説明

自動販売機における展示用ダミー容器

【課題】自動販売機の少なくとも二つ以上の連続的に配置された購入ボタンに跨って配置し得るように一体的に構成される高い販売促進効果を期待し得るダミー容器を提供せんとするものである。
【解決手段】本発明のダミー容器(2)は、販売対象であるボトルのデザインを模した、自動販売機の少なくとも二つ以上の連続的に配置された購入ボタンを跨ぐ幅を有する模容器形態部(3)と、これを取付台板(1)に固定して直立させるための2つの取付部材(5a)(5b)からなる取付手段(4)とから構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動販売機内に設置されるボトル形状を模した展示用或いは販売促進用のダミー容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より広く普及している自動販売機の見本表示部に配置されるダミー容器には、一般的に、例えば特開2004−152019号公報に開示されているように、全体形状が略円筒形でその底面が円形の所謂フルボトルと呼ばれるタイプのものと、特開2001−319269号公報に開示されているように、ボトルを縦半分に切断した形状で底面が略半円形のハーフボトルと呼ばれるタイプのものとがある。それら何れのタイプのダミー容器も、普通は自動販売機の見本表示部の取付台板に、その底面を取り付けて配置される構造を有する取付手段を備え、ボトル1本分の表示を行うために、1つの取付手段に対してフルボトルタイプ若しくはハーフボトルタイプのダミー容器1本が対応するように構成されている。
【0003】
ところで、1台の自動販売機には、互いに種類の異なるボトルの販売ができるように、多品種の装填及びそれらに対応したダミー容器の展示がなされる他、同種のボトルを隣接させて展示して販売するということがなされる。これは特に、その自動販売機における人気筋のものについて採られる販売方法であるが、先に述べた通り、従来のダミー容器では1本のボトルに対して、1本分のダミー容器が1つ対応するように構成されているため、同種の二本以上の隣接配置されたボトルの展示は、該ボトルの隣接配置本数分だけ、見本展示部に該ボトル用のダミー容器を設置する必要があり、ボトルと該ボトルの購入ボタンと該ボトルのダミー容器とが一対一対応をとり単純明快であるものの、効果的な販売促進効果を得ることが期待できないという問題があった。
【0004】
これは、ダミー容器の従来的役割が、販売ボトルと該ボトルの購入ボタンとの対応を示すことであるということに起因しているのであり、またこのようなダミー容器の役割は、販売ボトル用のダミー容器を前記購入ボタンの配置に対応させて展示することで果たされる。従って、この意味におけるダミー容器或いはその展示には、積極的な意味合いとしての販売促進的役割を有しておらず、効果的な販売促進効果を得ることが期待できないのである。
【0005】
また従来のように、一本の販売ボトルに対してダミー容器が1対1に対応しているものを、1種類の販売ボトルについて連続的に複数本並べる場合には、それに対応する個々のダミー容器は互いに同じものでなければならない。もし多少なりとも互いに異なるダミー容器を並設すると、それらは互いに異なる販売ボトルかの錯覚を与え混乱を来す。よって、同種の販売ボトルを複数の購入ボタンによって販売する場合には、それに対応するボタン位置には互いに同等のダミー容器を展示する必要がある。従って、この場合における自動販売機の展示部においては、何等特別の販売促進効果は期待できず、単に同じダミー容器が並んでいるに過ぎないのである。
【0006】
【特許文献1】特開2004−152019号公報
【特許文献2】特開2001−319269号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明は、自動販売機の少なくとも二つ以上の連続的に配置された購入ボタンに跨って配置し得るように一体的に構成される高い販売促進効果を期待し得るダミー容器を提供せんとするものである。
また、この発明は、同種の販売ボトルを複数の互いに隣接する購入ボタンによって販売する場合において、購入ボタンが、互いに異なる販売ボトル用であるかの錯覚を、購入者に与えて混乱することがなく、自動販売機の表示部をわかり易くすることができる模容器形態部を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の観点におけるダミー容器は、自動販売機の少なくとも二つ以上の連続的に配置された購入ボタンを跨ぐ幅を存して配置される、取付台板に設けられる取付孔に対して着脱自在に取り付けるための少なくとも二つの取付部を含んでなる取付手段を有し、この取付手段に着脱自在に装着されて保持される、販売対象であるボトルを模した模容器形態部を備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の第2の観点におけるダミー容器は、自動販売機の少なくとも二つ以上の連続的に配置された購入ボタンを跨ぐ幅を有する、販売対象であるボトルを模した模容器形態部と、この模容器形態部を取付台板に設けられた取付孔に取り付けて直立保持するための少なくとも1つの取付部を含んでなる取付手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
本発明の実施の形態においては、模容器形態部が、販売対象ボトルを模した複数のボトルを適当に配列した様相を有する形態である。
また、本発明の実施の形態においては、取付手段が、取付台板の天板に対してほぼ並行をなす形態に形成され、模容器形態部の下端近傍を保持することによって該模容器形態部を直立させるように構成される。
更に、本発明の実施の形態においては、取付手段が、取付台板の天板に対してほぼ垂直をなす形態に形成され、模容器形態部を高さ方向全体に渡って保持することによって該模容器形態部を支持しつつ直立させるように構成される。
【0011】
更に、本発明の実施の形態においては、取付手段が、模容器形態部の下部に形成された半円形の溝部と、該溝部の両端に位置する係合張出片とからなり、溝部を取付台部の取付け円孔の内周縁に係入し、係合張出片を該円孔の内周縁に係合して、模容器形態部を取付台板に直立して保持するようにされている。
また、本発明の第1の観点における模容器形態部においては、自動販売機の見本表示部に配置される模容器形態部であって、1種類の販売対象ボトルのデザインを模したダミー容器体を有し、このダミー容器体が、少なくとも2つの連続的に配置された購入ボタンを跨ぐように配置されている。本発明の摸容器形態部によれば、同種の販売ボトルを複数の互いに隣接する購入ボタンによって販売する場合において、購入ボタンが、互いに異なる販売ボトル用であるかの錯覚を、購入者に与えて混乱することがなく、自動販売機の表示部をわかり易くすることができる。
【0012】
更に、本発明の第2の観点における模容器形態部においては、自動販売機の見本表示部に配置される模容器形態部であって、1種類の複数本の販売対象ボトルを模したダミー容器体を有し、且つ、少なくとも2つの連続的に配置された購入ボタンを跨ぐように配置された幅を有する。本発明の摸容器形態部によれば、同種の販売ボトルを複数の互いに隣接する購入ボタンによって販売する場合において、購入ボタンが、互いに異なる販売ボトル用であるかの錯覚を、購入者に与えて混乱することがなく、自動販売機の表示部をわかり易くすることができる。
本発明の実施の形態においては、ダミー容器体は、中央最前面に位置する1種類の販売ボトルのデザインを模したダミー容器体と、中央最前面のダミー容器体よりも後部位置に、中央最前面のダミー容器体より小さめのダミー容器体が左右方向に広がって配置されている。これによれば、ダミー容器体が、全体として前面に立体的に飛び出したような形態をなし、立体的な配置となっており、視覚的なアピール性が高まり、自動販売機の表示部を更にわかり易くすることができる。
【0013】
また、本発明の実施の形態においては、更に、ダミー容器体が載置されて一体化された態様をなす、水平板状の底面を有する前方に突出した箱状の台座部を有する。これによれば、更に、視覚的なアピール性が高まり、自動販売機の表示部を更にわかり易くすることができる。
更に、本発明の第3の観点における、自動販売機の見本表示部に配置される取付台板に取付けるダミー容器にあっては、上記に記載の模容器形態部と、取付台板に固定して直立させるための少なくとも2つの取付部材を有する取付手段とを有し、取付部材は、互いに隣り合う購入ボタンのそれぞれの位置に対応して取付台板に形成された、それぞれの取付孔の位置に適合するように配置されている。従って、模容器形態部を、確実に、少なくとも2つの連続的に配置された購入ボタンを跨ぐように配置することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の摸容器形態部によれば、同種の販売ボトルを複数の互いに隣接する購入ボタンによって販売する場合において、購入ボタンが、互いに異なる販売ボトル用であるかの錯覚を、購入者に与えて混乱することがなく、自動販売機の表示部をわかり易くすることができる。
また、本発明によれば、連続した同種ボトル購入ボタンに対応する表示或いは展示用としてのダミー容器が、一体化された1つのダミー容器によって賄うことができ、設置や撤去、交換等にかかるコストの低減化をはかることができるという効果がある。
【0015】
また、従来のように一本の販売ボトルに対してダミー容器が1対1に対応しているものを、1種類の販売ボトルについて連続的に複数本並べることに比べ、同種で複数本の販売ボトルを一体化して表現することで、表現方法の自由度が高まり、より高い販売促進効果を発現し得るように構成することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
この発明の好ましい実施の形態を、以下に詳細に説明する。図1は、自動販売機の展示部に配置される取付台板(1)に、当該発明を適用したダミー容器(2)を装着した状態を示す斜視図であり、図2は図1に示すダミー容器(2)の取付台板(1)に装着する前の状態を模式的に示す背面からの斜視図である。図3は、図1に示すダミー容器(2)の模容器形態部(3)を一変形の取付手段(4)に対して装着する様子を示す図であり、図4は、図3に示すダミー容器(2)の装着状態を示す斜視図である。
【0017】
図1及び図2に示すように、本発明のダミー容器(2)は、販売対象であるボトルのデザインを模した、自動販売機の少なくとも二つ以上の連続的に配置された購入ボタンを跨ぐ幅を有する模容器形態部(3)と、これを取付台板(1)に固定して直立させるための2つの取付部材(5a)(5b)からなる取付手段(4)とから構成されている。また前記構成のダミー容器(2)を固定して直立させる本図における取付台板(1)は、自動販売機の見本表示部に適当に配置したとき、互いに隣り合う左右の購入ボタンそれぞれの位置に対応して、前記取付台板(1)に形成された左右それぞれの取付孔(6a)(6b)の位置が適合するように構成されている。
【0018】
模容器形態部(3)は、図1に示すように1種類の販売対象ボトルのデザインを模した所謂ハーフボトル様のダミー容器体(7a)が中央最前面に配置され、その後部位置に前記中央最前面のダミー容器体(7a)よりも小さめのダミー容器体(7b)(7c)が左右方向に若干広がって配置され、その更に後部位置にそれらのダミー容器体(7b)(7c)よりも更に小さめのダミー容器体(7d)(7e)が左右に広がって配置され、全体として前面に立体的に飛び出したような形態をなす計5体のダミー容器体(7a)(7b)(7c)(7d)(7e)を一体化して構成される立体形状を有し、その5体の一連のダミー容器体(7a)(7b)(7c)(7d)(7e)が、水平板状の底面(8)を有する前方に突出し背面が開口した箱状の台座部(9)に載置されて一体化された態様をなすプラスチック製パネルである。勿論、この材料が必ずしもプラスチックである必要はないが、プラスチック薄板を用いれば、内側からのライトアップ時には夜間などでも展示性がよくなって好ましい。また、この模容器形態部(3)のデザインでは、複数のダミー容器体を立体的な配置とすることで視覚的なアピール性を高めているが、当然、適宜のデザインや販売促進効果を高めるための工夫を凝らしたものであってよいことはいうまでもない。
【0019】
図2に示すように、本発明の取付手段(4)は、取付台板(1)に設けられた左右の取付孔(6a)(6b)に対してそれぞれ1つずつ装着された計2個の取付部材(5a)(5b)からなり、個々の取付部材(5a)(5b)は、取付台板(1)の天板(10)に対してほぼ並行をなす形態で、前記取付孔(6a)(6b)の形状にほぼ沿った形状に形成される取付部材(5a)(5b)本体と、この本体の裏面に設けられる取付台板(1)に対して取付部材(5a)(5b)本体を着脱自在に係着するための係着体(11)と、取付部材(5a)(5b)本体に対して模容器形態部(3)の下端に位置する水平板状の底面(8)を着脱自在に装着して保持し、これを直立させるための保持具(12)とを備える。ただし、取付手段(4)は、着脱自在に模容器形態部(3)を保持して、取付台板(1)に対して直立させることができるものであればよく、その構造や構成は上記のものに限るものではないことはいうまでもなく、適宜の構成を採ることが可能であって、例えば以下に説明するような構成とすることができる。
【0020】
図3に示すように、本図における取付手段(13)は、取付台板(14)の天板(15)の後端において該天板(15)に対してほぼ垂直に配置される模容器形態部(3)を保持するための保持板(16)を有して構成される。また、この保持板(16)の左右の端部には、模容器形態部(3)の左右の端部に形成れる左右外側方向に凸設形成された係入部(17)を係入して係止し得る保持具(18)が形成されている。このように構成された取付手段(13)に対して前記模容器形態部(3)を装着した状態を示したのが図4であり、このように模容器形態部(3)をその高さ方向全体に渡って保持することによって、取付台板(1)に対してより安定的に直立させることができる。
【0021】
図5乃至9は、模容器形態部(3)の更に他の取付け構造を示す例である。図示の構造において、ダミー容器(2)の底面(8)に半円形の取付部材(5c)を下向きに膨出して形成し、該取付部材(5c)の前面に円弧状の係入溝(19)を凹設すると共に、取付部材(5c)の背部両側に側方に突出する係合張出片(20)を形成し、取付台板(1)の円形の取付孔(6)の内周縁前側に係入溝(19)を係入しつつ、係合張出片(20)を取付け孔(6)に係合して、ダミー容器(2)を直立して取付台板(1)の保持させる。図9は、更に他の変形を示し、取付台板(1)の取付孔に対称位置に係合凹部(21)を形成し、該係合凹部(21)に係合張出片(20)を係入したものである。この場合には係合張出片(20)にリブ(22)を形成し、張出片を強することが好ましい。係合張出片(20)を係合凹部(21)に係入することにより、ダミー容器を取付台板に確実に取付けることが出来、台板上で回動するのを防止することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】自動販売機の展示部に配置される取付台板に、当該発明を適用したダミー容器を装着した状態を示す斜視図。
【図2】図1に示すダミー容器の取付台板に装着する前の状態を模式的に示す背面からの斜視図。
【図3】図1に示すダミー容器の模容器形態部を一変形の取付手段に対して装着する様子を示す図。
【図4】図3に示すダミー容器の装着状態を示す斜視図。
【図5】他の変形例によるダミー容器の取付台板に装着する前の状態を示す斜視図。
【図6】同ダミー容器の取付手段に対して装着する様子を示す図。
【図7】同ダミー容器の取付手段に対して装着する様子を示す断面図。
【図8】更に他の変形例によるダミー容器を装着した状態を示す斜視図。
【図9】同ダミー容器の取付台板に装着する前の状態を示す斜視図。
【符号の説明】
【0023】
1 取付台板
2 ダミー容器
3 模容器形態部
4 取付手段
5a 取付部材
5b 取付部材
6a 取付孔
6b 取付孔
7a ダミー容器体
7b ダミー容器体
7c ダミー容器体
7d ダミー容器体
7e ダミー容器体
8 底面
9 台座部
10 天板
11 係着体
12 保持具
13 取付手段
14 取付台板
15 天板
16 保持板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動販売機の少なくとも二つ以上の連続的に配置された購入ボタンを跨ぐ幅を有する、販売対象であるボトルを模した模容器形態部と、この模容器形態部を支持しつつ直立させるための取付手段とを有し、
取付手段が、自動販売機の取付台板の天板に対してほぼ垂直をなす形態に形成され、模容器形態部を高さ方向全体に渡って保持するダミー容器。
【請求項2】
前記模容器形態部が、販売対象ボトルを模した複数のボトルを配列した様相を有するダミー容器体を有することを特徴とする請求項1に記載のダミー容器。
【請求項3】
自動販売機の見本表示部に配置される模容器形態部であって、
1種類の販売対象ボトルのデザインを模したダミー容器体を有し、このダミー容器体が、少なくとも2つの連続的に配置された購入ボタンを跨ぐように配置されている、ことを特徴とする模容器形態部。
【請求項4】
自動販売機の見本表示部に配置される模容器形態部であって、
1種類の複数本の販売対象ボトルを模したダミー容器体を有し、且つ、少なくとも2つの連続的に配置された購入ボタンを跨ぐように配置された幅を有することを特徴とする模容器形態部。
【請求項5】
前記ダミー容器体は、中央最前面に位置する1種類の販売ボトルのデザインを模したダミー容器体と、中央最前面のダミー容器体よりも後部位置に、中央最前面のダミー容器体より小さめのダミー容器体が左右方向に広がって配置されている、ことを特徴とする請求項4に記載の模容器形態部。
【請求項6】
更に、前記ダミー容器体が載置されて一体化された態様をなす、水平板状の底面を有する前方に突出した箱状の台座部を有する、ことを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載の模容器形態部。
【請求項7】
自動販売機の見本表示部に配置される取付台板に取付けるダミー容器であって、
前記請求項3から6のいずれか1項に記載された模容器形態部と、前記取付台板に固定して直立させるための少なくとも2つの取付部材を有する取付手段とを有し、前記取付部材は、互いに隣り合う購入ボタンのそれぞれの位置に対応して前記取付台板に形成された、それぞれの取付孔の位置に適合するように配置されている、ことを特徴とするダミー容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−99801(P2006−99801A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−337189(P2005−337189)
【出願日】平成17年11月22日(2005.11.22)
【分割の表示】特願2005−185189(P2005−185189)の分割
【原出願日】平成17年6月24日(2005.6.24)
【出願人】(596126465)アサヒ飲料株式会社 (84)
【出願人】(391047411)土屋工業株式会社 (9)
【Fターム(参考)】