自動販売機の冷温表示装置
【課題】冷温パターン表示体の交換作業を容易に行うことができるようにする。
【解決手段】ディスプレイ台を商品見本の載置台11と固定部材12に分割して載置台11を固定部材12に着脱自在とする。商品見本に対応する冷温状態を表す冷温パターンが表示された冷温パターン表示体120を無端状に形成し、この冷温パターン表示体120を前記載置台11にその左右両端で折り返して架け渡して装着し、載置台11を固定部材12に取付けてディスプレイ台を構成する。冷温パターン表示体120は載置台11の前面に装着される価格表示体140の開口140cから指で周回送りされることにより切り替えられる。前記冷温パターン表示体120の交換は固定部材12から載置台11を取り外し、載置台11から冷温パターン表示体120を取外して新たな冷温パターン表示体を装着する。
【解決手段】ディスプレイ台を商品見本の載置台11と固定部材12に分割して載置台11を固定部材12に着脱自在とする。商品見本に対応する冷温状態を表す冷温パターンが表示された冷温パターン表示体120を無端状に形成し、この冷温パターン表示体120を前記載置台11にその左右両端で折り返して架け渡して装着し、載置台11を固定部材12に取付けてディスプレイ台を構成する。冷温パターン表示体120は載置台11の前面に装着される価格表示体140の開口140cから指で周回送りされることにより切り替えられる。前記冷温パターン表示体120の交換は固定部材12から載置台11を取り外し、載置台11から冷温パターン表示体120を取外して新たな冷温パターン表示体を装着する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動販売機における本体キャビネットの庫内に缶,瓶,ペットボトルなどの商品を冷蔵,温蔵状態に区分して保存し、外扉のディスプレイ室内に設置したディスプレイ台上に複数の商品見本を左右に並べて展示し、該商品見本に対応して商品の冷温状態を表示する冷温表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の自動販売機の冷温表示装置として無端の冷温パターン表示体をディスプレイ台に掛け渡して設け、前記冷温パターン表示体を手動操作するものが知られている(例えば、特許文献1)。この装置について図7〜図13を用いて説明する。
図7は一般的な缶,ペットボトルを販売する自動販売機の斜視図である。図に示すように、この自動販売機は、前面が開放した断熱筐体として形成された本体キャビネット10と、本体キャビネット10の前面に開閉可能に支持された外扉20とからなる。本体キャビネット10の商品収納庫の前面は開閉可能な断熱内扉30によって閉塞されている。本体キャビネット10の庫内には、断熱仕切壁により左右方向に複数の商品収納室に区分され、各商品収納室は、例えば、缶、瓶、ペットボトルなどの商品を収納した商品ラックが収設され、また、各商品収納室の下部には、当該各商品収納室を冷却もしくは加熱して商品ラックに収納した商品を冷蔵・温蔵状態に保存する冷却/加熱ユニットが配設されている。
【0003】
外扉20の前面の上部域は透明板40で覆われ、この透明板40と外扉20に開閉可能に支持された中扉60との間の空間がディスプレイ室50として形成されている。前記中扉60の前面には、本体キャビネット10の庫内に収納した商品に対応した複数の商品見本80を左右に一列に並べて載置したディスプレイ台70が上下方向に3段取付けられている。前記透明板40には、各ディスプレイ台70と対峙する位置に商品選択ボタンユニット90が設けられ、商品選択ボタンユニット90は、ディスプレイ台70に載置された各商品見本80に対応して左右に一列に並べて設けた商品選択ボタン90aを有している(図9参照)。さらに外扉20の前面には、硬貨投入部21の投入口、紙幣投入部22の投入口、釣銭返却部23の返却口、商品取出部24の取出口に加え、不図示の返却レバーおよびロック付ハンドルなどが設けられている。
【0004】
図8はディスプレイ台を示す分解斜視図である。ディスプレイ台70は、商品見本80を載置する載置台71と、この載置台71が組付けられる固定部材72とからなる。前記載置台71は上面部711、この上面部711の両端から下方に延在された左右側壁712,712、前面の左右両端に形成したカバー部材713とからなり、前記上面部711には不図示の係合穴が左右方向に複数個並設され、それぞれの係合穴に商品見本80が嵌合保持される。また、前記載置台71の左右側壁712,712にはそれぞれ内側に向かって突出するピン73が取付けられている。
前記載置台71とともにディスプレイ台70を構成する固定部材72は、前面部721、上面部722および後面部723を有して下方が開放する断面略コ字形に形成されるとともに左右両端に上面部722と後面部723に接続された左右側壁724,724を有している。このように固定部材72は下方が開放する横長の箱形に形成されている。この固定部材72の前面部721には各商品見本80に対応して複数の透光穴74が設けられ、前記上面部722は略全域にわたって開口しており、当該開口の中央2箇所に補強のための桟722a,722aが形成されている。また、固定部材72の左右側壁724,724には上面部722に向けて一部が開放した異形溝75が形成されている。この異形溝75の開放部は載置台71の左右側壁712,712に取付けられたピン73が通過可能な大きさに形成されており、前記固定部材72の上方から載置台71を組付ける際、異形溝75の開放部を通してピン73が挿入される。
【0005】
前記固定部材72の後面部723には、図9に示すように、左右2個の係止片723aが形成され、この係止片723aは中扉60に設けた穴(不図示)に挿通係止される。これにより、固定部材72が中扉60に取付けられる。また、後面部723の内壁側には2段に折り曲げられ、ディスプレイ台70の左右方向に延在したガイド部723bが設けられている。そして、図9に示すように、固定部材72の前面部721の下端は前方側に折り曲げて形成したガイド部721aが設けられている。また、図8および図9に示すように、前面部721、上面部722および後面部723に囲まれたディスプレイ台70の箱内には、左右方向に沿って蛍光灯13(図では一点鎖線で示す)が設けてある。蛍光灯13は、ディスプレイ台70の固定部材72に固定した左右一対の各ソケット(図示せず)に装着されている。
【0006】
ディスプレイ台70の箱内には、商品見本80の冷温状態を表す冷温パターン表示体120が収設されている。この冷温パターン表示体120は、図10の斜視図に示すように、透光性フィルムからなる無端の帯状体として形成されている。冷温パターン表示体120の外面における周方向に沿った上方域には、自動販売機の商品収納室(図示せず)に収納した商品の冷蔵・温蔵状態を表す冷温パターン120aが施してある。商品の冷蔵状態を表す冷温パターン120aは、1パターンの単位として白抜きの文字(例えば「つめた〜い」)の背景に寒色の背景色(例えば青色)が印刷されている。また、商品の温蔵状態をあらわす冷温パターン120aは、1パターンの単位として白抜きの文字(例えば「あったか〜い」)の背景に暖色の背景色(例えば赤色)が印刷されてある。なお、冷温状態をあらわす複数の冷温パターン120aと、温蔵状態をあらわす複数の冷温パターン120aとが図10中に一点鎖線で示す境目120bを境にして無端状の帯状体の周方向の略半周分ずつ施してある。
【0007】
図8および図9に示すように、冷温パターン表示体120は、ディスプレイ台70を構成する固定部材72の前面部721の前側および後面部723の前側を通るように固定部材72の左右端で折り返して掛け渡されている。この冷温パターン表示体120は固定部材72の下部側から固定部材72に装着される。この場合、固定部材72の前面部721の両端と左右側壁724,724との間には隙間721bが形成されており、その隙間721bを通して冷温パターン表示体120は固定部材72に装着され、その装着状態において冷温パターン表示体120の前方側が固定部材72の前面部721の下端に設けたガイド部721aにより支持され、また、冷温パターン表示体120の後方側が固定部材72の上面部722の下面と後面部723に設けたガイド部723bとの間に支持される。また、冷温パターン表示体120は固定部材72の左右端で折り返して配設されるため、蛍光灯13のソケットは前記隙間721bよりも内側に取付けられている。さらに、固定部材72の前面部721の両端と左右側壁724,724との間に形成された隙間721bは、固定部材72に載置台71を組付けた際に載置台71のカバー部材713によって覆われ、その隙間721bが自動販売機の前面から見えないようにされている。
前述のように固定部材72に装着された冷温パターン表示体120において、固定部材72の前面部721の前側を通る略半周分の冷温パターン表示体120の各冷温パターン120aは、前面部721に設けた各透光穴74の位置に対応する。これにより、冷温パターン表示体120の冷温パターン120aは載置台71に載置した各商品見本80に対応して、各商品見本80の商品の冷蔵・温蔵状態を表すことになる。この際、ディスプレイ台70の箱内にある蛍光灯13の光が透光穴74を介して透光性フィルムからなる冷温パターン表示体120を透過することで冷温パターン120aの文字および背景色が明るく表示される。
【0008】
さらに、ディスプレイ台70には、商品の価格情報を表示する価格表示体140が設けられている。価格表示体140は、図11の正面図で示すように、固定部材72の前面部721の左右方向に沿うように横長で、冷温パターン表示体120の幅に略一致する幅の短冊状に形成された光透過板からなり、その前面の下方域には商品の価格情報を表す価格パターン140a(例えば「¥120」の文字)が印刷してある。この価格パターン140aは、その左右方向にディスプレイ台70に載置した商品見本80に対応するように複数個設けられている。なお、価格表示体140の前面には、価格パターン140aの「¥120」の文字の左右両側に縦線からなる区画パターン140bが印刷されている。この区画パターン140bは、価格表示体140をなす光透過板の面を左右複数個に区画している。区画パターン140bで囲まれて価格パターン140aを有する透明領域は、ディスプレイ台70の前面部721に設けた各透光穴74に重なるように形成されている。また、価格表示体140には開口部140cが形成されており、この開口部140cは後述するように冷温パターン表示体120を手動で回動させる際に利用されるものである。
【0009】
前記価格表示体140は、図9に示すように、ディスプレイ台70における固定部材72の前面部721のガイド部721aに装着され、冷温パターン表示体120の前面を覆っている。また、価格表示体140の区画パターン140bにより囲まれた透明領域が前面部721の各透光穴74に重ねて配置されることにより、価格表示体140は各透光穴74の位置に対応した冷温パターン表示体120の冷温パターン120aを透過するとともに、その冷温パターン120aの下位置に価格パターン140aを表示する。
【0010】
次に、前記固定部材72の左右側壁724,724に形成された異形溝75の形状を図12に示す。図12は固定部材72の右側面図であり、固定部材の右側壁724には、上面部722に向けて一部が開放した異形溝75が形成されている。ここで、異形溝75は、載置台71の左右側壁712に取付けたピン73を回転可能に軸支する前半域の円弧状溝部75aと、該円弧状溝部75aに連ねて後半域に形成したスライド溝部75bと、前記円弧状溝部75aとスライド溝部75bとの中間位置から固定部材72の上面部722との間に切欠き開口したピン73の挿脱溝部75cとを組合せた形状になる。前記挿脱溝部75cの上端は固定部材72の上面部722に切り込みを入れて下方に折り曲げた保護片725により開口されており、当該開口を通してピン73が挿脱される。前記保護片725は固定部材72の左右端から折り返して配設された冷温パターン表示体120の外側に位置しており、異形溝75の挿脱溝部75cを介してピン73を挿脱する際、当該ピン73が冷温パターン表示体120に接触して冷温パターン表示体120を傷付けたり、切断してしまうのを防止する。
【0011】
次に、図8に示すディスプレイ台70の自動販売機のディスプレイ室50(図7参照)への取付けについて説明する。まず、固定部材72に冷温パターン表示体120、価格表示体140及び蛍光灯13を装着した後、図9に示すように、固定部材72の後面部723に形成された係止片723aを中扉60に設けた穴(不図示)に挿入して固定部材72を中扉60に係止する。そして、中扉60に固定された固定部材72に載置台71を次のように装着する。すなわち、載置台71の左右側壁712に設けたピン73が固定部材72の左右側壁724に形成した異形溝75の挿脱溝部75cに対峙するように載置台71を固定部材72の上方から被せる。そして、載置台71の左右側壁712に設けたピン73を当該挿脱溝部75cを通して異形溝75に挿入し、前記ピン73が異形溝75のスライド溝部75bに係合するように載置台71を後方に向けてスライドさせる。前記ピン73が固定部材72の異形溝75のスライド溝部75bに係合するとピン73が挿脱溝部75cから抜け出るのが阻止され、この状態で載置台71が固定部材72に固定されてディスプレイ台70が形成される。
【0012】
次に、前述したように中扉60に固定された固定部材72に載置台71を組付けて形成されたディスプレイ台70における冷温パターンの切り替えについて説明する。冷温パターンの切り替えは、自動販売機の外扉20を開放した後、外扉20に閉扉状態にロックされた中扉60を開放してディスプレイ台70の前面を露出させる。そして、ディスプレイ台70に装着された価格表示体140の開口部140c(図11参照)に指を当て、当該開口部140cを介して冷温パターン表示体120を左右方向に周回させる。ここで、冷温パターン表示体120は、図9に示すように、固定部材72のガイド部721aおよびガイド部723bに保持されてフリーな状態にあるため、価格表示体140の開口部140cを介して指により容易に周回させることができる。このように、指で冷温パターン表示体120を周回させることにより冷温パターン表示体120の冷温パターン120aが周回送り方向に移動して商品の商品見本80に対応した冷温パターン表示体120の冷温パターン120aが切り替えられる。なお、冷温パターン表示体120はフリーな状態で固定部材72に装着されているが、冷温パターン表示体120が比較的長い帯状であることから振動などにより冷温パターン表示体120が周回することはない。
【0013】
【特許文献1】特開2005−293457号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ところで、従来の自動販売機の冷温表示装置においては冷温パターン表示体120がディスプレイ台70を構成し、中扉60に固着される固定部材72に掛け渡して設けられている。これは冷温パターン表示体120のように周回する部材は固定された部材に装着するという設計思想のもとに中扉60に固定した固定部材72に装着するように設計されているためである。このように、冷温パターン表示体120がディスプレイ台70を構成する固定部材72に掛け渡して設けられていることから次のような問題を有する。
その第1は冷温パターン表示体120の交換作業が困難なことである。これは、固定部材72の内部には蛍光灯13が配設され、この蛍光灯13を保持する左右一対のソケットの取付金具が中扉60に固着されていることから前記ソケットの取付金具を取り外して冷温パターン表示体120を交換するか、前記ソケットの取付金具を取り外さない場合には、固定部材72の箱内で冷温パターン表示体120をソケット(蛍光灯13)と固定部材72の上面部722の間を潜らせて交換しなければならない。したがって、冷温パターン表示体120の交換作業が煩雑で手間がかかるという問題を有する。
そして第2にはディスプレイ台70の背後の清掃や載置台71に載置された商品見本80を交換する作業の際に冷温パターン表示体120が破損するおそれがあることである。これはディスプレイ台70の背後の清掃や載置台71に載置された商品見本80を交換するために載置台71を前傾姿勢に傾倒させる際、載置台71の左右側壁712には内方に向かって突出するようにピン73(回転軸)が設けられており、このピン73(回転軸)が冷温パターン表示体120に引っ掛かると、冷温パターン表示体120に傷が付いたり破損してしまうおそれがある。これは、載置台71を固定部材72から着脱する際にも生じる問題である。
【0015】
本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、その目的は前記課題を解決し、冷温パターン表示体の交換作業を容易に行うことが可能な自動販売機の冷温表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために本発明によれば、庫内に収納された商品を温蔵,冷蔵状態に保存して販売する自動販売機であって、ディスプレイ台上に左右に並べて一列に載置された複数の商品見本に対応して冷温パターンを表示する自動販売機の冷温表示装置において、前記ディスプレイ台を前記複数の商品見本を載置する載置台とこの載置台を保持する固定部材とに分割し、前記載置台を固定部材に対して着脱自在に設け、ディスプレイ台に載置された一列分の商品見本に対応した冷温パターンがそれぞれ表示された無端の冷温パターン表示体を設け、前記ディスプレイ台を構成する載置台に載置された一列分の商品見本に対応した冷温パターンがディスプレイ台の前面に表示されるように前記冷温パターン表示体を前記ディスプレイ台を構成する載置台にその左右両端で折り返して掛け渡し、前記ディスプレイ台の前面から前記冷温パターン表示体を手動操作することを特徴とする(請求項1)。
【0017】
また、本発明によれば、ディスプレイ台における載置台はその左右両端部に冷温パターン表示体の内周に当接するガイド部材を設けることができ(請求項2)、さらに、ディスプレイ台における固定部材を断面コ字形に形成し、前面側脚片の冷温パターン表示体と対向する位置に冷温パターン表示体を周回させる際の逃げ部となる段差部を形成することができる(請求項3)。
【0018】
そしてまた、本発明によれば、ディスプレイ台の前面に表示された冷温表示パターンに重ねてディスプレイ台に載置された一列分の商品見本に対応した価格が表示された価格表示体を設けることができ(請求項4)、この場合、前記価格表示体は冷温パターン表示体の幅と略同一に形成され、価格表示部を除く少なくとも一部に開口を設けることができ(請求項5)、また、前記開口を複数の冷温パターンに跨る大きさとすることができる(請求項6)。
【発明の効果】
【0019】
前述したように構成された請求項1に記載した発明によれば、ディスプレイ台の前面に露出した冷温パターン表示体を手動操作することによってディスプレイ台に載置された一列分の商品見本に対応した冷温パターを一括して切り替えることができ、また、冷温パターン表示体はディスプレイ台を利用してそのディスプレイ台にフリー状態で架け渡して保持しておくのみでよく、また、ディスプレイ台を構成する固定部材が載置台の左右両端を支持する部材のみでよいことから部品点数を削減できるのでコストの低減を図ることができるという効果を維持しつつ、冷温パターン表示体の交換を容易に行うことができるので保守・点検の作業性が向上するという効果を有する。
また、請求項2、3に記載した発明によれば、冷温パターン表示体をスムーズに周回させることができる。
また、請求項4に記載した発明によれば、価格表示体が冷温パターン表示体の脱落を防止する部材として兼用され、請求項5に記載した発明によれば、価格表示体の前方から冷温パターン表示体を手動操作して周回送りすることができ、請求項6に記載した発明によれば、冷温パターン表示体の周回送りを一気呵成に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図1〜図3に示す実施例に基づいて説明する。なお、実施例の図中で図7〜図13に対応する部材には同じ符号を付してその説明は省略する。
図1はディスプレイ台を示す分解斜視図である。ディスプレイ台1は、商品見本を載置する載置台11と、この載置台11が上方から被さるように組付けられる固定部材12とからなる。前記載置台11は上面部111と、この上面部111の両端から下方に延在された左右側壁112,112と、前面部113および後面部114(図3参照)を有して下方が開放する横断面略コ字形に形成されている。前記上面部111には係合穴1Aが左右方向に複数、この例では12個並設され、それぞれの係合穴1Aに商品見本が嵌合保持される。また、前記載置台11の左右側壁112,112には従来装置と同様にそれぞれ内側に向かって突出するピン73が取付けられている。さらに、前記載置台11の前面部113には各商品見本に対応して複数、この例では12個の透光穴11Aが設けられ、そして、この前面部113の下端には、図3の断面図に示すように、前方側に折り曲げて形成したガイド部113aが長手方向に延在して設けられている。一方、載置台11の後面部114にも前方側に折り曲げて形成したガイド部114aが設けられている。このガイド部114aもガイド部113aと同様に載置台11の長手方向に延在して形成されている。
【0021】
前記載置台11とともにディスプレイ台1を構成する左右一対の固定部材12は平面断面が略コ字形に形成され、この固定部材12には、従来装置と同様に、上面に向けて一部が開放した異形溝12aが形成されている。この異形溝12aの開放部は載置台11の左右側壁112,112に取付けられたピン73が通過可能な大きさに形成されており、前記固定部材12の上方から固定部材12に被せるように載置台11を組付ける際、異形溝12aの開放部を通してピン73が異形溝12a内に挿入される。この左右一対の固定部材12は図8に示す従来の固定部材72の左右側壁724に相当する部材であり、従来の固定部材72に対して大幅にコストダウンを図ることができ、また、従来の固定部材72の上面部722は桟722aを残して開口されていることから歩留まりが悪いのに比して歩留まりの点でも優れている。
【0022】
前記横断面コ字形の固定部材12における後方側の脚片には、図3に示すように、切り起こしにより形成した複数、この例では上下2個の係止片121が形成され、この係止片121は中扉60(図7参照)に設けた穴(不図示)に挿通係止される。これにより、固定部材12が中扉60に取付けられる。この固定部材12の中扉60への係止方法と同様な方法により蛍光灯13が装着されるソケットを有する左右一対の蛍光灯取付金具14が中扉60に係止される。すなわち、左右一対の蛍光灯取付金具14の脚片141には左右方向に切り起こされた2個の係止片142(図3では手前の係止片142が示され、もう一つの後方側の係止片は手前側の係止片142に隠れて見えない)が形成され、これらの係止片142に対応して設けた中扉60の穴(不図示)に挿通係止される。
【0023】
ディスプレイ台1を構成する載置台11には、商品見本の冷温状態を表す冷温パターン表示体120が収設される。この冷温パターン表示体120は透光性フィルムからなる無端の帯状体として形成されている。この冷温パターン表示体120は従来装置と同様に形成され、これを図10を参照して説明すれば、その外面における周方向に沿った上方域には、自動販売機の商品収納室(図示せず)に収納した商品の冷蔵・温蔵状態を表す冷温パターン120aが施してある。商品の冷蔵状態を表す冷温パターン120aは、1パターンの単位として白抜きの文字(例えば「つめた〜い」)の背景に寒色の背景色(例えば青色)が印刷されている。また、商品の温蔵状態をあらわす冷温パターン120aは、1パターンの単位として白抜きの文字(例えば「あったか〜い」)の背景に暖色の背景色(例えば赤色)が印刷されてある。なお、冷温状態をあらわす複数の冷温パターン120aと、温蔵状態をあらわす複数の冷温パターン120aとが図10中に一点鎖線で示す境目120bを境にして無端状の帯状体における周方向の略半周分ずつ施してある。なお、図10に示した従来装置では冷温パターン120aが冷温パターン表示体120の上方域に印刷されているが、この実施例の場合には後述する価格表示体140との関係で下方域に印刷されているものである。
【0024】
前記冷温パターン表示体120は、図3に示すように、ディスプレイ台1を構成する載置台11の前面部113の前側および後面部114の前側を通るように載置台11の左右端で折り返して掛け渡される。すなわち、冷温パターン表示体120は下方が開放する横断面略コ字形に形成された載置台11の下方側から載置台11に装着される。この場合、載置台11の前面部113の両端と左右側壁112,112との間には隙間G(図1参照)が形成されており、その隙間Gを通して冷温パターン表示体120は載置台11に装着され、その装着状態において冷温パターン表示体120の前方側が載置台11の前面部113の下端に設けたガイド部113aにより支持され、また、冷温パターン表示体120の後方側が載置台11の上面部111の下面と後面部114に設けたガイド部114aとの間に支持される。また、冷温パターン表示体120は載置台11の左右端で折り返して配設されるため、蛍光灯13が取付けられるソケットを有する蛍光灯取付金具14は前記隙間Gよりも内側に取付けられている。なお、載置台11の前面部113の両端と左右側壁112,112との間に形成された隙間Gは、後述する価格表示体140によって覆われる。
【0025】
前述のように載置台11に装着された冷温パターン表示体120において、載置台11の前面部113の前側を通る略半周分の冷温パターン表示体120の各冷温パターン120aは、前面部113に設けた各透光穴11Aの位置に対応する。これにより、冷温パターン表示体120の冷温パターン120aは載置台11に載置される各商品見本に対応して商品の冷蔵・温蔵状態を表すことになる。この際、ディスプレイ台1の箱内にある蛍光灯13の光が透光穴11Aを介して透光性フィルムからなる冷温パターン表示体120を透過することで冷温パターン120aの文字および背景色が明るく表示される。なお、蛍光灯13の光は載置台11の上面部111の係合穴を通して商品見本の内部に導入され、光透過材からなる商品見本を内側から照明して商品見本を発光させる。
【0026】
さらに、ディスプレイ台1には、商品の価格情報を表示する価格表示体140が設けられている。価格表示体140は載置台11の前面部113の左右方向に沿うように横長で、冷温パターン表示体120の幅に略一致する幅の短冊状に形成された光透過板からなり、その前面の上方域には商品の価格情報を表す価格パターン140a(例えば「¥120」の文字)が印刷してあり、下方域には開口140cが形成されており、この開口140cから冷温パターン表示体120の冷温パターン120aが表示される。前記価格パターン140aは、その左右方向にディスプレイ台10に載置した商品見本に対応するように複数、この例では12個設けてある。なお、価格表示体140の前面には、従来装置と同様に、価格パターン140aの「¥120」の文字の左右両側に縦線からなる区画パターン140bが印刷されている。この区画パターン140bは、価格表示体140をなす光透過板の面を左右複数、この例では12個に区画している。区画パターン140cで囲まれた価格パターン140aと開口140cの領域は、載置台11の前面部113に設けた各透光穴11Aに重なるように形成されている。
【0027】
前記価格表示体140は、図3に示すように、ディスプレイ台1における載置台11の前面部113のガイド部113aにその下端を挿入することにより、載置台11の前面部113に沿うように装着される。そして、価格表示体140は冷温パターン表示体120の前面に位置して当該冷温パターン表示体120を保護している。また、価格表示体140の区画パターン140bにより囲まれた透明領域が載置台11の前面部113の各透光穴11Aに重ねて配置されることにより、価格表示体140は各透光穴11Aの位置に対応した冷温パターン表示体120の冷温パターン120aを透過するとともに、その冷温パターン120aの上位置に価格パターン140aを表示する。
【0028】
次に、図1に示すディスプレイ台1の自動販売機のディスプレイ室50(図7参照)への取付けについて説明する。まず、載置台11に冷温パターン表示体120および価格表示体140を装着して載置台11に冷温パターン表示体120および価格表示体140を組み付けておく。すなわち、下方が開放する横断面略コ字形に形成された載置台11の下方側から冷温パターン表示体120を組み付ける。この場合、無端の冷温パターン表示体120の前方側が載置台11における前面部113のガイド部113aに案内され、冷温パターン表示体120の後方側が載置台11における後面部114のガイド部114aに案内され、そして、冷温パターン表示体120が載置台11の前面部113の両端と左右側壁112,112との間に形成された隙間Gを通って周回するように組み付ける。そして、載置台11における前面部113のガイド部113aに案内される冷温パターン表示体120の前面に価格表示体140を装着して載置台アセンブリーを構成しておく。
【0029】
次に、中扉60に左右一対の固定部材12を取付ける。この取付けは、左右一対の固定部材12における後方側の脚片に形成された係止片121を中扉60に設けた穴(不図示)に挿入して係止することにより行われる。同様に、左右一対の蛍光灯取付金具14が、その脚片141に形成された係止片142を中扉60の穴(不図示)に挿通して係止される。前述のようにして中扉60に固定された固定部材12に載置台11を装着する。この装着方法は従来と同様であり、載置台11の左右側壁112に設けたピン73を固定部材12に形成した異形溝12aの上面に向けて一部が開放した開放部に対峙するように載置台11を固定部材12にその上方から被せる。そして、載置台11の左右側壁112に設けたピン73を当該開放部を通して異形溝12aに挿入することにより、図2に示すように、載置台11が固定部材12に一体化されてディスプレイ台1が形成される。なお、載置台11には予め商品見本を取付けていてもよく、また、載置台11を固定部材12に装着した後に商品見本を取付けてもよいものである。
【0030】
次に、前述したように中扉60に固定された固定部材12に載置台11を組付けて形成されたディスプレイ台1における冷温パターンの切り替えについて説明する。冷温パターンの切り替えは、自動販売機の外扉20(図7参照)を開放した後、外扉20に閉扉状態にロックされた中扉60を開放してディスプレイ台1の前面を露出させる。そして、ディスプレイ台1に装着された価格表示体140のいずれかの開口140c(図1参照)に指を当て、当該開口部140cを介して冷温パターン表示体120を左右方向に周回させる。ここで、冷温パターン表示体120は、図3に示すように、載置台11の前面部113におけるガイド部113aおよび後面部114におけるガイド部114aに保持されてフリーな状態にあるため、価格表示体140の開口140cを介して指により容易に周回させることができる。このように、指で冷温パターン表示体120を周回させることにより冷温パターン表示体120の冷温パターン120aが周回送り方向に移動して商品見本に対応した冷温パターン表示体120の冷温パターン120aが切り替えられる。
【0031】
次に、冷温パターン表示体120の交換について説明する。この冷温パターン表示体120の交換は、自動販売機の外扉20を開放した後、外扉20に閉扉状態にロックされた中扉60を開放してディスプレイ台1の前面を露出させる。そして、ディスプレイ台1として組付けられた載置台11を固定部材12から取り外す。この取り外しは、載置台11の左右側壁112に設けたピン73を固定部材12に形成した異形溝12aの上方に開放した開放部を介して異形溝12aから離脱させることにより行うことができる。載置台11を固定部材12から取り外すと載置台11の下方が開放されるので、載置台11への冷温パターン表示体120の取付けと逆の手順で載置台11から冷温パターン表示体120を取り外すことができる。なお、載置台11から冷温パターン表示体120の取り外しに先立って価格表示体140を取り外しておくことは言うまでもない。
【0032】
次に、本発明の異なる実施の形態を図4(a)(b)に示す実施例に基づいて説明する。図4はディスプレイ台1の右端側を拡大して示し、(a)は載置台11を固定部材12に組付けた状態の斜視図、(b)は固定部材12の斜視図であり、図1〜図3に示す実施の形態と同一又は同一の機能を有するものには同一の符号を付してその説明は省略する。なお、図4では図解し易くするため、価格表示体140は一点鎖線で示し、冷温パターン表示体120の冷温パターンの文字は省略している。
図4において、11で再び載置台を示し、この載置台11の上面部111における右端の略中央には切り起しによりガイド片150が形成されるとともに後方側にガイド棒151が形成されている。このガイド片150またはガイド棒151が請求項2のガイド部材を構成する。前記ガイド棒151はプラスチックにより形成され、載置台11の上面部111に開けられた穴(図ではガイド棒151に隠れて見えない)に上方から差し込まれて固着されている。前記ガイド片150およびガイド棒151は載置台11に左右で折り返して架け渡された冷温パターン表示体120の内周壁に摺接するように配置位置が定められるとともにその長さ寸法が定められ、冷温パターン表示体120が周回する際にその右端が湾曲状態を維持して周回するように冷温パターン表示体120を案内するものである。図では示していないが、載置台11の左端側にもガイド片150と同様なガイド片が切り起しにより形成され、また、ガイド棒151と同様なガイド棒が設けられている。
【0033】
平面断面が略コ字形に形成された固定部材12は、図4(b)に示すように、前方側の脚片の上部側を切り欠いて段差部12bを形成している。この段差部12bは冷温パターン表示体120を周回させる際の冷温パターン表示体120の逃げ部として形成されている。すなわち、冷温パターン表示体120は載置台11への取付けや交換作業を容易に行うことができるように遊びをもって載置台11に装着されていることから、価格表示体140の開口140c(図1参照)から冷温パターン表示体120に指を当てて周回(例えば、右方向)させる際、冷温パターン表示体120の右端側では載置台11の前面側から後面側に回り込もうとする箇所において引き込み量よりも押し込み量が多くなって冷温パターン表示体120の周回軌道が外側に膨らんでしまう現象が起きる。このため、固定部材12に段差部12bがない場合には外側に膨らんだ冷温パターン表示体120が固定部材12の脚片に衝突してしまい、これによって冷温パターン表示体120が変形してスムーズに周回することが妨げられたり、冷温パターン表示体120に傷がついたりするおそれがある。かかる点、固定部材12に段差部12bを設けたことにより冷温パターン表示体120が周回軌道から外れて外側に膨らんだ場合にも段差部12bの逃げによって冷温パターン表示体120が固定部材12の脚片に邪魔されずに外側に膨らむことができる。したがって、冷温パターン表示体120の周回が固定部材12によって邪魔されることがないので、冷温パターン表示体120の周回をスムーズに行うことができる。
【0034】
なお、図4(a)における1Bは載置台11の上面部111に塵埃が溜まるのを防止する塵埃溜まり防止穴、113bは載置台11の前面部113の下端に設けたガイド部113aに装着された価格表示体140の脱落を防止する脱落防止片、12cは固定部材12の前面側の脚片に設けられるとともに、商品選択ボタンユニット90(図7)の取付金具と対峙する位置に配設されたプラスチック製のクランプである。前記脱落防止片113bは価格表示体140を保持することから価格表示体140をディスプレイ台1に装着することによって冷温パターン表示体120の脱落をより一層確実なものとすることができる。また、前記クランプ12cは商品選択ボタン90aが強く押されて透明板40が撓んだ際に商品選択ボタンユニット90の取付金具と当接するように構成され、透明板40の撓みを防止して商品選択ボタン90aの押圧操作が安定して行えるようにしている。
【0035】
前述した図4に示す実施の形態においては、載置台11の上面部111の左右両端に、載置台11に左右で折り返して架け渡された冷温パターン表示体120の内周壁に摺接するように配置されたガイド片150およびガイド棒151を設けたことにより、冷温パターン表示体120を周回させる際に冷温パターン表示体120の左右両端が湾曲状態を維持して周回するように冷温パターン表示体120を案内することができるので、冷温パターン表示体120のスムーズな周回に寄与するものである。また、固定部材12における前面側の脚片における上部側を切り欠いて段差部12bを形成したことにより、冷温パターン表示体120を手動操作により周回させる際に冷温パターン表示体120が周回軌道から外れて外側に膨らんだ場合にも冷温パターン表示体120の外側への膨らみを逃がすことができ、これによって、冷温パターン表示体120の周回をスムーズに行うことができるものである。
なお、図4の実施形態においては載置台11の上面部111における左右両端にガイド片150およびガイド棒151を設けたものについて説明したが、ガイド片150若しくはガイド棒151のいずれか一方のみを設けることによっても冷温パターン表示体120のスムーズな周回を行わせることができる。
【0036】
次に、本発明の異なる実施の形態を図5(a)(b)に示す変形例に基づいて説明する。図5はディスプレイ台1の右端側を拡大して示すものであり、図4に示す実施の形態と同一又は同一の機能を有するものには同一の符号を付してその説明は省略する。
図5(a)に示す変形例が図4に示す実施の形態と異なる点は、図4に示した実施の形態においては載置台11の上面部111における左右両端にガイド片150およびガイド棒151を設けているのに対し、図5(a)の変形例では、図4のガイド棒151に代えて切り起しにより形成されたガイド片152を設けた点である。このようにガイド片152を設けた場合にはガイド片150およびガイド片152の両方を切り起しにより形成することができるので部品点数を削減できるものである。また、図5(b)に示す変形例が図4に示す実施の形態と異なる点は、図4のガイド片150に代えてガイド棒151と同様なガイド棒153を設けた点である。この図5(b)に示した変形例では次のような利点を有する。すなわち、図4に示したガイド片150は切り起しにより形成されることからガイド片150の周縁にはバリが発生する。このため、ガイド片150の場合にはバリ取り作業が必要となことから作業工数が増加してしまうのに対してガイド棒150,513の場合にはそのバリ取り作業を必要としないので作業工数を削減できるものである。
【0037】
次に、本発明の異なる実施の形態を図6に示す実施例に基づいて説明する。図6は価格表示体140の斜視図であり、図1に示す実施の形態と同一又は同一の機能を有するものには同一の符号を付してその説明は省略する。
図6に示す価格表示体140が図1に示すものと異なる点は価格表示体140の左右両端に設けた開口140dの点である。すなわち、図1に示した価格表示体140が商品の価格情報を表す価格パターン140a(例えば「¥120」の文字)に対応して開口140cがそれぞれ形成(図1の例では12個)されているのに対し、図6では複数個の価格パターン140aに跨った開口140dを設けている。言い換えれば、図1の実施形態ではそれぞれの商品見本に対応する個別の冷温パターンごとに開口を形成していたのに対して図6の実施形態では価格表示体140の左右両端に複数の冷温パターンに跨って一個の開口140dを設けている。
【0038】
前述した図6に示す実施形態によれば、複数の冷温パターンに跨る開口140dを設けたことによって冷温パターン表示体120(図1,2参照)の切り替えを一気呵成に行うことができる。つまり、冷温パターン表示体120の切り替えは開口140dから冷温パターン表示体120に指を押し当てて周回させるのであるが、図1,2に示すように価格表示体140の開口140cが商品見本ごとに開口されている場合、開口140cから冷温パターン表示体120に指を押し当てて冷温パターン表示体120を周回させる量は精精一つの冷温パターン分である。これは開口140cが区画パターン140bによって区切られていることから開口140cに指を押し当てて冷温パターン表示体120を周回させる途中で指が区画パターン140bに当接するからである。一方、自動販売機における冷蔵/温蔵兼用の商品収納庫は冬季期間には全ての商品を温蔵、夏季期間には全ての商品を冷蔵、その間の期間には温蔵と冷蔵の商品を半々に設定することが多く、このような場合には冷温パターン表示体120の切り替え量が冷温パターン表示体120を1/4周回させる量となる。したがって、図1,2の実施形態では開口140cから冷温パターン表示体120に指を押し当てて周回させる作業を繰り返し行う必要がある。
かかる点、図6の実施形態によれば、複数の冷温パターンに跨る開口140dによって冷温パターン表示体120を一気に周回させることができ、図示例のように開口140dが3個の商品見本に跨って形成されている場合には開口140dの左端から冷温パターン表示体120に指を押し当てて開口140dの右端まで移動操作すれば三パターン分を一気に周回させることができる。したがって、この実施の形態においては冷温パターン表示体120の切り替え操作を容易に行うことができるものである。
【0039】
図6の実施の形態では複数の冷温パターンに跨る開口140dを設けたことから、図1の価格表示体140に示した区画パターン140bを印刷していないが、隣接する冷温パターン(若しくは価格パターン)の間の区画は価格表示体140を載置台11に装着した際、載置台11の透光穴11Aを形成する窓枠によって行われる。このように、前記窓枠が区画パターンの機能を果たすことから価格表示体140に区画パターンを印刷しなくても実用上の問題はないものである。
なお、図6の実施形態では価格表示体140の左右両端に複数の冷温パターンに跨る開口140dを設け、両開口140dの間には開口を形成していない例を説明したが、両開口140dの間に価格パターン140aに対応して個別の開口を設けてもよく、また、中央にも複数の冷温パターンに跨る開口140dを形成してもよいものである。
【産業上の利用可能性】
【0040】
この発明の自動販売機の冷温表示装置は、缶,瓶,ペットボトルなどの商品を冷蔵,温蔵状態に区分して保存し、外扉のディスプレイ室内に設置したディスプレイ台上に複数の商品見本を左右に並べて展示し、商品見本に対応する商品選択ボタンの操作により対応する商品を販売する自動販売機において、前記商品見本に対応して商品の冷温状態を表示するのに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の実施の形態にかかる自動販売機の冷温表示装置におけるディスプレイ台を示す分解斜視図である。
【図2】図1におけるディスプレイ台の組立状態を示す外形斜視図
【図3】ディスプレイ台の側面断面を示す拡大図である。
【図4】本発明の異なる実施の形態におけるディスプレイ台の右端側の拡大図であり、(a)は載置台11を固定部材12に組付けた状態の斜視図、(b)は固定部材12の斜視図である。
【図5】図4におけるディスプレイ台の変形例を示し、(a)および(b)はそれぞれ載置台の右端を示す斜視図である。
【図6】本発明の異なる実施の形態における価格表示体の正面図である。
【図7】本発明が対象とする自動販売機の一例を示す斜視図である。
【図8】従来装置におけるディスプレイ台を示す分解斜視図である。
【図9】図8におけるディスプレイ台の側面断面を示す拡大図である。
【図10】図8における冷温パターン表示体を示す斜視図である。
【図11】図8における価格表示体を示す正面図である。
【図12】図8におけるディスプレイ台を構成する固定部材の右側面図である。
【図13】図8におけるディスプレイ台の載置台を前傾姿勢に傾倒させた状態を示す右側面図である。
【符号の説明】
【0042】
1 ディスプレイ台
11 載置台
12 固定部材
12a 異形溝
12b 段差部
14 蛍光灯取付金具
73 ピン
120 冷温パターン表示体
120a 冷温パターン
140 価格表示体
140a 価格パターン
140d 開口
150,152 ガイド片(ガイド部材)
151,153 ガイド棒(ガイド部材)
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動販売機における本体キャビネットの庫内に缶,瓶,ペットボトルなどの商品を冷蔵,温蔵状態に区分して保存し、外扉のディスプレイ室内に設置したディスプレイ台上に複数の商品見本を左右に並べて展示し、該商品見本に対応して商品の冷温状態を表示する冷温表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の自動販売機の冷温表示装置として無端の冷温パターン表示体をディスプレイ台に掛け渡して設け、前記冷温パターン表示体を手動操作するものが知られている(例えば、特許文献1)。この装置について図7〜図13を用いて説明する。
図7は一般的な缶,ペットボトルを販売する自動販売機の斜視図である。図に示すように、この自動販売機は、前面が開放した断熱筐体として形成された本体キャビネット10と、本体キャビネット10の前面に開閉可能に支持された外扉20とからなる。本体キャビネット10の商品収納庫の前面は開閉可能な断熱内扉30によって閉塞されている。本体キャビネット10の庫内には、断熱仕切壁により左右方向に複数の商品収納室に区分され、各商品収納室は、例えば、缶、瓶、ペットボトルなどの商品を収納した商品ラックが収設され、また、各商品収納室の下部には、当該各商品収納室を冷却もしくは加熱して商品ラックに収納した商品を冷蔵・温蔵状態に保存する冷却/加熱ユニットが配設されている。
【0003】
外扉20の前面の上部域は透明板40で覆われ、この透明板40と外扉20に開閉可能に支持された中扉60との間の空間がディスプレイ室50として形成されている。前記中扉60の前面には、本体キャビネット10の庫内に収納した商品に対応した複数の商品見本80を左右に一列に並べて載置したディスプレイ台70が上下方向に3段取付けられている。前記透明板40には、各ディスプレイ台70と対峙する位置に商品選択ボタンユニット90が設けられ、商品選択ボタンユニット90は、ディスプレイ台70に載置された各商品見本80に対応して左右に一列に並べて設けた商品選択ボタン90aを有している(図9参照)。さらに外扉20の前面には、硬貨投入部21の投入口、紙幣投入部22の投入口、釣銭返却部23の返却口、商品取出部24の取出口に加え、不図示の返却レバーおよびロック付ハンドルなどが設けられている。
【0004】
図8はディスプレイ台を示す分解斜視図である。ディスプレイ台70は、商品見本80を載置する載置台71と、この載置台71が組付けられる固定部材72とからなる。前記載置台71は上面部711、この上面部711の両端から下方に延在された左右側壁712,712、前面の左右両端に形成したカバー部材713とからなり、前記上面部711には不図示の係合穴が左右方向に複数個並設され、それぞれの係合穴に商品見本80が嵌合保持される。また、前記載置台71の左右側壁712,712にはそれぞれ内側に向かって突出するピン73が取付けられている。
前記載置台71とともにディスプレイ台70を構成する固定部材72は、前面部721、上面部722および後面部723を有して下方が開放する断面略コ字形に形成されるとともに左右両端に上面部722と後面部723に接続された左右側壁724,724を有している。このように固定部材72は下方が開放する横長の箱形に形成されている。この固定部材72の前面部721には各商品見本80に対応して複数の透光穴74が設けられ、前記上面部722は略全域にわたって開口しており、当該開口の中央2箇所に補強のための桟722a,722aが形成されている。また、固定部材72の左右側壁724,724には上面部722に向けて一部が開放した異形溝75が形成されている。この異形溝75の開放部は載置台71の左右側壁712,712に取付けられたピン73が通過可能な大きさに形成されており、前記固定部材72の上方から載置台71を組付ける際、異形溝75の開放部を通してピン73が挿入される。
【0005】
前記固定部材72の後面部723には、図9に示すように、左右2個の係止片723aが形成され、この係止片723aは中扉60に設けた穴(不図示)に挿通係止される。これにより、固定部材72が中扉60に取付けられる。また、後面部723の内壁側には2段に折り曲げられ、ディスプレイ台70の左右方向に延在したガイド部723bが設けられている。そして、図9に示すように、固定部材72の前面部721の下端は前方側に折り曲げて形成したガイド部721aが設けられている。また、図8および図9に示すように、前面部721、上面部722および後面部723に囲まれたディスプレイ台70の箱内には、左右方向に沿って蛍光灯13(図では一点鎖線で示す)が設けてある。蛍光灯13は、ディスプレイ台70の固定部材72に固定した左右一対の各ソケット(図示せず)に装着されている。
【0006】
ディスプレイ台70の箱内には、商品見本80の冷温状態を表す冷温パターン表示体120が収設されている。この冷温パターン表示体120は、図10の斜視図に示すように、透光性フィルムからなる無端の帯状体として形成されている。冷温パターン表示体120の外面における周方向に沿った上方域には、自動販売機の商品収納室(図示せず)に収納した商品の冷蔵・温蔵状態を表す冷温パターン120aが施してある。商品の冷蔵状態を表す冷温パターン120aは、1パターンの単位として白抜きの文字(例えば「つめた〜い」)の背景に寒色の背景色(例えば青色)が印刷されている。また、商品の温蔵状態をあらわす冷温パターン120aは、1パターンの単位として白抜きの文字(例えば「あったか〜い」)の背景に暖色の背景色(例えば赤色)が印刷されてある。なお、冷温状態をあらわす複数の冷温パターン120aと、温蔵状態をあらわす複数の冷温パターン120aとが図10中に一点鎖線で示す境目120bを境にして無端状の帯状体の周方向の略半周分ずつ施してある。
【0007】
図8および図9に示すように、冷温パターン表示体120は、ディスプレイ台70を構成する固定部材72の前面部721の前側および後面部723の前側を通るように固定部材72の左右端で折り返して掛け渡されている。この冷温パターン表示体120は固定部材72の下部側から固定部材72に装着される。この場合、固定部材72の前面部721の両端と左右側壁724,724との間には隙間721bが形成されており、その隙間721bを通して冷温パターン表示体120は固定部材72に装着され、その装着状態において冷温パターン表示体120の前方側が固定部材72の前面部721の下端に設けたガイド部721aにより支持され、また、冷温パターン表示体120の後方側が固定部材72の上面部722の下面と後面部723に設けたガイド部723bとの間に支持される。また、冷温パターン表示体120は固定部材72の左右端で折り返して配設されるため、蛍光灯13のソケットは前記隙間721bよりも内側に取付けられている。さらに、固定部材72の前面部721の両端と左右側壁724,724との間に形成された隙間721bは、固定部材72に載置台71を組付けた際に載置台71のカバー部材713によって覆われ、その隙間721bが自動販売機の前面から見えないようにされている。
前述のように固定部材72に装着された冷温パターン表示体120において、固定部材72の前面部721の前側を通る略半周分の冷温パターン表示体120の各冷温パターン120aは、前面部721に設けた各透光穴74の位置に対応する。これにより、冷温パターン表示体120の冷温パターン120aは載置台71に載置した各商品見本80に対応して、各商品見本80の商品の冷蔵・温蔵状態を表すことになる。この際、ディスプレイ台70の箱内にある蛍光灯13の光が透光穴74を介して透光性フィルムからなる冷温パターン表示体120を透過することで冷温パターン120aの文字および背景色が明るく表示される。
【0008】
さらに、ディスプレイ台70には、商品の価格情報を表示する価格表示体140が設けられている。価格表示体140は、図11の正面図で示すように、固定部材72の前面部721の左右方向に沿うように横長で、冷温パターン表示体120の幅に略一致する幅の短冊状に形成された光透過板からなり、その前面の下方域には商品の価格情報を表す価格パターン140a(例えば「¥120」の文字)が印刷してある。この価格パターン140aは、その左右方向にディスプレイ台70に載置した商品見本80に対応するように複数個設けられている。なお、価格表示体140の前面には、価格パターン140aの「¥120」の文字の左右両側に縦線からなる区画パターン140bが印刷されている。この区画パターン140bは、価格表示体140をなす光透過板の面を左右複数個に区画している。区画パターン140bで囲まれて価格パターン140aを有する透明領域は、ディスプレイ台70の前面部721に設けた各透光穴74に重なるように形成されている。また、価格表示体140には開口部140cが形成されており、この開口部140cは後述するように冷温パターン表示体120を手動で回動させる際に利用されるものである。
【0009】
前記価格表示体140は、図9に示すように、ディスプレイ台70における固定部材72の前面部721のガイド部721aに装着され、冷温パターン表示体120の前面を覆っている。また、価格表示体140の区画パターン140bにより囲まれた透明領域が前面部721の各透光穴74に重ねて配置されることにより、価格表示体140は各透光穴74の位置に対応した冷温パターン表示体120の冷温パターン120aを透過するとともに、その冷温パターン120aの下位置に価格パターン140aを表示する。
【0010】
次に、前記固定部材72の左右側壁724,724に形成された異形溝75の形状を図12に示す。図12は固定部材72の右側面図であり、固定部材の右側壁724には、上面部722に向けて一部が開放した異形溝75が形成されている。ここで、異形溝75は、載置台71の左右側壁712に取付けたピン73を回転可能に軸支する前半域の円弧状溝部75aと、該円弧状溝部75aに連ねて後半域に形成したスライド溝部75bと、前記円弧状溝部75aとスライド溝部75bとの中間位置から固定部材72の上面部722との間に切欠き開口したピン73の挿脱溝部75cとを組合せた形状になる。前記挿脱溝部75cの上端は固定部材72の上面部722に切り込みを入れて下方に折り曲げた保護片725により開口されており、当該開口を通してピン73が挿脱される。前記保護片725は固定部材72の左右端から折り返して配設された冷温パターン表示体120の外側に位置しており、異形溝75の挿脱溝部75cを介してピン73を挿脱する際、当該ピン73が冷温パターン表示体120に接触して冷温パターン表示体120を傷付けたり、切断してしまうのを防止する。
【0011】
次に、図8に示すディスプレイ台70の自動販売機のディスプレイ室50(図7参照)への取付けについて説明する。まず、固定部材72に冷温パターン表示体120、価格表示体140及び蛍光灯13を装着した後、図9に示すように、固定部材72の後面部723に形成された係止片723aを中扉60に設けた穴(不図示)に挿入して固定部材72を中扉60に係止する。そして、中扉60に固定された固定部材72に載置台71を次のように装着する。すなわち、載置台71の左右側壁712に設けたピン73が固定部材72の左右側壁724に形成した異形溝75の挿脱溝部75cに対峙するように載置台71を固定部材72の上方から被せる。そして、載置台71の左右側壁712に設けたピン73を当該挿脱溝部75cを通して異形溝75に挿入し、前記ピン73が異形溝75のスライド溝部75bに係合するように載置台71を後方に向けてスライドさせる。前記ピン73が固定部材72の異形溝75のスライド溝部75bに係合するとピン73が挿脱溝部75cから抜け出るのが阻止され、この状態で載置台71が固定部材72に固定されてディスプレイ台70が形成される。
【0012】
次に、前述したように中扉60に固定された固定部材72に載置台71を組付けて形成されたディスプレイ台70における冷温パターンの切り替えについて説明する。冷温パターンの切り替えは、自動販売機の外扉20を開放した後、外扉20に閉扉状態にロックされた中扉60を開放してディスプレイ台70の前面を露出させる。そして、ディスプレイ台70に装着された価格表示体140の開口部140c(図11参照)に指を当て、当該開口部140cを介して冷温パターン表示体120を左右方向に周回させる。ここで、冷温パターン表示体120は、図9に示すように、固定部材72のガイド部721aおよびガイド部723bに保持されてフリーな状態にあるため、価格表示体140の開口部140cを介して指により容易に周回させることができる。このように、指で冷温パターン表示体120を周回させることにより冷温パターン表示体120の冷温パターン120aが周回送り方向に移動して商品の商品見本80に対応した冷温パターン表示体120の冷温パターン120aが切り替えられる。なお、冷温パターン表示体120はフリーな状態で固定部材72に装着されているが、冷温パターン表示体120が比較的長い帯状であることから振動などにより冷温パターン表示体120が周回することはない。
【0013】
【特許文献1】特開2005−293457号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ところで、従来の自動販売機の冷温表示装置においては冷温パターン表示体120がディスプレイ台70を構成し、中扉60に固着される固定部材72に掛け渡して設けられている。これは冷温パターン表示体120のように周回する部材は固定された部材に装着するという設計思想のもとに中扉60に固定した固定部材72に装着するように設計されているためである。このように、冷温パターン表示体120がディスプレイ台70を構成する固定部材72に掛け渡して設けられていることから次のような問題を有する。
その第1は冷温パターン表示体120の交換作業が困難なことである。これは、固定部材72の内部には蛍光灯13が配設され、この蛍光灯13を保持する左右一対のソケットの取付金具が中扉60に固着されていることから前記ソケットの取付金具を取り外して冷温パターン表示体120を交換するか、前記ソケットの取付金具を取り外さない場合には、固定部材72の箱内で冷温パターン表示体120をソケット(蛍光灯13)と固定部材72の上面部722の間を潜らせて交換しなければならない。したがって、冷温パターン表示体120の交換作業が煩雑で手間がかかるという問題を有する。
そして第2にはディスプレイ台70の背後の清掃や載置台71に載置された商品見本80を交換する作業の際に冷温パターン表示体120が破損するおそれがあることである。これはディスプレイ台70の背後の清掃や載置台71に載置された商品見本80を交換するために載置台71を前傾姿勢に傾倒させる際、載置台71の左右側壁712には内方に向かって突出するようにピン73(回転軸)が設けられており、このピン73(回転軸)が冷温パターン表示体120に引っ掛かると、冷温パターン表示体120に傷が付いたり破損してしまうおそれがある。これは、載置台71を固定部材72から着脱する際にも生じる問題である。
【0015】
本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、その目的は前記課題を解決し、冷温パターン表示体の交換作業を容易に行うことが可能な自動販売機の冷温表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために本発明によれば、庫内に収納された商品を温蔵,冷蔵状態に保存して販売する自動販売機であって、ディスプレイ台上に左右に並べて一列に載置された複数の商品見本に対応して冷温パターンを表示する自動販売機の冷温表示装置において、前記ディスプレイ台を前記複数の商品見本を載置する載置台とこの載置台を保持する固定部材とに分割し、前記載置台を固定部材に対して着脱自在に設け、ディスプレイ台に載置された一列分の商品見本に対応した冷温パターンがそれぞれ表示された無端の冷温パターン表示体を設け、前記ディスプレイ台を構成する載置台に載置された一列分の商品見本に対応した冷温パターンがディスプレイ台の前面に表示されるように前記冷温パターン表示体を前記ディスプレイ台を構成する載置台にその左右両端で折り返して掛け渡し、前記ディスプレイ台の前面から前記冷温パターン表示体を手動操作することを特徴とする(請求項1)。
【0017】
また、本発明によれば、ディスプレイ台における載置台はその左右両端部に冷温パターン表示体の内周に当接するガイド部材を設けることができ(請求項2)、さらに、ディスプレイ台における固定部材を断面コ字形に形成し、前面側脚片の冷温パターン表示体と対向する位置に冷温パターン表示体を周回させる際の逃げ部となる段差部を形成することができる(請求項3)。
【0018】
そしてまた、本発明によれば、ディスプレイ台の前面に表示された冷温表示パターンに重ねてディスプレイ台に載置された一列分の商品見本に対応した価格が表示された価格表示体を設けることができ(請求項4)、この場合、前記価格表示体は冷温パターン表示体の幅と略同一に形成され、価格表示部を除く少なくとも一部に開口を設けることができ(請求項5)、また、前記開口を複数の冷温パターンに跨る大きさとすることができる(請求項6)。
【発明の効果】
【0019】
前述したように構成された請求項1に記載した発明によれば、ディスプレイ台の前面に露出した冷温パターン表示体を手動操作することによってディスプレイ台に載置された一列分の商品見本に対応した冷温パターを一括して切り替えることができ、また、冷温パターン表示体はディスプレイ台を利用してそのディスプレイ台にフリー状態で架け渡して保持しておくのみでよく、また、ディスプレイ台を構成する固定部材が載置台の左右両端を支持する部材のみでよいことから部品点数を削減できるのでコストの低減を図ることができるという効果を維持しつつ、冷温パターン表示体の交換を容易に行うことができるので保守・点検の作業性が向上するという効果を有する。
また、請求項2、3に記載した発明によれば、冷温パターン表示体をスムーズに周回させることができる。
また、請求項4に記載した発明によれば、価格表示体が冷温パターン表示体の脱落を防止する部材として兼用され、請求項5に記載した発明によれば、価格表示体の前方から冷温パターン表示体を手動操作して周回送りすることができ、請求項6に記載した発明によれば、冷温パターン表示体の周回送りを一気呵成に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図1〜図3に示す実施例に基づいて説明する。なお、実施例の図中で図7〜図13に対応する部材には同じ符号を付してその説明は省略する。
図1はディスプレイ台を示す分解斜視図である。ディスプレイ台1は、商品見本を載置する載置台11と、この載置台11が上方から被さるように組付けられる固定部材12とからなる。前記載置台11は上面部111と、この上面部111の両端から下方に延在された左右側壁112,112と、前面部113および後面部114(図3参照)を有して下方が開放する横断面略コ字形に形成されている。前記上面部111には係合穴1Aが左右方向に複数、この例では12個並設され、それぞれの係合穴1Aに商品見本が嵌合保持される。また、前記載置台11の左右側壁112,112には従来装置と同様にそれぞれ内側に向かって突出するピン73が取付けられている。さらに、前記載置台11の前面部113には各商品見本に対応して複数、この例では12個の透光穴11Aが設けられ、そして、この前面部113の下端には、図3の断面図に示すように、前方側に折り曲げて形成したガイド部113aが長手方向に延在して設けられている。一方、載置台11の後面部114にも前方側に折り曲げて形成したガイド部114aが設けられている。このガイド部114aもガイド部113aと同様に載置台11の長手方向に延在して形成されている。
【0021】
前記載置台11とともにディスプレイ台1を構成する左右一対の固定部材12は平面断面が略コ字形に形成され、この固定部材12には、従来装置と同様に、上面に向けて一部が開放した異形溝12aが形成されている。この異形溝12aの開放部は載置台11の左右側壁112,112に取付けられたピン73が通過可能な大きさに形成されており、前記固定部材12の上方から固定部材12に被せるように載置台11を組付ける際、異形溝12aの開放部を通してピン73が異形溝12a内に挿入される。この左右一対の固定部材12は図8に示す従来の固定部材72の左右側壁724に相当する部材であり、従来の固定部材72に対して大幅にコストダウンを図ることができ、また、従来の固定部材72の上面部722は桟722aを残して開口されていることから歩留まりが悪いのに比して歩留まりの点でも優れている。
【0022】
前記横断面コ字形の固定部材12における後方側の脚片には、図3に示すように、切り起こしにより形成した複数、この例では上下2個の係止片121が形成され、この係止片121は中扉60(図7参照)に設けた穴(不図示)に挿通係止される。これにより、固定部材12が中扉60に取付けられる。この固定部材12の中扉60への係止方法と同様な方法により蛍光灯13が装着されるソケットを有する左右一対の蛍光灯取付金具14が中扉60に係止される。すなわち、左右一対の蛍光灯取付金具14の脚片141には左右方向に切り起こされた2個の係止片142(図3では手前の係止片142が示され、もう一つの後方側の係止片は手前側の係止片142に隠れて見えない)が形成され、これらの係止片142に対応して設けた中扉60の穴(不図示)に挿通係止される。
【0023】
ディスプレイ台1を構成する載置台11には、商品見本の冷温状態を表す冷温パターン表示体120が収設される。この冷温パターン表示体120は透光性フィルムからなる無端の帯状体として形成されている。この冷温パターン表示体120は従来装置と同様に形成され、これを図10を参照して説明すれば、その外面における周方向に沿った上方域には、自動販売機の商品収納室(図示せず)に収納した商品の冷蔵・温蔵状態を表す冷温パターン120aが施してある。商品の冷蔵状態を表す冷温パターン120aは、1パターンの単位として白抜きの文字(例えば「つめた〜い」)の背景に寒色の背景色(例えば青色)が印刷されている。また、商品の温蔵状態をあらわす冷温パターン120aは、1パターンの単位として白抜きの文字(例えば「あったか〜い」)の背景に暖色の背景色(例えば赤色)が印刷されてある。なお、冷温状態をあらわす複数の冷温パターン120aと、温蔵状態をあらわす複数の冷温パターン120aとが図10中に一点鎖線で示す境目120bを境にして無端状の帯状体における周方向の略半周分ずつ施してある。なお、図10に示した従来装置では冷温パターン120aが冷温パターン表示体120の上方域に印刷されているが、この実施例の場合には後述する価格表示体140との関係で下方域に印刷されているものである。
【0024】
前記冷温パターン表示体120は、図3に示すように、ディスプレイ台1を構成する載置台11の前面部113の前側および後面部114の前側を通るように載置台11の左右端で折り返して掛け渡される。すなわち、冷温パターン表示体120は下方が開放する横断面略コ字形に形成された載置台11の下方側から載置台11に装着される。この場合、載置台11の前面部113の両端と左右側壁112,112との間には隙間G(図1参照)が形成されており、その隙間Gを通して冷温パターン表示体120は載置台11に装着され、その装着状態において冷温パターン表示体120の前方側が載置台11の前面部113の下端に設けたガイド部113aにより支持され、また、冷温パターン表示体120の後方側が載置台11の上面部111の下面と後面部114に設けたガイド部114aとの間に支持される。また、冷温パターン表示体120は載置台11の左右端で折り返して配設されるため、蛍光灯13が取付けられるソケットを有する蛍光灯取付金具14は前記隙間Gよりも内側に取付けられている。なお、載置台11の前面部113の両端と左右側壁112,112との間に形成された隙間Gは、後述する価格表示体140によって覆われる。
【0025】
前述のように載置台11に装着された冷温パターン表示体120において、載置台11の前面部113の前側を通る略半周分の冷温パターン表示体120の各冷温パターン120aは、前面部113に設けた各透光穴11Aの位置に対応する。これにより、冷温パターン表示体120の冷温パターン120aは載置台11に載置される各商品見本に対応して商品の冷蔵・温蔵状態を表すことになる。この際、ディスプレイ台1の箱内にある蛍光灯13の光が透光穴11Aを介して透光性フィルムからなる冷温パターン表示体120を透過することで冷温パターン120aの文字および背景色が明るく表示される。なお、蛍光灯13の光は載置台11の上面部111の係合穴を通して商品見本の内部に導入され、光透過材からなる商品見本を内側から照明して商品見本を発光させる。
【0026】
さらに、ディスプレイ台1には、商品の価格情報を表示する価格表示体140が設けられている。価格表示体140は載置台11の前面部113の左右方向に沿うように横長で、冷温パターン表示体120の幅に略一致する幅の短冊状に形成された光透過板からなり、その前面の上方域には商品の価格情報を表す価格パターン140a(例えば「¥120」の文字)が印刷してあり、下方域には開口140cが形成されており、この開口140cから冷温パターン表示体120の冷温パターン120aが表示される。前記価格パターン140aは、その左右方向にディスプレイ台10に載置した商品見本に対応するように複数、この例では12個設けてある。なお、価格表示体140の前面には、従来装置と同様に、価格パターン140aの「¥120」の文字の左右両側に縦線からなる区画パターン140bが印刷されている。この区画パターン140bは、価格表示体140をなす光透過板の面を左右複数、この例では12個に区画している。区画パターン140cで囲まれた価格パターン140aと開口140cの領域は、載置台11の前面部113に設けた各透光穴11Aに重なるように形成されている。
【0027】
前記価格表示体140は、図3に示すように、ディスプレイ台1における載置台11の前面部113のガイド部113aにその下端を挿入することにより、載置台11の前面部113に沿うように装着される。そして、価格表示体140は冷温パターン表示体120の前面に位置して当該冷温パターン表示体120を保護している。また、価格表示体140の区画パターン140bにより囲まれた透明領域が載置台11の前面部113の各透光穴11Aに重ねて配置されることにより、価格表示体140は各透光穴11Aの位置に対応した冷温パターン表示体120の冷温パターン120aを透過するとともに、その冷温パターン120aの上位置に価格パターン140aを表示する。
【0028】
次に、図1に示すディスプレイ台1の自動販売機のディスプレイ室50(図7参照)への取付けについて説明する。まず、載置台11に冷温パターン表示体120および価格表示体140を装着して載置台11に冷温パターン表示体120および価格表示体140を組み付けておく。すなわち、下方が開放する横断面略コ字形に形成された載置台11の下方側から冷温パターン表示体120を組み付ける。この場合、無端の冷温パターン表示体120の前方側が載置台11における前面部113のガイド部113aに案内され、冷温パターン表示体120の後方側が載置台11における後面部114のガイド部114aに案内され、そして、冷温パターン表示体120が載置台11の前面部113の両端と左右側壁112,112との間に形成された隙間Gを通って周回するように組み付ける。そして、載置台11における前面部113のガイド部113aに案内される冷温パターン表示体120の前面に価格表示体140を装着して載置台アセンブリーを構成しておく。
【0029】
次に、中扉60に左右一対の固定部材12を取付ける。この取付けは、左右一対の固定部材12における後方側の脚片に形成された係止片121を中扉60に設けた穴(不図示)に挿入して係止することにより行われる。同様に、左右一対の蛍光灯取付金具14が、その脚片141に形成された係止片142を中扉60の穴(不図示)に挿通して係止される。前述のようにして中扉60に固定された固定部材12に載置台11を装着する。この装着方法は従来と同様であり、載置台11の左右側壁112に設けたピン73を固定部材12に形成した異形溝12aの上面に向けて一部が開放した開放部に対峙するように載置台11を固定部材12にその上方から被せる。そして、載置台11の左右側壁112に設けたピン73を当該開放部を通して異形溝12aに挿入することにより、図2に示すように、載置台11が固定部材12に一体化されてディスプレイ台1が形成される。なお、載置台11には予め商品見本を取付けていてもよく、また、載置台11を固定部材12に装着した後に商品見本を取付けてもよいものである。
【0030】
次に、前述したように中扉60に固定された固定部材12に載置台11を組付けて形成されたディスプレイ台1における冷温パターンの切り替えについて説明する。冷温パターンの切り替えは、自動販売機の外扉20(図7参照)を開放した後、外扉20に閉扉状態にロックされた中扉60を開放してディスプレイ台1の前面を露出させる。そして、ディスプレイ台1に装着された価格表示体140のいずれかの開口140c(図1参照)に指を当て、当該開口部140cを介して冷温パターン表示体120を左右方向に周回させる。ここで、冷温パターン表示体120は、図3に示すように、載置台11の前面部113におけるガイド部113aおよび後面部114におけるガイド部114aに保持されてフリーな状態にあるため、価格表示体140の開口140cを介して指により容易に周回させることができる。このように、指で冷温パターン表示体120を周回させることにより冷温パターン表示体120の冷温パターン120aが周回送り方向に移動して商品見本に対応した冷温パターン表示体120の冷温パターン120aが切り替えられる。
【0031】
次に、冷温パターン表示体120の交換について説明する。この冷温パターン表示体120の交換は、自動販売機の外扉20を開放した後、外扉20に閉扉状態にロックされた中扉60を開放してディスプレイ台1の前面を露出させる。そして、ディスプレイ台1として組付けられた載置台11を固定部材12から取り外す。この取り外しは、載置台11の左右側壁112に設けたピン73を固定部材12に形成した異形溝12aの上方に開放した開放部を介して異形溝12aから離脱させることにより行うことができる。載置台11を固定部材12から取り外すと載置台11の下方が開放されるので、載置台11への冷温パターン表示体120の取付けと逆の手順で載置台11から冷温パターン表示体120を取り外すことができる。なお、載置台11から冷温パターン表示体120の取り外しに先立って価格表示体140を取り外しておくことは言うまでもない。
【0032】
次に、本発明の異なる実施の形態を図4(a)(b)に示す実施例に基づいて説明する。図4はディスプレイ台1の右端側を拡大して示し、(a)は載置台11を固定部材12に組付けた状態の斜視図、(b)は固定部材12の斜視図であり、図1〜図3に示す実施の形態と同一又は同一の機能を有するものには同一の符号を付してその説明は省略する。なお、図4では図解し易くするため、価格表示体140は一点鎖線で示し、冷温パターン表示体120の冷温パターンの文字は省略している。
図4において、11で再び載置台を示し、この載置台11の上面部111における右端の略中央には切り起しによりガイド片150が形成されるとともに後方側にガイド棒151が形成されている。このガイド片150またはガイド棒151が請求項2のガイド部材を構成する。前記ガイド棒151はプラスチックにより形成され、載置台11の上面部111に開けられた穴(図ではガイド棒151に隠れて見えない)に上方から差し込まれて固着されている。前記ガイド片150およびガイド棒151は載置台11に左右で折り返して架け渡された冷温パターン表示体120の内周壁に摺接するように配置位置が定められるとともにその長さ寸法が定められ、冷温パターン表示体120が周回する際にその右端が湾曲状態を維持して周回するように冷温パターン表示体120を案内するものである。図では示していないが、載置台11の左端側にもガイド片150と同様なガイド片が切り起しにより形成され、また、ガイド棒151と同様なガイド棒が設けられている。
【0033】
平面断面が略コ字形に形成された固定部材12は、図4(b)に示すように、前方側の脚片の上部側を切り欠いて段差部12bを形成している。この段差部12bは冷温パターン表示体120を周回させる際の冷温パターン表示体120の逃げ部として形成されている。すなわち、冷温パターン表示体120は載置台11への取付けや交換作業を容易に行うことができるように遊びをもって載置台11に装着されていることから、価格表示体140の開口140c(図1参照)から冷温パターン表示体120に指を当てて周回(例えば、右方向)させる際、冷温パターン表示体120の右端側では載置台11の前面側から後面側に回り込もうとする箇所において引き込み量よりも押し込み量が多くなって冷温パターン表示体120の周回軌道が外側に膨らんでしまう現象が起きる。このため、固定部材12に段差部12bがない場合には外側に膨らんだ冷温パターン表示体120が固定部材12の脚片に衝突してしまい、これによって冷温パターン表示体120が変形してスムーズに周回することが妨げられたり、冷温パターン表示体120に傷がついたりするおそれがある。かかる点、固定部材12に段差部12bを設けたことにより冷温パターン表示体120が周回軌道から外れて外側に膨らんだ場合にも段差部12bの逃げによって冷温パターン表示体120が固定部材12の脚片に邪魔されずに外側に膨らむことができる。したがって、冷温パターン表示体120の周回が固定部材12によって邪魔されることがないので、冷温パターン表示体120の周回をスムーズに行うことができる。
【0034】
なお、図4(a)における1Bは載置台11の上面部111に塵埃が溜まるのを防止する塵埃溜まり防止穴、113bは載置台11の前面部113の下端に設けたガイド部113aに装着された価格表示体140の脱落を防止する脱落防止片、12cは固定部材12の前面側の脚片に設けられるとともに、商品選択ボタンユニット90(図7)の取付金具と対峙する位置に配設されたプラスチック製のクランプである。前記脱落防止片113bは価格表示体140を保持することから価格表示体140をディスプレイ台1に装着することによって冷温パターン表示体120の脱落をより一層確実なものとすることができる。また、前記クランプ12cは商品選択ボタン90aが強く押されて透明板40が撓んだ際に商品選択ボタンユニット90の取付金具と当接するように構成され、透明板40の撓みを防止して商品選択ボタン90aの押圧操作が安定して行えるようにしている。
【0035】
前述した図4に示す実施の形態においては、載置台11の上面部111の左右両端に、載置台11に左右で折り返して架け渡された冷温パターン表示体120の内周壁に摺接するように配置されたガイド片150およびガイド棒151を設けたことにより、冷温パターン表示体120を周回させる際に冷温パターン表示体120の左右両端が湾曲状態を維持して周回するように冷温パターン表示体120を案内することができるので、冷温パターン表示体120のスムーズな周回に寄与するものである。また、固定部材12における前面側の脚片における上部側を切り欠いて段差部12bを形成したことにより、冷温パターン表示体120を手動操作により周回させる際に冷温パターン表示体120が周回軌道から外れて外側に膨らんだ場合にも冷温パターン表示体120の外側への膨らみを逃がすことができ、これによって、冷温パターン表示体120の周回をスムーズに行うことができるものである。
なお、図4の実施形態においては載置台11の上面部111における左右両端にガイド片150およびガイド棒151を設けたものについて説明したが、ガイド片150若しくはガイド棒151のいずれか一方のみを設けることによっても冷温パターン表示体120のスムーズな周回を行わせることができる。
【0036】
次に、本発明の異なる実施の形態を図5(a)(b)に示す変形例に基づいて説明する。図5はディスプレイ台1の右端側を拡大して示すものであり、図4に示す実施の形態と同一又は同一の機能を有するものには同一の符号を付してその説明は省略する。
図5(a)に示す変形例が図4に示す実施の形態と異なる点は、図4に示した実施の形態においては載置台11の上面部111における左右両端にガイド片150およびガイド棒151を設けているのに対し、図5(a)の変形例では、図4のガイド棒151に代えて切り起しにより形成されたガイド片152を設けた点である。このようにガイド片152を設けた場合にはガイド片150およびガイド片152の両方を切り起しにより形成することができるので部品点数を削減できるものである。また、図5(b)に示す変形例が図4に示す実施の形態と異なる点は、図4のガイド片150に代えてガイド棒151と同様なガイド棒153を設けた点である。この図5(b)に示した変形例では次のような利点を有する。すなわち、図4に示したガイド片150は切り起しにより形成されることからガイド片150の周縁にはバリが発生する。このため、ガイド片150の場合にはバリ取り作業が必要となことから作業工数が増加してしまうのに対してガイド棒150,513の場合にはそのバリ取り作業を必要としないので作業工数を削減できるものである。
【0037】
次に、本発明の異なる実施の形態を図6に示す実施例に基づいて説明する。図6は価格表示体140の斜視図であり、図1に示す実施の形態と同一又は同一の機能を有するものには同一の符号を付してその説明は省略する。
図6に示す価格表示体140が図1に示すものと異なる点は価格表示体140の左右両端に設けた開口140dの点である。すなわち、図1に示した価格表示体140が商品の価格情報を表す価格パターン140a(例えば「¥120」の文字)に対応して開口140cがそれぞれ形成(図1の例では12個)されているのに対し、図6では複数個の価格パターン140aに跨った開口140dを設けている。言い換えれば、図1の実施形態ではそれぞれの商品見本に対応する個別の冷温パターンごとに開口を形成していたのに対して図6の実施形態では価格表示体140の左右両端に複数の冷温パターンに跨って一個の開口140dを設けている。
【0038】
前述した図6に示す実施形態によれば、複数の冷温パターンに跨る開口140dを設けたことによって冷温パターン表示体120(図1,2参照)の切り替えを一気呵成に行うことができる。つまり、冷温パターン表示体120の切り替えは開口140dから冷温パターン表示体120に指を押し当てて周回させるのであるが、図1,2に示すように価格表示体140の開口140cが商品見本ごとに開口されている場合、開口140cから冷温パターン表示体120に指を押し当てて冷温パターン表示体120を周回させる量は精精一つの冷温パターン分である。これは開口140cが区画パターン140bによって区切られていることから開口140cに指を押し当てて冷温パターン表示体120を周回させる途中で指が区画パターン140bに当接するからである。一方、自動販売機における冷蔵/温蔵兼用の商品収納庫は冬季期間には全ての商品を温蔵、夏季期間には全ての商品を冷蔵、その間の期間には温蔵と冷蔵の商品を半々に設定することが多く、このような場合には冷温パターン表示体120の切り替え量が冷温パターン表示体120を1/4周回させる量となる。したがって、図1,2の実施形態では開口140cから冷温パターン表示体120に指を押し当てて周回させる作業を繰り返し行う必要がある。
かかる点、図6の実施形態によれば、複数の冷温パターンに跨る開口140dによって冷温パターン表示体120を一気に周回させることができ、図示例のように開口140dが3個の商品見本に跨って形成されている場合には開口140dの左端から冷温パターン表示体120に指を押し当てて開口140dの右端まで移動操作すれば三パターン分を一気に周回させることができる。したがって、この実施の形態においては冷温パターン表示体120の切り替え操作を容易に行うことができるものである。
【0039】
図6の実施の形態では複数の冷温パターンに跨る開口140dを設けたことから、図1の価格表示体140に示した区画パターン140bを印刷していないが、隣接する冷温パターン(若しくは価格パターン)の間の区画は価格表示体140を載置台11に装着した際、載置台11の透光穴11Aを形成する窓枠によって行われる。このように、前記窓枠が区画パターンの機能を果たすことから価格表示体140に区画パターンを印刷しなくても実用上の問題はないものである。
なお、図6の実施形態では価格表示体140の左右両端に複数の冷温パターンに跨る開口140dを設け、両開口140dの間には開口を形成していない例を説明したが、両開口140dの間に価格パターン140aに対応して個別の開口を設けてもよく、また、中央にも複数の冷温パターンに跨る開口140dを形成してもよいものである。
【産業上の利用可能性】
【0040】
この発明の自動販売機の冷温表示装置は、缶,瓶,ペットボトルなどの商品を冷蔵,温蔵状態に区分して保存し、外扉のディスプレイ室内に設置したディスプレイ台上に複数の商品見本を左右に並べて展示し、商品見本に対応する商品選択ボタンの操作により対応する商品を販売する自動販売機において、前記商品見本に対応して商品の冷温状態を表示するのに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の実施の形態にかかる自動販売機の冷温表示装置におけるディスプレイ台を示す分解斜視図である。
【図2】図1におけるディスプレイ台の組立状態を示す外形斜視図
【図3】ディスプレイ台の側面断面を示す拡大図である。
【図4】本発明の異なる実施の形態におけるディスプレイ台の右端側の拡大図であり、(a)は載置台11を固定部材12に組付けた状態の斜視図、(b)は固定部材12の斜視図である。
【図5】図4におけるディスプレイ台の変形例を示し、(a)および(b)はそれぞれ載置台の右端を示す斜視図である。
【図6】本発明の異なる実施の形態における価格表示体の正面図である。
【図7】本発明が対象とする自動販売機の一例を示す斜視図である。
【図8】従来装置におけるディスプレイ台を示す分解斜視図である。
【図9】図8におけるディスプレイ台の側面断面を示す拡大図である。
【図10】図8における冷温パターン表示体を示す斜視図である。
【図11】図8における価格表示体を示す正面図である。
【図12】図8におけるディスプレイ台を構成する固定部材の右側面図である。
【図13】図8におけるディスプレイ台の載置台を前傾姿勢に傾倒させた状態を示す右側面図である。
【符号の説明】
【0042】
1 ディスプレイ台
11 載置台
12 固定部材
12a 異形溝
12b 段差部
14 蛍光灯取付金具
73 ピン
120 冷温パターン表示体
120a 冷温パターン
140 価格表示体
140a 価格パターン
140d 開口
150,152 ガイド片(ガイド部材)
151,153 ガイド棒(ガイド部材)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
庫内に収納された商品を温蔵,冷蔵状態に保存して販売する自動販売機であって、ディスプレイ台上に左右に並べて一列に載置された複数の商品見本に対応して冷温パターンを表示する自動販売機の冷温表示装置において、
前記ディスプレイ台を前記複数の商品見本を載置する載置台とこの載置台を保持する固定部材とに分割し、前記載置台を固定部材に対して着脱自在に設け、
ディスプレイ台に載置された一列分の商品見本に対応した冷温パターンがそれぞれ表示された無端の冷温パターン表示体を設け、
前記ディスプレイ台を構成する載置台に載置された一列分の商品見本に対応した冷温パターンがディスプレイ台の前面に表示されるように前記冷温パターン表示体を前記ディスプレイ台を構成する載置台にその左右両端で折り返して掛け渡し、前記ディスプレイ台の前面から前記冷温パターン表示体を手動操作することを特徴とする自動販売機の冷温表示装置。
【請求項2】
ディスプレイ台における載置台はその左右両端部に冷温パターン表示体の内周に当接するガイド部材を有することを特徴とする請求項1に記載の自動販売機の冷温表示装置。
【請求項3】
ディスプレイ台における固定部材は断面コ字形に形成され、前面側脚片の冷温パターン表示体と対向する位置に冷温パターン表示体を周回させる際の逃げ部となる段差部を有することを特徴とする請求項2に記載の自動販売機の冷温表示装置。
【請求項4】
ディスプレイ台の前面に表示された冷温表示パターンに重ねてディスプレイ台に載置された一列分の商品見本に対応した価格が表示された価格表示体を有することを特徴とする請求項1に記載の自動販売機の冷温表示装置。
【請求項5】
価格表示体は冷温パターン表示体の幅と略同一に形成され、価格表示部を除く少なくとも一部に開口を有することを特徴とする請求項4に記載の自動販売機の冷温表示装置。
【請求項6】
価格表示体の開口は複数の冷温パターンに跨る大きさに形成したことを特徴とする請求項2に記載の自動販売機の冷温表示装置。
【請求項1】
庫内に収納された商品を温蔵,冷蔵状態に保存して販売する自動販売機であって、ディスプレイ台上に左右に並べて一列に載置された複数の商品見本に対応して冷温パターンを表示する自動販売機の冷温表示装置において、
前記ディスプレイ台を前記複数の商品見本を載置する載置台とこの載置台を保持する固定部材とに分割し、前記載置台を固定部材に対して着脱自在に設け、
ディスプレイ台に載置された一列分の商品見本に対応した冷温パターンがそれぞれ表示された無端の冷温パターン表示体を設け、
前記ディスプレイ台を構成する載置台に載置された一列分の商品見本に対応した冷温パターンがディスプレイ台の前面に表示されるように前記冷温パターン表示体を前記ディスプレイ台を構成する載置台にその左右両端で折り返して掛け渡し、前記ディスプレイ台の前面から前記冷温パターン表示体を手動操作することを特徴とする自動販売機の冷温表示装置。
【請求項2】
ディスプレイ台における載置台はその左右両端部に冷温パターン表示体の内周に当接するガイド部材を有することを特徴とする請求項1に記載の自動販売機の冷温表示装置。
【請求項3】
ディスプレイ台における固定部材は断面コ字形に形成され、前面側脚片の冷温パターン表示体と対向する位置に冷温パターン表示体を周回させる際の逃げ部となる段差部を有することを特徴とする請求項2に記載の自動販売機の冷温表示装置。
【請求項4】
ディスプレイ台の前面に表示された冷温表示パターンに重ねてディスプレイ台に載置された一列分の商品見本に対応した価格が表示された価格表示体を有することを特徴とする請求項1に記載の自動販売機の冷温表示装置。
【請求項5】
価格表示体は冷温パターン表示体の幅と略同一に形成され、価格表示部を除く少なくとも一部に開口を有することを特徴とする請求項4に記載の自動販売機の冷温表示装置。
【請求項6】
価格表示体の開口は複数の冷温パターンに跨る大きさに形成したことを特徴とする請求項2に記載の自動販売機の冷温表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−293237(P2007−293237A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−178994(P2006−178994)
【出願日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【出願人】(000237710)富士電機リテイルシステムズ株式会社 (1,851)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【出願人】(000237710)富士電機リテイルシステムズ株式会社 (1,851)
【Fターム(参考)】
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