自動水栓
【課題】センサ取付部を含む吐水管の全体を細くスリムに構成し得て、しかも凹凸ないし段差や継目を可及的に少なくでき、外観が良好でしかも清掃性にも優れた自動水栓を提供する。
【解決手段】人体検知センサ64による人体検知に基づいて吐水管14の先端部の吐水口から自動的に吐水する自動水栓を、吐水管本体20の周壁部を径方向に貫通した開口窓部24と、吐水管本体20に管軸方向に向けて設けられた挿入開口68と、挿入開口68を通じて吐水管本体20内に且つ管軸方向に挿入される人体検知センサ64と、挿入開口68を通じて吐水管14内に且つ管軸方向に挿入され、人体検知センサ64を開口窓部24に位置させた状態にこれを径方向内側から保持するセンサホルダ66とを含んで構成する。
【解決手段】人体検知センサ64による人体検知に基づいて吐水管14の先端部の吐水口から自動的に吐水する自動水栓を、吐水管本体20の周壁部を径方向に貫通した開口窓部24と、吐水管本体20に管軸方向に向けて設けられた挿入開口68と、挿入開口68を通じて吐水管本体20内に且つ管軸方向に挿入される人体検知センサ64と、挿入開口68を通じて吐水管14内に且つ管軸方向に挿入され、人体検知センサ64を開口窓部24に位置させた状態にこれを径方向内側から保持するセンサホルダ66とを含んで構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、人体検知センサによる人体検知に基づいて吐水を自動的に行う自動水栓に関し、詳しくは吐水管の管軸周りの周壁部に非接触式の人体検知センサを配置して成る自動水栓に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人体検知センサによる人体検知に基づいて吐水を自動的に行う自動水栓が広く用いられている。
例えば公共トイレ等において、吐水管の先端部に人体検知センサを吐水口からの吐水の方向と同方向に向けて、詳しくは検知方向が吐水の方向と同方向となるように人体検知センサを設け、そして人体検知センサにより差し出された手を検知(人体検知)することで吐水口から自動的に吐水し、また人体検知センサが人体非検知となったところで吐水を自動的に停止する自動水栓が手洗用水栓として広く用いられている。
【0003】
ところで、近年においては自動水栓が家庭のキッチン用水栓等としても用いられるようになってきており、この場合、人体検知センサの検知方向を吐水口からの吐水の方向と同方向に向け、また人体検知により自動吐水、人体非検知により自動止水させるようにしておくと自動水栓が使い勝手の悪いものとなってしまう。
【0004】
このような自動水栓をキッチン用水栓として用いたとき、流し台のシンクに向かって炊事作業等をする際、吐水の意図がないにも拘らず作業者の手が人体検知センサの検知エリア内に入ることによって吐水口から吐水されてしまったり、或いは洗い物等をする際に、連続吐水させたいにも拘らず食器や鍋或いは作業者の手が検知エリア外にあることによって吐水が行われなかったり、或いは手等が検知エリア内に入ったり出たりすることで、吐水が行われたり吐水停止してしまったりするといったことが起り得る。
【0005】
このような場合には人体検知センサの検知方向を吐水口からの吐水の方向とは別方向、つまり吐水方向前方の人体その他の対象物を検知しない方向となしておき、また人体検知するごとに吐水と止水とを交互に行わせるようにしておくことが望ましい。
【0006】
そのようにしておけば、人体検知センサの検知方向の前方に使用者が手かざしすることで吐水を行わせ且つこれを続行させることができる。また止水をしたいときには、人体検知センサの検知方向の前方に使用者が手かざしすることで吐水停止、即ち止水させることができる。
【0007】
更に自動水栓をキッチン用水栓として用いる場合には、これをホース収納水栓、詳しくは吐水ヘッドをこれに接続された可撓性の給水ホースとともに、そのホルダとしての働きをなす吐水管本体から引出可能な水栓として構成しておくことが望ましい。
そのようにしておけば、吐水ヘッドを引き出すことによってシンクの隅々まで吐水を行うことが可能となり、シンク洗いその他の作業が容易となって水栓の使い勝手が良好となる。
但しこの場合には、人体検知センサを可動側の吐水ヘッドに対して固定側となる吐水管本体の側に設けておくことが望ましい。
【0008】
このような自動水栓については例えば下記特許文献1に開示がなされている。
図14〜16はその具体例を示している。
図14において、300は自動水栓における吐水管で、この吐水管300は、管軸方向において吐水口302を備えた先端側の吐水ヘッド304と、吐水ヘッド304を保持する基端側の吐水管本体306との分割構造とされている。
【0009】
吐水ヘッド304には、吐水管本体306の内部に挿通された可撓性を有する給水ホース307が接続されていて、吐水ヘッド304が給水ホース307とともに吐水管本体306から引出可能とされている。即ちこの自動水栓はホース収納式の自動水栓とされている。
【0010】
一方、吐水管本体306には人体検知センサ(ここでは光センサ)として水用センサ308(以下単にセンサ308とする)と温水用センサ310(以下単にセンサ310とする)とが、吐水口302からの吐水の方向とは異なった方向、具体的にはここでは使用者に向かって斜め前方の上方に向けて設けられている。
ここでセンサ308,310は何れも交互センサとして、即ち人体検知するごとに吐水と止水とを切り替える手かざし式の交互センサとして構成されている。
【0011】
この例の場合、センサ308の上方に手かざしすると、人体検知により吐水口302から水(冷水)が吐水され、そして吐水継続中に再びセンサ308の上方に手かざしすると、吐水口302からの水の吐水が停止する。
一方センサ310の上方に手かざしすると、吐水口302から適温に温度調節された温水が吐水され、更に温水吐水中に再びセンサ310の上方に手かざしすると、そこで温水の吐水が停止する。
尚312は水栓本体部で、その内部に混合弁が収容されている。
314は水と湯との混合比率を変化させて、混合水の温度調節を行い、また吐水の流量調節を行うレバーハンドルである。
【0012】
図15,図16に示しているように、吐水管本体306は管軸方向に連続した管体をなす金属製のパイプ306Aと、これよりも先端側のセンサ取付部306Bとを有している。
センサ取付部306Bは、概略筒状をなして前端部(図中左端部)と後端部(図中右端部)との間の大部分の上面が上向きに開放された形態のホース挿通部材306B-1と、その開放部218を閉鎖する蓋板306B-2とを有しており、その蓋板306B-2の上面に、上記のセンサ308及び310が載置状態に取り付けられている。
【0013】
そしてそれらが下カバー306B-3と、上カバー306B-4とによって覆われ、それらの内部に隠蔽状態とされている。
ここで上カバー306B-4は透光性の樹脂にて構成されており、センサ308,310がこの透光性の上カバー306B-4を介して投受光するようになしてある。
尚、下カバー306B-3は図16にも示しているようにビス320にてパイプ306Aの下部に固定されている
【0014】
これら図14〜図16に示す自動水栓の場合、センサ308,310をホース挿通部材306B-1に対して、詳しくはその上面の開放部318を閉鎖する蓋板306B-2に対して径方向外側から取り付けることができ、またメンテナンスの必要が生じたときには上カバー306B-4を外すことによってメンテナンス作業することができる利点を有する反面、センサ取付部306Bの構造が複雑で所要部品点数が多い問題がある他、センサ取付部306Bが太く大型化してしまい、加えて図14に示す組付状態の下で吐水管300が凹凸や段差が多い形状となり、更に上カバー306B-4と下カバー306B-3との継目や、それら上カバー306B-4及び下カバー306B-3とパイプ306Aとの継目が目立ち、外観的なシンプルさにおいて不十分で、それらの点でなお改善すべき点を残したものである。
更に継目や凹凸が多く存在していることから清掃性が十分でない問題も有している。
【0015】
尚、本発明に類似する技術として下記特許文献2に開示されたものがある。
この特許文献2に開示のものは、人体検知センサを吐水管に設けた開口からその内部に挿入して組付けを行うものであるが、このものはセンサの挿入用の開口とセンサ窓となる開口とが同一であり、またセンサの検知方向が吐水口からの吐水の方向である等本発明とは異なった別異のものである。
【0016】
【特許文献1】特開2006−144326号公報
【特許文献2】特開2004−92023号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は以上のような事情を背景とし、センサ取付部を含む吐水管の全体を細くスリムに構成し得て、しかも凹凸ないし段差や継目を可及的に少なくでき、外観が良好でしかも清掃性にも優れた自動水栓を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
而して請求項1のものは、吐水管の管軸周りの周壁部に非接触式の人体検知センサを配置し、該人体検知センサによる人体検知に基づいて該吐水管の先端部の吐水口から自動的に吐水する自動水栓であって、(イ)前記吐水管の周壁部を径方向に貫通して設けられた前記人体検知センサ用の開口窓部と、(ロ)該吐水管に該開口窓部とは別に前記管軸方向に向けて設けられた挿入開口と、(ハ)該挿入開口を通じて前記吐水管内に且つ該管軸方向に挿入される前記人体検知センサと、(ニ)該挿入開口を通じて該吐水管内に且つ該管軸方向に挿入され、前記人体検知センサを前記開口窓部に位置させた状態に該人体検知センサを径方向内側から保持するセンサホルダと、を有していることを特徴とする。
【0019】
請求項2のものは、請求項1において、前記人体検知センサは、前記開口窓部に前記吐水管の内側から外側向きに嵌り込んで該吐水管に固定されるものとなしてあることを特徴とする。
【0020】
請求項3のものは、請求項1,2の何れかにおいて、前記吐水管の内部には可撓性を有する給水ホースが挿通されていて、該給水ホースを通じて前記吐水口に給水が行われるようになしてあることを特徴とする。
【0021】
請求項4のものは、請求項3において、前記吐水管は、前記管軸方向において前記吐水口を備えた先端側の吐水ヘッドと、該吐水ヘッドを保持する基端側の吐水管本体との分割構造とされていて、該吐水管本体に前記開口窓部が設けられ且つ該吐水管本体の先端開口が前記挿入開口とされているとともに、前記吐水ヘッドには前記給水ホースが接続されていて、該吐水ヘッドが該給水ホースとともに該吐水管本体から引出可能とされていることを特徴とする。
【0022】
請求項5のものは、請求項1〜4の何れかにおいて、前記センサホルダは、前記人体検知センサを載せて支持するセンサ支持部と、該センサ支持部より立ち下り、該センサ支持部を支える支持脚とを有していることを特徴とする。
【0023】
請求項6のものは、請求項3,4の何れかにおいて、前記センサホルダは、前記人体検知センサを載せて支持するセンサ支持部と、該センサ支持部より立下り、該センサ支持部を支える支持脚とを有していて、該支持脚が前記吐水管本体の内部をホース収納空間と配線収納空間とに区画する仕切壁を成しており、該ホース収納空間に前記給水ホースが、該配線収納空間に前記人体検知センサに繋がる電気配線が収納されていることを特徴とする。
【0024】
請求項7のものは、請求項1において、前記センサホルダには、前記人体検知センサに繋がる電気配線を接続するコネクタの固定部が設けてあることを特徴とする。
【0025】
請求項8のものは、請求項1において、前記人体検知センサに繋がる電気配線は、該人体検知センサの前記吐水管の先端側である前端側から引き出された後、該吐水管の基端側の方向の後方に曲げ返されて該後方に延びた後に、更に前方に曲げ返された上、再び該後方に曲げ返されて前記吐水管の基端側に向けて延びるものとなしてあることを特徴とする。
【0026】
請求項9のものは、請求項1〜8の何れかにおいて、前記人体検知センサには、前記開口窓部の周縁部に接触せしめられる弾性を有するシール部材が設けてあり、且つ該シール部材は、前記センサホルダの挿入により弾性変形して該開口窓部の周辺部に弾性圧接し、該弾性圧接状態でシール作用するものとなしてあることを特徴とする。
【0027】
請求項10のものは、請求項4において、前記吐水管本体の先端から前記吐水ヘッド側に突出し、該吐水ヘッドの雌嵌合部との嵌合によって該吐水ヘッドを保持する雄嵌合部を備えた筒体が前記センサホルダとは別体に設けられて該筒体が該センサホルダに連結状態とされているか又は該筒体が該センサホルダに一体に設けられていることを特徴とする。
【発明の作用・効果】
【0028】
以上のように本発明は、吐水管の周壁部を径方向に貫通して設けられた人体検知センサ用の開口窓部と、その開口窓部とは別に吐水管に管軸方向に向けて設けられた挿入開口と、その挿入開口を通じて吐水管内に管軸方向に挿入される人体検知センサと、同じく挿入開口を通じて吐水管内に管軸方向に挿入され、人体検知センサを上記の開口窓部に位置させた状態に、これを径方向内側から保持するセンサホルダとを備えて自動水栓を構成したものである。
【0029】
かかる本発明の自動水栓では、人体検知センサが開口窓部とは別の、管軸方向を向いた挿入開口を通じて吐水管の内部に挿入されるものであるため、つまり人体検知センサが吐水管の外側からではなく内側から取り付けられるものであるため、更にはこれを保持するセンサホルダもまた、上記の挿入開口を通じて吐水管内に管軸方向に挿入され、人体検知センサを開口窓部に位置させる状態に保持するものとされているため、センサ取付部を含む位置まで吐水管を管軸方向に連続した一体の管体で構成することが可能となり、吐水管を小型で細いスリムな形状に、且つその外面を凹凸や段差、更には部品の継目の少ない(若しくは無い)シンプルですっきりとした良好な外観となすことができる。
【0030】
また人体検知センサを、吐水管の管軸方向を向いた挿入開口とは別の周壁部の開口窓部に配置するものであるため、人体検知センサの検知方向を吐水口からの吐水の方向と異なった方向となすことができる。即ち吐水口からの吐水方向前方の人体その他の対象物を検知しない方向を検知方向となしておくことができる。
この場合においてその開口窓部は周壁上部又は側部に設けておき、人体検知センサの検知方向を吐水管の上方又は側方となしておくことができる。
【0031】
また人体検知センサは、使用者による手かざしにより且つ人体検知するごとに吐水と止水とを交互に行わせる手かざし式の交互センサとなしておくことができる。
またセンサホルダは、吐水管の内面に嵌合し、吐水管によって径方向に位置決めされた状態でその内部に保持されるものとなしておくことができる。
【0032】
このようにしておくことで、センサホルダを吐水管の内部に挿入するだけでこれを径方向に位置決めした状態に、安定した姿勢に吐水管内に保持することができ、従ってまたセンサホルダにより人体検知センサを安定して保持することが可能となる。
またこのセンサホルダは、吐水管の管軸方向に長手形状に構成しておき、且つこれを吐水管の湾曲形状に対応した湾曲形状で構成しておくことができる。
【0033】
本発明では、上記人体検知センサを、開口窓部に対し吐水管の内側から外側向きに嵌り込んで吐水管に固定されるものとなしておくことができる(請求項2)。
このようにすることで、人体検知センサを吐水管に位置決めし且つ固定状態とすることができ、従って吐水管内に人体検知センサ位置決めのための位置決手段を設けるのを省くことができ、センサ取付部分の構造を簡素な構造となすことができる。
加えて人体検知センサを開口窓部に嵌り込ませることによって、開口窓部を人体検知センサにて埋めることができ、吐水管外面の凹凸や段差をセンサ取付部分において少なくし又は無くすことができる。
【0034】
この場合において、人体検知センサの外面が吐水管の外面と同一面(面一面)をなすようにしておくことができる。
このようにすれば、人体検知センサの外面が吐水管の外面よりも径方向内側に引き込んだり、或いは逆に外側に突き出したりしないため、吐水管における人体検知センサ及びその周りの部分の外面を平滑な面として構成でき、同部分を凹凸の無い綺麗な面となし得て、同部分の清掃性も良好となすことができる。
ここで人体検知センサの外面と吐水管の外面とを同一面とする場合において、それらの間には微少な径方向の差を生じていても良い。但しその差は0.5mm以下としておく。
【0035】
本発明においては、吐水管の内部に可撓性を有する給水ホースを挿通し、その給水ホースを通じて吐水口に給水を行うようになしておくことができる(請求項3)。
この場合において、請求項4に従い吐水管を管軸方向において吐水口を備えた先端側の吐水ヘッドと、吐水ヘッドを保持する基端側の吐水管本体との分割構造となし、その吐水管本体に開口窓部を設け且つ吐水管本体の先端開口を上記の挿入開口とするとともに、吐水ヘッドには上記給水ホースを接続して、吐水ヘッドを給水ホースとともに吐水管本体から引出可能としておくこと、即ち自動水栓をホース収納式の水栓として構成しておくことができる。
【0036】
この場合、人体検知センサは可動側の吐水ヘッドに対して固定側となる吐水管本体に設けられているため、吐水ヘッドを手で握って引き出した場合においても、吐水ヘッドを握った手が人体検知センサによって検知されてしまうことはなく、吐水ヘッドを引き出して作業する際に人体検知センサが手を誤検知してしまうのを防止し得て、自動水栓を適正に動作させることができる。
【0037】
上記センサホルダは、人体検知センサを載せて支持するセンサ支持部と、センサ支持部より立下り、センサ支持部を支える支持脚とを有するものとなしておくことができる(請求項5)。
このようにしておくことで、吐水管内に挿入したセンサホルダが吐水管の内部空間を広く占めてしまうのを防ぎつつ、センサホルダを吐水管によりその内部に安定した姿勢に保持することができる。
【0038】
請求項6は、そのセンサホルダにおける支持脚をもって、吐水管本体の内部をホース収納空間と配線収納空間とに区画する仕切壁と成し、そしてホース収納空間に給水ホースを、また配線収納空間に人体検知センサに繋がる電気配線を収納しておくようになしたものである。
【0039】
このようにしておけば、その支持脚の部分即ち仕切壁の部分において、吐水管内部に挿通された給水ホースと電気配線とが干渉するのを防止することができる。
特に請求項4に従って吐水ヘッドを給水ホースとともに吐水管本体から引出可能とした場合、給水ホースを吐水ヘッドとともに吐水管本体から引き出し又は収納する際に給水ホースが電気配線に対して擦れを生じ、そのことによって電気配線が絡まったり配線の乱れを生じたり、或いは断線を生じたりするのを有効に防止することができる。
【0040】
次に請求項7は、センサホルダに人体検知センサに繋がる電気配線を接続するコネクタの固定部を設けたもので、このようにしておけば、電気配線をコネクタにおいてセンサホルダに固定状態としておくことができ、かかるコネクタを介してセンサホルダにより電気配線を保持しておくことができる。
【0041】
またセンサホルダを挿入開口から取り出すことにより、同時にコネクタを取り出すことができ、コネクタ部分のメンテナンスを簡単に行うことができる。
更には、そのコネクタを介して電気配線をセンサホルダとともに吐水管内部から挿入開口を通じて外部に取り出すことができ、メンテナンス性を高めることができる。
【0042】
次に請求項8は、人体検知センサに繋がる電気配線を、人体検知センサの前端側から引き出した後、後方に曲げ返して所定長後方側に延ばした後に、更に前方に曲げ返した上で再び後方に曲げ返し、吐水管の基端側に向けて延在させるようになしたものである。
【0043】
例えば電気配線を人体検知センサの前端側から引き出した後、そのまま吐水管の基端側まで後方に延在させておくと、人体検知センサのメンテナンスのためにこれを挿入開口を通じ外部に引き出そうとしたときに、電気配線が引張られて人体検知センサを引き出すことができず、ひいては人体検知センサのメンテナンスを行うことができなくなってしまう。
【0044】
しかるにこの請求項8によれば、人体検知センサの前端側から引き出された電気配線が、一旦後方に延びた後再び前方に曲げ返されて延び、その部分が電気配線の余長として吐水管内部に確保されているため、その余長に基づいて人体検知センサを吐水管の管軸方向の挿入開口から電気配線に引張力を発生させずに円滑に支障無くこれを外部に取り出すことができ、必要な人体検知センサのメンテナンスを行うことが可能となる。
【0045】
また電気配線をセンサホルダに保持させておいた場合において、その余長に基づいて、人体検知センサを吐水管内に残したまま、センサホルダを挿入開口から外部に取り出すことが可能となり、そしてセンサホルダによる保持が解除された後において、人体検知センサを吐水管内から外部に引き出すことが可能となる。
この場合には、人体検知センサを吐水管内の所定位置に残したまま、センサホルダによる人体検知センサの保持が解除される位置までセンサホルダを引き出せるように、その余長の長さを予め定めておく。
【0046】
請求項9は、上記の開口窓部の周縁部に接してシール作用する、弾性を有するシール部材を人体検知センサに設けておき、そしてセンサホルダの挿入によりそのシール部材を開口窓部の周縁部に弾性圧接させて、その弾性圧接状態の下でシール作用させるようになしたものである。
【0047】
このようにすることで、単にセンサホルダを挿入開口を通じて吐水管内部に管軸方向に挿入するだけで、シール部材の弾性変形によりかかるシール部材を介して人体検知センサを吐水管の開口窓部に弾性圧接状態に取付固定することが可能となる。
またシール部材の弾性変形に基づいて、センサホルダや吐水管内面,人体検知センサ等の部品の製造誤差や組付誤差を吸収し得て、良好に人体検知センサを吐水管に取り付けることが可能となる。
【0048】
請求項10は、吐水管本体の先端から吐水ヘッド側に突出し、吐水ヘッドの雌嵌合部との嵌合によって吐水ヘッドを保持する雄嵌合部を備えた筒体をセンサホルダとは別体に設けて、これをセンサホルダに連結状態としておき、或いは筒体をセンサホルダに一体に設けたものである。
【0049】
このようにしておけば、吐水管本体から突出した筒体を管軸方向に引き出すことによって、同時に吐水管本体内部のセンサホルダを特別な工具を用いることなく容易に外部に引き出すことができる。
またこの筒体を吐水管本体にビス等にて固定しておくことで、センサホルダを吐水管本体からの抜出方向に固定化しておくことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0050】
次に本発明をキッチン用水栓として好適な自動水栓に適用した場合の実施形態を図面に基づいて以下に詳しく説明する。
図1において、10はカウンタで、このカウンタ10上に起立する状態で水栓本体部12が設けられ、更にこの水栓本体部12から吐水管14が延び出している。
吐水管14は、管軸方向において吐水口16を有する先端側の吐水ヘッド18と、基端側の吐水管本体20との分割構造とされている。
【0051】
吐水管本体20には、後述の可撓性を有する給水ホース22が挿通されてそこに収納され、この給水ホース22が吐水ヘッド18に接続されている。
吐水ヘッド18は、この給水ホース22とともに吐水管本体20から引出可能とされている。
即ちこの実施形態の自動水栓はホース収納式の自動水栓である。
【0052】
吐水管本体20には、管軸周りの周壁部、ここでは周壁上部を径方向に貫通して人体検知センサとしての光センサから成る温水用センサ26と、浄水用センサ28とが管軸方向に並べて取り付けられている。
開口窓部24及びそこに取り付けられた温水用センサ26及び浄水用センサ28はそれぞれ上方に向けて、詳しくは使用者に向かって斜め前方の上方に向けて設けられている。
【0053】
即ち、吐水口16からの吐水の方向が下向きであるのに対し、これら温水用センサ26及び浄水用センサ28は、それぞれ検知方向が吐水の方向とは異なった方向とされており、吐水口16からの吐水方向前方の人体やその他の対象物を検知しない向きで設けられている。
【0054】
ここで温水用センサ26は、その検知方向前方即ち上方に使用者が手かざししたとき、これを検知して吐水口16から適温に温調された温水を吐水させる。
温水用センサ26は、その後人体非検知となっても温水の吐水を継続させ、そして再び使用者による手かざし操作によって人体検知したとき、吐水口16からの温水の吐水を停止させる。
【0055】
浄水用センサ28もまた同様で、使用者の手かざし操作によって人体検知すると、そこで吐水口16から浄水を吐水させる。
浄水用センサ28は、その後人体非検知となっても浄水の吐水を継続させ、そして再び使用者が手かざし操作をすることによって人体検知したときに、そこで浄水の吐水を停止させる。
即ち温水用センサ26,浄水用センサ28は、何れも人体検知するごとに吐水と止水とを交互に行わせる手かざし式の交互センサとされている。
【0056】
上記水栓本体部12は、その内部に設けられた混合弁30と、これを操作するレバーハンドル32とを有している。ここで混合弁30は、水と湯とを所定比率で混合して適温の温水とする。
レバーハンドル32は、左右回動操作によって水と湯との混合比率を調節し、即ち混合水の温度を調節し、また上下回動操作によって温水の吐水流量を調節する。
【0057】
この実施形態において、給水元管からの水はカウンタ10下の止水栓34を経て給水路36を通じ混合弁30へと供給される。
また給湯元管からの湯が、止水栓38を経て給湯路40を通じ混合弁30へと供給される。
そして混合弁30に供給された水と湯とが、混合弁30で所定比率で混合されて適温の温水とされ、混合弁30から延び出した流出管へと流出せしめられる。
【0058】
この流出管には、上記の可撓性の給水ホース22が接続されており、それら流出管と給水ホース22とによって、その内部に流出路42が形成されている。
即ち上記可撓性を有する給水ホース22は、カウンタ10の下方に垂れ下がっており、吐水ヘッド18とは反対側の端部が混合弁30から下向きに延び出した流出管に接続されている。
図中42Aは混合弁30側の流出路を、また42Bは給水ホース22側の流出路をそれぞれ表している。
【0059】
カウンタ10の下方には制御ボックス15が配置されており、そしてその制御ボックス15の内部において、流出路42上にこれを開閉する電磁弁44が設けられていて、その電磁弁44の開閉により、吐水口16からの温水の吐水と止水とが行われる。
【0060】
制御ボックス15の内部にはまた、マイコンを主要素とする制御部46が設けられ、この制御部46に対して電磁弁44が電気的に接続されている。
ここで制御部46は、電磁弁44の作動制御を行う。
この制御部46にはまた、上記の温水用センサ26及び浄水用センサ28が電気的に接続されている。
制御部46は、温水用センサ26による人体検知に基づいて電磁弁44を開閉制御し、吐水口16からの温水の吐水と止水とを制御する。
尚給水路36,給湯路40上には混合弁30側への水,湯の流れのみを許容し、逆方向の流れを阻止する逆止弁48が設けられている。
【0061】
給水元管からの水はまた、逆止弁48の下流部で給水路36から分岐した浄水路50に取り出され、そして浄水路50上に設けられた浄水器52のフィルタを通過してそこで浄化された上で、浄化後の水(浄水)が、混合弁30をバイパスして流出路42に導かれ、そしてその流出路42を通じて吐水ヘッド18の吐水口16から吐水されるようになっている。
この浄水路50上には、浄水器52への原水の流入側において電磁弁54と定流量弁56とが設けられている。
【0062】
電磁弁54は制御部46に電気的に接続されており、制御部46による電磁弁54の開閉制御によって、吐水口16からの浄水の吐水と止水とが行われる。
詳しくは、浄水用センサ28による人体検知に基づいて電磁弁54が制御部46により開閉制御されることによって、浄水の吐水と止水とが行われる。
【0063】
図1に示しているように、吐水管14は逆U字状のグースネック形状をなしており、その先端側の吐水ヘッド18は、図2及び図4に示しているように、筒状をなすコア部材58と、これを外周側から覆うカバー60、更に吐水口部材62を有しており、そのコア部材58に対して給水ホース22の先端部が水密に接続されている。
【0064】
一方吐水管本体20は、吐水ヘッド18との分割位置に到るまで一様な内径及び外径で連続して延びる一体の管体(ここでは金属製)にて構成されており、その先端開口が温水用センサ26,浄水用センサ28及びこれを保持するセンサホルダ66を管軸方向に挿入するための、管軸方向を向いた挿入開口68を成している。
この実施形態では、図3にも示しているように温水用センサ26及び浄水用センサ28が全体として一体の人体検知センサ64(以下単にセンサ64とする)を成している。
【0065】
センサ64は、図3に示しているように下側に回路ケース70を有しており、その内部にセンサ回路が収容されている。
一方回路ケース70の上側には、透光性を有する素子ケースが回路ケース70から突出する形状で設けられており、その素子ケースの内部に、温水用センサ26,浄水用センサ28にそれぞれ対応した発光素子及び受光素子が設けられている。
【0066】
回路ケース70と素子ケースとの内部は互いに連通した空間とされており、回路ケース70に収容された基板上に上記の発光素子,受光素子が搭載されており、そしてそれら発光素子,受光素子が素子ケースの内部に収容されている。
温水用センサ26,浄水用センサ28は発光素子からの光を素子ケースを通して投光し、その反射光を受光素子で受光して人体検知をそれぞれ行う。
ここで回路ケース70及び素子ケースを含むセンサ64は、図2,図5に示しているようにグースネック形状をなす吐水管14における吐水管本体20の湾曲形状に対応した形状の湾曲形状をなしている。
【0067】
上記素子ケースは平面形状が管軸方向に長い矩形状をなしており、そして図3に示しているようにこれを取り囲むようにして弾性を有するシール部材72が回路ケース70の上面に固設されている。
【0068】
センサ64は、回路ケース70から上向きに突出した素子ケースを図2及び図4に示しているように吐水管本体20に設けられた開口窓部24に嵌め込む状態に、吐水管本体20に取り付けられている。
【0069】
詳しくは、回路ケース70の上面を吐水管本体20の内面に当接させ、そして素子ケースを開口窓部24内に嵌め込む状態に吐水管本体20に取り付けられている。
このとき弾性シール部材72は、図7(B),(C)に示すように吐水管本体20の内面に弾性圧接せしめられ、その弾性圧接状態の下でシール作用する。
【0070】
この実施形態では、このようにしてセンサ64が開口窓部24に嵌め込まれ、開口窓部24に対して嵌合することによって、センサ64が吐水管本体20に対して管軸方向及びこれと直角方向に位置決めされ、吐水管本体20に対して固定状態とされる。
【0071】
尚この実施形態において、センサ64は開口窓部24に嵌め込まれ取り付けられた状態において、図7(B)に示しているように湾曲状をなすその上面が吐水管本体20の上面と同一面、即ち面一面を形成する。
この結果吐水管本体20は、その基端から先端に到るまで、上面を含む外面全体が凹凸の無い平滑な面を形成する。
【0072】
センサ64からは、その前端(図3中下端)から合計6本の電気配線が引き出されている。
このうち4本が束ねられて配線コード76A-1とされ、また残りの2本が束ねられて配線コード76A-2とされている。
図中76Aは、これら配線コード76A-1,76A-2から成るセンサ側の配線コードを表している。
【0073】
一方上記の制御部46からは、図3,図5,図7(A)に示しているように対応する6本の電気配線を1つに束ねて成る制御部46側の配線コード76Bが延び出し、この配線コード76Bが吐水管本体20にその基端側から挿通されている。
【0074】
図3に示しているようにこの配線コード76Bは、先端側がセンサ側の配線コード76A-1に対応した4本の配線コード76B-1と、センサ側の配線コード76A-2に対応した2本の配線コード76B-2とに分かれており、そして図5に示すように配線コード76A-1と76B-1とがコネクタ80-1により、また図6に示すように配線コード76A-2と76B-2とがコネクタ80-2にてそれぞれ接続されている。
【0075】
即ち、配線コード76A-1の先端に設けられた雌コネクタ80-1Aと、配線コード76B-1の先端に設けられた雄コネクタ80-1Bとの連結により、配線コード76A-1と76B-1とが接続され、また配線コード76A-2の先端に設けられた雌コネクタ80-2Aと、配線コード76B-2の先端に設けられた雄コネクタ80-2Bとの連結により、配線コード76A-2と76B-2とがそれぞれ接続されている。
【0076】
上記センサホルダ66は、図2,図4にも示しているようにセンサ64を吐水管本体20の内部において下側から保持する部材で、ここではこのセンサホルダ66は樹脂製とされている。
このセンサホルダ66は、吐水管本体20の管軸方向に長手形状をなしており、且つその全体が吐水管本体20の湾曲形状に対応した形状の湾曲形状をなしている。
【0077】
センサホルダ66は、図3及び図8に示しているように水平方向に薄板状をなすセンサ支持部82を有しており、そのセンサ支持部82の上面にセンサ64を載せて、これを吐水管本体20の内側から保持するようになっている。
【0078】
センサホルダ66はまた、同じく薄板状をなしてセンサ支持部82から立下がる支持脚84を有しており、図7(B),(C)に示しているようにセンサ支持部82の左右方向の両端及び支持脚84の下端の、吐水管本体20の内面への当接作用により、吐水管本体20内部への挿入時に吐水管本体20内に嵌合し、その嵌合作用によって吐水管本体20に対して径方向に位置決めされ、その位置決状態で吐水管本体20の内部に保持されるようになっている。
尚、図7に示しているように支持脚84は下端に着座部86を有しており、支持脚84はこの着座部86において吐水管本体20の内面に当接し、着座するようになしてある。
【0079】
このセンサホルダ66は、図7(B),(C)に示すように支持脚84が吐水管本体20内部をホース収納空間88と配線収納空間90とに区画する仕切壁をなしており、そのホース収納空間88に上記の給水ホース22が収納され、また配線収納空間90に配線コード76A,76Bが収納されるようになっている。
【0080】
センサホルダ66には、配線収納空間90側に突出してコネクタを固定するための複数の爪が設けられている。
詳しくは、図5及び図8(C)に示しているように、センサ支持部82の下面から爪92,94が下向きに突出形成され、また支持脚84から側方に向けて爪96が突出形成されている。
ここで爪92は、コネクタ80-1の側面に当接してコネクタ80-1を支持脚84と協働して図7中左右方向に位置決めし、また爪96は、コネクタ80-1の下面を支持してコネクタ80-1の上下方向の位置決めを行う。
【0081】
更に爪94は、コネクタ80-1の前端(図5中右端)に当接し、コネクタ80-1の凹陥部に入り込んだ爪96と協働して前後方向(図5中左右方向)の位置決めをなす。
そしてそれら爪92,96,94の位置決作用によって、それらが協働してコネクタ80-1をセンサホルダ66に固定する。
【0082】
センサホルダ66にはまた、支持脚84から配線収納空間90側に突出する状態でコネクタ80-2の固定用の爪98が設けられている。
爪98は、図7(B)及び図8(C)に示しているようにL字状に上向きに折れ曲っており、コネクタ80-2の凹陥部にこの爪98が下側から嵌り込むことで、コネクタ80-2を位置決状態にセンサホルダ66に固定する。
【0083】
尚、センサホルダ66には、支持脚84から配線収納空間90側に突出する別の爪100が設けられている。
この爪100は、支持脚84から水平方向に突出した後、下向きに折れ曲るL字状をなしている。この爪100は、図5及び図6に示しているように配線コード76B-1,76B-2の掛止用のものである。
但し配線コード76B-1,76B-2は、この爪100に対して掛止状態を保ちながらスライド移動することが可能である。
【0084】
この実施形態において、センサホルダ66は図8(A),(B)に示しているように支持脚84の前部84Aが、後部84Bに対して配線収納空間90側に偏った位置に位置させられており、そして後部84Bと前部84Aとの境界部分が、後部84Bから前部84A側に向けて湾曲した湾曲部106とされている。
【0085】
またセンサホルダ66の前端(図8中左端)には、正面視において左方に曲った曲げ部104が設けられ、更にこれに続いて上方に曲った被掛止部102が設けられている。
この被掛止部102の付根部位には、段違い形状の当接部107が設けられている。
【0086】
この当接部107は、センサホルダ66を吐水管本体20の先端の挿入開口68から吐水管本体20内部に管軸方向に挿入したとき、図2の部分拡大図に示しているようにセンサ64の前端に当接して、その当接作用によりセンサホルダ66の挿入端を規定する働きをなす。
尚、センサホルダ66の後端(図8中右端)には、側面形状が半円形状で支持脚84から後方に突出した突出片108が設けられている。
【0087】
図5に示しているように、配線コード76-1(76A-1及び76B-1から成る配線コード76-1)は、センサ64の前端から引き出された後、吐水管14の基端側の方向の後方に曲げ返されてその後方に延びた後、センサ64の後端(図中左端)近傍位置で前方(図中右方)に曲げ返された上、再びセンサ64の前端近傍位置で後方に曲げ返され、配線コード76Bへと到っている。
【0088】
同様に、図6に示すように配線コード76-2(76A-2及び76B-2から成る配線コード76-2)についても、センサ64の前端から引き出された後、後方(図6中左方)に曲げ返されて後方へと延びた後、更に前方(図6中右方)に曲げ返されて前方へと延び、再び後方に曲げ返されて配線コード76Bへと到っている。
【0089】
これら配線コード76A−1,76A-2及び76B-1,76B-2のU字状をなす部分、即ちセンサ64から後方に延びた後、向きを180°転回して前方に延び、その後に後方へと向きを転回するまでのU字状の部分は、配線コード76A,76Bにおける余長部分となるもので、この余長部分により、センサホルダ66を後に示すように吐水管本体20の挿入開口68を通じ吐水管本体20から引き出す際に配線コード76A,76Bに引張りの力を発生させることなく、円滑にセンサホルダ66を吐水管本体20から引き出すことが可能となる。
【0090】
図4(及び図2,図5)に示しているように、吐水管本体20の先端部には、吐水管本体20から突出し、吐水ヘッド18の雌嵌合部110との嵌合によって吐水ヘッド18を保持する雄嵌合部112を備えた円筒形状をなす筒体114が設けられている。
この筒体114は、その外径が雄嵌合部112の外径よりも大径をなす大径部116を一体に有しており、その大径部116が吐水管本体20の先端部に内嵌状態に嵌合されて、固定具としてのビス118により吐水管本体20の先端部に固定されている。
【0091】
この筒体114には、後方(図中右方)に突出する掛止爪120がその上部に一体に設けられており、この掛止爪120が、センサホルダ66における上記の被掛止部102に係合せしめられている。
即ちこの実施形態では、センサホルダ66とは別体に構成された筒体114が、掛止爪120と被掛止部102との係合によって管軸方向に連結状態とされている。
【0092】
尚吐水管本体20への筒体114の固定状態において、図4の部分拡大図に示しているように掛止爪120と被掛止部102との間には管軸方向に微小な遊びがもたせてある。
この遊びは筒体114を吐水管本体20から引き出したときに消失して、図12の部分拡大図に示しているように掛止爪120と被掛止部102とが引っ掛かった状態となり、筒体114に加えられた抜出方向の力がセンサホルダ66へと伝えられる。
【0093】
センサホルダ66は、上記のようにセンサユニット64が開口窓部24に嵌り込むことによって、更には段付形状の当接部107がセンサユニット64に当接することによって、押込方向(挿入方向)に位置決めされる。即ちその挿入端が規定される。
【0094】
但しこのままではセンサホルダ66は吐水管本体20からの抜出方向には位置決めされていない。
しかるに筒体114を吐水管本体20に挿入し、そして筒体114をセンサホルダ66の前端(図中左端)に当接させることで、センサホルダ66が抜出方向にも位置決めされる。
【0095】
図3に示しているように、吐水管本体20の内部には樹脂のシートを円形に巻いた状態に成形して成るガイド管122が挿入されており、このガイド管122内部に上記の給水ホース22が挿通され、その先端部が上記のように吐水ヘッド18に接続されている。
【0096】
給水ホース22は、吐水ヘッド18とともに吐水管本体20から引き出されるとき、或いは再び元に戻されるときに、このガイド管122内部を管軸方向に移動する。
即ち、給水ホース22の管軸方向の移動がこのガイド管122によってガイドされ、給水ホース22の移動時に給水ホース22が吐水管本体20に対して擦れを生じるのが良好に防止され、給水ホース22が円滑に移動せしめられる。
【0097】
このガイド管122は、その先端部の内部にセンサホルダ66の上記の半円形状の突出片を係入させることによって、図9(B)に示しているようにその先端が、吐水管本体20内部の上記支持脚84によって区画されたホース収納空間88側に寄せられてホース収納空間88に合致させられ、ガイド管122からの給水ホース22がそのまま支持脚84にて区画されたホース収納空間88へと入り込んでいる。
【0098】
図9では、樹脂シートを巻いた状態に成形して成るガイド管122の下部を展開した形状で表している。図9に示しているようにガイド管122には幅方向の端部と幅方向の中央部とに多数のスリット124と126とが設けてある。
尚図7(A)に示しているように、ガイド管122の外側には配線収納空間が形成されていて、そこに上記の制御部46から延び出した配線コード76Bが収納されている。
【0099】
本実施形態の自動水栓では、センサ64を次のようにして吐水管本体20に組み付けることができる。
詳しくは、図10に示しているように先ずセンサ64を吐水管本体20の先端の挿入開口68を通じて吐水管本体20の内部に挿入し、そして吐水管本体20の開口窓部24にその一部を(望ましくは素子ケースの前端側の一部を)嵌め込んだ状態とする(図11(I)参照)。
尚、そのようにして開口窓部24に一部を嵌め込んだセンサ64は、粘着テープ等にてその状態に吐水管本体20に仮止めしておく。
その状態で、図10に示すようにセンサホルダ66(配線コードについては図示を省略)を、同じく吐水管本体20の先端の挿入開口68を通じて吐水管本体20内部に管軸方向に挿入する。
【0100】
このとき、センサホルダ66の挿入によって、図11(II)に示しているようにセンサ64が、弾性を有するシール部材72を吐水管本体20の内面に弾性圧接させつつ図中上向きに押し上げられ、開口窓部24の全体に上向きに完全に嵌り込んだ状態となる。
同図に示しているように、この状態でセンサ64の外面が吐水管本体20の外面と面一面となる。
換言すれば、センサ64はシール部材72を介して吐水管本体20の内面に弾性圧接状態に取り付けられ、固定される。
【0101】
また吐水管本体20の内部に挿入されたセンサホルダ66は、センサ支持部82の上面においてセンサ64を下側から保持した状態となり、更にセンサホルダ66は、センサ支持部82の両端及び支持脚84の下端、詳しくは着座部86の吐水管本体20内面への当接作用により、径方向に位置決状態で吐水管本体20内部に保持される。
またセンサホルダ66は、その前端の段付形状の当接部107のセンサ64に対する当接作用によって挿入端(押込端)が規定される。
【0102】
またセンサホルダ66と一緒に筒体114を吐水管本体20内部に挿入し、或いはセンサホルダ66を先に吐水管本体20内部に挿入した後において、筒体114を吐水管本体20内部に挿入し、そして図12に示すように筒体114をビス118にて吐水管本体20に固定することで、センサホルダ66が抜出方向にも位置決めされ、固定される。
【0103】
一方、センサ64やコネクタ80-1,80-2等のメンテナンスの必要が生じた場合には、センサ64或いはコネクタ80-1,80-2等を次のようにして容易に吐水管本体20の外部に取り出すことができる。
【0104】
詳しくは、図4に示す状態においてビス118を外すことによって、筒体114を吐水管本体20から抜き出すと、筒体114に対して掛止爪120と被掛止部102とにおいて連結状態にあるセンサホルダ66が、筒体114とともに挿入開口68を通じ吐水管本体20から管軸方向に抜き出される。
【0105】
尚配線コード76A-1,76B-1,76A-2,76B-2には、図5及び図6に示しているように吐水管本体20内部において所要の余長がもたせてあるため、センサホルダ66は配線コード76A-1,76B-1,76A-2,76B-2に引張力を発生させることなく、コネクタ80-1,80-2をセンサホルダ66にて保持した状態で(図13参照)これら配線コード76A-1,76B-1,76A-2,76B-2とともに吐水管本体20の挿入開口68から抜き出すことができる。
尚、図13では配線コード76A-1,76B-1についてのみ図示しているが、配線コード76A-2,76B-2についても基本的に同様である。
このようにしてセンサホルダ66を抜き出すことで、その後センサ64を容易に吐水管本体20から挿入開口68を通じて外部に抜き出すことができる。
【0106】
以上のように本実施形態においては、センサ64が吐水管14の外側からではなく内側から取り付けられ、またこれを保持するセンサホルダ66も挿入開口68を通じて吐水管14内に管軸方向に挿入されてセンサ64を開口窓部24に位置させる状態に保持するものとされているため、センサ64取付部を含む位置まで吐水管14、詳しくは吐水管本体20を管軸方向に連続した一体の管体で構成することが可能となり、吐水管14を小型で細いスリムな形状に、且つその外面を凹凸や段差、更には部品の継目の少ないシンプルですっきりとした良好な外観となすことができる。
【0107】
またセンサ64を、吐水管14の挿入開口68とは別の開口窓部24に配置するものであるため、センサ64の検知方向を吐水口16からの吐水の方向と異なった方向となすことができる。
またセンサホルダ66は、吐水管本体20の内面に嵌合し、吐水管本体20によって径方向に位置決めされた状態でその内部に保持されるため、センサホルダ66を吐水管14の内部に挿入するだけで、安定した姿勢に吐水管14内に保持することができ、従ってまたセンサホルダ66によりセンサ64を安定して保持することが可能となる。
【0108】
本実施形態では、センサ64を開口窓部24に対し吐水管14の内側から外側向きに嵌り込んで吐水管14に固定するようになしてあるため、吐水管14内にセンサ64の位置決めのための位置決手段を別途に設けるのを省くことができ、センサ64取付部分の構造を簡素な構造となすことができる。
加えてセンサ64を開口窓部24に嵌り込ませることによって、開口窓部24をセンサ64にて埋めることができ、吐水管14外面の凹凸や段差をセンサ64取付部分において無くして、吐水管14のセンサ64及びその周りの部分の外面を平滑な面となし得、同部分の清掃性も良好となすことができる。
【0109】
本実施形態では、センサ64が可動側の吐水ヘッド18に対して固定側となる吐水管本体20に設けられているため、吐水ヘッド18を手で握って引き出した場合においても、吐水ヘッド18を握った手がセンサ64によって検知されてしまうことはなく、吐水ヘッド16を引き出して作業する際に、センサ64が手を誤検知してしまうのを防止し得て、自動水栓を適正に動作させることができる。
【0110】
更に本実施形態では、センサホルダ66が、薄板状をなすセンサ支持部82と、支持脚84とで構成されているため、吐水管本体20内に挿入したセンサホルダ66が吐水管本体20の内部空間を広く占めてしまうのを防ぎつつ、センサホルダ66を吐水管本体20によりその内部に安定した姿勢に保持することができる。
【0111】
またセンサホルダ66における支持脚84をもって、吐水管本体20の内部をホース収納空間88と配線収納空間90とに区画する仕切壁と成してあるため、支持脚84の部分即ち仕切壁の部分において、吐水管14内部に挿通された給水ホース22と配線コード76A-1,76B-1,76A-2,76B-2とが干渉するのを防止することができる。
これにより吐水ヘッド16を給水ホース22とともに吐水管本体20から引き出し又は収納する際に、給水ホース22が配線コード76A-1,76B-1,76A-2,76B-2に対して擦れを生じ、そのことによって配線コード76A-1,76B-1,76A-2,76B-2が絡まったり配線の乱れを生じたり、或いは断線を生じたりするのを有効に防止することができる。
【0112】
またセンサホルダ66にコネクタ80-1,80-2の固定部としての爪92,94,96,98を設けてあるため、コネクタ80-1,80-2及びこれを介して配線コード76A-1,76B-1,76A-2,76B-2をセンサホルダ66にて保持しておくことができる。
【0113】
これによりセンサホルダ66を挿入開口68から取り出すことで、同時にコネクタ80-1,80-2を、更には、そのコネクタ80-1,80-2を介して配線コード76A-1,76B-1,76A-2,76B-2を、センサホルダ66とともに吐水管本体20の内部から挿入開口68を通じて外部に取り出すことができ、メンテナンス性を高めることができる。
【0114】
更に本実施形態では、吐水管本体20内に電気配線の余長をもたせてあるため、センサ64を吐水管本体20内に残したまま、センサホルダ66を挿入開口68から外部に取り出すことができ、そしてセンサホルダ66による保持が解除された後において、センサ64を吐水管本体20内から外部に引き出すことができる。
【0115】
本実施形態ではまた、単にセンサホルダ66を挿入開口68を通じて吐水管本体20内部に管軸方向に挿入するだけで、シール部材72の弾性変形を伴ってセンサ64を吐水管本体20の内面に弾性圧接状態に取付固定することが可能となる。
またシール部材72の弾性変形に基づいて、センサホルダ66や吐水管本体20内面,センサ64等の部品の製造誤差や組付誤差を吸収し得て、良好にセンサ64を吐水管本体20に取り付けることができる。
【0116】
また本実施形態では、吐水管本体20から突出した筒体114を管軸方向に引き出すことで、同時に吐水管本体20内部のセンサホルダ66を特別な工具を用いることなく容易に外部に引き出すことができる。
一方筒体114を吐水管本体20にビス118にて固定しておくことで、センサホルダ66を吐水管本体20からの抜出方向に固定状態としておくことができる。
【0117】
以上本発明の実施形態を詳述したがこれはあくまで一例示である。
例えば上記実施形態では温水用センサと浄水用センサとを吐水管本体20に設けているが、場合によって何れか一方又は他の種類の1種類のセンサのみを設けておくといったことも可能である。更にセンサ取付用の開口窓部を吐水管本体20の周壁側部に設け、吐水管本体20の側方を検知方向とするようになすことも可能である。
【0118】
更に本発明では、吐水管内部に給水ホースを挿通し、給水ホースを通じて吐水口に給水を行う場合において、吐水口を吐水管14に固定的に設けておくことも可能である。即ち上記実施形態では給水ホースが吐水ヘッドとともに引出可能とされているが、給水ホースを吐水管14内部に固定状態に設けておくといったことも可能である。
更に上記実施形態では制御ボックス15内に制御部46を設けているが、この制御部46を人体検知センサ64と一体にして吐水管14内に設けておくといったことも可能である。
その他本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】本発明の一実施形態である自動水栓の概略全体図である。
【図2】同実施形態における吐水管の側面断面図である。
【図3】同実施形態の吐水管を各部品に分解して示す分解斜視図である。
【図4】同実施形態の吐水管を吐水ヘッドを引き出した状態で示す断面図である。
【図5】図2とは異なる側面(配線収納空間側)の断面図である。
【図6】図5とは異なる配線コードの設置状態を示す図である。
【図7】図5のア-ア断面図,イ-イ断面図,ウ-ウ断面図である。
【図8】センサホルダの単品図である。
【図9】ガイド管の一部を展開状態で示した図である。
【図10】センサホルダの吐水管への挿入途中を示した説明図である。
【図11】図10のセンサホルダの挿入による作用説明図である。
【図12】センサホルダの吐水管本体からの取出途中を示した説明図である。
【図13】図12のセンサホルダの取出しによる作用説明図である。
【図14】従来の自動水栓の一例を示した図である。
【図15】図14の自動水栓の分解斜視図である。
【図16】図14の自動水栓の側面断面図である。
【符号の説明】
【0120】
14 吐水管
16 吐水口
18 吐水ヘッド
20 吐水管本体
22 給水ホース
24 開口窓部
26 温水用センサ
28 浄水用センサ
64 人体検知センサ
66 センサホルダ
68 挿入開口
72 シール部材
76A,76A-1,76A-2,76B,76B-1,76B-2 配線コード
80-1,80-2 コネクタ
82 センサ支持部
84 支持脚
88 ホース収納空間
90 配線収納空間
92,94,96,98,100 爪
100 雌嵌合部
112 雄嵌合部
114 筒体
【技術分野】
【0001】
この発明は、人体検知センサによる人体検知に基づいて吐水を自動的に行う自動水栓に関し、詳しくは吐水管の管軸周りの周壁部に非接触式の人体検知センサを配置して成る自動水栓に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人体検知センサによる人体検知に基づいて吐水を自動的に行う自動水栓が広く用いられている。
例えば公共トイレ等において、吐水管の先端部に人体検知センサを吐水口からの吐水の方向と同方向に向けて、詳しくは検知方向が吐水の方向と同方向となるように人体検知センサを設け、そして人体検知センサにより差し出された手を検知(人体検知)することで吐水口から自動的に吐水し、また人体検知センサが人体非検知となったところで吐水を自動的に停止する自動水栓が手洗用水栓として広く用いられている。
【0003】
ところで、近年においては自動水栓が家庭のキッチン用水栓等としても用いられるようになってきており、この場合、人体検知センサの検知方向を吐水口からの吐水の方向と同方向に向け、また人体検知により自動吐水、人体非検知により自動止水させるようにしておくと自動水栓が使い勝手の悪いものとなってしまう。
【0004】
このような自動水栓をキッチン用水栓として用いたとき、流し台のシンクに向かって炊事作業等をする際、吐水の意図がないにも拘らず作業者の手が人体検知センサの検知エリア内に入ることによって吐水口から吐水されてしまったり、或いは洗い物等をする際に、連続吐水させたいにも拘らず食器や鍋或いは作業者の手が検知エリア外にあることによって吐水が行われなかったり、或いは手等が検知エリア内に入ったり出たりすることで、吐水が行われたり吐水停止してしまったりするといったことが起り得る。
【0005】
このような場合には人体検知センサの検知方向を吐水口からの吐水の方向とは別方向、つまり吐水方向前方の人体その他の対象物を検知しない方向となしておき、また人体検知するごとに吐水と止水とを交互に行わせるようにしておくことが望ましい。
【0006】
そのようにしておけば、人体検知センサの検知方向の前方に使用者が手かざしすることで吐水を行わせ且つこれを続行させることができる。また止水をしたいときには、人体検知センサの検知方向の前方に使用者が手かざしすることで吐水停止、即ち止水させることができる。
【0007】
更に自動水栓をキッチン用水栓として用いる場合には、これをホース収納水栓、詳しくは吐水ヘッドをこれに接続された可撓性の給水ホースとともに、そのホルダとしての働きをなす吐水管本体から引出可能な水栓として構成しておくことが望ましい。
そのようにしておけば、吐水ヘッドを引き出すことによってシンクの隅々まで吐水を行うことが可能となり、シンク洗いその他の作業が容易となって水栓の使い勝手が良好となる。
但しこの場合には、人体検知センサを可動側の吐水ヘッドに対して固定側となる吐水管本体の側に設けておくことが望ましい。
【0008】
このような自動水栓については例えば下記特許文献1に開示がなされている。
図14〜16はその具体例を示している。
図14において、300は自動水栓における吐水管で、この吐水管300は、管軸方向において吐水口302を備えた先端側の吐水ヘッド304と、吐水ヘッド304を保持する基端側の吐水管本体306との分割構造とされている。
【0009】
吐水ヘッド304には、吐水管本体306の内部に挿通された可撓性を有する給水ホース307が接続されていて、吐水ヘッド304が給水ホース307とともに吐水管本体306から引出可能とされている。即ちこの自動水栓はホース収納式の自動水栓とされている。
【0010】
一方、吐水管本体306には人体検知センサ(ここでは光センサ)として水用センサ308(以下単にセンサ308とする)と温水用センサ310(以下単にセンサ310とする)とが、吐水口302からの吐水の方向とは異なった方向、具体的にはここでは使用者に向かって斜め前方の上方に向けて設けられている。
ここでセンサ308,310は何れも交互センサとして、即ち人体検知するごとに吐水と止水とを切り替える手かざし式の交互センサとして構成されている。
【0011】
この例の場合、センサ308の上方に手かざしすると、人体検知により吐水口302から水(冷水)が吐水され、そして吐水継続中に再びセンサ308の上方に手かざしすると、吐水口302からの水の吐水が停止する。
一方センサ310の上方に手かざしすると、吐水口302から適温に温度調節された温水が吐水され、更に温水吐水中に再びセンサ310の上方に手かざしすると、そこで温水の吐水が停止する。
尚312は水栓本体部で、その内部に混合弁が収容されている。
314は水と湯との混合比率を変化させて、混合水の温度調節を行い、また吐水の流量調節を行うレバーハンドルである。
【0012】
図15,図16に示しているように、吐水管本体306は管軸方向に連続した管体をなす金属製のパイプ306Aと、これよりも先端側のセンサ取付部306Bとを有している。
センサ取付部306Bは、概略筒状をなして前端部(図中左端部)と後端部(図中右端部)との間の大部分の上面が上向きに開放された形態のホース挿通部材306B-1と、その開放部218を閉鎖する蓋板306B-2とを有しており、その蓋板306B-2の上面に、上記のセンサ308及び310が載置状態に取り付けられている。
【0013】
そしてそれらが下カバー306B-3と、上カバー306B-4とによって覆われ、それらの内部に隠蔽状態とされている。
ここで上カバー306B-4は透光性の樹脂にて構成されており、センサ308,310がこの透光性の上カバー306B-4を介して投受光するようになしてある。
尚、下カバー306B-3は図16にも示しているようにビス320にてパイプ306Aの下部に固定されている
【0014】
これら図14〜図16に示す自動水栓の場合、センサ308,310をホース挿通部材306B-1に対して、詳しくはその上面の開放部318を閉鎖する蓋板306B-2に対して径方向外側から取り付けることができ、またメンテナンスの必要が生じたときには上カバー306B-4を外すことによってメンテナンス作業することができる利点を有する反面、センサ取付部306Bの構造が複雑で所要部品点数が多い問題がある他、センサ取付部306Bが太く大型化してしまい、加えて図14に示す組付状態の下で吐水管300が凹凸や段差が多い形状となり、更に上カバー306B-4と下カバー306B-3との継目や、それら上カバー306B-4及び下カバー306B-3とパイプ306Aとの継目が目立ち、外観的なシンプルさにおいて不十分で、それらの点でなお改善すべき点を残したものである。
更に継目や凹凸が多く存在していることから清掃性が十分でない問題も有している。
【0015】
尚、本発明に類似する技術として下記特許文献2に開示されたものがある。
この特許文献2に開示のものは、人体検知センサを吐水管に設けた開口からその内部に挿入して組付けを行うものであるが、このものはセンサの挿入用の開口とセンサ窓となる開口とが同一であり、またセンサの検知方向が吐水口からの吐水の方向である等本発明とは異なった別異のものである。
【0016】
【特許文献1】特開2006−144326号公報
【特許文献2】特開2004−92023号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は以上のような事情を背景とし、センサ取付部を含む吐水管の全体を細くスリムに構成し得て、しかも凹凸ないし段差や継目を可及的に少なくでき、外観が良好でしかも清掃性にも優れた自動水栓を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
而して請求項1のものは、吐水管の管軸周りの周壁部に非接触式の人体検知センサを配置し、該人体検知センサによる人体検知に基づいて該吐水管の先端部の吐水口から自動的に吐水する自動水栓であって、(イ)前記吐水管の周壁部を径方向に貫通して設けられた前記人体検知センサ用の開口窓部と、(ロ)該吐水管に該開口窓部とは別に前記管軸方向に向けて設けられた挿入開口と、(ハ)該挿入開口を通じて前記吐水管内に且つ該管軸方向に挿入される前記人体検知センサと、(ニ)該挿入開口を通じて該吐水管内に且つ該管軸方向に挿入され、前記人体検知センサを前記開口窓部に位置させた状態に該人体検知センサを径方向内側から保持するセンサホルダと、を有していることを特徴とする。
【0019】
請求項2のものは、請求項1において、前記人体検知センサは、前記開口窓部に前記吐水管の内側から外側向きに嵌り込んで該吐水管に固定されるものとなしてあることを特徴とする。
【0020】
請求項3のものは、請求項1,2の何れかにおいて、前記吐水管の内部には可撓性を有する給水ホースが挿通されていて、該給水ホースを通じて前記吐水口に給水が行われるようになしてあることを特徴とする。
【0021】
請求項4のものは、請求項3において、前記吐水管は、前記管軸方向において前記吐水口を備えた先端側の吐水ヘッドと、該吐水ヘッドを保持する基端側の吐水管本体との分割構造とされていて、該吐水管本体に前記開口窓部が設けられ且つ該吐水管本体の先端開口が前記挿入開口とされているとともに、前記吐水ヘッドには前記給水ホースが接続されていて、該吐水ヘッドが該給水ホースとともに該吐水管本体から引出可能とされていることを特徴とする。
【0022】
請求項5のものは、請求項1〜4の何れかにおいて、前記センサホルダは、前記人体検知センサを載せて支持するセンサ支持部と、該センサ支持部より立ち下り、該センサ支持部を支える支持脚とを有していることを特徴とする。
【0023】
請求項6のものは、請求項3,4の何れかにおいて、前記センサホルダは、前記人体検知センサを載せて支持するセンサ支持部と、該センサ支持部より立下り、該センサ支持部を支える支持脚とを有していて、該支持脚が前記吐水管本体の内部をホース収納空間と配線収納空間とに区画する仕切壁を成しており、該ホース収納空間に前記給水ホースが、該配線収納空間に前記人体検知センサに繋がる電気配線が収納されていることを特徴とする。
【0024】
請求項7のものは、請求項1において、前記センサホルダには、前記人体検知センサに繋がる電気配線を接続するコネクタの固定部が設けてあることを特徴とする。
【0025】
請求項8のものは、請求項1において、前記人体検知センサに繋がる電気配線は、該人体検知センサの前記吐水管の先端側である前端側から引き出された後、該吐水管の基端側の方向の後方に曲げ返されて該後方に延びた後に、更に前方に曲げ返された上、再び該後方に曲げ返されて前記吐水管の基端側に向けて延びるものとなしてあることを特徴とする。
【0026】
請求項9のものは、請求項1〜8の何れかにおいて、前記人体検知センサには、前記開口窓部の周縁部に接触せしめられる弾性を有するシール部材が設けてあり、且つ該シール部材は、前記センサホルダの挿入により弾性変形して該開口窓部の周辺部に弾性圧接し、該弾性圧接状態でシール作用するものとなしてあることを特徴とする。
【0027】
請求項10のものは、請求項4において、前記吐水管本体の先端から前記吐水ヘッド側に突出し、該吐水ヘッドの雌嵌合部との嵌合によって該吐水ヘッドを保持する雄嵌合部を備えた筒体が前記センサホルダとは別体に設けられて該筒体が該センサホルダに連結状態とされているか又は該筒体が該センサホルダに一体に設けられていることを特徴とする。
【発明の作用・効果】
【0028】
以上のように本発明は、吐水管の周壁部を径方向に貫通して設けられた人体検知センサ用の開口窓部と、その開口窓部とは別に吐水管に管軸方向に向けて設けられた挿入開口と、その挿入開口を通じて吐水管内に管軸方向に挿入される人体検知センサと、同じく挿入開口を通じて吐水管内に管軸方向に挿入され、人体検知センサを上記の開口窓部に位置させた状態に、これを径方向内側から保持するセンサホルダとを備えて自動水栓を構成したものである。
【0029】
かかる本発明の自動水栓では、人体検知センサが開口窓部とは別の、管軸方向を向いた挿入開口を通じて吐水管の内部に挿入されるものであるため、つまり人体検知センサが吐水管の外側からではなく内側から取り付けられるものであるため、更にはこれを保持するセンサホルダもまた、上記の挿入開口を通じて吐水管内に管軸方向に挿入され、人体検知センサを開口窓部に位置させる状態に保持するものとされているため、センサ取付部を含む位置まで吐水管を管軸方向に連続した一体の管体で構成することが可能となり、吐水管を小型で細いスリムな形状に、且つその外面を凹凸や段差、更には部品の継目の少ない(若しくは無い)シンプルですっきりとした良好な外観となすことができる。
【0030】
また人体検知センサを、吐水管の管軸方向を向いた挿入開口とは別の周壁部の開口窓部に配置するものであるため、人体検知センサの検知方向を吐水口からの吐水の方向と異なった方向となすことができる。即ち吐水口からの吐水方向前方の人体その他の対象物を検知しない方向を検知方向となしておくことができる。
この場合においてその開口窓部は周壁上部又は側部に設けておき、人体検知センサの検知方向を吐水管の上方又は側方となしておくことができる。
【0031】
また人体検知センサは、使用者による手かざしにより且つ人体検知するごとに吐水と止水とを交互に行わせる手かざし式の交互センサとなしておくことができる。
またセンサホルダは、吐水管の内面に嵌合し、吐水管によって径方向に位置決めされた状態でその内部に保持されるものとなしておくことができる。
【0032】
このようにしておくことで、センサホルダを吐水管の内部に挿入するだけでこれを径方向に位置決めした状態に、安定した姿勢に吐水管内に保持することができ、従ってまたセンサホルダにより人体検知センサを安定して保持することが可能となる。
またこのセンサホルダは、吐水管の管軸方向に長手形状に構成しておき、且つこれを吐水管の湾曲形状に対応した湾曲形状で構成しておくことができる。
【0033】
本発明では、上記人体検知センサを、開口窓部に対し吐水管の内側から外側向きに嵌り込んで吐水管に固定されるものとなしておくことができる(請求項2)。
このようにすることで、人体検知センサを吐水管に位置決めし且つ固定状態とすることができ、従って吐水管内に人体検知センサ位置決めのための位置決手段を設けるのを省くことができ、センサ取付部分の構造を簡素な構造となすことができる。
加えて人体検知センサを開口窓部に嵌り込ませることによって、開口窓部を人体検知センサにて埋めることができ、吐水管外面の凹凸や段差をセンサ取付部分において少なくし又は無くすことができる。
【0034】
この場合において、人体検知センサの外面が吐水管の外面と同一面(面一面)をなすようにしておくことができる。
このようにすれば、人体検知センサの外面が吐水管の外面よりも径方向内側に引き込んだり、或いは逆に外側に突き出したりしないため、吐水管における人体検知センサ及びその周りの部分の外面を平滑な面として構成でき、同部分を凹凸の無い綺麗な面となし得て、同部分の清掃性も良好となすことができる。
ここで人体検知センサの外面と吐水管の外面とを同一面とする場合において、それらの間には微少な径方向の差を生じていても良い。但しその差は0.5mm以下としておく。
【0035】
本発明においては、吐水管の内部に可撓性を有する給水ホースを挿通し、その給水ホースを通じて吐水口に給水を行うようになしておくことができる(請求項3)。
この場合において、請求項4に従い吐水管を管軸方向において吐水口を備えた先端側の吐水ヘッドと、吐水ヘッドを保持する基端側の吐水管本体との分割構造となし、その吐水管本体に開口窓部を設け且つ吐水管本体の先端開口を上記の挿入開口とするとともに、吐水ヘッドには上記給水ホースを接続して、吐水ヘッドを給水ホースとともに吐水管本体から引出可能としておくこと、即ち自動水栓をホース収納式の水栓として構成しておくことができる。
【0036】
この場合、人体検知センサは可動側の吐水ヘッドに対して固定側となる吐水管本体に設けられているため、吐水ヘッドを手で握って引き出した場合においても、吐水ヘッドを握った手が人体検知センサによって検知されてしまうことはなく、吐水ヘッドを引き出して作業する際に人体検知センサが手を誤検知してしまうのを防止し得て、自動水栓を適正に動作させることができる。
【0037】
上記センサホルダは、人体検知センサを載せて支持するセンサ支持部と、センサ支持部より立下り、センサ支持部を支える支持脚とを有するものとなしておくことができる(請求項5)。
このようにしておくことで、吐水管内に挿入したセンサホルダが吐水管の内部空間を広く占めてしまうのを防ぎつつ、センサホルダを吐水管によりその内部に安定した姿勢に保持することができる。
【0038】
請求項6は、そのセンサホルダにおける支持脚をもって、吐水管本体の内部をホース収納空間と配線収納空間とに区画する仕切壁と成し、そしてホース収納空間に給水ホースを、また配線収納空間に人体検知センサに繋がる電気配線を収納しておくようになしたものである。
【0039】
このようにしておけば、その支持脚の部分即ち仕切壁の部分において、吐水管内部に挿通された給水ホースと電気配線とが干渉するのを防止することができる。
特に請求項4に従って吐水ヘッドを給水ホースとともに吐水管本体から引出可能とした場合、給水ホースを吐水ヘッドとともに吐水管本体から引き出し又は収納する際に給水ホースが電気配線に対して擦れを生じ、そのことによって電気配線が絡まったり配線の乱れを生じたり、或いは断線を生じたりするのを有効に防止することができる。
【0040】
次に請求項7は、センサホルダに人体検知センサに繋がる電気配線を接続するコネクタの固定部を設けたもので、このようにしておけば、電気配線をコネクタにおいてセンサホルダに固定状態としておくことができ、かかるコネクタを介してセンサホルダにより電気配線を保持しておくことができる。
【0041】
またセンサホルダを挿入開口から取り出すことにより、同時にコネクタを取り出すことができ、コネクタ部分のメンテナンスを簡単に行うことができる。
更には、そのコネクタを介して電気配線をセンサホルダとともに吐水管内部から挿入開口を通じて外部に取り出すことができ、メンテナンス性を高めることができる。
【0042】
次に請求項8は、人体検知センサに繋がる電気配線を、人体検知センサの前端側から引き出した後、後方に曲げ返して所定長後方側に延ばした後に、更に前方に曲げ返した上で再び後方に曲げ返し、吐水管の基端側に向けて延在させるようになしたものである。
【0043】
例えば電気配線を人体検知センサの前端側から引き出した後、そのまま吐水管の基端側まで後方に延在させておくと、人体検知センサのメンテナンスのためにこれを挿入開口を通じ外部に引き出そうとしたときに、電気配線が引張られて人体検知センサを引き出すことができず、ひいては人体検知センサのメンテナンスを行うことができなくなってしまう。
【0044】
しかるにこの請求項8によれば、人体検知センサの前端側から引き出された電気配線が、一旦後方に延びた後再び前方に曲げ返されて延び、その部分が電気配線の余長として吐水管内部に確保されているため、その余長に基づいて人体検知センサを吐水管の管軸方向の挿入開口から電気配線に引張力を発生させずに円滑に支障無くこれを外部に取り出すことができ、必要な人体検知センサのメンテナンスを行うことが可能となる。
【0045】
また電気配線をセンサホルダに保持させておいた場合において、その余長に基づいて、人体検知センサを吐水管内に残したまま、センサホルダを挿入開口から外部に取り出すことが可能となり、そしてセンサホルダによる保持が解除された後において、人体検知センサを吐水管内から外部に引き出すことが可能となる。
この場合には、人体検知センサを吐水管内の所定位置に残したまま、センサホルダによる人体検知センサの保持が解除される位置までセンサホルダを引き出せるように、その余長の長さを予め定めておく。
【0046】
請求項9は、上記の開口窓部の周縁部に接してシール作用する、弾性を有するシール部材を人体検知センサに設けておき、そしてセンサホルダの挿入によりそのシール部材を開口窓部の周縁部に弾性圧接させて、その弾性圧接状態の下でシール作用させるようになしたものである。
【0047】
このようにすることで、単にセンサホルダを挿入開口を通じて吐水管内部に管軸方向に挿入するだけで、シール部材の弾性変形によりかかるシール部材を介して人体検知センサを吐水管の開口窓部に弾性圧接状態に取付固定することが可能となる。
またシール部材の弾性変形に基づいて、センサホルダや吐水管内面,人体検知センサ等の部品の製造誤差や組付誤差を吸収し得て、良好に人体検知センサを吐水管に取り付けることが可能となる。
【0048】
請求項10は、吐水管本体の先端から吐水ヘッド側に突出し、吐水ヘッドの雌嵌合部との嵌合によって吐水ヘッドを保持する雄嵌合部を備えた筒体をセンサホルダとは別体に設けて、これをセンサホルダに連結状態としておき、或いは筒体をセンサホルダに一体に設けたものである。
【0049】
このようにしておけば、吐水管本体から突出した筒体を管軸方向に引き出すことによって、同時に吐水管本体内部のセンサホルダを特別な工具を用いることなく容易に外部に引き出すことができる。
またこの筒体を吐水管本体にビス等にて固定しておくことで、センサホルダを吐水管本体からの抜出方向に固定化しておくことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0050】
次に本発明をキッチン用水栓として好適な自動水栓に適用した場合の実施形態を図面に基づいて以下に詳しく説明する。
図1において、10はカウンタで、このカウンタ10上に起立する状態で水栓本体部12が設けられ、更にこの水栓本体部12から吐水管14が延び出している。
吐水管14は、管軸方向において吐水口16を有する先端側の吐水ヘッド18と、基端側の吐水管本体20との分割構造とされている。
【0051】
吐水管本体20には、後述の可撓性を有する給水ホース22が挿通されてそこに収納され、この給水ホース22が吐水ヘッド18に接続されている。
吐水ヘッド18は、この給水ホース22とともに吐水管本体20から引出可能とされている。
即ちこの実施形態の自動水栓はホース収納式の自動水栓である。
【0052】
吐水管本体20には、管軸周りの周壁部、ここでは周壁上部を径方向に貫通して人体検知センサとしての光センサから成る温水用センサ26と、浄水用センサ28とが管軸方向に並べて取り付けられている。
開口窓部24及びそこに取り付けられた温水用センサ26及び浄水用センサ28はそれぞれ上方に向けて、詳しくは使用者に向かって斜め前方の上方に向けて設けられている。
【0053】
即ち、吐水口16からの吐水の方向が下向きであるのに対し、これら温水用センサ26及び浄水用センサ28は、それぞれ検知方向が吐水の方向とは異なった方向とされており、吐水口16からの吐水方向前方の人体やその他の対象物を検知しない向きで設けられている。
【0054】
ここで温水用センサ26は、その検知方向前方即ち上方に使用者が手かざししたとき、これを検知して吐水口16から適温に温調された温水を吐水させる。
温水用センサ26は、その後人体非検知となっても温水の吐水を継続させ、そして再び使用者による手かざし操作によって人体検知したとき、吐水口16からの温水の吐水を停止させる。
【0055】
浄水用センサ28もまた同様で、使用者の手かざし操作によって人体検知すると、そこで吐水口16から浄水を吐水させる。
浄水用センサ28は、その後人体非検知となっても浄水の吐水を継続させ、そして再び使用者が手かざし操作をすることによって人体検知したときに、そこで浄水の吐水を停止させる。
即ち温水用センサ26,浄水用センサ28は、何れも人体検知するごとに吐水と止水とを交互に行わせる手かざし式の交互センサとされている。
【0056】
上記水栓本体部12は、その内部に設けられた混合弁30と、これを操作するレバーハンドル32とを有している。ここで混合弁30は、水と湯とを所定比率で混合して適温の温水とする。
レバーハンドル32は、左右回動操作によって水と湯との混合比率を調節し、即ち混合水の温度を調節し、また上下回動操作によって温水の吐水流量を調節する。
【0057】
この実施形態において、給水元管からの水はカウンタ10下の止水栓34を経て給水路36を通じ混合弁30へと供給される。
また給湯元管からの湯が、止水栓38を経て給湯路40を通じ混合弁30へと供給される。
そして混合弁30に供給された水と湯とが、混合弁30で所定比率で混合されて適温の温水とされ、混合弁30から延び出した流出管へと流出せしめられる。
【0058】
この流出管には、上記の可撓性の給水ホース22が接続されており、それら流出管と給水ホース22とによって、その内部に流出路42が形成されている。
即ち上記可撓性を有する給水ホース22は、カウンタ10の下方に垂れ下がっており、吐水ヘッド18とは反対側の端部が混合弁30から下向きに延び出した流出管に接続されている。
図中42Aは混合弁30側の流出路を、また42Bは給水ホース22側の流出路をそれぞれ表している。
【0059】
カウンタ10の下方には制御ボックス15が配置されており、そしてその制御ボックス15の内部において、流出路42上にこれを開閉する電磁弁44が設けられていて、その電磁弁44の開閉により、吐水口16からの温水の吐水と止水とが行われる。
【0060】
制御ボックス15の内部にはまた、マイコンを主要素とする制御部46が設けられ、この制御部46に対して電磁弁44が電気的に接続されている。
ここで制御部46は、電磁弁44の作動制御を行う。
この制御部46にはまた、上記の温水用センサ26及び浄水用センサ28が電気的に接続されている。
制御部46は、温水用センサ26による人体検知に基づいて電磁弁44を開閉制御し、吐水口16からの温水の吐水と止水とを制御する。
尚給水路36,給湯路40上には混合弁30側への水,湯の流れのみを許容し、逆方向の流れを阻止する逆止弁48が設けられている。
【0061】
給水元管からの水はまた、逆止弁48の下流部で給水路36から分岐した浄水路50に取り出され、そして浄水路50上に設けられた浄水器52のフィルタを通過してそこで浄化された上で、浄化後の水(浄水)が、混合弁30をバイパスして流出路42に導かれ、そしてその流出路42を通じて吐水ヘッド18の吐水口16から吐水されるようになっている。
この浄水路50上には、浄水器52への原水の流入側において電磁弁54と定流量弁56とが設けられている。
【0062】
電磁弁54は制御部46に電気的に接続されており、制御部46による電磁弁54の開閉制御によって、吐水口16からの浄水の吐水と止水とが行われる。
詳しくは、浄水用センサ28による人体検知に基づいて電磁弁54が制御部46により開閉制御されることによって、浄水の吐水と止水とが行われる。
【0063】
図1に示しているように、吐水管14は逆U字状のグースネック形状をなしており、その先端側の吐水ヘッド18は、図2及び図4に示しているように、筒状をなすコア部材58と、これを外周側から覆うカバー60、更に吐水口部材62を有しており、そのコア部材58に対して給水ホース22の先端部が水密に接続されている。
【0064】
一方吐水管本体20は、吐水ヘッド18との分割位置に到るまで一様な内径及び外径で連続して延びる一体の管体(ここでは金属製)にて構成されており、その先端開口が温水用センサ26,浄水用センサ28及びこれを保持するセンサホルダ66を管軸方向に挿入するための、管軸方向を向いた挿入開口68を成している。
この実施形態では、図3にも示しているように温水用センサ26及び浄水用センサ28が全体として一体の人体検知センサ64(以下単にセンサ64とする)を成している。
【0065】
センサ64は、図3に示しているように下側に回路ケース70を有しており、その内部にセンサ回路が収容されている。
一方回路ケース70の上側には、透光性を有する素子ケースが回路ケース70から突出する形状で設けられており、その素子ケースの内部に、温水用センサ26,浄水用センサ28にそれぞれ対応した発光素子及び受光素子が設けられている。
【0066】
回路ケース70と素子ケースとの内部は互いに連通した空間とされており、回路ケース70に収容された基板上に上記の発光素子,受光素子が搭載されており、そしてそれら発光素子,受光素子が素子ケースの内部に収容されている。
温水用センサ26,浄水用センサ28は発光素子からの光を素子ケースを通して投光し、その反射光を受光素子で受光して人体検知をそれぞれ行う。
ここで回路ケース70及び素子ケースを含むセンサ64は、図2,図5に示しているようにグースネック形状をなす吐水管14における吐水管本体20の湾曲形状に対応した形状の湾曲形状をなしている。
【0067】
上記素子ケースは平面形状が管軸方向に長い矩形状をなしており、そして図3に示しているようにこれを取り囲むようにして弾性を有するシール部材72が回路ケース70の上面に固設されている。
【0068】
センサ64は、回路ケース70から上向きに突出した素子ケースを図2及び図4に示しているように吐水管本体20に設けられた開口窓部24に嵌め込む状態に、吐水管本体20に取り付けられている。
【0069】
詳しくは、回路ケース70の上面を吐水管本体20の内面に当接させ、そして素子ケースを開口窓部24内に嵌め込む状態に吐水管本体20に取り付けられている。
このとき弾性シール部材72は、図7(B),(C)に示すように吐水管本体20の内面に弾性圧接せしめられ、その弾性圧接状態の下でシール作用する。
【0070】
この実施形態では、このようにしてセンサ64が開口窓部24に嵌め込まれ、開口窓部24に対して嵌合することによって、センサ64が吐水管本体20に対して管軸方向及びこれと直角方向に位置決めされ、吐水管本体20に対して固定状態とされる。
【0071】
尚この実施形態において、センサ64は開口窓部24に嵌め込まれ取り付けられた状態において、図7(B)に示しているように湾曲状をなすその上面が吐水管本体20の上面と同一面、即ち面一面を形成する。
この結果吐水管本体20は、その基端から先端に到るまで、上面を含む外面全体が凹凸の無い平滑な面を形成する。
【0072】
センサ64からは、その前端(図3中下端)から合計6本の電気配線が引き出されている。
このうち4本が束ねられて配線コード76A-1とされ、また残りの2本が束ねられて配線コード76A-2とされている。
図中76Aは、これら配線コード76A-1,76A-2から成るセンサ側の配線コードを表している。
【0073】
一方上記の制御部46からは、図3,図5,図7(A)に示しているように対応する6本の電気配線を1つに束ねて成る制御部46側の配線コード76Bが延び出し、この配線コード76Bが吐水管本体20にその基端側から挿通されている。
【0074】
図3に示しているようにこの配線コード76Bは、先端側がセンサ側の配線コード76A-1に対応した4本の配線コード76B-1と、センサ側の配線コード76A-2に対応した2本の配線コード76B-2とに分かれており、そして図5に示すように配線コード76A-1と76B-1とがコネクタ80-1により、また図6に示すように配線コード76A-2と76B-2とがコネクタ80-2にてそれぞれ接続されている。
【0075】
即ち、配線コード76A-1の先端に設けられた雌コネクタ80-1Aと、配線コード76B-1の先端に設けられた雄コネクタ80-1Bとの連結により、配線コード76A-1と76B-1とが接続され、また配線コード76A-2の先端に設けられた雌コネクタ80-2Aと、配線コード76B-2の先端に設けられた雄コネクタ80-2Bとの連結により、配線コード76A-2と76B-2とがそれぞれ接続されている。
【0076】
上記センサホルダ66は、図2,図4にも示しているようにセンサ64を吐水管本体20の内部において下側から保持する部材で、ここではこのセンサホルダ66は樹脂製とされている。
このセンサホルダ66は、吐水管本体20の管軸方向に長手形状をなしており、且つその全体が吐水管本体20の湾曲形状に対応した形状の湾曲形状をなしている。
【0077】
センサホルダ66は、図3及び図8に示しているように水平方向に薄板状をなすセンサ支持部82を有しており、そのセンサ支持部82の上面にセンサ64を載せて、これを吐水管本体20の内側から保持するようになっている。
【0078】
センサホルダ66はまた、同じく薄板状をなしてセンサ支持部82から立下がる支持脚84を有しており、図7(B),(C)に示しているようにセンサ支持部82の左右方向の両端及び支持脚84の下端の、吐水管本体20の内面への当接作用により、吐水管本体20内部への挿入時に吐水管本体20内に嵌合し、その嵌合作用によって吐水管本体20に対して径方向に位置決めされ、その位置決状態で吐水管本体20の内部に保持されるようになっている。
尚、図7に示しているように支持脚84は下端に着座部86を有しており、支持脚84はこの着座部86において吐水管本体20の内面に当接し、着座するようになしてある。
【0079】
このセンサホルダ66は、図7(B),(C)に示すように支持脚84が吐水管本体20内部をホース収納空間88と配線収納空間90とに区画する仕切壁をなしており、そのホース収納空間88に上記の給水ホース22が収納され、また配線収納空間90に配線コード76A,76Bが収納されるようになっている。
【0080】
センサホルダ66には、配線収納空間90側に突出してコネクタを固定するための複数の爪が設けられている。
詳しくは、図5及び図8(C)に示しているように、センサ支持部82の下面から爪92,94が下向きに突出形成され、また支持脚84から側方に向けて爪96が突出形成されている。
ここで爪92は、コネクタ80-1の側面に当接してコネクタ80-1を支持脚84と協働して図7中左右方向に位置決めし、また爪96は、コネクタ80-1の下面を支持してコネクタ80-1の上下方向の位置決めを行う。
【0081】
更に爪94は、コネクタ80-1の前端(図5中右端)に当接し、コネクタ80-1の凹陥部に入り込んだ爪96と協働して前後方向(図5中左右方向)の位置決めをなす。
そしてそれら爪92,96,94の位置決作用によって、それらが協働してコネクタ80-1をセンサホルダ66に固定する。
【0082】
センサホルダ66にはまた、支持脚84から配線収納空間90側に突出する状態でコネクタ80-2の固定用の爪98が設けられている。
爪98は、図7(B)及び図8(C)に示しているようにL字状に上向きに折れ曲っており、コネクタ80-2の凹陥部にこの爪98が下側から嵌り込むことで、コネクタ80-2を位置決状態にセンサホルダ66に固定する。
【0083】
尚、センサホルダ66には、支持脚84から配線収納空間90側に突出する別の爪100が設けられている。
この爪100は、支持脚84から水平方向に突出した後、下向きに折れ曲るL字状をなしている。この爪100は、図5及び図6に示しているように配線コード76B-1,76B-2の掛止用のものである。
但し配線コード76B-1,76B-2は、この爪100に対して掛止状態を保ちながらスライド移動することが可能である。
【0084】
この実施形態において、センサホルダ66は図8(A),(B)に示しているように支持脚84の前部84Aが、後部84Bに対して配線収納空間90側に偏った位置に位置させられており、そして後部84Bと前部84Aとの境界部分が、後部84Bから前部84A側に向けて湾曲した湾曲部106とされている。
【0085】
またセンサホルダ66の前端(図8中左端)には、正面視において左方に曲った曲げ部104が設けられ、更にこれに続いて上方に曲った被掛止部102が設けられている。
この被掛止部102の付根部位には、段違い形状の当接部107が設けられている。
【0086】
この当接部107は、センサホルダ66を吐水管本体20の先端の挿入開口68から吐水管本体20内部に管軸方向に挿入したとき、図2の部分拡大図に示しているようにセンサ64の前端に当接して、その当接作用によりセンサホルダ66の挿入端を規定する働きをなす。
尚、センサホルダ66の後端(図8中右端)には、側面形状が半円形状で支持脚84から後方に突出した突出片108が設けられている。
【0087】
図5に示しているように、配線コード76-1(76A-1及び76B-1から成る配線コード76-1)は、センサ64の前端から引き出された後、吐水管14の基端側の方向の後方に曲げ返されてその後方に延びた後、センサ64の後端(図中左端)近傍位置で前方(図中右方)に曲げ返された上、再びセンサ64の前端近傍位置で後方に曲げ返され、配線コード76Bへと到っている。
【0088】
同様に、図6に示すように配線コード76-2(76A-2及び76B-2から成る配線コード76-2)についても、センサ64の前端から引き出された後、後方(図6中左方)に曲げ返されて後方へと延びた後、更に前方(図6中右方)に曲げ返されて前方へと延び、再び後方に曲げ返されて配線コード76Bへと到っている。
【0089】
これら配線コード76A−1,76A-2及び76B-1,76B-2のU字状をなす部分、即ちセンサ64から後方に延びた後、向きを180°転回して前方に延び、その後に後方へと向きを転回するまでのU字状の部分は、配線コード76A,76Bにおける余長部分となるもので、この余長部分により、センサホルダ66を後に示すように吐水管本体20の挿入開口68を通じ吐水管本体20から引き出す際に配線コード76A,76Bに引張りの力を発生させることなく、円滑にセンサホルダ66を吐水管本体20から引き出すことが可能となる。
【0090】
図4(及び図2,図5)に示しているように、吐水管本体20の先端部には、吐水管本体20から突出し、吐水ヘッド18の雌嵌合部110との嵌合によって吐水ヘッド18を保持する雄嵌合部112を備えた円筒形状をなす筒体114が設けられている。
この筒体114は、その外径が雄嵌合部112の外径よりも大径をなす大径部116を一体に有しており、その大径部116が吐水管本体20の先端部に内嵌状態に嵌合されて、固定具としてのビス118により吐水管本体20の先端部に固定されている。
【0091】
この筒体114には、後方(図中右方)に突出する掛止爪120がその上部に一体に設けられており、この掛止爪120が、センサホルダ66における上記の被掛止部102に係合せしめられている。
即ちこの実施形態では、センサホルダ66とは別体に構成された筒体114が、掛止爪120と被掛止部102との係合によって管軸方向に連結状態とされている。
【0092】
尚吐水管本体20への筒体114の固定状態において、図4の部分拡大図に示しているように掛止爪120と被掛止部102との間には管軸方向に微小な遊びがもたせてある。
この遊びは筒体114を吐水管本体20から引き出したときに消失して、図12の部分拡大図に示しているように掛止爪120と被掛止部102とが引っ掛かった状態となり、筒体114に加えられた抜出方向の力がセンサホルダ66へと伝えられる。
【0093】
センサホルダ66は、上記のようにセンサユニット64が開口窓部24に嵌り込むことによって、更には段付形状の当接部107がセンサユニット64に当接することによって、押込方向(挿入方向)に位置決めされる。即ちその挿入端が規定される。
【0094】
但しこのままではセンサホルダ66は吐水管本体20からの抜出方向には位置決めされていない。
しかるに筒体114を吐水管本体20に挿入し、そして筒体114をセンサホルダ66の前端(図中左端)に当接させることで、センサホルダ66が抜出方向にも位置決めされる。
【0095】
図3に示しているように、吐水管本体20の内部には樹脂のシートを円形に巻いた状態に成形して成るガイド管122が挿入されており、このガイド管122内部に上記の給水ホース22が挿通され、その先端部が上記のように吐水ヘッド18に接続されている。
【0096】
給水ホース22は、吐水ヘッド18とともに吐水管本体20から引き出されるとき、或いは再び元に戻されるときに、このガイド管122内部を管軸方向に移動する。
即ち、給水ホース22の管軸方向の移動がこのガイド管122によってガイドされ、給水ホース22の移動時に給水ホース22が吐水管本体20に対して擦れを生じるのが良好に防止され、給水ホース22が円滑に移動せしめられる。
【0097】
このガイド管122は、その先端部の内部にセンサホルダ66の上記の半円形状の突出片を係入させることによって、図9(B)に示しているようにその先端が、吐水管本体20内部の上記支持脚84によって区画されたホース収納空間88側に寄せられてホース収納空間88に合致させられ、ガイド管122からの給水ホース22がそのまま支持脚84にて区画されたホース収納空間88へと入り込んでいる。
【0098】
図9では、樹脂シートを巻いた状態に成形して成るガイド管122の下部を展開した形状で表している。図9に示しているようにガイド管122には幅方向の端部と幅方向の中央部とに多数のスリット124と126とが設けてある。
尚図7(A)に示しているように、ガイド管122の外側には配線収納空間が形成されていて、そこに上記の制御部46から延び出した配線コード76Bが収納されている。
【0099】
本実施形態の自動水栓では、センサ64を次のようにして吐水管本体20に組み付けることができる。
詳しくは、図10に示しているように先ずセンサ64を吐水管本体20の先端の挿入開口68を通じて吐水管本体20の内部に挿入し、そして吐水管本体20の開口窓部24にその一部を(望ましくは素子ケースの前端側の一部を)嵌め込んだ状態とする(図11(I)参照)。
尚、そのようにして開口窓部24に一部を嵌め込んだセンサ64は、粘着テープ等にてその状態に吐水管本体20に仮止めしておく。
その状態で、図10に示すようにセンサホルダ66(配線コードについては図示を省略)を、同じく吐水管本体20の先端の挿入開口68を通じて吐水管本体20内部に管軸方向に挿入する。
【0100】
このとき、センサホルダ66の挿入によって、図11(II)に示しているようにセンサ64が、弾性を有するシール部材72を吐水管本体20の内面に弾性圧接させつつ図中上向きに押し上げられ、開口窓部24の全体に上向きに完全に嵌り込んだ状態となる。
同図に示しているように、この状態でセンサ64の外面が吐水管本体20の外面と面一面となる。
換言すれば、センサ64はシール部材72を介して吐水管本体20の内面に弾性圧接状態に取り付けられ、固定される。
【0101】
また吐水管本体20の内部に挿入されたセンサホルダ66は、センサ支持部82の上面においてセンサ64を下側から保持した状態となり、更にセンサホルダ66は、センサ支持部82の両端及び支持脚84の下端、詳しくは着座部86の吐水管本体20内面への当接作用により、径方向に位置決状態で吐水管本体20内部に保持される。
またセンサホルダ66は、その前端の段付形状の当接部107のセンサ64に対する当接作用によって挿入端(押込端)が規定される。
【0102】
またセンサホルダ66と一緒に筒体114を吐水管本体20内部に挿入し、或いはセンサホルダ66を先に吐水管本体20内部に挿入した後において、筒体114を吐水管本体20内部に挿入し、そして図12に示すように筒体114をビス118にて吐水管本体20に固定することで、センサホルダ66が抜出方向にも位置決めされ、固定される。
【0103】
一方、センサ64やコネクタ80-1,80-2等のメンテナンスの必要が生じた場合には、センサ64或いはコネクタ80-1,80-2等を次のようにして容易に吐水管本体20の外部に取り出すことができる。
【0104】
詳しくは、図4に示す状態においてビス118を外すことによって、筒体114を吐水管本体20から抜き出すと、筒体114に対して掛止爪120と被掛止部102とにおいて連結状態にあるセンサホルダ66が、筒体114とともに挿入開口68を通じ吐水管本体20から管軸方向に抜き出される。
【0105】
尚配線コード76A-1,76B-1,76A-2,76B-2には、図5及び図6に示しているように吐水管本体20内部において所要の余長がもたせてあるため、センサホルダ66は配線コード76A-1,76B-1,76A-2,76B-2に引張力を発生させることなく、コネクタ80-1,80-2をセンサホルダ66にて保持した状態で(図13参照)これら配線コード76A-1,76B-1,76A-2,76B-2とともに吐水管本体20の挿入開口68から抜き出すことができる。
尚、図13では配線コード76A-1,76B-1についてのみ図示しているが、配線コード76A-2,76B-2についても基本的に同様である。
このようにしてセンサホルダ66を抜き出すことで、その後センサ64を容易に吐水管本体20から挿入開口68を通じて外部に抜き出すことができる。
【0106】
以上のように本実施形態においては、センサ64が吐水管14の外側からではなく内側から取り付けられ、またこれを保持するセンサホルダ66も挿入開口68を通じて吐水管14内に管軸方向に挿入されてセンサ64を開口窓部24に位置させる状態に保持するものとされているため、センサ64取付部を含む位置まで吐水管14、詳しくは吐水管本体20を管軸方向に連続した一体の管体で構成することが可能となり、吐水管14を小型で細いスリムな形状に、且つその外面を凹凸や段差、更には部品の継目の少ないシンプルですっきりとした良好な外観となすことができる。
【0107】
またセンサ64を、吐水管14の挿入開口68とは別の開口窓部24に配置するものであるため、センサ64の検知方向を吐水口16からの吐水の方向と異なった方向となすことができる。
またセンサホルダ66は、吐水管本体20の内面に嵌合し、吐水管本体20によって径方向に位置決めされた状態でその内部に保持されるため、センサホルダ66を吐水管14の内部に挿入するだけで、安定した姿勢に吐水管14内に保持することができ、従ってまたセンサホルダ66によりセンサ64を安定して保持することが可能となる。
【0108】
本実施形態では、センサ64を開口窓部24に対し吐水管14の内側から外側向きに嵌り込んで吐水管14に固定するようになしてあるため、吐水管14内にセンサ64の位置決めのための位置決手段を別途に設けるのを省くことができ、センサ64取付部分の構造を簡素な構造となすことができる。
加えてセンサ64を開口窓部24に嵌り込ませることによって、開口窓部24をセンサ64にて埋めることができ、吐水管14外面の凹凸や段差をセンサ64取付部分において無くして、吐水管14のセンサ64及びその周りの部分の外面を平滑な面となし得、同部分の清掃性も良好となすことができる。
【0109】
本実施形態では、センサ64が可動側の吐水ヘッド18に対して固定側となる吐水管本体20に設けられているため、吐水ヘッド18を手で握って引き出した場合においても、吐水ヘッド18を握った手がセンサ64によって検知されてしまうことはなく、吐水ヘッド16を引き出して作業する際に、センサ64が手を誤検知してしまうのを防止し得て、自動水栓を適正に動作させることができる。
【0110】
更に本実施形態では、センサホルダ66が、薄板状をなすセンサ支持部82と、支持脚84とで構成されているため、吐水管本体20内に挿入したセンサホルダ66が吐水管本体20の内部空間を広く占めてしまうのを防ぎつつ、センサホルダ66を吐水管本体20によりその内部に安定した姿勢に保持することができる。
【0111】
またセンサホルダ66における支持脚84をもって、吐水管本体20の内部をホース収納空間88と配線収納空間90とに区画する仕切壁と成してあるため、支持脚84の部分即ち仕切壁の部分において、吐水管14内部に挿通された給水ホース22と配線コード76A-1,76B-1,76A-2,76B-2とが干渉するのを防止することができる。
これにより吐水ヘッド16を給水ホース22とともに吐水管本体20から引き出し又は収納する際に、給水ホース22が配線コード76A-1,76B-1,76A-2,76B-2に対して擦れを生じ、そのことによって配線コード76A-1,76B-1,76A-2,76B-2が絡まったり配線の乱れを生じたり、或いは断線を生じたりするのを有効に防止することができる。
【0112】
またセンサホルダ66にコネクタ80-1,80-2の固定部としての爪92,94,96,98を設けてあるため、コネクタ80-1,80-2及びこれを介して配線コード76A-1,76B-1,76A-2,76B-2をセンサホルダ66にて保持しておくことができる。
【0113】
これによりセンサホルダ66を挿入開口68から取り出すことで、同時にコネクタ80-1,80-2を、更には、そのコネクタ80-1,80-2を介して配線コード76A-1,76B-1,76A-2,76B-2を、センサホルダ66とともに吐水管本体20の内部から挿入開口68を通じて外部に取り出すことができ、メンテナンス性を高めることができる。
【0114】
更に本実施形態では、吐水管本体20内に電気配線の余長をもたせてあるため、センサ64を吐水管本体20内に残したまま、センサホルダ66を挿入開口68から外部に取り出すことができ、そしてセンサホルダ66による保持が解除された後において、センサ64を吐水管本体20内から外部に引き出すことができる。
【0115】
本実施形態ではまた、単にセンサホルダ66を挿入開口68を通じて吐水管本体20内部に管軸方向に挿入するだけで、シール部材72の弾性変形を伴ってセンサ64を吐水管本体20の内面に弾性圧接状態に取付固定することが可能となる。
またシール部材72の弾性変形に基づいて、センサホルダ66や吐水管本体20内面,センサ64等の部品の製造誤差や組付誤差を吸収し得て、良好にセンサ64を吐水管本体20に取り付けることができる。
【0116】
また本実施形態では、吐水管本体20から突出した筒体114を管軸方向に引き出すことで、同時に吐水管本体20内部のセンサホルダ66を特別な工具を用いることなく容易に外部に引き出すことができる。
一方筒体114を吐水管本体20にビス118にて固定しておくことで、センサホルダ66を吐水管本体20からの抜出方向に固定状態としておくことができる。
【0117】
以上本発明の実施形態を詳述したがこれはあくまで一例示である。
例えば上記実施形態では温水用センサと浄水用センサとを吐水管本体20に設けているが、場合によって何れか一方又は他の種類の1種類のセンサのみを設けておくといったことも可能である。更にセンサ取付用の開口窓部を吐水管本体20の周壁側部に設け、吐水管本体20の側方を検知方向とするようになすことも可能である。
【0118】
更に本発明では、吐水管内部に給水ホースを挿通し、給水ホースを通じて吐水口に給水を行う場合において、吐水口を吐水管14に固定的に設けておくことも可能である。即ち上記実施形態では給水ホースが吐水ヘッドとともに引出可能とされているが、給水ホースを吐水管14内部に固定状態に設けておくといったことも可能である。
更に上記実施形態では制御ボックス15内に制御部46を設けているが、この制御部46を人体検知センサ64と一体にして吐水管14内に設けておくといったことも可能である。
その他本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】本発明の一実施形態である自動水栓の概略全体図である。
【図2】同実施形態における吐水管の側面断面図である。
【図3】同実施形態の吐水管を各部品に分解して示す分解斜視図である。
【図4】同実施形態の吐水管を吐水ヘッドを引き出した状態で示す断面図である。
【図5】図2とは異なる側面(配線収納空間側)の断面図である。
【図6】図5とは異なる配線コードの設置状態を示す図である。
【図7】図5のア-ア断面図,イ-イ断面図,ウ-ウ断面図である。
【図8】センサホルダの単品図である。
【図9】ガイド管の一部を展開状態で示した図である。
【図10】センサホルダの吐水管への挿入途中を示した説明図である。
【図11】図10のセンサホルダの挿入による作用説明図である。
【図12】センサホルダの吐水管本体からの取出途中を示した説明図である。
【図13】図12のセンサホルダの取出しによる作用説明図である。
【図14】従来の自動水栓の一例を示した図である。
【図15】図14の自動水栓の分解斜視図である。
【図16】図14の自動水栓の側面断面図である。
【符号の説明】
【0120】
14 吐水管
16 吐水口
18 吐水ヘッド
20 吐水管本体
22 給水ホース
24 開口窓部
26 温水用センサ
28 浄水用センサ
64 人体検知センサ
66 センサホルダ
68 挿入開口
72 シール部材
76A,76A-1,76A-2,76B,76B-1,76B-2 配線コード
80-1,80-2 コネクタ
82 センサ支持部
84 支持脚
88 ホース収納空間
90 配線収納空間
92,94,96,98,100 爪
100 雌嵌合部
112 雄嵌合部
114 筒体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吐水管の管軸周りの周壁部に非接触式の人体検知センサを配置し、該人体検知センサによる人体検知に基づいて該吐水管の先端部の吐水口から自動的に吐水する自動水栓であって
(イ)前記吐水管の周壁部を径方向に貫通して設けられた前記人体検知センサ用の開口窓部と
(ロ)該吐水管に該開口窓部とは別に前記管軸方向に向けて設けられた挿入開口と
(ハ)該挿入開口を通じて前記吐水管内に且つ該管軸方向に挿入される前記人体検知センサと
(ニ)該挿入開口を通じて該吐水管内に且つ該管軸方向に挿入され、前記人体検知センサを前記開口窓部に位置させた状態に該人体検知センサを径方向内側から保持するセンサホルダと
を有していることを特徴とする自動水栓。
【請求項2】
請求項1において、前記人体検知センサは、前記開口窓部に前記吐水管の内側から外側向きに嵌り込んで該吐水管に固定されるものとなしてあることを特徴とする自動水栓。
【請求項3】
請求項1,2の何れかにおいて、前記吐水管の内部には可撓性を有する給水ホースが挿通されていて、該給水ホースを通じて前記吐水口に給水が行われるようになしてあることを特徴とする自動水栓。
【請求項4】
請求項3において、前記吐水管は、前記管軸方向において前記吐水口を備えた先端側の吐水ヘッドと、該吐水ヘッドを保持する基端側の吐水管本体との分割構造とされていて、該吐水管本体に前記開口窓部が設けられ且つ該吐水管本体の先端開口が前記挿入開口とされているとともに、前記吐水ヘッドには前記給水ホースが接続されていて、該吐水ヘッドが該給水ホースとともに該吐水管本体から引出可能とされていることを特徴とする自動水栓。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかにおいて、前記センサホルダは、前記人体検知センサを載せて支持するセンサ支持部と、該センサ支持部より立ち下り、該センサ支持部を支える支持脚とを有していることを特徴とする自動水栓。
【請求項6】
請求項3,4の何れかにおいて、前記センサホルダは、前記人体検知センサを載せて支持するセンサ支持部と、該センサ支持部より立下り、該センサ支持部を支える支持脚とを有していて、該支持脚が前記吐水管本体の内部をホース収納空間と配線収納空間とに区画する仕切壁を成しており、該ホース収納空間に前記給水ホースが、該配線収納空間に前記人体検知センサに繋がる電気配線が収納されていることを特徴とする自動水栓。
【請求項7】
請求項1において、前記センサホルダには、前記人体検知センサに繋がる電気配線を接続するコネクタの固定部が設けてあることを特徴とする自動水栓。
【請求項8】
請求項1において、前記人体検知センサに繋がる電気配線は、該人体検知センサの前記吐水管の先端側である前端側から引き出された後、該吐水管の基端側の方向の後方に曲げ返されて該後方に延びた後に、更に前方に曲げ返された上、再び該後方に曲げ返されて前記吐水管の基端側に向けて延びるものとなしてあることを特徴とする自動水栓。
【請求項9】
請求項1〜8の何れかにおいて、前記人体検知センサには、前記開口窓部の周縁部に接触せしめられる弾性を有するシール部材が設けてあり、且つ該シール部材は、前記センサホルダの挿入により弾性変形して該開口窓部の周辺部に弾性圧接し、該弾性圧接状態でシール作用するものとなしてあることを特徴とする自動水栓。
【請求項10】
請求項4において、前記吐水管本体の先端から前記吐水ヘッド側に突出し、該吐水ヘッドの雌嵌合部との嵌合によって該吐水ヘッドを保持する雄嵌合部を備えた筒体が前記センサホルダとは別体に設けられて該筒体が該センサホルダに連結状態とされているか又は該筒体が該センサホルダに一体に設けられていることを特徴とする自動水栓。
【請求項1】
吐水管の管軸周りの周壁部に非接触式の人体検知センサを配置し、該人体検知センサによる人体検知に基づいて該吐水管の先端部の吐水口から自動的に吐水する自動水栓であって
(イ)前記吐水管の周壁部を径方向に貫通して設けられた前記人体検知センサ用の開口窓部と
(ロ)該吐水管に該開口窓部とは別に前記管軸方向に向けて設けられた挿入開口と
(ハ)該挿入開口を通じて前記吐水管内に且つ該管軸方向に挿入される前記人体検知センサと
(ニ)該挿入開口を通じて該吐水管内に且つ該管軸方向に挿入され、前記人体検知センサを前記開口窓部に位置させた状態に該人体検知センサを径方向内側から保持するセンサホルダと
を有していることを特徴とする自動水栓。
【請求項2】
請求項1において、前記人体検知センサは、前記開口窓部に前記吐水管の内側から外側向きに嵌り込んで該吐水管に固定されるものとなしてあることを特徴とする自動水栓。
【請求項3】
請求項1,2の何れかにおいて、前記吐水管の内部には可撓性を有する給水ホースが挿通されていて、該給水ホースを通じて前記吐水口に給水が行われるようになしてあることを特徴とする自動水栓。
【請求項4】
請求項3において、前記吐水管は、前記管軸方向において前記吐水口を備えた先端側の吐水ヘッドと、該吐水ヘッドを保持する基端側の吐水管本体との分割構造とされていて、該吐水管本体に前記開口窓部が設けられ且つ該吐水管本体の先端開口が前記挿入開口とされているとともに、前記吐水ヘッドには前記給水ホースが接続されていて、該吐水ヘッドが該給水ホースとともに該吐水管本体から引出可能とされていることを特徴とする自動水栓。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかにおいて、前記センサホルダは、前記人体検知センサを載せて支持するセンサ支持部と、該センサ支持部より立ち下り、該センサ支持部を支える支持脚とを有していることを特徴とする自動水栓。
【請求項6】
請求項3,4の何れかにおいて、前記センサホルダは、前記人体検知センサを載せて支持するセンサ支持部と、該センサ支持部より立下り、該センサ支持部を支える支持脚とを有していて、該支持脚が前記吐水管本体の内部をホース収納空間と配線収納空間とに区画する仕切壁を成しており、該ホース収納空間に前記給水ホースが、該配線収納空間に前記人体検知センサに繋がる電気配線が収納されていることを特徴とする自動水栓。
【請求項7】
請求項1において、前記センサホルダには、前記人体検知センサに繋がる電気配線を接続するコネクタの固定部が設けてあることを特徴とする自動水栓。
【請求項8】
請求項1において、前記人体検知センサに繋がる電気配線は、該人体検知センサの前記吐水管の先端側である前端側から引き出された後、該吐水管の基端側の方向の後方に曲げ返されて該後方に延びた後に、更に前方に曲げ返された上、再び該後方に曲げ返されて前記吐水管の基端側に向けて延びるものとなしてあることを特徴とする自動水栓。
【請求項9】
請求項1〜8の何れかにおいて、前記人体検知センサには、前記開口窓部の周縁部に接触せしめられる弾性を有するシール部材が設けてあり、且つ該シール部材は、前記センサホルダの挿入により弾性変形して該開口窓部の周辺部に弾性圧接し、該弾性圧接状態でシール作用するものとなしてあることを特徴とする自動水栓。
【請求項10】
請求項4において、前記吐水管本体の先端から前記吐水ヘッド側に突出し、該吐水ヘッドの雌嵌合部との嵌合によって該吐水ヘッドを保持する雄嵌合部を備えた筒体が前記センサホルダとは別体に設けられて該筒体が該センサホルダに連結状態とされているか又は該筒体が該センサホルダに一体に設けられていることを特徴とする自動水栓。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2010−127010(P2010−127010A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−303252(P2008−303252)
【出願日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】
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