説明

自動車に設けられた多機能式の表示・操作装置

本発明は、自動車に設けられた多機能式の表示・操作装置(1)であって、情報を表示するためのディスプレイフィールド(2)と、該ディスプレイフィールド(2)に隣接して配置された、機能を選択するための複数の操作エレメント(4,5,6,7)とが設けられている形式のものに関する。本発明の構成では、操作エレメント(4,5,6,7)がキーとして形成されており、該キーが、それぞれ該キーの一方の端範囲(13)にディスプレイフィールド(2)の表面に対して平行に延びる旋回軸線を中心にして旋回可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車に設けられたマルチファンクション式の、つまり多機能式の表示・操作装置であって、情報を表示するための表示フィールドもしくはディスプレイフィールドと、該ディスプレイフィールドに隣接して配置された、機能を選択するための複数の操作エレメントとが設けられている形式のものに関する。
【0002】
最新の自動車では、現在、ますます多機能式の表示・操作装置が使用されるようになっている。この多機能式の表示・操作装置は一方では自動車の状態に関する情報を表示するために使用される。他方では、この多機能式の表示・操作装置は、車両システム、たとえばナビゲーションシステムまたはカーラジオを制御するために使用される。個々の操作エレメントには、それぞれ固定の機能が割り当てられていてよい。しかし、公知先行技術においては、個々の操作エレメントに対する機能割り当てを表示する情報がディスプレイフィールドに表示されるような多機能式の表示・操作装置が大半を占めている。このことは、たとえば個々の対応する機能が各操作エレメントに隣接してディスプレイフィールドに表示されることにより行われる。別の実施態様では、ディスプレイフィールドにおける機能の配置が、多機能式の表示・操作装置の操作エレメントの配置に対応している。このような多機能式の表示・操作装置は、たとえば国際公開第00/21795号パンフレットに基づき公知である。
【0003】
公知先行技術において知られている多機能式の表示・操作装置では、操作エレメントが昇降式のストロークキーとして形成されている。これらのストロークキーが操作されると、キーの操作面に対して直角のストローク運動が実施される。このようなストロークキーの信頼性の良い確実な機能形式を保証するためには、1つのストロークキーと、該ストロークキーを取り囲むパネルまたは案内装置との間に比較的大きなギャップ寸法を設けることが必要となる。また、互いに隣接し合って配置された操作エレメントも、第1のキーの操作時に別のキーが一緒に操作されてしまうことを阻止するために、ある程度のギャップ寸法を維持しなければならない。しかし、できるだけ大きな個数の操作エレメントを多機能式の表示・操作装置の表面に収納し得るようにするためには、これらのギャップ間隔をできるだけ小さく保持することが望ましい。ギャップ間隔が過度に小さく設定されると、ストローク運動の実施時にキーのひっかかりまたは固着が生じる恐れがある。
【0004】
暗闇での操作を可能にするためには、操作エレメントを操作面の裏側から照明することが有利となる。この場合、操作面のできるだけ大きな面を照明することができることが望ましい。しかし、キーの確実なガイドを達成するために、キーの、操作面とは反対の側にはガイド装置が設けられており、このガイド装置は特に小さなキーの場合には、操作面とは反対の側の大部分を占有してしまい、この場合、約2cm×1.2cmの大きさのストロークキーでは操作面の約50%の範囲しか照明可能とならない。
【0005】
特に大きな面状の広がりを有するストロークキーまたは(および)小さなストロークを有するストロークキーの場合、信頼性の良い切換特性を達成するためにはたいてい、複数の切換エレメントまたは空間的に互いに分離されて形成された複数の切換装置(たとえば切換マットに形成された切換ドーム)を有する1つの切換エレメントを使用することが必要となる。その理由は、さもないと、操作力がストロークキーの中心外に作用した場合にストロークキーの傾動によるひっかかりが生じたり、切換過程の信頼性の良いリリースが各操作時に確実に保証されなくなってしまうことにある。切換確実性の制限を甘受しなければならなくなることなしに切換エレメントもしくは切換装置を節約することが望ましい。
【0006】
本発明の根底を成す技術的な問題は、改善された操作可能性が達成され、特に一層小さなギャップ間隔が実現可能となり、かつ操作面のできるだけ大きな範囲が照明可能となるような、改善された多機能式の表示・操作装置を提供することである。
【0007】
この技術的な問題は本発明によれば、請求項1の特徴部に記載の特徴を有する多機能式の表示・操作装置により解決される。本発明の有利な構成は請求項2以下に規定されている。
【0008】
上記課題を解決するために本発明の構成では、冒頭で述べた形式の多機能式の表示・操作装置において、操作エレメントがプッシュボタンもしくはキーとして形成されており、該キーが、それぞれ該キーの一方の端範囲にディスプレイフィールドの表面に対して平行に延びる旋回軸線を中心にして旋回可能であるようにした。操作エレメントを旋回可能なキーとして形成することにより、操作時の操作エレメントの機械的な自由度が、昇降式のストロークキーとして形成された操作エレメントに比べて減じられているという利点が提供される。これにより、操作面は同じ大きさのままで少なくとも1つのギャップ寸法を、公知先行技術によるストロークキーの場合よりも小さく設定することが可能となる。これにより、操作エレメントを従来よりも密に互いに隣接させて配置することが可能になる。さらに、キーと、パネルまたはキーを取り囲んでいるキーコームとの間の間隙にダストや汚れが侵入し難くなる。これにより、機能適性を損なう恐れのある表示・操作装置の汚染が減じられる。「旋回軸線」という表現はこの場合、それぞれ仮想のジオメトリ的な軸線に対してしか用いられない。この仮想のジオメトリ的な軸線を中心にして旋回運動が実施されるか、または実施可能となる。「旋回軸線」は、実体のある軸を表すためには使用されない。操作エレメントの自由度を制限することにより、各操作時に唯一つの切換エレメントを用いるだけで切換過程の信頼性の良いリリースを確保することができる。こうして、2つの切換エレメントまたは2つの切換装置を備えた1つの切換エレメントを有する公知先行技術によるストロークキーとは異なり、電子回路を単純にすることができ、切換エレメントおよび/または切換装置を節約することができる。したがって、全体的には多機能式の表示・操作装置の一層廉価でかつ一層単純な構造が得られる。
【0009】
キーは、それぞれ個々のアクスルエレメントに旋回可能に支承されていていよい。これらのキーの少なくとも2つのキーが、1つのアクスルエレメントに一緒に支承されていると、特にスペースを節約しかつギャップ寸法を小さく保持する実施態様が得られる。これにより付加的に、両キーが1つの共通の旋回軸線を有することを簡単に確保することができる。ここで「旋回軸線」と呼ばれているのは、抽象的な軸線でしかなく、この軸線を中心にして旋回が実施される。アクスルエレメントは円筒状の軸として形成されていてよい。また、アクスルエレメントが、円筒状に形成された個々の区分しか有しないことも可能である。さらに、アクスルエレメントが、1つの円筒体セクタしか有しない複数の区分を有しているような実施態様も有利である。このようなアクスルエレメントでも十分となる。なぜならば、キーを旋回させる角度は一般に僅か数度であるに過ぎないからである。
【0010】
キーの操作面のできるだけ良好な照明を可能にするためには、多機能式の表示・操作装置の内部でキーの下方に空隙を提供することが有利である。したがって、キーの操作時にリリースされた切換エレメントはキーの下方で操作面から間隔を置いて配置されていると有利である。したがって、キーが、操作面とは反対の側から突出したプランジャを有しており、該プランジャの端部が、操作エレメントの操作時に切換マットの切換エレメントと相互作用するようになっており、前記プランジャが、キーの他方の端範囲に形成されているようなキーにおいては、キーの操作面の改善された照明を達成することができる。一方の端範囲と、反対の側に位置する他方の端範囲との間を結ぶ結合線が「長手方向軸線」とみなされる場合、操作面を該長手方向軸線に沿って大きな範囲で照明することができる。このことは暗闇における操作可能性および操作快適性を著しく向上させる。キーが一方の端範囲で所定の旋回軸線を中心にして旋回可能であるという事実も、既に、キーの、操作面とは反対の側において多数のガイド部を節約することができることをもたらす。これにより、操作面の照明可能な面の拡大が達成される。
【0011】
さらに、キーが、それぞれ透明な基本材料から成る1つのキーキャップを有しており、該キーキャップが、少なくとも操作面のところでラッカ塗布されており、ただしラッカ塗布は記号、ピクトグラム(絵文字)および/または文字を形成するために中断されているような実施態様では、操作快適性が改善されている。キーキャップへの文字入れを介して、操作エレメントに対する固定の機能対応関係を表示することが可能となる。これにより、有利な割り当てだけを明瞭にすることも可能である。本発明によるキーにおいて、慣用のストロークキーに比べて増大された照明可能な範囲により、操作面においてより多くのまたはより複雑な文字、記号および/またはピクトグラム(絵文字)またはより大きな文字およびより大きな記号またはより複雑なピクトグラムを照明することが可能となる。これにより、文言全体を読取り可能な大きさで操作面に配置することが可能となり、短縮語だけを使用しなくて済むようになる。
【0012】
別の有利な実施態様では、プランジャが、プランジャエレメントと一体に形成されており、該プランジャエレメントが、キーをアクスルエレメントに取り付けるためにキーキャップに結合されており、有利にはキーキャップと係止されている。この実施態様では、キーの組付けが簡単に可能となる。アクスルエレメントはプランジャエレメントとキーキャップとの間にクランプされる。
【0013】
多機能式の表示・操作装置の快適な操作のためには、使用者が操作エレメントの操作の際に触覚的なフィードバックを得ることが重要である。したがって、公知先行技術では、切換マットに配置された切換エレメントを有する操作エレメントが公知である。このような操作エレメントは公知先行技術においては、所定の押圧点が超過されると、キーに対する切換エレメントの反力が比較的急激に減少し、このときに同時にカチリ音が発生させられるように形成されている。このカチリ音は多くの使用者にとっては不快であると感じられる。したがって、本発明の特に快適な実施態様では、有利にはスイッチドームもしくは切換ドームとして形成されているスイッチエレメントもしくは切換エレメントにより、キーの操作時に操作力に抗して作用する力がプランジャを介してキーへ加えられるようになっており、しかも該力は、まず非操作位置からの変位量が増大するにつれて増大して、触覚点において局所的な最大値に到達し、そして変位量が引き続きさらに増大すると減少し、その後に、切換エレメントの切換過程がリリースされる変位量に相当するストッパ点において局所的な最小値が達成されるようになっている。
【0014】
本発明のさらに別の特に有利な実施態様では、プランジャを介して伝達された力が、触覚点では1〜6N、有利には2〜3N、さらに有利には2.5〜2.8Nであり、最も有利には2.7であり、プランジャを介して伝達された力が、ストッパ点では0.5〜2.5Nである。提案されたこれらの力値では、使用者に第1には触覚点における局所的な力最大値により、使用者が操作エレメントを正しく操作したことが確実に伝えられる。それと同時に、切換エレメントのリリースがストッパ点における最小力によって行われることも確保されている。これにより、その都度信頼性の良い切換過程がリリースされることが保証される。操作エレメントの操作時における不快な騒音は発生させられなくなる。測定方法の定義については、以下の図面の説明に記載されている。
【0015】
表示された情報を介して、各機能に対する操作エレメントの対応関係が記載されていることにより、操作装置の操作可能性が著しく高められる。これにより、キーへの文字入れとは無関係に、文字または機能またはピクトグラムによって種々異なる機能を対応させることが可能となる。
【0016】
操作面の他方の側の端範囲が、操作されていない非操作の位置において操作側から見てパネルフレームまたはキーコームから突出していることにより、使用者による操作エレメントの、純粋に触覚的な印象をベースとしたタッチ式の選択が可能となる。切換過程がリリースされる変位量において、操作面の他方の側の端範囲が、キーを取り囲むパネルフレームまたはキーコームと面一に整合しているか、または操作側から見てパネルフレームまたはキーコーム内に没入しており、そして変位されていない状態において、パネルフレームまたはキーコームから隆起して突出しているような実施態様では、切換エレメントの損傷を招く恐れのある過剰力作用を回避することができる。切換エレメントが操作されるストッパ点にまでキーが変位させられるやいなや、キーを操作する使用者の指は、操作面の適当な寸法設定において少なくとも部分的にパネルまたはキーコームに衝突する。これにより、力の一部がパネルまたはキーコーム内へ導出されるので、過剰の力作用が回避される。このことは特に、使用者が不用意に操作エレメントに物をぶつけてしまう恐れのある範囲に操作エレメントが配置されている場合にも云える。特にこのような場合には、極端に大きな力をパネルフレームまたはキーコームによって受け止めることが有利である。
【0017】
以下に、本発明の有利な実施例を図面につき詳しく説明する。
【0018】
図1は、多機能式の表示・操作装置の一部を示す平面図であり;
図2は、図1に示した多機能式の表示・操作装置の1つの操作エレメントを非操作の状態で示す概略的な断面図であり;
図3は、図1および図2に示した多機能式の表示・操作装置の1つの操作エレメントを操作された状態で示す概略的な断面図であり;
図4は、プランジャを介して切換エレメントから操作エレメントへ伝達された力と、操作エレメントの変位量との関係を示す線図である。
【0019】
図1には、多機能式の表示・操作装置1の一部が図示されている。この多機能式の表示・操作装置1はマルチメディア・ナビゲーション装置として形成されている。この多機能式の表示・操作装置1はディスプレイフィールド2を有しており、このディスプレイフィールド2に情報が表示される。上側の範囲にはスリット3が見えている。このスリット3には、記憶媒体、特に光学的な記憶媒体、たとえばCD、DVD等を挿入することができる。ディスプレイフィールド2に隣接して操作エレメント4,5,6,7が配置されている。これらの操作エレメント4,5,6,7はプッシュボタンもしくはキーとして形成されている。これらのキーは、図平面に対して平行に延びる回転軸線もしくは旋回軸線を中心にして旋回可能である。操作エレメント4,5,6,7は1つのキーコーム8によって取り囲まれている。操作エレメント4,5,6,7とキーコーム8との間のギャップ寸法は、操作エレメントが昇降式のストロークキーとして形成されている場合よりも小さく設定することができる。キーコーム8は多機能式の表示・操作装置1に設けられたハウジングパネル9内に、有利には係止結合によって嵌め込まれている。操作エレメント4,5,6,7の容易な認識可能性を達成するためには、キーコーム8が、操作エレメント4,5,6,7の操作面とは異なる波長における可視領域の光線を吸収し/反射させる表面特性を有している。有利には、操作面の表面デザインが黒色に保持され、キーコ―ム8の表面デザインが白色に保持されている。したがって、視覚的な印象がピアノのものに似ているので、このようなキーはピアノキーと呼ばれる。
【0020】
図2には、操作エレメント4もしくは多機能式の表示・操作装置1の一部をA−B線に沿って断面した断面図が図示されている。同一の技術的な特徴はそれぞれ同じ符号で示されている。操作エレメント4は操作されていない非操作の状態で図示されている。操作エレメント4はキーキャップ10を有しており、このキーキャップ10の上側は操作面11として形成されている。キーキャップ10は透明な基本材料から製造されている。操作面11においてキーキャップ10はラッカ塗布されている。ラッカに文字または記号を書き込むか、もしくは描き込むために、幾つかの個所において、ラッカはラッカ塗布後にレーザによって除去されている。図1に示した操作エレメント4では、こうして文字「NAV」が操作面11に付与されている。したがって、文字の範囲において操作面は透明となる。
【0021】
キーとして形成された操作エレメント4は、キーキャップ10に対して付加的にプランジャエレメント12を有している。このプランジャエレメント12は、有利には係止結合またはクリップ結合によってキーキャップ10に固く結合されている。操作エレメント4の一方の端範囲13は、図平面に対して垂直に延びる1つの旋回軸線もしくは回転軸線を中心にして旋回可能もしくは回転可能にアクスルエレメント14に支承されている。プランジャエレメント12は操作エレメント4もしくはキーの反対の側の他方の端範囲15にプランジャ16を有している。このプランジャ16は操作面11とは反対の側17から突出している。プランジャ16の端部18はスイッチエレメントもしくは切換エレメント20に設けられたスイッチドームもしくは切換ドーム19に接触している。この切換ドーム19はスイッチマットもしくは切換マットの構成要素であると有利である。切換エレメント20は切換ドーム19と、プリント配線板21に設けられた複数の導体路とを有しており、これらの導体路は切換ドーム19に設けられたコンタクト面22と、プリント配線板21に設けられた導体路との接触時にコンタクトされる。切換ドーム19は弾性的な材料を有している。この材料は非操作状態において、プランジャ16の端部18の接触状態において軽度のプリロードもしくは予荷重をかけられていてよい。これにより、プランジャ16に設けられた突出部23はキーコーム8の脚部25の下端部24に押圧される。これにより、キーが非操作状態において規定の変位状態に保持されることが保証されている。こうして、多機能式の表示・操作装置が組み込まれている自動車の振動時におけるキーの振動またはがたつきが阻止される。
【0022】
プランジャエレメント12ならびにキーキャップ10は、透明の基本材料から製作されていると有利である。プリント配線板21と、操作エレメント4の操作面11とは反対の側17との間の空隙26には、発光手段27が配置されている。この発光手段27はプリント配線板21に固定されていると有利である。発光手段27は、発光ダイオード(LED)またはグローランプまたは任意の別の発光手段であってよい。また、空隙26内に光ファイバによって光線を導入することもできる。操作面の照明または操作面11のラッカ除去された区分の照明を改善するために、発光手段27に対して付加的に、別の光学的なコンポーネント(図示しない)が設けられていてよい。キーコーム8はハウジングパネル9内に嵌め込まれていて、有利には係止結合によってこのハウジングパネル9に結合されている。ハウジングパネル9ならびにプリント配線板21は、金属から製作されたハウジング29に取り付けられていると有利である。
【0023】
ディスプレイフィールド2の縁部31ならびにアクスルエレメント14の一部はカバーパネル32によってカバーされている。アクスルエレメント14は円筒セクタ区分33を有している。アクスルエレメント14のこの円筒セクタ区分33には、キーキャップ10に形成された旋回軸受けが接触している。全体的には、アクスルエレメント14がプランジャエレメント12とキーキャップ10との間にクランプされている。アクスルエレメント14は、ディスプレイフィールド2の面に対して平行に延びる旋回軸線もしくは回転軸線を中心としたキーもしくは操作エレメント4の回転運動もしくは旋回運動が可能となる限りは、任意の構成を取ることができる。特に有利な実施例では、少なくとも2つの隣接し合う操作エレメントが1つの共通のアクスルエレメント14を使用する。これにより、両操作エレメントの間の特に小さなギャップ寸法を達成することができる。操作エレメントが、図1に示した操作エレメント4,5,6,7と同様に、旋回軸線が延びる端範囲13においてその他の範囲よりも少しだけ広幅に形成されるように形成されている場合、それぞれ隣接し合う操作エレメント4,5,6,7が直接に相並んで1つの共通のアクスルエレメント14に配置されていると、これらの操作エレメント4,5,6,7は小さな接触面しか有しなくなる。操作エレメント4,5,6,7の表面は、それぞれ隣接し合う操作エレメント4,5,6,7のうちの一方の操作エレメントが操作された際に、隣接した他方の操作エレメントが一緒に操作されてしまうには隣接し合う操作エレメント4,5,6,7の間の静摩擦が不十分となるように形成されていてよい。したがって、これにより各操作エレメントの間の極めて小さなギャップ寸法が実現可能となる。
【0024】
図3には、図1および図2に示した操作エレメント4が操作された状態で断面図で示されている。切換エレメント20の切換ドーム19は、コンタクト面22がプリント配線板21の導体路(図示しない)と接触するように変形されている。キーもしくは操作エレメント4は、操作された状態において、つまりプランジャ16または切換ドーム19がストッパ点にある場合に、操作面11がキーコーム8またはハウジングパネル9と面一に整合するか、またはキーコーム8またはハウジングパネル9内に軽度に沈み込むように形成されている。非操作の状態では、操作面11が、他方の端範囲15においてキーコーム8またはハウジングパネル9に比べて突出している(図2参照)。
【0025】
図4には、操作エレメント4の操作時に切換エレメント20もしくは切換ドーム19からプランジャ16を介して操作エレメント4に、プリント配線板21に対して直角に加えられる力40と、操作エレメント4の変位量41との関係を示す線図が描かれている。この力は、図3に概略的に書き込まれている測定点42において測定される。長手方向43において旋回軸線に対して直交する横方向に(図3参照)約21mm延びるキーの場合、測定点42は、図3に二重矢印44で示したようにプリント配線板21またはディスプレイフィールド2に対して平行に測定して、操作面11に沿って旋回軸線から13mm遠ざけられて位置している。測定点42の変位量41は、図3に方法矢印45によって示したように、プリント配線板21に対して直角に測定される(この場合、プリント配線板21の組込みに関して、平坦であるか、または平面として近似されるディスプレイフィールド2の表面に対して平行にプリント配線板21が組み込まれることを前提としている)。したがって、非操作の状態、つまりゼロ点52(図3参照)では、変位量は0mmである。操作エレメント4が操作されると、切換エレメント20によってプランジャ16を介して操作エレメント4へ伝達される力40は、さしあたり滑らかに上昇する。触覚点46と呼ばれる0.8mmの変位量において、力40は局所的な最大値47に到達する。変位量が増大すると、加えられた力40は再び低下し、その結果、ストッパ点48において局所的な最小値49に到達する。この変位量において、切換エレメント20の切換過程がリリース(開始)される。操作エレメントがストッパ点48を超えて変位させられると、力40は極めて急峻に上昇する(完全には描かれていない)。このように描かれた力曲線は切換ドーム19によって実現され得る。しかし、切換エレメント20が、たとえばそれぞれ切換ドームとして形成された複数の切換装置を有しているような構成も考えられる。図示の値は有利な値を成している。下側の曲線50は、操作されていない位置への戻り運動時においてプランジャ16を介して操作エレメント4に作用する力曲線を描いている。破線51は力40の有利な公差値を表している。図示の値は有利な最適値である。触覚点46における力は、1〜6N、有利には2〜3N、好ましくは2.5〜2.8N、最も有利には2.7Nであると望ましい。ストッパ点48における力は有利には0.5〜2.5N、最も有利には1.3Nであると望ましい。図4に記載の力および変位量の絶対値は、約21mmの旋回軸線に対して直交する方向での長手方向寸法を有するキーに関して求められた最適値である。これらの最適値は旋回軸線から13mmの間隔(図3に二重矢印44で示す)を置いて測定されている。測定された値は統計的な測定時に得られる。このことは、たとえば切換ドームの壁からの飛躍的なスナップ式切換時に生ぜしめられる動的な効果が考慮されないままとなるように変位がゆっくりと行われることを意味している。
【0026】
旋回式もしくは傾動式のピアノキーとして形成された操作エレメント4,5,6,7の他に、多機能式の表示・操作装置1は、昇降式のストロークキーとして形成された別の操作エレメント55を有していてもよい。これらの操作エレメント55は、たとえばスリット3に導入される記憶媒体のエジェクトを制御する。前記別の操作エレメント55は、スリット3と、複数の取付け穴付きタブ56のうちの1つとの間に配置されている。取付け穴付タブ56は有利にはハウジング29の一部(図2)と一体に形成されていて、ディスプレイフィールド2に対して平行な平面を形成している。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】多機能式の表示・操作装置の一部を示す平面図である。
【図2】図1に示した多機能式の表示・操作装置の1つの操作エレメントを非操作の状態で示す概略的な断面図である。
【図3】図1および図2に示した多機能式の表示・操作装置の1つの操作エレメントを操作された状態で示す概略的な断面図である。
【図4】プランジャを介して切換エレメントから操作エレメントへ伝達された力と、操作エレメントの変位量との関係を示す線図である。
【符号の説明】
【0028】
1 多機能式の表示・操作装置
2 ディスプレイフィールド
3 スリット
4,5,6,7 操作エレメント
8 キーコーム
9 ハウジングパネル
10 キーキャップ
11 操作面
12 プランジャエレメント
13 キーもしくは操作エレメント4の一方の端範囲
14 アクスルエレメント
15 キーもしくは操作エレメント4の他方の端範囲
16 プランジャ
17 キーもしくは操作エレメント4の、操作面とは反対の側
18 プランジャの端部
19 切換ドーム
20 切換エレメント
21 プリント配線板
22 コンタクト面
23 突出部
24 脚部25の下端部
25 脚部
26 空隙
27 発光手段
29 ハウジング
31 ディスプレイフィールド2の縁部
32 カバーパネル
33 アクスル円筒セクタ
40 力
41 変位量
42 測定点
43 長手方向
44 二重矢印
45 方法矢印
46 触覚点
47 局所的な最大値
48 ストッパ点
49 局所的な最小値
50 下側の曲線(戻り運動時に作用する力)
51 線(公差値を表す)
52 ゼロ点
55 別の操作エレメント
56 取付け穴付タブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車に設けられた多機能式の表示・操作装置(1)であって、情報を表示するためのディスプレイフィールド(2)と、該ディスプレイフィールド(2)に隣接して配置された、機能を選択するための複数の操作エレメント(4,5,6,7)とが設けられている形式のものにおいて、操作エレメント(4,5,6,7)がキーとして形成されており、該キーが、それぞれ該キーの一方の端範囲(13)にディスプレイフィールド(2)の表面に対して平行に延びる旋回軸線を中心にして旋回可能であることを特徴とする、自動車に設けられた多機能式の表示・操作装置。
【請求項2】
キーが、それぞれ個々のアクスルエレメント(14)に旋回可能に支承されている、請求項1記載の多機能式の表示・操作装置。
【請求項3】
前記キーの少なくとも2つのキーが、1つのアクスルエレメント(14)に一緒に支承されている、請求項1または2記載の多機能式の表示・操作装置。
【請求項4】
キーが、操作面とは反対の側(17)から突出したプランジャ(16)を有しており、該プランジャ(16)の端部(18)が、操作エレメント(4,5,6,7)の操作時に切換マットの切換エレメント(20)と相互作用するようになっており、前記プランジャ(16)が、キーの他方の端範囲(15)に形成されている、請求項1から3までのいずれか1項記載の多機能式の表示・操作装置。
【請求項5】
キーが、それぞれ透明な基本材料から成る1つのキーキャップ(10)を有しており、該キーキャップ(10)が、少なくとも操作面(11)のところでラッカ塗布されており、ただしラッカ塗布は記号、ピクトグラムおよび/または文字を形成するために中断されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の多機能式の表示・操作装置。
【請求項6】
プランジャ(16)が、プランジャエレメント(12)と一体に形成されており、該プランジャエレメント(12)が、キーをアクスルエレメント(14)に取り付けるためにキーキャップ(10)に結合されており、有利には該キーキャップ(10)と係止されている、請求項1から5までのいずれか1項記載の多機能式の表示・操作装置。
【請求項7】
有利には切換ドーム(19)を有している切換エレメント(20)により、キーの操作時に操作力に抗して作用する力が、プランジャ(16)を介してキーへ加えられるようになっており、しかも該力は、まず非操作の位置からの変位量が増大するにつれて増大して、触覚点(46)で局所的な最大値(47)に到達し、そして変位量が引き続きさらに増大すると減少し、その後に、切換エレメント(20)の切換過程がリリースされる変位量に相当するストッパ点(48)において局所的な最小値(49)が達成されるようになっている、請求項1から6までのいずれか1項記載の多機能式の表示・操作装置。
【請求項8】
プランジャ(16)を介して伝達された力が、触覚点(46)では1〜6N、有利には2〜3N、さらに有利には2.5〜2.8Nであり、最も有利には2.7であり、プランジャ(16)を介して伝達された力が、ストッパ点(48)では0.5〜2.5Nである、請求項1から7までのいずれか1項記載の多機能式の表示・操作装置。
【請求項9】
表示された情報を介して、各機能に対する操作エレメント(4,5,6,7)の対応関係が記載されている、請求項1から8までのいずれか1項記載の多機能式の表示・操作装置。
【請求項10】
切換過程がリリースされる変位量において、操作面(11)の他方の側の端範囲(15)が、キーを取り囲むパネルフレームまたはキーコーム(8)と面一に整合しているか、または操作側から見てパネルフレームまたはキーコーム(8)内に没入しており、変位されていない状態において、パネルフレームまたはキーコーム(8)から隆起して突出している、請求項1から9までのいずれか1項記載の多機能式の表示・操作装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−531213(P2009−531213A)
【公表日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−501875(P2009−501875)
【出願日】平成19年2月5日(2007.2.5)
【国際出願番号】PCT/EP2007/000961
【国際公開番号】WO2007/110121
【国際公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【出願人】(596107062)フオルクスヴアーゲン アクチエンゲゼルシヤフト (34)
【氏名又は名称原語表記】Volkswagen AG
【住所又は居所原語表記】Wolfsburg,Germany
【出願人】(508097870)コンチネンタル オートモーティヴ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (205)
【氏名又は名称原語表記】Continental Automotive GmbH
【住所又は居所原語表記】Vahrenwalder Strasse 9, D−30165 Hannover, Germany