説明

自動車教習用立体障害物装置

【課題】車種に応じて目標とする後退終了位置に障害物を遠隔操作により自動的に設定可能とした自動車教習用立体障害物装置を提供する。
【解決手段】自動車学校・教習所内コースの縦列駐車、車庫入れなどの車両を後退して進入する駐車スペースの幅を跨ぎ駐車スペースの前後位置に立設した前方門形支柱及び後方門形支柱と、前方門形支柱及び後方門形支柱との上部の間に渡って延在したガイドレールと、ガイドレールに沿ってローラを介して走行移動可能に案内されたハンガー部材と、ハンガー部材に鉛直軸線方向で記駐車スペースの幅方向に並列吊架された多数本のポールと、ハンガー部材を走行移動させるための駆動装置と、ガイドレール上に車種の前後方向の長さに応じてポールを車両後退終了位置に移動停止するよう駆動装置を制御するリミットスイッチ及び制御装置とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車学校・教習所内コースの縦列駐車、車庫入れなどの車両を後退して進入する駐車スペースに設置される立体障害物装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車学校・教習所内コースの縦列駐車、車庫入れなどの車両を後退して駐車スペース内に進入して駐車する教習が行われている。
【0003】
この教習では、バスや大型トラック等の大型車両、普通車両等の中型車両、軽自動車等の小型車両の車種によって後退終了位置が異なっており、運転者はこの後退終了位置に設定された障害物を目標として後退終了位置を教習している。
【0004】
従来の後退終了位置を目標とする障害物の設定手段としては、地面にレールを敷設しポールを立てた台車を手押しで車種に応じて後退終了位置に移動させたり、パイロン(カラーコーン)を車種に応じて後退終了位置に置いたりしている。
【0005】
このように従来では、車種が異なる毎に指導員などが台車を手押したり、パイロン(カラーコーン)を後退終了位置に移動している煩わしい作業を必要としている問題を有していた。
【特許文献1】特開2001−071842公報
【特許文献2】特開2001−262857公報
【特許文献1】特開2001−315604公報
【特許文献1】特開2002−019557公報
【特許文献1】特開2003−184342公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、車種に応じて目標とする後退終了位置に障害物を遠隔操作により自動的に設定可能とした自動車教習用立体障害物装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための本発明は、請求項1に記載の通り、自動車学校・教習所内コースの縦列駐車、車庫入れなどの車両を後退して進入する駐車スペースに設置される自動車教習用立体障害物装置であって、前記駐車スペースの幅を跨ぎ駐車スペースの前後位置に立設した前方門形支柱及び後方門形支柱と、前記前方門形支柱及び後方門形支柱との上部の間に渡って延在したガイドレールと、前記ガイドレールに沿ってローラを介して走行移動可能に案内されたハンガー部材と、前記ハンガー部材に鉛直軸線方向で前記駐車スペースの幅方向に並列吊架された多数本のポールと、前記ハンガー部材を走行移動させるための駆動装置と、前記ガイドレール上に車種の前後方向の長さに応じて前記ポールを車両後退終了位置に移動停止するよう前記駆動装置を制御するリミットスイッチ及び制御装置とを備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、無線リモコン、有線押しボタンによる遠隔操作によって各種の車種に対応した車両後退終了位置の障害目標とするポールを自動的に位置設定することができ、車種が異なる毎に指導員などが台車を手押したり、パイロン(カラーコーン)を後退終了位置に移動している煩わしい作業を不要とする効果を有しているものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下本発明を実施するための最良の形態について図面に基づいて説明する。図1において、1は前方門形支柱であり、2は後方門形支柱である。この前方門形支柱1及び後方門形支柱2は自動車学校・教習所内コースの縦列駐車、車庫入れなどの車両を後退して進入する駐車スペースの幅を跨ぎ駐車スペースの前後位置に立設されている。図2において、符号12は補強用支柱であり、支持軸13を介して前方門形支柱1及び後方門形支柱2に結合されている。
【0010】
前記前記前方門形支柱1及び後方門形支柱2との上部の間に渡ってガイドレール3が延在されており、このガイドレール3にはハンガー部材4がローラ5によって走行移動可能に案内されている。
【0011】
前記ハンガー部材4を走行移動する駆動機構は図3にも示すように、ガイドレール3の下方位置でエンドレスのワイヤロープ11を前方のワイヤプーリ16と後方のワイヤプーリ17とによりガイドレール3と平行して掛け渡し、さらに、ワイヤプーリ17から駆動装置9に掛け渡され、前記ガイドレール3と平行して掛け渡されているワイヤロープ11に前記ハンガー部材4が結合された構造である。従って、ガイドレール3と平行して掛け渡されているワイヤロープ11が前記駆動装置9によって前進、後退移動することによりハンガー部材4が前進、後退移動する。
【0012】
前記駆動装置9は図4で詳細を示しているように、基台22上に固設されたワイヤ用プーリ15と、このワイヤ用プーリ15と同軸上のVプーリ20と、これと併設されたモータ14と、このモータ14により正逆回転するVプーリ19と、このVプーリ19と前記Vプーリ20とに掛け渡されたVベルト21とからなり、前記ワイヤ用プーリ15に前記ワイヤロープ11端が掛け渡された構造である。前記モータ14はVベルト調整用ボルト23によってワイヤ用プーリ15及びVプーリ20の軸とモータ14の回転軸との軸間距離を接近あるいは離間してVベルト21のテンションを適正に調整するようにしている。また、ワイヤ用プーリ15の上方にワイヤロープ調整用プーリ18が配置されており、これにワイヤロープ11を接触させ、ワイヤロープ調整用ボルト24によりワイヤロープ調整用プーリ18を進退移動してワイヤロープ11のテンションを適正に調整するようにしている。この駆動装置9の近傍には制御装置10が配設されており、無線リモコン、有線押しボタンによる遠隔操を可能としている。
【0013】
このような駆動装置9によって走行移動するハンガー部材4に車両後退終了位置の障害目標とするポール7が取り付けられている。すなわち、正面から見て左右のハンガー部材4に渡ってポール取付用横アーム6が設けられており、このポール取付用横アーム6に多数本のポール7を鉛直軸線方向で駐車スペースの幅方向に並列し防振金具8を介して吊架された構造である。
【0014】
さらに、図1及び図3で示すように前記ガイドレール3上に車種の前後方向の長さに応じて前記ポール7を車両後退終了位置に移動停止するよう前記駆動装置9を制御する複数のリミットスイッチL1〜L3が設けられている。
【0015】
リミットスイッチL1は駐車スペースの最も奥側の車両後退終了位置Aにポール7を設定するためのものであり、バスや大型トラック等の大型車両の車両後退終了位置の障害目標とする。ミットスイッチL2は駐車スペースの中間の車両後退終了位置Bにポール7を設定するためのものであり、普通車両等の中型車両の車両後退終了位置の障害目標とする。ミットスイッチL3は駐車スペースの最も前方側の車両後退終了位置Cにポール7を設定するためのものであり、軽自動車等の小型車両の車両後退終了位置の障害目標とする。
【0016】
本発明は上記の通りの構造であるから、自動車学校・教習所内コースの縦列駐車、車庫入れなどの駐車スペースに車両を後退して進入する練習の場合に、大型車両、中型車両、小型車両に応じて無線リモコン、有線押しボタンによる遠隔操作によってポール7を目標障害物とする車両後退終了位置A〜Cに自動的に移動設定するものである。
【0017】
例えば、大型車両の場合、無線リモコン、有線押しボタンによる遠隔操作によって制御装置9を作動し、ワイヤロープ11によりハンガー部材4が駐車スペースの最も奥側の車両後退終了位置Aに移動してハンガー部材4に突設されているドグDがリミットスイッチL1を叩くことにより駆動装置9のモータ14が停止しポール7を大型車両に対応した車両後退終了位置Aに自動的に設定する。この動作は普通車両等の中型車両や軽自動車等の小型車両も同様である。
【0018】
上記は3種類の車種に対応するような構成であるが、ミットスイッチの配置間隔と個数を考慮することにより数種類の車種に応じて車両後退終了位置の障害目標が得られる。
【0019】
このように本発明によると、自動車学校・教習所内コースの縦列駐車、車庫入れなどの駐車スペースに車両を後退して進入する練習の場合に、車種が異なる毎に指導員などが台車を手押したり、パイロン(カラーコーン)を後退終了位置に移動している煩わしい作業を不要とし、無線リモコン、有線押しボタンによる遠隔操作によって各種の車種に対応した車両後退終了位置の障害目標とするポールを自動的に位置設定することができる利点を有している。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明装置の側面図
【図2】本発明装置の正面図
【図3】ポール移動機構を示す側面図
【図4】駆動装置の詳細な構造を示す図
【符号の説明】
【0021】
1 前方門形支柱
2 後方門形支柱
3 ガイドレール
4 ハンガー部材
5 ローラ
6 ポール取付用横アーム
7 ポール
8 防振金具
9 駆動装置
10 制御装置
11 ワイヤロープ
12 補強用支柱
13 支持軸
14 モータ
15 ワイヤ用プーリ
16 ワイヤプーリ
17 ワイヤプーリ
18 ワイヤロープ調整用プーリ
19 Vプーリ
20 Vプーリ
21 Vベルト
22 基台
23 Vベルト調整用ボルト
24 ワイヤロープ調整用ボルト
L1〜L3 リミットスイッチ
D ドグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車学校・教習所内コースの縦列駐車、車庫入れなどの車両を後退して進入する駐車スペースに設置される自動車教習用立体障害物装置であって、前記駐車スペースの幅を跨ぎ駐車スペースの前後位置に立設した前方門形支柱及び後方門形支柱と、前記前方門形支柱及び後方門形支柱との上部の間に渡って延在したガイドレールと、前記ガイドレールに沿ってローラを介して走行移動可能に案内されたハンガー部材と、前記ハンガー部材に鉛直軸線方向で前記駐車スペースの幅方向に並列吊架された多数本のポールと、前記ハンガー部材を走行移動させるための駆動装置と、前記ガイドレール上に車種の前後方向の長さに応じて前記ポールを車両後退終了位置に移動停止するよう前記駆動装置を制御するリミットスイッチ及び制御装置とを備えたことを特徴とする自動車教習用立体障害物装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−215300(P2006−215300A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−28536(P2005−28536)
【出願日】平成17年2月4日(2005.2.4)
【出願人】(301023696)富士防災株式会社 (2)