説明

自動販売機の商品収納装置

【課題】商品払出機構の付勢手段を大型化することなく商品を確実に払出すことができる簡単かつ容易な自動販売機の商品収納装置を得る。
【解決手段】常時はフラッパ15およびストッパ16を販売待機位置に拘束保持し、ソレノイド17の作動を受けてフラッパ15およびストッパ16の拘束を釈放するロック機構18により構成し、販売指令に基づく動作で商品通路から退避したフラッパ15により最下位の商品を傾倒させて当該商品を商品自体の自重によってフラッパ15上を滑落させて払出すとともに、前記ストッパ16が傾倒した商品により生じたスペースに突出して最下位から2番目以降の商品をストッパ16とラック側壁面2aとにより一時保持し、商品の払出し後にフラッパ15およびストッパ16を当初の位置に戻して販売待機状態に復帰させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ラックケースに紙パック,缶,ビン,ペットボトルなどの各種商品を上下に積み上げ収納して販売する自動販売機の商品収納装置に関する。
【背景技術】
【0002】
頭記の商品収納装置は、商品収納ラックのラックケース内に画成した商品通路に商品を上下に直に積み重ねて収納する直積み式商品収納装置と呼ばれて周知であり(例えば、特許文献1参照)、その従来における商品収納装置(従来例1)の構成および商品払出し動作を図7〜図9に示す。
図7において、1は商品収納装置であり、断面がコ字状で一側面および底面を開放した箱形のラックケース2と、このラックケース2の内部を二つのコラム(商品通路)3,4に分割するケース中央の仕切部5と、仕切部5の下部に配設された商品払出機構6からなり、前記各コラム3,4の側面開放部には商品の脱落を防止する扉(不図示)が設けられている。また、コラム3,4に対応してラックケース2の側壁面(仕切部5との対向壁面)の内側には、収納商品の容器サイズに合わせて商品通路幅を規制するスペーサ(サイドフィラーとも呼ばれる)2aが商品通路に沿って敷設されている。
【0003】
なお、前記の商品収納装置1は自動販売機の庫内に前方へ引出し可能に吊り下げて支持されており、商品収納装置内への商品補充は庫内から商品収納装置を引出した後、商品収納コラムの側面開放部を閉鎖している扉を開放して商品7をコラム3,4の商品通路内に充填して積み上げて収納する。
また、前記の商品払出機構6は、コラム3,4と個々に対応するフラッパ8,ストッパ9およびその制御駆動機構(詳細構造は後記する)から構成されている。ここで、フラッパ8は仕切部5側の端縁が支軸8aに回動自在に軸支されており、販売待機状態ではコラム3,4の出口端(下端)を閉塞して商品通路内に積み上げ収納された商品の最下位に並ぶ商品7aを販売待機位置に載置保持し、商品払出しの際に販売待機位置(水平姿勢)から退避位置(垂下姿勢)に回動して最下位の商品7aを下方に払出す。一方、ストッパ9はその上端が軸9aに回動自在に軸支され、販売待機状態では垂下姿勢で仕切部5の内側に退避しており、商品払出しの際に商品通路3,4に突出して最下位から2番目の商品7bを係止保持するとともに、最下位の商品払出し後は商品通路3,4から仕切部5の内側に退避していままで保持していた最下位から2番目以降の商品を販売待機位置(水平姿勢)に復帰しているフラッパ8の上に落下させる。また、フラッパ,ストッパの制御駆動機構は、販売指令により起動されるベンドモータ10と、このベンドモータ10のモータ軸11に連結され、フラッパ8およびストッパ9をコラム3,4の商品通路に向けて交互に突出させる制御カム12,13とからなる。なお、図8および図9はそれぞれ商品収納装置を下方から見た底面図であり、図8は販売待機状態、図9は図示左側のコラム3からの商品払出し状態を表している。
【0004】
次に、前記構成になる商品収納装置の商品払出し動作を説明すると、図8に示す販売待機状態では、半月状の制御カム12がコラム3,4の下端に設けられたそれぞれのフラッパ8の下面に張り出して各フラッパを水平姿勢に保持し、制御カム13はコラム3,4に対応するそれぞれのストッパ9の中間に位置して各ストッパを商品通路から退避(垂下姿勢)させている。
この状態から商品選択ボタンの操作により生じた販売指令を受けてベンドモータ10が起動されると、モータ軸11は図8の位置から時計方向に回転し、これに連動して制御カム12が時計方向に90度回転して左側コラム3のフラッパ8から後退する。また、制御カム12の回転と同期して制御カム13がほぼ同時に左側コラム3のストッパ9に当接し、当該ストッパ9をコラム3の商品通路に突出させる。これにより、図7で示すように左側のコラム3において、最下位から2番目の商品7bをラックケース2の側壁面に布設したスペーサ2aに押し付けて2番目以降の商品(最下位の商品7aの上位に積み上げた商品)が落下しないように保持する。一方、販売動作の開始から制御カム12が90度回転する直前までは制御カム12によって左側コラム3のフラッパ8は水平姿勢に保持されており、制御カム12の離脱によってフラッパ8の水平保持が解除されると、フラッパ8が下方に回動して商品通路を開放する。これにより最下位の商品7aがコラム3から下方に払出される。なお、払出された商品7aは不図示のシュータを介して外扉の商品取出口に搬出される。
【0005】
また、商品払出し後(図9参照)に、ベンドモータ10を再起動してモータ軸11を時計方向に90度回転させると、モータ軸の回転とほぼ同時に制御カム12が垂下姿勢に垂れ下がっているフラッパ8に当接して押し上げ、当該フラッパ8を商品通路3に突出させて水平姿勢に保持する。一方、制御カム13の回転が進むとストッパ9から離脱して当該ストッパは垂下姿勢になって商品通路から退避し、これによりいままでストッパ9により保持されていた最下位から2番目の商品7bの保持が解除され、最下位から2番目以降の商品が水平姿勢に復帰しているフラッパ8の上に落下して販売待機状態に戻る。なお、商品収納装置1のコラム3,4に異なる種類の商品を分けて収納している場合には、ベンドモータ10は商品払出し動作後に逆回転方向に起動し、モータ軸11を逆転させて待機状態に戻るように制御する。
【0006】
また、縦積み式の商品収納装置に関して、前記の図示構成とは別に、最下位の商品7aに対向するラックケース側壁面の内側に最下位の商品が進入可能な余剰スペースを作り、商品払出し動作でストッパを仕切部から商品通路に突出する際にフラッパに載置保持されている最下位の商品を前記余剰スペースに横移動させるとともに、最下位の商品が余剰スペースに移動した後に生じる商品通路の空きスペースに仕切部5から突出したストッパによって最下位から2番目以降の商品を下方から担持するようにした構成の商品収納装置(従来例2)も知られている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2002−183822号公報
【特許文献2】特開平11−31270号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述した従来例1(図7〜図9)の構成においては、ストッパ9により最下位から2番目の商品7bをラックケース1の側壁面に布設したスペーサ2aとの間に押え込み、当該商品の容器を押し潰して2番目以降の商品が落下しないように係止保持している。したがって、販売可能な商品は紙パックなどのように容器が押し潰し変形の可能なものに限定される。また、角形ペットボトルのような商品は商品がストッパを擦り抜けて下方に落下してしまうおそれがあり、さらに、商品容器の潰れ変形により傷が生じて商品価値が低下してしまう問題もある。
また、特許文献2に開示されている従来例2の構成においては、前記したような商品のストッパ擦り抜けや商品の傷つき問題を解決できるものの、フラッパに載置保持された最下位の商品を水平姿勢のフラッパ上で余剰スペースに横移動させねばならない。しかもこの状態では最下位から2番目以降の商品の荷重も同時にフラッパに加わることから、フラッパと最下位の商品との間の摩擦が商品払出し動作上での問題となり、その摩擦係数が大きくなればなるほどベンドモータの容量を大きくして商品を押す力を大きくしなければならず、このためにベンドモータを収容する仕切部が占有するスペースが大きくなってラックケースの商品収納効率が低下する。
【0008】
なお、前記したフラッパ/商品間の摩擦係数を小さくするため、フラッパの商品載置面に商品の横移動方向に沿った複数条のリブ条突起を設けて商品容器との当接面積を小さくすることも考えられるが、突起があるとフラッパの上に商品が落下した際に突起との衝突によって商品に傷がつくおそれがあり、また突起の高さが低い場合には商品補充などの際に庫内に侵入した外気により商品の容器表面に結露した水滴が商品とフラッパとの間の隙間に張り付いて商品を横移動する際の抵抗となってしまうなどの問題点がある。
この発明は、上記に鑑みてなされたものであり、商品払出機構の付勢手段として、容量の大きなベンドモータの代わりに小形な電磁ソレノイドで対応でき、また収納商品の容器をストッパで押圧変形させることなしに、商品払出し時には最下位の商品を2番目以降の商品から切り離して確実に払出すことができるように改良した自動販売機の商品収納装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1に係る自動販売機の商品収納装置は、ラックケース内に画成した商品通路に商品を上下に積み重ねて収納し、商品通路の下端側に配設した商品払出機構により最下位の商品から順次払出すようにした自動販売機の商品収納装置であり、前記ラックケースの出口側において最下位の商品に対応する領域の商品通路幅をラック側壁に向け部分的に広げて最下位の商品の進入を許容する余剰スペースを設けたものにおいて、
前記商品払出機構は、販売待機状態で商品通路の出口を閉塞して最下位の商品を販売待機位置に載置保持し、商品払出し時に下方へ回動して商品通路を開放するフラッパと、販売待機状態で商品通路から退避し、商品払出し時には前記フラッパと連動して商品通路に突出し、最下位から2番目以降の商品を下支えする回動式のストッパと、常時は前記フラッパを販売待機位置に拘束保持するロック機構と、販売指令により作動して前記ロック機構を釈放し、フラッパの拘束を解除する付勢手段とからなり、
前記付勢手段の作動でロック機構によるフラッパの拘束が解除されると、フラッパが商品通路を開放するよう回動して最下位の商品を傾倒させて払出すと共に、前記ストッパが最下位商品の払出しにより生じたスペースに突出してその上位に並ぶ2番目の商品を下支えし、2番目以降の商品をストッパとラック側壁面とにより積み上げ状態に保持するようにしたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項2に係る自動販売機の商品収納装置は、上記請求項1において、フラッパとストッパとが一体的に形成され、前記フラッパとストッパとが連動して回動することを特徴とする。
また、本発明の請求項3に係る自動販売機の商品収納装置は、上記請求項1において、フラッパとストッパとが独立部品として共通な支軸上で回動可能に軸支され、かつフラッパとストッパとが相対的に動き得るようにその相互間がばねを介してリンクされていることを特徴とする。
また、本発明の請求項4に係る自動販売機の商品収納装置は、請求項1において、付勢手段がプランジャ形のソレノイドであることを特徴とする。
また、本発明の請求項5に係わる自動販売機の商品収納装置は、フラッパを摩擦係数の低い材料により形成したことを特徴とする。
【0011】
さらに、本発明の請求項6に係わる自動販売機の商品収納装置は、フラッパの商品載置面を摩擦係数の低い樹脂によりコーティングしてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る上記構成の商品収納装置において、商品払出し時に作動する付勢手段がロック機構を釈放し、これによりフラッパが水平姿勢の販売待機位置から下方に回動して商品通路から退避すると、フラッパの上に載置保持されている最下位の商品は傾倒しながら下方に傾斜したフラッパ上を自重で滑降して払出される。この場合に、ラックケースの出口側に余剰スペースを設けて商品通路幅を部分的に拡大しておくことにより、フラッパ上を滑降して払出される最下位の商品とラックケースの側壁との不要な干渉を回避して商品を確実に払出すことかできる。
また、この商品払出し過程では最下位の商品が当初の販売待機位置から余剰スペース側に移動してその跡に空きスペースが生じるので、フラッパに連動して待機位置から商品通路に移行するストッパは最下位の商品に干渉することなく、つまりフラッパ上で最下位の商品を余剰スペースへ向け背後から押し出す余分な駆動力を要さずに、2番目の商品の下面に突出して2番目以降の商品を下支えすることができる。これにより、フラッパおよびストッパを販売待機位置から商品払出し位置に切換制御する付勢手段として、従来装置のベンドモータに代えて、ベンドモータよりも小形容量で構造が簡単なプランジャ形のソレノイドを採用することができ、その結果、従来装置に比べて払出機構の省スペース化,ラックケースの商品収納効率向上とともに、コスト低減化が図れる。
【0013】
また、前記のフラッパとストッパとの間をばねでリンクし、両者が相対的に回動し得るようにした請求項3の構成によれば、商品払出し動作の開始後にストッパが退避位置から商品通路へ突き出し、その上に2番目以降の商品を担持した以降も、フラッパは単独で退避方向への回動を続けて商品の払出し通路を広げることが可能となり、これにより容器の高さサイズが背高な大形商品でもラックケースの側壁に阻害されることなく確実に払出すことができる。
さらに、フラッパ自身を摩擦係数の低い材料により形成した請求項5,フラッパの商品載置面を摩擦係数の低い樹脂によりコーティングした請求項6の構成を採用することにより、フラッパを退避位置に向け回動させて最下位の商品を払出す際に、フラッパの面上をスムーズに滑降して商品を円滑に払出すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る商品収納装置の実施の形態を説明する。なお、図示の各実施例において、図7に示した従来装置と同一のものには同一の符号を付してその説明を省略する。
【実施例1】
【0015】
まず、本発明の請求項2に対応するフラッパとストッパが一体構造になる実施例の構成および商品払出し動作を図1〜図3により説明する。
図1は商品収納装置の概略側面図で、図7〜図9に示した従来装置と相違する点は商品払出機構14および余剰スペース20の点であり、その他の構成は従来装置と同一である。ここで、前記商品払出機構14は、商品収納装置1のコラム3,4と個々に対応してその商品通路に積み重ねて収納された商品の最下位の商品7aを販売待機位置に載置保持するフラッパ15と、商品収納装置1のコラム(商品通路)3,4に突出して最下位から2番目以降の商品を保持するストッパ16と、販売指令により励磁されると共にロック機構(作動機構部)18を介してフラッパ15およびストッパ16を操作するプランジャ形のソレノイド(付勢手段)17とからなる。ここで、前記フラッパ15とストッパ16は合成樹脂の一体成形品で、ストッパ16はフラッパ15の後端から上方に向け略直角に起立してその基部が支軸19に回動自在に軸支されている。また、余剰スペース20はラックケース2の側壁内面側に布設したスペーサ2aの下端部を商品1個分の高さだけ切り欠いてコラム3,4の出口端側に形成され、最下位の商品7aの払出し時に傾倒して払出す当該商品7aがラックケース2の側壁に引っ掛かってブリッジするのを防止するものである。なお、前記フラッパ15およびストッパ16は剛性を高めるために金属製とすることもでき、その場合はストッパ15の商品載置面に低摩擦のフッ素樹脂板を一体化して取付けるか、金属製のフラッパ15の商品載置面にフッ素樹脂のコーティングを施すのが望ましい。
【0016】
また、前記商品払出機構14のフラッパ15に連繋させてフラッパ15およびストッパ16を販売待機位置に拘束保持するロック機構18は、図2に示すように、ソレノイド17のプランジャ21に連結したロック部材22と、このロック部材22が係合するロック溝23aを備えたリンク部材23とからなる。前記ロック部材22には仕切部5の基台51との間に復帰スプリング24が張架され、ロック部材22はソレノイド17の励磁によって上昇するとともにソレノイド17が消磁されると復帰スプリング24により下降して元の位置に復帰する。リンク部材23の一端は仕切部5の基台51に軸25により揺動自在に軸支されるとともに軸25に巻装されたコイルスプリング(トーションコイルばね)26により常時反時計方向に付勢されている。また、リンク部材23の他端には、フラッパ15の裏面側に一体に形成された軸受台15aの案内溝28に挿入されたピン27が植設されている。案内溝28はフラッパ15が水平状態(販売待機位置)にある場合に横倒しした略二等辺三角形の形状をしており、その二等辺三角形の頂点がピン27のロック部28aとして形成されている。
【0017】
次に、本発明に係る自動販売機の商品収納装置に搭載された商品払出機構14の動作について図2および図3を用いて説明する。図2は商品払出機構14の販売待機状態、図3は商品払出機構14の商品払出し時の状態を示すものである。
図2に示す販売待機状態においてはソレノイド17が釈放されており、これにより復帰スプリング24の作用によりプランジャ21に連結されたロック部材22が下降してリンク部材23のロック溝23aに係合している。この状態でリンク部材23のピン27はフラッパ15に一体に形成された軸受台15aの案内構28のロック部28aに位置しており、フラッパ15を水平状態(販売待機位置)に拘束保持している。水平状態に拘束保持されたフラッパ15の商品載置面上には商品7が積み上げ担持されており、フラッパ15にかかる商品荷重はリンク部材23の軸25とロック部材22が分担して受けている。前記商品荷重の大部分はリンク部材23の軸25が受け、ロック部材22が受ける商品荷重は僅かである。フラッパ15が水平状態に保持されている状態では、ストッパ16はコラムの商品通路から退避して販売待機状態にある。
【0018】
次に、商品選択ボタンの操作により生じた販売指令によりソレノイド17が励磁されると、ソレノイド17は復帰スプリング24の力に抗してプランジャ21を吸引して上昇させる。このプランジャ21の上昇に伴ってロック部材22が上昇して、ロック部材22とリンク部材23のロック溝23aとの係合が解除される。リンク部材23は商品荷重を受けていることからロック部材22によるロックが解除されると、リンク部材23のピン27がフラッパ15に一体に形成された軸受台15aの案内溝28におけるロック部28aから抜け出すように軸25を支点として時計方向に回動する。このリンク部材23の時計方向への回動によりフラッパ15の拘束が解除される。リンク部材23のピン27による拘束を解かれたフラッパ15は商品7の荷重により軸19を支点として反時計方向に回動する。このフラッパ15の反時計方向への回動によってフラッパ15に載置された最下位の商品7aが傾倒する。このとき最下位の商品7aの上端がラックケース側壁面2a側に膨らむが、当該場所には余剰スペース20が形成されていることによって最下位の商品7aはラックケース2の側壁,スペーサ2aに邪魔されることなく傾倒する。一方、フラッパ15の回動が進むと最下位の商品7aは当該商品7a自体の自重によりフラッパ15の商品載置面上を滑降して払出される。なお、フラッパ15の回動により最下位の商品7aが傾倒すると最下位から2番目以降の商品も傾倒しようとするが、最下位から2番目以降の商品はラックケース2の内側に布設したスペーサ2aの壁面に当接するので傾倒することはない。
【0019】
一方、販売待機状態において商品通路から退避しているストッパ16はフラッパ15の反時計方向への回動と同時に商品通路に突き出すように反時計方向に回動する。このとき、ストッパ16が商品通路に突き出すスペースはフラッパ15の回動により傾倒移動した最下位の商品7aの空きスペースとして確保される。従って、ストッパ16は傾倒した最下位の商品7aの空きスペースに突き出す。このストッパ16の突き出し位置は最下位から2番目の商品の下部であり、最下位の商品7aの払出しにより落下した最下位から2番目の商品7bがストッパ16とラックケース側壁面2aとにより積み上げ状態に保持される。
前述した動作により最下位の商品7aが払出された後、ソレノイド17への通電が断たれると復帰スプリング24の作用によりロック部材22が下降する。このロック部材22の下降によってリンク部材23が押圧されて軸25を支点として反時計方向に回動する。
【0020】
このリンク部材23の反時計方向への回動によりピン27が案内溝28の縁を押圧してフラッパ15を(軸19を支点として)時計方向に回動させる。そして、ロック部材22がリンク部材23のロック溝23aに係合した時点でリンク部材23のピン27が案内溝28のロック部28aに嵌まり込んでフラッパ15を水平状態に拘束保持する。前記フラッパ15の時計方向の回動と同時にストッパ16も商品通路から退避する方向に移動を開始する。そして、ストッパ16により最下位から2番目の商品の支持が解除されると最下位から2番目以降の商品が水平状態に拘束されたフラッパ15の上に落下して販売待機状態に戻る。
前述したとおりこの実施例の商品収納装置においては、販売待機状態で商品通路3,4を閉塞して最下位の商品7aを保持するとともに商品払出し時に回動して商品通路3,4を開放するフラッパ15と、販売待機状態では商品通路から退避し、商品払出し時に商品通路に突出して最下位から2番目以降の商品を保持するストッパ16と、販売指令に応じて作動するソレノイド17(付勢手段)と、このソレノイド17の操作により、前記フラッパ15およびストッパ16を販売待機状態と商品払出し状態に保持するロック機構18とからなり、前記ソレノイド17の作動によりロック機構18によるフラッパ15の販売待機状態が解除されると前記フラッパ15が商品通路を開放するよう回動して最下位の商品7aを傾倒させて払出すと共に、前記ストッパ16が当該払出しにより生じたスペースに突出して最下位から2番目の商品7の下面bに突出し、当該最下位から2番目以降の商品を前記ストッパ16とラック側壁面2aとにより保持するように構成したことにより、商品払出し時にフラッパ15上に載置された商品はフラッパ15が商品通路から退避するよう回動することによって商品自体の自重によってフラッパ上を滑落して払出されるので商品を確実に払出すことができる。なお、前記フラッパ15とストッパ16は一体に形成されると共に軸19に回動自在に軸支されていることから、フラッパ15とストッパ16は連動して動作し、フラッパ15により傾倒された最下位の商品7aが余剰スペース20に向け移動した後の空きスペースにストッパ16を突出させることができ、最下位から2番目の商品7bを押し潰すことなく下支えして確実に保持することができる。
【0021】
また、前記フラッパ15を商品通路から退避するよう回動させることにより商品を傾倒させて当該商品自体の自重によりフラッパ15の商品載置面上を滑落させるように構成されているので、商品を確実に払出すことができるとは言えども商品を載置するフラッパ15の商品載置面は低摩擦であることが望ましい。そこで、一体成形されたフラッパ15およびストッパ16を摩擦係数の低い材料、例えばフッ素樹脂やポリアセタール樹脂により成形することが望ましい。なお、前記フラッパ15およびストッパ16の剛性を高めるために摩擦係数の高い合成樹脂を採用するか、金属製とした場合には、ストッパ15の商品載置面若しくはストッパ16の先端(最下位から2番目の商品との当接面)にフッ素樹脂のコーティングを施すことができる。このように、フラッパ15を摩擦係数の低い材料により形成することによりフラッパ15を回動させて最下位の商品7をa傾倒させた際、最下位の商品7aがスムーズにフラッパ15の商品載置面上を滑降して払出されるので商品を確実に払出すことができる。
【0022】
しかも、前述した本発明はストッパにより最下位から2番目の商品を下方から支持するとともに、その商品をストッパとラックケース側壁面とにより保持するものであるから、冒頭で述べた従来例1にように販売可能な商品の種類が、紙パックなどのように容器が変形するものに限定されることがなく、紙パック,ペットボトルに加えて缶,ビンなどの各種商品を販売する自動販売機に適用できる。
【実施例2】
【0023】
次に、先記の実施例1を改良し、背高な大形商品でも支障なくラックケースから払出せるようにした本発明の請求項3に係わる実施例の構成,商品払出し動作を図4〜図6に示す実施例で説明する。なお、図4,図5はそれぞれ商品払出し動作の開始直後,および途中状態を表した商品収納装置の要部構成図、また図6(a)〜(c)は払出し動作に伴うフラッパ,ストッパの挙動を表した動作説明図で、図6(a)は販売待機状態,図6(b),(c)はそれぞれ図4,図5に対応した商品払出し動作の途中状態を表している。
すなわち、先記の実施例1においては商品払出機構のフラッパ15とストッパ16とが一体に形成されていて、商品払出し時にはフラッパとストッパとが相対位置を変えずに連動して販売待機位置から回動するように構成されている。このために、ラックケース2のコラム3,4に積み上げ収納した販売商品7が比較的背高な大形商品であると、払出し動作の途上で傾倒してフラッパ15の傾斜面を滑り落ちる最下位の商品7aがラックケース2から抜け出す前(商品7aの先端がラックケース2の出口端縁に未だ掛かっている状態)に、フラッパ15の回動に連動して背後から商品通路に突き出したストッパ16が最下位の商品7aの後端に干渉し、その結果として最下位の商品7aがラックケース2の側壁とストッパ16との間に挟まれた商品詰まり状態となって商品の払出しが不能となる販売トラブルが発生するおそれがある。
【0024】
そこで、前記販売トラブルの回避対策として、この実施例ではフラッパ15とストッパ16とを独立部品として共通な支軸19上で回動可能に軸支した上で、フラッパ15とストッパ16とが相対的に動き得るように、その相互間をばね式連繋機構29を介してリンクするよにしている。なお、そのほかの構成は実施例1と同様であり、商品払出機構にはフラッパ15を販売待機位置に拘束保持するロック機構18、および販売指令により作動してロック機構18を釈放するソレノイド17を備えている。
ここで、フラッパ15とストッパ16との間をリンクする前記ばね引き連繋機構29の詳細構造は、図6で示すようにフラッパ15およびストッパ16との間に架け渡して両者を互いに引き寄せるよう支軸19の軸上に装着したトーションコイルばね30と、フラッパ15の基部から上方に起立するアーム15bと、該アーム15bに対向してストッパ16の側面に形成した係合突起16aと、ストッパ16の基部から支軸19の下方側に延在するアーム16bと、該アームに16bに対向してストッパ16の回動範囲を規制するようラックケース側に設けたストッパ部材31とからなる。
【0025】
次にこの実施例による商品の払出し動作を説明する。なお、図示例では販売商品として、図2,図3に示した商品よりも背高な大形商品がラックケース2のコラム内に積み上げ収納されているものとする。
まず、販売待機状態では、フラッパ15が先記の実施例1で述べたロック機構18により水平姿勢の販売待機位置に拘束保持されており、この状態では図6(a)で示すようにフラッパ15の上に最下位の商品7a,2番目の商品7b以降の商品が積み上げ状態に担持されている。また、ストッパ16はトーションコイルばね30のばね付勢により、係合突起16aがアーム15bに当たってこの位置に停止し、フラッパ15とほぼ直角な起立姿勢で商品通路から背後の仕切部5側に退避している。
ここで、商品販売指令を受けて作動したソレノイド17(図4参照)がロック機構18を釈放すると(この釈放動作については実施例1で述べられている)、フラッパ15は商品の荷重を受けて下方への回動を開始し(図4および図(b)参照)、これにより最下位の商品7aは傾倒してフラッパ15の斜面を滑動し、その先端がラックケース2の出口内側に形成した余剰スペース20に進入する。また、ストッパ16はフラッパ15の回動に追随して退避位置から商品通路に向け突出して2番目の商品7bの下に移動するようになるが、この突出し過程で図6(b)に示すようにストッパ16から下方に延在するアーム16bがストッパ部材31に突き当たると、ストッパ16はこの位置に停止してそれ以上フラッパ15の回動に追随しなくなる。一方、フラッパ15はトーションコイルばね30を撓ませながらさらに下方への回動を続けて傾動角度を深めて行き、フラッパ15の先端とラックケース2の出口端縁との間の払出し通路を拡大する(図6(c)参照)。これにより、収納商品が図示のように背高な大形商品であっても、最下位の商品7aは背後からストッパ16の干渉を受けることなしに、したがって商品詰まりのトラブル発生のおそれなくラックケース2から下方に抜け出して確実に払出される(図5参照)。
【0026】
そして、最下位の商品7aが払出されると、空になったフラッパ15は、フラッパ15とストッパ16との間を連繋した前記トーションコイルばね30のばね力を受けて上方に回動(時計方向)してそのアーム15bがストッパ16の係合突起16aに当接するまで復帰する。そして、ソレノイド17への通電が絶たれると、実施例1で述べたと同様にフラッパ15は水平姿勢の販売待機位置まで復帰すると同時に、ロック機構18によりこの位置に拘束保持される。また、このフラッパ15の復帰動作に連動してアーム15bに押されてストッパ16が図6(a)の位置に退避すると、いままでストッパ16に下支えされていた2番目の商品7bおよびそれ以降の商品がフラッパ15の上に落下して販売待機の状態に復帰する。なお、上記した商品払出し動作の説明では、収納商品が背高な大形商品である場合について述べたが、図2,図3のように背高の低い小形商品でも同様な動作で商品を確実に払出すことができるのは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施例1に対応する実施形態における自動販売機の商品収納装置の概略側面図である。
【図2】図1における商品払出機構の販売待機状態を示す拡大図である。
【図3】図1における商品払出機構の商品払出し動作を示す拡大図である。
【図4】本発明の実施例2に対応する商品払出機構の払出し動作開始直後の状態を示す拡大図である。
【図5】図4に続く動作過程での商品払出し状態を示す拡大図である。
【図6】図4,図5におけるフラッパとストッパとの相互間をリンクしたばね式連繋機構の詳細構造およびその動作説明図で、(a)は販売待機状態、(b),(c)はそれぞれ図4,図5に対応した動作状態を示す拡大図である。
【図7】従来の自動販売機の商品収納装置の概略側面図である。
【図8】従来装置における商品払出機構の販売待機状態を示す底面図である。
【図9】従来装置における商品払出機構の商品払出し動作を示す底面図である。
【符号の説明】
【0028】
1 商品収納装置
2 ラックケース
3,4 コラム(商品通路)
7 商品
7a 最下位の商品
7b 2番目の商品
14 商品払出機構
15 フラッパ
16 ストッパ
17 ソレノイド(付勢手段)
18 ロック機構
19 支軸
20 余剰スペース
29 ばね式連繋機構


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラックケース内に画成した商品通路に商品を上下に積み重ねて収納し、商品通路の下端側に配設した商品払出機構により最下位の商品から順次払出すようにした自動販売機の商品収納装置であり、前記ラックケースの出口側において最下位の商品に対応する領域の商品通路幅をラック側壁に向け部分的に広げて最下位の商品の進入を許容する余剰スペースを設けたものにおいて、
前記商品払出機構は、販売待機状態で商品通路の出口を閉塞して最下位の商品を販売待機位置に載置保持し、商品払出し時に下方へ回動して商品通路を開放するフラッパと、販売待機状態で商品通路から退避し、商品払出し時には前記フラッパと連動して商品通路に突出し、最下位から2番目以降の商品を下支えする回動式のストッパと、常時は前記フラッパを販売待機位置に拘束保持するロック機構と、販売指令により作動して前記ロック機構を釈放し、フラッパの拘束を解除する付勢手段とからなり、
前記付勢手段の作動でロック機構によるフラッパの拘束が解除されると、フラッパが商品通路を開放するよう回動して最下位の商品を傾倒させて払出すと共に、前記ストッパが最下位商品の払出しにより生じたスペースに突出してその上位に並ぶ2番目の商品を下支えし、2番目以降の商品をストッパとラック側壁面とにより積み上げ状態に保持するようにしたことを特徴とする自動販売機の商品収納装置。
【請求項2】
請求項1に記載の自動販売機の商品収納装置において、フラッパとストッパとが一体的に形成され、前記フラッパとストッパとが連動して回動することを特徴とする自動販売機の商品収納装置。
【請求項3】
請求項1記載の自動販売機の商品収納装置において、フラッパとストッパとが独立部品として共通な支軸上で回動可能に軸支され、かつストッパがばねとストッパを介してフラッパにリンクされていることを特徴とする自動販売機の商品収納装置。
【請求項4】
請求項1記載の自動販売機の商品収納装置において、付勢手段がプランジャ形ソレノイドであることを特徴とする自動販売機の商品収納装置。
【請求項5】
請求項1ないし3に記載の自動販売機の商品収納装置において、フラッパを摩擦係数の低い材料により形成したことを特徴とする自動販売機の商品収納装置。
【請求項6】
請求項1ないし3に記載の自動販売機の商品収納装置において、フラッパの商品載置面を摩擦係数の低い樹脂によりコーティングしてなることを特徴とする自動販売機の商品収納装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−120117(P2006−120117A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−108939(P2005−108939)
【出願日】平成17年4月5日(2005.4.5)
【出願人】(000237710)富士電機リテイルシステムズ株式会社 (1,851)
【Fターム(参考)】