自動販売機の照明装置
【課題】ＬＥＤ素子からの照明光によって展示用物品や背面パネルなどの照明対象物を効率よく的確に照明するとともにコストパフォーマンスに優れた自動販売機の照明装置を提供する。
【解決手段】照明対象物の幅方向に延びる光透過性のユニット本体を有し、ユニット本体は上部ケース１３ａと下部ケース１３ｂを備える。下部ケース１３ｂはＬＥＤ１２を設けてなり、ＬＥＤ１２により発光された光を上方に位置する販売商品の冷温情報を表示する冷温表示板３ｅ又は販売商品を選択するための商品選択スイッチ２ａのうちの少なくとも一方の背面まで導光する導光部１６を設け、該導光部１６により導かれた光により商品サンプル、背面板だけでなく冷温表示板３ｅ、商品選択スイッチ２ａをも効率的に照明する。
【解決手段】照明対象物の幅方向に延びる光透過性のユニット本体を有し、ユニット本体は上部ケース１３ａと下部ケース１３ｂを備える。下部ケース１３ｂはＬＥＤ１２を設けてなり、ＬＥＤ１２により発光された光を上方に位置する販売商品の冷温情報を表示する冷温表示板３ｅ又は販売商品を選択するための商品選択スイッチ２ａのうちの少なくとも一方の背面まで導光する導光部１６を設け、該導光部１６により導かれた光により商品サンプル、背面板だけでなく冷温表示板３ｅ、商品選択スイッチ２ａをも効率的に照明する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、自動販売機などに内蔵される照明装置に関し、特に、缶飲料等の展示用物品（商品サンプル）等の照明対象物をＬＥＤなどの発光素子により照明する照明装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来、この種の自動販売機の照明装置には、サンプル上側及びサンプル背面側から展示用物品を照明する蛍光ランプからなる照明素子を備えたものが提案されている。このような展示用物品の照明装置においては、照明素子が点灯すると、この点灯光で展示用物品の表面及びその周辺が照明される。このような照明装置では、蛍光ランプに内封されている水銀ガスが有害であるため、蛍光ランプが不用となった場合に産業廃棄物としての処理を必要とする。また、蛍光ランプは寿命が短く、ランニングコストが嵩むといった種々の問題を有する。
【０００３】
そこで、上述した不具合を解決するために、照明素子として発光ダイオード（Light Emitting Diode:LED）を用いた照明装置も従来から提案されている（例えば特許文献１）。これは、展示用物品の背面側に半透明板を配置するとともに、この半透明板の周囲に複数のＬＥＤを配置したものである。
【０００４】
このような照明装置においては、複数のＬＥＤが光を発すると、これら光が半透明板（背面パネル）に導入され、この半透明板の物品視認者側面から展示用物品に出射される。
【０００５】
また、特許文献２には、展示用物品を照明するための第１の照明部と、展示用物品の背面側に配設される背面パネルを照明するための第２の照明部を所定角度で一体的に取付ベースに取り付けられており、照明対象に応じて適宜角度を変更することで、例えば商品選択ボタンや表示部を照らすこともできる。
【０００６】
また、特許文献３には、広告、商品見本などを照明する照明灯の光を反射若しくは屈折させながら操作パネルの背面に導く照明装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００７】
【特許文献１】特開２００２−３５８５６０号公報
【特許文献２】特開２００８−２７０３４号公報
【特許文献３】特開平５−４６８５９号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００８】
しかし、特許文献１の照明装置によると、展示用物品の背面側に配置された半透明板の周囲にＬＥＤが配置され、展示用物品を背面側から照明するだけであるので、これらＬＥＤからの照明光によって展示用物品を効率よく的確に照明することができない上に、展示用物品以外を照明対象物としていないので、物品視認者の視覚に訴える展示効果を得ることができないという問題があった。
【０００９】
また、特許文献２の照明装置によると、１つの照明装置に２つの照明部（ＬＥＤ基板）を有し、複数の照明対象物を効率的に照明しているが、照明部が複数であるため、製品コストが増大してしまうという問題を有している。このため、２つの照明部を１つに減らすことが考えられるが、単純に数を減らしただけでは複数の照明対象物を効率的に照明することは困難である。
【００１０】
また、特許文献３の照明装置によると、ひとつの照明灯とプリズムを用いて展示室内の広告、商品見本及び操作パネルを照明しているが、照明灯とプリズム（光導光路）とが別部材であり、それぞれを個別に設置する必要があるために広い設置スペースが必要となるという問題がある。
【００１１】
従って、本発明の目的は、ＬＥＤ素子からの照明光によって展示用物品や背面パネル、冷温表示などの操作パネル部などの複数の照明対象物を効率よく的確に照明することができるとともにコストパフォーマンスに優れた自動販売機の照明装置及びこれを備えた自動販売機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【００１２】
本発明は前記目的を達成するために、自動販売機の前面に設けられ、照明対象物を照明する自動販売機の照明装置において、前記照明対象物の幅方向に延びる光透過性のユニット本体を有し、ユニット本体内に所定角度傾斜させて展示用物品及び背面パネルのうちの少なくとも一方をその上方位置から照明するためのＬＥＤを設けてなる照明ユニットと、前記照明ユニットにより発光された光を該照明ユニットより上方に位置し、販売商品の冷温情報を表示する冷温表示部又は販売商品を選択するための商品選択釦の背面まで導光する導光部と、前記導光部により導光された光を拡散して前記冷温表示部又は商品選択釦に照射するための出射部を有する。
【００１３】
これにより、ユニット本体内の照明ユニットから発せられた光を、該照明ユニットよりも上方に導く導光部を設けたことから、従来のように複数の照明ユニットを有さなくても多方向に光を照射することが可能になる。
【発明の効果】
【００１４】
本発明によれば、照明ユニットから下方に発せられた光で展示用物品及び背面パネルの少なくとも一方を照明するとともに、導光部を介ｎして照明ユニットの配置位置より上方に位置する冷温表示部又は（及び）商品選択釦に光を照射することが可能であるため、複数の照明対象物を効率的に照明することができる。また、複数の照明対象物を１つの照明ユニットで照明可能に構成されていることから、照明装置、しいてはこれを用いた自動販売機を低コストで構成することができる。さらに、光を導く導光部をユニット本体内に形成しているため、照明ユニットの設置に余分なスペースを設ける必要がない。そのため、設置スペースの確保が非常に困難であった狭い領域にも容易に照明ユニットを設置することができる。
【発明を実施するための形態】
【００１５】
（第１の実施形態）図１は本発明の一実施形態に係る照明装置を備えた自動販売機の全体斜視図であり、前面を開口した自動販売機本体１と、自動販売機本体１の前面を開閉する外扉２と、外扉２の前面に設けられた商品サンプル室３とを備え、商品サンプル室３内には照明対象物としての多数の商品サンプル４が設けられている。また、外扉２の前面には広告表示室５が設けられている。
【００１６】
自動販売機本体１は内部に断熱性の商品収納庫（図示せず）を備え、商品収納庫内にはサーペンタイン式等の商品コラム（図示せず）が設けられている。
【００１７】
外扉２は幅方向一端を自動販売機本体１に回動自在に支持され、その前面には、複数の商品選択スイッチ２ａ、硬貨投入口２ｂ、紙幣投入口２ｃ、金額表示部２ｄ、硬貨返却口２ｅ及び商品取出口２ｆが設けられている。
【００１８】
図２は自動販売機における商品サンプル室の分解斜視図であり、商品サンプル室３は、商品サンプル室３の前面を覆う図示しない透明板３ａと、商品サンプル室３の背面を覆う背面板３ｂと、背面板３ｂに取付けられた上下複数段のサンプル台３ｃとを有し、各サンプル台３ｃには複数の商品サンプル４が上下複数列になるように載置されている。サンプル台３ｃは下面を開口するように断面略コ字状に屈曲した部材からなり、その上面には商品サンプル４を取付けるための取付孔３ｄが設けられている。サンプル台３ｃの前面には、商品サンプル４に対応する商品の冷温情報を表示する冷温表示板３ｅが取り付けられる。
【００１９】
商品サンプル４は下面を開口した中空状の光透過性部材からなり、その表面には実物の商品と同様のデザインが施されている。商品サンプル４の下端にはサンプル台３ｃの取付孔３ｄに係合する係合部４ａが設けられ、取付孔３ｄに係合部４ａを係合することにより商品サンプル４がサンプル台３ｃに取付けられるようになっている。
【００２０】
また、商品サンプル室３内には、商品サンプル室３の背面板３ｂ、商品サンプル４、冷温表示板３ｅ及び商品選択スイッチ２ａを照明する照明装置が設けられている。
【００２１】
この照明装置は、サンプル台３ｃの下方に配置される複数の照明ユニット１０，２０から構成される。各照明ユニット１０、２０は、各照明ユニット１０，２０の端部側を支持する支持部材としての端部側ブラケット３０と、各照明ユニット１０，２０の中央側を支持する支持部材としての中央側ブラケット４０により着脱自在に支持される。各照明ユニット１０、２０の違いは長さのみであるため、以下では照明ユニット１０についてのみ説明する。
【００２２】
図３は照明ユニットの斜視図であり、図４は照明ユニットの側面断面図である。照明ユニット１０は、商品サンプル室３の幅方向に延びるユニット本体１１と、ユニット本体１１内に配設され、背面板３ｂに向かって光を照射する複数のＬＥＤ１２が実装された基板１２ａと、該基板１２ａに実装されるとともに照明ユニット１０の長手方向両側にそれぞれ設けられ、照明ユニット間を配線する配線接続用のコネクタ１４とを備えている。
【００２３】
複数のＬＥＤ１２は基板１２ａに実装され、互いにユニット本体１１の幅方向（長手方向）に間隔をおいて配置されている。基板１２ａはその下面側に複数のＬＥＤ１２が位置するとともにユニット本体１１内の前端下部に配置され、複数のＬＥＤ１２の光がユニット本体１１の後述する下レンズ部１１ｂを透過し、後方に向かって斜め下方に照射されるようになっている。
【００２４】
ユニット本体１１は、基板１２ａを収納するための上部ケース１３ａと下部ケース１３ｂを備えている。上部ケース１３ａには後述する上レンズ部１５を有している。該上レンズ部１５は光透過性材料から構成されており上部ケース１３ａと一体に構成されている。
【００２５】
下部ケース１３ｂは、基板１２ａに実装された複数のＬＥＤ１２から照射される光を外部へ照射するための下レンズ部１１ｂを有しており、光透過性材料により下部ケース１３ｂと一体的に形成されている。図５に示すように、下レンズ部１１ｂは所定の半径で形成されたアール部２０ａでＬＥＤ１２からの光を外部へ拡散して照射するレンズが構成され、レンズ部１１ｂに入射した光は、該レンズ部１１ｂにユニット本体１１の短手方向後方で隣接し、下ケース１３ｂの外周に形成された階段状の傾斜部２０ｂに入射し、レンズ部１１ｂにユニット本体１１の短手方向後方で隣接し、下ケース１３ｂの内周に形成された反射面２０ｃで全反射させて傾斜部２０ｂを介してＬＥＤ１２からの光を後方に向かって斜め下方へ効率よく照射する構成とされている。
【００２６】
尚、ＬＥＤ１２からの出射光の反射率を向上させるために、反射面２０ｃに例えばＡｌやＡｇなどを蒸着する鏡面処理を施してもよいし、当該部分に白色塗装を施してもよい。
【００２７】
また、下部ケース１３ｂは、後述するＬＥＤ１２からの光を導光する導光部１６を有しており、例えば空気よりも屈折率の大きい透明部材により下部ケース１３ｂと一体に形成されている。
【００２８】
ここで、下部ケース１３ｂは、透明な材料で構成されているので、上記説明したＬＥＤ１２からの光は該ＬＥＤ１２の指向性の広さにより下部ケース１３ｂの下方向のみならず横方向および上方向にも照射される。特にユニット本体１１の短手方向前方には、意図しない光が照射されてしまっている。
【００２９】
導光部１６は、図６に示すように、下レンズ部１１ｂに隣接し、下部ケース１３ｂの短手方向前方に傾斜する傾斜部１６ａと、該傾斜部１６ａに隣接し、下レンズ部１１ｂ及び傾斜部２０ｂにより拡散されなかった意図しないユニット本体１１の短手方向前方への光の向きをユニット本体１１の上方に向きを変えるためにＲ面取り又はＣ面取りが施されたアール部１６ｂと、上部ケース１３ａに設けられた上レンズ部１５（出射部）とから構成される。
【００３０】
ＬＥＤ１２から発光され、下レンズ部１１ｂ及び傾斜曲面部２０ｂにより拡散されなかった意図しない光は、傾斜部１６ａに入射される。入射された光は傾斜部１６ａの内部を通ってアール部１６ｂに案内され、該アール部１６ｂにてユニット本体１１の上方へ導かれる。上レンズ部１５は、Ｒ面取りが施されているアール部１５ａによりアール部１６ｂからの光を外部へ拡散して照射するレンズが構成され、上レンズ部１５に入射された光はアール部１５ａを介して、ユニット本体１１の前方斜め上方に位置する冷温表示板３ｅ又は（及び）商品選択スイッチ２ａの背面に向けて拡散される。拡散された光は冷温表示板３ｅ又は（及び）商品選択スイッチ２ａを背面から照らすため、バックライト効果を得ることができる。
【００３１】
ここで、導光部１６内を乱反射してくる光をより効率的に冷温表示板３ｅ又は（及び）商品選択スイッチ２ａに照射するために、上述したアール部１５ａの内周面（上ケース１３ａの内周面の光拡散部分に該当する箇所）に階段状に形成された複数のプリズムカットを設けてもよい。
【００３２】
また、ＬＥＤ１２からの出射光の反射率を向上させるために、アール部１５ａの内周面（上ケース１３ａの内周面で光拡散部分に該当する箇所）やアール部１６ｂ及び傾斜部１６ａの外周面に例えばＡｌやＡｇなどを蒸着する鏡面処理を施してもよいし、当該部分に白色塗装を施してもよい。
【００３３】
また、上記実施例ではアール部１５ａを有する上レンズ部１５から冷温表示板３ｅ又は（及び）商品選択スイッチ２ａに光を拡散させる構成としたが、上レンズ部１５の位置にＣ面取りを施した出射面を形成し、該出射面から冷温表示板３ｅ又は（及び）商品選択スイッチ２ａに向けて光を拡散させてもよい。
【００３４】
更に、冷温表示板３ｅ又は（及び）商品選択スイッチ２ａに向けて広い角度で十分に光を拡散させるために、アール部１５ａにシボ加工を施して光を散乱させるように構成してもよい。
【００３５】
（第２の実施形態）図７は本発明の第２の実施形態に係る断面図である。尚、第１の実施形態と共通する部分については同一の符号を使用する。第２の実施形態に係る導光部１６は、下部ケース１３ｂの短手方向前方に傾斜する傾斜部１６ａと、下レンズ部１１ｂ及び傾斜曲面部２０ｂにより拡散されなかった意図しないユニット本体１１の短手方向前方への光の向きをユニット本体１１の上方に向きを変えるための第１のプリズムカット部２１ａと、第１のプリズムカット部２１ａによりユニット本体１１の上方に向き変えた光を更に冷温表示板３ｅ又は（及び）商品選択スイッチ２ａの背面に向きを変えるための第２のプリズムカット部２１ｂとから構成されている。
【００３６】
ＬＥＤ１２から発光され、下レンズ部１１ｂ及び傾斜曲面部２０ｂにより拡散されなかった意図しない光は、傾斜部１６ａに入射される。入射された光は第１のプリズムカット部２１ａ及び第２のプリズムカット部２１ｂを経由して乱反射を繰り返しながら冷温表示板３ｅ又は（及び）商品選択スイッチ２ａの背面まで導かれて該冷温表示板３ｅに向けて拡散される。拡散された光は冷温表示板３ｅをその背面から照らすため、バックライト効果を得ることができる。
【００３７】
ここで、導光部１６内を乱反射してくる光をより効率的に冷温表示板３ｅ又は（及び）商品選択スイッチ２ａに照射するために、上述した第２のプリズムカット部２１ｂに更に階段状に形成された複数のプリズムカットを設けてもよい。
【００３８】
また、ＬＥＤ１２からの出射光の反射率を向上させるために、第１のプリズムカット部２１ａ及び傾斜部１６ａの外周面、第２のプリズムカット部２１ｂに例えばＡｌやＡｇなどを蒸着する鏡面処理を施してもよいし、当該部分に白色塗装を施してもよい。
【００３９】
更に、冷温表示板３ｅ又は（及び）商品選択スイッチ２ａに向けて広い角度で十分に光を拡散させるために、第２のプリズムカット部２１ｂにシボ加工を施して光を散乱させるように構成してもよい。
【００４０】
上記第１の実施形態及び第２の実施形態における照明装置は、自動販売機への適用例を示したが、これに限られず、展示用物品やパネル等の照明対象を有するショーケース等に幅広く適用可能であることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【００４１】
【図１】図１は本発明の一実施形態に係る照明装置を備えた自動販売機の全体斜視図
【図２】図２は本発明の一実施形態に係る自動販売機の商品サンプル室の分解斜視図
【図３】図３は本発明の一実施形態に係る照明ユニットの斜視図
【図４】図４は本発明の一実施形態に係る照明ユニットの側面断面図
【図５】図５は本発明の一実施形態に係る照明ユニットのレンズ部の要部断面拡大図
【図６】図６は本発明の第１の実施形態に係る照明ユニットの要部断面拡大図
【図７】図７は本発明の第２の実施形態に係る照明ユニットの要部断面拡大図
【符号の説明】
【００４２】
１…自動販売機本体、２…外扉、２ａ…商品選択スイッチ、２ｂ…硬貨投入口、２ｃ…紙幣投入口、２ｄ…金額表示部、２ｅ…硬貨返却口、２ｆ…商品取出口、３…商品サンプル室、３ａ…透明板、３ｂ…背面板、３ｃ…サンプル台、３ｄ…取付孔、３ｅ…冷温表示板、４…商品サンプル、４ａ…係合部、５…広告表示室、１０,２０…照明ユニット、１１…ユニット本体、１１ｂ…下レンズ部、１２…ＬＥＤ、１２ａ…基板、１３ａ…上部ケース、１３ｂ…下部ケース、１４…配線接続用コネクタ、１５…上レンズ部、１５ａ…アール部、１６…導光部、１６ａ…傾斜部、１６ｂ…アール部、２０ａ…アール部、２０ｂ…傾斜曲面部、２１ａ…第１のプリズムカット部、２１ｂ…第２のプリズムカット部、３０…端部側ブラケット、４０…中央側ブラケット
【技術分野】
【０００１】
本発明は、自動販売機などに内蔵される照明装置に関し、特に、缶飲料等の展示用物品（商品サンプル）等の照明対象物をＬＥＤなどの発光素子により照明する照明装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来、この種の自動販売機の照明装置には、サンプル上側及びサンプル背面側から展示用物品を照明する蛍光ランプからなる照明素子を備えたものが提案されている。このような展示用物品の照明装置においては、照明素子が点灯すると、この点灯光で展示用物品の表面及びその周辺が照明される。このような照明装置では、蛍光ランプに内封されている水銀ガスが有害であるため、蛍光ランプが不用となった場合に産業廃棄物としての処理を必要とする。また、蛍光ランプは寿命が短く、ランニングコストが嵩むといった種々の問題を有する。
【０００３】
そこで、上述した不具合を解決するために、照明素子として発光ダイオード（Light Emitting Diode:LED）を用いた照明装置も従来から提案されている（例えば特許文献１）。これは、展示用物品の背面側に半透明板を配置するとともに、この半透明板の周囲に複数のＬＥＤを配置したものである。
【０００４】
このような照明装置においては、複数のＬＥＤが光を発すると、これら光が半透明板（背面パネル）に導入され、この半透明板の物品視認者側面から展示用物品に出射される。
【０００５】
また、特許文献２には、展示用物品を照明するための第１の照明部と、展示用物品の背面側に配設される背面パネルを照明するための第２の照明部を所定角度で一体的に取付ベースに取り付けられており、照明対象に応じて適宜角度を変更することで、例えば商品選択ボタンや表示部を照らすこともできる。
【０００６】
また、特許文献３には、広告、商品見本などを照明する照明灯の光を反射若しくは屈折させながら操作パネルの背面に導く照明装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００７】
【特許文献１】特開２００２−３５８５６０号公報
【特許文献２】特開２００８−２７０３４号公報
【特許文献３】特開平５−４６８５９号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００８】
しかし、特許文献１の照明装置によると、展示用物品の背面側に配置された半透明板の周囲にＬＥＤが配置され、展示用物品を背面側から照明するだけであるので、これらＬＥＤからの照明光によって展示用物品を効率よく的確に照明することができない上に、展示用物品以外を照明対象物としていないので、物品視認者の視覚に訴える展示効果を得ることができないという問題があった。
【０００９】
また、特許文献２の照明装置によると、１つの照明装置に２つの照明部（ＬＥＤ基板）を有し、複数の照明対象物を効率的に照明しているが、照明部が複数であるため、製品コストが増大してしまうという問題を有している。このため、２つの照明部を１つに減らすことが考えられるが、単純に数を減らしただけでは複数の照明対象物を効率的に照明することは困難である。
【００１０】
また、特許文献３の照明装置によると、ひとつの照明灯とプリズムを用いて展示室内の広告、商品見本及び操作パネルを照明しているが、照明灯とプリズム（光導光路）とが別部材であり、それぞれを個別に設置する必要があるために広い設置スペースが必要となるという問題がある。
【００１１】
従って、本発明の目的は、ＬＥＤ素子からの照明光によって展示用物品や背面パネル、冷温表示などの操作パネル部などの複数の照明対象物を効率よく的確に照明することができるとともにコストパフォーマンスに優れた自動販売機の照明装置及びこれを備えた自動販売機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【００１２】
本発明は前記目的を達成するために、自動販売機の前面に設けられ、照明対象物を照明する自動販売機の照明装置において、前記照明対象物の幅方向に延びる光透過性のユニット本体を有し、ユニット本体内に所定角度傾斜させて展示用物品及び背面パネルのうちの少なくとも一方をその上方位置から照明するためのＬＥＤを設けてなる照明ユニットと、前記照明ユニットにより発光された光を該照明ユニットより上方に位置し、販売商品の冷温情報を表示する冷温表示部又は販売商品を選択するための商品選択釦の背面まで導光する導光部と、前記導光部により導光された光を拡散して前記冷温表示部又は商品選択釦に照射するための出射部を有する。
【００１３】
これにより、ユニット本体内の照明ユニットから発せられた光を、該照明ユニットよりも上方に導く導光部を設けたことから、従来のように複数の照明ユニットを有さなくても多方向に光を照射することが可能になる。
【発明の効果】
【００１４】
本発明によれば、照明ユニットから下方に発せられた光で展示用物品及び背面パネルの少なくとも一方を照明するとともに、導光部を介ｎして照明ユニットの配置位置より上方に位置する冷温表示部又は（及び）商品選択釦に光を照射することが可能であるため、複数の照明対象物を効率的に照明することができる。また、複数の照明対象物を１つの照明ユニットで照明可能に構成されていることから、照明装置、しいてはこれを用いた自動販売機を低コストで構成することができる。さらに、光を導く導光部をユニット本体内に形成しているため、照明ユニットの設置に余分なスペースを設ける必要がない。そのため、設置スペースの確保が非常に困難であった狭い領域にも容易に照明ユニットを設置することができる。
【発明を実施するための形態】
【００１５】
（第１の実施形態）図１は本発明の一実施形態に係る照明装置を備えた自動販売機の全体斜視図であり、前面を開口した自動販売機本体１と、自動販売機本体１の前面を開閉する外扉２と、外扉２の前面に設けられた商品サンプル室３とを備え、商品サンプル室３内には照明対象物としての多数の商品サンプル４が設けられている。また、外扉２の前面には広告表示室５が設けられている。
【００１６】
自動販売機本体１は内部に断熱性の商品収納庫（図示せず）を備え、商品収納庫内にはサーペンタイン式等の商品コラム（図示せず）が設けられている。
【００１７】
外扉２は幅方向一端を自動販売機本体１に回動自在に支持され、その前面には、複数の商品選択スイッチ２ａ、硬貨投入口２ｂ、紙幣投入口２ｃ、金額表示部２ｄ、硬貨返却口２ｅ及び商品取出口２ｆが設けられている。
【００１８】
図２は自動販売機における商品サンプル室の分解斜視図であり、商品サンプル室３は、商品サンプル室３の前面を覆う図示しない透明板３ａと、商品サンプル室３の背面を覆う背面板３ｂと、背面板３ｂに取付けられた上下複数段のサンプル台３ｃとを有し、各サンプル台３ｃには複数の商品サンプル４が上下複数列になるように載置されている。サンプル台３ｃは下面を開口するように断面略コ字状に屈曲した部材からなり、その上面には商品サンプル４を取付けるための取付孔３ｄが設けられている。サンプル台３ｃの前面には、商品サンプル４に対応する商品の冷温情報を表示する冷温表示板３ｅが取り付けられる。
【００１９】
商品サンプル４は下面を開口した中空状の光透過性部材からなり、その表面には実物の商品と同様のデザインが施されている。商品サンプル４の下端にはサンプル台３ｃの取付孔３ｄに係合する係合部４ａが設けられ、取付孔３ｄに係合部４ａを係合することにより商品サンプル４がサンプル台３ｃに取付けられるようになっている。
【００２０】
また、商品サンプル室３内には、商品サンプル室３の背面板３ｂ、商品サンプル４、冷温表示板３ｅ及び商品選択スイッチ２ａを照明する照明装置が設けられている。
【００２１】
この照明装置は、サンプル台３ｃの下方に配置される複数の照明ユニット１０，２０から構成される。各照明ユニット１０、２０は、各照明ユニット１０，２０の端部側を支持する支持部材としての端部側ブラケット３０と、各照明ユニット１０，２０の中央側を支持する支持部材としての中央側ブラケット４０により着脱自在に支持される。各照明ユニット１０、２０の違いは長さのみであるため、以下では照明ユニット１０についてのみ説明する。
【００２２】
図３は照明ユニットの斜視図であり、図４は照明ユニットの側面断面図である。照明ユニット１０は、商品サンプル室３の幅方向に延びるユニット本体１１と、ユニット本体１１内に配設され、背面板３ｂに向かって光を照射する複数のＬＥＤ１２が実装された基板１２ａと、該基板１２ａに実装されるとともに照明ユニット１０の長手方向両側にそれぞれ設けられ、照明ユニット間を配線する配線接続用のコネクタ１４とを備えている。
【００２３】
複数のＬＥＤ１２は基板１２ａに実装され、互いにユニット本体１１の幅方向（長手方向）に間隔をおいて配置されている。基板１２ａはその下面側に複数のＬＥＤ１２が位置するとともにユニット本体１１内の前端下部に配置され、複数のＬＥＤ１２の光がユニット本体１１の後述する下レンズ部１１ｂを透過し、後方に向かって斜め下方に照射されるようになっている。
【００２４】
ユニット本体１１は、基板１２ａを収納するための上部ケース１３ａと下部ケース１３ｂを備えている。上部ケース１３ａには後述する上レンズ部１５を有している。該上レンズ部１５は光透過性材料から構成されており上部ケース１３ａと一体に構成されている。
【００２５】
下部ケース１３ｂは、基板１２ａに実装された複数のＬＥＤ１２から照射される光を外部へ照射するための下レンズ部１１ｂを有しており、光透過性材料により下部ケース１３ｂと一体的に形成されている。図５に示すように、下レンズ部１１ｂは所定の半径で形成されたアール部２０ａでＬＥＤ１２からの光を外部へ拡散して照射するレンズが構成され、レンズ部１１ｂに入射した光は、該レンズ部１１ｂにユニット本体１１の短手方向後方で隣接し、下ケース１３ｂの外周に形成された階段状の傾斜部２０ｂに入射し、レンズ部１１ｂにユニット本体１１の短手方向後方で隣接し、下ケース１３ｂの内周に形成された反射面２０ｃで全反射させて傾斜部２０ｂを介してＬＥＤ１２からの光を後方に向かって斜め下方へ効率よく照射する構成とされている。
【００２６】
尚、ＬＥＤ１２からの出射光の反射率を向上させるために、反射面２０ｃに例えばＡｌやＡｇなどを蒸着する鏡面処理を施してもよいし、当該部分に白色塗装を施してもよい。
【００２７】
また、下部ケース１３ｂは、後述するＬＥＤ１２からの光を導光する導光部１６を有しており、例えば空気よりも屈折率の大きい透明部材により下部ケース１３ｂと一体に形成されている。
【００２８】
ここで、下部ケース１３ｂは、透明な材料で構成されているので、上記説明したＬＥＤ１２からの光は該ＬＥＤ１２の指向性の広さにより下部ケース１３ｂの下方向のみならず横方向および上方向にも照射される。特にユニット本体１１の短手方向前方には、意図しない光が照射されてしまっている。
【００２９】
導光部１６は、図６に示すように、下レンズ部１１ｂに隣接し、下部ケース１３ｂの短手方向前方に傾斜する傾斜部１６ａと、該傾斜部１６ａに隣接し、下レンズ部１１ｂ及び傾斜部２０ｂにより拡散されなかった意図しないユニット本体１１の短手方向前方への光の向きをユニット本体１１の上方に向きを変えるためにＲ面取り又はＣ面取りが施されたアール部１６ｂと、上部ケース１３ａに設けられた上レンズ部１５（出射部）とから構成される。
【００３０】
ＬＥＤ１２から発光され、下レンズ部１１ｂ及び傾斜曲面部２０ｂにより拡散されなかった意図しない光は、傾斜部１６ａに入射される。入射された光は傾斜部１６ａの内部を通ってアール部１６ｂに案内され、該アール部１６ｂにてユニット本体１１の上方へ導かれる。上レンズ部１５は、Ｒ面取りが施されているアール部１５ａによりアール部１６ｂからの光を外部へ拡散して照射するレンズが構成され、上レンズ部１５に入射された光はアール部１５ａを介して、ユニット本体１１の前方斜め上方に位置する冷温表示板３ｅ又は（及び）商品選択スイッチ２ａの背面に向けて拡散される。拡散された光は冷温表示板３ｅ又は（及び）商品選択スイッチ２ａを背面から照らすため、バックライト効果を得ることができる。
【００３１】
ここで、導光部１６内を乱反射してくる光をより効率的に冷温表示板３ｅ又は（及び）商品選択スイッチ２ａに照射するために、上述したアール部１５ａの内周面（上ケース１３ａの内周面の光拡散部分に該当する箇所）に階段状に形成された複数のプリズムカットを設けてもよい。
【００３２】
また、ＬＥＤ１２からの出射光の反射率を向上させるために、アール部１５ａの内周面（上ケース１３ａの内周面で光拡散部分に該当する箇所）やアール部１６ｂ及び傾斜部１６ａの外周面に例えばＡｌやＡｇなどを蒸着する鏡面処理を施してもよいし、当該部分に白色塗装を施してもよい。
【００３３】
また、上記実施例ではアール部１５ａを有する上レンズ部１５から冷温表示板３ｅ又は（及び）商品選択スイッチ２ａに光を拡散させる構成としたが、上レンズ部１５の位置にＣ面取りを施した出射面を形成し、該出射面から冷温表示板３ｅ又は（及び）商品選択スイッチ２ａに向けて光を拡散させてもよい。
【００３４】
更に、冷温表示板３ｅ又は（及び）商品選択スイッチ２ａに向けて広い角度で十分に光を拡散させるために、アール部１５ａにシボ加工を施して光を散乱させるように構成してもよい。
【００３５】
（第２の実施形態）図７は本発明の第２の実施形態に係る断面図である。尚、第１の実施形態と共通する部分については同一の符号を使用する。第２の実施形態に係る導光部１６は、下部ケース１３ｂの短手方向前方に傾斜する傾斜部１６ａと、下レンズ部１１ｂ及び傾斜曲面部２０ｂにより拡散されなかった意図しないユニット本体１１の短手方向前方への光の向きをユニット本体１１の上方に向きを変えるための第１のプリズムカット部２１ａと、第１のプリズムカット部２１ａによりユニット本体１１の上方に向き変えた光を更に冷温表示板３ｅ又は（及び）商品選択スイッチ２ａの背面に向きを変えるための第２のプリズムカット部２１ｂとから構成されている。
【００３６】
ＬＥＤ１２から発光され、下レンズ部１１ｂ及び傾斜曲面部２０ｂにより拡散されなかった意図しない光は、傾斜部１６ａに入射される。入射された光は第１のプリズムカット部２１ａ及び第２のプリズムカット部２１ｂを経由して乱反射を繰り返しながら冷温表示板３ｅ又は（及び）商品選択スイッチ２ａの背面まで導かれて該冷温表示板３ｅに向けて拡散される。拡散された光は冷温表示板３ｅをその背面から照らすため、バックライト効果を得ることができる。
【００３７】
ここで、導光部１６内を乱反射してくる光をより効率的に冷温表示板３ｅ又は（及び）商品選択スイッチ２ａに照射するために、上述した第２のプリズムカット部２１ｂに更に階段状に形成された複数のプリズムカットを設けてもよい。
【００３８】
また、ＬＥＤ１２からの出射光の反射率を向上させるために、第１のプリズムカット部２１ａ及び傾斜部１６ａの外周面、第２のプリズムカット部２１ｂに例えばＡｌやＡｇなどを蒸着する鏡面処理を施してもよいし、当該部分に白色塗装を施してもよい。
【００３９】
更に、冷温表示板３ｅ又は（及び）商品選択スイッチ２ａに向けて広い角度で十分に光を拡散させるために、第２のプリズムカット部２１ｂにシボ加工を施して光を散乱させるように構成してもよい。
【００４０】
上記第１の実施形態及び第２の実施形態における照明装置は、自動販売機への適用例を示したが、これに限られず、展示用物品やパネル等の照明対象を有するショーケース等に幅広く適用可能であることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【００４１】
【図１】図１は本発明の一実施形態に係る照明装置を備えた自動販売機の全体斜視図
【図２】図２は本発明の一実施形態に係る自動販売機の商品サンプル室の分解斜視図
【図３】図３は本発明の一実施形態に係る照明ユニットの斜視図
【図４】図４は本発明の一実施形態に係る照明ユニットの側面断面図
【図５】図５は本発明の一実施形態に係る照明ユニットのレンズ部の要部断面拡大図
【図６】図６は本発明の第１の実施形態に係る照明ユニットの要部断面拡大図
【図７】図７は本発明の第２の実施形態に係る照明ユニットの要部断面拡大図
【符号の説明】
【００４２】
１…自動販売機本体、２…外扉、２ａ…商品選択スイッチ、２ｂ…硬貨投入口、２ｃ…紙幣投入口、２ｄ…金額表示部、２ｅ…硬貨返却口、２ｆ…商品取出口、３…商品サンプル室、３ａ…透明板、３ｂ…背面板、３ｃ…サンプル台、３ｄ…取付孔、３ｅ…冷温表示板、４…商品サンプル、４ａ…係合部、５…広告表示室、１０,２０…照明ユニット、１１…ユニット本体、１１ｂ…下レンズ部、１２…ＬＥＤ、１２ａ…基板、１３ａ…上部ケース、１３ｂ…下部ケース、１４…配線接続用コネクタ、１５…上レンズ部、１５ａ…アール部、１６…導光部、１６ａ…傾斜部、１６ｂ…アール部、２０ａ…アール部、２０ｂ…傾斜曲面部、２１ａ…第１のプリズムカット部、２１ｂ…第２のプリズムカット部、３０…端部側ブラケット、４０…中央側ブラケット
【特許請求の範囲】
【請求項１】
自動販売機の展示室に設けられ、照明対象物を照明する自動販売機の照明装置において、前記照明対象物の幅方向に延びる光透過性のユニット本体を有し、ユニット本体内に所定角度傾斜させて照明対象物である展示用物品及び背面パネルのうちの少なくとも一方をその上方位置から照明するためのＬＥＤを設けてなる照明部と、前記照明部により発光された光を該照明部より上方に位置する販売商品の冷温情報を表示する冷温表示部又は販売商品を選択するための商品選択釦のうちの少なくとも一方の背面まで導光する導光部と、前記導光部により導光された光を拡散して前記冷温表示部又は商品選択釦の少なくとも一方に照射するための出射部を有することを特徴とする自動販売機の照明装置。
【請求項２】
前記導光部には前記照明部から発光された光を反射または屈折させるためのプリズムカットが複数施されていることを特徴とする請求項４記載の自動販売機の照明装置。
【請求項３】
前記導光部には前記照明部から発光された光を反射または屈折させるためのＲ面取りが施されていることを特徴とする請求項４記載の自動販売機の照明装置。
【請求項４】
前記出射部は、前記冷温表示部の背面の近傍に位置する前記ユニット本体のエッジ部に設けられ、前記エッジ部にはＲ面取り又はＣ面取りが施されていることを特徴とする請求項４記載の自動販売機の照明装置。
【請求項１】
自動販売機の展示室に設けられ、照明対象物を照明する自動販売機の照明装置において、前記照明対象物の幅方向に延びる光透過性のユニット本体を有し、ユニット本体内に所定角度傾斜させて照明対象物である展示用物品及び背面パネルのうちの少なくとも一方をその上方位置から照明するためのＬＥＤを設けてなる照明部と、前記照明部により発光された光を該照明部より上方に位置する販売商品の冷温情報を表示する冷温表示部又は販売商品を選択するための商品選択釦のうちの少なくとも一方の背面まで導光する導光部と、前記導光部により導光された光を拡散して前記冷温表示部又は商品選択釦の少なくとも一方に照射するための出射部を有することを特徴とする自動販売機の照明装置。
【請求項２】
前記導光部には前記照明部から発光された光を反射または屈折させるためのプリズムカットが複数施されていることを特徴とする請求項４記載の自動販売機の照明装置。
【請求項３】
前記導光部には前記照明部から発光された光を反射または屈折させるためのＲ面取りが施されていることを特徴とする請求項４記載の自動販売機の照明装置。
【請求項４】
前記出射部は、前記冷温表示部の背面の近傍に位置する前記ユニット本体のエッジ部に設けられ、前記エッジ部にはＲ面取り又はＣ面取りが施されていることを特徴とする請求項４記載の自動販売機の照明装置。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【公開番号】特開２０１２−６９０４０（Ｐ２０１２−６９０４０Ａ）
【公開日】平成２４年４月５日（２０１２．４．５）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１０−２１４９３１（Ｐ２０１０−２１４９３１）
【出願日】平成２２年９月２７日（２０１０．９．２７）
【出願人】（０００００１８４５）サンデン株式会社 (1,791)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２４年４月５日（２０１２．４．５）
【国際特許分類】
【出願日】平成２２年９月２７日（２０１０．９．２７）
【出願人】（０００００１８４５）サンデン株式会社 (1,791)
【Ｆターム（参考）】
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