説明

自動車に組み込むための飲料容器用ホルダ

【課題】自動車に組み込むための飲料容器用ホルダの支持部材を、不本意に運動しないように位置固定する。
【解決手段】容器を収納するための収容部12及びガイド18,20によって下降位置と上昇位置との間で往復可能に案内された支持部材16が設けられており、該支持部材が上昇位置において収容部に収納された飲料容器の側面を収容部の上位で支持しており、支持部材を下降位置で保持する解除可能なロック装置24,26,30が設けられている形式のものにおいて、ホルダ10が、支持部材16を上昇位置で保持するロック装置38,40を有しているようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車に組み込むための飲料容器用ホルダであって、飲料容器を収納するための上部の開いた収容部及びガイドによって降下位置と上昇位置との間で往復運動可能に案内された支持部材が設けられており、該支持部材が、上昇位置において収容部に収納された飲料容器の側面を収容部の上位で支持しており、支持部材を降下位置で保持するロック解除可能なロック装置が設けられている形式のものに関する。
【背景技術】
【0002】
このような形式のホルダ自体は公知であり、例えば飲料缶、コップ、カップ等の飲料容器を傾かないように保持するために役立ち且つその他の陸上車両、航空機又は船舶にも使用可能である。公知のホルダは、一般に上部が開いた円筒形の凹部を、飲料容器を収納するための収容部として有している。この場合の上部は、ホルダの規定された組込み位置に関連している。更に、収容部の上位の上昇位置へ運動可能に案内された、例えば環状の支持部材を設けることが公知である。この支持部材は、収容部よりも大きな高さの収納された飲料容器の側面を支持し、これにより、収納された飲料容器の、特に比較的背の高い飲料容器における傾動に対する安全性を高める。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、上で述べた形式のホルダの支持部材を、不本意に運動しないように位置固定することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題を解決するために本発明では、ホルダが、支持部材を上昇位置で保持するロック装置を有しているようにした。
【発明の効果】
【0005】
本発明によるホルダは、支持部材のためのロック解除可能なロック装置を有しており、このロック装置は支持部材を降下位置及び上昇位置で保持する。ホルダは、各位置に関して専用のロック装置を有しているか、又は両位置に関して共通のロック装置を有していてよい。上昇位置において当該のロック装置は、例えば飲料容器の収納時の不本意な押圧に対して支持部材を保持する。
【0006】
本発明の構成は、ロック装置をマニュアル式でロック解除するためのロック解除部材を規定する。このロック解除部材は、例えばプッシュボタン又はスライダ等の指で操作可能な部材である。ホルダの支持部材は、ロック解除部材の意図的な操作、つまり、例えばロック解除ボタンの押圧によってしかロック解除され得ない。
【0007】
本発明の改良では、ロック装置が支持部材を、降下位置への運動時にロック解除部材が操作された場合、つまり、例えばロック解除ボタンが押されている場合でもロックしている。このことは降下位置でのロックを容易にする。なぜならば、上昇位置において支持部材をロック解除するために操作する必要のあるロック解除部材を、支持部材を降下位置でロックするために降下中に解放する必要がないからである。
【0008】
本発明の構成では、環状の支持部材が設けられており、これにより、この支持部材は大抵は円形の飲料容器横断面に適合されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に、本発明を実施するための最良の形態を図面につき詳しく説明する。
【0010】
図示の本発明によるホルダ10は、自動車(図示せず)に組み込むために規定されている。図示のホルダ10は、2つの飲料容器を収納するためのダブルホルダとして形成されている。このホルダ10は、相並んで配置された2つの管状の収容部12を、例えば飲料缶、瓶、コップ又はカップ等の飲料容器(図示せず)を1つずつ収納するために有している。両収容部12は、選択された観察方向では相前後して位置している、つまり、図平面で見て一方が手前に且つ他方が後方に位置している。判りやすくするために、両収容部12は図平面内でずらされて描かれている。収容部12の下側は底部14によって閉鎖されており、収容部12の上部は飲料容器を収容するために開放されている。この場合の上下は、ホルダ10の規定された組込み位置及び使用位置に関連している。
【0011】
収容部12には、それぞれ管状の支持部材16が伸縮可能に収容されている。これらの支持部材16は上下が開放されており、図1に示した降下位置から図2に示した上昇位置へ摺動され得る。降下位置では、支持部材16は収容部12内に位置しており、上昇位置では、支持部材16は上方に向かって収容部12から突出しており、収容部12を軸方向で「延長」している。
【0012】
支持部材16は、これらの支持部材16間に配置されたドーム18に取り付けられており、このドーム18は、下方に向かって突出した管状の付加部20内で収容部12間を摺動可能に案内されている。ドーム18と付加部20とは、両支持部材16のための摺動案内部を形成している。
【0013】
ばね部材22は、支持部材16を上昇位置へ運動させる。図示の実施例では引っ張りコイルばね22が、収容部12の底部14及びドーム18の下端部に作用するばね部材として働く。
【0014】
管状の付加部20にはアングルレバー24が旋回可能に支承されている。このアングルレバー24の一方のアームは、ドーム18に対して平行に下方に向かって延びており且つ他方のアームは、この範囲は中空のドーム18に対して横方向で突入している。アングルレバー24の前記の一方のアームの端部には係止ノーズ26が設けられており、この係止ノーズ26は、支持部材16の降下位置においてドーム18の切欠きに係合し、これにより、支持部材16をばね部材22の力に抗して降下位置にロックして保持する。ばね部材28は、アングルレバー24を前記のロック位置へ負荷する。
【0015】
ドーム18内部では、横方向で突出したアングルレバー24のアームに、直線的なシングルアームの第2のレバー30が旋回可能に支承されており、このレバー30は、ドーム18に対してほぼ軸方向で延在している。アングルレバー24に支持されたばね部材32が、第2のレバー30をアングルレバー24から押し離す。
【0016】
第2のレバー30は制御棒34と協働し、この制御棒34は、軸平行にドーム18内で延在している。制御棒34が下方に向かって押圧されると、この制御棒34は第2のレバー30に作用して、この第2のレバー30を介して所定の引っ張り力をアングルレバー24の横方向で突出したアームに加える。これにより、アングルレバー24は、このアングルレバー24を負荷するばね部材28の力に抗して、係止ノーズ26がドーム18の切欠きから係合外にもたらされるように旋回される。ドーム18延いては支持部材16はロック解除されて、ばね部材22により上方に向かって上昇位置へ運動される。
【0017】
支持部材16を、係止ノーズ26のドーム18の切欠きへの係合によってばね部材22の力に抗して降下位置に保持するアングルレバー24は、このアングルレバー24に旋回可能に支承された第2のレバー30と相俟ってロック装置24,26,30を形成している。制御棒34は、支持部材16の上側に位置するロック解除ボタン36に対する押圧力により下方に運動される。このロック解除ボタン36は、一般にロック解除部材とも云う。ロック解除ボタン36に対する押圧力により、つまり、ロック解除部材を操作することにより、制御棒34を介してロック装置24,26,30がロック解除される。
【0018】
支持部材16を図2に示した上昇位置でロックするためには、ドーム18にロック部材38が横方向で摺動可能に配置されている。このロック部材38は、支持部材16が上昇位置へ運動された状態では、ばね部材40によって負荷され且つこのばね部材40によって、ホルダ10の上部域に設けられた切欠き42内へ運動される。これにより、支持部材16は上昇位置でロックされている。切欠き42と協働するロック部材38は、支持部材16を上昇位置でロックして保持するロック装置38,42を形成する。ロック解除ボタン36を押した場合、つまり、ロック解除部材を操作した場合は、ロック解除ボタン36の傾斜面44がロック部材38をばね部材40の力に抗して押圧して切欠き42から係合外にもたらす、つまり、ロック装置38,42もやはりロック解除ボタン36の押圧によってロック解除される。支持部材16は、ロック解除後にばね部材22の力に抗して下方に向かって降下位置へ運動可能である。支持部材16のこの降下運動は、ロック解除ボタン36の連続的な押圧によって行われる。
【0019】
支持部材16が図1に示した降下位置に到達すると、アングルレバー24に作用するばね部材28がアングルレバー24の係止ノーズ26をドーム18の切欠き37に押し込む。支持部材16は、ロック解除ボタン36が押されていても、つまり、ロック解除部材が操作されていても、降下位置でロックされる。ばね部材32は、アングルレバー24に旋回可能に支承された第2のレバー30を、ロック解除ボタン36が解放され、その結果制御棒34が上方に向かって運動されてから初めて、再度制御棒34の軌道内へ旋回させることができる。その後初めて、ロック解除ボタン36が新たに押圧されることにより、レバー30が制御棒34を介して再び下方に向かって押圧されてアングルレバー24の係止ノーズ26をドーム18から係合外にもたらすように旋回させる。支持部材16の降下運動に際してロック解除ボタン36が押圧状態で保持される限り、レバー30は制御棒34の側方に接触する、つまり、制御棒34はレバー30を側方に向かって押圧しながらも当該の制御棒34と係合しないように保持する。
【0020】
上昇位置において、支持部材16は収容部12に収納された、この収容部12よりも大きな高さの飲料容器(図示せず)の側面を支持するので、背の高い飲料容器も傾かないようにホルダ10に保持されている。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明による飲料容器用ホルダの概略的な断面図である。
【図2】図1とは異なる位置の、本発明による飲料容器用ホルダの概略的な断面図である。
【符号の説明】
【0022】
10 ホルダ、 12 収容部、 14 底部、 16 支持部材、 18 ドーム、 20 付加部、 22,28,40 ばね部材、 24 アングルレバー、 26 係止ノーズ、 30 レバー、 34 制御棒、 36 ロック解除ボタン、 38 ロック部材、 42 切欠き、 44 傾斜面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車に組み込むための飲料容器用ホルダであって、飲料容器を収納するための上部の開いた収容部(12)及びガイド(18,20)によって降下位置と上昇位置との間で往復運動可能に案内された支持部材(16)が設けられており、該支持部材(16)が、上昇位置において収容部(12)に収納された飲料容器の側面を収容部(12)の上位で支持しており、支持部材(16)を降下位置で保持するロック解除可能なロック装置(24,26,30)が設けられている形式のものにおいて、
ホルダ(10)が、支持部材(16)を上昇位置で保持するロック装置(38,40)を有していることを特徴とする、自動車に組み込むための飲料容器用ホルダ。
【請求項2】
ロック装置(24,26,30;38,40)が、手動でロック解除するためのロック解除部材(36)を有している、請求項1記載のホルダ。
【請求項3】
ロック装置(24,26,30)が、降下位置への運動時にロック解除部材(36)が操作されていても支持部材(16)をロックする、請求項2記載のホルダ。
【請求項4】
支持部材(16)が環状である、請求項1記載のホルダ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−111264(P2006−111264A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−300127(P2005−300127)
【出願日】平成17年10月14日(2005.10.14)
【出願人】(502279962)フィッシャー オートモーティヴ システムズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (4)
【氏名又は名称原語表記】fischer automotive systems GmbH
【住所又は居所原語表記】Industriestrasse 103, D−72160 Horb, Germany
【Fターム(参考)】