説明

自動車による荷物の輸送方法

【課題】 金属加工品を工場間で輸送するなど、定常的に輸送が行なわれる個所間の輸送において、無駄な自動車の走行を減らしコスト削減、省エネルギーを図る。
【解決手段】 複数の発送元からの荷物を集荷して遠隔地の複数の送付先に自動車で輸送する方法において、それぞれの発送元においてその発送元が定めた1つの送付先に送るべき荷物を積載した一定の寸法・形状のラックを、それぞれの発送元より第一の積替中継倉庫まで許容積載量5トン以下の自動車により輸送し、これら集められたラックを許容積載量12トン以上の自動車に積込んで、第一の積替中継倉庫から遠隔地にある第二の積替中継倉庫まで輸送し、第二の積替中継倉庫からそれぞれのラックを許容積載量5トン以下の自動車によりそれぞれの送付先に輸送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動車による荷物の輸送方法に関し、特に金属を加工する会社間などの定常的に輸送が行なわれる個所間の輸送に適した方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
たとえば自動車部品などの金属加工品はそれぞれ専門の加工を行なう会社間を移送されつつ加工が行なわれることが多い。たとえば鋳造工場、鍛造工場、機械加工工場、熱処理工場、めっき工場、組立工場といった具合である。したがってこれら会社間では定常的に荷物の運搬が行なわれることになる。このような会社間の物品の移送はそれぞれの会社において物品の寸法・形状に合わせた通い箱を用意し、これに収納して輸送する場合もある。いずれにしてもトラックにより輸送されているが、もっぱらその荷物だけをトラックに積載して輸送される。このためトラックの許容積載量の何分の1しか積まない状態で何百kmもの距離を走行したり、しかも帰りは空荷のトラックを走らせるといったことが行なわれている。このような運送は「ジャストインタイム」とか「かんばん方式」といったことが普及するにしたがってますます多くなっているのが実情である。
【0003】
このような無駄を無くするには宅配便のようなシステムを採用することが考えられるが、金属加工品のような重量物は取り扱っていないのが現状であり、将来的にも重量物の取り扱いは困難と考えられる。また物品を個々に取り扱うことは効率が悪く、また途中で積み替えを行なうと金属加工品に傷をつけるおそれがある。また荷物を輸送するときの容器として、特開2002−308267号公報などのものがあるが、前記のような輸送効率の問題を解決する手段とはなっていない。
【特許文献1】特開2002−308267号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように金属加工品などを会社間で輸送するために現在行なわれている方法は、少量たとえば4t以下の輸送単位で個別に輸送するため効率が悪い。このため個々の会社にとって輸送コストが割高であり、また自動車の燃料を浪費し地球温暖化防止のため炭酸ガスの排出量削減が求められている今日改善が求められる。したがって本発明は自動車による荷物の輸送にあたってより効率的な輸送システムを開発し、コスト削減、省エネルギーに寄与する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は前記課題を解決するものであって、複数の発送元からの荷物を集荷して遠隔地の複数の送付先に自動車で輸送する方法において、それぞれの発送元においてその発送元が定めた1つの送付先に送るべき荷物を積載した一定の寸法・形状のラックを、それぞれの発送元より第一の積替中継倉庫まで許容積載量5トン以下の自動車により輸送し、これらそれぞれの発送元より集められた前記ラックを、許容積載量12トン以上の自動車に自動車1台当りラック2個以上を積み込んで第一の積替中継倉庫から遠隔地にある第二の積替中継倉庫まで輸送し、第二の積替中継倉庫からそれぞれのラックを許容積載量5トン以下の自動車によりそれぞれの送付先に輸送することを特徴とする自動車による荷物の輸送方法である。ここにおいて、1つのラックへの荷物の積載重量は4t以下であること、荷物は金属加工品であって、発送元および送付先は金属加工品を取り扱う会社であること、前記許容積載量12トン以上の自動車は、側面全部が上方に移動することにより開閉する荷室を有するものであることも特徴とする。
【0006】
また上記自動車による荷物の輸送方法に使用するラックは、少なくとも鋼製の底枠とその四隅に設けた鋼製の柱からなる骨組みを有し、底枠には荷物を積載するための鋼製の網が設けられおり、3つの側面または相対する2つの側面には柵が形成され、前記それぞれの柵にはラックに荷物が積載されていないときにラックの内側に倒すための回転軸が前記底枠との間に設けれており、前記底枠の前記鋼製の網が設けられた面の下方にはフォークリフトのフォークの挿入個所が設けられているものであり、かつラックは前記柱の先端で他のラックの底部を支持することにより2個以上積上げ可能であり、さらにラックを積上げたときのラック相互の横ずれ防止機構が設けられていることを特徴とする。ここにおいて、前記ラックは、前記の柵が設けられた以外の側面に、差込み・引抜きにより着脱可能な柵が設けられているものであることも特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の自動車による荷物の運搬方法によれば、許容積載量より少ない荷物を積んだトラックや空のトラックが長距離走行することが無くなり、コスト削減、省エネルギーに寄与する。しかも発送元でラックに積込んだ状態のまま送付先に届けられ、輸送の途中段階において荷物に直接触れての積み替えなどは行なわれないので荷物を傷めるおそれがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の自動車による荷物の運搬方法はある発送元からある送付先への荷物の輸送が定常的に行なわれる場合に特に適しており、これらの複数の発送元からの荷物を集荷して遠隔地の複数の送付先に自動車で輸送する方法を提供するものである。そして本発明の輸送方法においては、これら複数の発送元がすべて一定の寸法・形状のラックを使用し、それぞれの発送元が定めた1つの送付先に送るべき荷物を積載する。そして荷物は発送元によってラックに積載された状態のままそれぞれの送付先に届けられることになる。1つのラックへの荷物の積載重量は4t以下、特に好ましくは1tから4tが適当である。すなわち上記積載重量が4t以下、殊に1tから4tの範囲は従来の輸送手段では効率が悪く、特に改善が求められる範囲だからである。
【0009】
上記のように一定の寸法・形状のラックを使用することから、ラックはそれぞれの荷主が用意するのではなく運送業者がまとめて多数作成しておき、必要に応じて輸送の用に供することになる。また一定の寸法・形状とは、ただ1つの寸法・形状しか許容しないという意味ではなく、個々の発送元における荷物の寸法、量の相違に適応すべく何種類かが併存しても差し支えない。
【0010】
前記のように発送元において荷物が積載されたラックは最大積載量5t以下のトラックにより第一の積替中継倉庫まで輸送される。この第一の積替中継倉庫はたとえば関西地方といったある地域における発送元や送付先の荷物を集荷したり配送したりする拠点となる。上記トラックの最大積載量を5t以下としたのは、前記のようにラックへの荷物の積載重量は4t以下であり、たとえば4tトラックといった最大積載量を5t以下のトラックが適当だからである。したがって1台のトラックにラックは1個または2個といった程度の少数が積まれることになる。なお発送元から第一の積替中継倉庫への輸送は一般的には運送業者が集荷して行なうが、発送元自身が第一の積替中継倉庫に持ち込んでも良い。
【0011】
このようにして第一の積替中継倉庫に集められたラックは送付先の地域ごとに分けられ、許容積載量12トン以上の自動車に自動車1台当りラック2個以上を積み込んで第一の積替中継倉庫から遠隔の地にある第二の積替中継倉庫まで輸送する。遠隔の地とは、たとえば第一の積替中継倉庫が関西地方にあれば、第二の積替中継倉庫は関東地方というように、少なくとも200kmは離れていることをいう。このように長距離の輸送については許容積載量が大きいトラックを使用して自動車1台当りラック2個以上を積み込むのは、自動車の走行台数を減らして全体でのコスト低減、省エネルギーを図るためである。自動車の許容積載量を12トン以上としたのは、12t未満では自動車の走行台数を低減する効果を充分に発揮できないからである。
【0012】
上記許容積載量12トン以上の自動車としては、側面全部が上方に移動することにより開閉する荷室を有するものが好ましい。このように荷室の側面全部が開放されることにより、フオークリフトを利用して容易にラックを積込み、積降ろしができる。このような荷室には複数のラックを並べて収納でき、またラック自体の構造を積み上げることができるようにすることにより、荷室の空間を最大限に利用できる。またこのような密閉される荷室を採用することによって、ラック自体は開放されていて雨水を防止できなくても、水濡れのおそれがなく運搬できる。なお自動車の形式としては荷台部分とエンジン部分とが一体になったトラックでも、これらが別々になっているトレーラーでも良い。
【0013】
このようにして第二の積替中継倉庫まで輸送されたラックは、許容積載量5トン以下のトラックによりそれぞれの送付先に輸送される。このように許容積載量5トン以下のトラックを使用することにしたのは、前記のようにラックへの荷物の積載重量は4t以下であり、発送元から第一の積替中継倉庫への輸送の場合と同様にたとえば4tトラックといった最大積載量を5t以下のトラックが適当だからである。したがって1台のトラックにラックが1個または2個といった程度の少数が積まれることになる。
【0014】
以上が本発明における自動車による荷物の輸送方法の基本的な構成である。なお本発明において第一の積替中継倉庫、第二の積替中継倉庫というのはある倉庫に固有のものではなく、ある時点での機能を説明するため便宜上名付けたものである。したがって前記説明における送付先を発送元とし、発送元を送付先とする逆方向の荷物の輸送においては、前記説明における第二の積替中継倉庫が本発明でいう第一の積替中継倉庫として機能することになる。同様に前記説明の第一の積替中継倉庫が本発明でいう第二の積替中継倉庫となる。また上記のことから積替中継倉庫は全国に何個所あっても良く、ある時の発送元側と送付先側のものがそれぞれ本発明でいう第一の積替中継倉庫と第二積替中継倉庫ということになる。
【0015】
またさらに積替中継倉庫自体は遠隔の距離を置いて配置されていなくても良く、たとえば関東地方として神奈川県、埼玉県、千葉県に配置されていても良い。荷物の取り扱い量が多い地域ではこのように倉庫を多く配置することは、発送元や送付先への距離が短くなるので好ましい。ただし神奈川県、埼玉県、千葉県は相互に遠隔地であるとは言えないので、これら各県の倉庫のうちの2つが、それぞれ本発明における第一の積替中継倉庫、第二の積替中継倉庫に同時になることはない。
【0016】
なお本発明の輸送方法を実施するには輸送を管理するシステムが必要である。このシステムにおいては、発送元からの輸送依頼を受付け、許容積載量5トン以下の自動車の輸送指示、許容積載量12トン以上の自動車の輸送指示、第一の積替中継倉庫と第二積替中継倉庫における積降ろし作業指示を行ない、さらに作業の進捗管理を行なう。また本発明の輸送方法においてはラックの管理が特に重要であり、これも上記システムの中で行なう。
【0017】
上記ラックの管理は以下に述べるようにラック全体の需給管理と個別ラックの管理とがある。
(1)ラック全体の需給管理は、ある時点において、ラックに荷物を積載した状態で許容積載量5トン以下の自動車、許容積載量12トン以上の自動車等に積込まれているラックの個数の把握、また同じ時点において、各積替中継倉庫に置いてある空きラックの個数の把握などを行なう。
(2)個別ラックの管理は、ラックに積載している荷物の送付先や納期を識別し、管理する。このためには個々のラック毎に固有の番号を付与して管理するのが適当であるが、ラック自体にバーコードラベルを添付することも好ましい。
【0018】
本発明の自動車による荷物の運搬方法は金属加工物を会社間で輸送する場合に特に効果を発揮する。これらの荷物は従来多くの場合トラックが満杯になるまで積載されずに輸送され、無駄に車両を走行させていたものである。また重量があること、輸送のため梱包するのは困難なことなどから宅配便の利用も現実的でないものである。
【0019】
本発明においてはさらに上記のような金属加工物の輸送に本発明を適用するのに特に適したラックを提供する。図1はこのようなラックを示す斜視図であるが、基本的な形態として、少なくとも鋼製の底枠1とその四隅に設けた鋼製の柱2からなる骨組みを有する。これらの骨組みは比較的大きな荷重を受けるので角鋼管やリップ溝形鋼同士を溶接して略正方形断面にしたものなど形鋼を素材として製作するのが好ましい。また最低限これら底枠と柱からなる骨組み有するものであって、さらに多くの部材があってもよい。たとえば図示しないが、底枠を構成する四辺の中に補強のため数本ずつの縦横の部材を格子状に設けてもよい。
【0020】
また上記のような骨組みに対して、底枠1には荷物を積載するための鋼製の網3が設けられている。底から荷物が抜け落ちずに積載するだけなら単なる鋼板を張るだけでも良いが、鋼製の網を使用することによりラックの重量を軽減でき、またラッシングベルトなどによる荷物の固縛にさいして両端のフックを鋼製の網の穴に引っ掛けることができる。これによりラッシングベルトの固定にさいして取付け場所の自由度が増し、作業が容易にできる。なおベルトのフックの取付けについては底枠にも適当な間隔で取付け個所を設けておくことが好ましい。なお上記鋼製の網としては網状鋼板やエキスパンド鋼板とも呼ばれるものであって、鋼板にプレス加工により一定間隔の多数の切れ込みを設けておき、鋼板の両端を把持して切れ込みが開口する方向に引張ることにより金網状にしたものが好ましい。網状鋼板は強度があり、金属加工品のような重量がある荷物を載せるのに適している。
【0021】
一方、前記のように底枠1の四隅に設けた鋼製の柱2で形成される4つの側面のうち3つの側面または相対する2つの側面には、ラックと結合された可倒式の柵が形成されている。図1のラックにおいては3つの側面に可倒式の柵が設けられているが、そのうち相対する2つの側面にある可倒式の柵4は本発明のラックにおいて常に設けられるものである。
【0022】
上記の柵4は、四隅に設けた鋼製の柱2に結合された構成になっている。すなわち細い角鋼管41を平行に並べてその両端を別の角鋼管42で固定し、さらに上記別の角鋼管42の両端を鋼製の柱2に結合している。柵は荷物がラックから落下しないように設けるものであって、柵によってラック自体の強度を保持しようというものではない。したがってその構造について特に限定するものではなく、金網を張った構造にすることもできる。
【0023】
また図1においては、前記の可倒式の柵4を設けたのと別の1つの側面である後面にも可倒式の柵15が設けられている。これは本発明のラックにおいて必須のものではなく、省略してその代わりに必要に応じて後述の着脱式の柵を使用することもできる。
【0024】
上記の柵4、15は可倒式となっているが、ラックを不使用のときに場所を取らないようにするためである。本発明の輸送方法においては、どちらの方向に荷物を輸送する場合もラックが積載状態であって空のラックを輸送しなくても済むのが理想的であるが、荷物の輸送方向が片寄ってラックだけを返送しなければならない場合もあり得る。このような場合になるべく場所を取らないように柵を倒すのである。
【0025】
ラックを倒す機構としては、相対する2つの側面の柵4においては柱2に結合された部材と底枠1との結合部分に回転軸5が設けられいる。これにより柱と共に柵4をラックの内側に倒すことができる。また柵を垂直に立てた状態においては、図示しない結合部材によって後述の柱支持部材7に結合することにより保持される。
【0026】
また後面の柵15のラックを倒す機構としては、柵の下端の底枠1との結合部分に回転軸16が設けられている。そして柵15を垂直に立てた状態においては、柵に設けたスライド式のフック17を柱2に設けた把手18に引掛けてロックすることにより保持される。
【0027】
また上記の可倒式の柵はラックの4つの側面全部に設けると、ラックへの荷物の積込み積降ろしを柵越しにしなければならなくなり作業が不自由になる。したがって少なくとも1つの側面には設けず、この側面については必要に応じて差込み・引抜きにより着脱可能な柵6を設けることが好ましい。相対する2つの側面だけに可倒式の柵を設けた場合、ラックの寸法によっては柵を倒して畳んだときに3つの側面に柵を設けた場合より平らにできることがある。一方、可倒式の柵を1つの側面だけまたは隣り合う2つの側面に設ける利点は格別に無いので、可倒式の柵は3つの側面か、または相対する2つの側面に設け、他の側面については必要に応じて着脱可能な柵を設ければ良い。着脱可能な柵6の構造について特に限定するものではないことは可倒式の柵と同様である。
【0028】
図2は可倒式の柵4、15を倒した状態を示すラックの正面図であるが、図1に示されている着脱可能な柵6は取り外されている。また可倒式の柵は後面の柵15が先に倒され、その上に相対する2つの側面の柵4が順次倒されている。図1にも示されているが、鋼製の柱2の下部には柱支持部材7が設けられている。柱支持部材7は断面がコの字形であって、鋼製の柱2の断面における3辺を取り囲むようになっている。
【0029】
鋼製の柱2は図1のように立てた状態では、先にも述べたように図示しない結合部材により柱支持部材7に結合されて垂直に保持される。一方、可倒式の柵4を倒した状態では図2に示すように鋼製の柱2も一緒に倒すことになるが、柱支持部材7はそのままの位置に残る。柱支持部材7の先端は、柵を倒したラックを積み上げるときに他のラックの底部を支持する個所となる。なお図1において8は側板であって、隣り合う2本の柱支持部材7の補強の役割と可倒式の柵4の補完の役割をしている。
【0030】
また上記ラックには底枠1の鋼製の網3が設けられた面の下方にフォークリフトのフォークの挿入個所9を設ける。ラックの自動車への積込み・積降ろしなどは原則としてフォークリフトにより行なわれるが、そのつど万棒(ダンネージ)を敷かなくても底部にフォークを挿入できるようにしておくのが便利である。具体的な構成としては、たとえば底枠の下面にフォークを挿入すべき方向と平行に複数の角鋼管などを溶接により取付け、ラックを地面に置いたとき底枠が地面から浮いた状態になるようにすれば良い。図1、図2に例においては上記角鋼管10の他にさらに底枠補助部材11などを設けて底枠1の補強の役割をさせている。
【0031】
また本発明で使用するラックは荷物を積載した状態で2個以上積み上げて輸送できるようになっている。すなわち第一の積替中継倉庫から第二の積替中継倉庫までの長距離の輸送においては、できるだけ自動車の積載可能重量いっぱいに積んで走行することが効率向上のため必要である。したがって先に述べた許容積載量12トン以上の自動車においては、荷室の天井高さまでラックを積込むことが望まれる。ラックの高さは一般的にこのような自動車の荷室の天井高さよりずっと低いので、複数個たとえば2個ないし3個積み上げた状態で輸送する。そのため鋼製の柱2について、先端で他のラックの底部を支持して積み上げられるような強度にする。さらに輸送中の横揺れで上に積上げたラックが横ずれしないようなラック相互の横ずれ防止機構を設ける。
【0032】
上記の横ずれ防止機構としては、たとえば底枠の下面の四隅に鋼製の柱の断面形状に対応する穴を設け、ラックを積上げたとき鋼製の柱の先端がこの穴に入るといったものが考えられる。このような機構は横ずれ防止の作用としては充分であるが、上にラックを載せるとき正確な位置合わせが必要であり、フォークリフトの操作が難しい。このため位置合わせ手段として図2に示すように傾斜面12をラック底部に設けて、多少ずれた位置で上にラックを置こうとしたときでも、傾斜面12を滑って本来の位置に落ち着くような機構にすると良い。図1、図2の例においてはこのような傾斜面は底面の1つの隅について2個所ずつある。
【0033】
上記のようにラックの各隅について2方向の傾斜面12を設ければ、鋼製の柱2の上にラックを乗せたときの横ずれを防止でき、また図2に示したように柵を倒した状態で柱支持部材7の上にラックを乗せたときも同様に横ずれを防止できる。すなわち位置合わせ手段と横ずれ防止手段との両方の役割を果たさせることができる。位置合わせ手段を有する横ずれ防止機構は上記のようなものに限定されるものではなく、たとえば図2に併せて示したように、ラックの底部の各隅に半球状などの突起13を設け、この突起が鋼製の柱2や柱支持部材7の内面にはまり込むようにしてもよい。またこのような機構を先の傾斜面を設ける機構と併用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の自動車による荷物の運搬方法に使用するラックを示す斜視図
【図2】図1のラックにおいて可倒式の柵を倒した状態を示す正面図
【符号の説明】
【0035】
1 底枠
2 鋼製の柱
3 鋼製の網
4 可倒式の柵
5 回転軸
6 着脱可能な柵
7 柱支持部材
8 側板
9 フォークの挿入個所
10 角鋼管
11 底枠補助部材
12 傾斜面
13 突起
15 可倒式の柵
16 回転軸
17 フック
18 把手

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発送元からの荷物を集荷して遠隔地の複数の送付先に自動車で輸送する方法において、それぞれの発送元においてその発送元が定めた1つの送付先に送るべき荷物を積載した一定の寸法・形状のラックを、それぞれの発送元より第一の積替中継倉庫まで許容積載量5トン以下の自動車により輸送し、これらそれぞれの発送元より集められた前記ラックを、許容積載量12トン以上の自動車に自動車1台当りラック2個以上を積み込んで第一の積替中継倉庫から遠隔地にある第二の積替中継倉庫まで輸送し、第二の積替中継倉庫からそれぞれのラックを許容積載量5トン以下の自動車によりそれぞれの送付先に輸送することを特徴とする自動車による荷物の輸送方法。
【請求項2】
1つのラックへの荷物の積載重量は4t以下であることを特徴とする請求項1記載の自動車による荷物の輸送方法。
【請求項3】
荷物は金属加工品であって、発送元および送付先は金属加工品を取り扱う会社であることを特徴とする請求項1または2記載の自動車による荷物の輸送方法。
【請求項4】
前記許容積載量12トン以上の自動車は、側面全部が上方に移動することにより開閉する荷室を有するものであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の自動車による荷物の輸送方法。
【請求項5】
前記ラックは、少なくとも鋼製の底枠とその四隅に設けた鋼製の柱からなる骨組みを有し、底枠には荷物を積載するための鋼製の網が設けられおり、3つの側面または相対する2つの側面には柵が形成され、前記それぞれの柵にはラックに荷物が積載されていないときにラックの内側に倒すための回転軸が前記底枠との間に設けれており、前記底枠の前記鋼製の網が設けられた面の下方にはフォークリフトのフォークの挿入個所が設けられているものであり、かつラックは前記柱の先端で他のラックの底部を支持することにより2個以上積上げ可能であり、さらにラックを積上げたときのラック相互の横ずれ防止機構が設けられていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の自動車による荷物の輸送方法。
【請求項6】
前記ラックは、前記の柵が設けられた以外の側面に、差込み・引抜きにより着脱可能な柵が設けられているものであることを特徴とする請求項5記載の自動車による荷物の運搬方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−36243(P2006−36243A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−216026(P2004−216026)
【出願日】平成16年7月23日(2004.7.23)
【出願人】(591045840)日鐵物流株式会社 (6)
【Fターム(参考)】