自動調整方法及び装置
PAP療法を受けている患者(1)に付与される治療ガスの付与を制御する装置(100)及び方法(200)について開示する。この方法は、ある圧力で患者の気道にガスの流れを供給するステップと、その流れの周波数ドメインにおけるゼロないし25Hzの範囲からの情報を得るステップと、その情報に基づいて前記圧力を調整するステップとを含む。又、装置は、ある圧力で患者の気道にガスの流れを供給するための送風機(15)と、その流れの特性を測定するためのセンサ(11)と、その特性の周波数ドメインにおけるゼロないし25Hzの範囲からの情報を得るためのコントローラ(9)と、その情報に基づいて前記圧力を調整するための圧力レギュレータとを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、PAP療法を受けている患者に付与される正の空気圧を制御するための方法及び装置に係る。
【背景技術】
【0002】
睡眠中の患者の気道に障害があると、空気の流れが制限されて、無呼吸、呼吸低下又はいびきを引き起こす。障害は、しばしば、咽頭変形(Collapsed pharynx)である。又、障害は、部分気道障害であって、空気流の変形特性を招くこともある。呼吸低下は、完全ではないが50%以上の流れの減少である。しかしながら、無呼吸は、空気流の完全な停止である。これら状態は、各々、睡眠妨害をしばしば招く。
【0003】
睡眠妨害に罹っている患者をPAP(Positive Airway Pressure)療法で処置することが良く知られている。この療法には、CPAP(Continuous Positive Airway Pressure)、VPAP(Variable Positive Airway Pressure)、BiPAP(Bi-level Positive Airway Pressure)、又は多数の他の形式の呼吸療法がある。患者の咽頭に正の圧力を付与すると、この変形を最小化又は防止する上で助けとなる。PAP療法は、現在、通常送風機である圧力源を含む装置によりチューブを通して就寝中の患者が着用しているマスクへ行なわれる。
【0004】
付与される圧力を制御することが望まれる。圧力があまりに低いと、問題の解決にならない。圧力があまり高いと、口や咽頭が乾いたり、付与される圧力に抗して呼気することが困難である、等で、患者に不快感を招くことになる。最適な圧力を付与することが困難であるのは、夜間の睡眠中に気道障害が起きるからである。1つの解決策は、特定の患者に対して最適な圧力を見出して、その圧力を維持するように試みることである。この方法は、患者が睡眠診療所に滞在し、睡眠の専門家が一晩以上の睡眠全体にわたり患者の呼吸過程を監視し、その患者に適した圧力を規定し、そしてその適切な圧力を付与するように装置をセットすることを必要とする。この方法は、当然、患者にとって不便で且つ経費がかかり、且つ通常の患者は馴染んだベッドや周囲環境から離れたときに同じ睡眠が取れないので、不正確になる傾向がある。
【0005】
従って、睡眠の中心部で患者に付き添う必要なく付与圧力を調整できることが望まれる。家庭内で調整する種々の方法が考えられている。一般的に有効であると思われる1つの方法は、患者を監視して、気道障害の始まりを予想し、それに応答して、圧力を調整するよう試みることである。上部気道の抵抗上昇又は流れ障害が予想され又はそれが進行中であるときには、装置が付与圧力を増加させる。患者か正常な睡眠に復帰すると、付与圧力が減少される。従って、流れ障害が生じているとき又は生じようとしているときを決定することが問題である。あまり高い又はあまり低い圧力が付与されるときに上述した問題を回避するために正確に予想することが望まれる。
【0006】
この問題を解決するための種々の方法が提案されている。Halpern氏の米国特許第5,107,831号では、装置が患者への空気流を監視し、そして患者の呼吸が流量又は時間巾の所定スレッシュホールドを満足しなくなったときに気道障害の事象であると断定する。Gruenke氏の米国特許第5,1345,995号では、装置が患者への空気流を監視し、そして流れ対時間波形の形状を分析する。この波形の形状が平坦となり、即ち正弦波よりもプラトーに良く似たものとなる傾向がある場合に、装置は、気道障害の事象であると断言する。Sullivan氏の米国特許第5,245,995号では、装置が患者の音声をマイクロホンで監視する。可聴のいびきが検出された場合には、装置が気道障害の事象であると断言する。同様に、Behbehani氏の米国特許第5,953,713号では、装置が、患者の気道に配置されたインターフェイス内の全圧力を測定し、そして100ないし150Hzの範囲の周波数データを神経ネットワークに入力して、咽頭壁振動(いびき)の存在を決定し、これは、Behbehani氏によれば、睡眠不調呼吸の前兆である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これらの方法は、PAP治療中に付与圧力を制御する上で完全に満足であると証明されていない。例えば、‘713特許では、100ないし150Hzの範囲で測定することにより、本質的にいびきをテストするが、(本発明で述べるような)部分気道障害に関する情報の測定も分析も行なわない。というのは、この情報は、0ないし25Hzの低い周波数範囲で見られるものだからである。図1及び2は、典型的な呼吸のエネルギー対周波数の、周波数ドメインにおけるプロットである。明らかなように、全て低い周波数において、正常な呼吸と、部分気道障害により特徴付けられる呼吸との間には、著しい差がある。本発明は、この差を利用して、治療上のガスの付与を制御する。
【0008】
更に、従来技術の方法は、高ノイズ環境において信号を分析するのに満足なものではない。本発明者は、気道障害の事象の始まりを検出し、そして夜間にわたる個人の呼吸からの結果のような高ノイズ信号から付与圧力を制御する別の方法を発見した。従って、本発明の方法及び装置は、患者からの信号を分析して、PAP治療中の付与圧力を制御するという必要性を満足する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、その一実施形態において、PAP療法を制御する方法であって、ある圧力で患者の気道にガスの流れを供給するステップと、前記流れの周波数ドメインにおけるゼロないし25Hzの周波数範囲からの情報を得るステップと、前記情報に基づいて前記圧力を調整するステップとを備えた方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、制御されたPAP療法を与える装置であって、患者の気道にガスの流れを供給する送風機と、前記流れの特性を測定するセンサと、前記特性の周波数ドメインにおけるゼロないし25Hzの周波数範囲からの情報を得るコントローラと、前記情報に基づき前記圧力を調整する圧力レギュレータとを備えた装置を提供する。
【0010】
本発明の構造及び動作の編成及び態様、並びにその更に別の目的及び効果は、同様の要素が同じ参照番号で示された添付図面を参照した以下の詳細な説明から最も良く理解されよう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は、種々の形態で実施できるが、本発明の原理を理解するための特定の実施形態を図示して詳細に説明する。しかしながら、本発明は、これに限定されるものではない。
【0012】
本発明の好ましい実施形態のPAP装置100が図3に示されており、患者1は、吸気コンジット3を通して湿った加圧ガスを受け入れる。この配送システムは、CPAP、VPAP、BiPAP、又は多数の他の形式の呼吸療法であることを理解されたい。本発明の装置100及び方法200は、CPAPに使用するものとして説明するが、当業者であれば、VPAP又はBiPAPや、別のPAP療法システムに使用するように容易に適応させることができよう。
【0013】
吸気コンジット3は、その一端が、好ましくは米国特許第6,662,803号に説明されたものであるマスク2に取り付けられる。吸気コンジット3は、その他端が、ある量の水6を収容する加湿チャンバー5の出口4に接続される。吸気コンジット3は、コンジットの壁を加熱してコンジット内の湿ったガスの凝結を減少する加熱ヒータワイヤ(図示せず)又は他の適当な加熱素子を含んでもよい。加湿チャンバー5は、プラスチック材料で形成されるのが好ましく、そして加湿器8のヒータプレート7に直接接触する高熱伝導性のベース(例えば、アルミニウムベース)を有してもよい。
【0014】
電子コントローラ9が、装置100の種々の要素を制御する。コントローラ9は、この技術で良く知られたように、RAM、ROM、ALU、1つ以上のレジスタ、データバス、カウンタ(少なくとも呼吸回数カウンタ120及び圧力減少カウンタ130を含む)、及び1つ以上のバッファ(少なくとも円形バッファ110を含む)を備えたマイクロプロセッサベースのコントローラでよい。コントローラ9は、そのRAM及びROMに記憶されたコンピュータソフトウェアコマンドを実行する。
【0015】
コントローラ9は、装置のユーザが、例えば、患者1へ供給されるガスの種々の特性の所定の要求値(プリセット値)、例えば、ガスの初期空気流、圧力、湿度又は温度をセットできるようにするユーザ入力ダイヤル10のようなソースから入力を受け取る。コントローラ9は、好ましくは送風機15に配置される差圧力センサ11から空気流に関する入力を受け取るのが好ましい。或いは又、差圧力センサ11は、マスク2の上流、例えば、コンジット3内や、マスク2のどこかのような、どこにでも配置できる。或いは又、コントローラ9は、送風機15からマスク2までの任意のポイントで流れを直接測定することにより空気流に関連した入力を受け取ってもよい。又、コントローラ9は、他のソース、例えば、温度センサ12からコネクタ13及びヒータプレート温度センサ14を経て入力を受け取ってもよい。
【0016】
ユーザ設定入力及び他の入力に応答して、コントローラ9は、いつ(又はどんなレベルまで)ヒータプレート7を付勢して、加湿チャンバー5内の水6を加熱すべきか決定する。加湿チャンバー5内のある量の水6が加熱されるにつれて、水蒸気が水面より上のチャンバー5の容積を満たし始め、そして送風機15のようなガス供給装置から供給されて入口16を経てチャンバー5に入るガス(例えば、空気)の流れと共に、加湿チャンバー5の出口4から放出される。患者1からの呼気ガスは、図3では、周囲へ直接放出される。
【0017】
送風機15には、送風機の入口17を通して空気又は他のガスを引き込む可変圧力調整装置、例えば、変速ファン21が設けられる。変速ファン21の速度は、装置100の種々の要素からの入力に応答して電子コントローラ9により制御されると共に、ダイヤル19を経てユーザがセットした圧力又はファン速度の所定の要求値(プリセット値)により制御される。
【0018】
コントローラ9は、次の5つのアルゴリズムでプログラムされる。
1.呼吸検出アルゴリズム;
2.無呼吸検出アルゴリズム;
3.呼吸低下検出アルゴリズム;
4.部分気道障害検出アルゴリズム;及び
5.圧力調整アルゴリズム
【0019】
これらのアルゴリズムは、図4に示すように相互作用する。患者1が装置100をターンオンすると、コントローラ9は、圧力センサ11からデータを受け取り、メインアルゴリズムをスタートする(ステップ200)。圧力センサ11は、差圧力センサであるのが好ましく、コントローラ9は、差圧力データを空気流データに変換する。コントローラ9は、生のアナログ流れ信号を50Hzでサンプリングし(ステップ202)、そしてバイアス流を計算する(ステップ204)。例えば、マスク2又は装置100のどこかでの漏れから生じるバイアス流は、バターワース(Butterworth)ローパスフィルタ(立上り時間が約30秒)を経て得られるのが好ましい。それ故、コントローラ9の円形バッファ110に記憶された情報は、コントローラ9がバイアス流を除去するので、正味空気流データである(ステップ206)。コントローラ9の円形バッファ110は、データを連続的に更新し、そしてそのデータを15秒間記憶する(ステップ208)。従って、これらのアルゴリズム全体にわたり、分析される流れは、バイアス流を含まない。即ち、流れは、ゼロ流の周りで振動する。
【0020】
到来する流れデータは、漏れの存在について連続的にチェックされる(ステップ210)。著しい漏れが検出されると、アルゴリズムは、漏れが解明されるまで休止される。
【0021】
漏れが全くないか、行なわれた10回の呼吸より少ない場合には、図5を参照して述べるように、呼吸検出アルゴリズムにより現在データが分析される(ステップ300)。呼吸検出アルゴリズムは、最も古い呼吸がどこで始まりそして終わるか決定する。
【0022】
呼吸が検出されない場合には(ステップ212)、メインアルゴリズムは、生のアナログ流信号をサンプリングすることで開始する(ステップ202)。呼吸が検出された場合には(ステップ212)、呼吸回数カウンタ120が増加され(ステップ214)、そしてメインアルゴリズムは、生の信号をサンプリングすることで開始する(ステップ202)。
【0023】
患者1は、無呼吸又は呼吸低下が生じるまでに最低10回は呼吸すると仮定するので、好ましい実施形態のメインアルゴリズムは、少なくとも10回の呼吸が生じたかどうか決定するためにカウントする(ステップ216)。10回を越える呼吸が生じた場合には、装置は、図7を参照して以下に述べるように、無呼吸検出アルゴリズム(ステップ500)へ進む。10回未満の呼吸しか生じない場合には、コントローラ9の円形バッファ110が生のアナログデータをサンプリングし続ける(ステップ202)。
【0024】
10回の呼吸が生じると、メインアルゴリズムは、図4に示すように進む。無呼吸検出アルゴリズム(ステップ500)は、図7を参照して詳細に述べるように、到来するリアルタイムの流れを常にチェックし、無呼吸が生じたかどうか調べる。無呼吸が生じる場合には、図9を参照して述べるように、圧力調整アルゴリズム(ステップ700)がコールされる。無呼吸が終了すると(ステップ220)、メインアルゴリズムは、生のデータをサンプルすることで開始する(ステップ202)。無呼吸が生じない場合には、呼吸検出アルゴリズム(ステップ300)がコールされる。
【0025】
新たな呼吸が検出されない場合には(ステップ222)、アルゴリズムは、最後の部分的障害又は無呼吸以来、2.5分が経過したかどうか調べるチェックを行う(ステップ224)。もしそうでなければ、メインアルゴリズムは、生データをサンプリングすることで開始する(ステップ202)。もしそうであれば、圧力調整アルゴリズム(ステップ700)がコールされる。呼吸が検出された場合には、図8を参照して述べるように、呼吸低下検出アルゴリズムがコールされ(ステップ600)、その後、図6を参照して述べるように、部分気道障害アルゴリズム(ステップ400)がコールされる。
【0026】
呼吸低下検出アルゴリズム(ステップ600)は、呼吸が呼吸低下の一部分であるかどうか調べるべくチェックを行う。部分気道障害アルゴリズム(ステップ400)は、部分気道障害をチェックするためにコールされる(ステップ232)。呼吸低下検出アルゴリズムで、呼吸低下が生じたことが見つかると(ステップ226)、メインアルゴリズムは、呼吸低下における呼吸が部分気道障害を示すかどうか調べるべくチェックを行う(ステップ228)。もしそうであれば、圧力調整アルゴリズムがコールされる(ステップ700)。もしそうでなければ、メインアルゴリズムは、最後の部分障害又は無呼吸事象以来、2.5分が経過したかどうか調べるべくチェックを行う(ステップ230)。もしそうであれば、圧力調整アルゴリズムがコールされる(ステップ700)。もしそうでなければ、メインアルゴリズムは、生のデータをサンプリングすることで開始する(ステップ202)。
【0027】
部分気道障害アルゴリズムは、呼吸低下が生じなかった場合に、部分気道障害をチェックする(ステップ232)。現在呼吸が部分気道障害を示す場合には、メインアルゴリズムは、以前の2つの呼吸が部分気道障害2を示したかどうか調べるべくチェックを行う(ステップ234)。もしそうであれば、圧力調整アルゴリズム(ステップ700)がコールされる。現在呼吸が部分気道障害を示さない場合(ステップ232)、又は以前の2つの呼吸が部分気道障害を示さない場合には(ステップ234)、メインアルゴリズムは、最後の部分障害又は無呼吸事象以来、2.5分が経過したかどうか調べるべくチェックを行う。もしそうであれば、圧力調整アルゴリズム(ステップ700)がコールされ、さもなければ、メインアルゴリズムは、生のデータをサンプリングすることで開始する。
【0028】
前記アルゴリズムを使用して、付与される正の気道圧力は、療法処置を達成するために患者1により要求される最低圧力である。これらアルゴリズムの詳細を以下に説明する。
【0029】
呼吸検出アルゴリズム
図5に示すように、プログラムが開始されて以来、どれほど多くの呼吸が検出されたかに基づいて、2つのルーチンが使用される。2つのルーチンは、その一方が、患者1の呼吸周期を組み込むという点で、異なる。
【0030】
呼吸検出アルゴリズム(ステップ300)は、最初に、以前の呼吸の終了が流れバッファ内に依然含まれるかどうか決定する(ステップ302)。以前の呼吸の終了ポイントが流れバッファに依然ある場合には、次の呼吸の開始(吸気の開始即ちTstart)が、以前の呼吸の終了ポイントに続くデータポイントとなる(ステップ304)。以前の呼吸の終了ポイントがバッファにない場合には(例えば、無呼吸が生じた場合には)、5リッター/分より大きな流れデータの断片の直後に、5リッター/分未満の流れデータの断片が生じると(ステップ306)、流れバッファをサーチしてEfを見出すことにより、新たな終了ポイントが決定され、ここで、Efは、バッファにおける最大の流れの0.15倍であり(ステップ308)、そして流れは増加し、即ち流れがEf未満であるのに続いて、流れがEfより大きくなる(ステップ310)。次いで、新たな終了ポイントTendは、次の呼吸の開始としてセットされる(ステップ304)。
【0031】
このポイントにおいて、アルゴリズムは、20を越える呼吸が生じたかどうか決定する(ステップ312)。もしそうであれば、アルゴリズムは、Tstart後の平均呼吸周期の最後の1/4にわたる最大流Mfを見つけるためのサーチを行なう(ステップ314)。20以下の呼吸が生じた場合には、Mfは、Tstart後の次の1秒の最大流として定義される。
【0032】
呼気の終了ポイントTendは、2つの基準ポイント間をサーチすることにより決定される(ステップ318)(基準ポイントt1、t2は、差圧力センサ11から決定された患者への空気流・対・時間のプロットである図10に示されている)。各基準ポイントt1、t2は、基準値より大きな流れデータ値に続いて基準値より小さな流れデータ値が発生するのを決定することにより識別され(ステップ320、322)、ここで、t2は、Tstart後のT1の後である。
【0033】
基準値は、次の式で与えられる。
基準値=0.2xMf
但し、Mfは、吸気の始め以来の平均呼吸周期x0.25の最大流である(ステップ314で見出される)。
【0034】
Mfは、差圧力センサ11から決定された患者1への空気流・対・時間のプロットである図10に示されている。
【0035】
t1とt2との間の周期は、0.5秒より大きくなければならない(ステップ326)。そうでない場合には、t2が再び見出される(ステップ322)。2つの基準ポイントt1、t2間のゼロより大きな最大流が計算され、これを使用して、呼気の終了Efが決定される(ステップ328)。呼気の終了は、次の通りである。
Ef=0.15xMt1-t2
但し、Mt1-t2=t1とt2との間の最大流であり、Mt1-t2、t1及びt2は、図11に示されている。
【0036】
Ef未満の流れデータ値の直後にEfより大きな流れデータ値が続くことは、呼吸の終了Tendを指示する(ステップ330)。それ故、呼吸は、TstartからTendまでである(ステップ332)。次いで、装置は、以下に述べる呼吸低下検出アルゴリズム(ステップ600)により決定されるように、呼吸が呼吸低下の一部分でないとすれば、最大流Mt1-t2を記憶し、そして呼吸の周期を記憶する(ステップ334)。
【0037】
呼吸周期及び最大吸気流は、以下に述べるように、無呼吸検出アルゴリズム(ステップ500)及び呼吸低下検出アルゴリズム(ステップ600)により使用される。
【0038】
部分気道障害アルゴリズム
部分気道障害検出アルゴリズム(ステップ400)が図6に示されている。このアルゴリズムは、呼吸検出アルゴリズム(ステップ300)により既に検出された呼吸を、部分気道障害(上部気道の部分障害)の存在について分析する。
【0039】
患者1が呼吸すると、肺と大気との間に圧力勾配が発生される。これらの圧力勾配及びベルヌイの効果と結合された上部気道の生理機能は、吸気中に上部気道の部分的変形を生じさせる。この部分的変形は、睡眠無呼吸障害をもつ人々に流行している。
【0040】
呼吸が部分気道障害を含むかどうか決定するために、フーリエ分析を使用して、吸気流を、部分気道障害に特有の特徴について分析する。信号がフーリエ変換を経て周波数ドメインにマップされると、周波数ドメイン情報を表わしそして分析する仕方は多数ある。フーリエ変換の直接的結果を分析することができ、これは、フーリエ変換のサイン成分の振幅(オリジナル信号の奇数成分を表わす情報)及びフーリエ変換のコサイン成分の振幅(オリジナル信号の偶数成分を表わす情報)を与える。或いは又、フーリエ変換から、位相対周波数のプロット、及びエネルギー対周波数のプロット(エネルギースペクトル)を構成することができる。位相及びエネルギー情報を使用して、オリジナル波形を分析することができる。エネルギー対周波数プロットとは別に、大きさ対周波数プロットを構成する。好ましい実施形態では、エネルギースペクトルを使用して、部分気道障害の存在を決定する。部分気道障害は、図1及び2に示すように、低周波数におけるエネルギースペクトルの分析から検出することができる。
【0041】
より詳細には、患者への治療ガスの流れのフーリエ変換の周波数高調波のグループを含むエネルギーステートメントが、周波数ドメイン事項から発生される。この技術は、著しい量のバックグランドノイズを有することのある信号の分析を許す。全ての処理及び分析は、患者の応答と周波数ドメインにおけるエネルギースペクトルの特性との間の観察された関係に基づいて、周波数ドメインで行なわれる。
【0042】
更に、厳しい気道障害は、吸気中にピーク流量の減少をしばしば生じ、これは、呼気に対して吸気に費やす時間を延長する結果となる。この吸気時間の増加は、部分気道障害検出アルゴリズムに組み込まれる。
【0043】
呼吸サイクルの吸気段階のみから情報を得るために、2つの吸気段階を逆に結合したものより成る波形においてフーリエ分析が実行される。その結果は、次のように定義される奇数関数となる。
【0044】
標準的なフーリエ級数定義は、次の通りである。
但し、nは、高調波の数であり、Anは、高調波コサイン係数であり、Bnは、高調波サイン係数であり、そしてTは、サイクルの周期である。式(1)に基づいて式(2)を変更すると、次のようになる。
というのは、関数の偶数部分を表わす全てのAnがゼロだからである。
【0045】
吸気波形にフーリエ分析を適用するために、本発明の好ましい実施形態のアルゴリズムは、先ず、到来する流れ信号をサンプリングする。次いで、吸気が呼気から分離されて、式(1)のように操作され、循環関数の単一周期を表わすN個のデータポイントのベクトル、y=[y1y2・・・yN]を与える。データは、時間的に均一にサンプリングされ、従って、tj+1=τjであり、ここで、τは、データポイントj=0、・・・−1間のサンプリングインターバルである。yの離散的フーリエ変換は、次のように定義される。
但し、iは、負の1の平方根であり、そしてk=0、・・・N−1である。変換の各ポイントYk+1は、関連周波数を有する。
【0046】
好ましい実施形態では、基本的周波数k=1が、f2=1/τNとして定義され、そして第1の高調波周波数k=2が、f3=2/τNとして定義される。
呼吸が部分気道障害であるかどうか決定するために、特定周波数及び周波数のグループの相対的エネルギーが分析される。これを行なうために、エネルギースペクトルが計算され、
そして全エネルギーが1に等しくなるように正規化される。
【0047】
好ましい実施形態では、最初の13の高調波が分析のために考慮される。というのは、それより高い高調波における相対的電力はごく僅かだからである。分析される高調波は、ゼロから25Hzの周波数範囲である。正常な呼吸の吸気輪郭のエネルギー分布は、一般に、基本的周波数に関連したW2に位置する大半のエネルギーを有し、そして少量のエネルギーが高調波間に分布される。本発明は、フーリエ分析により発生されるエネルギースペクトルのこの特性を使用して、特定周波数又は周波数グループに位置する相対的エネルギーが、実験で観察されるスレッシュホールドより高い場合に、呼吸が部分気道障害と思われると仮定する。
【0048】
一般に、正常な呼吸の場合に、吸気に費やす時間の割合は40%であり、呼気は60%である。気道が部分的変形である患者1は、最大吸気流を達成できない。従って、患者1は、吸気に費やす時間を呼気に対して延長する。吸気に費やす時間は、部分気道障害の間には、全呼吸の50%以上に増加する。
【0049】
従って、部分気道障害検出アルゴリズムは、先ず、平均より大きい吸気に費やす全呼吸の部分である初期比Iinspを計算する(ステップ402)。バイアス流は既に除去されており(ステップ204、206)、従って、呼吸の平均は、ゼロ又はゼロに非常に近いものでなければならないことに注意されたい。次いで、アルゴリズムは、呼吸の吸気部分を決定し、2つの吸気段階を逆に結合したものより成る波形を構成する(ステップ404)。次いで、アルゴリズムは、逆に結合された波形の離散的エネルギースペクトルを周波数fの関数として計算する(ステップ406)。
W(f)=|FFT(波形)|2
【0050】
所定レベル、好ましくは、基本的周波数の13倍、より上の周波数(又は高調波)には、著しいエネルギーが含まれないと仮定する。それ故、エネルギースペクトルは、好ましい実施形態では、基本的周波数の13倍までしか含まれない(ステップ408)。次いで、アルゴリズムは、全エネルギーが1に等しくなるようにエネルギースペクトルを正規化する(ステップ410)。
正規化エネルギースペクトル=W(f)/ΣW(f)
【0051】
この計算は、たとえ各呼吸が別の呼吸と時間巾、一回呼吸気量及び最大流量が相違するとしても、全ての呼吸が同一に分析されるように行なわれる。
次いで、アルゴリズムは、異なる高調波周波数に対応するエネルギーを、情報保持値へとグループ分けする(ステップ412)。これらの情報保持値は、吸気に費やされる呼吸の割合に基づいて計算されたスレッシュホールド値と比較される(ステップ414)。情報保持値及びスレッシュホールド値は、実験で決定される。
【0052】
好ましい実施形態では、次のような4つの情報保持値、即ちWfirst、Wsecond、Wfreq、及びWhigh_freq、が使用される。
【0053】
従って、Wfirstは、第1高調波のエネルギーに対応し、Wsecondは、第2高調波のエネルギーに対応し、Wfreqは、最初の13個の高調波のエネルギーに対応し、そしてWhigh_freqは、5ないし13の高調波のエネルギーに対応する。他の情報保持値は、他の数学演算を使用して異なる高調波周波数に対応するエネルギーから得ることができる。
【0054】
好ましい実施形態では、2つのスレッシュホールドTfreq及びThigh_freqが使用される。これらの値は、吸気で費やす呼吸の割合Iinspの値(ステップ402で計算された)に基づいて変化し、実験で次のように決定されている。
【0055】
これらの実験で決定した値を使用して、アルゴリズムは、スレッシュホールドに対する情報保持和を計算する。Wsecondが0.1以上である場合には(ステップ416)、呼吸が部分気道障害である(ステップ418)。Wfirstが0.02以上であり、Wsecondが0.02以上であり且つWfreqが0.12以上である場合には(ステップ420)、呼吸が部分気道障害である(ステップ422)。Wfirst及びWsecondの和が0.06以上であり且つWfreqが0.12以上である場合には(ステップ424)、呼吸が部分気道障害である(ステップ426)。Wfirst及びWsecondの和が0.07以上であり且つWfreqが0.11以上である場合には(ステップ428)、呼吸が部分気道障害である(ステップ430)。WfreqがTfreq以上である場合には(ステップ432)、呼吸が部分気道障害である(ステップ434)。Whigh_freqがThigh_freq以上である場合には(ステップ436)、呼吸が部分気道障害である(ステップ438)。これらの比較がどれも真でない場合には、呼吸は正常である(ステップ440)。
【0056】
無呼吸検出アルゴリズム
無呼吸検出アルゴリズム(ステップ500)が図7に示されている。無呼吸(流れの停止)を検出するために、コントローラ9は、到来する流れデータ(マイナスバイアス流)を、以前のピーク吸気流で決定されたスレッシュホールドμ1と比較する。呼吸検出アルゴリズム(ステップ300)は、呼吸低下の一部ではなく、最大又はピーク吸気流を既に記憶している。無呼吸検出アルゴリズムは、最後の10回の呼吸のうちの最も古い5回の呼吸の平均ピーク吸気流の20%としてスレッシュホールドμ1を計算する(ステップ502)。次いで、アルゴリズムは、Tapnoeaを計算する(ステップ504)。
Tapnoea=1.7x(最後の50回の呼吸にわたって平均化された呼吸周期)
しかしながら、Tapnoeaは、10秒から15秒でなければならない。
【0057】
到来する流れがスレッシュホールドμ1未満である場合には、無呼吸が発生していることがある。この条件をTapnoeaより長い時間中満足する場合には(ステップ506)、無呼吸が発生しており(ステップ508)、さもなければ、無呼吸は発生していない(ステップ510)。無呼吸が発生している場合には、アルゴリズムは、流れがスレッシュホールドμ1より増加して、無呼吸が終了したことを指示するときを調べるべくチェックを行う(ステップ512)。
【0058】
呼吸低下検出アルゴリズム
呼吸低下(流れの減少)を検出するために、図8に示された呼吸低下検出アルゴリズム(ステップ600)は、記憶された呼吸を、以前のピーク吸気流で決定されたスレッシュホールドμ2と比較する(ステップ602)。無呼吸検出アルゴリズム(ステップ500)と同様に、スレッシュホールドμ2は、呼吸低下の部分を構成しない最後の10個のうちの最も古い5つの呼吸に対するピーク吸気流から計算される。このスレッシュホールド(μ2)は、最も古い5つの呼吸の平均ピーク吸気流の60%として得られる(ステップ602)。
【0059】
到来する流れが、12秒より長い時間周期中、スレッシュホールド(μ2)未満である場合には(ステップ604)、おそらく呼吸低下が生じており、さもなければ、呼吸低下が生じていない(ステップ606)。呼吸低下として分類されるべき事象については、流れがμ2未満になって以来30秒以内に、流れがμ2より大きくなるように、流れが増加しなければならない(ステップ608)。この流れの増加が検出された場合には、呼吸低下が発生しており(ステップ610)、さもなければ、事象は、呼吸低下ではない(ステップ612)。
【0060】
圧力調整アルゴリズム
無呼吸検出アルゴリズム(ステップ500)の間に無呼吸が検出された場合には、圧力調整アルゴリズム(ステップ700)がコールされる。又、呼吸低下検出アルゴリズム(ステップ600)の間に呼吸低下が検出され、且つ呼吸低下において部分気道障害呼吸がある場合(ステップ228)、或いは呼吸低下はないが、現在呼吸及び2つの以前の呼吸が部分気道障害である場合には(ステップ226、232、234)、圧力調整アルゴリズム(ステップ700)がコールされる。呼吸低下がなく、且つ現在呼吸が部分気道障害を示さず又は以前の2つの呼吸が部分気道障害を示さず、しかも、それが最後の部分気道障害以来2.5分続く場合には(ステップ226、232、234、224)、圧力調整アルゴリズムがコールされる。又、呼吸低下はあるが、部分気道障害呼吸を伴わず、且つそれが最後の部分気道障害事象又は無呼吸以来所定の周期、好ましくは、2.5分より長く続く場合には(ステップ226、228及び230)、圧力調整アルゴリズム(ステップ700)がコールされる。圧力調整アルゴリズムは、図9aないし図9dに示されている。
【0061】
圧力調整アルゴリズム(ステップ700)は、患者へ付与される治療圧力を制御するために、圧力を調整すべきかどうかそしてどれほど調整すべきか決定する。好ましい実施形態の最初のルールとして、このアルゴリズムは、無呼吸として分類される事象に対して、圧力を10cmH2Oの最大値に増加するだけである(ステップ702)。
【0062】
このアルゴリズムは、第1に、睡眠周期の開始以来、圧力低下があったかどうか決定するためのチェックを行う(ステップ704)。このような低下がなかった場合には、アルゴリズムは、何らかの種類の障害事象が検出されたかどうか、又、圧力が所定の最大値、好ましくは、10cmH2Oより低いかどうか決定する(ステップ706)。これら条件を満足すると、アルゴリズムは、障害事象が、部分気道障害、無呼吸、又は部分気道障害を伴う呼吸低下であるかどうか決定する(ステップ708)。部分的気道障害を伴う呼吸低下の事象では、コントローラ9が圧力を1cmH2Oだけ増加し(ステップ710)、そして別の圧力変化を許すまでに10秒待機する(ステップ712)。事象が無呼吸であった場合には、コントローラ9は、圧力を2cmH2Oだけ増加し(ステップ714)、そして別の圧力変化を許すまでに60秒待機する(ステップ716)。事象が部分気道障害であった場合には、コントローラ9は、圧力を1cmH2Oだけ増加し(ステップ718)、そして別の圧力変化を許すまでに10秒待機する(ステップ720)。
【0063】
睡眠周期の開始以来、以前の圧力低下があった場合(ステップ704)、又は障害事象が検出されそしてその圧力が10cmH2O未満であるという条件を満足しない場合には(ステップ706)、アルゴリズムは、6つの連続する圧力低下があったかどうか決定する。もしそうであれば、合計連続圧力低下カウンタ130がゼロにリセットされる(ステップ722)。
【0064】
次いで、アルゴリズムは、所定の時間周期、好ましくは、2.5分の間、正常な呼吸があったかどうか決定する(ステップ724)。もしそうであれば、コントローラ9は、圧力を0.5cmH2Oだけ低下する(又、圧力低下カウンタ130を1だけ増加する)。
【0065】
所定の時間周期中に正常な呼吸がなかった場合には(ステップ724)、部分気道障害、無呼吸、又は部分気道障害を伴う呼吸低下が発生している(ステップ728)。次のステップは、以前の圧力変化に依存する。以前の連続圧力変化が、合計1cmH2O以上の総和の増加であり、且つ現在圧力が10cmH2O未満である場合には(ステップ730)、アルゴリズムは、上述したように、ステップ708へ進む。そうでなければ、コントローラ9は、図9b、9c及び9dに示すように、障害事象の性質に基づく量及び以前の圧力低下の量だけ圧力を増加するように進む。
【0066】
以前の合計圧力低下が1cmH2Oより大きい場合には(ステップ732)、アルゴリズムは、障害事象が、部分気道障害、無呼吸、又は部分気道障害を伴う呼吸低下であるかどうか決定する(ステップ734)。部分気道障害を伴う呼吸低下の場合には、コントローラ9は、圧力を1cmH2Oだけ増加し(ステップ736)、そして別の圧力変化を許すまで10秒待機する(ステップ738)。事象が無呼吸であった場合には、コントローラ9は、圧力を2cmH2Oだけ増加し(ステップ740)、そして別の圧力変化を許すまで60秒待機する(ステップ742)。事象が部分気道障害であった場合には、コントローラ9は、圧力を0.5cmH2Oだけ増加し(ステップ744)、そして別の圧力変化を許すまで10秒待機する(ステップ746)。
【0067】
以前の圧力低下が1cmH2Oより大きいが、1.5cmH2O以下である場合には(ステップ748)、アルゴリズムは、障害事象が、部分気道障害、無呼吸、又は部分気道障害を伴う呼吸低下であるかどうか決定する(ステップ750)。部分気道障害を伴う呼吸低下の場合には、コントローラ9は、圧力を1cmH2Oだけ増加し(ステップ752)、そして別の圧力変化を許すまで10秒待機する(ステップ754)。事象が無呼吸であった場合には、コントローラ9は、圧力を2cmH2Oだけ増加し(ステップ756)、そして別の圧力変化を許すまで60秒待機する(ステップ758)。事象が部分気道障害であった場合には、コントローラ9は、圧力を0.5cmH2Oだけ増加し(ステップ760)、そして別の圧力変化を許すまで10秒待機する(ステップ762)。
【0068】
以前の圧力低下が1.5cmH2Oより大きいが、2cmH2O以下である場合には(ステップ764)(図9c)、アルゴリズムは、障害事象が、部分気道障害、無呼吸、又は部分気道障害を伴う呼吸低下であるかどうか決定する(ステップ766)。部分気道障害を伴う呼吸低下の場合には、コントローラ9は、圧力を1.5cmH2Oだけ増加し(ステップ768)、そして別の圧力変化を許すまで10秒待機する(ステップ770)。事象が無呼吸であった場合には、コントローラ9は、圧力を2cmH2Oだけ増加し(ステップ772)、そして別の圧力変化を許すまで60秒待機する(ステップ774)。事象が部分気道障害であった場合には、コントローラ9は、圧力を1cmH2Oだけ増加し(ステップ776)、そして別の圧力変化を許すまで10秒待機する(ステップ778)。
【0069】
以前の圧力低下が2cmH2Oより大きいが、3.5cmH2O以下である場合には(ステップ780)、アルゴリズムは、障害事象が、部分気道障害、無呼吸、又は部分気道障害を伴う呼吸低下であるかどうか決定する(ステップ782)。部分気道障害を伴う呼吸低下の場合には、コントローラ9は、圧力を1.5cmH2Oだけ増加し(ステップ784)、そして別の圧力変化を許すまで10秒待機する(ステップ754)。事象が無呼吸であった場合には、コントローラ9は、圧力を2cmH2Oだけ増加し(ステップ788)、そして別の圧力変化を許すまで60秒待機する(ステップ790)。事象が部分気道障害であった場合には、コントローラ9は、圧力を1.5cmH2Oだけ増加し(ステップ792)、そして別の圧力変化を許すまで10秒待機する(ステップ794)。
【0070】
以前の圧力低下が3.5cmH2Oより大きい場合には(ステップ796)、アルゴリズムは、障害事象が、部分気道障害、無呼吸、又は部分気道障害を伴う呼吸低下であるかどうか決定する(ステップ798)。部分気道障害を伴う呼吸低下の場合には、コントローラ9は、圧力を全圧力低下の半分だけ増加し(ステップ800)、そして別の圧力変化を許すまで10秒待機する(ステップ802)。事象が無呼吸であった場合には、コントローラ9は、圧力を全圧力低下の半分だけ増加し(ステップ804)、そして別の圧力変化を許すまで60秒待機する(ステップ806)。事象が部分気道障害であった場合には、コントローラ9は、圧力を全圧力低下の半分だけ増加し(ステップ808)、そして別の圧力変化を許すまで10秒待機する(ステップ810)。
【0071】
本発明の好ましい実施形態を図示して説明したが、当業者であれば、本発明の精神及び範囲から逸脱せずに、本発明の種々の変形を案出することができよう。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】正常な呼吸と、部分気道障害により特徴付けられる呼吸とに対するエネルギー対周波数の周波数ドメインにおけるプロットである。
【図2】正常な呼吸と、部分気道障害により特徴付けられる呼吸とに対するエネルギー対周波数の周波数ドメインにおけるプロットである。
【図3】本発明の好ましい実施形態のPAP装置を例示する図である。
【図4A】本発明の好ましい実施形態の方法のメインアルゴリズムを示すブロック図であって、5つのアルゴリズムの相互作用を示す図である。
【図4B】本発明の好ましい実施形態の方法のメインアルゴリズムを示すブロック図であって、5つのアルゴリズムの相互作用を示す図である。
【図5A】本発明の好ましい実施形態の呼吸検出アルゴリズムのブロック図である。
【図5B】本発明の好ましい実施形態の呼吸検出アルゴリズムのブロック図である。
【図6A】本発明の好ましい実施形態の部分気道障害アルゴリズムを示すブロック図である。
【図6B】本発明の好ましい実施形態の部分気道障害アルゴリズムを示すブロック図である。
【図7】本発明の好ましい実施形態の無呼吸検出アルゴリズムのブロック図である。
【図8】本発明の好ましい実施形態の呼吸低下検出アルゴリズムのブロック図である。
【図9a−1】本発明の好ましい実施形態の圧力調整アルゴリズムを示すブロック図である。
【図9a−2】本発明の好ましい実施形態の圧力調整アルゴリズムを示すブロック図である。
【図9b−1】本発明の好ましい実施形態の圧力調整アルゴリズムを示すブロック図である。
【図9b−2】本発明の好ましい実施形態の圧力調整アルゴリズムを示すブロック図である。
【図9c−1】本発明の好ましい実施形態の圧力調整アルゴリズムを示すブロック図である。
【図9c−2】本発明の好ましい実施形態の圧力調整アルゴリズムを示すブロック図である。
【図9d】本発明の好ましい実施形態の圧力調整アルゴリズムのブロック図である。
【図10】Tstart及びMfを示す空気流対時間のグラフである。
【図11】Tend、t1、t2及びMt1-t2を示す空気流対時間のグラフである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、PAP療法を受けている患者に付与される正の空気圧を制御するための方法及び装置に係る。
【背景技術】
【0002】
睡眠中の患者の気道に障害があると、空気の流れが制限されて、無呼吸、呼吸低下又はいびきを引き起こす。障害は、しばしば、咽頭変形(Collapsed pharynx)である。又、障害は、部分気道障害であって、空気流の変形特性を招くこともある。呼吸低下は、完全ではないが50%以上の流れの減少である。しかしながら、無呼吸は、空気流の完全な停止である。これら状態は、各々、睡眠妨害をしばしば招く。
【0003】
睡眠妨害に罹っている患者をPAP(Positive Airway Pressure)療法で処置することが良く知られている。この療法には、CPAP(Continuous Positive Airway Pressure)、VPAP(Variable Positive Airway Pressure)、BiPAP(Bi-level Positive Airway Pressure)、又は多数の他の形式の呼吸療法がある。患者の咽頭に正の圧力を付与すると、この変形を最小化又は防止する上で助けとなる。PAP療法は、現在、通常送風機である圧力源を含む装置によりチューブを通して就寝中の患者が着用しているマスクへ行なわれる。
【0004】
付与される圧力を制御することが望まれる。圧力があまりに低いと、問題の解決にならない。圧力があまり高いと、口や咽頭が乾いたり、付与される圧力に抗して呼気することが困難である、等で、患者に不快感を招くことになる。最適な圧力を付与することが困難であるのは、夜間の睡眠中に気道障害が起きるからである。1つの解決策は、特定の患者に対して最適な圧力を見出して、その圧力を維持するように試みることである。この方法は、患者が睡眠診療所に滞在し、睡眠の専門家が一晩以上の睡眠全体にわたり患者の呼吸過程を監視し、その患者に適した圧力を規定し、そしてその適切な圧力を付与するように装置をセットすることを必要とする。この方法は、当然、患者にとって不便で且つ経費がかかり、且つ通常の患者は馴染んだベッドや周囲環境から離れたときに同じ睡眠が取れないので、不正確になる傾向がある。
【0005】
従って、睡眠の中心部で患者に付き添う必要なく付与圧力を調整できることが望まれる。家庭内で調整する種々の方法が考えられている。一般的に有効であると思われる1つの方法は、患者を監視して、気道障害の始まりを予想し、それに応答して、圧力を調整するよう試みることである。上部気道の抵抗上昇又は流れ障害が予想され又はそれが進行中であるときには、装置が付与圧力を増加させる。患者か正常な睡眠に復帰すると、付与圧力が減少される。従って、流れ障害が生じているとき又は生じようとしているときを決定することが問題である。あまり高い又はあまり低い圧力が付与されるときに上述した問題を回避するために正確に予想することが望まれる。
【0006】
この問題を解決するための種々の方法が提案されている。Halpern氏の米国特許第5,107,831号では、装置が患者への空気流を監視し、そして患者の呼吸が流量又は時間巾の所定スレッシュホールドを満足しなくなったときに気道障害の事象であると断定する。Gruenke氏の米国特許第5,1345,995号では、装置が患者への空気流を監視し、そして流れ対時間波形の形状を分析する。この波形の形状が平坦となり、即ち正弦波よりもプラトーに良く似たものとなる傾向がある場合に、装置は、気道障害の事象であると断言する。Sullivan氏の米国特許第5,245,995号では、装置が患者の音声をマイクロホンで監視する。可聴のいびきが検出された場合には、装置が気道障害の事象であると断言する。同様に、Behbehani氏の米国特許第5,953,713号では、装置が、患者の気道に配置されたインターフェイス内の全圧力を測定し、そして100ないし150Hzの範囲の周波数データを神経ネットワークに入力して、咽頭壁振動(いびき)の存在を決定し、これは、Behbehani氏によれば、睡眠不調呼吸の前兆である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これらの方法は、PAP治療中に付与圧力を制御する上で完全に満足であると証明されていない。例えば、‘713特許では、100ないし150Hzの範囲で測定することにより、本質的にいびきをテストするが、(本発明で述べるような)部分気道障害に関する情報の測定も分析も行なわない。というのは、この情報は、0ないし25Hzの低い周波数範囲で見られるものだからである。図1及び2は、典型的な呼吸のエネルギー対周波数の、周波数ドメインにおけるプロットである。明らかなように、全て低い周波数において、正常な呼吸と、部分気道障害により特徴付けられる呼吸との間には、著しい差がある。本発明は、この差を利用して、治療上のガスの付与を制御する。
【0008】
更に、従来技術の方法は、高ノイズ環境において信号を分析するのに満足なものではない。本発明者は、気道障害の事象の始まりを検出し、そして夜間にわたる個人の呼吸からの結果のような高ノイズ信号から付与圧力を制御する別の方法を発見した。従って、本発明の方法及び装置は、患者からの信号を分析して、PAP治療中の付与圧力を制御するという必要性を満足する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、その一実施形態において、PAP療法を制御する方法であって、ある圧力で患者の気道にガスの流れを供給するステップと、前記流れの周波数ドメインにおけるゼロないし25Hzの周波数範囲からの情報を得るステップと、前記情報に基づいて前記圧力を調整するステップとを備えた方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、制御されたPAP療法を与える装置であって、患者の気道にガスの流れを供給する送風機と、前記流れの特性を測定するセンサと、前記特性の周波数ドメインにおけるゼロないし25Hzの周波数範囲からの情報を得るコントローラと、前記情報に基づき前記圧力を調整する圧力レギュレータとを備えた装置を提供する。
【0010】
本発明の構造及び動作の編成及び態様、並びにその更に別の目的及び効果は、同様の要素が同じ参照番号で示された添付図面を参照した以下の詳細な説明から最も良く理解されよう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は、種々の形態で実施できるが、本発明の原理を理解するための特定の実施形態を図示して詳細に説明する。しかしながら、本発明は、これに限定されるものではない。
【0012】
本発明の好ましい実施形態のPAP装置100が図3に示されており、患者1は、吸気コンジット3を通して湿った加圧ガスを受け入れる。この配送システムは、CPAP、VPAP、BiPAP、又は多数の他の形式の呼吸療法であることを理解されたい。本発明の装置100及び方法200は、CPAPに使用するものとして説明するが、当業者であれば、VPAP又はBiPAPや、別のPAP療法システムに使用するように容易に適応させることができよう。
【0013】
吸気コンジット3は、その一端が、好ましくは米国特許第6,662,803号に説明されたものであるマスク2に取り付けられる。吸気コンジット3は、その他端が、ある量の水6を収容する加湿チャンバー5の出口4に接続される。吸気コンジット3は、コンジットの壁を加熱してコンジット内の湿ったガスの凝結を減少する加熱ヒータワイヤ(図示せず)又は他の適当な加熱素子を含んでもよい。加湿チャンバー5は、プラスチック材料で形成されるのが好ましく、そして加湿器8のヒータプレート7に直接接触する高熱伝導性のベース(例えば、アルミニウムベース)を有してもよい。
【0014】
電子コントローラ9が、装置100の種々の要素を制御する。コントローラ9は、この技術で良く知られたように、RAM、ROM、ALU、1つ以上のレジスタ、データバス、カウンタ(少なくとも呼吸回数カウンタ120及び圧力減少カウンタ130を含む)、及び1つ以上のバッファ(少なくとも円形バッファ110を含む)を備えたマイクロプロセッサベースのコントローラでよい。コントローラ9は、そのRAM及びROMに記憶されたコンピュータソフトウェアコマンドを実行する。
【0015】
コントローラ9は、装置のユーザが、例えば、患者1へ供給されるガスの種々の特性の所定の要求値(プリセット値)、例えば、ガスの初期空気流、圧力、湿度又は温度をセットできるようにするユーザ入力ダイヤル10のようなソースから入力を受け取る。コントローラ9は、好ましくは送風機15に配置される差圧力センサ11から空気流に関する入力を受け取るのが好ましい。或いは又、差圧力センサ11は、マスク2の上流、例えば、コンジット3内や、マスク2のどこかのような、どこにでも配置できる。或いは又、コントローラ9は、送風機15からマスク2までの任意のポイントで流れを直接測定することにより空気流に関連した入力を受け取ってもよい。又、コントローラ9は、他のソース、例えば、温度センサ12からコネクタ13及びヒータプレート温度センサ14を経て入力を受け取ってもよい。
【0016】
ユーザ設定入力及び他の入力に応答して、コントローラ9は、いつ(又はどんなレベルまで)ヒータプレート7を付勢して、加湿チャンバー5内の水6を加熱すべきか決定する。加湿チャンバー5内のある量の水6が加熱されるにつれて、水蒸気が水面より上のチャンバー5の容積を満たし始め、そして送風機15のようなガス供給装置から供給されて入口16を経てチャンバー5に入るガス(例えば、空気)の流れと共に、加湿チャンバー5の出口4から放出される。患者1からの呼気ガスは、図3では、周囲へ直接放出される。
【0017】
送風機15には、送風機の入口17を通して空気又は他のガスを引き込む可変圧力調整装置、例えば、変速ファン21が設けられる。変速ファン21の速度は、装置100の種々の要素からの入力に応答して電子コントローラ9により制御されると共に、ダイヤル19を経てユーザがセットした圧力又はファン速度の所定の要求値(プリセット値)により制御される。
【0018】
コントローラ9は、次の5つのアルゴリズムでプログラムされる。
1.呼吸検出アルゴリズム;
2.無呼吸検出アルゴリズム;
3.呼吸低下検出アルゴリズム;
4.部分気道障害検出アルゴリズム;及び
5.圧力調整アルゴリズム
【0019】
これらのアルゴリズムは、図4に示すように相互作用する。患者1が装置100をターンオンすると、コントローラ9は、圧力センサ11からデータを受け取り、メインアルゴリズムをスタートする(ステップ200)。圧力センサ11は、差圧力センサであるのが好ましく、コントローラ9は、差圧力データを空気流データに変換する。コントローラ9は、生のアナログ流れ信号を50Hzでサンプリングし(ステップ202)、そしてバイアス流を計算する(ステップ204)。例えば、マスク2又は装置100のどこかでの漏れから生じるバイアス流は、バターワース(Butterworth)ローパスフィルタ(立上り時間が約30秒)を経て得られるのが好ましい。それ故、コントローラ9の円形バッファ110に記憶された情報は、コントローラ9がバイアス流を除去するので、正味空気流データである(ステップ206)。コントローラ9の円形バッファ110は、データを連続的に更新し、そしてそのデータを15秒間記憶する(ステップ208)。従って、これらのアルゴリズム全体にわたり、分析される流れは、バイアス流を含まない。即ち、流れは、ゼロ流の周りで振動する。
【0020】
到来する流れデータは、漏れの存在について連続的にチェックされる(ステップ210)。著しい漏れが検出されると、アルゴリズムは、漏れが解明されるまで休止される。
【0021】
漏れが全くないか、行なわれた10回の呼吸より少ない場合には、図5を参照して述べるように、呼吸検出アルゴリズムにより現在データが分析される(ステップ300)。呼吸検出アルゴリズムは、最も古い呼吸がどこで始まりそして終わるか決定する。
【0022】
呼吸が検出されない場合には(ステップ212)、メインアルゴリズムは、生のアナログ流信号をサンプリングすることで開始する(ステップ202)。呼吸が検出された場合には(ステップ212)、呼吸回数カウンタ120が増加され(ステップ214)、そしてメインアルゴリズムは、生の信号をサンプリングすることで開始する(ステップ202)。
【0023】
患者1は、無呼吸又は呼吸低下が生じるまでに最低10回は呼吸すると仮定するので、好ましい実施形態のメインアルゴリズムは、少なくとも10回の呼吸が生じたかどうか決定するためにカウントする(ステップ216)。10回を越える呼吸が生じた場合には、装置は、図7を参照して以下に述べるように、無呼吸検出アルゴリズム(ステップ500)へ進む。10回未満の呼吸しか生じない場合には、コントローラ9の円形バッファ110が生のアナログデータをサンプリングし続ける(ステップ202)。
【0024】
10回の呼吸が生じると、メインアルゴリズムは、図4に示すように進む。無呼吸検出アルゴリズム(ステップ500)は、図7を参照して詳細に述べるように、到来するリアルタイムの流れを常にチェックし、無呼吸が生じたかどうか調べる。無呼吸が生じる場合には、図9を参照して述べるように、圧力調整アルゴリズム(ステップ700)がコールされる。無呼吸が終了すると(ステップ220)、メインアルゴリズムは、生のデータをサンプルすることで開始する(ステップ202)。無呼吸が生じない場合には、呼吸検出アルゴリズム(ステップ300)がコールされる。
【0025】
新たな呼吸が検出されない場合には(ステップ222)、アルゴリズムは、最後の部分的障害又は無呼吸以来、2.5分が経過したかどうか調べるチェックを行う(ステップ224)。もしそうでなければ、メインアルゴリズムは、生データをサンプリングすることで開始する(ステップ202)。もしそうであれば、圧力調整アルゴリズム(ステップ700)がコールされる。呼吸が検出された場合には、図8を参照して述べるように、呼吸低下検出アルゴリズムがコールされ(ステップ600)、その後、図6を参照して述べるように、部分気道障害アルゴリズム(ステップ400)がコールされる。
【0026】
呼吸低下検出アルゴリズム(ステップ600)は、呼吸が呼吸低下の一部分であるかどうか調べるべくチェックを行う。部分気道障害アルゴリズム(ステップ400)は、部分気道障害をチェックするためにコールされる(ステップ232)。呼吸低下検出アルゴリズムで、呼吸低下が生じたことが見つかると(ステップ226)、メインアルゴリズムは、呼吸低下における呼吸が部分気道障害を示すかどうか調べるべくチェックを行う(ステップ228)。もしそうであれば、圧力調整アルゴリズムがコールされる(ステップ700)。もしそうでなければ、メインアルゴリズムは、最後の部分障害又は無呼吸事象以来、2.5分が経過したかどうか調べるべくチェックを行う(ステップ230)。もしそうであれば、圧力調整アルゴリズムがコールされる(ステップ700)。もしそうでなければ、メインアルゴリズムは、生のデータをサンプリングすることで開始する(ステップ202)。
【0027】
部分気道障害アルゴリズムは、呼吸低下が生じなかった場合に、部分気道障害をチェックする(ステップ232)。現在呼吸が部分気道障害を示す場合には、メインアルゴリズムは、以前の2つの呼吸が部分気道障害2を示したかどうか調べるべくチェックを行う(ステップ234)。もしそうであれば、圧力調整アルゴリズム(ステップ700)がコールされる。現在呼吸が部分気道障害を示さない場合(ステップ232)、又は以前の2つの呼吸が部分気道障害を示さない場合には(ステップ234)、メインアルゴリズムは、最後の部分障害又は無呼吸事象以来、2.5分が経過したかどうか調べるべくチェックを行う。もしそうであれば、圧力調整アルゴリズム(ステップ700)がコールされ、さもなければ、メインアルゴリズムは、生のデータをサンプリングすることで開始する。
【0028】
前記アルゴリズムを使用して、付与される正の気道圧力は、療法処置を達成するために患者1により要求される最低圧力である。これらアルゴリズムの詳細を以下に説明する。
【0029】
呼吸検出アルゴリズム
図5に示すように、プログラムが開始されて以来、どれほど多くの呼吸が検出されたかに基づいて、2つのルーチンが使用される。2つのルーチンは、その一方が、患者1の呼吸周期を組み込むという点で、異なる。
【0030】
呼吸検出アルゴリズム(ステップ300)は、最初に、以前の呼吸の終了が流れバッファ内に依然含まれるかどうか決定する(ステップ302)。以前の呼吸の終了ポイントが流れバッファに依然ある場合には、次の呼吸の開始(吸気の開始即ちTstart)が、以前の呼吸の終了ポイントに続くデータポイントとなる(ステップ304)。以前の呼吸の終了ポイントがバッファにない場合には(例えば、無呼吸が生じた場合には)、5リッター/分より大きな流れデータの断片の直後に、5リッター/分未満の流れデータの断片が生じると(ステップ306)、流れバッファをサーチしてEfを見出すことにより、新たな終了ポイントが決定され、ここで、Efは、バッファにおける最大の流れの0.15倍であり(ステップ308)、そして流れは増加し、即ち流れがEf未満であるのに続いて、流れがEfより大きくなる(ステップ310)。次いで、新たな終了ポイントTendは、次の呼吸の開始としてセットされる(ステップ304)。
【0031】
このポイントにおいて、アルゴリズムは、20を越える呼吸が生じたかどうか決定する(ステップ312)。もしそうであれば、アルゴリズムは、Tstart後の平均呼吸周期の最後の1/4にわたる最大流Mfを見つけるためのサーチを行なう(ステップ314)。20以下の呼吸が生じた場合には、Mfは、Tstart後の次の1秒の最大流として定義される。
【0032】
呼気の終了ポイントTendは、2つの基準ポイント間をサーチすることにより決定される(ステップ318)(基準ポイントt1、t2は、差圧力センサ11から決定された患者への空気流・対・時間のプロットである図10に示されている)。各基準ポイントt1、t2は、基準値より大きな流れデータ値に続いて基準値より小さな流れデータ値が発生するのを決定することにより識別され(ステップ320、322)、ここで、t2は、Tstart後のT1の後である。
【0033】
基準値は、次の式で与えられる。
基準値=0.2xMf
但し、Mfは、吸気の始め以来の平均呼吸周期x0.25の最大流である(ステップ314で見出される)。
【0034】
Mfは、差圧力センサ11から決定された患者1への空気流・対・時間のプロットである図10に示されている。
【0035】
t1とt2との間の周期は、0.5秒より大きくなければならない(ステップ326)。そうでない場合には、t2が再び見出される(ステップ322)。2つの基準ポイントt1、t2間のゼロより大きな最大流が計算され、これを使用して、呼気の終了Efが決定される(ステップ328)。呼気の終了は、次の通りである。
Ef=0.15xMt1-t2
但し、Mt1-t2=t1とt2との間の最大流であり、Mt1-t2、t1及びt2は、図11に示されている。
【0036】
Ef未満の流れデータ値の直後にEfより大きな流れデータ値が続くことは、呼吸の終了Tendを指示する(ステップ330)。それ故、呼吸は、TstartからTendまでである(ステップ332)。次いで、装置は、以下に述べる呼吸低下検出アルゴリズム(ステップ600)により決定されるように、呼吸が呼吸低下の一部分でないとすれば、最大流Mt1-t2を記憶し、そして呼吸の周期を記憶する(ステップ334)。
【0037】
呼吸周期及び最大吸気流は、以下に述べるように、無呼吸検出アルゴリズム(ステップ500)及び呼吸低下検出アルゴリズム(ステップ600)により使用される。
【0038】
部分気道障害アルゴリズム
部分気道障害検出アルゴリズム(ステップ400)が図6に示されている。このアルゴリズムは、呼吸検出アルゴリズム(ステップ300)により既に検出された呼吸を、部分気道障害(上部気道の部分障害)の存在について分析する。
【0039】
患者1が呼吸すると、肺と大気との間に圧力勾配が発生される。これらの圧力勾配及びベルヌイの効果と結合された上部気道の生理機能は、吸気中に上部気道の部分的変形を生じさせる。この部分的変形は、睡眠無呼吸障害をもつ人々に流行している。
【0040】
呼吸が部分気道障害を含むかどうか決定するために、フーリエ分析を使用して、吸気流を、部分気道障害に特有の特徴について分析する。信号がフーリエ変換を経て周波数ドメインにマップされると、周波数ドメイン情報を表わしそして分析する仕方は多数ある。フーリエ変換の直接的結果を分析することができ、これは、フーリエ変換のサイン成分の振幅(オリジナル信号の奇数成分を表わす情報)及びフーリエ変換のコサイン成分の振幅(オリジナル信号の偶数成分を表わす情報)を与える。或いは又、フーリエ変換から、位相対周波数のプロット、及びエネルギー対周波数のプロット(エネルギースペクトル)を構成することができる。位相及びエネルギー情報を使用して、オリジナル波形を分析することができる。エネルギー対周波数プロットとは別に、大きさ対周波数プロットを構成する。好ましい実施形態では、エネルギースペクトルを使用して、部分気道障害の存在を決定する。部分気道障害は、図1及び2に示すように、低周波数におけるエネルギースペクトルの分析から検出することができる。
【0041】
より詳細には、患者への治療ガスの流れのフーリエ変換の周波数高調波のグループを含むエネルギーステートメントが、周波数ドメイン事項から発生される。この技術は、著しい量のバックグランドノイズを有することのある信号の分析を許す。全ての処理及び分析は、患者の応答と周波数ドメインにおけるエネルギースペクトルの特性との間の観察された関係に基づいて、周波数ドメインで行なわれる。
【0042】
更に、厳しい気道障害は、吸気中にピーク流量の減少をしばしば生じ、これは、呼気に対して吸気に費やす時間を延長する結果となる。この吸気時間の増加は、部分気道障害検出アルゴリズムに組み込まれる。
【0043】
呼吸サイクルの吸気段階のみから情報を得るために、2つの吸気段階を逆に結合したものより成る波形においてフーリエ分析が実行される。その結果は、次のように定義される奇数関数となる。
【0044】
標準的なフーリエ級数定義は、次の通りである。
但し、nは、高調波の数であり、Anは、高調波コサイン係数であり、Bnは、高調波サイン係数であり、そしてTは、サイクルの周期である。式(1)に基づいて式(2)を変更すると、次のようになる。
というのは、関数の偶数部分を表わす全てのAnがゼロだからである。
【0045】
吸気波形にフーリエ分析を適用するために、本発明の好ましい実施形態のアルゴリズムは、先ず、到来する流れ信号をサンプリングする。次いで、吸気が呼気から分離されて、式(1)のように操作され、循環関数の単一周期を表わすN個のデータポイントのベクトル、y=[y1y2・・・yN]を与える。データは、時間的に均一にサンプリングされ、従って、tj+1=τjであり、ここで、τは、データポイントj=0、・・・−1間のサンプリングインターバルである。yの離散的フーリエ変換は、次のように定義される。
但し、iは、負の1の平方根であり、そしてk=0、・・・N−1である。変換の各ポイントYk+1は、関連周波数を有する。
【0046】
好ましい実施形態では、基本的周波数k=1が、f2=1/τNとして定義され、そして第1の高調波周波数k=2が、f3=2/τNとして定義される。
呼吸が部分気道障害であるかどうか決定するために、特定周波数及び周波数のグループの相対的エネルギーが分析される。これを行なうために、エネルギースペクトルが計算され、
そして全エネルギーが1に等しくなるように正規化される。
【0047】
好ましい実施形態では、最初の13の高調波が分析のために考慮される。というのは、それより高い高調波における相対的電力はごく僅かだからである。分析される高調波は、ゼロから25Hzの周波数範囲である。正常な呼吸の吸気輪郭のエネルギー分布は、一般に、基本的周波数に関連したW2に位置する大半のエネルギーを有し、そして少量のエネルギーが高調波間に分布される。本発明は、フーリエ分析により発生されるエネルギースペクトルのこの特性を使用して、特定周波数又は周波数グループに位置する相対的エネルギーが、実験で観察されるスレッシュホールドより高い場合に、呼吸が部分気道障害と思われると仮定する。
【0048】
一般に、正常な呼吸の場合に、吸気に費やす時間の割合は40%であり、呼気は60%である。気道が部分的変形である患者1は、最大吸気流を達成できない。従って、患者1は、吸気に費やす時間を呼気に対して延長する。吸気に費やす時間は、部分気道障害の間には、全呼吸の50%以上に増加する。
【0049】
従って、部分気道障害検出アルゴリズムは、先ず、平均より大きい吸気に費やす全呼吸の部分である初期比Iinspを計算する(ステップ402)。バイアス流は既に除去されており(ステップ204、206)、従って、呼吸の平均は、ゼロ又はゼロに非常に近いものでなければならないことに注意されたい。次いで、アルゴリズムは、呼吸の吸気部分を決定し、2つの吸気段階を逆に結合したものより成る波形を構成する(ステップ404)。次いで、アルゴリズムは、逆に結合された波形の離散的エネルギースペクトルを周波数fの関数として計算する(ステップ406)。
W(f)=|FFT(波形)|2
【0050】
所定レベル、好ましくは、基本的周波数の13倍、より上の周波数(又は高調波)には、著しいエネルギーが含まれないと仮定する。それ故、エネルギースペクトルは、好ましい実施形態では、基本的周波数の13倍までしか含まれない(ステップ408)。次いで、アルゴリズムは、全エネルギーが1に等しくなるようにエネルギースペクトルを正規化する(ステップ410)。
正規化エネルギースペクトル=W(f)/ΣW(f)
【0051】
この計算は、たとえ各呼吸が別の呼吸と時間巾、一回呼吸気量及び最大流量が相違するとしても、全ての呼吸が同一に分析されるように行なわれる。
次いで、アルゴリズムは、異なる高調波周波数に対応するエネルギーを、情報保持値へとグループ分けする(ステップ412)。これらの情報保持値は、吸気に費やされる呼吸の割合に基づいて計算されたスレッシュホールド値と比較される(ステップ414)。情報保持値及びスレッシュホールド値は、実験で決定される。
【0052】
好ましい実施形態では、次のような4つの情報保持値、即ちWfirst、Wsecond、Wfreq、及びWhigh_freq、が使用される。
【0053】
従って、Wfirstは、第1高調波のエネルギーに対応し、Wsecondは、第2高調波のエネルギーに対応し、Wfreqは、最初の13個の高調波のエネルギーに対応し、そしてWhigh_freqは、5ないし13の高調波のエネルギーに対応する。他の情報保持値は、他の数学演算を使用して異なる高調波周波数に対応するエネルギーから得ることができる。
【0054】
好ましい実施形態では、2つのスレッシュホールドTfreq及びThigh_freqが使用される。これらの値は、吸気で費やす呼吸の割合Iinspの値(ステップ402で計算された)に基づいて変化し、実験で次のように決定されている。
【0055】
これらの実験で決定した値を使用して、アルゴリズムは、スレッシュホールドに対する情報保持和を計算する。Wsecondが0.1以上である場合には(ステップ416)、呼吸が部分気道障害である(ステップ418)。Wfirstが0.02以上であり、Wsecondが0.02以上であり且つWfreqが0.12以上である場合には(ステップ420)、呼吸が部分気道障害である(ステップ422)。Wfirst及びWsecondの和が0.06以上であり且つWfreqが0.12以上である場合には(ステップ424)、呼吸が部分気道障害である(ステップ426)。Wfirst及びWsecondの和が0.07以上であり且つWfreqが0.11以上である場合には(ステップ428)、呼吸が部分気道障害である(ステップ430)。WfreqがTfreq以上である場合には(ステップ432)、呼吸が部分気道障害である(ステップ434)。Whigh_freqがThigh_freq以上である場合には(ステップ436)、呼吸が部分気道障害である(ステップ438)。これらの比較がどれも真でない場合には、呼吸は正常である(ステップ440)。
【0056】
無呼吸検出アルゴリズム
無呼吸検出アルゴリズム(ステップ500)が図7に示されている。無呼吸(流れの停止)を検出するために、コントローラ9は、到来する流れデータ(マイナスバイアス流)を、以前のピーク吸気流で決定されたスレッシュホールドμ1と比較する。呼吸検出アルゴリズム(ステップ300)は、呼吸低下の一部ではなく、最大又はピーク吸気流を既に記憶している。無呼吸検出アルゴリズムは、最後の10回の呼吸のうちの最も古い5回の呼吸の平均ピーク吸気流の20%としてスレッシュホールドμ1を計算する(ステップ502)。次いで、アルゴリズムは、Tapnoeaを計算する(ステップ504)。
Tapnoea=1.7x(最後の50回の呼吸にわたって平均化された呼吸周期)
しかしながら、Tapnoeaは、10秒から15秒でなければならない。
【0057】
到来する流れがスレッシュホールドμ1未満である場合には、無呼吸が発生していることがある。この条件をTapnoeaより長い時間中満足する場合には(ステップ506)、無呼吸が発生しており(ステップ508)、さもなければ、無呼吸は発生していない(ステップ510)。無呼吸が発生している場合には、アルゴリズムは、流れがスレッシュホールドμ1より増加して、無呼吸が終了したことを指示するときを調べるべくチェックを行う(ステップ512)。
【0058】
呼吸低下検出アルゴリズム
呼吸低下(流れの減少)を検出するために、図8に示された呼吸低下検出アルゴリズム(ステップ600)は、記憶された呼吸を、以前のピーク吸気流で決定されたスレッシュホールドμ2と比較する(ステップ602)。無呼吸検出アルゴリズム(ステップ500)と同様に、スレッシュホールドμ2は、呼吸低下の部分を構成しない最後の10個のうちの最も古い5つの呼吸に対するピーク吸気流から計算される。このスレッシュホールド(μ2)は、最も古い5つの呼吸の平均ピーク吸気流の60%として得られる(ステップ602)。
【0059】
到来する流れが、12秒より長い時間周期中、スレッシュホールド(μ2)未満である場合には(ステップ604)、おそらく呼吸低下が生じており、さもなければ、呼吸低下が生じていない(ステップ606)。呼吸低下として分類されるべき事象については、流れがμ2未満になって以来30秒以内に、流れがμ2より大きくなるように、流れが増加しなければならない(ステップ608)。この流れの増加が検出された場合には、呼吸低下が発生しており(ステップ610)、さもなければ、事象は、呼吸低下ではない(ステップ612)。
【0060】
圧力調整アルゴリズム
無呼吸検出アルゴリズム(ステップ500)の間に無呼吸が検出された場合には、圧力調整アルゴリズム(ステップ700)がコールされる。又、呼吸低下検出アルゴリズム(ステップ600)の間に呼吸低下が検出され、且つ呼吸低下において部分気道障害呼吸がある場合(ステップ228)、或いは呼吸低下はないが、現在呼吸及び2つの以前の呼吸が部分気道障害である場合には(ステップ226、232、234)、圧力調整アルゴリズム(ステップ700)がコールされる。呼吸低下がなく、且つ現在呼吸が部分気道障害を示さず又は以前の2つの呼吸が部分気道障害を示さず、しかも、それが最後の部分気道障害以来2.5分続く場合には(ステップ226、232、234、224)、圧力調整アルゴリズムがコールされる。又、呼吸低下はあるが、部分気道障害呼吸を伴わず、且つそれが最後の部分気道障害事象又は無呼吸以来所定の周期、好ましくは、2.5分より長く続く場合には(ステップ226、228及び230)、圧力調整アルゴリズム(ステップ700)がコールされる。圧力調整アルゴリズムは、図9aないし図9dに示されている。
【0061】
圧力調整アルゴリズム(ステップ700)は、患者へ付与される治療圧力を制御するために、圧力を調整すべきかどうかそしてどれほど調整すべきか決定する。好ましい実施形態の最初のルールとして、このアルゴリズムは、無呼吸として分類される事象に対して、圧力を10cmH2Oの最大値に増加するだけである(ステップ702)。
【0062】
このアルゴリズムは、第1に、睡眠周期の開始以来、圧力低下があったかどうか決定するためのチェックを行う(ステップ704)。このような低下がなかった場合には、アルゴリズムは、何らかの種類の障害事象が検出されたかどうか、又、圧力が所定の最大値、好ましくは、10cmH2Oより低いかどうか決定する(ステップ706)。これら条件を満足すると、アルゴリズムは、障害事象が、部分気道障害、無呼吸、又は部分気道障害を伴う呼吸低下であるかどうか決定する(ステップ708)。部分的気道障害を伴う呼吸低下の事象では、コントローラ9が圧力を1cmH2Oだけ増加し(ステップ710)、そして別の圧力変化を許すまでに10秒待機する(ステップ712)。事象が無呼吸であった場合には、コントローラ9は、圧力を2cmH2Oだけ増加し(ステップ714)、そして別の圧力変化を許すまでに60秒待機する(ステップ716)。事象が部分気道障害であった場合には、コントローラ9は、圧力を1cmH2Oだけ増加し(ステップ718)、そして別の圧力変化を許すまでに10秒待機する(ステップ720)。
【0063】
睡眠周期の開始以来、以前の圧力低下があった場合(ステップ704)、又は障害事象が検出されそしてその圧力が10cmH2O未満であるという条件を満足しない場合には(ステップ706)、アルゴリズムは、6つの連続する圧力低下があったかどうか決定する。もしそうであれば、合計連続圧力低下カウンタ130がゼロにリセットされる(ステップ722)。
【0064】
次いで、アルゴリズムは、所定の時間周期、好ましくは、2.5分の間、正常な呼吸があったかどうか決定する(ステップ724)。もしそうであれば、コントローラ9は、圧力を0.5cmH2Oだけ低下する(又、圧力低下カウンタ130を1だけ増加する)。
【0065】
所定の時間周期中に正常な呼吸がなかった場合には(ステップ724)、部分気道障害、無呼吸、又は部分気道障害を伴う呼吸低下が発生している(ステップ728)。次のステップは、以前の圧力変化に依存する。以前の連続圧力変化が、合計1cmH2O以上の総和の増加であり、且つ現在圧力が10cmH2O未満である場合には(ステップ730)、アルゴリズムは、上述したように、ステップ708へ進む。そうでなければ、コントローラ9は、図9b、9c及び9dに示すように、障害事象の性質に基づく量及び以前の圧力低下の量だけ圧力を増加するように進む。
【0066】
以前の合計圧力低下が1cmH2Oより大きい場合には(ステップ732)、アルゴリズムは、障害事象が、部分気道障害、無呼吸、又は部分気道障害を伴う呼吸低下であるかどうか決定する(ステップ734)。部分気道障害を伴う呼吸低下の場合には、コントローラ9は、圧力を1cmH2Oだけ増加し(ステップ736)、そして別の圧力変化を許すまで10秒待機する(ステップ738)。事象が無呼吸であった場合には、コントローラ9は、圧力を2cmH2Oだけ増加し(ステップ740)、そして別の圧力変化を許すまで60秒待機する(ステップ742)。事象が部分気道障害であった場合には、コントローラ9は、圧力を0.5cmH2Oだけ増加し(ステップ744)、そして別の圧力変化を許すまで10秒待機する(ステップ746)。
【0067】
以前の圧力低下が1cmH2Oより大きいが、1.5cmH2O以下である場合には(ステップ748)、アルゴリズムは、障害事象が、部分気道障害、無呼吸、又は部分気道障害を伴う呼吸低下であるかどうか決定する(ステップ750)。部分気道障害を伴う呼吸低下の場合には、コントローラ9は、圧力を1cmH2Oだけ増加し(ステップ752)、そして別の圧力変化を許すまで10秒待機する(ステップ754)。事象が無呼吸であった場合には、コントローラ9は、圧力を2cmH2Oだけ増加し(ステップ756)、そして別の圧力変化を許すまで60秒待機する(ステップ758)。事象が部分気道障害であった場合には、コントローラ9は、圧力を0.5cmH2Oだけ増加し(ステップ760)、そして別の圧力変化を許すまで10秒待機する(ステップ762)。
【0068】
以前の圧力低下が1.5cmH2Oより大きいが、2cmH2O以下である場合には(ステップ764)(図9c)、アルゴリズムは、障害事象が、部分気道障害、無呼吸、又は部分気道障害を伴う呼吸低下であるかどうか決定する(ステップ766)。部分気道障害を伴う呼吸低下の場合には、コントローラ9は、圧力を1.5cmH2Oだけ増加し(ステップ768)、そして別の圧力変化を許すまで10秒待機する(ステップ770)。事象が無呼吸であった場合には、コントローラ9は、圧力を2cmH2Oだけ増加し(ステップ772)、そして別の圧力変化を許すまで60秒待機する(ステップ774)。事象が部分気道障害であった場合には、コントローラ9は、圧力を1cmH2Oだけ増加し(ステップ776)、そして別の圧力変化を許すまで10秒待機する(ステップ778)。
【0069】
以前の圧力低下が2cmH2Oより大きいが、3.5cmH2O以下である場合には(ステップ780)、アルゴリズムは、障害事象が、部分気道障害、無呼吸、又は部分気道障害を伴う呼吸低下であるかどうか決定する(ステップ782)。部分気道障害を伴う呼吸低下の場合には、コントローラ9は、圧力を1.5cmH2Oだけ増加し(ステップ784)、そして別の圧力変化を許すまで10秒待機する(ステップ754)。事象が無呼吸であった場合には、コントローラ9は、圧力を2cmH2Oだけ増加し(ステップ788)、そして別の圧力変化を許すまで60秒待機する(ステップ790)。事象が部分気道障害であった場合には、コントローラ9は、圧力を1.5cmH2Oだけ増加し(ステップ792)、そして別の圧力変化を許すまで10秒待機する(ステップ794)。
【0070】
以前の圧力低下が3.5cmH2Oより大きい場合には(ステップ796)、アルゴリズムは、障害事象が、部分気道障害、無呼吸、又は部分気道障害を伴う呼吸低下であるかどうか決定する(ステップ798)。部分気道障害を伴う呼吸低下の場合には、コントローラ9は、圧力を全圧力低下の半分だけ増加し(ステップ800)、そして別の圧力変化を許すまで10秒待機する(ステップ802)。事象が無呼吸であった場合には、コントローラ9は、圧力を全圧力低下の半分だけ増加し(ステップ804)、そして別の圧力変化を許すまで60秒待機する(ステップ806)。事象が部分気道障害であった場合には、コントローラ9は、圧力を全圧力低下の半分だけ増加し(ステップ808)、そして別の圧力変化を許すまで10秒待機する(ステップ810)。
【0071】
本発明の好ましい実施形態を図示して説明したが、当業者であれば、本発明の精神及び範囲から逸脱せずに、本発明の種々の変形を案出することができよう。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】正常な呼吸と、部分気道障害により特徴付けられる呼吸とに対するエネルギー対周波数の周波数ドメインにおけるプロットである。
【図2】正常な呼吸と、部分気道障害により特徴付けられる呼吸とに対するエネルギー対周波数の周波数ドメインにおけるプロットである。
【図3】本発明の好ましい実施形態のPAP装置を例示する図である。
【図4A】本発明の好ましい実施形態の方法のメインアルゴリズムを示すブロック図であって、5つのアルゴリズムの相互作用を示す図である。
【図4B】本発明の好ましい実施形態の方法のメインアルゴリズムを示すブロック図であって、5つのアルゴリズムの相互作用を示す図である。
【図5A】本発明の好ましい実施形態の呼吸検出アルゴリズムのブロック図である。
【図5B】本発明の好ましい実施形態の呼吸検出アルゴリズムのブロック図である。
【図6A】本発明の好ましい実施形態の部分気道障害アルゴリズムを示すブロック図である。
【図6B】本発明の好ましい実施形態の部分気道障害アルゴリズムを示すブロック図である。
【図7】本発明の好ましい実施形態の無呼吸検出アルゴリズムのブロック図である。
【図8】本発明の好ましい実施形態の呼吸低下検出アルゴリズムのブロック図である。
【図9a−1】本発明の好ましい実施形態の圧力調整アルゴリズムを示すブロック図である。
【図9a−2】本発明の好ましい実施形態の圧力調整アルゴリズムを示すブロック図である。
【図9b−1】本発明の好ましい実施形態の圧力調整アルゴリズムを示すブロック図である。
【図9b−2】本発明の好ましい実施形態の圧力調整アルゴリズムを示すブロック図である。
【図9c−1】本発明の好ましい実施形態の圧力調整アルゴリズムを示すブロック図である。
【図9c−2】本発明の好ましい実施形態の圧力調整アルゴリズムを示すブロック図である。
【図9d】本発明の好ましい実施形態の圧力調整アルゴリズムのブロック図である。
【図10】Tstart及びMfを示す空気流対時間のグラフである。
【図11】Tend、t1、t2及びMt1-t2を示す空気流対時間のグラフである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
PAP療法を制御する方法において、
ある圧力で患者の気道にガスの流れを供給するステップと、
前記流れの周波数ドメインにおけるゼロないし25Hzの周波数範囲からの情報を得るステップと、
前記情報に基づいて前記圧力を調整するステップと、
を備えた方法。
【請求項2】
前記情報は、前記周波数ドメイン情報から発生される少なくとも1つの情報保持値を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記調整ステップは、更に、前記少なくとも1つの情報保持値をスレッシュホールドと比較することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記調整ステップは、更に、前記少なくとも1つの情報保持値を複数のスレッシュホールドの1つと比較することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
患者の呼吸の周期を計算し且つ前記周期の吸気部分を計算するステップを更に備え、前記調整ステップは、前記少なくとも1つの情報保持値を複数のスレッシュホールドの1つと比較することを含み、更に、複数のスレッシュホールドの前記1つは、前記吸気部分と前記周期との比に基づいて選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記情報は、離散的エネルギースペクトルを含み、そして前記情報保持値は、少なくとも、前記離散的エネルギースペクトルの第1高調波におけるエネルギー、及び前記離散的エネルギースペクトルの第2高調波におけるエネルギーを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記調整ステップは、更に、前記少なくとも1つの情報保持値をスレッシュホールドと比較することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記調整ステップは、更に、前記少なくとも1つの情報保持値を複数のスレッシュホールドの1つと比較することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
患者の呼吸の周期を計算し且つ前記周期の吸気部分を計算するステップを更に備え、前記調整ステップは、前記少なくとも1つの情報保持値を複数のスレッシュホールドの1つと比較することを含み、更に、複数のスレッシュホールドの前記1つは、前記吸気部分と前記周期との比に基づいて選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記情報は、離散的エネルギースペクトルを含み、前記少なくとも1つの情報保持値は、前記離散的エネルギースペクトルの第1高調波のエネルギーと、前記離散的エネルギースペクトルの第2高調波のエネルギーと、前記離散的エネルギースペクトルの前記第1高調波ないし第13高調波のエネルギーの和と、前記離散的エネルギースペクトルの第5高調波ないし前記第13高調波のエネルギーの和とを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項11】
前記調整ステップは、更に、前記少なくとも1つの情報保持値をスレッシュホールドと比較することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記調整ステップは、更に、前記少なくとも1つの情報保持値を複数のスレッシュホールドの1つと比較することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
患者の呼吸の周期を計算し且つ前記周期の吸気部分を計算するステップを更に備え、前記調整ステップは、前記少なくとも1つの情報保持値を複数のスレッシュホールドの1つと比較することを含み、更に、複数のスレッシュホールドの前記1つは、前記吸気部分と前記周期との比に基づいて選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つの情報保持値は複数の情報保持値で構成される、請求項2に記載の方法。
【請求項15】
前記調整ステップは、更に、前記複数の情報保持値の各々をスレッシュホールドと比較することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記調整ステップは、更に、前記複数の情報保持値の各々を複数のスレッシュホールドの1つと比較することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
患者の呼吸の周期を計算し且つ前記周期の吸気部分を計算するステップを更に備え、前記調整ステップは、前記複数の情報保持値の各々を複数のスレッシュホールドの1つと比較することを含み、更に、複数のスレッシュホールドの前記1つは、前記吸気部分と前記周期との比に基づいて選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記情報は、離散的エネルギースペクトルを含み、そして前記複数の情報保持値は、少なくとも、前記離散的エネルギースペクトルの第1高調波におけるエネルギー、及び前記離散的エネルギースペクトルの第2高調波におけるエネルギーを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記調整ステップは、更に、前記複数の情報保持値の各々をスレッシュホールドと比較することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記調整ステップは、更に、前記複数の情報保持値の各々を複数のスレッシュホールドの1つと比較することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
患者の呼吸の周期を計算し且つ前記周期の吸気部分を計算するステップを更に備え、前記調整ステップは、前記複数の情報保持値の各々を複数のスレッシュホールドの1つと比較することを含み、更に、複数のスレッシュホールドの前記1つは、前記吸気部分と前記周期との比に基づいて選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記情報は、離散的エネルギースペクトルを含み、前記複数の情報保持値は、前記離散的エネルギースペクトルの第1高調波のエネルギーと、前記離散的エネルギースペクトルの第2高調波のエネルギーと、前記離散的エネルギースペクトルの前記第1高調波ないし第13高調波のエネルギーの和と、前記離散的エネルギースペクトルの第5高調波ないし前記第13高調波のエネルギーの和とを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項23】
前記調整ステップは、更に、前記複数の情報保持値の各々をスレッシュホールドと比較することを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記調整ステップは、更に、前記複数の情報保持値の各々を複数のスレッシュホールドの1つと比較することを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
患者の呼吸の周期を計算し且つ前記周期の吸気部分を計算するステップを更に備え、前記調整ステップは、前記複数の情報保持値の各々を複数のスレッシュホールドの1つと比較することを含み、更に、複数のスレッシュホールドの前記1つは、前記吸気部分と前記周期との比に基づいて選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
PAP療法を制御する装置において、
ある圧力で患者にガスの流れを供給するための送風機と、
前記流れの特性を測定するためのセンサと、
前記特性の周波数ドメインにおけるゼロないし25Hzの周波数範囲からの情報を得るためのコントローラと、
前記情報に基づいて前記圧力を調整するように前記コントローラにより制御される圧力レギュレータと、
を備えた装置。
【請求項27】
前記情報は、前記周波数ドメイン情報から発生される少なくとも1つの情報保持値を含む、請求項26に記載の装置。
【請求項28】
前記コントローラは、更に、前記少なくとも1つの情報保持値をスレッシュホールドと比較する、請求項27に記載の装置。
【請求項29】
前記コントローラは、更に、前記少なくとも1つの情報保持値を複数のスレッシュホールドの1つと比較する、請求項27に記載の装置。
【請求項30】
前記コントローラは、更に、患者の呼吸の周期及び該周期の吸気部分を計算し、そして前記少なくとも1つの情報保持値を複数のスレッシュホールドの1つと比較し、複数のスレッシュホールドの前記1つは、前記吸気部分と前記周期との比に基づいて選択される、請求項27に記載の装置。
【請求項31】
前記情報は、離散的エネルギースペクトルを含み、前記少なくとも1つの情報保持値は、少なくとも、前記離散的エネルギースペクトルの第1高調波におけるエネルギー及び前記離散的エネルギースペクトルの第2高調波におけるエネルギーを含む、請求項26に記載の装置。
【請求項32】
前記コントローラは、更に、前記少なくとも1つの情報保持値をスレッシュホールドと比較する、請求項31に記載の装置。
【請求項33】
前記コントローラは、更に、前記少なくとも1つの情報保持値を複数のスレッシュホールドの1つと比較する、請求項31に記載の装置。
【請求項34】
前記コントローラは、更に、患者の呼吸の周期及び該周期の吸気部分を計算し、そして前記少なくとも1つの情報保持値を複数のスレッシュホールドの1つと比較し、複数のスレッシュホールドの前記1つは、前記吸気部分と前記周期との比に基づいて選択される、請求項31に記載の装置。
【請求項35】
前記情報は、離散的エネルギースペクトルを含み、前記少なくとも1つの情報保持値は、前記離散的エネルギースペクトルの第1高調波のエネルギーと、前記離散的エネルギースペクトルの第2高調波のエネルギーと、前記離散的エネルギースペクトルの前記第1高調波ないし第13高調波のエネルギーの和と、前記離散的エネルギースペクトルの第5高調波ないし前記第13高調波のエネルギーの和とを含む、請求項26に記載の装置。
【請求項36】
前記コントローラは、更に、前記少なくとも1つの情報保持値をスレッシュホールドと比較する、請求項35に記載の装置。
【請求項37】
前記コントローラは、更に、前記少なくとも1つの情報保持値を複数のスレッシュホールドの1つと比較する、請求項35に記載の装置。
【請求項38】
前記コントローラは、更に、患者の呼吸の周期及び該周期の吸気部分を計算し、そして前記少なくとも1つの情報保持値を複数のスレッシュホールドの1つと比較し、複数のスレッシュホールドの前記1つは、前記吸気部分と前記周期との比に基づいて選択される、請求項35に記載の装置。
【請求項39】
前記少なくとも1つの情報保持値は、複数の情報保持値で構成される、請求項26に記載の装置。
【請求項40】
前記コントローラは、更に、前記複数の情報保持値の各々をスレッシュホールドと比較する、請求項39に記載の装置。
【請求項41】
前記コントローラは、更に、前記複数の情報保持値を複数のスレッシュホールドの1つと比較する、請求項39に記載の装置。
【請求項42】
前記コントローラは、更に、患者の呼吸の周期及び該周期の吸気部分を計算し、そして前記複数の情報保持値を複数のスレッシュホールドの1つと比較し、複数のスレッシュホールドの前記1つは、前記吸気部分と前記周期との比に基づいて選択される、請求項39に記載の装置。
【請求項43】
前記情報は、離散的エネルギースペクトルを含み、前記複数の情報保持値は、少なくとも、前記離散的エネルギースペクトルの第1高調波におけるエネルギー及び前記離散的エネルギースペクトルの第2高調波におけるエネルギーを含む、請求項39に記載の装置。
【請求項44】
前記コントローラは、更に、前記複数の情報保持値の各々をスレッシュホールドと比較する、請求項43に記載の装置。
【請求項45】
前記コントローラは、更に、前記複数の情報保持値の各々を複数のスレッシュホールドの1つと比較する、請求項43に記載の装置。
【請求項46】
前記コントローラは、更に、患者の呼吸の周期及び該周期の吸気部分を計算し、そして前記複数の情報保持値の各々を複数のスレッシュホールドの1つと比較し、複数のスレッシュホールドの前記1つは、前記吸気部分と前記周期との比に基づいて選択される、請求項43に記載の装置。
【請求項47】
前記情報は、離散的エネルギースペクトルを含み、前記複数の情報保持値は、前記離散的エネルギースペクトルの第1高調波のエネルギーと、前記離散的エネルギースペクトルの第2高調波のエネルギーと、前記離散的エネルギースペクトルの前記第1高調波ないし第13高調波のエネルギーの和と、前記離散的エネルギースペクトルの第5高調波ないし前記第13高調波のエネルギーの和とを含む、請求項39に記載の装置。
【請求項48】
前記コントローラは、更に、前記複数の情報保持値の各々をスレッシュホールドと比較する、請求項47に記載の装置。
【請求項49】
前記コントローラは、更に、前記複数の情報保持値の各々を複数のスレッシュホールドの1つと比較する、請求項47に記載の装置。
【請求項50】
前記コントローラは、更に、患者の呼吸の周期及び該周期の吸気部分を計算し、そして前記複数の情報保持値の各々を複数のスレッシュホールドの1つと比較し、複数のスレッシュホールドの前記1つは、前記吸気部分と前記周期との比に基づいて選択される、請求項47に記載の装置。
【請求項51】
添付図面を参照して説明したPAP療法を制御する方法。
【請求項52】
添付図面を参照して説明したPAP療法を制御する装置。
【請求項1】
PAP療法を制御する方法において、
ある圧力で患者の気道にガスの流れを供給するステップと、
前記流れの周波数ドメインにおけるゼロないし25Hzの周波数範囲からの情報を得るステップと、
前記情報に基づいて前記圧力を調整するステップと、
を備えた方法。
【請求項2】
前記情報は、前記周波数ドメイン情報から発生される少なくとも1つの情報保持値を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記調整ステップは、更に、前記少なくとも1つの情報保持値をスレッシュホールドと比較することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記調整ステップは、更に、前記少なくとも1つの情報保持値を複数のスレッシュホールドの1つと比較することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
患者の呼吸の周期を計算し且つ前記周期の吸気部分を計算するステップを更に備え、前記調整ステップは、前記少なくとも1つの情報保持値を複数のスレッシュホールドの1つと比較することを含み、更に、複数のスレッシュホールドの前記1つは、前記吸気部分と前記周期との比に基づいて選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記情報は、離散的エネルギースペクトルを含み、そして前記情報保持値は、少なくとも、前記離散的エネルギースペクトルの第1高調波におけるエネルギー、及び前記離散的エネルギースペクトルの第2高調波におけるエネルギーを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記調整ステップは、更に、前記少なくとも1つの情報保持値をスレッシュホールドと比較することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記調整ステップは、更に、前記少なくとも1つの情報保持値を複数のスレッシュホールドの1つと比較することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
患者の呼吸の周期を計算し且つ前記周期の吸気部分を計算するステップを更に備え、前記調整ステップは、前記少なくとも1つの情報保持値を複数のスレッシュホールドの1つと比較することを含み、更に、複数のスレッシュホールドの前記1つは、前記吸気部分と前記周期との比に基づいて選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記情報は、離散的エネルギースペクトルを含み、前記少なくとも1つの情報保持値は、前記離散的エネルギースペクトルの第1高調波のエネルギーと、前記離散的エネルギースペクトルの第2高調波のエネルギーと、前記離散的エネルギースペクトルの前記第1高調波ないし第13高調波のエネルギーの和と、前記離散的エネルギースペクトルの第5高調波ないし前記第13高調波のエネルギーの和とを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項11】
前記調整ステップは、更に、前記少なくとも1つの情報保持値をスレッシュホールドと比較することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記調整ステップは、更に、前記少なくとも1つの情報保持値を複数のスレッシュホールドの1つと比較することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
患者の呼吸の周期を計算し且つ前記周期の吸気部分を計算するステップを更に備え、前記調整ステップは、前記少なくとも1つの情報保持値を複数のスレッシュホールドの1つと比較することを含み、更に、複数のスレッシュホールドの前記1つは、前記吸気部分と前記周期との比に基づいて選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つの情報保持値は複数の情報保持値で構成される、請求項2に記載の方法。
【請求項15】
前記調整ステップは、更に、前記複数の情報保持値の各々をスレッシュホールドと比較することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記調整ステップは、更に、前記複数の情報保持値の各々を複数のスレッシュホールドの1つと比較することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
患者の呼吸の周期を計算し且つ前記周期の吸気部分を計算するステップを更に備え、前記調整ステップは、前記複数の情報保持値の各々を複数のスレッシュホールドの1つと比較することを含み、更に、複数のスレッシュホールドの前記1つは、前記吸気部分と前記周期との比に基づいて選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記情報は、離散的エネルギースペクトルを含み、そして前記複数の情報保持値は、少なくとも、前記離散的エネルギースペクトルの第1高調波におけるエネルギー、及び前記離散的エネルギースペクトルの第2高調波におけるエネルギーを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記調整ステップは、更に、前記複数の情報保持値の各々をスレッシュホールドと比較することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記調整ステップは、更に、前記複数の情報保持値の各々を複数のスレッシュホールドの1つと比較することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
患者の呼吸の周期を計算し且つ前記周期の吸気部分を計算するステップを更に備え、前記調整ステップは、前記複数の情報保持値の各々を複数のスレッシュホールドの1つと比較することを含み、更に、複数のスレッシュホールドの前記1つは、前記吸気部分と前記周期との比に基づいて選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記情報は、離散的エネルギースペクトルを含み、前記複数の情報保持値は、前記離散的エネルギースペクトルの第1高調波のエネルギーと、前記離散的エネルギースペクトルの第2高調波のエネルギーと、前記離散的エネルギースペクトルの前記第1高調波ないし第13高調波のエネルギーの和と、前記離散的エネルギースペクトルの第5高調波ないし前記第13高調波のエネルギーの和とを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項23】
前記調整ステップは、更に、前記複数の情報保持値の各々をスレッシュホールドと比較することを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記調整ステップは、更に、前記複数の情報保持値の各々を複数のスレッシュホールドの1つと比較することを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
患者の呼吸の周期を計算し且つ前記周期の吸気部分を計算するステップを更に備え、前記調整ステップは、前記複数の情報保持値の各々を複数のスレッシュホールドの1つと比較することを含み、更に、複数のスレッシュホールドの前記1つは、前記吸気部分と前記周期との比に基づいて選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
PAP療法を制御する装置において、
ある圧力で患者にガスの流れを供給するための送風機と、
前記流れの特性を測定するためのセンサと、
前記特性の周波数ドメインにおけるゼロないし25Hzの周波数範囲からの情報を得るためのコントローラと、
前記情報に基づいて前記圧力を調整するように前記コントローラにより制御される圧力レギュレータと、
を備えた装置。
【請求項27】
前記情報は、前記周波数ドメイン情報から発生される少なくとも1つの情報保持値を含む、請求項26に記載の装置。
【請求項28】
前記コントローラは、更に、前記少なくとも1つの情報保持値をスレッシュホールドと比較する、請求項27に記載の装置。
【請求項29】
前記コントローラは、更に、前記少なくとも1つの情報保持値を複数のスレッシュホールドの1つと比較する、請求項27に記載の装置。
【請求項30】
前記コントローラは、更に、患者の呼吸の周期及び該周期の吸気部分を計算し、そして前記少なくとも1つの情報保持値を複数のスレッシュホールドの1つと比較し、複数のスレッシュホールドの前記1つは、前記吸気部分と前記周期との比に基づいて選択される、請求項27に記載の装置。
【請求項31】
前記情報は、離散的エネルギースペクトルを含み、前記少なくとも1つの情報保持値は、少なくとも、前記離散的エネルギースペクトルの第1高調波におけるエネルギー及び前記離散的エネルギースペクトルの第2高調波におけるエネルギーを含む、請求項26に記載の装置。
【請求項32】
前記コントローラは、更に、前記少なくとも1つの情報保持値をスレッシュホールドと比較する、請求項31に記載の装置。
【請求項33】
前記コントローラは、更に、前記少なくとも1つの情報保持値を複数のスレッシュホールドの1つと比較する、請求項31に記載の装置。
【請求項34】
前記コントローラは、更に、患者の呼吸の周期及び該周期の吸気部分を計算し、そして前記少なくとも1つの情報保持値を複数のスレッシュホールドの1つと比較し、複数のスレッシュホールドの前記1つは、前記吸気部分と前記周期との比に基づいて選択される、請求項31に記載の装置。
【請求項35】
前記情報は、離散的エネルギースペクトルを含み、前記少なくとも1つの情報保持値は、前記離散的エネルギースペクトルの第1高調波のエネルギーと、前記離散的エネルギースペクトルの第2高調波のエネルギーと、前記離散的エネルギースペクトルの前記第1高調波ないし第13高調波のエネルギーの和と、前記離散的エネルギースペクトルの第5高調波ないし前記第13高調波のエネルギーの和とを含む、請求項26に記載の装置。
【請求項36】
前記コントローラは、更に、前記少なくとも1つの情報保持値をスレッシュホールドと比較する、請求項35に記載の装置。
【請求項37】
前記コントローラは、更に、前記少なくとも1つの情報保持値を複数のスレッシュホールドの1つと比較する、請求項35に記載の装置。
【請求項38】
前記コントローラは、更に、患者の呼吸の周期及び該周期の吸気部分を計算し、そして前記少なくとも1つの情報保持値を複数のスレッシュホールドの1つと比較し、複数のスレッシュホールドの前記1つは、前記吸気部分と前記周期との比に基づいて選択される、請求項35に記載の装置。
【請求項39】
前記少なくとも1つの情報保持値は、複数の情報保持値で構成される、請求項26に記載の装置。
【請求項40】
前記コントローラは、更に、前記複数の情報保持値の各々をスレッシュホールドと比較する、請求項39に記載の装置。
【請求項41】
前記コントローラは、更に、前記複数の情報保持値を複数のスレッシュホールドの1つと比較する、請求項39に記載の装置。
【請求項42】
前記コントローラは、更に、患者の呼吸の周期及び該周期の吸気部分を計算し、そして前記複数の情報保持値を複数のスレッシュホールドの1つと比較し、複数のスレッシュホールドの前記1つは、前記吸気部分と前記周期との比に基づいて選択される、請求項39に記載の装置。
【請求項43】
前記情報は、離散的エネルギースペクトルを含み、前記複数の情報保持値は、少なくとも、前記離散的エネルギースペクトルの第1高調波におけるエネルギー及び前記離散的エネルギースペクトルの第2高調波におけるエネルギーを含む、請求項39に記載の装置。
【請求項44】
前記コントローラは、更に、前記複数の情報保持値の各々をスレッシュホールドと比較する、請求項43に記載の装置。
【請求項45】
前記コントローラは、更に、前記複数の情報保持値の各々を複数のスレッシュホールドの1つと比較する、請求項43に記載の装置。
【請求項46】
前記コントローラは、更に、患者の呼吸の周期及び該周期の吸気部分を計算し、そして前記複数の情報保持値の各々を複数のスレッシュホールドの1つと比較し、複数のスレッシュホールドの前記1つは、前記吸気部分と前記周期との比に基づいて選択される、請求項43に記載の装置。
【請求項47】
前記情報は、離散的エネルギースペクトルを含み、前記複数の情報保持値は、前記離散的エネルギースペクトルの第1高調波のエネルギーと、前記離散的エネルギースペクトルの第2高調波のエネルギーと、前記離散的エネルギースペクトルの前記第1高調波ないし第13高調波のエネルギーの和と、前記離散的エネルギースペクトルの第5高調波ないし前記第13高調波のエネルギーの和とを含む、請求項39に記載の装置。
【請求項48】
前記コントローラは、更に、前記複数の情報保持値の各々をスレッシュホールドと比較する、請求項47に記載の装置。
【請求項49】
前記コントローラは、更に、前記複数の情報保持値の各々を複数のスレッシュホールドの1つと比較する、請求項47に記載の装置。
【請求項50】
前記コントローラは、更に、患者の呼吸の周期及び該周期の吸気部分を計算し、そして前記複数の情報保持値の各々を複数のスレッシュホールドの1つと比較し、複数のスレッシュホールドの前記1つは、前記吸気部分と前記周期との比に基づいて選択される、請求項47に記載の装置。
【請求項51】
添付図面を参照して説明したPAP療法を制御する方法。
【請求項52】
添付図面を参照して説明したPAP療法を制御する装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9a−1】
【図9a−2】
【図9b−1】
【図9b−2】
【図9c−1】
【図9c−2】
【図9d】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9a−1】
【図9a−2】
【図9b−1】
【図9b−2】
【図9c−1】
【図9c−2】
【図9d】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2008−508929(P2008−508929A)
【公表日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−524760(P2007−524760)
【出願日】平成17年8月6日(2005.8.6)
【国際出願番号】PCT/NZ2005/000196
【国際公開番号】WO2006/014114
【国際公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(504298349)フィッシャー アンド ペイケル ヘルスケア リミテッド (41)
【公表日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年8月6日(2005.8.6)
【国際出願番号】PCT/NZ2005/000196
【国際公開番号】WO2006/014114
【国際公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(504298349)フィッシャー アンド ペイケル ヘルスケア リミテッド (41)
[ Back to top ]