説明

自動改札システム

【課題】読出し専用非接触ICカードを用いた金額券や定期券等について、少ないデータ量で入出場管理を可能とした自動改札システムを提供する。
【解決手段】改札機11は、全ての非接触ICカード21のデータを格納するデータベースを備える管理センター3で作成配信された入出場拒否リストと入場用定期券ホワイトリストを用いて利用者が所持する非接触ICカード21の入場の可否を判定し、入場を許可した非接触ICカード21の入場時の情報から、管理センター3が作成し所定の駅装置に配信した出場用定期券ホワイトリスト及び出場用金額券ホワイトリストを用いて利用者が所持する非接触ICカード21の出場の可否を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、読出し専用非接触ICカードを用いた自動改札システムに関し、特に、読出し専用非接触ICカードによる金額券や定期券等の入出場管理に好適な自動改札システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、鉄道の自動改札システムとして、例えば特許文献1に記載されているような読出し専用の非接触ICカードを用いた自動改札システムが提案されている。この特許文献1に記載された自動改札システムは、利用者の操作に従って券売機で発券した読出し専用非接触ICカードの識別情報、発券場所(発券駅)、目的地又は運賃の情報をセンターシステムのデータベースに登録し、センターシステムで、データベースの登録データに基づいて各駅毎の入場を許可する非接触ICカードの識別情報をリストアップしたホワイトリスト及び出場を許可する非接触ICカードの識別情報をリストアップしたホワイトリストをそれぞれ作成し、各駅の改札機に予め配信しておく。そして、利用者の入場時や出場時に、カードから読取った識別情報とホワイトリストの識別情報とを改札機で照合して入場や出場の可否を判定することにより、入出場を管理する構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−33700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された自動改札システムは、入場や出場を許可するカードの識別情報をリストアップしたホワイトリストを用いて入出場を管理する方式である。このため、読出し専用非接触ICカードの使用形態が1回券や回数券等のような有効期限が短期間な使い捨て券である場合は、リストアップするデータ量があまり多くならず実用的に可能であるが、読出し専用非接触ICカードの使用形態がストアードフェア券のような金額券や繰返し使用可能な区間券である定期券(金額券の機能を併せ持つ定期券を含む)等のような一定期間の使用制限を持つ券や、使用期限が制限されない券の場合は、特許文献1に記載された自動改札システムのようなホワイトリスト方式では、発行されて使用可能状態にある全ての非接触ICカードの識別情報をリストアップする必要があり、データ量が極めて膨大となり、実用的に難しいという問題がある。
【0005】
本発明は上記問題点に着目してなされたもので、読出し専用非接触ICカードによる金額券や定期券等でも少ないデータ量で入出場管理が可能な自動改札システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このため、第1発明は、読出し専用非接触ICカードを用いて入出場を管理する自動改札システムにおいて、前記非接触ICカードの識別情報を読取る読取手段と、該読取手段で読取った非接触ICカードの識別情報に基づいて入出場の可否を判定する判定手段とを備えた自動改札機を含む駅装置と、前記非接触ICカードの識別情報と対応付けて非接触ICカードの使用形態を含む使用履歴情報を格納し、この格納情報に基づいて入出場を拒否する非接触ICカードの識別情報をリストアップした入出場拒否リストと使用形態が定期券で有効期限内の非接触ICカードの識別情報をリストアップした有効区間内の各駅毎の入場用定期券ホワイトリストとを予め作成すると共に、入場時に前記自動改札機の前記読取手段で読取った非接触ICカードの識別情報に基づいて、非接触ICカードが定期券のときはその有効区間情報から有効区間内の各駅で出場を許可する非接触ICカードの識別情報からなる出場用定期券ホワイトリストを作成し、非接触ICカードが金額券のときはその残額情報から運賃が残額以下の各駅で出場を許可する非接触ICカードの識別情報からなる出場用金額券ホワイトリストを作成し、作成した各リストを所定の配信先の駅装置に配信する管理センターと、を備え、入場時に前記自動改札機の前記読取手段で読取った非接触ICカードの識別情報と、当該自動改札機を含む駅装置に配信されている入場判定用のリストに登録された非接触ICカードの識別情報とを前記判定手段で照合して入場の可否を判定し、出場時に前記自動改札機の前記読取手段で読取った非接触ICカードの識別情報と、当該自動改札機を含む駅装置に配信されている出場判定用の各リストに登録された非接触ICカードの識別情報とを前記判定手段で照合して出場の可否を判定することを特徴とする。
【0007】
かかる構成では、管理センターにおいて、非接触ICカードの識別情報と対応付けて非接触ICカードの使用形態を含む使用履歴情報を格納し、この格納情報に基づいて入出場を拒否する非接触ICカードの識別情報をリストアップした入出場拒否リストと使用形態が定期券で有効期限内の非接触ICカードの識別情報をリストアップした有効区間内の各駅毎の入場用定期券ホワイトリストとを予め作成して各リストを所定の配信先の駅装置に予め配信する。また、利用者の入場時に自動改札機の読取手段で読取った非接触ICカードの識別情報に基づいて、格納した非接触ICカードの使用形態を含む使用履歴情報から非接触ICカードが定期券であれば、その有効区間情報から有効区間内の各駅で出場を許可する非接触ICカードの識別情報からなる出場用定期券ホワイトリストを作成し、非接触ICカードが金額券であれば、その残額情報から運賃が残額以下の各駅で出場を許可する非接触ICカードの識別情報からなる出場用金額券ホワイトリストを作成して両リストを該当する駅装置に配信する。そして、利用者が入場する時に、自動改札機の読取手段で読取った非接触ICカードの識別情報と当該自動改札機を含む駅装置に配信されている入場判定用の各リストに登録された非接触ICカードの識別情報とを判定手段で照合して入場の可否を判定する。また、利用者が出場する時に、自動改札機の前記読取手段で読取った非接触ICカードの識別情報と当該自動改札機を含む駅装置に配信されている出場判定用の各リストに登録された非接触ICカードの識別情報とを自動改札機の判定手段で照合して出場の可否を判定する。
【0008】
また、第2発明は、読出し専用非接触ICカードを用いて入出場を管理する自動改札システムにおいて、前記非接触ICカードの識別情報を読取る読取手段と、該読取手段で読取った非接触ICカードの識別情報に基づいて入出場の可否を判定する判定手段とを備えた自動改札機を含む駅装置と、前記非接触ICカードの識別情報と対応付けて非接触ICカードの使用形態を含む使用履歴情報を格納し、この格納情報に基づいて、入出場を拒否する非接触ICカードの識別情報をリストアップした入出場拒否リストと使用形態が定期券で有効期限内の非接触ICカードの識別情報をリストアップした有効区間内の各駅毎の入場用定期券ホワイトリスト及び出場用定期券ホワイトリストとを予め作成すると共に、入場時に前記自動改札機の前記読取手段で読取った非接触ICカードの識別情報に基づいて、非接触ICカードが金額券のときはその残額情報から運賃が残額以下の各駅で出場を許可する非接触ICカードの識別情報からなる出場用金額券ホワイトリストを作成し、作成した各リストを所定の配信先の駅装置に配信する管理センターと、を備え、入場時に前記自動改札機の前記読取手段で読取った非接触ICカードの識別情報と、当該自動改札機を含む駅装置に配信されている入場判定用のリストに登録された非接触ICカードの識別情報とを前記判定手段で照合して入場の可否を判定し、出場時に前記自動改札機の前記読取手段で読取った非接触ICカードの識別情報と、当該自動改札機を含む駅装置に配信されている出場判定用のリストに登録された非接触ICカードの識別情報とを前記判定手段で照合して出場の可否を判定することを特徴とする。
【0009】
かかる構成では、管理センターにおいて、非接触ICカードの識別情報と対応付けて非接触ICカードの使用形態を含む使用履歴情報を格納し、この格納情報に基づいて入出場を拒否する非接触ICカードの識別情報をリストアップした入出場拒否リストと使用形態が定期券で有効期限内の非接触ICカードの識別情報をリストアップした有効区間内の各駅毎の入場用定期券ホワイトリスト及び出場用定期券ホワイトリストとを予め作成して各リストを所定の配信先の駅装置に予め配信する。また、利用者の入場時に自動改札機の読取手段で読取った非接触ICカードの識別情報に基づいて、格納した非接触ICカードの使用形態を含む使用履歴情報から非接触ICカードが金額券であれば、その残額情報から運賃が残額以下の各駅で出場を許可する非接触ICカードの識別情報からなる出場用金額券ホワイトリストを作成して両リストを該当する駅装置に配信する。そして、利用者が入場する時に、自動改札機の読取手段で読取った非接触ICカードの識別情報と当該自動改札機を含む駅装置に配信されている入場判定用の各リストに登録された非接触ICカードの識別情報とを判定手段で照合して入場の可否を判定する。また、利用者が出場する時に、自動改札機の前記読取手段で読取った非接触ICカードの識別情報と当該自動改札機を含む駅装置に配信されている出場判定用の各リストに登録された非接触ICカードの識別情報とを自動改札機の判定手段で照合して出場の可否を判定する。
【発明の効果】
【0010】
第1発明の自動改札システムによれば、入場を許可した非接触ICカードが定期券のときはその有効区間情報から有効区間内の各駅で出場を許可する出場用定期券ホワイトリストを利用者の入場時に作成して該当する各駅の駅装置に配信し、非接触ICカードが金額券のときはその残額情報から運賃が残額以下の各駅で出場を許可する出場用金額券ホワイトリストを利用者の入場時に作成して該当する各駅の駅装置に配信する構成としたので、発行されて使用可能状態にある全ての非接触ICカードの識別情報をリストアップして保持する必要がなく、入場してから出場するまでの期間だけ該当する金額券や定期券の非接触ICカードの識別情報のデータを保持すればよいので、リストとして保持するデータ量が少なくて済む。従って、読出し専用非接触ICカードを金額券や定期券等に適用した場合の自動改札システムによる入出場管理が容易になる。
【0011】
第2発明の自動改札システムによれば、使用形態が定期券で有効期限内の非接触ICカードについては、その識別情報をリストアップした有効区間内の各駅毎の出場用定期券ホワイトリストを予め作成して該当する各駅の駅装置に配信しておき、入場を許可した非接触ICカードが金額券のときに、その残額情報から運賃が残額以下の各駅で出場を許可する出場用金額券ホワイトリストを利用者の入場時に作成して該当する各駅の駅装置に配信する構成としたので、金額券の非接触ICカードについては、発行されて使用可能状態にある全ての非接触ICカードの識別情報をリストアップして保持する必要がなく、入場してから出場するまでの期間だけ該当する金額券の非接触ICカードの識別情報のデータを保持すればよいので、リストとして保持するデータ量が少なくて済む。また、非接触ICカードが定期券の場合の管理センターの入場処理負荷を軽減できる。従って、読出し専用非接触ICカードを金額券や定期券等に適用した場合の自動改札システムによる入出場管理が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の自動改札システムの第1実施形態を示す概略構成図である。
【図2】駅サーバの構成を示すブロック図である。
【図3】入場処理動作を説明するフローチャートである。
【図4】入場情報を受信した管理センターの動作を説明するフローチャートである。
【図5】出場処理動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る自動改札システムの第1実施形態を示す概略構成図である。
図1において、本実施形態の自動改札システムは、鉄道会社が発行する読出し専用非接触ICカードによる一回限りの乗車券、ストアードフェア券のような金額券、定期券(金額券の機能を併せ持つ定期券を含む)を用いて各駅の入出場を管理するものであり、各駅の駅装置1−1〜1−m(mは自然数)と、各駅装置1−1〜1−mとネットワークで接続され各鉄道会社の指令センター等に設置されるエリアサーバ2−1〜2−n(nは自然数)と、各エリアサーバ2−1〜2−nとネットワークで接続され複数の鉄道会社を統括管理する管理センター3とを備えて構成される。
【0014】
駅装置1−1は、種々の駅務処理を行う駅務機器として、多数の自動改札機11、監視盤12、券売機13、精算機14、係員機15、駅サーバ16等を備える。前記自動改札機11は、駅の改札口に設置され、利用者の所持する読出し専用非接触ICカード21の固有の識別情報である識別番号を読取るカードリーダと、読取った非接触ICカードの識別番号に基づいて入出場の可否を判定してドアを開閉制御する機能を有する制御部等を備え、改札口における利用者の通行を管理する。前記監視盤12は、例えば改札口が複数あるターミナル駅等において改札口単位で設けられ、各改札口に設置された複数の自動改札機11の動作状況をまとめて監視するものである。前記券売機13は、利用客の操作により新規な非接触ICカードの1回限りの乗車券等の発行を行うものである。前記精算機14は、駅構内に設置されて例えば乗越し等の精算を行うものである。係員機15は、窓口等に設置されて駅係員が操作を行うものである。そして、これら自動改札機11、監視盤12、券売機13、精算機14、係員機15等の駅務機器は、それぞれ処理した非接触ICカード21の識別番号及びその処理情報を駅サーバ16に送信する。尚、自動改札機が少なく監視盤12が不要な場合は、自動改札機11を駅サーバ16に直接接続する。
【0015】
駅サーバ16は、それぞれの鉄道会社が運営する各駅に設置され、図2に示すように、制御部31、通信部32及びデータベース33等を含んで構成され、その駅に設置される自動改札機11、監視盤12、券売機13、精算機14、係員機15等の駅務機器から送信された非接触ICカード21の識別番号及び処理情報を、エリアサーバ2−1へ送信すると共に、エリアサーバ2−1側から送信される送信情報を受信管理する。前記制御部31は、駅サーバ16全体の動作を制御するもので、例えばコンピュータ等で構成される。通信部32は、自動改札機11、監視盤12、券売機13、精算機14、係員機15等の駅務機器や後述するエリアサーバ2−1と情報の送受信を行う。データベース33は、前記送受信情報を記憶格納するものである。また、駅務処理を行うものではないが、駅構内の自販機17及びコンビニエンスストアで使用されるPOS端末18、或いはその他の端末19で処理された金額券の非接触ICカード21の識別番号及び残高情報等も駅サーバ16に送信され、駅サーバ16からエリアサーバ2−1へ送信される。尚、他の駅装置1−2〜1−nも駅装置1−1と略同様の構成であるので説明は省略する。
【0016】
エリアサーバ2−1〜2−mは、各鉄道会社が管轄するエリア内の全駅装置1−1〜1−nを統括制御するもので、例えばその鉄道会社の全駅を統括管理する指令センター等に設置される。エリアサーバ2−1〜2−mの構成は、駅サーバ16と同様の構成であり、制御部、通信部及びデータベース等を含んで構成され、各駅装置1−1〜1−nとの間で情報を送受信し、後述する管理センター3との間で情報を送受信する。
【0017】
管理センター3は、各鉄道会社が管理するエリアサーバ2−1〜2−mを統括制御するもので、エリアサーバ2−1〜2−mと同様の構成であり、制御部、通信部及びデータベース等を含んで構成される。管理センター3は、駅装置1−1〜1−nからエリアサーバ2−1〜2−mを介して送信された情報に基づいて、発行済みの全ての非接触ICカード21の識別情報と対応付けて非接触ICカードの使用形態を含む使用履歴情報をデータベースに格納する。そして、制御部は、データベースの格納情報に基づいて、入出場を拒否する非接触ICカードの識別情報をリストアップした入出場拒否リストと使用形態が定期券で有効期限内の非接触ICカードの識別情報をリストアップした有効区間内の各駅毎の入場用定期券ホワイトリストとを予め作成する。前記入出場拒否リストとしては、例えば紛失や盗難の登録がされた非接触ICカードの識別情報及び不正の行われている可能性の高い非接触ICカードの識別情報等をリストアップしたブラックリストと、使用履歴の不整合(例えば自動改札機との通信の不具合等によって非接触ICカードの識別情報の読取りミスで入出場の履歴に不整合が存在する場合)が発生した非接触ICカードの識別情報をリストアップした不整合グレーリストと、使用形態が金額券で残高が一定額(例えば初乗り運賃)以下の非接触ICカードの識別情報をリストアップした金額券残高グレーリスト等である。また、制御部は、入場時に自動改札機11で読取られて駅装置1−1〜1−nからエリアサーバ2−1〜2−mを介して送信される非接触ICカードの識別情報に基づいて、データベースの格納情報を参照して、非接触ICカードが定期券のときはその有効区間情報から有効区間内の各駅で出場を許可する非接触ICカードの識別情報からなる出場用定期券ホワイトリストを作成し、非接触ICカードが金額券のときはその残額情報から運賃が残額以下の各駅で出場を許可する非接触ICカードの識別情報からなる出場用金額券ホワイトリストを作成する。そして、これら作成した各リストを通信部により所定の配信先の駅装置1−1〜1−nへ配信する。具体的には、入出場拒否リストを全ての駅装置に配信し、入場用定期券ホワイトリスト及び出場用定期券ホワイトリストを定期券の有効区間内の駅装置に配信し、出場用金額券ホワイトリストを運賃が残額以下の駅装置に配信する。従って、管理センター3の制御部は、第1及び第2リスト作成部の機能を有する。また、制御部と通信部でリスト配信部が構成される。
【0018】
次に、本実施形態の自動改札システムの入出場処理動作について説明する。
管理センター3において、入出場拒否リストと入場用定期券ホワイトリストとを作成して所定の配信先の各駅に予め配信しておく。具体的には、管理センター3では、駅装置1−1〜1−nからエリアサーバ2−1〜2−mを介して送信されたこれまでの情報に基づいて、発行済みの全ての非接触ICカード21の識別情報と対応付けて非接触ICカードの使用形態を含む使用履歴情報をデータベースに格納している。そして、前記データベースの格納情報に基づいて、入出場を拒否する非接触ICカードの識別情報をリストアップした入出場拒否リストとして、紛失や盗難の登録がされた非接触ICカードの識別情報及び不正の行われている可能性の高い非接触ICカードの識別情報等をリストアップしたブラックリストと、使用履歴の不整合(例えば自動改札機との通信の不具合等によって非接触ICカードの識別情報の読取りミスで入出場の履歴に不整合が存在する場合)が発生した非接触ICカードの識別情報をリストアップした不整合グレーリストと、使用形態が金額券で残高が一定額(例えば初乗り運賃)以下の非接触ICカードの識別情報をリストアップした金額券残高グレーリストを予め作成する。また、データベースの格納情報に基づいて、使用形態が定期券で有効期限内の非接触ICカードの識別情報をリストアップした有効区間内の各駅毎の入場用定期券ホワイトリストを予め作成する。そして、管理センター3は、作成したブラックリスト、不整合グレーリスト及び金額券残高グレーリストを、入場判定用のリストとしてエリアサーバ2−1〜2−mを介して全ての駅の駅装置1−1〜1−nに配信する。また、管理センター3は、入場用定期券ホワイトリストを、エリアサーバ2−1〜2−mを介して定期券の有効区間内の各駅の駅装置に同じく入場判定用のリストとして配信する。各駅装置は、配信された上述の各リストを駅サーバ16及び監視盤12を介して各自動改札機11に配信する。尚、各リストの配信先は、自動改札機11とせずに監視盤12としてもよい。
【0019】
次に、上述した入場判定用の各リストが配信された駅装置の入場処理動作について、図3のフローチャートを参照して説明する。
ステップ1(図中、S1で示し、以下同様とする)で、入場しようとする利用者が自動改札機11に翳した非接触ICカード21の識別番号を、カードリーダによって読込む。
【0020】
ステップ2で、読込んだ識別番号がブラックリストに存在するか否かをチェックする。
ステップ3で、チェックOKか否かを判定し、読込んだ識別番号がブラックリストになければOKと判定してステップ4に進む。
【0021】
ステップ4では、読込んだ識別番号が不整合グレーリストに存在するか否かをチェックする。
ステップ5で、チェックOKか否かを判定し、読込んだ識別番号が不整合グレーリストになければOKと判定してステップ6に進む。
【0022】
ステップ6では、読込んだ識別番号が金額券残高グレーリストに存在するか否かをチェックする。
ステップ7で、チェックOKか否かを判定し、読込んだ識別番号が金額券残高グレーリストになければOKと判定してステップ8に進む。
【0023】
ステップ8では、読込んだ識別番号の非接触ICカード21は入場可として入場を許可する。
【0024】
ステップ9では、入場を許可した非接触ICカード21の識別番号を駅サーバ16へ送信し、駅サーバ16は、非接触ICカードの識別番号を入場情報としてエリアサーバを介して管理センター3へ送信する。
【0025】
ステップ7でNOと判定された場合、ステップ10に進み、読込んだ識別番号が入場用定期券ホワイトリストに存在するか否かをチェックする。
【0026】
ステップ11で、チェックOKか否かを判定し、読込んだ識別番号が入場用定期券ホワイトリストにあればOKと判定し、ステップ8に進み入場を許可し、ステップ9で、その非接触ICカード21の識別番号を入場情報として管理センター3へ送信する。一方、読込んだ識別番号が入場用定期券ホワイトリストになければNOと判定し、ステップ12に進み、入場を拒否する。
【0027】
入場情報を受信した管理センター3は、図4のフローチャートのように動作する。
即ち、ステップ21では、データベースの格納情報と入場を許可した識別番号及び入場場所(駅)情報とに基づいて、非接触ICカードが定期券のときは出場用定期券ホワイトリストを作成し、非接触ICカードが金額券のときは出場用金額券ホワイトリストを作成する。
【0028】
ステップ22では、作成リストが出場用定期券ホワイトリストであれば、データベースに格納されたその非接触ICカードの有効区間情報に基づいて有効区間内の各駅の駅装置にエリアサーバを経由して配信し、作成リストが出場用金額券ホワイトリストであれば、データベースに格納されたその非接触ICカードの残額情報から運賃が残額以下の各駅の駅装置にエリアサーバを経由して配信する。それと同時に、データベース内の該当する識別番号に対応付けられた非接触ICカード21の使用履歴情報を更新する。
【0029】
次に、上述した出場用定期券ホワイトリストや出場用金額券ホワイトリストが配信された駅装置の出場処理動作について、図5のフローチャートを参照して説明する。
ステップ31で、出場しようとする利用者が自動改札機11に翳した非接触ICカード21の識別番号を、カードリーダによって読込む。
【0030】
ステップ32で、読込んだ識別番号がブラックリストに存在するか否かをチェックする。
ステップ33で、チェックOKか否かを判定し、読込んだ識別番号がブラックリストになければOKと判定してステップ34に進む。
【0031】
ステップ34では、読込んだ識別番号が出場用定期券ホワイトリストに存在するか否かをチェックする。
ステップ35で、チェックOKか否かを判定し、読込んだ識別番号が出場用定期券ホワイトリストにあればOKと判定してステップ36に進む。
【0032】
ステップ36では、読込んだ識別番号の非接触ICカード21は出場可として出場を許可する。
【0033】
ステップ37では、出場を許可した非接触ICカード21の識別番号を駅サーバ16へ送信し、駅サーバ16は、その識別番号を出場情報としてエリアサーバを介して管理センター3へ送信する。
【0034】
ステップ35でNOと判定された場合、ステップ38に進み、読込んだ識別番号が出場用金額券ホワイトリストに存在するか否かをチェックする。
【0035】
ステップ39で、チェックOKか否かを判定し、読込んだ識別番号が出場用金額券ホワイトリストにあればOKと判定してステップ36に進み、その非接触ICカード21の識別番号と運賃情報とを出場情報として管理センター3へ送信する。一方、読込んだ識別番号が出場用金額券ホワイトリストになければNOと判定し、ステップ40に進み、出場を拒否する。
【0036】
尚、本実施形態は、正規に入場が許可された非接触ICカードが出場する前に何らかの理由によりブラックリストにリストアップされる場合を考慮して、出場処理動作においてステップ32でブラックリストチェックを行う構成としたが、出場時のブラックリストチェックは省略してもよい。
【0037】
かかる本実施形態の自動改札システムによれば、入場時に出場判定用の出場用定期券ホワイトリストと出場用金額券ホワイトリストを作成して所定の駅装置へ配信するので、読出し専用の非接触ICカードを定期券や金額券等に適用した場合でも、チェック用リストのデータ量を少なくでき自動改札システムによる入出場管理が容易になる。また、出場用定期券ホワイトリストチェックと出場用金額券ホワイトリストチェックの両方を行う構成とすることにより、金額券の機能を併せ持つ定期券に対しても改札の入出場を管理することが可能である。
【0038】
次に、本発明に係る自動改札システムの第2実施形態について説明する。
本実施形態のシステム構成は、図1に示した実施形態と同じである。第2実施形態は、管理センターにおいて、使用形態が定期券で有効期限内の非接触ICカードの識別情報をリストアップした有効区間内の各駅毎の出場用定期券ホワイトリストを予め作成することが、入場時に出場用定期券ホワイトリストを作成する第1実施形態と異なる。その他の構成は第1実施形態と同じである。
【0039】
第2実施形態の自動改札システムの入出場処理動作について説明する。
本実施形態の入出場処理動作は、図3〜図5のフローチャートに従って前述した第1実施形態と略同様であるが、入場情報を受信したときの管理センター3の動作が異なる。本実施形態では、有効区間内の各駅毎の出場用定期券ホワイトリストを予め作成し、該当する各駅の駅装置に予め配信しておくので、入場情報を受信したときの管理センター3の動作を説明する図4のフローチャートにおいて、ステップ21で、出場用定期券ホワイトリストの作成は行わず、データベースの格納情報と入場を許可した識別番号及び入場場所(駅)情報とに基づいて、非接触ICカードが金額券のときに出場用金額券ホワイトリストを作成し、ステップ22で、出場用定期券ホワイトリストの配信は不要で、作成した出場用金額券ホワイトリストを、該当する駅装置に配信し、その識別番号に対応付けられた非接触ICカード21のデータベース内の使用履歴情報を更新する。
【0040】
かかる構成の自動改札システムによれば、出場用定期券ホワイトリストに関しては予め作成して配信するので、第1実施形態と比較してチェック用リストのデータ量としては出場用定期券ホワイトリスト分増加するが、定期券の非接触ICカードについては入場時における管理センターの処理負荷を軽減できる利点がある。
【0041】
尚、上述した各実施形態では、例えば相互乗り入れしている複数の鉄道会社を統括して管理する場合のシステム構成を示したが、単体の鉄道会社を対象とした自動改札システムであれば、エリアサーバ2−1〜2−mがそれぞれ図1の管理センター3の役割を担うシステム構成となる。
【0042】
また、言うまでもないが、券売機13や精算機14からは使用された非接触ICカードの識別情報と共に、それぞれ発券した1回限りの乗車券の金額情報や精算金額情報が駅装置から管理センター3に送信される。係員機15からは例えば通信不良等により入出場の記録が不整合になっている非接触ICカードの識別番号情報等が管理センター3に送信される。
【0043】
自販機17、POS端末18及びその他端末19からも使用された非接触ICカードの識別情報と共に、使用された金額情報が駅装置から管理センター3に送信される。これら駅務に関係のない自販機17、POS端末18及びその他端末19は、管理センター3に直接ネットワーク接続するよう構成してもよい。尚、自販機17、POS端末18及びその他端末19を省略してもよい。
【符号の説明】
【0044】
1−1〜1−n 駅装置
2−1〜2−m エリアサーバ
3 管理センター
11 自動改札機
13 券売機
14 精算機
15 係員機
16 駅サーバ
21 非接触ICカード
31 制御部
32 通信部
33 データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
読出し専用非接触ICカードを用いて入出場を管理する自動改札システムにおいて、
前記非接触ICカードの識別情報を読取る読取手段と、該読取手段で読取った非接触ICカードの識別情報に基づいて入出場の可否を判定する判定手段とを備えた自動改札機を含む駅装置と、
前記非接触ICカードの識別情報と対応付けて非接触ICカードの使用形態を含む使用履歴情報を格納し、この格納情報に基づいて、入出場を拒否する非接触ICカードの識別情報をリストアップした入出場拒否リストと使用形態が定期券で有効期限内の非接触ICカードの識別情報をリストアップした有効区間内の各駅毎の入場用定期券ホワイトリストとを予め作成すると共に、入場時に前記自動改札機の前記読取手段で読取った非接触ICカードの識別情報に基づいて、非接触ICカードが定期券のときはその有効区間情報から有効区間内の各駅で出場を許可する非接触ICカードの識別情報からなる出場用定期券ホワイトリストを作成し、非接触ICカードが金額券のときはその残額情報から運賃が残額以下の各駅で出場を許可する非接触ICカードの識別情報からなる出場用金額券ホワイトリストを作成し、作成した各リストを所定の配信先の駅装置に配信する管理センターと、を備え、
入場時に前記自動改札機の前記読取手段で読取った非接触ICカードの識別情報と、当該自動改札機を含む駅装置に配信されている入場判定用のリストに登録された非接触ICカードの識別情報とを前記判定手段で照合して入場の可否を判定し、出場時に前記自動改札機の前記読取手段で読取った非接触ICカードの識別情報と、当該自動改札機を含む駅装置に配信されている出場判定用のリストに登録された非接触ICカードの識別情報とを前記判定手段で照合して出場の可否を判定することを特徴とする自動改札システム。
【請求項2】
前記管理センターは、
前記非接触ICカードの識別情報と対応付けてその非接触ICカードの使用形態を含む使用履歴情報を格納するデータベースと、
該データベースの格納情報に基づいて、入出場を拒否する非接触ICカードの識別情報をリストアップした入出場拒否リストと使用形態が定期券で有効期限内の非接触ICカードの識別情報をリストアップした有効区間内の各駅毎の入場用定期券ホワイトリストとを予め作成する第1リスト作成部と、
入場時に前記自動改札機の前記読取手段で読取った非接触ICカードの識別情報に基づいて、非接触ICカードが定期券のときはその有効区間内の各駅で出場を許可する非接触ICカードの識別情報からなる出場用定期券ホワイトリストを作成し、非接触ICカードが金額券のときはその残額情報から運賃が残額以下の各駅で出場を許可する非接触ICカードの識別情報からなる出場用金額券ホワイトリストを作成する第2リスト作成部と、
前記入出場拒否リストを全ての駅装置に配信し、前記入場用定期券ホワイトリスト及び出場用定期券ホワイトリストを定期券の有効区間内の駅装置に配信し、出場用金額券ホワイトリストを運賃が残額以下の駅装置に配信するリスト配信部と、
を備える請求項1に記載の自動改札システム。
【請求項3】
読出し専用非接触ICカードを用いて入出場を管理する自動改札システムにおいて、
前記非接触ICカードの識別情報を読取る読取手段と、該読取手段で読取った非接触ICカードの識別情報に基づいて入出場の可否を判定する判定手段とを備えた自動改札機を含む駅装置と、
前記非接触ICカードの識別情報と対応付けて非接触ICカードの使用形態を含む使用履歴情報を格納し、この格納情報に基づいて、入出場を拒否する非接触ICカードの識別情報をリストアップした入出場拒否リストと使用形態が定期券で有効期限内の非接触ICカードの識別情報をリストアップした有効区間内の各駅毎の入場用定期券ホワイトリスト及び出場用定期券ホワイトリストとを予め作成すると共に、入場時に前記自動改札機の前記読取手段で読取った非接触ICカードの識別情報に基づいて、非接触ICカードが金額券のときはその残額情報から運賃が残額以下の各駅で出場を許可する非接触ICカードの識別情報からなる出場用金額券ホワイトリストを作成し、作成した各リストを所定の配信先の駅装置に配信する管理センターと、を備え、
入場時に前記自動改札機の前記読取手段で読取った非接触ICカードの識別情報と、当該自動改札機を含む駅装置に配信されている入場判定用のリストに登録された非接触ICカードの識別情報とを前記判定手段で照合して入場の可否を判定し、出場時に前記自動改札機の前記読取手段で読取った非接触ICカードの識別情報と、当該自動改札機を含む駅装置に配信されている出場判定用のリストに登録された非接触ICカードの識別情報とを前記判定手段で照合して出場の可否を判定することを特徴とする自動改札システム。
【請求項4】
前記管理センターは、
前記非接触ICカードの識別情報と対応付けてその非接触ICカードの使用形態を含む使用履歴情報を格納するデータベースと、
該データベースの格納情報に基づいて、入出場を拒否する非接触ICカードの識別情報をリストアップした入出場拒否リストと使用形態が定期券で有効期限内の非接触ICカードの識別情報をリストアップした有効区間内の各駅毎の入場用定期券ホワイトリスト及び出場用定期券ホワイトリストとを予め作成する第1リスト作成部と、
入場時に前記自動改札機の前記読取手段で読取った非接触ICカードの識別情報に基づいて、非接触ICカードが金額券のときはその残額情報から運賃が残額以下の各駅で出場を許可する非接触ICカードの識別情報からなる出場用金額券ホワイトリストを作成する第2リスト作成部と、
前記入出場拒否リストを全ての駅装置に配信し、前記入場用定期券ホワイトリスト及び出場用定期券ホワイトリストを定期券の有効区間内の駅装置に配信し、出場用金額券ホワイトリストを運賃が残額以下の駅装置に配信するリスト配信部と、
を備える請求項3に記載の自動改札システム。
【請求項5】
前記自動改札機の判定手段は、入場判定用のリストとして、前記入出場拒否用リスト及び前記入場用定期券ホワイトリストを用いる請求項1〜4のいずれか1つに記載の自動改札システム。
【請求項6】
前記自動改札機の判定手段は、出場判定用のリストとして、少なくとも出場用定期券ホワイトリスト及び出場用金額券ホワイトリストを用いる請求項1〜5のいずれか1つに記載の自動改札システム。
【請求項7】
前記入出場拒否リストが、紛失や盗難の登録がされた非接触ICカードの識別情報及び不正の行われている可能性の高い非接触ICカードの識別情報等をリストアップしたブラックリストと、使用履歴の不整合が発生した非接触ICカードの識別情報をリストアップした不整合グレーリストと、使用形態が金額券で残高が一定額以下の非接触ICカードの識別情報をリストアップした金額券残高グレーリストである請求項5に記載の自動改札システム。
【請求項8】
前記自動改札機の判定手段は、出場判定用のリストに前記入出場拒否リストも含める請求項6に記載の自動改札システム。
【請求項9】
前記入出場拒否リストが、紛失や盗難の登録がされた非接触ICカードの識別情報及び不正の行われている可能性の高い非接触ICカードの識別情報等をリストアップしたブラックリストである請求項8に記載の自動改札システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−221089(P2012−221089A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−84356(P2011−84356)
【出願日】平成23年4月6日(2011.4.6)
【出願人】(000004651)日本信号株式会社 (720)
【Fターム(参考)】