説明

自動販売機の商品搬出コンベア

【課題】シュータ本体の搬送面上にこぼれた飲料の液体を系外に逃がしてコンベアのチェーン機構に付着するのを防ぐように改良する。
【解決手段】商品収納庫の庫内底部に配置し、商品ラックから払い出した飲料入り紙パック商品を商品取出口に送出する自動販売機の商品搬出コンベア7であって、上面を搬送面とする板金製のシュータ本体9の左右両サイドに沿ってその周りを周回するチェーン機構13を敷設し、かつ該チェーン機構の左右のチェーン間に跨がって前記シュータ本体の搬送面上を移動する押棒14を架設した構成になるものにおいて、前記シュータ本体9の左右両サイドに沿ってチェーン13bの手前側に、紙パック商品から漏れ出てシュータ本体の搬送面上にこぼれた飲料を流出させる排出穴9bを穿孔するものとし、この排出穴9bを、アレイ状,ないし千鳥状パターンに並べてシュータ本体の板面にパンチングして形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、商品ラックと商品取出口との間を連係して商品収納庫の庫内底部に配備し、商品ラックから払い出した飲料入り紙パック商品を商品取出口に送出する自動販売機の商品搬出コンベアに関する。
【背景技術】
【0002】
まず、頭記の商品搬出コンベアを装備した自動販売機を図2に示す。図2において、1は自動販売機のキャビネット、2は外扉、3は断熱内扉、4は外扉に配した商品取出口に通じる商品搬出口、5はキャビネット1の商品収納庫内に収設した商品ラック(例えば直積式商品ラック)、6はキャビネット1のベースに配備した冷凍機のコンデンシングユニット、7は商品収納庫の庫内底部に配置して商品ラック5から払い出した商品を商品取出口に送出する商品搬出コンベアである
上記の構成で、商品ラック5には紙パック入り飲料商品(不図示)が積み上げ収納され、販売時に商品ラック5から払い出した商品は商品搬出コンベア7の上に落下した後に前方に搬送され、コンベア前端から商品搬出口4を通じて商品取出口に送出される。
【0003】
次に、前記した商品搬出コンベア7の従来構造を図3〜図5に示す。この商品搬出コンベアは所謂スクレーパ式のチェーンコンベア(例えば、特許文献1参照)であり、各図において、8は断面コ字形になる左右一対の外枠、9は上面を搬送面として外枠8の内側に敷設した板金製のシュータ本体、10は外枠8の上縁から逆「ハ」字状に起立延在する左右両翼のシュータ、11はシュータ本体9の前端から前記商品搬出口4に向けて斜め下方に延在する前シュータ、12はシュータ本体9の後端から斜め上方に延在する後シュータである。また、13は前記シュータ本体9の左右両サイドに沿って該シュータ本体9の周りを周回するよう組み付けたチェーン機構、13aはシュータ本体9の前後に配したスプロケット、13bは前後のスプロケット13aの間に張架したチェーン、13cはチェーン機構13の駆動モータである。さらに、前記のチェーン機構13には、左右のチェーン13bの間に架設してシュータ本体9の搬送面に受容した商品を前方に搬送する押棒(スクレーパ)14が適当の間隔ピッチを隔てて配置されており、これらで商品搬出シュータ7を構成している。
【0004】
また、前記の商品搬出コンベア7には、次記のようなトラブル対策が施されている。すなわち、商品ラック5に収納した飲料(牛乳,シロップ,コーヒーなど)入り紙パック商品の容器が何らかのトラブルで破れ、中身飲料が漏れ出したりすると、飲料が商品搬出コンベアの上にこぼれて前記したチェーン機構13を濡らすことがある。しかも、チェーン機構13に付着した液体飲料を放置しておくと、時間の経過とともに液体が乾燥,凝固してチェーン機構の動き阻害し、最悪な場合にはチェーン機構7がロックして商品搬出不能になる事態を引き起こすおそれがある。
【0005】
そこで、前記問題の対策として、前記した特許文献1には左右両翼のシュータの先端を庇状に突き出してチェーン機構の上方を覆い、シュータ10の上にこぼれ落ちた飲料が直接チェーン機構13を濡らさないようにした構造が開示されている。また、図4に示した従来製品の商品搬出コンベア7についても、図5のようにシュータ本体9の左右両サイドに沿ってチェーン13bの手前側位置に断面V字状の樋溝9aを形成しておき、シュータ本体9の搬送面にこぼれた飲料がチェーン機構13にまで広がる以前に、前記の樋溝9aに逃がして液体飲料がチェーン機構13に付着するのを防ぐようにした対策が施されている。
【0006】
なお、シュータ本体9の樋溝9aに流れ込んだ液体は樋溝を伝わって庫内底部に滴下することになるが、この種の自動販売機には、庫内に配した冷却器(冷凍機のエバポレータ)に生じた除霜水などのドレンを庫外に排出するために庫内底部にドレン排水用のトレーを敷設しており、前記樋溝9aから垂れ落ちた飲料もこのトレーで受けるようにしているので特に問題はない。
【特許文献1】特開平9−251573号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、先記のようにシュータ本体9の左右両サイドに沿って樋溝9a(図5参照)を形成し、シュータ本体9の搬送面上にこぼれた飲料を溝に流し込んで逃がすようにした構成により、チェーン機構13に飲料が付着するのを防止できるものの、メンテナンス性の面で次記のような不具合のあることが知見されている。すなわち、樋溝9aに流れ落ちた飲料は時間の経過とともに凝固し、飲料滓が溝の底部にこびり付いた状態となる。
【0008】
そのために、ロケーション先に設置した自動販売機の日常的なメンテナンス作業として商品搬出コンベア7のシュータ搬送面を拭き掃除する際に、樋溝9aの溝底にこびり付いた飲料滓が拭き取り難い問題があってその改善策が要望されている。
この発明は上記の点に鑑みなされたものであり、コンベアの清掃時におけるメンテナンス作業性の改善を図りつつ、シュータ本体の搬送面上にこぼれた飲料を系外に逃がしてコンベアのチェーン機構に付着するのを防ぐように改良した自動販売機の商品搬出コンベアを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、この発明によれば、商品ラックと商品取出口との間を連係して商品収納庫の庫内底部に配置し、商品ラックから払い出した商品を商品取出口に送出する自動販売機の商品搬出コンベアで、上面を搬送面とする板金製のシュータ本体の左右両サイドに沿ってその周りを周回するチェーン機構を敷設し、かつ該チェーン機構の左右のチェーン間に跨がって前記シュータ本体の搬送面上を移動する押棒を架設した構成になるものにおいて、前記シュータ本体の左右両サイドに沿ってチェーンの手前側に、紙パック商品から漏れ出てシュータ本体の搬送面上にこぼれた飲料を流出させる排出穴を穿孔するものとし(請求項1)、ここで、前記排出穴は、アレイ状,ないし千鳥状パターンに並べてシュータ本体の板面にパンチングして形成する(請求項2)。
【発明の効果】
【0010】
上記の構成によれば、シュータ本体の搬送面上にこぼれた飲料は、チェーン機構の敷設位置より手前側でシュータ本体の左右両サイドに穿孔した排出穴を通じて逃がすことができ、これにより飲料の濡れ,付着が原因でチェーン機構の動作不良となるトラブルが防げる。
しかも、この排出穴をシュータ本体(板金製)のフラットな板面にパンチング形成したことにより、シュータ本体にV状の樋溝を形成した従来構造と比べて、飲料滓のこびり付きを残さずに搬送面の拭き掃除が楽に行えてメンテナンス作業性の改善が図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、この発明の実施の形態を図1(a),(b)に示す実施例に基づいて説明する。なお、図1(a)は商品搬出コンベアの全体構造図、(b)は(a)における矢視Aの拡大断面図であり、図3〜図5に対応する部材には同じ符号を付してその説明は省略する。
すなわち、図示実施例では、シュータ本体9の左右両サイドに形成した従来構造の樋溝9a(図5参照)に代えて、シュータ本体9の板面にはアレイ状,ないし千鳥状に並ぶ排出穴9bがパンチング形成されている。
【0012】
この構造により、紙パック商品から漏れ出してシュータ本体9の搬送面にこぼれた飲料は、左右両サイドに敷設したチェーン機構13にまで広がる以前に、前記排出穴9bを通じて庫内底部に配した排水用トレー(不図示)に逃がすことができ、これにより飲料の濡れ,付着に起因するチェーン機構13のトラブル発生が防げる。
しかも、前記排出穴9bをシュータ本体9のフラットな板面にパンチング形成したことにより、従来構造のようにシュータ本体9の樋溝9aの溝底に飲料滓がこびり付くこともなく、これによりコンベアのシュータ面を拭き掃除する作業を楽に行うことができてメンテナンス性の改善が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の実施例による商品搬出コンベアの構成図で、(a)はコンベアの全体構造の斜視図、(b)は(a)における矢視Aの拡大断面図
【図2】庫内底部に商品搬出コンベアを配備した紙パック入り飲料商品の自動販売機の構成斜視図
【図3】図2における商品搬出コンベアの従来構造の斜視図
【図4】図3におけるコンベア前部の拡大図
【図5】図4の要部の拡大断面図
【符号の説明】
【0014】
1 自動販売機のキャビネット
5 商品ラック
7 商品搬出コンベア
9 シュータ本体
9a 排出穴
13 チェーン機構
14 押棒


【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品ラックと商品取出口との間を連係して商品収納庫の庫内底部に配置し、商品ラックから払い出した商品を商品取出口に送出する自動販売機の商品搬出コンベアであり、上面を搬送面とする板金製のシュータ本体の左右両サイドに沿ってその周りを周回するチェーン機構を敷設し、かつ該チェーン機構の左右のチェーン間に跨がって前記シュータ本体の搬送面上を移動する押棒を架設した構成になるものにおいて、
前記シュータ本体の左右両サイドに沿ってチェーンの手前側に、紙パック商品から漏れ出てシュータ本体の搬送面上にこぼれた飲料を流出させる排出穴を穿孔したことを特徴とする自動販売機の商品搬出コンベア。
【請求項2】
請求項1に記載の商品搬出コンベアにおいて、排出穴をアレイ状,ないし千鳥状パターンに並べてシュータ本体の板面にパンチングしたことを特徴とする自動販売機の商品搬出コンベア。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−160693(P2010−160693A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−2645(P2009−2645)
【出願日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【出願人】(000237710)富士電機リテイルシステムズ株式会社 (1,851)
【Fターム(参考)】