説明

自動車の開閉窓用防虫網

【課題】自動車のドアの内側や外側に設置することのない、自動車の開閉窓用防虫網を提供する。
【解決手段】自動車の開閉窓用防虫網100に、前方挿入部120、後方挿入部130及び上方挿入部140を、ドア開閉窓枠溝内に挿入できるよう形成する。前方挿入部120と後方挿入部130は断面コ字状に形成し、また、上方挿入部140は先太形状または断面コ字状に形成することにより、自動車の開閉窓用防虫網100が開閉窓枠内から脱落しないように開閉窓枠溝内に嵌め込むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の開閉窓枠の溝内に取り付けられる、自動車の開閉窓用防虫網に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、防虫網上部を袋状とし、ドア上部に被せて自動車ドアの外側を被覆し、下端にはマグネットゴムを設けてドア外板に吸着させる旨が開示されている。
【0003】
特許文献2には、防虫網上部をドア内側の鍔部に係止させ、ドア内側を被覆した網の周縁部を自動車扉と自動車用乗降口との間に挟着させる旨が開示されている。
【0004】
特許文献3には、合成樹脂等により防虫板を形成し、そのほぼ全体に通風孔が穿孔され、当該防虫板は窓ガラスの内側に取り付けられる旨が開示されている。
【0005】
【特許文献1】実登第3041640号公報
【特許文献2】特開2004−149115号公報
【特許文献3】特許第3886476号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に開示されている防虫網は、ドアの外側を被覆するものであるため、雨が降ってきた場合には雨水が網部をつたって車内に入ってきてしまうし、雨よけ用のバイザーが取り付けられている場合には、防虫網の利用が不向きである。
【0007】
また、特許文献2及び特許文献3に開示されている防虫網・防虫板は、自動車ドアの内側を被覆するものであるため、車内のドアに近接箇所にカーテン等が設置されている場合には、防虫網の設置の妨げになる。
【0008】
そこで、本発明は、その取付位置を工夫した自動車の開閉窓用防虫網を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の開閉窓用防虫網は、自動車のドアの開口部を覆う網部と、
前記網部の少なくとも2辺部に位置していて前記開口部を規定する開閉窓枠の溝内に取り付けた場合にそこから脱落しない条件の第1及び第2の挿入部とを備える。
【0010】
これにより、開閉窓用防虫網を、自動車のドアの内側又は外側に設置しなくて済むため、既述のような問題は発生しなくなる。
【0011】
前記第1及び第2の挿入部は、前記開閉窓の端部がその開閉時に挟まれる態様で移動可能に断面コ字状とすることもできる。こうすると、開閉窓用防虫網の使用中であっても、開閉窓の移動が可能となる。
【0012】
前記第1及び第2の挿入部は、前記網部の両端に位置しており、当該前記第1及び第2の挿入部の上方には、前記開口部の上方に位置する上方開閉窓枠の溝内に挿入してもよい。こうすると、運転席側又は助手席側の開閉窓に好適に用いることができる。
【0013】
また、前記第1及び第2の挿入部の下方には、前記ドアと開閉窓用防虫網本体とを接続する、吸盤などの吸着部を設けるとよい。前記開口部の下方に位置する下方開閉窓枠の溝内に、上記各挿入部に相当するものを設けてしまうと、開閉窓用防虫網の使用中に開閉窓の移動が不可能となるが、吸着部を設ければ、これを回避することができる。
【発明の実施の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0015】
図1は、本発明の実施形態に係る自動車の開閉窓用防虫網100の模式図である。自動車の開閉窓用防虫網100は、網部110と、前方挿入部120と、後方挿入部130と、上方挿入部140と、吸着部150とにより構成されている。
【0016】
なお、本実施形態では、自動車の運転席側の開閉窓用防虫網100について説明するが、その形状、大きさを変更することによって、後部座席側のものを実現することもできるし、反転タイプの開閉窓用防虫網100とすれば、助手席側の開閉窓用防虫網とすることもできる。
【0017】
網部110は、自動車のドアの開口部を覆うものである。網部110は、建物の窓枠等に用いられるものと同様に、耐候性に優れるポリプロピレンなどを材料としている。網部110の形状は、自動車の開閉窓に対応させればよく、図1に示すものは一例であることに留意されたい。
【0018】
網部110の前方及び後方には、それぞれ、前方挿入部120と後方挿入部130とが取り付けられる。この取付は、防水性に優れた樹脂等によって行えばよい。前方挿入部120及び後方挿入部130は、加工の容易さ等の理由より、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル樹脂などの合成樹脂を用いている。もっとも、これら以外のものを用いてもよい。
【0019】
前方挿入部120及び後方挿入部130(第1及び第2の挿入部)は、自動車のドアの開口部を規定する開閉窓枠の溝内に、そこから脱落しない態様で挿入される。したがって、前方挿入部120及び後方挿入部130は、開閉窓枠の溝内の幅と開閉窓用防虫網100の重量とに基づいて、開閉窓枠の溝内から開閉窓用防虫網本体が脱落しない条件で、幅、材料などを選択すればよい。
【0020】
本実施形態では、開閉窓用防虫網100の使用中であっても開閉窓の移動を可能とするために、前方挿入部120及び後方挿入部130は、図2を用いて後述するように、前方挿入部120は自動車後方側の面が、後方挿入部130は自動車前方側の面が、それぞれ、開口する態様で断面コ字状の形状とされている。つまり、前方挿入部120及び後方挿入部130は、このコ字状に囲まれた空隙内を開閉窓の端部が移動できる態様で開閉窓枠の溝内に挿入される。
【0021】
図1に示す例では、前方挿入部120は相対的に短く、後方挿入部130は相対的に長く形成されているが、これは自動車の運転席側或いは助手席側の開閉窓枠の溝内の形状に合わせたものであるから、網部110と同様に、図1に示すものは一例であることに留意されたい。したがって、図1に示したような長短の差に限定されるものではなく、例えば、後部座席側の開閉窓用の場合には、長短差は略なくなる場合もあるし、全くない場合もある。
【0022】
また、前方挿入部120及び後方挿入部130のコ字部分の開口幅は、自動車の開閉窓枠の溝内に挿入可能なものとすればよい。一例としては、自動車の開閉窓に取り付けられる窓ガラスの厚さは通常4mm程度であること、開口内で窓ガラスが移動可能であること、かつ自動車の開閉窓用防虫網100が開閉窓枠の溝内から脱落しないよう開閉窓枠の溝内に嵌め込むこと、を満足するように、開口幅を5mm程度とすることが好ましい。
【0023】
網部110の上方、すなわち、前方挿入部120及び後方挿入部130の上方には、上方挿入部140が取り付けられる。この取付は、防水性に優れた樹脂等によって行えばよい。上方挿入部140は、開閉窓枠の溝内の上方部分に挿入される。
【0024】
上方挿入部140は、開閉窓枠の溝内の上方部分の幅と開閉窓用防虫網本体の重量とに基づいて、開閉窓枠の溝内の上方部分内から開閉窓用防虫網100が脱落しない条件で材料及び幅を選択するとよい。一例としては、上方挿入部140は、加工の便宜、耐久性等を考慮して合成ゴムを用いることができる。もっとも、前方挿入部120や後方挿入部130と同様、ポリ塩化ビニル樹脂等の合成樹脂を用いることもできる。
【0025】
また、上方挿入部140の形状は、その断面が略直方体形状としてもよいし、外周端に向かって先太形状としてもよいし、更には、開閉窓枠の溝内に嵌め込む点では前方挿入部120や後方挿入部130と変わりがないことから、断面コ字状の形状としてもよい。また、上方挿入部140に代えて、吸着部150のような態様で自動車との接続を実現してもよい。
【0026】
網部110の下端は、ナイロンテープなどの柔軟性を有する保護部材で覆われていて、選択的に、保護部材に羽毛などを取り付けてもよい。これにより、網部110の解れを防止できるし、自動車のドア外板を痛めることもない。また、保護部材には、ドア外板に吸着するための吸着部150が設けられる。吸着部150にマグネットを使用すると、走行した際にバタつきをおこしたときに、ドア外板を叩いて外板を痛めることになるため、吸盤等のように可撓性を有するものを採用するとよい。
【0027】
なお、図1には、吸着部150として、1つの吸盤を取り付けている例を示しているが、2つ以上の吸盤を、例えば等間隔に設けるなどしてもよい。
【0028】
図2(a)は、図1のA部拡大図である。図2(b)は、A部のa方向から見た図である。図2(c)は、A部のb方向から見た図である。後方挿入部130は、網部110の車外側の側面に対して、防水性に優れた樹脂等によって接続され、後方挿入部130と網部110との接続部分を一体として、上方挿入部140を取り付けるようにしている。
【0029】
もっとも、後方挿入部130は、網部110の車内側の側面に接続してもよいが、上記態様が好ましい。なぜなら、後述するように、開閉窓用防虫網100を自動車に取り付ける際に、吸着部150が自動車のドア外板に取り付けられることから、網部110とドア外板とが為す角度が小さくなるため、これらの間の隙間が生じにくくなるためである。なお、図2には、後方挿入部130側の拡大図を示しているが、前方挿入部120側においても同様の位置関係とすればよい。
【0030】
図3は、図1のB部拡大図である。前方挿入部120の車外側及び車内側の両側面下端には、30°〜60°程度(例えば、45°前後)の角度で、斜めに切り取った切欠部120Aが形成されている。
【0031】
切欠部120Aの形成により、窓ガラスを上昇させる際、前方挿入部120下端と窓ガラス上端とが衝突しにくく、前方挿入部120の開口内を、窓ガラスがスムーズに移動される。後方挿入部130にも同様に切欠部が形成されているので、窓ガラスは、後方挿入部130の開口内をスムーズに移動される。
【0032】
図1に示す開閉窓用防虫網100は、その下方が、自動車のドア外板上に露出する態様で取り付けるとよい。そうすると、開閉窓用防虫網100とドア外板との隙間がほぼなくなり、その間から虫が車内に入り込むことは非常に稀であると考えられる。したがって、本実施形態の開閉窓用防虫網100によれば、十分な防虫効果を実現することができる。
【0033】
以上、本実施形態では、自動車の運転席側の開閉窓用防虫網100について説明したが、例えば、後部座席側の開閉窓には、窓ガラスが上下方向に移動するもののみならず、前後方向に移動するものもある。
【0034】
この種の窓ガラスを採用している自動車の場合には、前方挿入部120又は後方挿入部130に代えて、この位置に吸着部150を設けるとよい。こうすれば、開閉窓枠の上方及び前方又は後方の溝内に挿入部を挿入することによる接続をし、かつ、窓ガラスの外面及びドアの外板に吸着部による接続をすることが可能となる。
【0035】
換言すれば、本実施形態の開閉窓用防虫網100は、網部110の前方、後方、上方といった3辺部に対して所要の挿入部を設けることが必須ではなく、これらのうちのいずれか2辺部に所要の挿入部を設ければよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施形態に係る自動車の開閉窓用防虫網100の模式図である。
【図2】図1のA部拡大図である。
【図3】図1のB部拡大図である。
【符号の説明】
【0037】
100 自動車の開閉窓用防虫網
110 網部
120 前方挿入部
120A 切欠部
130 後方挿入部
140 上方挿入部
150 吸着部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のドアの開口部を覆う網部と、
前記網部の少なくとも2辺部に位置していて前記開口部を規定する開閉窓枠の溝内に取り付けた場合にそこから脱落しない条件の第1及び第2の挿入部とを備える自動車の開閉窓用防虫網。
【請求項2】
前記第1及び第2の挿入部は、前記開閉窓の端部がその開閉時に挟まれる態様で移動可能に断面コ字状とされている、請求項1記載の自動車の開閉窓用防虫網。
【請求項3】
前記第1及び第2の挿入部は、前記網部の両端に位置しており、当該前記第1及び第2の挿入部の上方には、前記開口部の上方に位置する上方開閉窓枠の溝内に挿入される、請求項1記載の自動車の開閉窓用防虫網。
【請求項4】
前記第1及び第2の挿入部の下方には、前記ドアと開閉窓用防虫網本体とを接続する吸着部が設けられている、請求項1記載の自動車の開閉窓用防虫網。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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