説明

自動販売機

【課題】人目をひくことができるとともに商品見本を際立たせて展示することが可能な商品展示台を備えた自動販売機を提供する。
【解決手段】キャビネット本体1の前面に開閉自在な外扉2、この外扉2に形成され、商品展示台31に載置された商品見本303を展示する商品展示室3、この商品展示室31に展示された商品見本303を照明する照明手段32とを備えた自動販売機であって、前記商品展示台31を透明な材料により形成し、商品展示台31に載置された商品見本303が空中に浮かんで静止しているように展示して商品見本を際立たせるとともに、商品展示台に入射した照明手段32の光が商品展示台のエッジに集中して放射されることにより、当該商品展示台のエッジがキラキラと光って見えることから商品展示台を生命体のように見せることが可能で衆目を集めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、缶入り飲料や瓶入り飲料、あるいはペットボトル入り飲料等の商品を販売する自動販売機に関し、詳しくは外扉に区画形成された商品展示室内に商品見本を並べて展示する自動販売機に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように自動販売機はキャビネット本体の前面に開閉自在な外扉が配設され、キャビネット本体の庫内には商品を収容した商品収納ラック(例えば、サーペンタイン式商品収納ラック)が配備され、この商品収納ラックに収容した商品を冷却/加熱ユニットにより冷却または加温して冷蔵保存または加熱保存している。前記外扉には商品見本を展示する商品展示室が区画形成されるとともに商品展示室内には販売する商品の商品見本を載置して展示する商品展示台が上下方向に複数段並設されている。商品展示室の前面はプラスチック製の透明板で覆われており、この透明板の前面に前記商品展示台に載置された商品見本に対応して商品選択ボタンが設けられている。前記商品展示台には左右方向に複数の商品見本が載置して取付けられ、この商品見本は商品展示室内に設けた照明手段としての蛍光灯により照明されるように構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平10−79078号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記蛍光灯は商品見本を上方向から照明するため商品展示室の天面側と商品展示台の下部に配置されている。例えば、商品展示台が上下に3段並設されている場合、上段の商品展示台の商品見本は商品展示室の天面側に配置された蛍光灯で照明され、中段の商品展示台の商品見本は上段の商品展示台の下面に設けた蛍光灯で照明され、下段の商品展示台の商品見本は中段の商品展示台の下部に設けた蛍光灯で照明されるように構成されている。なお、商品見本が光透過性の部材により構成され、商品見本の底部に形成した穴から商品見本の内部に光を導入して商品見本が発光するように展示されるものにあっては、商品展示台に孔を形成して商品展示台の下部に設けた蛍光灯の光を商品見本の内部に導入して商品見本の内部から照明するようにしたものもある。
ここで、商品展示室(自動販売機)の前面から蛍光灯が見えるように配設されている場合、蛍光灯自体が目立って商品見本の展示効果が低減するとともに利用者が蛍光灯を直視した場合には目が眩んでしまうので不快感を与えてしまう。このため、商品展示室の前面から蛍光灯が見えることがないように構成されている。この場合、商品展示室の天面側に設けた蛍光灯は商品展示室の縁に位置することから商品展示室上方の前面から目視できない位置に配設することができる。しかしながら、商品展示室の中央、すなわち、商品展示台の下部に設けた蛍光灯は目隠しをしなければならない。この目隠しは、一般的には商品展示台を下面が開放した箱形に形成し、その箱の中に蛍光灯を配設して蛍光灯が商品展示台で覆われるように構成し、これによって自動販売機の前面から蛍光灯が目視できないようにされている。このため、商品展示台は光を遮断する板金によって形成されている。この蛍光灯と商品展示台の関係を逆に言えば、商品展示台が光を遮断する材料により形成されていることにより蛍光灯を商品展示台の下部に配設して商品展示台に載置された商品サンプルを照明しなければならない。そして、商品展示台は蛍光灯を覆うために比較的大きな外形形状となり、商品展示室に占める商品展示台の割合が大きくなる。前記商品展示台は見栄えをよくするために白色の塗料により塗装されているとはいえ、無機質であることから人目をひくような機能は備えていないのが現状である。
そこで、本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、人目をひくとともに商品見本を際立たせて展示することが可能な自動販売機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために本発明は、キャビネット本体の前面に開閉自在な外扉と、前記外扉に区画形成され、商品展示台に載置された商品見本を展示する商品展示室と、この商品展示室に展示された商品見本を照明する照明手段を備えた自動販売機において、前記商品展示台を透明な材料で形成したことを特徴とする(請求項1)。
この場合、商品展示台は個別に形成するのがよく(請求項2)、また、商品展示台の商品載置部に商品見本が取付けられる商品見本保持板を着脱自在に装着するのがよい(請求項3)。
また、商品展示室に展示された商品見本を照明する照明手段として発光ダイオードを用いるのがよく(請求項4)、この場合、発光ダイオードは商品見本に対応して設けるのがよく(請求項5)、さらに、発光ダイオードは商品選択ボタンが取付けられるボタン取付金具に取付けるのがよい(請求項6)。
【発明の効果】
【0005】

本発明の請求項1に記載した自動販売機によれば、商品展示台が透明であることから商品展示台に載置された商品見本は恰も空中に浮かんで静止しているような展示を行うことができるので商品見本を際立たせることが可能となり、また、照明手段から照射されて商品展示台に入射した光が商品展示台のエッジから集中して放射されることにより、商品展示台のエッジがキラキラと光って見えることから商品展示台を生命体のように見せることができるので周囲の注目を集めることができる。また、請求項2に記載の自動販売機によれば、機種ごとに展示する商品見本の数が異なる場合にも、商品見本の数に応じた商品展示台を用意すればよいので、商品展示台は全機種に共通に用いることができる。さらに、請求項3に記載の自動販売機によれば、顧客ごとに展示する商品見本の係合方式が異なる場合にも、商品見本の係合方式に合致する商品見本保持板を交換するのみで全ての顧客に対応でき、商品展示台を全ての顧客に共通に用いることが可能となる効果を有する。
【0006】
また、本発明の請求項4に記載した自動販売機によれば、照明手段が発光ダイオードで形成されていることにより、照明手段の設置スペースを小さくすることができるとともに消費電力が小さいことから省エネルギー化が可能であり、また、請求項5に記載の自動販売機によれば、商品見本に対応して配設された発光ダイオードによりそれぞれの商品見本を個別に照明するようにしたことにより、個々の商品見本を照明する照度を変えて照明したり、異なる発光タイミングで照明することができ、言い換えれば、利用者の目を引く展示を行うことができる。さらに、請求項5に記載の自動販売機によれば、発光ダイオードを商品選択ボタンが取付けられるボタン取付金具に取付けることにより、発光ダイオードの取付けのための部品を設ける必要がないことから部品点数を削減することができるという効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態を図1乃至図13に示す実施例に基づいて説明する。図1は本発明の一実施例を示す自動販売機の正面図であり、図2は図1の側面図である。
図において、1は前面が開放された断熱筐体からなるキャビネット本体であり、断熱内扉で閉塞された庫内には商品を収容した商品収納ラック,庫内の商品を冷却もしくは加熱する冷却/加熱ユニットが配設されている。2はキャビネット本体1にヒンジ結合されてキャビネット本体1の前面を開閉する片開き式の外扉であり、この外扉2には商品展示室3,金額表示器4,紙幣挿入口5,硬貨投入口6,返却レバー7,商品取出口8,硬貨返却口9がそれぞれ設けられている。前記商品取出口8と硬貨返却口9とを設けた取出口組立体10は、図2から理解できるように、外扉2の前面から前方に突出した半円筒形状に形成されている。また、図示していないが、外扉2をキャビネット本体1にロックするロック機構をキーにより開錠,施錠する扉ロック手段も設けられている。なお、2Aは小振りの載置台であり、セカンドバックなどの鞄を載置する置き台である。
図3は外扉2に形成された商品展示室3の断面図を示し、商品展示室3は外扉2にヒンジ結合された中扉301と外扉2の前面に取付けられたプラスチック製の透明板302との間に区画形成されている。前記中扉301には商品見本303を載置した商品展示台31が取付部材35を介して取付けられている。前記商品見本303に対応して商品選択ボタン304が透明板302を貫通して取付けられ、前記商品選択ボタン304は外扉2に固着されたボタン取付金具305により支持されている。ボタン取付金具305と透明板302との間にはスペーサ306が配設され、このスペーサ306により透明板302をボタン取付金具305に結合させて透明板302が波打つのを抑制している。前記ボタン取付金具305の背面には商品見本303を前方より照明する照明手段としての発光ダイオード32が取付けられている。
ここで、前記発光ダイオード32は商品展示台31に載置されたそれぞれの商品見本303に対応して個別に配設されるようにモジュール化されており、プリント配線基板にダイオードチップが実装され、前記プリント配線基板を囲うケースの開口からコネクタが引出されるとともにダイオードチップからの光を拡散するレンズを前記ケースに装着して構成されている。また、前記ダイオードチップは白色または3原色(赤、青、緑)の光を発光する素子からなり、白色の光を発光する素子を用いた場合には従来の蛍光灯と同様に平均的に照明したり、光量や発光タイミングを制御することにより照明に変化をもたせることができ、また、3原色の光を発光する素子を用いた場合には種々の色彩で照明することができる。もちろん3原色の光を発光する素子を用いた場合にも各素子を同時に点灯させることにより従来の蛍光灯と同様に平均的に照明することができるものである。以下の説明では前記発光ダイオード32を発光ダイオードモジュールと呼称する場合もある。
【0008】
次に商品展示台31の構成について図4を用いて説明する。図4において、31で再び商品展示台を示し、この商品展示台31は透明なプラスチック成形品からなり、商品見本ごとに個別に設けられている。前記商品展示台31の商品載置部となる上面31aと下面31bとの間は貫通穴31cが形成されており、上面31aの左右両端には前後方向に延びる保持溝31dが形成されている。また、商品展示台31の前壁31eは前方に傾斜して形成され、その前面は透明材料からなる冷温表示部材311を装着する冷温表示部として形成されている。この冷温表示部は左右両側に形成した表示部材保持溝31fを有し、この表示板保持溝31fに冷温表示部材311が挿入され、また、交換のために引き抜かれる。前記商品展示台31の後壁31gは垂直壁として形成され、かつ、後壁31gから後方に突出する鉤状のフック(不図示)が形成されている。なお、前記冷温表示部材311は透明なプラスチックフィルムからなり、四角形状の冷温表示部材311の表面に白抜きの文字(例えば、コールド商品の場合はCOLD、ホット商品の場合はHOT)や金額を表す数字(例えば120)の背景に、コールド商品の場合には寒色の背景色(例えば青色)、ホット商品の場合には暖色の背景色(例えば赤色)が印刷されている。
前記商品展示台31の前記上面31aの保持溝31dには商品見本保持板312が差し込まれる。前記商品見本保持板312は貫通孔31cに対向する位置に孔313が形成されるとともに当該孔313の周縁に商品見本の底部(又は下部)に設けた係合爪と係合する係合溝314(この実施例では一対)が形成されている。また、商品見本保持板312には商品展示台31の上面31aに形成した係合爪31hと係合する係合孔315が形成され、この係合孔315は商品見本保持板312を商品展示台32の上面に装着した際に前記係合爪31hと係合することにより商品見本保持板312の抜け止めを行うものである。この商品見本保持板312は顧客ごとに異なる商品見本の係合方式、すなわち、商品見本の底部または下部に設けた係合爪の数や形状に対応して複数種類が容易されている。従って、顧客に応じた商品見本保持板312を商品展示台31装着することにより商品展示台31を共用することができるものであり、顧客ごとに商品展示台を用意する必要がない。
【0009】
図5は前述した商品展示台31を中扉301(図1参照)に固着した取付部材35に装着する状態を示す。図5に示すように、取付部材35は展開状態では長尺の薄い板金の上下両端を折り曲げて形成され、取付部材35の前面には左右に並べて並設される商品展示台31の数に応じた係合孔35aが穿孔されている。この係合孔35aには商品展示台31の後壁31gに形成したフック(不図示)が嵌め込まれる。このように商品展示台31を取付部材35に引っ掛け方式により取付けられることにより商品展示台31が横一列に整然と整列される。
このように透明な商品展示台31を用いることにより、商品展示台31に載置された商品見本が恰も空中に浮かんで静止しているように展示することができ、商品見本を際立たせて利用者に興味を持たせたり、引き付けることが可能となる。また、商品展示台31を商品見本ごとに個別に設けることにより、機種ごとに展示する商品見本の数が異なる場合にも、商品見本の数に応じた係合孔35aが穿孔された取付部材35を交換するのみでよく、商品展示台31は全機種に共通に用いることができる。さらに、商品展示台31が透明なプラスチック材料により形成されていることにより、照明手段としての発光ダイオードモジュールから照射された光が商品展示台31のエッジに集中することから、そのエッジ部分がキラキラと光って見えるので、商品展示台31が恰も生命体であるように見せることができ、衆目の的となる。
【0010】
次に、商品見本303を照明する発光ダイオード32の取付け状態を図6を用いて説明する。
図6は外扉2の商品展示室3における透明板302の背面に配設されたボタン取付金具305への発光ダイオードモジュール32の取付け状態を示し、商品展示室3の前面を覆う透明板302を背面から見た図である。ここで、商品展示室3は図3に示したように、前後面が中扉301と透明板302で区画形成されており、その周縁が図6に示した天板341,底板342,右側板343,および左側板344で覆われている。商品展示室3には左右に横切るように商品選択ボタン304(図3参照)を支持するボタン取付金具305が配設され、このボタン取付金具305の両端が右側板343と左側板344に固定されている。ボタン取付金具305前面側には透明板302との間に配設されるスペーサ306が取付けられている。345〜348はそれぞれ商品展示室3の天板341,底板342,右側板343,および左側板344の商品展示室3側に配設されて化粧枠である。
【0011】
前記ボタン取付金具305の背面には商品見本303に対応して発光ダイオードモジュール32が左右に並べてそれぞれ取付けられる。前記ボタン取付金具305の背面には発光ダイオードモジュール32に対応して発光ダイオード取付用の係合穴(不図示)が形成されている。一方、発光ダイオードモジュール32の(プリント配線基板を収納する)ケースにはコネクタの引き出しのための開口部の周縁に、前記係合穴に嵌め込んで固着される係合部が形成されている。したがって、前記ボタン取付金具305の係合穴に発光ダイオードモジュール32のケースに形成された係合部を嵌め込むことにより発光ダイオードモジュール32がボタン取付金具305に取付けられる。また、ボタン取付金具305はそれぞれの発光ダイオードモジュール32への電源や信号を供給するハーネスのホルダとしても用いられている。このボタン取付金具305に保持されたハーネスにはそれぞれの発光ダイオード32に接続されるソケットが接続されており、このソケットを前記発光ダイオードモジュール32のコネクタに接続することにより発光ダイオードモジュール32が制御装置と電気的に接続される。制御装置は予め設定されたプログラムに基づいて発光ダイオード32を点灯制御する。前述したようにボタン取付金具305を発光ダイオードモジュール32の取付け、およびハーネスの引き回しに兼用することにより部品点数を削減できる。
【0012】
次に、図7は紙幣挿入口5,硬貨投入口6,返却レバー7からなる操作部の断面を示す。図において、紙幣挿入口5は挿入ガイド部51が斜め上方向を向くように形成され、この紙幣挿入口5と紙幣通路が連通する紙幣識別装置52が外扉2の背面に取付金具53を介して取付けられている。紙幣識別装置52は従来の紙幣識別装置を逆さにして配置したものであり、紙幣挿入口5から挿入された紙幣を上方向に搬送して真偽判別を行い、「真」と判定された紙幣を紙幣保留部に集積し、「偽」と判定された紙幣を紙幣挿入口5に返却するものである。紙幣挿入口5の下方には返却レバー7が配設され、この返却レバー7の下方には硬貨投入口6が配設されている。
硬貨投入口6には硬貨一枚を受け入れる凹所が形成された硬貨受具61が前方に突出するように取付けられ、硬貨受具61の凹所に硬貨を投入すれば硬貨が取り込まれるように構成されている。硬貨投入口6に連通して外扉2の背面には硬貨シュート62およびコインメック63が配設され、硬貨受具61の凹所に投入された硬貨は硬貨シュート62を介してコインメック63に導かれて真偽が判定される。
【0013】
図7に示したように、返却レバー7を挟んで上下に紙幣挿入口5および硬貨投入口6を近接して配設したことにより、紙幣および硬貨の投入位置が一箇所に集中することから、紙幣または硬貨のいずれを使用しても略同一位置で紙幣の挿入操作もしくは硬貨の投入操作を行うことができ利用者の利便性が向上する。そして、紙幣挿入口5と硬貨投入口6との間に返却レバー7が配置されていることから紙幣挿入口5または硬貨投入口6から返却レバー7までの距離が略等距離となり、返却時の操作性が改善され利用者の利便性が向上する。
次に、図8は商品取出口8および硬貨返却口9を構成する取出口組立体10を示し、この取出口組立体10は図2に示したとおり、外扉2の前面から前方に突出した半円筒形状に形成されている。取出口組立体10は左右の半円形状の化粧枠側板101、101、化粧枠下板102、および化粧枠上板103からなる。前記化粧枠上板103には商品取出口8および硬貨返却口9が開口され、商品取出口8と硬貨返却口9とが横一列に配列して一体化して配設されている。なお、取出口組立体10が半円筒形状に外扉2から前方へ突出していることから硬貨返却口9も従来の自動販売機に対して前方に位置することになるが、コインメック63(図7参照)と硬貨返却口9との間には当該コインメック63から排出された硬貨を硬貨返却口9に導くコインシュート(不図示)が設けられている。
【0014】
前記化粧枠上板103の内側には商品取出口8および硬貨返却口9を開閉する透明なプラスチック材からなるフラップ11が上下方向にスライド可能に配設されている。なお、81はフラップ11の表面に貼着した銘板81である。
前記フラップ11は図9に示すように、化粧枠上板103と同一の曲率をもって湾曲形成され、上下両端を額縁状の補強部材12で保持されている。すなわち、補強部材12の上縁には断面コ字形の保持部121が形成されており、この保持部121にフラップ11の上端が嵌合保持されている。一方、フラップ11の下縁には断面コ字形の保持部111が形成され、この保持部に補強部材12の下縁を差し込んで両者を結合することによりフラップ11の下端が補強部材12に保持されている。前記補強部材12の左右両端には回転支点となる軸100に軸支された脚片13(図9では左端側の脚片のみ示されている)が設けられ、補強部材12に保持されたフラップ11は軸100を中心として上下方向にスライド移動する。前記したように補強部材12によりフラップ11の上下両端を保持することによりプラスチックからなる広幅のフラップ11の剛性を高めてフラップ11が破損することを防止できる。
【0015】
図9に示すように、前記取出口組立体10の化粧枠下板102にはフラップ11の下端が当接するガスケット14が取付けられている。このガスケット14の前面側は商品取出口8の内側に凹むように形成され、その凹みの前面側にフラップ11の下端が位置するように構成することにより、ガスケット14の凹みに指を差し入れてフラップ11を押し上げることによりフラップ11は上方向にスライド移動する。
なお、図9において、15は外扉2の懐に配備された商品受部材であり、この商品受部材15の底面にはクッション16が着脱自在に取付けられている。また、17は外扉2に固着され、商品収納ラックから搬出された商品を受け入れる空間を区画する側板であり、この側板17に前記補強部材12の脚片13を軸支する軸100が固着されている。
次に、前記フラップ11の開閉について説明すると、図9に示すガスケット14の凹みに指を差し入れてフラップ11を押し上げることによりフラップ11は補強部材12の脚片13の軸支点(軸100)を中心に揺動して上方向にスイラド移動する。フラップ11が上方向にスライド移動した状態を図10に示し、フラップ11が図10に示す上限位置までスライド移動することにより商品取出口8の開口が全開されるとともに硬貨返却口9も全開される。これにより商品の取出しと同時に釣銭の取出しを行うことができる。図10に示すようにフラップ11が上方向の上限位置までスライド移動した状態においてフラップ11の重心は軸100よりも前方側に位置するように定められている。従って、フラップ11を上下位置までスライド移動させた後に手を離すとフラップ11はその自重により下方向にスライド移動して商品取出口8および硬貨返却口9を閉じる。
前述したように、商品取出口8と硬貨返却口9とを横一列に配列して一体化したことにより商品および釣銭の取出しの利便性が向上し、さらに、商品取出口8および硬貨返却口9がフラップ11の開閉により同時に開放・閉鎖するようにすることによって従来装置のようにそれぞれの商品取出口および硬貨返却口のフラップを操作して取出すものに対してそれぞれのフラップを開閉する時間を省いて利便性を更に向上することができる。また、商品の販売動作により販売された商品は商品受部材15の上に搬出されるが、この商品受部材15の上に搬出された商品は透明で円弧状に形成されたフラップ11を透かして目視することができ、利用者は商品が搬出されたことを容易に知ることができる。
【0016】
なお、硬貨投入後に商品の購入を取り止めて返却レバーが操作された場合には投入した硬貨の金額に相当する硬貨が硬貨返却口9に返却され、また、投入した硬貨がコインメックにより受付けられなかった場合にも当該硬貨が硬貨返却口9に返却される。この場合、前記実施例では商品取出口8および硬貨返却口9を開閉するフラップ11を共用化していることからフラップ11を開閉して硬貨返却口9から硬貨を取出す必要がある。このため、硬貨返却口9から硬貨を取出す場合はフラップ11を開けるなどの取扱い操作(操作説明)を表記した銘板81をフラップ11の表面に貼着したり、プラップ11に直接刻印しておくのが望ましい。この銘板81もしくは刻印によりフラッパ11の存在を利用者に認知させることができ、利用者がフラッパ11の存在に気付かずにフラッパ11に手を打ち当ててしまうことをなくすことができる。
【0017】
また、前記実施例では、商品展示台が個別に形成したものについて説明したが、商品展示台を個別に形成することなく、従来と同様に複数の商品見本を一括して載置する構成とした場合にも商品展示台が透明であれば商品見本が空中に浮かんでいるように展示することができる。従って、複数の商品見本を一括して載置する構成の商品展示台を透明としたものも本発明に含まれるものである。
さらに、前記実施例では商品見本の照明手段として発光ダイオードを用いたものについて説明したが、その照明手段として従来の蛍光灯を用いることもできる。この場合、従来の蛍光灯は商品見本を上方向から照明するため商品展示室の天面側と商品展示台の下部に配置されており、例えば、商品展示台が上下に3段並設されている場合、4本の蛍光灯が必要である。一方、本発明では商品展示台が透明であることから照明光が商品展示台により遮られることがない。したがって、商品展示室の天面側と底面側に蛍光灯を配置することにより上下3段の商品展示台に載置された商品見本を上下から照明することができ、従来装置に対して蛍光灯の本数を半減することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施例を示す自動販売機の自動販売機の正面図
【図2】図1の自動販売機の側面図
【図3】図1の外扉に形成された商品展示室の断面図
【図4】商品展示台の分解斜視図
【図5】図4の商品展示台を取付け状態を説明する図
【図6】発光ダイオードのボタン取付金具への取付け状態を説明する図
【図7】紙幣挿入口,硬貨投入口,返却レバーからなる操作部の断面図
【図8】商品取出口と硬貨返却口とを備えた取出口組立体の正面図
【図9】商品取出口の断面を示し、フラップが商品取出口の開口を閉鎖した状態の図、
【図10】商品取出口の断面を示し、フラップが上方向の上限位置までスライド移動した状態の図
【符号の説明】
【0019】
1 キャビネット本体
2 外扉
3 商品展示室
5 紙幣挿入口
6 硬貨投入口
7 返却レバー
8 商品取出口
9 硬貨返却口
10 取出口組立体
11 フラップ
12 補強部材
13 脚片
31 商品展示台
32 照明手段(発光ダイオード)
301 中扉
302 透明板
304 商品選択ボタン
305 ボタン取付金具
306 スペーサ
312 商品見本保持板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャビネット本体の前面に開閉自在な外扉と、前記外扉に区画形成され、商品展示台に載置された商品見本を展示する商品展示室と、この商品展示室に展示された商品見本を照明する照明手段を備えた自動販売機において、前記商品展示台を透明な材料で形成したことを特徴とする自動販売機。
【請求項2】
請求項1記載の自動販売機において、商品展示台は個別に形成されていることを特徴とする自動販売機。
【請求項3】
請求項2記載の自動販売機において、商品展示台の商品載置部に商品見本を取付ける商品見本保持板が着脱自在に装着されていることを特徴とする自動販売機。
【請求項4】
請求項1記載の自動販売機において、商品展示室に展示された商品見本を照明する照明手段は発光ダイオードであることを特徴とする自動販売機。
【請求項5】
請求項4記載の自動販売機において、発光ダイオードは商品見本に対応して設けられていることを特徴とする自動販売機。
【請求項6】
請求項4記載の自動販売機において、発光ダイオードは商品選択ボタンを支持するボタン取付金具に取付けられていることを特徴とする自動販売機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−330910(P2006−330910A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−151011(P2005−151011)
【出願日】平成17年5月24日(2005.5.24)
【出願人】(000237710)富士電機リテイルシステムズ株式会社 (1,851)
【Fターム(参考)】