説明

自動車を運転する際の娯楽のための装置

車両の電気システムの一部を構成する車両の電気ソケットに差し込むように設計された、その他の接続部を使わずに、車両のエンジン速度を検出でき、かつ、この情報を音声信号に変換できる装置であって、前記装置が、現在のエンジン速度を記録するために、車両の発電機、電気モータまたは点火装置から非意図的に発せられるエンジン速度に起因する電気パルスを検出するための手段を備え、かつ前記装置が、車両内またはその周りで該ノイズを再生させるため、電気パルスに基づいてサンプル化され/疑似化された、または、合成的に発生されたノイズ信号を車両のラジオ受信機/サウンドシステムへ、電波によって、送信することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車内でノイズ、好ましくは、車両ノイズを生成および再生するための装置に関する。
【0002】
現代の自動車のほとんどは、自動車で移動する人々や環境にとって、可能な限り静かになるように製造されている。現在開発されている電気自動車では、その構造上、エンジンから完全に全てのノイズが消えている。本来のエンジン音によって生み出される、スポーツドライビングをもっと体験したい人々は、通常の自動車に比べてはるかに多くのエネルギーを消費し、かつ、はるかに非実用的な自動車を購入せざるを得ない。例えば、他の効果音も使用可能ではあるが、この場合、自動車で様々な動物のような音を発して子供を楽しませる目的で使われる。
【0003】
電子的に生成されたエンジンノイズが長い間、存在し、例えば、玩具に用いられている。車内で車両ノイズを生成し再生する機能に基づいた従来の発明もある(例えば、特許文献1および特許文献2)。しかし、これらの発明は、車内での機械的および電気的な設置作業が必要とされるように設計されていたので、この種の装置の平均的なユーザには、不便で危険だと考えられてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許番号5,820,442
【特許文献2】米国特許番号6,275,590
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の目的は、車両内で固定の設置を必要とせず臨場感のある音響体験を生み出すことが実現可能な、上記のタイプの娯楽用の装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、本装置は、以下のように設計される。第1バージョンにおいて、同装置は、シガレットライタ用のソケットなどの車両内の電気ソケットに設置するだけでよく、または、その他のバージョンにおいて、計器パネルまたは車内のその他の適切な場所に設置するだけで非常に臨場感のあるサウンドカーテンが発せられるように設置される。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明によれば、該装置は、エンジン速度および/または車両の速度変化を検出する、少なくとも1つのセンサと、該センサからの信号を、吸気マニホルドおよび排気管からのエンジンノイズや周知のスポーツカーからの変速機およびタイヤノイズなどの、自動車からの典型的なノイズを疑似する信号に変換するデジタル信号処理部と、を備える。該信号処理部は、様々な音に適応するので、例えば、加速中の大きなエンジンノイズを生成することによって、それらの音は、リアルに様々な車両の推進局面を反映する。また、該装置は、音声信号を車両サウンドシステムに送信する無線送信機を備える。さらに、該装置は、メモリカード用の接続および音声信号入力等の補助機能を備える。同要素によって、車両ノイズの代わりにまたは車両ノイズと共に、車両サウンドシステムに対して、例えば音楽を送信できる。
【0008】
ドライビング体験を最良なものにするために、発生されるノイズは、エンジン速度および車の動きとリアルに同期する必要がある。本発明によれば、この同期は様々なタイプの車両に適合するため、および、リアリティのために様々な厳しい要求を満たすために様々な方法で実現される。
【0009】
エンジン速度を検出する、以下の変更例は、当該技術分野における先行発明に対して新規性を有し、本発明に組み込まれる。
【0010】
変更例1
発電機または点火装置からの電気パルスは、車両の電気システムに送信され、車両のシガレットライタのソケットに設置されることによって電力が供給される本発明の装置では、本発明の電源において該パルスが検出され、そこから信号処理部に向けて送信される。
【0011】
変更例2
車両の発電機または点火装置からの電磁波が本発明による装置のアンテナによって収集され、信号処理部に向けて送信される。
【0012】
変更例3
車両内の振動が本発明のセンサによって収集され、信号処理部に送信される電気パルスに変換される。
【0013】
変更例1〜3において、信号処理部は、エンジン速度をソースとして有するパルス以外のパルスをフィルタリング除去する計算アルゴリズムを備える。該アルゴリズムは、エンジンの速度は急激に変化しないが、継続的かつある一定の慣性で変化するという事実に基づく。つまり、速度を示すパルスには規則性があり、2つのパルス間の時間は、直近の時間からわずかにずれるだけである。信号処理部が、到来パルス、例えば、発電機から導かれる信号からの特定の速度を計算できない場合、該アルゴリズムは、ある一定の時間(例えば、数秒)に渡って変化しない、最低パルス周波数を、通常のアイドリング速度(つまり、800〜1000rpm)に対する基準とする。該アルゴリズムは、以下を基準とする。2秒間で1000rpmから5000rpmへ線形的に速度が増加するエンジンは、100rpmにおいて、速度増加は、120rpm/エンジン回転に相当する。その結果、12%のパルス間の時間削減につながる。つまり、直近のエンジン回転において2つのパルス間の時間の78%以内に収まる欠陥パルスは、このプログラムによって、フィルタリング除去される。5000rpmにおいて、速度増加は、24rpm/エンジン回転である。その結果、2.4%のパルス間の時間の削減につながる。つまり、直近のエンジン速度において2つのパルス間の時間の97%以内に収まる欠陥パルスをプログラムによってフィルタリング除去することが可能である。
【0014】
変更例4
車両の速度変化は、本発明のセンサによって記録され、マイクロプロセッサによって、計算速度に変換される。さらに同速度は、信号処理部に送信される電気パルスに変換される。該センサは、例えば、読み出し信号が信号処理部において速度変化に再計算される加速度計や現在の車両速度に対して継続的に値を表示するGPS受信機などの構成要素であってよい。
【0015】
本発明は、様々なタイプの車両―2気筒の低速モータサイクル用エンジンから12気筒の高速スポーツカー用のエンジンまで―のノイズを簡単に疑似できる。これを実現するために、該信号処理部は、生成される速度およびシリンダ数の両方を、パルスを加算または減算することによって、変化させる。従って、最も一般的な車のエンジンの4気筒は、到来パルス間の2つのパルスを加算することによって、12気筒に疑似させることができる。また、パルスを加算すれば、エンジンを標準車のエンジンに比べて、高性能車では、より高速で駆動できる(例えば、6000rpmではなく9000rpm)という事実を疑似できる。
【0016】
音の疑似/合成は、車両の速度やエンジンだけに基づくのではなく、車両を扱う際の様々な局面に基づく。例えば、エンジンの始動、停止中のアイドリング、加速、エンジンブレーキ、等速、ギアのシフトアップおよびシフトダウン、コーナリング、ブレーキングである。本発明がエンジンの始動を示す第1パルスを受け取った場合、信号処理部は、始動用モータが発するような機械的ノイズを発する。エンジン速度が等速度範囲(500〜1000rpm)においては、アイドリング音が複製される。その後、速度が上昇し、吸気および排気ノイズ共が大きくなり、変速機からの機械的ノイズも大きくなる。等速度では、ノイズは静かになり、エンジンブレーキにおいては、ノイズの特徴がさらに変化する。つまり、吸気ノイズが減衰され、排気ノイズが不規則になる。変更例において、本発明は、力強い加速や迫力のあるコーナリングやブレーキングの後に発生する動きの変化を検出するセンサを備えることができる。該センサは、対応する信号を信号処理部に送信する。これに対して該処理部は、タイヤノイズの態様をした音を発する。
【0017】
また、本発明は、ユーザが選択すれば、車両の動きには全くつながりなく音を再生する機能性を備えることができる。この機能性は、例えば、レース場でのレーシングカーのノイズに類似したノイズを再生する。
【0018】
本発明は、例えば、新しい車のモデル等の新しい音のパターンを備えることができるように、メモリカードリーダを備えることができる。また、該メモリカードは、エンジンノイズと同時に再生することができる音楽ファイルであってもよい。さらに、本発明は、外部音楽プレーヤを接続するためのライン入力を備えることができる。そうすれば、ユーザは、コントロールを使って、車両ノイズに対する音楽用の音量の比率を選択することができ、また、どちらかの音を完全に停止することができる。
【0019】
本発明は、エンジン速度のペースに合わせて音楽の音量レベルを自動的に上げる機能を備えることができる。この機能は、風のノイズやタイヤノイズの態様で発生する、車両からの迷惑なノイズに対抗するためのものである。
【0020】
本発明は、ユーザがコントロールを使って所望の車両ノイズを選択できるように記憶された様々な車両の音のパターンを備えることができる。
【0021】
本発明は、ヘッドフォン接続用の信号出力を備えることができる。この機能の1つの利点は、長距離運転中の飽き飽きするようなノイズおよびエンジンのけたたましい音から自分自身を守りたい運転手が能動的騒音削減機能を有するヘッドフォンを使って音楽を聴くことができるが、それと同時に、ある程度のエンジンノイズは聞こえるので、例えば、ギアを変えるタイミングを耳で聞くことができる。
【0022】
また、本発明は、設定送信周波数、選択音パターン、演奏音楽などを表示するためのデジタル表示またはスクリーンを備えることができる。
【0023】
本発明は、カーラジオのデジタル表示がどの音のパターンがセットされていたかまたは現在演奏されているのは何と言う音楽かが表示されるようにRDSデータを送信するための機能を備えることができる。該機能は、装置自体のデジタル表示の必要性を削減するために使用される。
【0024】
本発明は、GPSナビゲータと組み合わせることができる。
【0025】
本発明は、運転手がうとうとしていることを示す車両の動きのパターンを検出し、大音量の音声信号を送信して運転手に警告するための機能を備えることができる。この機能および動きパターンを前述のメモリカードから本発明に搭載して、居眠り運転を示すように改良型のアルゴリズムが開発されたときアップデートすることができるはずである。
【0026】
本発明によって、ガソリンを大量に消費するハイパワー車のドライビング体験を低燃費車や電気自動車でも疑似体験できるなら、ハイパワー車の需要が減少し、環境汚染が少なくなる結果(クリーンテック)がもたらされ得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の電気システムの一部を構成する車両の電気ソケットに差し込むように設計された、その他の接続部を使わずに、車両のエンジン速度を検出でき、かつ、この情報を音声信号に変換できる装置であって、
該装置が、現在のエンジン速度を検出するために、車両の発電機、電気モータまたは点火装置から非意図的に発せられるエンジン速度に起因する電気パルスを検出するための手段を備え、かつ該装置が、電波によって、電気パルスに基づいてサンプル化され/疑似化された、または、合成的に発生されたノイズ信号を、車両内またはその周りで該ノイズを再生させるため、車両のラジオ受信機/サウンドシステムへ送信する、ことを特徴とする装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、
前記装置が急激に変化する全パルスをフィルタリング除去することによって、ソースとしてエンジン速度を有するパルス以外のパルスをフィルタリング除去できる計算アルゴリズムを含む信号処理部を備え、該アルゴリズムは、エンジンの速度は急激に変化しないが、継続的かつある一定の慣性で変化すると仮定し、該アルゴリズムが2つのパルス間の時間が直近の時間からわずかにずれる規則性のある速度によって生成されたパルスを識別することができることを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項1または2のいずれか一項に記載の装置であって、エンジン速度に関する情報を使ってギアのシフトアップまたはシフトダウンが行われているかどうかを示すことを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の装置であって、エンジン速度が、ある一定の時間、変化しない最低到来パルス周波数が通常のアイドリング速度の値として定義された事実により算出されることを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の装置であって、前記装置が、音のパターンおよび様々なエンジンタイプの速度範囲を信号処理によって疑似するために、記録されたパルスに対してパルスを加算、または同パルスから減算するための手段を備えることを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の装置であって、エンジンの始動、停止中のアイドリング、加速、エンジンブレーキ、等速、シフトアップおよびシフトダウン、コーナリング、ブレーキングなど車両を操縦する場合の様々な局面によって、前記装置によってノイズ信号がサンプル化/疑似化され、または、これらの局面に基づいて合成して生成されたノイズ信号を発生できる可能性を備えることを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の装置であって、前記装置が新しいプログラム、ノイズデータ、および音楽ファイルを搭載するためのメモリカードリーダを備えることを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の装置であって、前記装置が外部音楽プレーヤに接続するためのライン入力を備えることを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の装置であって、前記装置がヘッドフォンに接続するための信号出力を備えることを特徴とする装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の装置であって、前記装置がRDSデータを送信する機能性を備え、ラジオ受信機のデジタル表示が設定された音のパターンまたはどの音楽が演奏中かを示すことができることを特徴とする装置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の装置であって、前記装置が、運転手がうとうと居眠りしていることを示す車両の動きのパターンを検出するための機能性を備え、かつその時点で、運転手に警告を与える大音量のノイズ信号を発することを特徴とする装置。

【公表番号】特表2011−503642(P2011−503642A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−531627(P2010−531627)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【国際出願番号】PCT/IB2008/054542
【国際公開番号】WO2009/057078
【国際公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【出願人】(510106832)