自動販売機
【目的】 全体の薄型化を図ることができると共に、より多くの商品を収納できる自動販売機を提供する。
【構成】 自動販売機は、コラム34の下方に前後方向に離間して配置された駆動プーリ40および従動プーリ42と、これらの2プーリに掛け回され、たばこを排出する方向に移動する駆動ベルト44と、駆動ベルト上に直接的に設けられ、駆動ベルトの移動に伴いコラム内の下部を後方から前方に向けて貫くように移動し、各たばこ列の最下位にあるたばこを後ろから順次押し出してコラム内から排出させるプッシャ50と、後側のたばこ列の下方に配置され、プッシャの動きに連動して回転し、プッシャが後側のたばこを押し出し、この後側のたばこが前側のたばこ列の最下位に潜むとき、コラム内に突出して後側のたばこ列を支えるリフタカム74,75とを備えて構成されている。
【構成】 自動販売機は、コラム34の下方に前後方向に離間して配置された駆動プーリ40および従動プーリ42と、これらの2プーリに掛け回され、たばこを排出する方向に移動する駆動ベルト44と、駆動ベルト上に直接的に設けられ、駆動ベルトの移動に伴いコラム内の下部を後方から前方に向けて貫くように移動し、各たばこ列の最下位にあるたばこを後ろから順次押し出してコラム内から排出させるプッシャ50と、後側のたばこ列の下方に配置され、プッシャの動きに連動して回転し、プッシャが後側のたばこを押し出し、この後側のたばこが前側のたばこ列の最下位に潜むとき、コラム内に突出して後側のたばこ列を支えるリフタカム74,75とを備えて構成されている。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、自動販売機に関し、特に、商品として、箱詰めされた紙巻きたばこに好適な自動販売機に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の自動販売機には、商品収容枠内に箱詰めされたたばこ(以下、単にたばこと称する)を前後2列に積み重ねて、そして、各列の最下位にあるたばこを、プッシャ爪により順次商品収容枠の前側から押し出して排出するようにしている。この自動販売機として、たとえば、特開平5−298548号公報に開示されたものが知られている。
【0003】この自動販売機によれば、商品収容枠の下方に無端状の駆動チェーンが配置されており、この駆動チェーンにプッシャ爪が取り付けられている。この構成によれば、駆動チェーンを一方向に走行させることで、商品収容枠の後部に設けられた進入口からプッシャを商品収容枠内に進入させ、そして、商品収容枠の下部を貫くようにして移動させることができる。これにより、商品収容枠内の各列の最下位にあるたばこをプッシャで押し出し、商品収容枠内の前部に設けた排出口からたばこを順次排出することができる。
【0004】また、商品収容枠の下方には、プッシャの移動に伴い直線的に昇降するリフタが配置されている。この構成によれば、リフタは、プッシャが後側のたばこT2を押し出し、後列側のたばこT2が前側のたばこT1の最下位に潜り込んだとき上昇して、落下する後側のたばこT4を下側から支える。そして、プッシャが後側のたばこT2を排出した後リフタは下降し、後列側のたばこは前列側のたばこT3と干渉することなく最下位にセットされる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述したように駆動チェーンを用いるタイプのものは、駆動チェーンを一対のスプロケットに掛け回した場合、張力調整用のテンションスプロケットで駆動チェーンの復路側をガイドし、駆動チェーンの弛みを防止するのが一般的となっている。しかしながら、この駆動チェーンには、その外側にプッシャ爪が取付けられているため、テンションスプロケットは、駆動チェーンの復路側を内側から下方に膨らませるようにしか取り付けられない。したがって、この駆動チェーンをハウジングに収容した場合、駆動チェーンが下方に膨らむため、それだけハウジングの上下方向の幅が厚くなるという不具合がある。
【0006】また、プッシャ爪は、取り付け金具を介して駆動チェーンに取り付けられるため、取り付け金具とチェーンとの間にできる隙間の分だけハウジングの上下方向の幅がさらに厚くなるという不具合がある。さらに、直線的に昇降するリフタを備えていることから、リフタの昇降を案内するガイド部やその昇降を駆動する駆動機構がケーシング内で大きくスペースを占有し、ケ−シングの上下方向の幅がまたさらに厚くなるという不具合がある。
【0007】このような自動販売機において、駆動機構などを収容するハウジングなどは、多くの商品(たばこ)を収納するために、薄型化されるのが望まれている。この発明は、上述の問題を解決するためになされたもので、全体の薄型化を図ることができると共に、より多くの商品を収納できる自動販売機を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明の自動販売機は、商品収容枠内に前後2列に商品を積み重ね、各商品列の最下位にある商品を商品収容枠内から順次排出するようにした自動販売機において、前記収納枠の下方に前後方向に離間して配置された第1および第2プーリと、これら第1および第2プーリに掛け回され、商品を排出する方向に移動する無端状の駆動ベルトと、前記駆動ベルト上に直接的に設けられ、駆動ベルトの移動に伴い前記商品収容枠内の下部を後方から前方に向けて貫くように移動し、各商品列の最下位にある商品を後ろから順次押し出して商品収容枠内から排出させるプッシャと、後側の商品列の下方に配置され、前記プッシャの動きに連動して回転し、前記プッシャが後側の商品を押し出し、この後側の商品が前側の商品列の最下位に潜り込むとき、前記商品収容枠内に突出して後側の商品列を支えるリフタカムとを備えて構成されている。
【0009】好ましくは、前記リフタカムは複数個設けられている。好ましくは、前記駆動ベルトの張り具合は、前記第1プーリに対して第2プーリを前後方向に移動することにより調整される。
【0010】
【作用】本発明の自動販売機によれば、プッシャが商品収容枠の後方から、この商品収容枠内に進入すると、プッシャは、後側商品列の最下位にある商品と当接し、この後列の商品を介して、前側商品列の最下位にある商品を押し出し、商品収容枠の前方に排出させる。このとき、後側商品列の最下位にあった商品は、前側商品列の下側に潜り込む。また、リフタカムは、前記プッシャが後側の商品を押し出し、この後側の商品が前側の商品列の最下位に潜むとき、前記プッシャの動きに連動して回転して、前記商品収容枠内に突出して後側の商品列を支える。したがって、この後、プッシャがさらに移動して後側商品列の領域から完全に逃げると、後側商品列はリフタカム上に落下してこれにより支えられる。
【0011】上述の状態から、プッシャがさらに前方に移動すると、後列の最下位から前列の最下位に潜り込むようにして移動した商品が、プッシャにより商品収容枠から排出されることになる。そして、さらに、プッシャが移動し商品収容枠から抜け出ると、前側商品列はその商品の1個分だけ落下し、リフタカムは、回転しながら後側商品列を前側商品列から離れるようにして下降させる。このため、各商品列間には隙間が発生し、各商品列は互いに干渉することなく円滑に落下する。
【0012】また、前記リフタカムが複数個設けられていれば、これら複数のリフタカムにより、落下する後側商品列の最下位にある商品は、その下方を前後にわたって広く支えられる。本発明の自動販売機は、前記第1プーリに対して第2プーリを前後方向に移動することにより前記駆動ベルトの張り具合を調整することができる。
【0013】
【実施例】以下、本発明の一実施例を添付図面に基づいて詳述する。図1は、本発明を適用したたばこの自動販売機を示し、この自動販売機は、ハウジング10を備えている。このハウジング10の正面には、開閉扉12が図示しないヒンジを介して取り付けられており、この開閉扉12を開くことで、商品としてのたばこの補給や料金の回収を実施することができる。
【0014】開閉扉12には、その上部から広告灯14や3段のたばこ見本の陳列棚16が設けられており、各陳列棚16の下部には、たばこ見本に対応して選択ボタン18がそれぞれ配置されている。また、開閉扉12において、最下段の陳列棚16の下方には、コインの投入口20、紙幣の挿入口22、また、払い戻しボタンや連続買いボタン等の各種の機能ボタン24が設けられており、そして、投入口20および挿入口22から投入または挿入された金額は、表示窓26にデジタル表示されるものとなっている。
【0015】さらに、開閉扉12の下部には、たばこの取り出し口28と、この取り出し口28の近傍に位置する釣り銭の払い戻し口30とがそれぞれ設けられている。上述した自動販売機によれば、コインの投入口20または紙幣の挿入口22から所定の金額を投入または挿入し、そして、選択ボタン18を押すことで、所望のたばこを取り出し口28から受け取ることができ、また、釣り銭がある場合には、その釣り銭を払い戻し口30から受け取ることができる。
【0016】図2は、ハウジング10内の一部を示している。このハウジング10内には、前記取り出し口28よりも所定距離だけ上方に配置されたケーシング32と、各ケーシング32に対応して設けられ、当該ケーシング32上に立設された商品収容枠、すなわち、いわゆるコラム34等が収納されている。そして、これらケーシング32およびコラム34は、自動販売機の左右方向に多数並んで収納されている。
【0017】各ケーシング32は、自動販売機の前後方向に長く延びており、後述するたばこ排出装置35をそれぞれ収納している。各ケーシング32の上壁32aは、その前側半部が後方に向けて水平に延びた後、勾配32dを介して斜め下方に延び、さらに、その後側半部が水平に延びている。そして、上壁32aに連続するケーシング32の前端部は下方に傾斜している。
【0018】また、この上壁32aには、図3に示すように、スリット56が設けられている。このスリット56は、後述するプッシャ50やリフタカム74,75に比べ若干幅広に設定されており、前後方向に延びている。つまり、スリット56は、上壁32aの幅方向略中央位置を、ケーシング32を縦断するようにして延びている。
【0019】一方、各コラム34は、上下方向に延びる矩形のフレーム枠36と、ケーシング32の上面との間で規定されている。したがって、コラム34の底面は、ケーシング32の上壁32aの一部で構成されるものとなっている。このフレーム枠36の後壁には、図2に示すように、その下部に位置して進入口62が設けられている。この進入口62は、プッシャ50よりも大きな矩形状をなしている。また、フレーム枠36の前壁には、その下部に位置してたばこ排出口65が設けられている。このたばこ排出口65は、進入口62よりも大きくたばこ一個が通れる程度の大きさを有した切欠部と、この切欠部に配設されたストッパプレート64とで規定されている。
【0020】このコラム34内には、前後2列にして同一銘柄のたばこTが積み重ねて収納されている。各たばこTは、紙巻きたばこを20本毎に箱詰めしたものである。図2に示すように、前側たばこ列は、たばこT1 ,T3 ,T5 ・・・からなり、前記上壁32aの前側半部に積み重ねられている。一方、後側たばこ列は、たばこT2 ,T4 ,T6 ・・・からなり、上壁32aの後側半部に積み重ねられている。前述したように、上壁32aの後側半部は、前側半部に比べて低い位置で延びているので、前側たばこ列は、後側たばこ列に対してわずかに持ち上げられた状態で収納されている。
【0021】なお、ストッパプレート64は、前側たばこ列の各たばこTのうち、最下位に位置するたばこT1のみをコラム34の外側に露出させている。たばこ排出装置35は、コラム34の前後方向に離間しかつ鉛直面内で回転可能な駆動プーリ40および従動プーリ42(第1および第2プーリ)を備えて構成されており、各プーリ40,42間には、無端状の駆動ベルト44(たとえば、タイミングベルト)が掛け回されている。この駆動ベルト44は、前記スリット56の下方に配置されている。
【0022】より具体的には、駆動プーリ40は、前側たばこ列の下方で且つそのたばこ列の前側部分に位置して配置されており、一方、従動プーリ42は、後側たばこ列、すなわちコラム34よりも後方に配置されている。駆動プーリ40の軸は、電動モータの出力軸に後述するギア列を介して連結されており、従って、電動モータが駆動されると、駆動プーリ40は図2中矢印方向に回転され、これにより、駆動ベルト44もまた一方向に走行されることになる。
【0023】また、図4に示すように、従動プーリ42は駆動プーリ40に対して前後方向に移動できるようになっており、駆動ベルト44の張り具合が調節できるようになっている。これにより、駆動ベルト44に所定の張力が与えられている。なお、図4において、符号80および82は、たばこ売り切れスイッチを示し、これら売り切れスイッチの検出信号に基づいて、選択ボタン18に売り切れ表示がされる。
【0024】一般的には、駆動ベルト44に張力を与える方法としては、駆動ベルト44の復路側にテンションプーリを用いて張力を与える方法が取られるが、テンションプーリを用いると、ケーシング32の上下方向の厚みが増加するので、駆動プーリ40に対して従動プーリ42を移動する方法を採用し、ケーシング32の厚みを抑えるようにした。
【0025】駆動ベルト44には、この駆動ベルト44の外側に突出するようにして、一対のプッシャ50が直接的に取り付けられている。これら各プッシャ50は、駆動ベルト44の走行方向に所定の間隔を存して配置されている。なお、プッシャ50は、駆動ベルト44と一体成形するようにしても構わない。したがって、駆動ベルト44が走行されると、この駆動ベルト44の走行に伴って、一対のプッシャ50もまた走行することになる。この走行中、一対のプッシャ50は、ケーシング32のスリットからその一部が上方に突出する。そして、この後、プッシャ50は、コラム34の後方から、そのコラム34内を貫いて移動し、再び、ケーシング32内に進入するものとなっている。
【0026】なお、駆動ベルト44の走行方向でみて、各プッシャ50のスリットからの突出長さは、たばこTの大きさに応じて設定されている。図2に示すように、ケーシング32内には、第1および第2リフタカムが74,75が設けられている。各リフタカム74,75は、コラム34の下方に配置され、しかも、第1リフタカム74は後列側のたばこTの前寄りに、第2リフタカム75は後列側のたばこTの後寄りに配置されている。
【0027】図3に示すように、第1リフタカム74は、一対のカム体74a,74bからなりスリット56と駆動ベルト44の両側の隙間に配置されており、第2リフタカム75は、一片のカム体からなり、スリット56と駆動ベルト44の片側の隙間に配置されている。各リフタカム74,75は、駆動ベルト44の走行に連動して回転し、所定の回転角にある時、ケーシング32のスリット56から突出するようになっており、コラム34内に突出した各リフタカム74,75の先端は後列側のたばこTを支えることができる。また、第1リフタカム74は、第2リフタカム75に比べて、スリットからの突出長さが大きく設定されている。また、各リフタカムの突出部は、たとえば、全周の1/3にわたって形成されている。
【0028】駆動ベルト44、第1および第2リフタカム75,76は、ケーシング32に収容された電動モータによりギヤ列を介して駆動されるようになっている。これらのギア列は、ケーシング32のスリット56の一側部すなわち図3中一点鎖線でい示す部位に収容されている。図5にギア列の概略図が示されている。
【0029】駆動プーリ40に一体にして設けれられた駆動ギヤ40aは、第1ギヤG1、第2ギヤG2を介して電動モータMの出力ギヤに噛み合わされており、電動モータMから出力される駆動力が駆動プーリ40に伝達されるようになっている。そして、駆動プーリ40は、駆動力の供給を受けて図5で見て反時計回りに回転する。
【0030】また、第2ギヤG2には、第3ギヤG3、第4ギヤG4、第5ギヤG5および第6ギヤG6を介して、第1リフタカム74に一体に設けられた入力ギヤ74aが噛み合わされており、電動モータMの駆動力がこれらのギヤ列を介して第1リフタカム74に伝達されるようになっている。そして、第1リフタカム74は、駆動力の供給を受けて、図5で見て時計回りに回転されるようになっている。
【0031】さらに、第1リフタカム74の入力ギヤ74aは、第7ギヤG7を介して第2リフタカム75に一体に設けられた入力ギヤ75aが噛み合わされており、第2リフタカム75は、第1リフタカム74と同方向かつ同回転速度で回転されるようになっている。すなわち、第2リフタカム75は第1リフタカム74と同期回転する。、また、第1および第2リフタカム74,75の回転量は、ギア列により、駆動プーリの回転量のちょうど半分に設定されており、駆動プーリ40が2回転して駆動ベルト44が半周走行するよう設定されている。すなわち、プッシャ50が駆動ベルト44と共に半周移動する間に、第1および第2リフタカム74,75は1回転するよう同期が取られている。
【0032】ケーシング32内には、電動モータMの駆動を制御するためのリミットスイッチが設けられている。このリミットスイッチは、第2リフタカム75と一体回転可能にして、周方向に2箇所切り欠き78a,78bを設けたカムプレート78と、このカムプレート78のカム面に沿ってスイッチレバー79aを押し付けて設けたスイッチ79とから構成されている。そして、カムプレート78は第2リフタカム78と共に回転し、スイッチは79は、カムプレート78の回転中はオンとなっており、スイッチレバー79aがカムプレート78の切り欠き78a,78bに落ち込んだときオフとなる。そして、このスイッチ79のオフ信号に基づいて、前記電動モータMの駆動が停止されるようになっている。
【0033】第2リフタカム75は駆動ベルト44と連動して回転するから、駆動ベルト44が走行し、各プッシャ50が所定の位置にまで移動すると、前記スイッチレバー79aがカムプレート78の切り欠き78a,78bに落ち込み、リミットスイッチがオフとなる。したがって、リミットスイッチのオフ信号により電動モータMが停止されるから、各プッシャ50は、切り欠き78a,78bに対応した所定の位置(2カ所)で停止されることになる。
【0034】なお、前述したたばこ排出口65の正面からは、シュート72が延びており、このシュート72は、開閉扉12が閉じられた状態で、前述した取り出し口28に接続されるものとなっている。次に、上述した自動販売機の作用を、図8ないし図14を追加して説明する。図2および図8に示した状態から、購買者によって所定の選択スイッチ18が押されると、販売指令信号が電動モータMに伝達される。したがって、この時点で、電動モータMが駆動され、駆動ベルト44の走行が開始される。
【0035】このとき、図2から明きらかなように、ケーシング32のスリット56から上方に向けて突出した状態にあるプッシャ50は、スリット56内を案内されながらコラム34に向けて移動する。この後、プッシャ50は、コラム34の進入口62を通じてコラム34内に進入する。このようにして、プッシャ50がコラム34内に進入すると、このプッシャ50は、後側たばこ列の最下位にあるたばこT2に当接し、このたばこT2を介して、前側たばこ列の最下位にあるたばこT2を前方に押し出す(図9)。
【0036】ここで、プッシャ50により直接に押し出されるたばこT2は、ケーシング32の上壁32aに形成された勾配32dに沿って移動し、前側たばこ列の下側に潜り込むことから、たばこT2は、スムーズに前方に向けて押し出される。また、プッシャ50の移動に伴い第1および第2リフタカム74,75は時計回りに回転するが、プッシャ50がコラム34内のほぼ中央に位置するまで、第1および第2リフタカムはケーシング32の上壁より上方に突出しない。
【0037】さらに、プッシャ50が移動し、たばこT2が前方に向けて押し出されると、図10に示すように、たばこT1がコラム34の排出口65からシュート72に排出され、このシュート72を通じて取り出し口28に導かれることとなる。そして、図11に示すように、プッシャ50が前側たばこ列の領域まで移動すると、図6に示すように、第2リフトカム75に連動するリミットスイッチにおいて、スイッチ79のスイッチレバー79aがカムプレートの切り欠き78aに落ち込み、リミットスイッチのオフ信号に基づいて電動モータMの駆動が停止される。そして、電動モータMの停止により、駆動ベルト44の走行が停止される。これにより、プッシャ50は、たばこT2の押し出しを停止し、たばこT2は、後側たばこ列から前側たばこ列の最下位に移動した位置に保持される。また、第1および第2リフタカム74,75は、ケーシング32の上壁32aから突出した状態で停止する。
【0038】このとき、たばこT2がプッシャ50とともに前側たばこ列の下側に潜り込むことで、後に残った後側たばこ列は第1および第2リフタカム74,75上に落下し、図示するように、上壁32aから浮いた状態で保持される。そして、この状態は、次回の販売指令信号が出力されるまで維持される。次に、図11に示されている状態から、販売指令信号が再び出力されると、同様にして駆動ベルト44が走行され、これにより、コラム34内にあるプッシャ50は、たばこT2を直接に押し出す(図12)。また、このとき、プッシャ50がたばこT2を排出させるまでの間、第1および第2リフタカム74,75は、共に時計方向に回転するので、後側たばこ列を上壁32aの上方で保持しながら後方に移動させる。この結果、前側たばこ列と後側たばこ列の間に隙間SPが形成される。
【0039】そして、プッシャ50がたばこT2を押し出し、コラム34から排出させると(図13)、このようにして排出されたたばこT2もまた、シュート72を通じて取り出し口28に導かれるものとなる。たばこT2が排出されると、前側たばこ列はたばこ1個分だけ落下する。このとき、前記隙間SPにより、前側たばこ列は、後側たばこ列と干渉することなく確実かつ安定して落下する。
【0040】一方、たばこT2がコラム34から排出された後も、駆動ベルト44の走行は継続される。そして、プッシャ50がコラム34内から抜け出ると、第1および第2リフタカム74,75は、回転しながらケーシング32内に入り込む。したがって、第1および第2リフタカム74,75で支えられていた後側たばこ列は、前側たばこ列から離れた状態で上壁32a上に降ろされる(図14)。
【0041】そして、駆動ベルト44が走行し、コラム34内から抜け出た一方のプッシャ50が、スリット56を介してケーシング32内に移動すると、図7に示すように、第2リフトカム75の回転に連動するリミットスイッチにおいて、スイッチ79のスイッチレバー79aがカムプレートの切り欠き78bに落ち込み、リミットスイッチがオフとなり、このオフ信号に基づいて電動モータMの駆動が停止される。そして、電動モータMの停止により、駆動ベルト44およびプッシャの走行が停止される。この状態では、ケーシング32内に位置していた他方のプッシャ50が、図2に示す一方のプッシャ50の停止位置にまで移動しており、これにより、前述した図2および図8の状態と同様な状態が再現されることになる。
【0042】したがって、上述した自動販売機の動作が繰り返して実施されることにより、前後のたばこ列において、その最下位にあるたばこTが順次、そのコラム34から排出されることになる。この発明は、上述した一実施例に制約されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、各リフタカム74,75に関しては、必ずしも駆動ベルト44と同期させて回転させる必要はなく、例えば、プッシャ50の位置に応じて間欠的に回転させるようにしても構わない。
【0043】また、本実施例において、リフタカムは、第1リフタカム74,第2リフタカム75と2個設けたが、一個でもよく、あるいは、3個以上設けるようにしても構わない。リフタカムが複数であれば、落下する後側のたばこ列を安定した状態で支えることができる。
【0044】
【発明の効果】以上説明したように、この発明の自動販売機によれば、前記収納枠の下方に前後方向に離間して配置された第1および第2プーリと、これら第1および第2プーリに掛け回され、商品を排出する方向に移動する駆動ベルトと、前記駆動ベルト上に直接的に設けられ、駆動ベルトの移動に伴い前記商品収容枠内の下部を後方から前方に向けて貫くように移動し、各商品列の最下位にある商品を後ろから順次押し出して商品収容枠内から排出させるプッシャと、後側の商品列の下方に配置され、前記プッシャの動きに連動して回転し、前記プッシャが後側の商品を押し出し、この後側の商品が前側の商品列の最下位に潜むとき、前記商品収容枠内に突出して後側の商品列を支えるリフタカムとを備えたので、全体の薄型化を図ることができると共に、前記収容枠内により多くの商品を収納することができる。
【0045】さらに、前記リフタカムを複数個備えるような構成にすれば、落下する後側商品列を安定した状態で支えることができ、後側商品列に多くの商品が積層されているときなどのリフタカムにかかる負荷が大きい場合にも、前側商品列と後側商品列との切り放しがスムースに行えるので、商品排出時の詰まりを確実に解消できる。
【0046】また、前記第1プーリに対して第2プーリを前後方向に移動することにより前記駆動ベルトの張り具合を調整するようにすれば、さらに、全体の薄型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】自動販売機を示した斜視図である。
【図2】図1の自動販売機内の一部を示した断面図である。
【図3】コラムの底面となるケーシングの上部を示した図である。
【図4】図3中IV−IV線に沿う断面図である。
【図5】ケーシング内のギヤ列を示す図である。
【図6】第2リフタカムとリミットスイッチを示す図である。
【図7】別の状態のにある第2リフタカムとリミットスイッチを示す図である。
【図8】図2の自動販売機の作動前の状態を示した概略図である。
【図9】図8の状態から次の段階に作動した状態を示した概略図である。
【図10】図9の状態から次の段階に作動した状態を示した概略図である。
【図11】図10の状態から次の段階に作動した状態を示した概略図である。
【図12】図11の状態から次の段階に作動した状態を示した概略図である。
【図13】図12の状態から次の段階に作動した状態を示した概略図である。
【図14】図13の状態から次の段階に作動した状態を示した概略図である。
【符号の説明】
32 ケーシング
34 コラム
40 駆動プーリ
42 従動プーリ
44 駆動ベルト
50 プッシャ
74 第1リフタカム
75 第2リフタカム
T たばこ
SP 隙間
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、自動販売機に関し、特に、商品として、箱詰めされた紙巻きたばこに好適な自動販売機に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の自動販売機には、商品収容枠内に箱詰めされたたばこ(以下、単にたばこと称する)を前後2列に積み重ねて、そして、各列の最下位にあるたばこを、プッシャ爪により順次商品収容枠の前側から押し出して排出するようにしている。この自動販売機として、たとえば、特開平5−298548号公報に開示されたものが知られている。
【0003】この自動販売機によれば、商品収容枠の下方に無端状の駆動チェーンが配置されており、この駆動チェーンにプッシャ爪が取り付けられている。この構成によれば、駆動チェーンを一方向に走行させることで、商品収容枠の後部に設けられた進入口からプッシャを商品収容枠内に進入させ、そして、商品収容枠の下部を貫くようにして移動させることができる。これにより、商品収容枠内の各列の最下位にあるたばこをプッシャで押し出し、商品収容枠内の前部に設けた排出口からたばこを順次排出することができる。
【0004】また、商品収容枠の下方には、プッシャの移動に伴い直線的に昇降するリフタが配置されている。この構成によれば、リフタは、プッシャが後側のたばこT2を押し出し、後列側のたばこT2が前側のたばこT1の最下位に潜り込んだとき上昇して、落下する後側のたばこT4を下側から支える。そして、プッシャが後側のたばこT2を排出した後リフタは下降し、後列側のたばこは前列側のたばこT3と干渉することなく最下位にセットされる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述したように駆動チェーンを用いるタイプのものは、駆動チェーンを一対のスプロケットに掛け回した場合、張力調整用のテンションスプロケットで駆動チェーンの復路側をガイドし、駆動チェーンの弛みを防止するのが一般的となっている。しかしながら、この駆動チェーンには、その外側にプッシャ爪が取付けられているため、テンションスプロケットは、駆動チェーンの復路側を内側から下方に膨らませるようにしか取り付けられない。したがって、この駆動チェーンをハウジングに収容した場合、駆動チェーンが下方に膨らむため、それだけハウジングの上下方向の幅が厚くなるという不具合がある。
【0006】また、プッシャ爪は、取り付け金具を介して駆動チェーンに取り付けられるため、取り付け金具とチェーンとの間にできる隙間の分だけハウジングの上下方向の幅がさらに厚くなるという不具合がある。さらに、直線的に昇降するリフタを備えていることから、リフタの昇降を案内するガイド部やその昇降を駆動する駆動機構がケーシング内で大きくスペースを占有し、ケ−シングの上下方向の幅がまたさらに厚くなるという不具合がある。
【0007】このような自動販売機において、駆動機構などを収容するハウジングなどは、多くの商品(たばこ)を収納するために、薄型化されるのが望まれている。この発明は、上述の問題を解決するためになされたもので、全体の薄型化を図ることができると共に、より多くの商品を収納できる自動販売機を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明の自動販売機は、商品収容枠内に前後2列に商品を積み重ね、各商品列の最下位にある商品を商品収容枠内から順次排出するようにした自動販売機において、前記収納枠の下方に前後方向に離間して配置された第1および第2プーリと、これら第1および第2プーリに掛け回され、商品を排出する方向に移動する無端状の駆動ベルトと、前記駆動ベルト上に直接的に設けられ、駆動ベルトの移動に伴い前記商品収容枠内の下部を後方から前方に向けて貫くように移動し、各商品列の最下位にある商品を後ろから順次押し出して商品収容枠内から排出させるプッシャと、後側の商品列の下方に配置され、前記プッシャの動きに連動して回転し、前記プッシャが後側の商品を押し出し、この後側の商品が前側の商品列の最下位に潜り込むとき、前記商品収容枠内に突出して後側の商品列を支えるリフタカムとを備えて構成されている。
【0009】好ましくは、前記リフタカムは複数個設けられている。好ましくは、前記駆動ベルトの張り具合は、前記第1プーリに対して第2プーリを前後方向に移動することにより調整される。
【0010】
【作用】本発明の自動販売機によれば、プッシャが商品収容枠の後方から、この商品収容枠内に進入すると、プッシャは、後側商品列の最下位にある商品と当接し、この後列の商品を介して、前側商品列の最下位にある商品を押し出し、商品収容枠の前方に排出させる。このとき、後側商品列の最下位にあった商品は、前側商品列の下側に潜り込む。また、リフタカムは、前記プッシャが後側の商品を押し出し、この後側の商品が前側の商品列の最下位に潜むとき、前記プッシャの動きに連動して回転して、前記商品収容枠内に突出して後側の商品列を支える。したがって、この後、プッシャがさらに移動して後側商品列の領域から完全に逃げると、後側商品列はリフタカム上に落下してこれにより支えられる。
【0011】上述の状態から、プッシャがさらに前方に移動すると、後列の最下位から前列の最下位に潜り込むようにして移動した商品が、プッシャにより商品収容枠から排出されることになる。そして、さらに、プッシャが移動し商品収容枠から抜け出ると、前側商品列はその商品の1個分だけ落下し、リフタカムは、回転しながら後側商品列を前側商品列から離れるようにして下降させる。このため、各商品列間には隙間が発生し、各商品列は互いに干渉することなく円滑に落下する。
【0012】また、前記リフタカムが複数個設けられていれば、これら複数のリフタカムにより、落下する後側商品列の最下位にある商品は、その下方を前後にわたって広く支えられる。本発明の自動販売機は、前記第1プーリに対して第2プーリを前後方向に移動することにより前記駆動ベルトの張り具合を調整することができる。
【0013】
【実施例】以下、本発明の一実施例を添付図面に基づいて詳述する。図1は、本発明を適用したたばこの自動販売機を示し、この自動販売機は、ハウジング10を備えている。このハウジング10の正面には、開閉扉12が図示しないヒンジを介して取り付けられており、この開閉扉12を開くことで、商品としてのたばこの補給や料金の回収を実施することができる。
【0014】開閉扉12には、その上部から広告灯14や3段のたばこ見本の陳列棚16が設けられており、各陳列棚16の下部には、たばこ見本に対応して選択ボタン18がそれぞれ配置されている。また、開閉扉12において、最下段の陳列棚16の下方には、コインの投入口20、紙幣の挿入口22、また、払い戻しボタンや連続買いボタン等の各種の機能ボタン24が設けられており、そして、投入口20および挿入口22から投入または挿入された金額は、表示窓26にデジタル表示されるものとなっている。
【0015】さらに、開閉扉12の下部には、たばこの取り出し口28と、この取り出し口28の近傍に位置する釣り銭の払い戻し口30とがそれぞれ設けられている。上述した自動販売機によれば、コインの投入口20または紙幣の挿入口22から所定の金額を投入または挿入し、そして、選択ボタン18を押すことで、所望のたばこを取り出し口28から受け取ることができ、また、釣り銭がある場合には、その釣り銭を払い戻し口30から受け取ることができる。
【0016】図2は、ハウジング10内の一部を示している。このハウジング10内には、前記取り出し口28よりも所定距離だけ上方に配置されたケーシング32と、各ケーシング32に対応して設けられ、当該ケーシング32上に立設された商品収容枠、すなわち、いわゆるコラム34等が収納されている。そして、これらケーシング32およびコラム34は、自動販売機の左右方向に多数並んで収納されている。
【0017】各ケーシング32は、自動販売機の前後方向に長く延びており、後述するたばこ排出装置35をそれぞれ収納している。各ケーシング32の上壁32aは、その前側半部が後方に向けて水平に延びた後、勾配32dを介して斜め下方に延び、さらに、その後側半部が水平に延びている。そして、上壁32aに連続するケーシング32の前端部は下方に傾斜している。
【0018】また、この上壁32aには、図3に示すように、スリット56が設けられている。このスリット56は、後述するプッシャ50やリフタカム74,75に比べ若干幅広に設定されており、前後方向に延びている。つまり、スリット56は、上壁32aの幅方向略中央位置を、ケーシング32を縦断するようにして延びている。
【0019】一方、各コラム34は、上下方向に延びる矩形のフレーム枠36と、ケーシング32の上面との間で規定されている。したがって、コラム34の底面は、ケーシング32の上壁32aの一部で構成されるものとなっている。このフレーム枠36の後壁には、図2に示すように、その下部に位置して進入口62が設けられている。この進入口62は、プッシャ50よりも大きな矩形状をなしている。また、フレーム枠36の前壁には、その下部に位置してたばこ排出口65が設けられている。このたばこ排出口65は、進入口62よりも大きくたばこ一個が通れる程度の大きさを有した切欠部と、この切欠部に配設されたストッパプレート64とで規定されている。
【0020】このコラム34内には、前後2列にして同一銘柄のたばこTが積み重ねて収納されている。各たばこTは、紙巻きたばこを20本毎に箱詰めしたものである。図2に示すように、前側たばこ列は、たばこT1 ,T3 ,T5 ・・・からなり、前記上壁32aの前側半部に積み重ねられている。一方、後側たばこ列は、たばこT2 ,T4 ,T6 ・・・からなり、上壁32aの後側半部に積み重ねられている。前述したように、上壁32aの後側半部は、前側半部に比べて低い位置で延びているので、前側たばこ列は、後側たばこ列に対してわずかに持ち上げられた状態で収納されている。
【0021】なお、ストッパプレート64は、前側たばこ列の各たばこTのうち、最下位に位置するたばこT1のみをコラム34の外側に露出させている。たばこ排出装置35は、コラム34の前後方向に離間しかつ鉛直面内で回転可能な駆動プーリ40および従動プーリ42(第1および第2プーリ)を備えて構成されており、各プーリ40,42間には、無端状の駆動ベルト44(たとえば、タイミングベルト)が掛け回されている。この駆動ベルト44は、前記スリット56の下方に配置されている。
【0022】より具体的には、駆動プーリ40は、前側たばこ列の下方で且つそのたばこ列の前側部分に位置して配置されており、一方、従動プーリ42は、後側たばこ列、すなわちコラム34よりも後方に配置されている。駆動プーリ40の軸は、電動モータの出力軸に後述するギア列を介して連結されており、従って、電動モータが駆動されると、駆動プーリ40は図2中矢印方向に回転され、これにより、駆動ベルト44もまた一方向に走行されることになる。
【0023】また、図4に示すように、従動プーリ42は駆動プーリ40に対して前後方向に移動できるようになっており、駆動ベルト44の張り具合が調節できるようになっている。これにより、駆動ベルト44に所定の張力が与えられている。なお、図4において、符号80および82は、たばこ売り切れスイッチを示し、これら売り切れスイッチの検出信号に基づいて、選択ボタン18に売り切れ表示がされる。
【0024】一般的には、駆動ベルト44に張力を与える方法としては、駆動ベルト44の復路側にテンションプーリを用いて張力を与える方法が取られるが、テンションプーリを用いると、ケーシング32の上下方向の厚みが増加するので、駆動プーリ40に対して従動プーリ42を移動する方法を採用し、ケーシング32の厚みを抑えるようにした。
【0025】駆動ベルト44には、この駆動ベルト44の外側に突出するようにして、一対のプッシャ50が直接的に取り付けられている。これら各プッシャ50は、駆動ベルト44の走行方向に所定の間隔を存して配置されている。なお、プッシャ50は、駆動ベルト44と一体成形するようにしても構わない。したがって、駆動ベルト44が走行されると、この駆動ベルト44の走行に伴って、一対のプッシャ50もまた走行することになる。この走行中、一対のプッシャ50は、ケーシング32のスリットからその一部が上方に突出する。そして、この後、プッシャ50は、コラム34の後方から、そのコラム34内を貫いて移動し、再び、ケーシング32内に進入するものとなっている。
【0026】なお、駆動ベルト44の走行方向でみて、各プッシャ50のスリットからの突出長さは、たばこTの大きさに応じて設定されている。図2に示すように、ケーシング32内には、第1および第2リフタカムが74,75が設けられている。各リフタカム74,75は、コラム34の下方に配置され、しかも、第1リフタカム74は後列側のたばこTの前寄りに、第2リフタカム75は後列側のたばこTの後寄りに配置されている。
【0027】図3に示すように、第1リフタカム74は、一対のカム体74a,74bからなりスリット56と駆動ベルト44の両側の隙間に配置されており、第2リフタカム75は、一片のカム体からなり、スリット56と駆動ベルト44の片側の隙間に配置されている。各リフタカム74,75は、駆動ベルト44の走行に連動して回転し、所定の回転角にある時、ケーシング32のスリット56から突出するようになっており、コラム34内に突出した各リフタカム74,75の先端は後列側のたばこTを支えることができる。また、第1リフタカム74は、第2リフタカム75に比べて、スリットからの突出長さが大きく設定されている。また、各リフタカムの突出部は、たとえば、全周の1/3にわたって形成されている。
【0028】駆動ベルト44、第1および第2リフタカム75,76は、ケーシング32に収容された電動モータによりギヤ列を介して駆動されるようになっている。これらのギア列は、ケーシング32のスリット56の一側部すなわち図3中一点鎖線でい示す部位に収容されている。図5にギア列の概略図が示されている。
【0029】駆動プーリ40に一体にして設けれられた駆動ギヤ40aは、第1ギヤG1、第2ギヤG2を介して電動モータMの出力ギヤに噛み合わされており、電動モータMから出力される駆動力が駆動プーリ40に伝達されるようになっている。そして、駆動プーリ40は、駆動力の供給を受けて図5で見て反時計回りに回転する。
【0030】また、第2ギヤG2には、第3ギヤG3、第4ギヤG4、第5ギヤG5および第6ギヤG6を介して、第1リフタカム74に一体に設けられた入力ギヤ74aが噛み合わされており、電動モータMの駆動力がこれらのギヤ列を介して第1リフタカム74に伝達されるようになっている。そして、第1リフタカム74は、駆動力の供給を受けて、図5で見て時計回りに回転されるようになっている。
【0031】さらに、第1リフタカム74の入力ギヤ74aは、第7ギヤG7を介して第2リフタカム75に一体に設けられた入力ギヤ75aが噛み合わされており、第2リフタカム75は、第1リフタカム74と同方向かつ同回転速度で回転されるようになっている。すなわち、第2リフタカム75は第1リフタカム74と同期回転する。、また、第1および第2リフタカム74,75の回転量は、ギア列により、駆動プーリの回転量のちょうど半分に設定されており、駆動プーリ40が2回転して駆動ベルト44が半周走行するよう設定されている。すなわち、プッシャ50が駆動ベルト44と共に半周移動する間に、第1および第2リフタカム74,75は1回転するよう同期が取られている。
【0032】ケーシング32内には、電動モータMの駆動を制御するためのリミットスイッチが設けられている。このリミットスイッチは、第2リフタカム75と一体回転可能にして、周方向に2箇所切り欠き78a,78bを設けたカムプレート78と、このカムプレート78のカム面に沿ってスイッチレバー79aを押し付けて設けたスイッチ79とから構成されている。そして、カムプレート78は第2リフタカム78と共に回転し、スイッチは79は、カムプレート78の回転中はオンとなっており、スイッチレバー79aがカムプレート78の切り欠き78a,78bに落ち込んだときオフとなる。そして、このスイッチ79のオフ信号に基づいて、前記電動モータMの駆動が停止されるようになっている。
【0033】第2リフタカム75は駆動ベルト44と連動して回転するから、駆動ベルト44が走行し、各プッシャ50が所定の位置にまで移動すると、前記スイッチレバー79aがカムプレート78の切り欠き78a,78bに落ち込み、リミットスイッチがオフとなる。したがって、リミットスイッチのオフ信号により電動モータMが停止されるから、各プッシャ50は、切り欠き78a,78bに対応した所定の位置(2カ所)で停止されることになる。
【0034】なお、前述したたばこ排出口65の正面からは、シュート72が延びており、このシュート72は、開閉扉12が閉じられた状態で、前述した取り出し口28に接続されるものとなっている。次に、上述した自動販売機の作用を、図8ないし図14を追加して説明する。図2および図8に示した状態から、購買者によって所定の選択スイッチ18が押されると、販売指令信号が電動モータMに伝達される。したがって、この時点で、電動モータMが駆動され、駆動ベルト44の走行が開始される。
【0035】このとき、図2から明きらかなように、ケーシング32のスリット56から上方に向けて突出した状態にあるプッシャ50は、スリット56内を案内されながらコラム34に向けて移動する。この後、プッシャ50は、コラム34の進入口62を通じてコラム34内に進入する。このようにして、プッシャ50がコラム34内に進入すると、このプッシャ50は、後側たばこ列の最下位にあるたばこT2に当接し、このたばこT2を介して、前側たばこ列の最下位にあるたばこT2を前方に押し出す(図9)。
【0036】ここで、プッシャ50により直接に押し出されるたばこT2は、ケーシング32の上壁32aに形成された勾配32dに沿って移動し、前側たばこ列の下側に潜り込むことから、たばこT2は、スムーズに前方に向けて押し出される。また、プッシャ50の移動に伴い第1および第2リフタカム74,75は時計回りに回転するが、プッシャ50がコラム34内のほぼ中央に位置するまで、第1および第2リフタカムはケーシング32の上壁より上方に突出しない。
【0037】さらに、プッシャ50が移動し、たばこT2が前方に向けて押し出されると、図10に示すように、たばこT1がコラム34の排出口65からシュート72に排出され、このシュート72を通じて取り出し口28に導かれることとなる。そして、図11に示すように、プッシャ50が前側たばこ列の領域まで移動すると、図6に示すように、第2リフトカム75に連動するリミットスイッチにおいて、スイッチ79のスイッチレバー79aがカムプレートの切り欠き78aに落ち込み、リミットスイッチのオフ信号に基づいて電動モータMの駆動が停止される。そして、電動モータMの停止により、駆動ベルト44の走行が停止される。これにより、プッシャ50は、たばこT2の押し出しを停止し、たばこT2は、後側たばこ列から前側たばこ列の最下位に移動した位置に保持される。また、第1および第2リフタカム74,75は、ケーシング32の上壁32aから突出した状態で停止する。
【0038】このとき、たばこT2がプッシャ50とともに前側たばこ列の下側に潜り込むことで、後に残った後側たばこ列は第1および第2リフタカム74,75上に落下し、図示するように、上壁32aから浮いた状態で保持される。そして、この状態は、次回の販売指令信号が出力されるまで維持される。次に、図11に示されている状態から、販売指令信号が再び出力されると、同様にして駆動ベルト44が走行され、これにより、コラム34内にあるプッシャ50は、たばこT2を直接に押し出す(図12)。また、このとき、プッシャ50がたばこT2を排出させるまでの間、第1および第2リフタカム74,75は、共に時計方向に回転するので、後側たばこ列を上壁32aの上方で保持しながら後方に移動させる。この結果、前側たばこ列と後側たばこ列の間に隙間SPが形成される。
【0039】そして、プッシャ50がたばこT2を押し出し、コラム34から排出させると(図13)、このようにして排出されたたばこT2もまた、シュート72を通じて取り出し口28に導かれるものとなる。たばこT2が排出されると、前側たばこ列はたばこ1個分だけ落下する。このとき、前記隙間SPにより、前側たばこ列は、後側たばこ列と干渉することなく確実かつ安定して落下する。
【0040】一方、たばこT2がコラム34から排出された後も、駆動ベルト44の走行は継続される。そして、プッシャ50がコラム34内から抜け出ると、第1および第2リフタカム74,75は、回転しながらケーシング32内に入り込む。したがって、第1および第2リフタカム74,75で支えられていた後側たばこ列は、前側たばこ列から離れた状態で上壁32a上に降ろされる(図14)。
【0041】そして、駆動ベルト44が走行し、コラム34内から抜け出た一方のプッシャ50が、スリット56を介してケーシング32内に移動すると、図7に示すように、第2リフトカム75の回転に連動するリミットスイッチにおいて、スイッチ79のスイッチレバー79aがカムプレートの切り欠き78bに落ち込み、リミットスイッチがオフとなり、このオフ信号に基づいて電動モータMの駆動が停止される。そして、電動モータMの停止により、駆動ベルト44およびプッシャの走行が停止される。この状態では、ケーシング32内に位置していた他方のプッシャ50が、図2に示す一方のプッシャ50の停止位置にまで移動しており、これにより、前述した図2および図8の状態と同様な状態が再現されることになる。
【0042】したがって、上述した自動販売機の動作が繰り返して実施されることにより、前後のたばこ列において、その最下位にあるたばこTが順次、そのコラム34から排出されることになる。この発明は、上述した一実施例に制約されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、各リフタカム74,75に関しては、必ずしも駆動ベルト44と同期させて回転させる必要はなく、例えば、プッシャ50の位置に応じて間欠的に回転させるようにしても構わない。
【0043】また、本実施例において、リフタカムは、第1リフタカム74,第2リフタカム75と2個設けたが、一個でもよく、あるいは、3個以上設けるようにしても構わない。リフタカムが複数であれば、落下する後側のたばこ列を安定した状態で支えることができる。
【0044】
【発明の効果】以上説明したように、この発明の自動販売機によれば、前記収納枠の下方に前後方向に離間して配置された第1および第2プーリと、これら第1および第2プーリに掛け回され、商品を排出する方向に移動する駆動ベルトと、前記駆動ベルト上に直接的に設けられ、駆動ベルトの移動に伴い前記商品収容枠内の下部を後方から前方に向けて貫くように移動し、各商品列の最下位にある商品を後ろから順次押し出して商品収容枠内から排出させるプッシャと、後側の商品列の下方に配置され、前記プッシャの動きに連動して回転し、前記プッシャが後側の商品を押し出し、この後側の商品が前側の商品列の最下位に潜むとき、前記商品収容枠内に突出して後側の商品列を支えるリフタカムとを備えたので、全体の薄型化を図ることができると共に、前記収容枠内により多くの商品を収納することができる。
【0045】さらに、前記リフタカムを複数個備えるような構成にすれば、落下する後側商品列を安定した状態で支えることができ、後側商品列に多くの商品が積層されているときなどのリフタカムにかかる負荷が大きい場合にも、前側商品列と後側商品列との切り放しがスムースに行えるので、商品排出時の詰まりを確実に解消できる。
【0046】また、前記第1プーリに対して第2プーリを前後方向に移動することにより前記駆動ベルトの張り具合を調整するようにすれば、さらに、全体の薄型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】自動販売機を示した斜視図である。
【図2】図1の自動販売機内の一部を示した断面図である。
【図3】コラムの底面となるケーシングの上部を示した図である。
【図4】図3中IV−IV線に沿う断面図である。
【図5】ケーシング内のギヤ列を示す図である。
【図6】第2リフタカムとリミットスイッチを示す図である。
【図7】別の状態のにある第2リフタカムとリミットスイッチを示す図である。
【図8】図2の自動販売機の作動前の状態を示した概略図である。
【図9】図8の状態から次の段階に作動した状態を示した概略図である。
【図10】図9の状態から次の段階に作動した状態を示した概略図である。
【図11】図10の状態から次の段階に作動した状態を示した概略図である。
【図12】図11の状態から次の段階に作動した状態を示した概略図である。
【図13】図12の状態から次の段階に作動した状態を示した概略図である。
【図14】図13の状態から次の段階に作動した状態を示した概略図である。
【符号の説明】
32 ケーシング
34 コラム
40 駆動プーリ
42 従動プーリ
44 駆動ベルト
50 プッシャ
74 第1リフタカム
75 第2リフタカム
T たばこ
SP 隙間
【特許請求の範囲】
【請求項1】 商品収容枠内に前後2列に商品を積み重ね、各商品列の最下位にある商品を商品収容枠内から順次排出するようにした自動販売機において、前記収納枠の下方に前後方向に離間して配置された第1および第2プーリと、これら第1および第2プーリに掛け回され、商品を排出する方向に移動する無端状の駆動ベルトと、前記駆動ベルト上に直接的に設けられ、駆動ベルトの移動に伴い前記商品収容枠内の下部を後方から前方に向けて貫くように移動し、各商品列の最下位にある商品を後ろから順次押し出して商品収容枠内から排出させるプッシャと、後側の商品列の下方に配置され、前記プッシャの動きに連動して回転し、前記プッシャが後側の商品を押し出し、この後側の商品が前側の商品列の最下位に潜り込むとき、前記商品収容枠内に突出して後側の商品列を支えるリフタカムとを備えたことを特徴とする自動販売機。
【請求項2】 前記リフタカムを複数個備えていることを特徴とする請求項1に記載の自動販売機。
【請求項3】 前記駆動ベルトの張り具合を、前記第1プーリに対して第2プーリを前後方向に移動することにより調整することを特徴とする請求項1に記載の自動販売機。
【請求項1】 商品収容枠内に前後2列に商品を積み重ね、各商品列の最下位にある商品を商品収容枠内から順次排出するようにした自動販売機において、前記収納枠の下方に前後方向に離間して配置された第1および第2プーリと、これら第1および第2プーリに掛け回され、商品を排出する方向に移動する無端状の駆動ベルトと、前記駆動ベルト上に直接的に設けられ、駆動ベルトの移動に伴い前記商品収容枠内の下部を後方から前方に向けて貫くように移動し、各商品列の最下位にある商品を後ろから順次押し出して商品収容枠内から排出させるプッシャと、後側の商品列の下方に配置され、前記プッシャの動きに連動して回転し、前記プッシャが後側の商品を押し出し、この後側の商品が前側の商品列の最下位に潜り込むとき、前記商品収容枠内に突出して後側の商品列を支えるリフタカムとを備えたことを特徴とする自動販売機。
【請求項2】 前記リフタカムを複数個備えていることを特徴とする請求項1に記載の自動販売機。
【請求項3】 前記駆動ベルトの張り具合を、前記第1プーリに対して第2プーリを前後方向に移動することにより調整することを特徴とする請求項1に記載の自動販売機。
【図1】
【図2】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図11】
【図3】
【図4】
【図5】
【図12】
【図13】
【図14】
【図10】
【図2】
【図6】
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【図11】
【図3】
【図4】
【図5】
【図12】
【図13】
【図14】
【図10】
【公開番号】特開平7−210744
【公開日】平成7年(1995)8月11日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平6−7636
【出願日】平成6年(1994)1月27日
【出願人】(000004569)日本たばこ産業株式会社 (406)
【公開日】平成7年(1995)8月11日
【国際特許分類】
【出願日】平成6年(1994)1月27日
【出願人】(000004569)日本たばこ産業株式会社 (406)
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