説明

自動車ランプ

本発明は、自動車ヘッドランプ用のランプ、詳細には高輝度放電ランプに関し、当該ランプは、ベースに設けられ、互いに直径方向に対向して設けられた2つのコーティングを備えた少なくとも1つのエンベロープを有し、前記コーティング3は、同一形状であり、当該ランプが焼き付け位置にあるときに前記ベース4の中心を通る基準軸Rが位置する水平面の少なくとも0.5ミリメータ上に突出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車ヘッドランプ用のランプに関し、より詳細には、ベース上に設けられ、直径方向に互いに対向して設けられた2つのコーティングを備えた少なくとも1つのエンベロープを有する高輝度放電ランプに関する。
【背景技術】
【0002】
白熱ランプは、自動車ヘッドランプ用の光源として自動車の分野で長い間用いられてきたが、白熱ランプより高い光収率を示すかなりの改善に起因して、高輝度放電ランプが、同様にますます用いられている。既知の放電ランプでは、閉鎖された放電ベッセルにおける2つの電極間でガス放電がもたらされ、このガス放電が非常に明るい光を放射する。
【0003】
車両用のヘッドランプは、例えばロービーム機能をもち、本発明の目的のために、例えば純粋なロービームヘッドランプ並びにハイビーム及びロービームが組み合わせられたヘッドランプのような、明/暗のカットオフをもたらす全てのヘッドランプが当てはまる。
【0004】
ヘッドランプは、大抵、ほぼ同一色の可視光を空間的に全ての方向に放射するランプが取り付けられ、これは、規則的にもたらされるものが、均一な色で照らされる道路空間であることを意味する。様々な仕様が、自動車ヘッドランプのために存在し、これらは、厳しい要件を策定する。この手法において、ロービーム光は、例えば、対向交通がまぶしくならないように、実質的に水平な、厳密に規定された明/暗のカットオフをもつ非対称な光分布をもたなければならない。例えば、ヨーロッパの計測スクリーンで用いられる座標システム(co-ordinate system)を用いる場合には、ヘッドランプの範囲に対して極めて重要な測定ポイントは75Rであり、このポイントに対して命じられる照度は、ヘッドランプがロービーム光に切り替えられるときに、最低12luxである。明/暗のカットオフは、照度が0.7luxを超えないマスキング手段のセグメントIIIと呼ばれるものの状態にある一方で、前記測定ポイントから離れた度合いの半分だけ延在する。大部分のヘッドランプは、明/暗のカットオフを生成するマスキング手段上に、光源により放射された光を集光する楕円反射体と、道路空間においていわゆる光分布をもたらすレンズとを有するいわゆる投影光学系を有する。良好なヘッドランプは、明/暗のカットオフの領域において可能な限り同様となるコントラストをもつことにより区別される。
【0005】
自動車ヘッドランプが設計されるときには、ヘッドランプから放射された光が個別に調節されることが、ますます頻繁に必要である。これが行われるときには、放射された光の形は、策定された規格の範囲内になければならない。詳細には、色温度範囲がECEホワイトフィールドの範囲内にあることが保証されなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この背景に対して、本発明の目的は、策定された規格に適合する一方で、個別に調節された光ビームが放射されることを可能にする自動車ヘッドランプ用のランプを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、この目的は、同一形状のコーティングを構成し、これらに、ランプが焼き付け位置(burnt-in position)にあるときにベースの中心を通る基準軸が位置する水平面より少なくとも0.5mm上に突出させることにより実現される。
【0008】
本発明により、策定された規格に適合する一方で、個別に調節された光ビームが放射されるのを可能にするランプが、自動車用ヘッドランプのために提供される。直径方向に互いに対向して設けられる同一のコーティングは、明/暗のカットオフの領域において可能な"着色"を作り、これにより、所望の個別化が実現される。前記コーティングは、好ましくは、矩形の形状である。
【0009】
本発明の一実施形態において、前記コーティングは、少なくとも1.5mmの幅であり、少なくとも2mmの長さである。顕著な着色は、明/暗のカットオフの領域においてこの手段により実現され得る。
【0010】
本発明の一実施形態において、前記コーティングは、異なる光透過率をもつ少なくとも2つの領域をもつ。この手法で実現されるものは、異なる明度の色での着色である。有利には、一の領域が、少なくとも40%の透過率をもつ。一の領域は、好ましくは、3%よりも少ない光透過率をもつ。
【0011】
本発明の一実施形態において、最も高い光透過率をもつ領域は、反射系又は投射系において用いられるときに、コーティングにより透過された光による最大の明るさが、明/暗のカットオフの屈曲部の領域において生じるように設けられる。この手法で実現され得るものは、光のビームに対する際立ったデザインである一方で、同時に、策定された規格に適合する。
【0012】
前記コーティングは、好ましくは、青色光だけが透過されるように設計される。青色光は、ダズル効果(dazzle effect)が対向交通に対してもたらされないという事実に対して注目に値する。
【0013】
本発明の他の実施形態及び改良は、他の請求項において特定される。本発明の一実施形態は、図面で示され、以下で詳細に説明されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】側面からの高輝度放電ランプの概略図である。
【図2】図1におけるラインII−IIの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
一実施形態として選択された高輝度放電ランプは、バーナー2が設けられるとともにベース4に接続される外側エンベロープ1を有する。
【0016】
高輝度放電ランプは、ほぼ水平に導入された位置において図1に示される。点及び破線として示される基準軸Rは、この場合において、ベース4の中心を通って延在する。バーナー2は、"salt lake"又はハロゲン化合物プール25の状態にある底部で放電チャンバ21を囲む。真空気密封止で密封され光を透過するバーナー2は、石英ガラスで作られる。放電チャンバ21は、少なくとも1つの不活性ガス、詳細にはキセノン、及び、金属ハロゲン化合物の混合物を有するイオン化ガス混合物で満たされる。導電体22,23に接続された2つの電極が、放電チャンバ21内に通常の態様で設けられる。導電体23は、戻りポール24に接続され、戻りポール24は、ランプの長手軸とほぼ平行に外側エンベロープ1の外側を通ってベース4に達する。2つの電極間の自由間隔は、放電チャンバ21の中心が位置する中心において放電経路を形成する。
【0017】
ストリップの形式の2つのコーティング3は、外側エンベロープ1の外面の表面上に直径方向に互いに対向して設けられる。本実施形態において、コーティング3は、異なる光透過率をもつ3つの領域31,32,33をもつ。本実施形態において、領域31の光透過率は45%であり、領域32の光透過率は25%であり、領域33の光透過率は35%である。コーティング3は、基準軸Rに対して対称となるように外側エンベロープ1に塗布される。コーティング3の幅は、放電チャンバ21の最大直径よりも若干小さくなるように選択される。
【0018】
本実施形態において、コーティング3は、青色光が透過され、黄色光が反射される干渉フィルタの形をなす。コーティング3の長さは、光源の、即ち電極間で形成するアークの中心の周りの少なくとも2ミリメータを測定するような手法で選択されるべきである。この手法で実現され得るものは、光/闇カットオフの領域における顕著な"着色"である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車ヘッドランプ用のランプ、詳細には高輝度放電ランプであって、
ベースに設けられ、互いに直径方向に対向して設けられた2つのコーティングを備えた少なくとも1つのエンベロープを有し、
前記コーティングは、同一形状であり、当該ランプが焼き付け位置にあるときに前記ベースの中心を通る基準軸が位置する水平面の少なくとも0.5ミリメータ上に突出する、ランプ。
【請求項2】
前記コーティングは、矩形形状である、請求項1に記載のランプ。
【請求項3】
前記コーティングは、少なくとも1.5ミリメータの幅であり、少なくとも2ミリメータの長さである、請求項1又は請求項2に記載のランプ。
【請求項4】
前記コーティングは、異なる光透過率をもつ少なくとも2つの領域をもつ、請求項1〜3のうちいずれか一項に記載のランプ。
【請求項5】
一の領域が少なくとも40%の光透過率をもつ、請求項4に記載のランプ。
【請求項6】
一の領域が少なくとも30%の光透過率をもつ、請求項4又は請求項5に記載のランプ。
【請求項7】
最も高い光透過率をもつ前記領域は、明/暗のカットオフの種類の領域において、当該ランプが反射系又は投射系において用いられるときに、前記コーティングにより透過される光により最大の明るさが生じるように設けられる、請求項4〜6のうちいずれか一項に記載のランプ。
【請求項8】
前記コーティングは、青色光だけが透過されるように設計される、請求項1〜7のうちいずれか一項に記載のランプ。
【請求項9】
前記コーティングは、青色光を透過し黄色光を反射する干渉フィルタにより形成される、請求項8に記載のランプ。
【請求項10】
請求項1〜9のうちいずれか一項に記載のランプを有する、自動車ヘッドランプ。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−528484(P2011−528484A)
【公表日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−518040(P2011−518040)
【出願日】平成21年7月8日(2009.7.8)
【国際出願番号】PCT/IB2009/052961
【国際公開番号】WO2010/007558
【国際公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】