表示は、該カセット100の外部上に配置される。実施例において上記視覚的表示は、カセット100の頂部上の矢印125とされ得る。これに加え、カセット100の外部上で規格化された箇所には、カセット100を一意的に識別するバーコード・ラベルに対して矩形領域130が確保される。代替的に、組織構造的なまたはRFIDによるタグの如き他のラベル表示手段が利用され得る。
【0018】
カセット100は、自動的なスライド取出しのために該カセット100を位置決めする機構に対して該カセットが締着されるのを許容する手段を取入れている。実施例において上記締着手段は、上記カセット操作機構から延在する対応フックを受容する(不図示の)2つのスロットとされ得る。
【0019】
カセット操作器200の実施例、すなわち図3に示された第2の構成下位システムは二階建てシステムであり、その場合に頂部レベルは、上記カセット操作器に対する入力ポートの役割を果たす。底部レベルまたは下側のラック210は、出力ポートの役割を果たす。カセット100は、先入先出式に処理される。
【0020】
実施例において、包囲体のアクセス扉または入力ポートによれば、上側ラック205に対するカセット100の進入が許容される。上側ラック205は、カセット100が正しい配向で面一に着座されることを確実とする手段を取入れている。上側ラック205は、処理のために7個までの一連のカセット100を収容し得る。上側ラック205内に構築されたセンサ215は、先に記述された如くカセット100内に設置された検出可能デバイス115を検知し得る。実施例において、上側ラック205の下側に配置された磁気センサ215は、カセット100内に一体化された磁石115を検出することで、カセット100の存在を表す。上側ラック205の各端部には夫々、ひとつの磁気センサ215が在る。
【0021】
カセット100を上側ラック205の入口から出口まで搬送する手段が含まれる。実施例において、モータ207により駆動される上側コンベア・ベルト206は、上側ラック205の入口にて装填されたカセット100に係合し、それを上側ラック205に沿い出口端部まで移動させる。
【0022】
上側ラック205の出口端部には、上昇器アセンブリ220が配置される。実施例において上昇器アセンブリ220は、カセット100における対応フック・スロットに係合し得るフックであって、モータ225により駆動されるスピンドル/送りネジ230上を上下動するというフックから成る。上昇器アセンブリ220上におけるカセット100の行程の限界点は、一方の極限にては上側ラック205の箇所、および、他方の極限にては下側ラック210の箇所に対応する。上昇器アセンブリ220は、この範囲内における任意の箇所にカセット100を位置決めし得る。
【0023】
下側ラック210は、上昇器アセンブリ220からの取り外しの後で各カセット100を受容する。上記ラック内に取入れられたセンサは、カセット100内に設置された上記検出可能デバイスを検知し得る。実施例において、上記ラックの下側に配置された磁気センサ215は、カセット100内に一体化されて該カセット100の存在を表す磁石115を検出する。下側ラック210の各端部にはひとつの磁気センサ215が在る。
【0024】
カセット100を上昇器アセンブリ220から下側ラック210の出口まで搬送する手段が含まれる。実施例において、モータ212により駆動される下側コンベア・ベルト211は、上記上昇器アセンブリ・フックからカセット100が解放されるときに該カセットに係合すると共に、それを下側ラック210に沿い出口端部および出力ポートまで移動させる。
【0025】
上記入力ポートおよび出力ポートに夫々位置されることでカセットの識別ラベルを読取る2台のデータ・ラベル読取器が在る。実施例において、これらの読取器はバーコード読取器235とされ得る。
【0026】
図4には、第3の構成要素サブシステム、すなわちスライド操作アセンブリ250が示される。スライド操作アセンブリ250は、適切に位置決めされたカセット100からスライドを取出し、それをスライド・ホルダ280内へと載置する。顕微鏡検査が完了した後、スライド操作器250はスライドをスライド・ホルダ280から取り外し、それを正しいカセット・スロットへと戻す。
【0027】
図4に示された如くスライド操作アセンブリ250は、モータ265により駆動される送りネジ・サブアセンブリ260上に取付けられた送給アーム270を備えて成る。図5には、送給アーム270の実施例が示される。送りネジ・サブアセンブリ260は、送給アーム270を水平位置に維持し乍ら、該アームを伸張または縮動させ得る。送給アーム270は自身の丈の全体に亙り延在する小寸チャネルを有し、該チャネルは図6に示された如き引出しスプリング・ワイヤ300を収容する。引出しスプリング・ワイヤ300の2つの端部305、306は、該ワイヤの中央長さに対し且つ相互に対し、直交して90°にて屈曲される。該ワイヤの丈の中心は、各端部における上記屈曲部と該ワイヤの中央部分の長手軸心とにより形成される平面に対して135°で平面内に位置する小寸の捩れ部307を有する。引出しスプリング・ワイヤ300は、該ワイヤの前端部305が下方に垂直であるときに後端部306が水平であり且つ送給アーム270に関して本質的に共面的である様に設置される。引出しスプリング・ワイヤ300が90°だけ回転されたとき、前端部305は水平となり且つ後端部306は下方に垂直となる。小寸の捩れ部307は、この90°範囲を超えて上記ワイヤが回転するのを阻止する役割を果たす。
【0028】
最後の構成要素サブシステムは、スライド・ホルダ載荷台アセンブリである。スライド・ホルダ載荷台290(図9)は、スライドを含むスライド・ホルダ280(図9)を、スライド操作アセンブリ250(図4)から受容し、該スライドを顕微鏡の視野内に位置決めする。スライド・ホルダ載荷台290は、X、YおよびZの直交座標軸に沿い上記スライドの位置を調節し得る。スライド・ホルダ載荷台290は、直交して配向された3つの線形アクチュエータ310、320、330から構成され、これらは、必要な変位を提供すべく機械的に連結される。
【0029】
図7乃至図9に描かれた一実施例において示された如く、X軸線形アクチュエータ310は、X軸に沿い送りネジ用ナット313を移動させるべくモータ312により駆動される送りネジ機構311である。Y軸線形アクチュエータ320は、図8に示された如くX軸線形アクチュエータ310の送りネジ用ナット313に対して機械的に接続される。Y軸線形アクチュエータ320は、Y軸に沿い送りネジ用ナット323を移動させるモータ322により駆動される。Z軸線形アクチュエータ330は、図9に示された如く上記Y軸線形アクチュエータの送りネジ用ナット323に対して機械的に接続される。該Z軸線形アクチュエータは、電気制御信号を比例的な線形変位へと変換する圧電変換器331から構成される。スライド・ホルダ基部285は、電気信号の印加がZ軸に沿う線形変位に帰着する様に、圧電変換器331に対して機械的に締着される。故にスライド・ホルダ基部285は、3つの直交座標において位置決めされ得る。
【0030】
本明細書においては描かれないが、上記直交座標の各々に沿う運動は夫々、送りネジに対する必要性なしで、圧電モータの如きモータを用いて達成され得る。たとえば、x、yまたはz平面の夫々において上記スライド・ホルダの移動を行う3個以上の圧電モータが採用され得る。制御信号は、各モータに対し、または、活動が行われるべきモータに対してのみ送信され得る。斯かる信号は、所定の時的間隔に亙りスライドの所定運動を生成すべく作用的に構成されたハードウェアおよび/またはソフトウェア構成要素を含み得るという制御モジュールに従い自動的に生成され得る。
【0031】
上記自動的なカセットおよびスライド操作システムの起動部分の各々は、“詰まり”が生じたか否かを決定すべく機器構成され得る。この機器はたとえば、物体の変位を直接的に検出するセンサ、または代替的に、アクチュエータの電源電流を測定するセンサを含み得る。“詰まり”が検出されたとき、上記システムは安全に作動停止され、修復動作が行われる。
【0032】
次に、実施例の自動的なカセットおよびスライド操作システムの作用が記述される。
【0033】
各カセット100は、試料の顕微鏡スライドにより占められる。これに加え、各カセット100の一切の必要なラベルは、提供された領域に固着される。各カセット100は、上記入力ポートにおけるアクセス扉を通して上側ラック205上へと順次的に装填される。上側ラック205は、該ラック上の6個のカセット100と、上昇器220上の1個のカセットとを保持する能力を有する。作動時に上記自動的なスライドおよびカセット操作システムは、上記上側ラック上に手動的に積載されたカセットを連続的に装填する。上側ラック205の入力端部における各センサ215は夫々のカセット100の存在を検出し、且つ、上側コンベア・ベルト206はそれらを上昇器アセンブリ220に向けて移動させ始める。これに加えて各センサ215はまた、上記カセットに取付けられた検出可能デバイスおよび/またはラベルを照会することにより、識別データも読取り得る。上記データは、カセットの一意的な識別情報を提供し、且つ、外部的に保存された実行可能なソフトウェアと協働して、収容された各試料用スライドの説明を提供する。
【0034】
上側ラック205に亙り上側コンベア・ベルト206により移動されてきたカセット100を、上側ラック205の出口端部におけるセンサ215が検出したとき、上側コンベア・ベルト206の速度は減少され、且つ、カセット100は上昇器フック223上へと装填される。次に上記上昇器はカセット100をホームもしくはゼロ位置まで揚動することで、端部停止部224(すなわちネジ)から力を付与してカセット100を上記上昇器フックに繋止する。故に、上記上昇器に対するカセット100の位置は、厳密に確立される。次に上記上昇器機構は、選択された顕微鏡スライドに対してアクセスするために必要な位置までカセット100を下降させる。スライド操作アセンブリ250は、選択されたスライドをカセット100から取出す。
【0035】
次に、スライド操作アセンブリ250の作用が記述される。スライド操作アセンブリ250の送りネジ・サブアセンブリ260は、検査されるべきスライドの表面の直上に且つ該表面に対して平行に、送給アーム270をカセット100内へと伸張する。このときに送給アーム270の前縁部は、上記スライドの後縁部を越えて延在する。スライド・ホルダ280は、送給アーム270の下側で、カセット100の開放端部の直前へと直角に摺動される。スライド・ホルダ280が移動するにつれ、該ホルダは、上記引出しスプリング・ワイヤの下方に垂直な後端部306(すなわちカセット100の外側の端部)と接触することで、上記ワイヤを水平位置まで90°回転させる。該ワイヤの回転により、引出しスプリング・ワイヤ300の前端部305(すなわちカセット100内へと挿入された端部)もまた、下方に垂直な位置まで90°回転される。スライド操作アセンブリ250は、カセット100から送給アーム270を引抜く。上記引出しスプリング・ワイヤの前端部305は今や下方に垂直な位置に在ることから、上記ワイヤはスライドの後縁部に接触し、且つ、該ワイヤは該スライドをそのカセット・スロットから、スライド・ホルダ載荷台290に設置されたスライド・ホルダ280上へと引き出す。スライド・ホルダ280は上記スライドを確実に把持し、それを検査のために顕微鏡の光路へと搬送する。
【0036】
スライド・ホルダ載荷台290は、XおよびYの座標位置は夫々のモータ駆動線形アクチュエータ310、320により制御され且つZ座標位置は圧電変換器331により制御され乍ら、必要に応じて顕微鏡の下方でスライドを位置決め且つ再位置決めする。スライド・ホルダ280を所定位置に摺動させるプロセスにおいて、該スライド・ホルダ280は、引出しスプリング・ワイヤ306の垂直下方突出前端部305と接触し、それを水平位置まで回転させる。該90°回転によれば引出しスプリング・ワイヤ300の後端部306は、水平位置から、下方に垂直な位置まで回転される。スライド操作アセンブリ250は伸張し、且つ、引出しスプリング・ワイヤ300の後端部306はスライドの縁部に接触して該スライドをカセット100における適切なスロットへと押し戻す。スライド操作アセンブリ250は、送給アーム270を縮動し、上記プロセスは完了する。
【0037】
上昇器アセンブリ220はカセット100を次のスライド位置へと移動させ、且つ、上記プロセスは反復される。カセット100内のスライドの全てが検査されたとき、上昇器アセンブリ220はカセット100を下側ラック210まで移動させ、其処でカセット100は上昇器フック223から結合解除される。下側ラック210上のセンサ215はカセット100の存在を検出し、且つ、下側コンベア・ベルト211はカセット100を下側ラック210の出口まで搬送する。
【0038】
顕微鏡検査の後、取出されたスライドは適切なカセット・スロット110内へと再挿入される。上昇器アセンブリ220は、プロトコルにより決定された次のスライドがアクセスのために正しく位置決めされる様に、カセット100を再位置決めする。上記スライドのアクセスおよび再配置プロセスは、必要なスライドの各々が検査されるまで反復される。
【0039】
全てのスライドが検査されたとき、上昇器アセンブリ220はカセット100を下側ラック210のレベルまで下降し、其処でカセット100は上昇器フック223から解放される。
【0040】
好適実施例に関する陳述
本発明は好適実施例に関して記述されたが、当業者であれば、本発明に対しては添付の各請求項により定義された本発明の精神または有効範囲から逸脱せずに種々の変更および/または改変が為され得ることを容易に理解し得よう。付加的もしくは代替的な詳細、特徴および/または技術的背景の教示に対して適切な場合、本明細書において引用された全ての文献は言及したことにより本明細書中に援用される。
【符号の説明】
【0041】
100 カセット
105 右側プラスチック半体
106 左側プラスチック半体
110 カセット・スロット
115 検出可能デバイス/円形磁石
120 第1案内部
121 第2案内部
125 矢印
130 矩形領域
200 カセット操作器
205 上側ラック
206 上側コンベア・ベルト
207 モータ
210 下側ラック
211 下側コンベア・ベルト
212 モータ
215 外部磁気センサ
216 検出可能デバイス
217 付加的センサ
220 上昇器アセンブリ
223 上昇器フック
224 端部停止部
225 モータ
230 スピンドル/送りネジ
235 バーコード読取器
250 スライド操作器/スライド操作アセンブリ
260 送りネジ・サブアセンブリ
265 モータ
270 送給アーム
280 スライド・ホルダ
285 スライド・ホルダ基部
290 スライド・ホルダ載荷台
300 引出しスプリング・ワイヤ
305 前端部
306 後端部
307 小寸の捩れ部
310 X軸線形アクチュエータ
311 送りネジ機構
312 モータ
313 送りネジ用ナット
320 Y軸線形アクチュエータ
322 モータ
323 送りネジ用ナット
330 Z軸線形アクチュエータ
331 圧電変換器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のスライドを離間された平行形態で保持すべく構成された複数のスロットを画成するカセット内に収容されたスライドを取出し且つ再配置する機構であって、
自身を貫通する長手チャネルを含む送給アームと、
第1端部および第2端部を有する仮想的長手軸心を囲繞する長手引出しスプリング・ワイヤであって、上記第1および第2端部は相互に対し且つ該引出しスプリング・ワイヤの上記仮想的長手軸心に対して直交して屈曲され、該長手引出しスプリング・ワイヤは屈曲された各端部が上記送給アームにおける上記長手チャネルから突出する如く該チャネル内に位置され、且つ、該引出しスプリング・ワイヤが上記長手チャネル内で回転可能とされることで各屈曲端部が上記送給アームに関する配向を変更し得る如く該長手引出しスプリング・ワイヤは上記長手チャネル内に作用的に位置される、という長手引出しスプリング・ワイヤとを備えて成る、機構。
【請求項2】
複数の顕微鏡スライドを格納するスライド・マガジン・カセットであって、
頂部表面と、底部表面と、2つの側部表面とを備えるハウジングであって、各表面はそれらの間の貫通空隙を画成するというハウジングと、
上記ハウジングの上記側部表面の各々に対して取付けられ且つ上記貫通空隙内へと突出する複数の対合係止構造であって、該対合係止構造の各々は反対側の側部表面に取付けられた別の対の係合構造に対して実質的に平行であり、上記平行な対合係止構造の各々は、各係止構造間に単一の顕微鏡スライドを係合して支持することを許容すべく、且つ、上記貫通空隙のいずれかの側から平行な係止構造の対に対して直角に力が付与されたときに各係止構造に関する上記スライドの移動を許容すべく構成かつ離間されるという複数の対合係止構造とを備えて成る、スライド・マガジン・カセット。
【請求項3】
離間された平行構成で複数の顕微鏡スライドを夫々保持すべく構成された複数のスロットを画成するカセットと、
上記カセットが当該空隙内に位置されるのを許容すべく構成された空隙を画成する底壁部および2つの側壁部を有する上昇器ハウジングと、
上記上昇器ハウジングに対して作用的に接続された上昇器制御機構であって、上記上昇器ハウジングを垂直軸心に沿い昇降すべく作用的に構成された上昇器制御機構と、
上記上昇器ハウジングから上記カセットを降荷すべく作用的に構成されたカセット降荷機構と、
上記カセット降荷機構および上記上昇器制御機構に対して作用的に接続されたコントローラであって、上記カセットから一枚以上の顕微鏡スライドが供与された後に上記カセット降荷機構を制御して上記上昇器ハウジングから上記カセットを降荷させるべく構成されるというコントローラとを備えて成る、
顕微鏡カセット操作システム。
【請求項4】
前記上昇器ハウジングが所定の上昇位置に在るときに前記カセットから前記顕微鏡スライドを移動させるべく位置された送給アームを更に備えて成る、請求項3記載の顕微鏡カセット操作システム。
【請求項5】
前記カセットは、
頂部表面と、底部表面と、2つの側部表面とを備えるハウジングであって、各表面はそれらの間の貫通空隙を画成するというハウジングと、
上記ハウジングの上記側部表面の各々に対して取付けられ且つ上記貫通空隙内へと突出する複数の対合係止構造であって、該対合係止構造の各々は反対側の側部表面に取付けられた別の対の係合構造に対して実質的に平行であり、上記平行な対合係止構造の各々は、各係止構造間に単一の顕微鏡スライドを係合して支持することを許容すべく、且つ、上記貫通空隙のいずれかの側から平行な係止構造の対に対して直角に力が付与されたときに各係止構造に関する上記スライドの移動を許容すべく構成かつ離間されるという複数の対合係止構造と、
を備えて成る、請求項3記載の顕微鏡カセット操作システム。
【請求項6】
カセット入力ポートと、カセット出口ポートと、カセット・スライド取出しアセンブリと、スライド載荷台とを有するシステムにおいて、検出可能デバイスを取入れたカセット内の一連のポートに格納された複数の顕微鏡スライドを自動的に操作する方法であって、
上記スライドを有する上記カセットを上記入力ポートにて受容する段階と、
上記入力ポートにおける上記カセットを、上記検出可能デバイスを検知することにより検出する段階と、
上記複数の顕微鏡スライドの内の一枚のスライドを上記カセットにおけるポートから自動的に取出し、且つ、該顕微鏡スライドを上記スライド載荷台上へと載置する段階と、
上記顕微鏡スライドを上記スライド載荷台から自動的に取り外し、且つ、上記スライドを、それが取出された上記ポートに再位置決めする段階と、
一枚以上の上記顕微鏡スライドが上記カセットから取出され且つ該スライドが取出された上記ポート内に該スライドが再位置決めされた後、上記出口ポートから上記カセットを取出す段階と、
を備えて成る、方法。
【請求項7】
前記カセットから前記顕微鏡スライドを取出し且つ該顕微鏡スライドを前記スライド載荷台へと載置する前記段階は、
上記スライド載荷台を上記カセットの前に位置決めする段階と、
上記顕微鏡スライドの表面の上方に且つ該表面に平行に、上記カセット内へと送給アームを伸張する段階と、
上記顕微鏡スライドの後縁部を引出しスプリング・ワイヤに対して係合する段階と、
上記送給アームを縮動することにより上記顕微鏡スライドを上記カセットから外方に摺動させる段階と、
上記引出しスプリング・ワイヤを90°回転させる段階とを備えて成る、
請求項6記載の顕微鏡スライドを自動的に操作する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2010−500616(P2010−500616A)
【公表日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−523921(P2009−523921)
【出願日】平成19年8月3日(2007.8.3)
【国際出願番号】PCT/US2007/075170
【国際公開番号】WO2008/019311
【国際公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願人】(504133615)イコニシス インコーポレーテッド (12)
【Fターム(参考)】