説明

自動課金表示システム

【課題】 有料道路などで出口などの現在の走行時点ごとの通行料金を自動的に表示して、その利用の利便性の向上を図る。
【解決手段】 ICカード11を搭載した車両が有料道路の入口(A点)を通過し、出口(B)点に到達すると、自動課金装置12a,12bとのデータの無線送受信を通じて通行料金を算出する。ICカード11に格納している通行料金から処理装置13が自動課金装置12bを通じた無線送受信によっ差し引く処理を行う。この場合、GPSレシーバ18が測定した自己の走行位置(二次元の緯度、経度)から、画面表示している地図における有料道路の出口ごとの、有料道路の通行料金をLCD21Aに出力して画面の下部などに表示する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有料道路などの走行時点ごと、例えば、出口通過ごとに通行料金を自動的に表示する自動課金表示システムに関する。
【0002】
【従来の技術】図2は従来の自動課金システムの構成を示すブロック図である。図2において、この自動課金システムは、車両に搭載されて有料道路の走行に関する情報を無線送受信し、例えば、通行料金を予め格納したICカード1(プリペイドカード)を有している。さらに、有料道路などの入口(A点)に設置され、ICカード1との間で走行に関する情報を無線送受信する自動課金装置2aと、有料道路などの出口(B点)に設置され、ICカード1との間で走行に関する情報を送受信する自動課金装置2bとを有している。また、自動課金装置2a,2bに通信線で接続されて、ICカード1を搭載した車両の有料道路の走行に関する情報をやり取りして、走行通行料金を処理(課金)する処理装置3を有している。
【0003】以下、この従来例の動作について説明する。ICカード1を搭載した車両が有料道路などの入口(A点)に接近し、かつ、通過する。この際、自動課金装置2aがICカード1へ情報の読出電波を送信し、ICカード1が自己情報、例えば、自己識別符号情報や有料道路などの通過点(入口又は出口)情報、及び、残りの通行料金情報などを自動課金装置2aへ送信する。この自動課金装置2aが受信した、ICカード1を搭載する車両の自己識別符号や有料道路などの入口(A点)情報及び、残りの通行料金情報等が通信線を通じて処理装置3へ伝送される。この後、ICカード1を搭載した車両が有料道路を走行し、出口(B点)に接近すると、この接近を検出した自動課金装置2bがICカード1へ情報の読出電波を送信し、ICカード1が識別符号情報や有料道路の入口(A点)情報を自動課金装置2bへ送信する。
【0004】この自動課金装置2bが受信した車両の識別符号情報や出口(B点)情報を通信線を通じて処理装置3へ伝送する。処理装置3では、自動課金装置2aから伝送されていたICカード1を搭載した車両(自己識別符号)情報や有料道路などの入口(A点)情報及び残りの通行料金情報と、自動課金装置2bから伝送された車両の識別符号情報や出口(B点)情報とを比較して、通行料金を算出する。ICカード1が通行料金を予め格納(プリペイド)している場合の、その残りの通行料金から差し引く処理を行う。
【0005】このように上記従来例の自動課金表示システムは、有料道路などでの通行料金を自動的に課金処理することが出来る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来例の自動課金表示システムでは、有料道路などの出口のB点を通過しなければ、通行料金が判明せず、不便であった。すなわち、有料道路の走行中には、現在の走行時点までの通行料金が判明しないという欠点があった。
【0007】本発明は、このような従来の技術における課題を解決するものであり、有料道路などでの現在の走行時点、例えば、出口通過ごとの通行料金を自動的に表示でき、その利用の利便性が向上する優れた自動課金表示システムを提供する。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を達成するために、本発明の自動課金表示システムは、有料道路などでの走行経路の現時点を測定し、この走行中の現時点の通行料金を自動的に表示している。この結果、通行料金が予め判明し、その利用の利便性が向上するようになる。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1に記載の発明は、車輌に搭載した装置と有料道路の出入口に設けられた装置との間での無線送受信を通じて通行料金を算出して課金処理を行う自動課金表示システムであり、前記有料道路の出入口に設けられる装置としての、前記ICカードとの無線送受信を通じて、有料道路を走行した通行料金を処理する自動課金装置を有し、かつ、前記車輌に搭載する装置として、走行中の現在位置を測定する測定手段と、有料道路の通行料金情報を格納した通行料金体系格納手段と、車両に搭載されて通行にかかる情報を無線送受信するICカードと、前記測定手段が測定した現在の自己位置に対応する通行料金を前記通行料金体系格納手段が送出する通行料金情報から読み出す通行料金読出手段と、前記通行料金読出手段が読み出した現在の走行時点の通行料金を表示する表示手段とを備えたものである。
【0010】また、請求項2に記載の発明は、測定手段として、GPSレシーバを用いたものである。
【0011】また、請求項3に記載の発明は、有料道路を含む地図を表示手段に画面表示する地図表示処理手段を設け、この地図上に測定手段が測定した自己位置を順次走行とともに表示し、かつ、通行料金読出手段が読み出した現在の走行時点の通行料金を画面表示するものである。
【0012】また、請求項4に記載の発明は、有料道路の出口に設置された自動課金装置が、ICカードに予め格納した通行料金から、走行した際の通行料金を差し引くようにしたものである。
【0013】以上により、有料道路などでの走行時点、例えば、出口通過ごとの通行料金を自動的に表示でき、その利用の利便性が向上するようになる。
【0014】次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
(実施の形態1)図1は本実施の形態における自動課金表示システムの構成を示すブロック図である。図1において、この自動課金表示システムは、車両に搭載されて有料道路の走行に関する情報を無線送受信し、例えば、通行料金を予め格納したICカード11(プリペイドカード)と、有料道路の入口(A点)に設置され、ICカード11との間で走行に関する情報を無線送受信する自動課金装置12aとを有している。また、有料道路の出口(B点)に設置され、ICカード11との間で走行に関する情報を送受信する自動課金装置12bと、自動課金装置12a,12bに通信線で接続されて、ICカード11を搭載した車両の有料道路の走行に関する情報をやり取りして、走行通行料金を処理する処理装置13とを有している。
【0015】また、自己車両の方位を検出する方位センサ14と、自己車両の車輪の回転数に対応したパルスを発生する距離センサ15とを有している。さらに、この自動課金表示システムでは、ブレーキスイッチ、パーキングスイッチなどのオン・オフ信号及び電源電圧監視用信号などの各種のセンサ信号16が供給される。また、天空のGPS(Global Positioning System)衛星からの電波を受信して測定した自己位置の二次元(緯度、経度)情報信号を出力するGPSレシーバ18と、CD−ROMドライブ19と、地図データ及び有料道路の通行料金情報を格納したCD−ROM20とを有している。さらに、車室内に設置される表示・操作部21と、この表示・操作部21には、地図及び車両の現在走行位置、方位及び通行料金などを画面表示する液晶ディスプレイ(LCD)21A、及び、表示地図の拡大、縮小指示などを行うための複数の操作スイッチ21Bと、走行位置表示装置本体22とを有している。
【0016】走行位置表示装置本体22には、この装置の各部を制御するための演算を行うCPU23と、制御プログラムを格納したプログラムROM24とを有している。さらに、各種の処理データを記憶するメモリ(D−RAM)25と、走行位置表示装置本体22への通電が停止した際に必要なデータを保持するバックアップ用メモリ(S−RAM)26とが設けられている。また、文字、記号などのパターンデータを記憶した漢字・フォントROM27と、地図データや自己の現在走行位置データに基づいて表示画像を形成するための画像処理LSI28と、画像処理LSI28で処理した画像データを記憶するメモリ(V−RAM)29とを有している。
【0017】さらに、V−RAM29の出力データを色(RGB)信号に変換して液晶ディスプレイ(LCD)21Aに出力するためのRGB変換部30と、ICカード11、表示・操作部21、GPSレシーバ18及びCD−ROMドライブ19とのデータをやり取りするための通信インタフェース回路31とを有している。また、方位センサ14及び距離センサ15などからの検出信号を処理してCPU23に送出するセンサ信号処理部32と、バスラインを通じて接続される通信インタフェース回路31との間でデータをやり取りするための読取装置33とを有している。
【0018】次に、この実施形態の動作について説明する。ICカード11を搭載した車両が有料道路の入口(A点)に接近し、かつ、通過する。この際、自動課金装置12aがICカード11へ情報の読出電波を送信し、ICカード11が自己情報、例えば、自己識別符号情報や有料道路の通過点(入口又は出口)情報及び残りの通行料金情報などを自動課金装置12aへ送信する。この自動課金装置12aが受信したICカード11を搭載した車両(自己識別符号)情報や有料道路の入口(A点)情報及び、残りの通行料金情報等が通信線を通じて処理装置13へ伝送される。
【0019】この場合、CPU23は、ICカード11から読取装置33、通信インタフェース回路31を通じて、有料道路の通過点(入口のA点)情報を取り込む。さらに、CPU23は、天空のGPS衛星からの電波を受信した受信信号からGPSレシーバ18が自己位置の二次元(緯度、経度)情報信号を通信インタフェース回路31を通じてCPU23が取り込む。CPU23は、プログラムROM24からの制御プログラムで、その制御を行い、かつ、D−RAM25及びS−RAM26を通じて処理した自己位置の二次元情報を取り込む。
【0020】また、CPU23はCD−ROMドライブ19を通じてCD−ROM20から地図データ及び有料道路の通行料金情報をD−RAM25に記憶し、かつ、地図データを画像処理LSI28、漢字・フォントROM27、V−RAM29及びRGB変換部30を通じてLCD21Aに出力して画面表示制御を行う。この地図画面の道路上にCPU23が方位センサ14及び距離センサ15などからセンサ信号処理部32を通じて取り込んだ検出信号と、GPSレシーバ18からの自己位置の二次元情報とに基づいた自己の現在走行位置を、その走行に基づいて順次、連続的に画面表示する。
【0021】D−RAM25に格納しているCD−ROM20から読み出した有料道路の通行料金情報には、この有料道路の出口の位置(二次元位置)情報が含まれており、走行に伴う現在位置(二次元位置)情報が、出口の位置(二次元位置)に達したとCPU23が判断した際に、この入口(A点)から出口(B点)までの通行料金を、CD−ROM20から読み出した有料道路の通行料金情報から求めて、画像処理LSI28、漢字・フォントROM27、V−RAM29及びRGB変換部30を通じてLCD21Aに出力して画面の下部などに表示する。なお、出口ごとの通行料金のみならず、入口(A点)から現在の走行地点までの通行料金を割合で算出して画面表示するようにも出来る。また、次の出口の通行料金を表示するようにしても良い。
【0022】この後、車両が有料道路を走行し、目的の出口(B点)に接近すると、この接近を検出した自動課金装置12bがICカード11へ情報の読出電波を送信し、ICカード11が識別符号情報や有料道路の入口(A点)情報を自動課金装置12bへ送信する。この自動課金装置12bが受信した車両の識別符号情報や出口(B点)情報を通信線を通じて処理装置13へ伝送する。処理装置13では、自動課金装置12aから伝送されていたICカード11を搭載した車両(自己識別符号)情報や有料道路などの入口(A点)情報及び残りの通行料金情報と、自動課金装置12bから伝送された車両の識別符号情報や出口(B点)情報とを比較して、通行料金を算出する。処理装置13がICカード11が通行料金を予め格納(プリペイド)している場合、その残りの通行料金から差し引く処理を自動課金装置12bを通じた無線送受によって行う。
【0023】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、有料道路などでの走行経路の現時点を測定し、この走行中の現時点の通行料金を自動的に表示しているため、通行料金が予め判明し、その利用の利便性が向上するようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における自動課金表示システムの構成を示すブロック図
【図2】従来の自動課金システムの構成を示すブロック図
【符号の説明】
11 ICカード
12a,12b 自動課金装置
13 処理装置
14 方位センサ
15 距離センサ
18 GPSレシーバ
20 CD−ROM
21A LCD
22 走行位置表示装置本体
23 CPU
24 プログラムROM
25 D−RAM
27 漢字・フォントROM
28 画像処理LSI
29 V−RAM
30 RGB変換部
31 通信インタフェース回路
32 センサ信号処理部
33 読取装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】 車輌に搭載した装置と有料道路の出入口に設けられた装置との間での無線送受信を通じて通行料金を算出して課金処理を行う自動課金表示システムであり、前記有料道路の出入口に設けられる装置としての、前記ICカードとの無線送受信を通じて、有料道路を走行した通行料金を処理する自動課金装置を有し、かつ、前記車輌に搭載する装置として、走行中の現在位置を測定する測定手段と、有料道路の通行料金情報を格納した通行料金体系格納手段と、車両に搭載されて通行にかかる情報を無線送受信するICカードと、前記測定手段が測定した現在の自己位置に対応する通行料金を前記通行料金体系格納手段が送出する通行料金情報から読み出す通行料金読出手段と、前記通行料金読出手段が読み出した現在の走行時点の通行料金を表示する表示手段とを備えた自動課金表示システム。
【請求項2】 測定手段として、GPSレシーバを用いることを特徴とする請求項1記載の自動課金表示システム。
【請求項3】 有料道路を含む地図を表示手段に画面表示する地図表示処理手段を設け、この地図上に測定手段が測定した自己位置を順次走行とともに表示し、かつ、通行料金読出手段が読み出した現在の走行時点の通行料金を画面表示することを特徴とする請求項1記載の自動課金表示システム。
【請求項4】 有料道路の出口に設置された自動課金装置が、ICカードに予め格納した通行料金から、走行した際の通行料金を差し引くことを特徴とする請求項1記載の自動課金表示システム。

【図1】
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【図2】
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