説明

自動水栓

【課題】物体検知センサの検知方向をシャワーヘッドの吐水方向に追従させることができ、流しや洗面化粧台などの作業を簡便にし、しかも節水化を図ることのできる自動水栓を提供すること。
【解決手段】シャワーヘッド2と、このシャワーヘッドを支持する回転自在な支持部3と、この支持部を回転自在に保持する保持部4とを備え、支持部に物体検知センサ18が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手などの物体が接近したときに、自動的にシャワーヘッドから吐水する自動水栓に関する。
【背景技術】
【0002】
シャワーヘッドに手などの物体が接近すると、自動的に吐水し、離隔すると自動的に止水する自動水栓が知られている。この自動水栓については、たとえば下記特許文献1に記載されている。
【0003】
特許文献1に記載された自動水栓は、湯水送給ホースが接続された吐水口部を有する吐水部材と、吐水部材に脱着自在に保持する保持部材とを備えている。また、この自動水栓は、湯水送給ホースに接続された開閉弁と、物体の接近、離隔を検知して開閉弁に開閉信号を送るために吐水部材に設けられた接近センサとを備えている。そして、この自動水栓では、接近センサが保持部材に設けられている。
【0004】
このような自動水栓は、吐水部材を保持部材から離脱させるときに接近センサに触れることがなく、接近センサの受信・受光窓を手で汚すおそれがなく、感度の低下や誤感知が生じにくくなり、接近センサの感度を良好に維持することができるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−239338号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された自動水栓では、接近センサは、保持部材の前方または側方に設けられ、その位置は可変ではない。流しや洗面化粧台などでの各種作業は、必ずしもシャワーヘッドをその吐水口が真下を向いた状態で行われるのではなく、作業内容に応じてシャワーヘッドを左右に振って行われることもしばしばである。
【0007】
したがって、特許文献1に記載された自動水栓では、吐水口部の向きと接近センサの位置が一致していない場合、吐水させるために、吐水口部とは異なる向きに配置された接近センサに回り込んで手などの物体を感知させ、吐水口部から湯水を吐水させる必要がある。このため、作業動線が長くなったり、無理な体勢を強いられたりするという問題が指摘される。また、湯水の吐水と同時に作業を行うことができず、その分湯水が無駄となってしまうという問題も指摘される。
【0008】
本発明は、以上のとおりの事情に鑑みてなされたものであり、物体検知センサの検知方向をシャワーヘッドの吐水方向に追従させることができ、流しや洗面化粧台などの作業を簡便にし、しかも節水化を図ることのできる自動水栓を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の自動水栓は、シャワーヘッドと、このシャワーヘッドを支持する回転自在な支持部と、この支持部を回転自在に保持する保持部とを備え、支持部に物体検知センサが設けられていることを特徴とする。
【0010】
この自動水栓においては、シャワーヘッドは支持部に対して引き出し可能であり、シャワーヘッドが支持部に支持されているときに物体検知センサが物体を検知すると、シャワーヘッドから吐水することが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の自動水栓によれば、物体検知センサの検知方向をシャワーヘッドの吐水方向に追従させることができ、流しや洗面化粧台などの作業を簡便にし、しかも節水化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の自動水栓の一実施形態を流しとともに概略的に示した斜視図である。
【図2】図1に示した自動水栓の断面図である。
【図3】(a)(b)(c)は、それぞれ、図1に示した自動水栓の使用形態を示した要部正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明の自動水栓の一実施形態を流しとともに概略的に示した斜視図である。図2は、図1に示した自動水栓の断面図である。図3(a)(b)(c)は、それぞれ、図1に示した自動水栓の使用形態を示した要部正面図である。
【0014】
自動水栓1は、シャワーヘッド2と、シャワーヘッド2を支持し、図1図中に示した矢印方向に回転自在な支持部3と、支持部3を回転自在に保持する保持部4とを備えている。
【0015】
図1および図2に示したように、保持部4は、円筒部5を備え、その長さ方向の途中に、外方に環状に張り出した鍔部6を備えている。保持部4では、鍔部6の裏面側に延びる円筒部5aは、流し7の背面部8に埋設される部分であり、鍔部6の表面側に延びる円筒部5bは、支持部3を回転自在に保持する部分である。このような保持部4は、鍔部6の裏面を流し7の背面部8の表面に当接させてネジなどの固定具によって取り付けられる。円筒部5の内側には、シャワーヘッド2に接続されたホース9が通され、ホース9は、円筒部5の内側を通じて流し7の背面部8の内外に移動可能となっている。
【0016】
また、保持部4における円筒部5bには、その長さ方向の略中央部に円形状の第1の溝部10が形成され、また、円筒部5aと反対側に位置する先端部に、外方に突出する、厚さの比較的薄い円環状のストッパー11が設けられている。
【0017】
支持部3は、保持部4とシャワーヘッド2の中間に位置する円筒状の部材であり、その内側に、保持部4の円筒部5と同様にホース9が通されている。支持部3は、保持部4側の一端部に円筒状の第1の内筒12を備えている。第1の内筒12の保持部4側の端部には、内方に突出する円環状の第1の突起13が設けられている。第1の突起13は、保持部4の第1の溝部10内に挿入され、第1の溝部10と係合し、第1の内筒12における第1の突起13と反対側に位置する端面が、ストッパー11の裏面に接触している。このような係合と接触によって、支持部3は、保持部4に対して抜け止めされ、また、第1の溝部10およびストッパー11に沿って保持部4に回転自在に保持されている。
【0018】
また、支持部3は、シャワーヘッド2側の他端部に、シャワーヘッド2側へ突出する、円筒状の第2の内筒14を備えている。第2の内筒14のシャワーヘッド2側の端部には、円形状の第2の溝部15が形成されている。また、第2の内筒14のシャワーヘッド2側の端部には、第2の溝部15側からシャワーヘッド2に向かって外径が次第に縮小する傾斜面部16が形成されている。
【0019】
このような支持部3では、第2の内筒14の外側に、シャワーヘッド2の支持部3側の一端部が挿入可能とされた凹部17が形成されている。また、図1に示したように、支持部3には、手などの物体を検知する、たとえば赤外線センサなどの物体検知センサ18が設けられている。支持部3は、上記のとおり、保持部4に回転自在に保持されているため、物体検知センサ18は、図1に示した流し7のシンク19に向かって下方に配置されるばかりでなく、保持部4を中心として左右に振って配置可能である。
【0020】
シャワーヘッド2は、図2に示したように、支持部3側の一端部に円筒部20を備えている。円筒部20は、支持部3の凹部17に挿入可能な大きさの外径を有している。また、シャワーヘッド2は、円筒部20の付近に、円筒状の第3の内筒21を備えている。第3の内筒21は適度な弾性を有し、その支持部3側の端部には、内方に突出する円環状の第2の突起22が設けられている。第2の突起22は、第2の内筒14の傾斜面部16に沿って第2の溝部15内に誘い込まれ、第2の溝部15に嵌合している。また、円筒部20は、支持部3の凹部17に挿入されている。第2の突起22は、第2の溝部15に嵌脱自在であり、嵌合するとき、シャワーヘッド2は支持部3に支持され、支持部3は、シャワーヘッド2と連動して保持部4に対し左右に回転自在となる。シャワーヘッド2を支持部3に押し込むことにより、第2の突起22は第2の溝部15に嵌合し、一方、シャワーヘッド2を支持部3から分離するように引っ張ることで、嵌合が解除される。このように、シャワーヘッド2は、支持部3に対して引き出し可能である。
【0021】
また、シャワーヘッド2において、円筒部20と反対側に位置する他端部には、ホース9に連通する吐水口23が設けられている。吐水口23は、水流の細いシャワーと水流の太い吐水に切り替えることができる。このために、シャワーヘッド2の上記他端部には、図1に示したように、水流の太さを切り替える回動自在なレバー24が設けられている。
【0022】
このような自動水栓1では、通常は、図3(a)に示したように、吐水口23が、図1に示したシンク19に向かって真下に向かうように配置され、手などの物体を物体検知センサ18が検知することによって、自動的に適温に調整された湯水を吐水することができる。一方、シンク19の右側で湯水を用いた作業が必要とされるときには、シャワーヘッド2を図3(b)に示したように右に振ると、図1および図2に示した支持部3が、シャワーヘッド2に連動して右側に回動する。したがって、自動水栓1は、図3(a)に示した通常状態とは異なり、そのように支持部3が右側に回動した状態において手などの物体を物体検知センサ18で検知することができる。同様に、シンク19の左側で湯水を用いた作業が必要とされるときには、シャワーヘッド2を図3(c)に示したように左に振ることができる。支持部3が左側に回動した状態において手などの物体を物体検知センサ18で検知することができる。
【0023】
このように、自動水栓1では、吐水口23の向きと物体検知センサ18の向きを同一に配置させることができるため、物体検知センサ18に回り込んで手などの物体を検知させずにすむ。物体検知センサ18は、吐水方向に追従するので、作業者は、吐水させたい方向に流し7に対面していればよく、作業動線が長くなったり、無理な体勢を強いられたりすることはほとんどない。流し7での作業が簡便となり、快適な作業が実現される。また、湯水の吐水と同時に作業を行うことができ、湯水の節水化が図れる。さらに、自動水栓1は、シャワーヘッド2を左右に振った状態において湯水を用いた作業を行うことができるので、流し7のシンク19のスペースを有効に利用することが可能となる。
【0024】
なお、物体検知センサ18は、シャワーヘッド2に取り付けることも一応考えられ、この場合も、吐水口23の向きと物体検知センサ18の向きを同一に配置させることができる。しかしながら、物体検知センサ18がシャワーヘッド2に取り付けられる場合、ホース9を引き伸ばした状態においても、物体検知センサ18が物体を検知した検知信号を図示していない制御装置に送信する必要がある。このため、検知信号の送受信などのための構成や構造が複雑になるおそれがある。図1に示した自動水栓1は、物体検知センサ18が支持部3に設けられているので、検知信号の送受信などのための構成や構造が比較的簡単になるという利点を有している。
【0025】
また、自動水栓1におけるシャワーヘッド2からの吐水は、シャワーヘッド2が支持部3に支持されているときに物体検知センサ18が物体を検知することにより可能である。すなわち、シャワーヘッド2を支持部3から引き出したときには、物体検知センサ18が物体を検知しても、その検知に基づく自動的な吐水は行われない。このような吐水制限は、自動水栓1に備えることのできる、図示していない制御装置によって実現される。
【0026】
このような自動水栓1では、シャワーヘッド2が支持部3に支持されるとき、シャワーヘッド2の吐水口23に手などの物体が接近すると、物体検知センサ18が物体を検知し、制御装置に開信号を送信し、この開信号を受信して制御装置は、給水路を開閉する電磁弁に開放のコマンドを送信する。その結果、あらかじめ設定された温度に調整された湯水がシャワーヘッド2の吐水口23から自動的に吐水する。
【0027】
一方、手などの物体がシャワーヘッド2の吐水口23から離隔すると、物体検知センサ18がその離隔を検知し、制御装置に閉信号を送信し、この閉信号を受信して制御装置は、電磁弁に閉鎖のコマンドを送信する。そして、シャワーヘッド2の吐水口23からの吐水が停止され、止水される。
【0028】
本発明は、以上の実施形態によって限定されるものではない。シャワーヘッド、支持部、保持部および物体検知センサの構成、構造および形状などの細部については、様々な態様が可能である。
【符号の説明】
【0029】
1 自動水栓
2 シャワーヘッド
3 支持部
4 保持部
18 物体検知センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャワーヘッドと、このシャワーヘッドを支持する回転自在な支持部と、この支持部を回転自在に保持する保持部とを備え、前記支持部に物体検知センサが設けられていることを特徴とする自動水栓。
【請求項2】
前記シャワーヘッドは前記支持部に対して引き出し可能であり、シャワーヘッドが支持部に支持されているときに前記物体検知センサが物体を検知すると、シャワーヘッドから吐水することを特徴とする請求項1に記載の自動水栓。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2012−172383(P2012−172383A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−35024(P2011−35024)
【出願日】平成23年2月21日(2011.2.21)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】