自動販売機
【課題】傾斜した商品収容通路に交互に出没する第1ストッパおよび第2ストッパを有する商品搬出装置の動作を安定させつつ、省エネルギー化を図ることが可能な商品搬出装置を備えた自動販売機を提供する。
【解決手段】スラント式の商品収容棚42に複数の商品Gを横倒し姿勢で前後方向に一列に整列して収容した商品収容通路43が上下多段に配設され、前記各商品収容通路43の商品搬出口45の近傍に配設した商品搬出装置5から第1ストッパ56および第2ストッパ58を商品収容通路43に交互に突出させて商品を切り出すようにした自動販売機であって、前記商品搬出装置5を前記商品収容通路43の上部に配設し、当該商品搬出装置5の第1ストッパ56および第2ストッパ58が商品収容通路43に収容された商品Gの上側から商品収容通路43に出没するようにした。
【解決手段】スラント式の商品収容棚42に複数の商品Gを横倒し姿勢で前後方向に一列に整列して収容した商品収容通路43が上下多段に配設され、前記各商品収容通路43の商品搬出口45の近傍に配設した商品搬出装置5から第1ストッパ56および第2ストッパ58を商品収容通路43に交互に突出させて商品を切り出すようにした自動販売機であって、前記商品搬出装置5を前記商品収容通路43の上部に配設し、当該商品搬出装置5の第1ストッパ56および第2ストッパ58が商品収容通路43に収容された商品Gの上側から商品収容通路43に出没するようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の商品を横倒し姿勢で前後方向に一列に整列して収容する商品収容通路の商品搬出口が低くなるように傾斜して配設された商品収納ラックから商品を一個ずつ切り出して搬出する商品搬出装置を備えた自動販売機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の自動販売機は、本体キャビネットの庫内に複数の商品を横倒し姿勢で前後方向に一列に整列して収容する商品収容通路(商品コラムともいう)を備えた商品収容棚が上下方向に複数段配設された商品収納ラックを備え、この商品収容ラックが左右方向に複数列並設されている。前記商品収納ラックは、商品収容通路の商品搬出口が低くなるように所定の勾配をもって傾斜して構築されている。このような商品収納ラックは、スラントラックとも称される。前記商品収納ラックにおける商品収容通路の商品搬出口には当該商品収容通路に横倒し姿勢で収容された商品を一個ずつ切り出す商品搬出装置が設けられおり、この商品搬出装置として図12に示すものが知られている(例えば、特許文献1の図11)。
【0003】
図12は従来の商品搬出装置の側面図であり、図において、100は商品収納ラックを構築する商品収容棚である。この商品収容棚100は、底板部110と左右の側面部120(図では左右の側面部が重なっており、一方の側面部のみが見えている)とから断面U字状に形成され、その内部空間が商品収容通路200として構成されている。前記商品収容棚100は商品収容通路200の商品搬出口210が低くなるように傾斜して配設され、前記商品搬出口210に商品搬出装置300が設けられている。前記商品搬出装置300は、商品収容棚100の底板部110に沿って配設される基板310に回動自在に軸支された第1ストッパ320および第2ストッパ330を商品収容通路200に交互に出没(図示実線状態と点線状態)させるように構成されている。前記商品搬出装置300は、サーペンタイン式商品収納ラック(上下方向に蛇行する商品収容通路に商品を横倒し姿勢で上下一列に積み重ねて収容するラック)に用いられている商品搬出装置として良く知られており、前記第1ストッパ320および第2ストッパ330を連動して作動させる不図示の電磁ソレノイドおよび作動機構を備えている。前記商品搬出装置300に対向して商品収容通路200の通路幅を設定する通路幅調整板400が設けられ、この通路幅調整板400は前後一対のピン410,420を側面部120に形成した一組のガイド溝121,122に沿って移動させることにより上下方向にスライドして商品収容通路幅を太幅および細幅の2段階に切換え可能となっている。
【0004】
前記商品搬出装置300は、販売待機状態において第1ストッパ320が商品収容通路200に突出する一方、第2ストッパ330が商品収容通路200から退避している(図示実線状態)。この販売待機状態において商品収容棚100に商品Gがローディングされると最初に投入された商品G(G1とも言う)が第1ストッパ320に係止され、後続の商品G2,G3が第1ストッパ320に係止された商品G1に続いて整列して収容される。自動販売機の商品選択ボタンが操作されると商品搬出装置300は、不図示の電磁ソレノイドが通電されて第1ストッパ320および第2ストッパ330が連動して回動し、図示点線状態に移行する。第1ストッパ320が商品収容通路200から退避することにより販売順位一番の商品G1(以下、販売商品ともいう)を、商品搬出口210を介して搬出する一方、第2ストッパ330が商品収容通路200に突出してその先端で販売順位2番の商品G2(以下、次販売商品ともいう)を係止する。販売商品G1の搬出後、電磁ソレノイドへの通電が遮断されると第1ストッパ320および第2ストッパ330が実線で示す位置に復帰し、第1ストッパ320により次販売商品G2を係止して販売待機状態となる。前記商品収容棚100に商品径の異なる商品を収容する場合には通路幅調整板400を上下方向に移動させて商品収容通路幅を調整する。なお、第2ストッパ330の先端で次販売商品G2を係止するのは、商品荷重を第2ストッパ330の回動支点(第2ストッパ330の回動軸)で受け止めるためである。
【0005】
図12に示した自動販売機の商品搬出装置においては、第1ストッパ320および第2ストッパ330が連動して商品収容通路に出没するように構成されている。すなわち、第1ストッパ320が商品収容通路200から退避し始めると同時に第2ストッパ330が商品収容通路200に突出し始めるというように、第1ストッパ320および第2ストッパ330が相互間の角度を略一定に維持しつつ回動するように構成されている。また、第2ストッパ330の先端で次販売商品G2を係止するように構成されているため第2ストッパ330の回動角度は比較的小さい。この第2ストッパ330の回動角度に従い、第1ストッパ320の回動角度も比較的小さく、第1ストッパ320の商品収容通路200への突出量が制限される。このため、販売待機状態において商品収容通路200に突出する第1ストッパ320の姿勢は商品搬出口210側に向けて傾斜している。したがって、商品収容棚100に最初にローディングされた商品G1は商品搬出口210側に傾斜した第1ストッパ320を駆け上がって通路幅調整板400に衝突し、その反動で商品搬出装置300の基板310面に向けて反転することとなる。この場合、商品G1が傾きなく商品収容通路200を転動若しくは滑動する場合、つまり、商品G1の軸線が商品進行方向に対して直角である場合には当該商品G1が通路幅調整板400に衝突して反転しても商品G1が横倒しでその軸線が商品進行方向に対して直角の姿勢を維持する一方、商品G1が傾いている場合(その軸線が商品進行方向に対して直角ではない場合)には当該商品G1が通路幅調整板400に衝突して反転した場合に商品(の軸線)が商品収容通路200の商品進行方向に一致する姿勢、すなわち、商品G1が商品収容通路200の商品進行方向に立った姿勢(或いは、商品進行方向に対して傾いた姿勢)に姿勢変化して商品詰まりを起こすおそれがある。ここで、商品収容通路200を転動若しくは滑動する商品の挙動は不安定であり、特に、ショートサイズの商品の場合には姿勢変化するおそれが顕著である。
【0006】
この問題を解決するため、近年、サーペンタイン式商品収納ラックに採用されているところの、第1ストッパおよび第2ストッパが非連動であり、第1ストッパが商品収容通路を横切るように略垂直(基板310の板面に対して略垂直)に突出するように構成された商品搬出装置を利用することが考えられる(例えば、特許文献2に記載の商品搬出装置)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3508902号公報(図11参照)
【特許文献2】特許第3422778号公報(図1〜図8参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記特許文献2に記載された自動販売機の商品搬出装置をスラントラックに適用した例を図13に示す。図において、110は商品収容棚の底板部であり、この底板部110の下面に商品搬出装置500が配設されている。商品搬出装置500は、商品収容通路200に出没自在に軸支された第1ストッパ510,第2ストッパ520、電磁ソレノイド530、リンク機構540などを備えている。第1ストッパ510は、その背面側にガイド溝512が形成されたガイド部511を有し、不図示の付勢ばねにより商品収容通路に突出する方向に付勢されている。また、前記ガイド溝512には回動軸552を支点として回動する第1リンク550がピン551を介して連結され、第1リンク550にはロックピン541により作動する第2リンク553が連結されている。第2ストッパ520はスライドピン542が摺動する凹状の摺動溝521を有している。前記ロックピン541およびスライドピン542は、電磁ソレノイド530により白抜き矢印で示す方向に駆動されるリンク機構540に連動してスライド移動するものである。図示状態は販売待機状態であり、第1ストッパ510は下降位置に待機するロックピン541により第1リンク550および第2リンク553とともに平衡状態にロックされて突出状態にある一方、第2ストッパ520が退避状態にある。電磁ソレノイド530が通電されることにより白抜き矢印の左方向へ駆動されるリンク機構540に連動して上昇するロックピン541は第2リンク553を引き上げて前記平衡状態を崩す一方、スライドピン542は第2ストッパ520の摺動溝521を摺動しつつ第2ストッパ520を突出位置に向けて回動させる。ここで、ロックピン541が上昇して第2リンク553が引き上げられると第1リンク550が回動軸552を支点として反時計方向に回動するので、商品荷重を受けた第1ストッパ510は退避位置に向けて回動(図示では時計方向に回動)して販売商品G1を搬出する。これと同時に第2ストッパ520の先端が商品収容通路200に突出して次販売商品G2を係止する。販売商品G1が通り抜けると第1ストッパ510は付勢ばねの付勢力により突出位置に復帰し、その後、電磁ソレノイドへの通電が遮断されることにより図示状態に復帰するロックピン541により第1リンク550および第2リンク553を介してロックされる。
【0009】
前記特許文献2に記載された自動販売機の商品搬出装置においては、第1ストッパ510および第2ストッパ520が非連動であって第1ストッパ510が商品収容通路200に略垂直に突出するように構成されている。したがって、この商品搬出装置500を採用することにより最初にローディングされた商品G1の挙動が不安定であっても第1ストッパ510により受け止められて姿勢矯正されるので商品詰まりを惹起することがないという利点を有する。しかしながら、この商品搬出装置500においては、商品収納棚100(底板部110)の下面に商品搬出装置500が配設されているため、第2ストッパ520に近接して商品Gが存在し、更に、第1ストッパ510が商品収容通路200に略垂直に突出するように構成されているため、販売商品G1が商品Gを投入する商品投入口寄りに位置し、第1ストッパ510に係止された販売商品G1が第2ストッパ520の上方に位置するようになる。このため、第2ストッパ520の商品収容通路200への突出が販売商品G1により妨げられる。この場合、第2ストッパ520が販売商品G1に与える力は販売商品G1を押し上げる方向となるので、販売商品G1の搬出には寄与しない。
【0010】
ここで、第2ストッパ520は、販売商品G1と次販売商品G2とを区画するために販売商品G1と次販売商品G2との間の隙間に突出するのであるが、前述したように販売商品G1により商品収容通路200への突出が妨げられることから電磁ソレノイド530への通電と同時に商品収容通路200には突出できない。そして、第2ストッパ520の商品収容通路200への突出は、販売商品G1によって左右され、販売商品G1と次販売商品G2との間の隙間が比較的小さい小径商品の場合には突出途中の第2ストッパ520を乗り越えて搬出されてしまうおそれがある。また、前記第2ストッパ520が商品収容通路200への突出を妨げられている場合、電磁ソレノイド530においては吸引途中のプランジャーが停止した状態にあり、このために唸り音が発生する。この唸り音は自動販売機の利用者にとっては耳障となるものであり、購買意欲を削ぐこととなる。そして、商品収納棚100(底板部110)が傾斜しているとは言え、販売商品G1が停止状態から商品搬出口210に向けて動き始めるまでには時間がかかり、販売商品G1の販売時間はその都度変化して不定となる。この販売時間は実験などにより測定され、商品の販売(搬出)を確実なものとするために最長の販売時間に決定される。一方、電磁ソレノイド530には販売商品G1が搬出されるまでの期間中、第2ストッパ520を商品収容通路200に突出した状態に維持するために励磁電流を流し続けねばならないので、消費電力が増加するという課題を有する。
【0011】
そこで、本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、その目的は前記課題を解決し、傾斜した商品収容通路に交互に出没する第1ストッパおよび第2ストッパを有する商品搬出装置の動作を安定させつつ、省エネルギー化を図ることが可能な商品搬出装置を備えた自動販売機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために請求項1に係る発明は、複数の商品を横倒し姿勢で前後方向に一列に整列して収容し、かつ、その商品搬出口が低くなるように傾斜して配設された商品収容通路が上下多段に配設され、前記各商品収容通路の商品搬出口の近傍に配設した商品搬出装置により当該商品収容通路に収容された商品を一個ずつ切り出して搬出する自動販売機であって、前記商品搬出装置は、基板の開口部から商品収容通路に出没自在に軸支され、前記商品収容通路の販売順位一番の商品(販売商品)を保持する態様で前記商品収容通路に突出する突出位置に向けて移動し、前記販売商品の保持を解放する態様で前記商品収容通路から退避する退避位置に移動可能に設けた第1ストッパと、前記基板の開口部から商品収容通路に出没自在に軸支され、前記商品収容通路から退避する退避位置に向けて付勢され、前記商品収容通路の下から2番目位置の商品(次販売商品)を保持する態様で前記商品収容通路に突出する突出位置に移動可能に設けた第2ストッパと、前記第1ストッパおよび第2ストッパを突出位置と退避位置とに移動させるリンク機構と、前記リンク機構を移動させる駆動手段とを有し、前記第1ストッパおよび第2ストッパを商品収容通路に交互に突出させて商品を切り出すようにした自動販売機において、前記商品搬出装置を前記商品収容通路の上部に配設し、当該商品搬出装置の第1ストッパおよび第2ストッパが商品収容通路に収容された商品の上側から商品収容通路に出没するようにしたことを特徴とする。
【0013】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の自動販売機において、商品搬出装置は上段の商品収容通路を形成する商品収容棚に取付けてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の請求項1に係る自動販売機によれば、複数の商品を横倒し姿勢で前後方向に一列に整列して収容し、かつ、その商品搬出口が低くなるように傾斜して配設された商品収容通路が上下多段に配設され、前記各商品収容通路の商品搬出口の近傍に配設した商品搬出装置により当該商品収容通路に収容された商品を一個ずつ切り出して搬出する自動販売機であって、前記商品搬出装置は、基板の開口部から商品収容通路に出没自在に軸支され、前記商品収容通路の販売順位一番の商品(販売商品)を保持する態様で前記商品収容通路に突出する突出位置に向けて移動し、前記販売商品の保持を解放する態様で前記商品収容通路から退避する退避位置に移動可能に設けた第1ストッパと、前記基板の開口部から商品収容通路に出没自在に軸支され、前記商品収容通路から退避する退避位置に向けて付勢され、前記商品収容通路の下から2番目位置の商品(次販売商品)を保持する態様で前記商品収容通路に突出する突出位置に移動可能に設けた第2ストッパと、前記第1ストッパおよび第2ストッパを突出位置と退避位置とに移動させるリンク機構と、前記リンク機構を移動させる駆動手段とを有し、前記第1ストッパおよび第2ストッパを商品収容通路に交互に突出させて商品を切り出すようにした自動販売機において、前記商品搬出装置を前記商品収容通路の上部に配設し、当該商品搬出装置の第1ストッパおよび第2ストッパが商品収容通路に収容された商品の上側から商品収容通路に出没するようにしたことにより、商品収容通路に収容された商品と商品搬出装置との間に隙間を設けることができるので、商品搬出装置における第2トッパを商品収容通路に収容された販売商品に妨げられることなく突出させることができる。しかも、第2ストッパが商品収容通路に突出して販売商品に当接した際、当該販売商品を商品搬出口に向けて押圧することから販売商品の搬出時間を短縮することができるので、電磁ソレノイドの駆動時間を短くして省エネルギー化を図ることができるという効果を有する。
【0015】
また、請求項2に係る発明よれば、請求項1に記載の自動販売機において、商品搬出装置は上段の商品収容通路を形成する商品収容棚に取付けてなることにより、商品搬出装置を上段側の商品収容棚を利用して取付けることができるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る自動販売機の一実施例を示す側面図である。
【図2】図1に示した自動販売機の商品搬出装置を商品収容通路外側(背面側)から見た斜視図である。
【図3】図1で示した自動販売機の商品搬出装置を商品収容通路内側から見た斜視図である。
【図4】図2の商品搬出装置の軸受部材を示す背面斜視図である。
【図5】図2の商品搬出装置のリンク部材を示す斜視図である。
【図6】図2の商品搬出装置の第1ストッパを示す斜視図である。
【図7】図2の商品搬出装置の回動ストッパを示す斜視図である。
【図8】図2の商品搬出装置の第2ストッパを示す斜視図である。
【図9】図2の商品搬出装置から売切検出スイッチを取り外した状態を示す分解斜視図である。
【図10】図2の商品搬出装置の商品収納棚への組付け方法を示し、(a)は平面(上面)側から見た斜視図、(b)は(a)の背面(下面)側から見た斜視図である。
【図11】本発明に係る自動販売機における商品搬出装置の動作説明図である。
【図12】従来装置に係る自動販売機における商品搬出装置の動作説明図である。
【図13】図12とは異なる従来装置に係る自動販売機における商品搬出装置の動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態に係る自動販売機について添付図面を参照して説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0018】
図1は本発明が対象とする自動販売機の一例である一般的な缶入り飲料,ペットボトル入り飲料を販売する自動販売機の側面図である。図に示すように、この自動販売機は、前面が開放した断熱筐体として形成された本体キャビネット1と、本体キャビネット1の前面に開閉可能に支持された外扉2とからなる。本体キャビネット1の商品収納庫の前面は開閉可能な断熱内扉3によって閉塞されている。本体キャビネット1の商品収納庫内には、左右方向に複数配列されるとともに上下方向に多段に配設された商品収容棚42を備えた商品収納ラック4が収納設置されている。この商品収納ラック4は、前記商品収容棚42が架設される左右のラック側板41を備えている。この左右のラック側板41は、矩形平板状の薄板鋼板製になり、この実施の形態では前後に2分割された前側ラック側板411と後側ラック側板412からなる。この前側ラック側板411および後側ラック側板412に対応して前記商品収容棚42も前後に分割されている。そして、前後の商品収容棚42は段差なく前後に連なると共に、商品投入口44となる前方側が高く、商品搬出口45となる後方側が低くなるように傾斜する態様で前側ラック側板411および後側ラック側板412に架設されている。前後の商品収容棚42と左右のラック側板41に囲まれた内部空間が複数の商品を横倒し姿勢で前後方向に一列に整列して収容する商品収容通路43(商品コラム)として構成され、この商品収容通路43(商品コラム)が上下多段(この実施の形態では10個の商品コラム)に形成されている。このように構成された商品収納ラック4が商品収容庫内に左右方向に複数並設されている。前記各商品収容通路43の商品搬出口45の近傍であって各商品収容通路43の上部、この実施の形態においては上段側の商品収容棚42の下面には当該商品収容通路43に収容された商品Gを一個ずつ切り出して搬出する商品搬出装置5が配設されている。この商品搬出装置5については後述する。なお、商品収納ラック4は左右のラック側板41に上端に架け渡されたラック側フック金具を、本体キャビネット1における商品収容庫の天井面に配設した本体側フック金具に掛け止めすることにより商品収納庫内に設置されているものである。
【0019】
前記各商品収納ラック4に上下多段に配設された商品収容通路43の商品搬出口45は同一の鉛直線上に位置しており、前記商品搬出口45と商品収納庫背面(本体キャビネット1の背壁)との間が商品の落下する搬出通路46として形成されている。そして、各商品収容棚42の後方端には、前記搬出通路46に突出する突出位置、および落下する商品により押し開かれて搬出通路から退避する退避位置との間を回動する姿勢制御板47が配備されている。この姿勢制御板47は、不図示のコイルばねにより搬出通路46に向けて突出するように付勢されており、搬出通路46を落下する商品により押し開かれて搬出通路46から退避する際、当該商品の姿勢を横倒し姿勢に矯正するとともに当該商品の落下エネルギーを吸収してその落下速度を低減させる機能を有している。前記商品収納ラック4の下部には前下がりの姿勢に配されるとともにその板面に複数の通気孔が穿孔された商品搬出シュート6が設けられている。この商品搬出シュート6は前記搬出通路46と断熱内扉3に設けたフラッパ付きの商品搬出口31を介して外扉2の商品取出口21とを連係する。また、前記商品搬出シュート6の下部には、従来装置と同様に、商品収納庫内を冷却若しくは加熱して商品収納ラック4に収容した商品をコールド若しくはホット状態に保存する冷却/加熱ユニット7が配設されている。また、本体キャビネット1の下部の機械室8には、冷却/加熱ユニット7の冷却ユニットと冷凍サイクルを形成する冷凍機コンデンシングユニット9が配設されている。
【0020】
なお、外扉2の前面には、図示は省略するが、本体キャビネット1の庫内に収納した商品に対応した複数の商品見本を展示した商品展示室、購入する商品を指定する商品選択ボタン、代価としての硬貨を投入する硬貨投入口、代価としての紙幣を挿入する紙幣挿入口、釣銭硬貨若しくは返却指令により返却される硬貨を取り出すための硬貨返却口、釣銭若しくは投入硬貨の返却を指示する返却レバーなど、貨幣の投入により商品の自動販売に必要な部品が配設され、さらに、外扉2を本体キャビネット1に閉止鎖錠する扉ロック機構のハンドルなどが設けられている。
【0021】
前記商品搬出装置5は、前記各商品収容通路43の商品搬出口45の近傍であって各商品収容通路43の上部、この実施の形態においては上段側の商品収容棚42の下面に配設されている。この商品搬出装置5の商品収容棚42への組付けについては後述することとし、先ず、商品搬出装置5の構成について説明する。
【0022】
前記商品搬出装置5は、図2および図3に示すように、鋼板製の基板50を備えている。この基板50の平板状の矩形板面は商品収容通路43の通路面を形成するものである。前記基板50は、平板状の矩形周縁を商品収容通路43と反対側(基板50の背面側)に折り曲げた上下左右のフランジ50A〜50Dにより背面側が開口した薄い箱形に形成されている。前記商品搬出装置5の基板50の下半領域には、商品収容通路43に通じる大きな開口部51(図2、図3参照)が設けられ、基板50の上半領域の左右中央位置には開口部52A(図9参照)が設けられている。ここで、商品搬出装置5における上下とは商品の進行方向に対する前後方向の前側(商品投入口44側)および後側(商品搬出口45側)を指し、左右とは自動販売機の正面から見た場合の左側および右側を指している。
【0023】
前記基板50の背面(商品収容通路43とは反対側の面)には、図2に示すように、軸受部材53、電磁ソレノイド54、リンク機構55、第1ストッパ56、回動ストッパ57、第2ストッパ58、売切検出スイッチ(売切検出手段)59が配設されている。
【0024】
前記軸受部材53は基板50の開口部51の上縁と下縁との間に架設されている。軸受部材53はリンク機構55、第1ストッパ56、回動ストッパ57および第2ストッパ58に関わる各軸(後述)の一方端を支持し、各軸の他方端は基板50の開口部51の左縁に基板50の背面側に突出して形成されたフランジ51B(図2参照)により支持している。なお、軸受部材53とフランジ51Bとにおける上記各軸を支持する構成はほぼ対称の構成であるので、以下の説明では、軸受部材53について説明し、フランジ51Bに係る構成の説明は省略する。
【0025】
前記軸受部材53の構成について、図4をも参照しながら説明すると、その上下端には、図4に示すように突起部531、凹溝532が形成されている。前記突起部531は基板50の開口部51の上縁に基板50の背面側に突出して形成されたフランジ(不図示)の係止穴に圧入される。前記凹溝532には開口部51の下縁から上方に向けて切り起された係止片(不図示)が圧入される。この軸受部材53は前記突起部531を開口部51の上縁におけるフランジの係止穴に圧入した上で、前記凹溝532の側面側から開口部51の下縁における係止片を圧入することにより開口部51の上縁と下縁との間に架設される。
【0026】
前記軸受部材53には上下方向に延在する長溝533および長溝534を設けている。長溝533は軸受部材53の上側に設けてあり、長溝534は軸受部材53の下側に設けている。長溝533は、リンク機構55に関わる上部リンクピン55A(図2参照)を上下方向にスライド移動可能に支持している。長溝534は、リンク機構55に関わる下部リンクピン55B(図2参照)を上下方向にスライド移動可能に支持している。前記上部リンクピン55Aおよび前記下部リンクピン55Bは、互いに平行に設けてある。また、軸受部材53の上下方向のほぼ中央の位置には支軸穴535を設けている。この支軸穴535は、第1ストッパ56に関わる第1ストッパ軸501(図2参照)を支持している。この第1ストッパ軸501は、上部リンクピン55Aおよび下部リンクピン55Bと平行に配置してあって、基板50の開口部51における上下方向のほぼ中央部に位置し、その左右端部が当該開口部51の左右側方に渡る態様で開口部51の左右両側フランジ51A,51Bに支持されている。
【0027】
また、軸受部材53の上下方向のほぼ中央の位置であって支軸穴535の上方の位置に支軸穴536を設けている。この支軸穴536には、第2ストッパ58に関わる第2ストッパ軸502(図2参照)が支持してある。この第2ストッパ軸502は、基板50の開口部51における上下方向のほぼ中央部に位置し、当該開口部51の左右側方に渡る態様で開口部51の左右両側フランジ51A,51Bに支持してある。第2ストッパ軸502は、上部リンクピン55A、下部リンクピン55Bおよび第1ストッパ軸501と平行に配置してある。さらに、前記軸受部材53の下端位置には支軸穴537を設けている。この支軸穴537には、回動ストッパ57に関わる回動ストッパ軸503(図2参照)を支持している。回動ストッパ軸503は、上部リンクピン55A、下部リンクピン55B、第1ストッパ軸501および第2ストッパ軸502と平行に配置してある。
【0028】
前記電磁ソレノイド54は、基板50の開口部52A(図9参照)の右端側の位置に配設されている。この電磁ソレノイド54は基板50の切り起しにより形成された固定片52B1,52B2(図3参照)にねじにより固定されている。電磁ソレノイド54は通電により励磁されてプランジャー540を吸引するとともに当該プランジャー540を吸引した状態で拘束し、通電が断たれることにより釈放してプランジャー540の拘束を解除するものである。電磁ソレノイド54は、所定時間幅の販売指令(通電)に基づいて作動し、後述するリンク機構55を介して第1ストッパ56および第2ストッパ58を商品収容通路43に出没させるものであり、リンク機構55の駆動手段を構成する。
【0029】
前記リンク機構55は、図5に示すようにリンク部材550からなり、駆動手段としての電磁ソレノイド54のプランジャー540に連結されている。このリンク機構55は電磁ソレノイド54とともに基板50の背面側の左右一方側に片寄せた位置に配設されている。
【0030】
リンク部材550は鋼板製よりなり、その上端には、前記電磁ソレノイド54のプランジャー540の係合穴に係止される連結部551が形成されている。また、リンク部材550には、上記上部リンクピン55Aが貫通する係合穴553を有する左右一対の上部係合部552を設けている。この上部係合部552はリンク部材550の上下動作に連動して上部リンクピン55Aを上下方向に移動させるものである。さらに、リンク部材550の下端には、上記下部リンクピン55Bが貫通する係合穴555を有する左右一対の下部係合部554を設けている。この下部係合部554はリンク部材550の上下動作に連動して下部リンクピン55Bを上下方向に移動させるものである。前記下部係合部554の中間位置には切欠556が形成されている。この切欠556は捻りコイルばねなどからなる復帰ばね60(図2参照)の一方を下部リンクピン55Bに係合させる際の逃げ穴として構成されている。前記復帰ばね60の他方(下方)は回動ストッパ軸503に係止されている。
【0031】
前記第1ストッパ56は、図6に示すように、金属板560の裏面に樹脂(たとえば、ポリアセタール)製の軸受台564を備えて構成されている。この第1ストッパ56は、図2に示すように、基板50の開口部51の左右両側フランジ51A,51Bの間に介在してあり、上記第1ストッパ軸501に回動可能に支持されている。第1ストッパ56は、第1ストッパ軸501を中心として回動して、基板50の開口部51から商品収容通路43に突出する突出位置と、開口部51を閉塞する態様で商品収容通路43から退く退避位置との間に移動可能である。第1ストッパ軸501には、捻りコイルばねからなる第1ストッパばね61(図2参照)が巻装してある。第1ストッパ56は、第1ストッパばね61の弾性付勢力によって突出位置に向けて常に付勢されており、突出位置においてその上面が商品G(図11参照)を保持する保持面として形成されている。
【0032】
前記第1ストッパ56における金属板560は左右方向が長辺となる長方形の平板からなり、その基端側の左右側壁部に形成した軸穴561,561(図6参照)は、第1ストッパ軸501を挿通するためのものである。金属板560を切り起して形成した係止爪562は、軸受台564を係止するためのものである。前記軸受台564は金属板560に次のようにして組み付けられている。すなわち、前記金属板560の基端側には、金属板560の機械的強度を上げるためにフランジ563が形成され、このフランジ563における係止爪562と対峙する位置に係止爪(図6では軸受台564に隠れて見えない)が形成されている。前記軸受台564は前記フランジ563に形成した係止爪に一端を係合させるとともに他端を前記係止爪562に係止されることにより金属板560に一体的に係止されている。
【0033】
前記軸受台564に設けた異形溝56Aは、後述する回動ストッパ57の支持軸504の端部を摺動させ、この支持軸504を介して第1ストッパ56と回動ストッパ57とが連動するように形成したものである。この異形溝56Aは、前記回動ストッパ57における支持軸504の左右両端をガイドするものであって左右対称に形成されており、前記支持軸504のロック位置を定める小径溝部56Bと、前記支持軸504のロック位置以外の動作範囲を定める大径溝部56Cとから形成されている。前記異形溝56Aの内周壁は支持軸504が摺動するカム面として形成されている。なお、異形溝56Aを有する左右の軸受台564の間にはリンク部材550が位置し、軸受台564の基端部に設けた一対のガイド突起部565,565は、リンク部材550の両側を挟むように形成され、リンク部材550の上下方向の動作が左右方向にずれないように案内するためのものである。また、軸受台564の基端部に設けた軸穴567は、第1ストッパ軸501を挿通するためのものである。
【0034】
前記回動ストッパ57は、図7に示すように、軸穴571,572を備えてなる。前記軸穴571は、回動ストッパ軸503(図2参照)を挿通するためのものである。回動ストッパ57は、回動ストッパ軸503を中心として回動し、基板50の開口部51から商品収容通路43に突出する突出位置と、商品収容通路43から退く退避位置との間に移動可能に設けてある。また、回動ストッパ57の軸穴572は、支持軸504(図2,図3参照)を保持するためのものである。この支持軸504は回動ストッパ57の左右端部から側方に突出し、この支持軸504の両端部が第1ストッパ56における各軸受台564の異形溝56Aに係合する。また、回動ストッパ57のロック溝573は、下部リンクピン55Bを係合させて回動ストッパ57の回動をロックするためのものである。さらに、回動ストッパ57の傾斜摺動面574は、回動ストッパ57の回動時に下部リンクピン55Bが摺動するように形成したものである。
【0035】
前記回動ストッパ57は、図2に示すように、上記軸受部材53とフランジ51Bとの間に介在され、回動ストッパ軸503を中心として回動し、基板50の開口部51から商品収容通路43に突出する突出位置と、開口部51を閉塞する態様で商品収容通路43から退く退避位置との間に移動可能に設けてある。回動ストッパ軸503には、図には明示されていないが捻りコイルばねからなる回動ストッパばねが巻装してあり、この回動ストッパばねにより回動ストッパ57は突出位置に向けて付勢されている。前記回動ストッパ57は、下部リンクピン55Bがロック溝573に係合している状態で突出位置にロックされる。このロック状態において回動ストッパ57の先端側に設けた支持軸504の両端部が第1ストッパ56における各軸受台564の異形溝56Aの小径溝部56Bに係合して第1ストッパ56を商品収容通路43に突出した突出位置(販売待機位置)にロックする。
【0036】
前記第2ストッパ58は、図2に示すように基板50の開口部51の左右両側フランジ51A,51Bの間に介在してあり、上記第2ストッパ軸502に回動可能に支持してある。第2ストッパ58は、第2ストッパ軸502を中心として回動して、基板50の開口部51から商品収容通路43に突出する突出位置と、開口部51を閉塞する態様で商品収容通路43から退く退避位置との間に移動可能である。第2ストッパ軸502には、図には明示されていないが捻りコイルばねからなる第2ストッパばねが巻装してある。第2ストッパ58は、第2ストッパばねの弾性付勢力によって退避位置に向けて常に付勢されている。
【0037】
前記第2ストッパ58は、図8に示すように合成樹脂(例えば、ポリアセタール)からなり、左右方向が長辺となる矩形状の基台580の先端側(図8では上側)に形成した商品係止部581と、基台580の背面側に張り出した3個のストッパ部582と、基台580の基端側に形成した軸穴583および回動規制部584とが一体成形されている。前記軸穴583は、第2ストッパ軸502を挿通するためのものである。前記3個のストッパ部582のうちの中央のストッパ部582と右側(図8では左側)のストッパ部582との間にはリンク部材550が位置する一方、中央のストッパ部582と左側(図8では右側)のストッパ部582との間には軸受部材53が位置するものである。なお、第2ストッパ58の幅は箱形に形成された基板50の開口部51を介して当該箱内に格納される大きさに形成されている。
【0038】
また、前記ストッパ部582には頂上に向けて開放する凹状の摺動溝58Aが形成され、この摺動溝58Aはリンク部材550における上部リンクピン55Aが摺動可能なものであり、第2ストッパ58の退避位置において上部リンクピン55Aを凹状最深部に受け入れるものである。前記ストッパ部582における摺動溝58Aの開放端部に設けたストッパ面58Bは、第2ストッパ58の商品収容通路43への突出時に上部リンクピン55Aと当接して第2ストッパ58にかかる商品荷重を受け、当該第2ストッパ58を突出位置でロックするものである。また、回動規制部584は、第2ストッパ58が商品収容通路43へ突出した際に軸受部材53に当接して第2ストッパ58の商品収容通路43への突出量を制限、言い換えれば第2ストッパ58の突出位置を定めるものである。また、ストッパ部582の周辺の補強材に形成した逃げ溝585は、上部リンクピン55Aが第2ストッパ58の摺動溝58Aの奥まで入り込むのを妨げないように形成したものである。
【0039】
前記売切検出スイッチ(売切検出手段)59は、図9に示すように、マイクロスイッチ591と商品収容通路43に突出する商品検知レバー592とを有する。売切検出スイッチ59は、合成樹脂(例えば、ポリアセタール)からなる額縁状の取付台593にマイクロスイッチ591と商品検知レバー592とを組付けたものである。商品検知レバー592は左右に突出する係合軸592A(図9では一方の係合軸592Aのみが現れている)を取付台593に形成した係合穴5930、5930に係合させることにより回動自在に軸支されている。前記取付台593の内方に向けて突出する左右一対の軸5931,5931には、一端が取付台593に係止され、他端が商品検知レバー592に係止される捻りコイルばね594が組付けられている。前記捻りコイルばね594は、商品検知レバー592のレバー片5921を商品収容通路43に向けて進出するように付勢するものである。商品検知レバー592の操作片5920はマイクロスイッチ591のアクチュエータ5910に対峙しており、商品収容通路43に商品がある状態においてレバー片5921が商品に押されて基板50の平面に沿うように後退している場合にはアクチュエータ5910から離れており、商品収容通路43に商品がない状態(売切れ状態)になって捻りコイルばね594によりばね付勢されたレバー片5921が商品収容通路43に進出した場合に操作片5920がアクチュエータ5910を押圧してマイクロスイッチ591を作動させるように構成されている。
【0040】
前記取付台593の上辺および左右側辺には突部593Aおよび593Bがそれぞれ形成されるとともに下辺にはΩ状に形成された可撓性部593Cが形成されている。この可撓性部593Cは左右側辺の外側から両側辺が接近するような外力が加えられることにより撓んで両側辺の接近を許容し、前記外力が除去されると両側辺を元の位置に復帰させるものである。一方、基板50の上部フランジ50Aには前記取付台593の一対の突部593Aに対応して係止穴52A1,52A1(図3も参照)が形成され、また、前記取付台593のそれぞれの突部593B,593Bに対応して開口部52Aの左右側縁にはフック状の係合片52A2および係合穴付きの係合突起52A3が形成されている。
【0041】
前記取付台593は基板50に対して次のように取付けられる。すなわち、前記取付台593の上辺に形成した一対の突部593Aを基板50の上部フランジ50Aに形成した係止穴52A1,52A1に差し込むと同時に左右側辺を内側に向けて撓ませた後、左右側辺に形成した突部593B,593Bを基板50の開口部52Aの左右側縁に形成した係合片52A2のフックおよび係合突起52A3の係止穴に対峙させた上で左右側辺に加えた外力を解く。これにより取付台593の左右側辺が可撓性部593Cの作用により復帰してその突部593B,593Bが係合片52A2のフックおよび係合突起52A3の係止穴に嵌合する。なお、マイクロスイッチ591には配線接続用コネクタ595が接続される。前記配線接続用コネクタ595の配線は、図9において基板50の左端に形成された配線溝50Eを介して引き出される。前記配線溝50Eには電磁ソレノイド54の配線も合わせて敷設されている。
【0042】
さて、図2,図3に示すように基板50には、矩形周縁を商品収容通路43と反対側(基板50の背面側)に折り曲げた上側のフランジ50Aおよび右側(図2では左側)のフランジ50Dの端部から基板50の板面に平行に延在された係止爪505,506が形成されている。この係止爪505,506は商品搬出装置5を商品収容棚42に組付けるためのものであり、次の図10を参照して商品搬出装置5の商品収容棚42への組付けとともに商品収容棚42のラック側板41(図1参照)への取付けについて説明する。
【0043】
図10は、商品収容棚42から商品搬出装置5を取外した分解図であり、(a)は平面(上面)側から見た分解斜視図、(b)は(a)の背面(下面)側から見た分解斜視図である。図10において、商品収容棚42は矩形鋼板製になり、その左右側縁から下方に折り曲げられたフランジ42A,42Bを形成して強度アップが図られている。商品収容棚42の前端(図では左斜め前方側)には中空円筒形状(カール状)に丸めた支持軸421が形成され、支持軸421の左右両端はそれぞれフランジ42A,42Bよりも外方に突出するように形成されている。また、商品収容棚42の後端には折り曲げにより形成された溝状の保持部422が設けられている。保持部422の左右両端はそれぞれフランジ42A,42Bよりも外方に突出するように形成されている。前記嵌合突起423,424は中央部分(アーチ部分)が商品収容棚42の背面から浮き上がり、前述した基板50の係止爪505,506の先端が通過可能な貫通穴(不図示)として形成されている。
【0044】
前述した商品収容棚42の支持軸421および保持部422に対応してラック側板41(図1参照)には、図示は省略したが、それぞれ支持軸421の左右両端部が貫通する円形穴および保持部422の左右両端部が貫通するコ字状穴が形成されているものである。したがって、商品収容棚42は支持軸421の左右両端部をラック側板41に形成した円形穴に差し込むと同時に保持部422の左右両端部をラック側板41に形成したコ字状穴に差し込むことによりラック側板41に係止固定される。このようにラック側板41に取付けられた商品収容棚42に対し、その下方から商品搬出装置5を組付ける。この場合、商品搬出装置5における基板50の上下左右のフランジ50A〜50Dの先端部を商品収容棚42の板面に当接させつつ、基板50に設けた係止爪505,506の先端を商品収容棚42に形成した嵌合突起423,424の貫通穴に差し込む。これと同時に、前記基板50の後端を商品収容棚42のコ字状の保持部422に差し込む。これにより商品搬出装置5が商品収容棚42にねじを使用することなく組付けられる。
【0045】
次に、本発明の実施の形態に係る自動販売機の商品搬出装置5の動作について図11も参照しつつ説明する。なお、図11では商品搬出装置5の動作を理解し易くするため概略構成を示している。また、図11においては上下2段の商品収容通路43(商品コラム)を示しており、上段側の商品収容通路43(商品コラム)に係る商品搬出装置5については販売待機状態、下段側の商品収容通路43(商品コラム)に係る商品搬出装置5については販売途中の状態を実線で示している。
【0046】
販売待機状態における商品搬出装置5は、図11の上段側の商品収容通路43に配設した商品搬出装置5のように、電磁ソレノイド54が通電されていない状態であって、リンク部材550が復帰ばね60(図2参照)によって下降位置に復帰している状態である。この販売待機状態においては、上部リンクピン55Aが軸受部材53の長溝533(図4参照)と、基板50の開口部51の右縁側のフランジ51Bの長溝とに沿って下方に移動し、下部リンクピン55Bが軸受部材53の長溝534(図4参照)と基板50の開口部51の右縁側のフランジ51Bの長溝に沿って下方に移動している。そして、第1ストッパ56は、第1付勢ばね61の弾性付勢力によって商品収容通路43に突出しており、次のように突出位置にロックされている。すなわち、販売待機状態において、回動ストッパ57は、不図示の回動ストッパばねの弾性付勢力によって突出位置にある。そして、回動ストッパ57は、下降している下部リンクピン55Bがロック溝573(図7参照)に係合していることによって突出位置に維持(ロック)されている。このとき、回動ストッパ57の支持軸504が第1ストッパ56における異形溝56Aの小径溝部56B(図6参照)に係合している。これにより、回動ストッパ57は、第1ストッパ56を突出位置に維持(ロック)して第1ストッパ56の退避位置への移動を阻止している。このロック状態で第1ストッパ56の保持面には販売商品G1が係止され、第1ストッパ56をロックしている回動ストッパ57が商品荷重を受けている。一方、第2ストッパ58は第2付勢ばねの弾性付勢力によって退避位置に復帰しており、この状態で上部リンクピン55Aがストッパ部582の摺動溝58Aの最深部に位置している。
【0047】
図11に示した販売待機状態(上段側の商品収容通路43の商品搬出装置5の状態)から所定時間幅の販売指令により電磁ソレノイド54が通電されると、電磁ソレノイド54が復帰ばね60の弾性付勢力に抗してプランジャー540を吸引してリンク部材550を上昇させる。すると、リンク部材550の下部リンクピン55Bが上昇して回動ストッパ57のロック溝573との係合が解除される。このロック解除により回動ストッパ57は商品荷重によって回動ストッパ軸503を中心として退避位置に向けて回動し、これに伴って支持軸504が第1ストッパ56の軸受台564,564における異形溝56Aの小径溝部56Bから外れて第1ストッパ56のロックが解除され、第1ストッパ56は商品荷重により退避位置に向けて回動する。前記第1ストッパ56の商品収容通路43からの退避に伴って第1ストッパ56に係止されていた販売商品G1は商品荷重によって商品搬出口45に向けて転動を開始する。
【0048】
これと同時、すなわち、電磁ソレノイド54が販売指令により通電されてリンク部材550が上昇して下部リンクピン55Bが上昇を開始すると同時に上部リンクピン55Aが上昇を開始する。上部リンクピン55Aは第2ストッパ58のストッパ部582における凹状の摺動溝58Aを摺動しつつ上昇する。これにより、第2付勢ばねにより退避状態に保持されていた第2ストッパ58がストッパ軸502を中心として突出位置に向けて第2付勢ばねの弾性付勢力に抗して回動する(図11の下段側の商品収容通路43に示す状態)。リンク部材550が上限位置まで上昇すると上部リンクピン55Aは第2ストッパ58のストッパ面58Bと係合して第2ストッパ58の退避方向への移動を阻止するようロックする。なお、第2ストッパ58の突出位置は回動規制部584(図8参照)が軸受部材53に当接することにより規制されるものである。このように突出位置に至った第2ストッパ58の商品係止部581は次販売商品G2に当接して係止し、商品収容棚42との間で次販売商品G2を保持する。したがって、電磁ソレノイド54が販売指令により通電されると、第1ストッパ56が退避位置に移動すると同時に第2ストッパ58が突出位置に移動して次販売商品G2を係止するので、第1ストッパ56に係止されていた販売商品G1のみが搬出される。
【0049】
ここで、商品搬出装置5を商品収容通路43の上部に配設し、当該商品搬出装置5の第1ストッパ56および第2ストッパ58が商品収容通路43に収容された商品の上側から商品収容通路43に出没するように構成されているので、商品搬出装置5と商品Gとの間には隙間が存在する。このため、第2ストッパ58が商品収容通路43へ向けて突出する初期の段階において商品Gに当接することなくスムーズに突出位置へ向けて移動する。さらに、上記第2ストッパ58における商品収容通路43への突出動作は瞬時に実行される一方、販売商品G1は第1ストッパ56による係止が解かれた後に商品荷重により商品搬出口45に向けて転動し始める、つまり、静止状態から転動し始める。したがって、第2ストッパ58が商品収容通路43の突出位置まで突出する途中の過程で販売商品G1に当接することとなる。この場合、第2ストッパ58は販売商品G1の上方から当該販売商品G1の前方側(商品搬出口45から見ると後方側)に当接するので、販売商品G1を商品搬出口45に向けて掻き出すように作用する。したがって、第2ストッパ58による転動を助長された販売商品G1は転動スピードを速めて商品搬出口45から搬出されることとなる。このように、販売商品G1の搬出速度が速くなることにより販売時間が短縮される。なお、販売商品G1が第1ストッパ56をすり抜けると第1ストッパ56および回動ストッパ57は第1ストッパばね61および不図示の回動ストッパばねの作用により商品収容通路43へ向けて突出し、回動ストッパ57の支持軸504が第1ストッパ56の軸受台564における異形溝56Aの小径溝部56Bに嵌まり込んだ状態で仮止めされる。
【0050】
そして、所定時間幅の販売指令がオフして電磁ソレノイド54への通電がなくなると、リンク部材550は復帰ばね60の付勢力により下降する。これに伴い下降する上部リンクピン55Aによって第2ストッパ58のロックが解除されるので、第2ストッパ58は第2付勢ばねの付勢力により待機位置に復帰する。また、前記リンク部材550の下降に伴い下部リンクピン55Bが回動ストッパ57のロック溝573に係合して回動ストッパ57をロックする。これにより、回動ストッパ57の支持軸504が第1ストッパ56の軸受台564における異形溝56Aの小径溝部56Bに嵌合した状態が維持(ロック)され、第1ストッパ56が突出位置に復帰した販売待機状態となる。なお、図示は省略したが、図11に示した商品Gよりも小径の商品を販売する際には、商品収容棚42の商品転動面を嵩上げするアタッチメントを商品収容棚42上に敷設する。この場合、アタッチメントは付属品として別途保管しておいてもよく、また、固定の商品収容棚42に対して可動のアタッチメントとして商品収容棚42に一体的に取付けておくこともできる。
【0051】
さて、上述したように、商品搬出装置5の販売動作過程において第2ストッパ58は販売商品G1の上方から当該販売商品G1の前方側(商品搬出口45から見ると後方側)に当接して販売商品G1を商品搬出口45に向けて掻き出すように作用する。したがって、第2ストッパ58による転動を助長された販売商品G1は転動スピードを速めて商品搬出口45から搬出されるので販売時間の短縮を図ることができる。この販売時間の短縮は電磁ソレノイド45を励磁する通電時間を短縮することを可能にするものであり、通電時間の短縮によって省エネルギー化を実現することができる。
【0052】
なお、前記実施の形態においては第1ストッパ56がストッパ軸501を通る鉛直線に沿うように商品収容通路43に突出(図11参照)する例について説明したが、第1ストッパ56がストッパ軸501を通る鉛直線に対して商品搬出口45側に傾斜するように構成するのが良い。このように、第1ストッパ56が商品搬出口45側に傾斜していることにより最初にローディングされた商品Gは第1ストッパ56と商品収容棚42との間にキャッチされる。つまり、最初にローディングされた商品Gは第1ストッパ56と商品収容棚42とに把持されることから、前記商品Gが第1ストッパ56に当接した際の反動により商品投入口44側に向けて跳ねることがない。したがって、第1ストッパ56がストッパ軸501を通る鉛直線に一致若しくは鉛直線に対して商品投入口44側に傾斜している場合のように、商品Gが第1ストッパ56に当接した際、当該商品Gは自由に動くことが可能であるので、その反動により跳ねて商品Gの姿勢が乱れてしまい、商品Gが商品収容通路43の商品進行方向に立った姿勢、或いは、商品Gが商品進行方向に対して傾いた姿勢に姿勢変化して商品詰まりを起こすという不測の事態を回避することができる。そして、前記第1ストッパ56が販売待機状態(商品収容通路43に突出した突出状態)において、ストッパ軸501を通る鉛直線に対して商品搬出口45側に傾斜していることにより第1ストッパ56が商品を係止する位置が商品搬出口45寄りとなるので、商品収容通路43の寸法を長くすることが可能となり、商品収容通路43内への商品収容数を増やすことができる。
【0053】
前述したように本発明の実施の形態に係る自動販売機によれば、複数の商品Gを横倒し姿勢で前後方向に一列に整列して収容し、かつ、その商品搬出口45が低くなるように傾斜して配設された商品収容通路43が上下多段に配設され、前記各商品収容通路43の商品搬出口45の近傍に配設した商品搬出装置5により当該商品収容通路43に収容された商品を一個ずつ切り出して搬出する自動販売機であって、前記商品搬出装置5は、基板50の開口部51から商品収容通路43に出没自在に軸支され、前記商品収容通路43の販売順位一番の商品(販売商品G1)を保持する態様で前記商品収容通路43に突出する突出位置に向けて移動し、前記販売商品G1の保持を解放する態様で前記商品収容通路43から退避する退避位置に移動可能に設けた第1ストッパ56と、前記基板50の開口部51から商品収容通路43に出没自在に軸支され、前記商品収容通路43から退避する退避位置に向けて付勢され、前記商品収容通路43の下から2番目位置の商品(次販売商品G2)を保持する態様で前記商品収容通路43に突出する突出位置に移動可能に設けた第2ストッパ58と、前記第1ストッパ56および第2ストッパ58を突出位置と退避位置とに移動させるリンク機構55と、前記リンク機構55を移動させる駆動手段(電磁ソレノイド54)とを有し、前記第1ストッパ56および第2ストッパ58を商品収容通路43に交互に突出させて商品Gを切り出すようにした自動販売機において、前記商品搬出装置5を前記商品収容通路43の上部に配設し、当該商品搬出装置5の第1ストッパ56および第2ストッパ58が商品収容通路に収容された商品Gの上側から商品収容通路43に出没するようにしたことにより、商品収容通路43に収容された商品Gと商品搬出装置5との間に隙間を設けることができるので、商品搬出装置5における第2トッパ58を商品収容通路43に収容された販売商品G1に妨げられることなく突出させることができる。しかも、第2ストッパ58が商品収容通路43に突出して販売商品G1に当接した際、当該販売商品G1を商品搬出口45に向けて押圧することから販売商品G1の搬出時間を短縮することができる。したがって、駆動手段(電磁ソレノイド54)の駆動時間を短くして省エネルギー化を図ることができるという効果を有する。
【符号の説明】
【0054】
1…本体キャビネット、2…外扉、4…商品収納ラック、5…商品搬出装置、42…商品収容棚、43…商品収容通路、45…商品搬出口、50…基板、51…開口部、53…軸受部材、54…電磁ソレノイド(駆動手段)、55…リンク機構、55A…上部リンクピン、55B…下部リンクピン(ロックピン)、56…第1ストッパ、56A…異形溝、56B…小径溝部、56C…大径溝部、57…回動ストッパ、58…第2ストッパ、58A…摺動溝、58B…ストッパ面、59…売切検出スイッチ、60…復帰ばね、61…第1ストッパばね、501…第1ストッパ軸、502…第2ストッパ軸、550…リンク部材、560…金属板、564…軸受台、581…商品係止部、572…ストッパ部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の商品を横倒し姿勢で前後方向に一列に整列して収容する商品収容通路の商品搬出口が低くなるように傾斜して配設された商品収納ラックから商品を一個ずつ切り出して搬出する商品搬出装置を備えた自動販売機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の自動販売機は、本体キャビネットの庫内に複数の商品を横倒し姿勢で前後方向に一列に整列して収容する商品収容通路(商品コラムともいう)を備えた商品収容棚が上下方向に複数段配設された商品収納ラックを備え、この商品収容ラックが左右方向に複数列並設されている。前記商品収納ラックは、商品収容通路の商品搬出口が低くなるように所定の勾配をもって傾斜して構築されている。このような商品収納ラックは、スラントラックとも称される。前記商品収納ラックにおける商品収容通路の商品搬出口には当該商品収容通路に横倒し姿勢で収容された商品を一個ずつ切り出す商品搬出装置が設けられおり、この商品搬出装置として図12に示すものが知られている(例えば、特許文献1の図11)。
【0003】
図12は従来の商品搬出装置の側面図であり、図において、100は商品収納ラックを構築する商品収容棚である。この商品収容棚100は、底板部110と左右の側面部120(図では左右の側面部が重なっており、一方の側面部のみが見えている)とから断面U字状に形成され、その内部空間が商品収容通路200として構成されている。前記商品収容棚100は商品収容通路200の商品搬出口210が低くなるように傾斜して配設され、前記商品搬出口210に商品搬出装置300が設けられている。前記商品搬出装置300は、商品収容棚100の底板部110に沿って配設される基板310に回動自在に軸支された第1ストッパ320および第2ストッパ330を商品収容通路200に交互に出没(図示実線状態と点線状態)させるように構成されている。前記商品搬出装置300は、サーペンタイン式商品収納ラック(上下方向に蛇行する商品収容通路に商品を横倒し姿勢で上下一列に積み重ねて収容するラック)に用いられている商品搬出装置として良く知られており、前記第1ストッパ320および第2ストッパ330を連動して作動させる不図示の電磁ソレノイドおよび作動機構を備えている。前記商品搬出装置300に対向して商品収容通路200の通路幅を設定する通路幅調整板400が設けられ、この通路幅調整板400は前後一対のピン410,420を側面部120に形成した一組のガイド溝121,122に沿って移動させることにより上下方向にスライドして商品収容通路幅を太幅および細幅の2段階に切換え可能となっている。
【0004】
前記商品搬出装置300は、販売待機状態において第1ストッパ320が商品収容通路200に突出する一方、第2ストッパ330が商品収容通路200から退避している(図示実線状態)。この販売待機状態において商品収容棚100に商品Gがローディングされると最初に投入された商品G(G1とも言う)が第1ストッパ320に係止され、後続の商品G2,G3が第1ストッパ320に係止された商品G1に続いて整列して収容される。自動販売機の商品選択ボタンが操作されると商品搬出装置300は、不図示の電磁ソレノイドが通電されて第1ストッパ320および第2ストッパ330が連動して回動し、図示点線状態に移行する。第1ストッパ320が商品収容通路200から退避することにより販売順位一番の商品G1(以下、販売商品ともいう)を、商品搬出口210を介して搬出する一方、第2ストッパ330が商品収容通路200に突出してその先端で販売順位2番の商品G2(以下、次販売商品ともいう)を係止する。販売商品G1の搬出後、電磁ソレノイドへの通電が遮断されると第1ストッパ320および第2ストッパ330が実線で示す位置に復帰し、第1ストッパ320により次販売商品G2を係止して販売待機状態となる。前記商品収容棚100に商品径の異なる商品を収容する場合には通路幅調整板400を上下方向に移動させて商品収容通路幅を調整する。なお、第2ストッパ330の先端で次販売商品G2を係止するのは、商品荷重を第2ストッパ330の回動支点(第2ストッパ330の回動軸)で受け止めるためである。
【0005】
図12に示した自動販売機の商品搬出装置においては、第1ストッパ320および第2ストッパ330が連動して商品収容通路に出没するように構成されている。すなわち、第1ストッパ320が商品収容通路200から退避し始めると同時に第2ストッパ330が商品収容通路200に突出し始めるというように、第1ストッパ320および第2ストッパ330が相互間の角度を略一定に維持しつつ回動するように構成されている。また、第2ストッパ330の先端で次販売商品G2を係止するように構成されているため第2ストッパ330の回動角度は比較的小さい。この第2ストッパ330の回動角度に従い、第1ストッパ320の回動角度も比較的小さく、第1ストッパ320の商品収容通路200への突出量が制限される。このため、販売待機状態において商品収容通路200に突出する第1ストッパ320の姿勢は商品搬出口210側に向けて傾斜している。したがって、商品収容棚100に最初にローディングされた商品G1は商品搬出口210側に傾斜した第1ストッパ320を駆け上がって通路幅調整板400に衝突し、その反動で商品搬出装置300の基板310面に向けて反転することとなる。この場合、商品G1が傾きなく商品収容通路200を転動若しくは滑動する場合、つまり、商品G1の軸線が商品進行方向に対して直角である場合には当該商品G1が通路幅調整板400に衝突して反転しても商品G1が横倒しでその軸線が商品進行方向に対して直角の姿勢を維持する一方、商品G1が傾いている場合(その軸線が商品進行方向に対して直角ではない場合)には当該商品G1が通路幅調整板400に衝突して反転した場合に商品(の軸線)が商品収容通路200の商品進行方向に一致する姿勢、すなわち、商品G1が商品収容通路200の商品進行方向に立った姿勢(或いは、商品進行方向に対して傾いた姿勢)に姿勢変化して商品詰まりを起こすおそれがある。ここで、商品収容通路200を転動若しくは滑動する商品の挙動は不安定であり、特に、ショートサイズの商品の場合には姿勢変化するおそれが顕著である。
【0006】
この問題を解決するため、近年、サーペンタイン式商品収納ラックに採用されているところの、第1ストッパおよび第2ストッパが非連動であり、第1ストッパが商品収容通路を横切るように略垂直(基板310の板面に対して略垂直)に突出するように構成された商品搬出装置を利用することが考えられる(例えば、特許文献2に記載の商品搬出装置)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3508902号公報(図11参照)
【特許文献2】特許第3422778号公報(図1〜図8参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記特許文献2に記載された自動販売機の商品搬出装置をスラントラックに適用した例を図13に示す。図において、110は商品収容棚の底板部であり、この底板部110の下面に商品搬出装置500が配設されている。商品搬出装置500は、商品収容通路200に出没自在に軸支された第1ストッパ510,第2ストッパ520、電磁ソレノイド530、リンク機構540などを備えている。第1ストッパ510は、その背面側にガイド溝512が形成されたガイド部511を有し、不図示の付勢ばねにより商品収容通路に突出する方向に付勢されている。また、前記ガイド溝512には回動軸552を支点として回動する第1リンク550がピン551を介して連結され、第1リンク550にはロックピン541により作動する第2リンク553が連結されている。第2ストッパ520はスライドピン542が摺動する凹状の摺動溝521を有している。前記ロックピン541およびスライドピン542は、電磁ソレノイド530により白抜き矢印で示す方向に駆動されるリンク機構540に連動してスライド移動するものである。図示状態は販売待機状態であり、第1ストッパ510は下降位置に待機するロックピン541により第1リンク550および第2リンク553とともに平衡状態にロックされて突出状態にある一方、第2ストッパ520が退避状態にある。電磁ソレノイド530が通電されることにより白抜き矢印の左方向へ駆動されるリンク機構540に連動して上昇するロックピン541は第2リンク553を引き上げて前記平衡状態を崩す一方、スライドピン542は第2ストッパ520の摺動溝521を摺動しつつ第2ストッパ520を突出位置に向けて回動させる。ここで、ロックピン541が上昇して第2リンク553が引き上げられると第1リンク550が回動軸552を支点として反時計方向に回動するので、商品荷重を受けた第1ストッパ510は退避位置に向けて回動(図示では時計方向に回動)して販売商品G1を搬出する。これと同時に第2ストッパ520の先端が商品収容通路200に突出して次販売商品G2を係止する。販売商品G1が通り抜けると第1ストッパ510は付勢ばねの付勢力により突出位置に復帰し、その後、電磁ソレノイドへの通電が遮断されることにより図示状態に復帰するロックピン541により第1リンク550および第2リンク553を介してロックされる。
【0009】
前記特許文献2に記載された自動販売機の商品搬出装置においては、第1ストッパ510および第2ストッパ520が非連動であって第1ストッパ510が商品収容通路200に略垂直に突出するように構成されている。したがって、この商品搬出装置500を採用することにより最初にローディングされた商品G1の挙動が不安定であっても第1ストッパ510により受け止められて姿勢矯正されるので商品詰まりを惹起することがないという利点を有する。しかしながら、この商品搬出装置500においては、商品収納棚100(底板部110)の下面に商品搬出装置500が配設されているため、第2ストッパ520に近接して商品Gが存在し、更に、第1ストッパ510が商品収容通路200に略垂直に突出するように構成されているため、販売商品G1が商品Gを投入する商品投入口寄りに位置し、第1ストッパ510に係止された販売商品G1が第2ストッパ520の上方に位置するようになる。このため、第2ストッパ520の商品収容通路200への突出が販売商品G1により妨げられる。この場合、第2ストッパ520が販売商品G1に与える力は販売商品G1を押し上げる方向となるので、販売商品G1の搬出には寄与しない。
【0010】
ここで、第2ストッパ520は、販売商品G1と次販売商品G2とを区画するために販売商品G1と次販売商品G2との間の隙間に突出するのであるが、前述したように販売商品G1により商品収容通路200への突出が妨げられることから電磁ソレノイド530への通電と同時に商品収容通路200には突出できない。そして、第2ストッパ520の商品収容通路200への突出は、販売商品G1によって左右され、販売商品G1と次販売商品G2との間の隙間が比較的小さい小径商品の場合には突出途中の第2ストッパ520を乗り越えて搬出されてしまうおそれがある。また、前記第2ストッパ520が商品収容通路200への突出を妨げられている場合、電磁ソレノイド530においては吸引途中のプランジャーが停止した状態にあり、このために唸り音が発生する。この唸り音は自動販売機の利用者にとっては耳障となるものであり、購買意欲を削ぐこととなる。そして、商品収納棚100(底板部110)が傾斜しているとは言え、販売商品G1が停止状態から商品搬出口210に向けて動き始めるまでには時間がかかり、販売商品G1の販売時間はその都度変化して不定となる。この販売時間は実験などにより測定され、商品の販売(搬出)を確実なものとするために最長の販売時間に決定される。一方、電磁ソレノイド530には販売商品G1が搬出されるまでの期間中、第2ストッパ520を商品収容通路200に突出した状態に維持するために励磁電流を流し続けねばならないので、消費電力が増加するという課題を有する。
【0011】
そこで、本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、その目的は前記課題を解決し、傾斜した商品収容通路に交互に出没する第1ストッパおよび第2ストッパを有する商品搬出装置の動作を安定させつつ、省エネルギー化を図ることが可能な商品搬出装置を備えた自動販売機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために請求項1に係る発明は、複数の商品を横倒し姿勢で前後方向に一列に整列して収容し、かつ、その商品搬出口が低くなるように傾斜して配設された商品収容通路が上下多段に配設され、前記各商品収容通路の商品搬出口の近傍に配設した商品搬出装置により当該商品収容通路に収容された商品を一個ずつ切り出して搬出する自動販売機であって、前記商品搬出装置は、基板の開口部から商品収容通路に出没自在に軸支され、前記商品収容通路の販売順位一番の商品(販売商品)を保持する態様で前記商品収容通路に突出する突出位置に向けて移動し、前記販売商品の保持を解放する態様で前記商品収容通路から退避する退避位置に移動可能に設けた第1ストッパと、前記基板の開口部から商品収容通路に出没自在に軸支され、前記商品収容通路から退避する退避位置に向けて付勢され、前記商品収容通路の下から2番目位置の商品(次販売商品)を保持する態様で前記商品収容通路に突出する突出位置に移動可能に設けた第2ストッパと、前記第1ストッパおよび第2ストッパを突出位置と退避位置とに移動させるリンク機構と、前記リンク機構を移動させる駆動手段とを有し、前記第1ストッパおよび第2ストッパを商品収容通路に交互に突出させて商品を切り出すようにした自動販売機において、前記商品搬出装置を前記商品収容通路の上部に配設し、当該商品搬出装置の第1ストッパおよび第2ストッパが商品収容通路に収容された商品の上側から商品収容通路に出没するようにしたことを特徴とする。
【0013】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の自動販売機において、商品搬出装置は上段の商品収容通路を形成する商品収容棚に取付けてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の請求項1に係る自動販売機によれば、複数の商品を横倒し姿勢で前後方向に一列に整列して収容し、かつ、その商品搬出口が低くなるように傾斜して配設された商品収容通路が上下多段に配設され、前記各商品収容通路の商品搬出口の近傍に配設した商品搬出装置により当該商品収容通路に収容された商品を一個ずつ切り出して搬出する自動販売機であって、前記商品搬出装置は、基板の開口部から商品収容通路に出没自在に軸支され、前記商品収容通路の販売順位一番の商品(販売商品)を保持する態様で前記商品収容通路に突出する突出位置に向けて移動し、前記販売商品の保持を解放する態様で前記商品収容通路から退避する退避位置に移動可能に設けた第1ストッパと、前記基板の開口部から商品収容通路に出没自在に軸支され、前記商品収容通路から退避する退避位置に向けて付勢され、前記商品収容通路の下から2番目位置の商品(次販売商品)を保持する態様で前記商品収容通路に突出する突出位置に移動可能に設けた第2ストッパと、前記第1ストッパおよび第2ストッパを突出位置と退避位置とに移動させるリンク機構と、前記リンク機構を移動させる駆動手段とを有し、前記第1ストッパおよび第2ストッパを商品収容通路に交互に突出させて商品を切り出すようにした自動販売機において、前記商品搬出装置を前記商品収容通路の上部に配設し、当該商品搬出装置の第1ストッパおよび第2ストッパが商品収容通路に収容された商品の上側から商品収容通路に出没するようにしたことにより、商品収容通路に収容された商品と商品搬出装置との間に隙間を設けることができるので、商品搬出装置における第2トッパを商品収容通路に収容された販売商品に妨げられることなく突出させることができる。しかも、第2ストッパが商品収容通路に突出して販売商品に当接した際、当該販売商品を商品搬出口に向けて押圧することから販売商品の搬出時間を短縮することができるので、電磁ソレノイドの駆動時間を短くして省エネルギー化を図ることができるという効果を有する。
【0015】
また、請求項2に係る発明よれば、請求項1に記載の自動販売機において、商品搬出装置は上段の商品収容通路を形成する商品収容棚に取付けてなることにより、商品搬出装置を上段側の商品収容棚を利用して取付けることができるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る自動販売機の一実施例を示す側面図である。
【図2】図1に示した自動販売機の商品搬出装置を商品収容通路外側(背面側)から見た斜視図である。
【図3】図1で示した自動販売機の商品搬出装置を商品収容通路内側から見た斜視図である。
【図4】図2の商品搬出装置の軸受部材を示す背面斜視図である。
【図5】図2の商品搬出装置のリンク部材を示す斜視図である。
【図6】図2の商品搬出装置の第1ストッパを示す斜視図である。
【図7】図2の商品搬出装置の回動ストッパを示す斜視図である。
【図8】図2の商品搬出装置の第2ストッパを示す斜視図である。
【図9】図2の商品搬出装置から売切検出スイッチを取り外した状態を示す分解斜視図である。
【図10】図2の商品搬出装置の商品収納棚への組付け方法を示し、(a)は平面(上面)側から見た斜視図、(b)は(a)の背面(下面)側から見た斜視図である。
【図11】本発明に係る自動販売機における商品搬出装置の動作説明図である。
【図12】従来装置に係る自動販売機における商品搬出装置の動作説明図である。
【図13】図12とは異なる従来装置に係る自動販売機における商品搬出装置の動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態に係る自動販売機について添付図面を参照して説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0018】
図1は本発明が対象とする自動販売機の一例である一般的な缶入り飲料,ペットボトル入り飲料を販売する自動販売機の側面図である。図に示すように、この自動販売機は、前面が開放した断熱筐体として形成された本体キャビネット1と、本体キャビネット1の前面に開閉可能に支持された外扉2とからなる。本体キャビネット1の商品収納庫の前面は開閉可能な断熱内扉3によって閉塞されている。本体キャビネット1の商品収納庫内には、左右方向に複数配列されるとともに上下方向に多段に配設された商品収容棚42を備えた商品収納ラック4が収納設置されている。この商品収納ラック4は、前記商品収容棚42が架設される左右のラック側板41を備えている。この左右のラック側板41は、矩形平板状の薄板鋼板製になり、この実施の形態では前後に2分割された前側ラック側板411と後側ラック側板412からなる。この前側ラック側板411および後側ラック側板412に対応して前記商品収容棚42も前後に分割されている。そして、前後の商品収容棚42は段差なく前後に連なると共に、商品投入口44となる前方側が高く、商品搬出口45となる後方側が低くなるように傾斜する態様で前側ラック側板411および後側ラック側板412に架設されている。前後の商品収容棚42と左右のラック側板41に囲まれた内部空間が複数の商品を横倒し姿勢で前後方向に一列に整列して収容する商品収容通路43(商品コラム)として構成され、この商品収容通路43(商品コラム)が上下多段(この実施の形態では10個の商品コラム)に形成されている。このように構成された商品収納ラック4が商品収容庫内に左右方向に複数並設されている。前記各商品収容通路43の商品搬出口45の近傍であって各商品収容通路43の上部、この実施の形態においては上段側の商品収容棚42の下面には当該商品収容通路43に収容された商品Gを一個ずつ切り出して搬出する商品搬出装置5が配設されている。この商品搬出装置5については後述する。なお、商品収納ラック4は左右のラック側板41に上端に架け渡されたラック側フック金具を、本体キャビネット1における商品収容庫の天井面に配設した本体側フック金具に掛け止めすることにより商品収納庫内に設置されているものである。
【0019】
前記各商品収納ラック4に上下多段に配設された商品収容通路43の商品搬出口45は同一の鉛直線上に位置しており、前記商品搬出口45と商品収納庫背面(本体キャビネット1の背壁)との間が商品の落下する搬出通路46として形成されている。そして、各商品収容棚42の後方端には、前記搬出通路46に突出する突出位置、および落下する商品により押し開かれて搬出通路から退避する退避位置との間を回動する姿勢制御板47が配備されている。この姿勢制御板47は、不図示のコイルばねにより搬出通路46に向けて突出するように付勢されており、搬出通路46を落下する商品により押し開かれて搬出通路46から退避する際、当該商品の姿勢を横倒し姿勢に矯正するとともに当該商品の落下エネルギーを吸収してその落下速度を低減させる機能を有している。前記商品収納ラック4の下部には前下がりの姿勢に配されるとともにその板面に複数の通気孔が穿孔された商品搬出シュート6が設けられている。この商品搬出シュート6は前記搬出通路46と断熱内扉3に設けたフラッパ付きの商品搬出口31を介して外扉2の商品取出口21とを連係する。また、前記商品搬出シュート6の下部には、従来装置と同様に、商品収納庫内を冷却若しくは加熱して商品収納ラック4に収容した商品をコールド若しくはホット状態に保存する冷却/加熱ユニット7が配設されている。また、本体キャビネット1の下部の機械室8には、冷却/加熱ユニット7の冷却ユニットと冷凍サイクルを形成する冷凍機コンデンシングユニット9が配設されている。
【0020】
なお、外扉2の前面には、図示は省略するが、本体キャビネット1の庫内に収納した商品に対応した複数の商品見本を展示した商品展示室、購入する商品を指定する商品選択ボタン、代価としての硬貨を投入する硬貨投入口、代価としての紙幣を挿入する紙幣挿入口、釣銭硬貨若しくは返却指令により返却される硬貨を取り出すための硬貨返却口、釣銭若しくは投入硬貨の返却を指示する返却レバーなど、貨幣の投入により商品の自動販売に必要な部品が配設され、さらに、外扉2を本体キャビネット1に閉止鎖錠する扉ロック機構のハンドルなどが設けられている。
【0021】
前記商品搬出装置5は、前記各商品収容通路43の商品搬出口45の近傍であって各商品収容通路43の上部、この実施の形態においては上段側の商品収容棚42の下面に配設されている。この商品搬出装置5の商品収容棚42への組付けについては後述することとし、先ず、商品搬出装置5の構成について説明する。
【0022】
前記商品搬出装置5は、図2および図3に示すように、鋼板製の基板50を備えている。この基板50の平板状の矩形板面は商品収容通路43の通路面を形成するものである。前記基板50は、平板状の矩形周縁を商品収容通路43と反対側(基板50の背面側)に折り曲げた上下左右のフランジ50A〜50Dにより背面側が開口した薄い箱形に形成されている。前記商品搬出装置5の基板50の下半領域には、商品収容通路43に通じる大きな開口部51(図2、図3参照)が設けられ、基板50の上半領域の左右中央位置には開口部52A(図9参照)が設けられている。ここで、商品搬出装置5における上下とは商品の進行方向に対する前後方向の前側(商品投入口44側)および後側(商品搬出口45側)を指し、左右とは自動販売機の正面から見た場合の左側および右側を指している。
【0023】
前記基板50の背面(商品収容通路43とは反対側の面)には、図2に示すように、軸受部材53、電磁ソレノイド54、リンク機構55、第1ストッパ56、回動ストッパ57、第2ストッパ58、売切検出スイッチ(売切検出手段)59が配設されている。
【0024】
前記軸受部材53は基板50の開口部51の上縁と下縁との間に架設されている。軸受部材53はリンク機構55、第1ストッパ56、回動ストッパ57および第2ストッパ58に関わる各軸(後述)の一方端を支持し、各軸の他方端は基板50の開口部51の左縁に基板50の背面側に突出して形成されたフランジ51B(図2参照)により支持している。なお、軸受部材53とフランジ51Bとにおける上記各軸を支持する構成はほぼ対称の構成であるので、以下の説明では、軸受部材53について説明し、フランジ51Bに係る構成の説明は省略する。
【0025】
前記軸受部材53の構成について、図4をも参照しながら説明すると、その上下端には、図4に示すように突起部531、凹溝532が形成されている。前記突起部531は基板50の開口部51の上縁に基板50の背面側に突出して形成されたフランジ(不図示)の係止穴に圧入される。前記凹溝532には開口部51の下縁から上方に向けて切り起された係止片(不図示)が圧入される。この軸受部材53は前記突起部531を開口部51の上縁におけるフランジの係止穴に圧入した上で、前記凹溝532の側面側から開口部51の下縁における係止片を圧入することにより開口部51の上縁と下縁との間に架設される。
【0026】
前記軸受部材53には上下方向に延在する長溝533および長溝534を設けている。長溝533は軸受部材53の上側に設けてあり、長溝534は軸受部材53の下側に設けている。長溝533は、リンク機構55に関わる上部リンクピン55A(図2参照)を上下方向にスライド移動可能に支持している。長溝534は、リンク機構55に関わる下部リンクピン55B(図2参照)を上下方向にスライド移動可能に支持している。前記上部リンクピン55Aおよび前記下部リンクピン55Bは、互いに平行に設けてある。また、軸受部材53の上下方向のほぼ中央の位置には支軸穴535を設けている。この支軸穴535は、第1ストッパ56に関わる第1ストッパ軸501(図2参照)を支持している。この第1ストッパ軸501は、上部リンクピン55Aおよび下部リンクピン55Bと平行に配置してあって、基板50の開口部51における上下方向のほぼ中央部に位置し、その左右端部が当該開口部51の左右側方に渡る態様で開口部51の左右両側フランジ51A,51Bに支持されている。
【0027】
また、軸受部材53の上下方向のほぼ中央の位置であって支軸穴535の上方の位置に支軸穴536を設けている。この支軸穴536には、第2ストッパ58に関わる第2ストッパ軸502(図2参照)が支持してある。この第2ストッパ軸502は、基板50の開口部51における上下方向のほぼ中央部に位置し、当該開口部51の左右側方に渡る態様で開口部51の左右両側フランジ51A,51Bに支持してある。第2ストッパ軸502は、上部リンクピン55A、下部リンクピン55Bおよび第1ストッパ軸501と平行に配置してある。さらに、前記軸受部材53の下端位置には支軸穴537を設けている。この支軸穴537には、回動ストッパ57に関わる回動ストッパ軸503(図2参照)を支持している。回動ストッパ軸503は、上部リンクピン55A、下部リンクピン55B、第1ストッパ軸501および第2ストッパ軸502と平行に配置してある。
【0028】
前記電磁ソレノイド54は、基板50の開口部52A(図9参照)の右端側の位置に配設されている。この電磁ソレノイド54は基板50の切り起しにより形成された固定片52B1,52B2(図3参照)にねじにより固定されている。電磁ソレノイド54は通電により励磁されてプランジャー540を吸引するとともに当該プランジャー540を吸引した状態で拘束し、通電が断たれることにより釈放してプランジャー540の拘束を解除するものである。電磁ソレノイド54は、所定時間幅の販売指令(通電)に基づいて作動し、後述するリンク機構55を介して第1ストッパ56および第2ストッパ58を商品収容通路43に出没させるものであり、リンク機構55の駆動手段を構成する。
【0029】
前記リンク機構55は、図5に示すようにリンク部材550からなり、駆動手段としての電磁ソレノイド54のプランジャー540に連結されている。このリンク機構55は電磁ソレノイド54とともに基板50の背面側の左右一方側に片寄せた位置に配設されている。
【0030】
リンク部材550は鋼板製よりなり、その上端には、前記電磁ソレノイド54のプランジャー540の係合穴に係止される連結部551が形成されている。また、リンク部材550には、上記上部リンクピン55Aが貫通する係合穴553を有する左右一対の上部係合部552を設けている。この上部係合部552はリンク部材550の上下動作に連動して上部リンクピン55Aを上下方向に移動させるものである。さらに、リンク部材550の下端には、上記下部リンクピン55Bが貫通する係合穴555を有する左右一対の下部係合部554を設けている。この下部係合部554はリンク部材550の上下動作に連動して下部リンクピン55Bを上下方向に移動させるものである。前記下部係合部554の中間位置には切欠556が形成されている。この切欠556は捻りコイルばねなどからなる復帰ばね60(図2参照)の一方を下部リンクピン55Bに係合させる際の逃げ穴として構成されている。前記復帰ばね60の他方(下方)は回動ストッパ軸503に係止されている。
【0031】
前記第1ストッパ56は、図6に示すように、金属板560の裏面に樹脂(たとえば、ポリアセタール)製の軸受台564を備えて構成されている。この第1ストッパ56は、図2に示すように、基板50の開口部51の左右両側フランジ51A,51Bの間に介在してあり、上記第1ストッパ軸501に回動可能に支持されている。第1ストッパ56は、第1ストッパ軸501を中心として回動して、基板50の開口部51から商品収容通路43に突出する突出位置と、開口部51を閉塞する態様で商品収容通路43から退く退避位置との間に移動可能である。第1ストッパ軸501には、捻りコイルばねからなる第1ストッパばね61(図2参照)が巻装してある。第1ストッパ56は、第1ストッパばね61の弾性付勢力によって突出位置に向けて常に付勢されており、突出位置においてその上面が商品G(図11参照)を保持する保持面として形成されている。
【0032】
前記第1ストッパ56における金属板560は左右方向が長辺となる長方形の平板からなり、その基端側の左右側壁部に形成した軸穴561,561(図6参照)は、第1ストッパ軸501を挿通するためのものである。金属板560を切り起して形成した係止爪562は、軸受台564を係止するためのものである。前記軸受台564は金属板560に次のようにして組み付けられている。すなわち、前記金属板560の基端側には、金属板560の機械的強度を上げるためにフランジ563が形成され、このフランジ563における係止爪562と対峙する位置に係止爪(図6では軸受台564に隠れて見えない)が形成されている。前記軸受台564は前記フランジ563に形成した係止爪に一端を係合させるとともに他端を前記係止爪562に係止されることにより金属板560に一体的に係止されている。
【0033】
前記軸受台564に設けた異形溝56Aは、後述する回動ストッパ57の支持軸504の端部を摺動させ、この支持軸504を介して第1ストッパ56と回動ストッパ57とが連動するように形成したものである。この異形溝56Aは、前記回動ストッパ57における支持軸504の左右両端をガイドするものであって左右対称に形成されており、前記支持軸504のロック位置を定める小径溝部56Bと、前記支持軸504のロック位置以外の動作範囲を定める大径溝部56Cとから形成されている。前記異形溝56Aの内周壁は支持軸504が摺動するカム面として形成されている。なお、異形溝56Aを有する左右の軸受台564の間にはリンク部材550が位置し、軸受台564の基端部に設けた一対のガイド突起部565,565は、リンク部材550の両側を挟むように形成され、リンク部材550の上下方向の動作が左右方向にずれないように案内するためのものである。また、軸受台564の基端部に設けた軸穴567は、第1ストッパ軸501を挿通するためのものである。
【0034】
前記回動ストッパ57は、図7に示すように、軸穴571,572を備えてなる。前記軸穴571は、回動ストッパ軸503(図2参照)を挿通するためのものである。回動ストッパ57は、回動ストッパ軸503を中心として回動し、基板50の開口部51から商品収容通路43に突出する突出位置と、商品収容通路43から退く退避位置との間に移動可能に設けてある。また、回動ストッパ57の軸穴572は、支持軸504(図2,図3参照)を保持するためのものである。この支持軸504は回動ストッパ57の左右端部から側方に突出し、この支持軸504の両端部が第1ストッパ56における各軸受台564の異形溝56Aに係合する。また、回動ストッパ57のロック溝573は、下部リンクピン55Bを係合させて回動ストッパ57の回動をロックするためのものである。さらに、回動ストッパ57の傾斜摺動面574は、回動ストッパ57の回動時に下部リンクピン55Bが摺動するように形成したものである。
【0035】
前記回動ストッパ57は、図2に示すように、上記軸受部材53とフランジ51Bとの間に介在され、回動ストッパ軸503を中心として回動し、基板50の開口部51から商品収容通路43に突出する突出位置と、開口部51を閉塞する態様で商品収容通路43から退く退避位置との間に移動可能に設けてある。回動ストッパ軸503には、図には明示されていないが捻りコイルばねからなる回動ストッパばねが巻装してあり、この回動ストッパばねにより回動ストッパ57は突出位置に向けて付勢されている。前記回動ストッパ57は、下部リンクピン55Bがロック溝573に係合している状態で突出位置にロックされる。このロック状態において回動ストッパ57の先端側に設けた支持軸504の両端部が第1ストッパ56における各軸受台564の異形溝56Aの小径溝部56Bに係合して第1ストッパ56を商品収容通路43に突出した突出位置(販売待機位置)にロックする。
【0036】
前記第2ストッパ58は、図2に示すように基板50の開口部51の左右両側フランジ51A,51Bの間に介在してあり、上記第2ストッパ軸502に回動可能に支持してある。第2ストッパ58は、第2ストッパ軸502を中心として回動して、基板50の開口部51から商品収容通路43に突出する突出位置と、開口部51を閉塞する態様で商品収容通路43から退く退避位置との間に移動可能である。第2ストッパ軸502には、図には明示されていないが捻りコイルばねからなる第2ストッパばねが巻装してある。第2ストッパ58は、第2ストッパばねの弾性付勢力によって退避位置に向けて常に付勢されている。
【0037】
前記第2ストッパ58は、図8に示すように合成樹脂(例えば、ポリアセタール)からなり、左右方向が長辺となる矩形状の基台580の先端側(図8では上側)に形成した商品係止部581と、基台580の背面側に張り出した3個のストッパ部582と、基台580の基端側に形成した軸穴583および回動規制部584とが一体成形されている。前記軸穴583は、第2ストッパ軸502を挿通するためのものである。前記3個のストッパ部582のうちの中央のストッパ部582と右側(図8では左側)のストッパ部582との間にはリンク部材550が位置する一方、中央のストッパ部582と左側(図8では右側)のストッパ部582との間には軸受部材53が位置するものである。なお、第2ストッパ58の幅は箱形に形成された基板50の開口部51を介して当該箱内に格納される大きさに形成されている。
【0038】
また、前記ストッパ部582には頂上に向けて開放する凹状の摺動溝58Aが形成され、この摺動溝58Aはリンク部材550における上部リンクピン55Aが摺動可能なものであり、第2ストッパ58の退避位置において上部リンクピン55Aを凹状最深部に受け入れるものである。前記ストッパ部582における摺動溝58Aの開放端部に設けたストッパ面58Bは、第2ストッパ58の商品収容通路43への突出時に上部リンクピン55Aと当接して第2ストッパ58にかかる商品荷重を受け、当該第2ストッパ58を突出位置でロックするものである。また、回動規制部584は、第2ストッパ58が商品収容通路43へ突出した際に軸受部材53に当接して第2ストッパ58の商品収容通路43への突出量を制限、言い換えれば第2ストッパ58の突出位置を定めるものである。また、ストッパ部582の周辺の補強材に形成した逃げ溝585は、上部リンクピン55Aが第2ストッパ58の摺動溝58Aの奥まで入り込むのを妨げないように形成したものである。
【0039】
前記売切検出スイッチ(売切検出手段)59は、図9に示すように、マイクロスイッチ591と商品収容通路43に突出する商品検知レバー592とを有する。売切検出スイッチ59は、合成樹脂(例えば、ポリアセタール)からなる額縁状の取付台593にマイクロスイッチ591と商品検知レバー592とを組付けたものである。商品検知レバー592は左右に突出する係合軸592A(図9では一方の係合軸592Aのみが現れている)を取付台593に形成した係合穴5930、5930に係合させることにより回動自在に軸支されている。前記取付台593の内方に向けて突出する左右一対の軸5931,5931には、一端が取付台593に係止され、他端が商品検知レバー592に係止される捻りコイルばね594が組付けられている。前記捻りコイルばね594は、商品検知レバー592のレバー片5921を商品収容通路43に向けて進出するように付勢するものである。商品検知レバー592の操作片5920はマイクロスイッチ591のアクチュエータ5910に対峙しており、商品収容通路43に商品がある状態においてレバー片5921が商品に押されて基板50の平面に沿うように後退している場合にはアクチュエータ5910から離れており、商品収容通路43に商品がない状態(売切れ状態)になって捻りコイルばね594によりばね付勢されたレバー片5921が商品収容通路43に進出した場合に操作片5920がアクチュエータ5910を押圧してマイクロスイッチ591を作動させるように構成されている。
【0040】
前記取付台593の上辺および左右側辺には突部593Aおよび593Bがそれぞれ形成されるとともに下辺にはΩ状に形成された可撓性部593Cが形成されている。この可撓性部593Cは左右側辺の外側から両側辺が接近するような外力が加えられることにより撓んで両側辺の接近を許容し、前記外力が除去されると両側辺を元の位置に復帰させるものである。一方、基板50の上部フランジ50Aには前記取付台593の一対の突部593Aに対応して係止穴52A1,52A1(図3も参照)が形成され、また、前記取付台593のそれぞれの突部593B,593Bに対応して開口部52Aの左右側縁にはフック状の係合片52A2および係合穴付きの係合突起52A3が形成されている。
【0041】
前記取付台593は基板50に対して次のように取付けられる。すなわち、前記取付台593の上辺に形成した一対の突部593Aを基板50の上部フランジ50Aに形成した係止穴52A1,52A1に差し込むと同時に左右側辺を内側に向けて撓ませた後、左右側辺に形成した突部593B,593Bを基板50の開口部52Aの左右側縁に形成した係合片52A2のフックおよび係合突起52A3の係止穴に対峙させた上で左右側辺に加えた外力を解く。これにより取付台593の左右側辺が可撓性部593Cの作用により復帰してその突部593B,593Bが係合片52A2のフックおよび係合突起52A3の係止穴に嵌合する。なお、マイクロスイッチ591には配線接続用コネクタ595が接続される。前記配線接続用コネクタ595の配線は、図9において基板50の左端に形成された配線溝50Eを介して引き出される。前記配線溝50Eには電磁ソレノイド54の配線も合わせて敷設されている。
【0042】
さて、図2,図3に示すように基板50には、矩形周縁を商品収容通路43と反対側(基板50の背面側)に折り曲げた上側のフランジ50Aおよび右側(図2では左側)のフランジ50Dの端部から基板50の板面に平行に延在された係止爪505,506が形成されている。この係止爪505,506は商品搬出装置5を商品収容棚42に組付けるためのものであり、次の図10を参照して商品搬出装置5の商品収容棚42への組付けとともに商品収容棚42のラック側板41(図1参照)への取付けについて説明する。
【0043】
図10は、商品収容棚42から商品搬出装置5を取外した分解図であり、(a)は平面(上面)側から見た分解斜視図、(b)は(a)の背面(下面)側から見た分解斜視図である。図10において、商品収容棚42は矩形鋼板製になり、その左右側縁から下方に折り曲げられたフランジ42A,42Bを形成して強度アップが図られている。商品収容棚42の前端(図では左斜め前方側)には中空円筒形状(カール状)に丸めた支持軸421が形成され、支持軸421の左右両端はそれぞれフランジ42A,42Bよりも外方に突出するように形成されている。また、商品収容棚42の後端には折り曲げにより形成された溝状の保持部422が設けられている。保持部422の左右両端はそれぞれフランジ42A,42Bよりも外方に突出するように形成されている。前記嵌合突起423,424は中央部分(アーチ部分)が商品収容棚42の背面から浮き上がり、前述した基板50の係止爪505,506の先端が通過可能な貫通穴(不図示)として形成されている。
【0044】
前述した商品収容棚42の支持軸421および保持部422に対応してラック側板41(図1参照)には、図示は省略したが、それぞれ支持軸421の左右両端部が貫通する円形穴および保持部422の左右両端部が貫通するコ字状穴が形成されているものである。したがって、商品収容棚42は支持軸421の左右両端部をラック側板41に形成した円形穴に差し込むと同時に保持部422の左右両端部をラック側板41に形成したコ字状穴に差し込むことによりラック側板41に係止固定される。このようにラック側板41に取付けられた商品収容棚42に対し、その下方から商品搬出装置5を組付ける。この場合、商品搬出装置5における基板50の上下左右のフランジ50A〜50Dの先端部を商品収容棚42の板面に当接させつつ、基板50に設けた係止爪505,506の先端を商品収容棚42に形成した嵌合突起423,424の貫通穴に差し込む。これと同時に、前記基板50の後端を商品収容棚42のコ字状の保持部422に差し込む。これにより商品搬出装置5が商品収容棚42にねじを使用することなく組付けられる。
【0045】
次に、本発明の実施の形態に係る自動販売機の商品搬出装置5の動作について図11も参照しつつ説明する。なお、図11では商品搬出装置5の動作を理解し易くするため概略構成を示している。また、図11においては上下2段の商品収容通路43(商品コラム)を示しており、上段側の商品収容通路43(商品コラム)に係る商品搬出装置5については販売待機状態、下段側の商品収容通路43(商品コラム)に係る商品搬出装置5については販売途中の状態を実線で示している。
【0046】
販売待機状態における商品搬出装置5は、図11の上段側の商品収容通路43に配設した商品搬出装置5のように、電磁ソレノイド54が通電されていない状態であって、リンク部材550が復帰ばね60(図2参照)によって下降位置に復帰している状態である。この販売待機状態においては、上部リンクピン55Aが軸受部材53の長溝533(図4参照)と、基板50の開口部51の右縁側のフランジ51Bの長溝とに沿って下方に移動し、下部リンクピン55Bが軸受部材53の長溝534(図4参照)と基板50の開口部51の右縁側のフランジ51Bの長溝に沿って下方に移動している。そして、第1ストッパ56は、第1付勢ばね61の弾性付勢力によって商品収容通路43に突出しており、次のように突出位置にロックされている。すなわち、販売待機状態において、回動ストッパ57は、不図示の回動ストッパばねの弾性付勢力によって突出位置にある。そして、回動ストッパ57は、下降している下部リンクピン55Bがロック溝573(図7参照)に係合していることによって突出位置に維持(ロック)されている。このとき、回動ストッパ57の支持軸504が第1ストッパ56における異形溝56Aの小径溝部56B(図6参照)に係合している。これにより、回動ストッパ57は、第1ストッパ56を突出位置に維持(ロック)して第1ストッパ56の退避位置への移動を阻止している。このロック状態で第1ストッパ56の保持面には販売商品G1が係止され、第1ストッパ56をロックしている回動ストッパ57が商品荷重を受けている。一方、第2ストッパ58は第2付勢ばねの弾性付勢力によって退避位置に復帰しており、この状態で上部リンクピン55Aがストッパ部582の摺動溝58Aの最深部に位置している。
【0047】
図11に示した販売待機状態(上段側の商品収容通路43の商品搬出装置5の状態)から所定時間幅の販売指令により電磁ソレノイド54が通電されると、電磁ソレノイド54が復帰ばね60の弾性付勢力に抗してプランジャー540を吸引してリンク部材550を上昇させる。すると、リンク部材550の下部リンクピン55Bが上昇して回動ストッパ57のロック溝573との係合が解除される。このロック解除により回動ストッパ57は商品荷重によって回動ストッパ軸503を中心として退避位置に向けて回動し、これに伴って支持軸504が第1ストッパ56の軸受台564,564における異形溝56Aの小径溝部56Bから外れて第1ストッパ56のロックが解除され、第1ストッパ56は商品荷重により退避位置に向けて回動する。前記第1ストッパ56の商品収容通路43からの退避に伴って第1ストッパ56に係止されていた販売商品G1は商品荷重によって商品搬出口45に向けて転動を開始する。
【0048】
これと同時、すなわち、電磁ソレノイド54が販売指令により通電されてリンク部材550が上昇して下部リンクピン55Bが上昇を開始すると同時に上部リンクピン55Aが上昇を開始する。上部リンクピン55Aは第2ストッパ58のストッパ部582における凹状の摺動溝58Aを摺動しつつ上昇する。これにより、第2付勢ばねにより退避状態に保持されていた第2ストッパ58がストッパ軸502を中心として突出位置に向けて第2付勢ばねの弾性付勢力に抗して回動する(図11の下段側の商品収容通路43に示す状態)。リンク部材550が上限位置まで上昇すると上部リンクピン55Aは第2ストッパ58のストッパ面58Bと係合して第2ストッパ58の退避方向への移動を阻止するようロックする。なお、第2ストッパ58の突出位置は回動規制部584(図8参照)が軸受部材53に当接することにより規制されるものである。このように突出位置に至った第2ストッパ58の商品係止部581は次販売商品G2に当接して係止し、商品収容棚42との間で次販売商品G2を保持する。したがって、電磁ソレノイド54が販売指令により通電されると、第1ストッパ56が退避位置に移動すると同時に第2ストッパ58が突出位置に移動して次販売商品G2を係止するので、第1ストッパ56に係止されていた販売商品G1のみが搬出される。
【0049】
ここで、商品搬出装置5を商品収容通路43の上部に配設し、当該商品搬出装置5の第1ストッパ56および第2ストッパ58が商品収容通路43に収容された商品の上側から商品収容通路43に出没するように構成されているので、商品搬出装置5と商品Gとの間には隙間が存在する。このため、第2ストッパ58が商品収容通路43へ向けて突出する初期の段階において商品Gに当接することなくスムーズに突出位置へ向けて移動する。さらに、上記第2ストッパ58における商品収容通路43への突出動作は瞬時に実行される一方、販売商品G1は第1ストッパ56による係止が解かれた後に商品荷重により商品搬出口45に向けて転動し始める、つまり、静止状態から転動し始める。したがって、第2ストッパ58が商品収容通路43の突出位置まで突出する途中の過程で販売商品G1に当接することとなる。この場合、第2ストッパ58は販売商品G1の上方から当該販売商品G1の前方側(商品搬出口45から見ると後方側)に当接するので、販売商品G1を商品搬出口45に向けて掻き出すように作用する。したがって、第2ストッパ58による転動を助長された販売商品G1は転動スピードを速めて商品搬出口45から搬出されることとなる。このように、販売商品G1の搬出速度が速くなることにより販売時間が短縮される。なお、販売商品G1が第1ストッパ56をすり抜けると第1ストッパ56および回動ストッパ57は第1ストッパばね61および不図示の回動ストッパばねの作用により商品収容通路43へ向けて突出し、回動ストッパ57の支持軸504が第1ストッパ56の軸受台564における異形溝56Aの小径溝部56Bに嵌まり込んだ状態で仮止めされる。
【0050】
そして、所定時間幅の販売指令がオフして電磁ソレノイド54への通電がなくなると、リンク部材550は復帰ばね60の付勢力により下降する。これに伴い下降する上部リンクピン55Aによって第2ストッパ58のロックが解除されるので、第2ストッパ58は第2付勢ばねの付勢力により待機位置に復帰する。また、前記リンク部材550の下降に伴い下部リンクピン55Bが回動ストッパ57のロック溝573に係合して回動ストッパ57をロックする。これにより、回動ストッパ57の支持軸504が第1ストッパ56の軸受台564における異形溝56Aの小径溝部56Bに嵌合した状態が維持(ロック)され、第1ストッパ56が突出位置に復帰した販売待機状態となる。なお、図示は省略したが、図11に示した商品Gよりも小径の商品を販売する際には、商品収容棚42の商品転動面を嵩上げするアタッチメントを商品収容棚42上に敷設する。この場合、アタッチメントは付属品として別途保管しておいてもよく、また、固定の商品収容棚42に対して可動のアタッチメントとして商品収容棚42に一体的に取付けておくこともできる。
【0051】
さて、上述したように、商品搬出装置5の販売動作過程において第2ストッパ58は販売商品G1の上方から当該販売商品G1の前方側(商品搬出口45から見ると後方側)に当接して販売商品G1を商品搬出口45に向けて掻き出すように作用する。したがって、第2ストッパ58による転動を助長された販売商品G1は転動スピードを速めて商品搬出口45から搬出されるので販売時間の短縮を図ることができる。この販売時間の短縮は電磁ソレノイド45を励磁する通電時間を短縮することを可能にするものであり、通電時間の短縮によって省エネルギー化を実現することができる。
【0052】
なお、前記実施の形態においては第1ストッパ56がストッパ軸501を通る鉛直線に沿うように商品収容通路43に突出(図11参照)する例について説明したが、第1ストッパ56がストッパ軸501を通る鉛直線に対して商品搬出口45側に傾斜するように構成するのが良い。このように、第1ストッパ56が商品搬出口45側に傾斜していることにより最初にローディングされた商品Gは第1ストッパ56と商品収容棚42との間にキャッチされる。つまり、最初にローディングされた商品Gは第1ストッパ56と商品収容棚42とに把持されることから、前記商品Gが第1ストッパ56に当接した際の反動により商品投入口44側に向けて跳ねることがない。したがって、第1ストッパ56がストッパ軸501を通る鉛直線に一致若しくは鉛直線に対して商品投入口44側に傾斜している場合のように、商品Gが第1ストッパ56に当接した際、当該商品Gは自由に動くことが可能であるので、その反動により跳ねて商品Gの姿勢が乱れてしまい、商品Gが商品収容通路43の商品進行方向に立った姿勢、或いは、商品Gが商品進行方向に対して傾いた姿勢に姿勢変化して商品詰まりを起こすという不測の事態を回避することができる。そして、前記第1ストッパ56が販売待機状態(商品収容通路43に突出した突出状態)において、ストッパ軸501を通る鉛直線に対して商品搬出口45側に傾斜していることにより第1ストッパ56が商品を係止する位置が商品搬出口45寄りとなるので、商品収容通路43の寸法を長くすることが可能となり、商品収容通路43内への商品収容数を増やすことができる。
【0053】
前述したように本発明の実施の形態に係る自動販売機によれば、複数の商品Gを横倒し姿勢で前後方向に一列に整列して収容し、かつ、その商品搬出口45が低くなるように傾斜して配設された商品収容通路43が上下多段に配設され、前記各商品収容通路43の商品搬出口45の近傍に配設した商品搬出装置5により当該商品収容通路43に収容された商品を一個ずつ切り出して搬出する自動販売機であって、前記商品搬出装置5は、基板50の開口部51から商品収容通路43に出没自在に軸支され、前記商品収容通路43の販売順位一番の商品(販売商品G1)を保持する態様で前記商品収容通路43に突出する突出位置に向けて移動し、前記販売商品G1の保持を解放する態様で前記商品収容通路43から退避する退避位置に移動可能に設けた第1ストッパ56と、前記基板50の開口部51から商品収容通路43に出没自在に軸支され、前記商品収容通路43から退避する退避位置に向けて付勢され、前記商品収容通路43の下から2番目位置の商品(次販売商品G2)を保持する態様で前記商品収容通路43に突出する突出位置に移動可能に設けた第2ストッパ58と、前記第1ストッパ56および第2ストッパ58を突出位置と退避位置とに移動させるリンク機構55と、前記リンク機構55を移動させる駆動手段(電磁ソレノイド54)とを有し、前記第1ストッパ56および第2ストッパ58を商品収容通路43に交互に突出させて商品Gを切り出すようにした自動販売機において、前記商品搬出装置5を前記商品収容通路43の上部に配設し、当該商品搬出装置5の第1ストッパ56および第2ストッパ58が商品収容通路に収容された商品Gの上側から商品収容通路43に出没するようにしたことにより、商品収容通路43に収容された商品Gと商品搬出装置5との間に隙間を設けることができるので、商品搬出装置5における第2トッパ58を商品収容通路43に収容された販売商品G1に妨げられることなく突出させることができる。しかも、第2ストッパ58が商品収容通路43に突出して販売商品G1に当接した際、当該販売商品G1を商品搬出口45に向けて押圧することから販売商品G1の搬出時間を短縮することができる。したがって、駆動手段(電磁ソレノイド54)の駆動時間を短くして省エネルギー化を図ることができるという効果を有する。
【符号の説明】
【0054】
1…本体キャビネット、2…外扉、4…商品収納ラック、5…商品搬出装置、42…商品収容棚、43…商品収容通路、45…商品搬出口、50…基板、51…開口部、53…軸受部材、54…電磁ソレノイド(駆動手段)、55…リンク機構、55A…上部リンクピン、55B…下部リンクピン(ロックピン)、56…第1ストッパ、56A…異形溝、56B…小径溝部、56C…大径溝部、57…回動ストッパ、58…第2ストッパ、58A…摺動溝、58B…ストッパ面、59…売切検出スイッチ、60…復帰ばね、61…第1ストッパばね、501…第1ストッパ軸、502…第2ストッパ軸、550…リンク部材、560…金属板、564…軸受台、581…商品係止部、572…ストッパ部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の商品を横倒し姿勢で前後方向に一列に整列して収容し、かつ、その商品搬出口が低くなるように傾斜して配設された商品収容通路が上下多段に配設され、前記各商品収容通路の商品搬出口の近傍に配設した商品搬出装置により当該商品収容通路に収容された商品を一個ずつ切り出して搬出する自動販売機であって、前記商品搬出装置は、基板の開口部から商品収容通路に出没自在に軸支され、前記商品収容通路の販売順位一番の商品(販売商品)を保持する態様で前記商品収容通路に突出する突出位置に向けて移動し、前記販売商品の保持を解放する態様で前記商品収容通路から退避する退避位置に移動可能に設けた第1ストッパと、前記基板の開口部から商品収容通路に出没自在に軸支され、前記商品収容通路から退避する退避位置に向けて付勢され、前記商品収容通路の下から2番目位置の商品(次販売商品)を保持する態様で前記商品収容通路に突出する突出位置に移動可能に設けた第2ストッパと、前記第1ストッパおよび第2ストッパを突出位置と退避位置とに移動させるリンク機構と、前記リンク機構を移動させる駆動手段とを有し、前記第1ストッパおよび第2ストッパを商品収容通路に交互に突出させて商品を切り出すようにした自動販売機において、前記商品搬出装置を前記商品収容通路の上部に配設し、当該商品搬出装置の第1ストッパおよび第2ストッパが商品収容通路に収容された商品の上側から商品収容通路に出没するようにしたことを特徴とする自動販売機。
【請求項2】
請求項1に記載の自動販売機において、商品搬出装置は上段の商品収容通路を形成する商品収容棚に取付けてなることを特徴とする自動販売機。
【請求項1】
複数の商品を横倒し姿勢で前後方向に一列に整列して収容し、かつ、その商品搬出口が低くなるように傾斜して配設された商品収容通路が上下多段に配設され、前記各商品収容通路の商品搬出口の近傍に配設した商品搬出装置により当該商品収容通路に収容された商品を一個ずつ切り出して搬出する自動販売機であって、前記商品搬出装置は、基板の開口部から商品収容通路に出没自在に軸支され、前記商品収容通路の販売順位一番の商品(販売商品)を保持する態様で前記商品収容通路に突出する突出位置に向けて移動し、前記販売商品の保持を解放する態様で前記商品収容通路から退避する退避位置に移動可能に設けた第1ストッパと、前記基板の開口部から商品収容通路に出没自在に軸支され、前記商品収容通路から退避する退避位置に向けて付勢され、前記商品収容通路の下から2番目位置の商品(次販売商品)を保持する態様で前記商品収容通路に突出する突出位置に移動可能に設けた第2ストッパと、前記第1ストッパおよび第2ストッパを突出位置と退避位置とに移動させるリンク機構と、前記リンク機構を移動させる駆動手段とを有し、前記第1ストッパおよび第2ストッパを商品収容通路に交互に突出させて商品を切り出すようにした自動販売機において、前記商品搬出装置を前記商品収容通路の上部に配設し、当該商品搬出装置の第1ストッパおよび第2ストッパが商品収容通路に収容された商品の上側から商品収容通路に出没するようにしたことを特徴とする自動販売機。
【請求項2】
請求項1に記載の自動販売機において、商品搬出装置は上段の商品収容通路を形成する商品収容棚に取付けてなることを特徴とする自動販売機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−123590(P2012−123590A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−273181(P2010−273181)
【出願日】平成22年12月8日(2010.12.8)
【出願人】(000237710)富士電機リテイルシステムズ株式会社 (1,851)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月8日(2010.12.8)
【出願人】(000237710)富士電機リテイルシステムズ株式会社 (1,851)
【Fターム(参考)】
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