説明

自動車用のパノラマ式のウインドシールド

本発明は、自動車(1)のルーフ(7)の上に載置するための少なくとも1つの湾曲した側部を含む、パノラマ式のウインドシールド(2)に関する。パノラマ式のウインドシールド(2)は、同一面をなす少なくとも2つの部分(3、4)に分割されたガラス板を含み、2つの部分は、フレーム(8)を介して互いにほぼ突合せて接続される必要がある。2つの部分のうちの1つの部分(4)は、フレーム(8)の中へ嵌め込まれる。フレーム(8)は、2つの部分のうちの、フレーム(8)の中へ嵌め込まれない、少なくとも1つの部分(3)を支持する。本発明は、パノラマ式のウインドシールドを含むことを特徴とする自動車にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的にパノラマ式のウインドシールドに関する。
【0002】
また本発明は、このパノラマ式のウインドシールドを含む自動車にも関する。
【背景技術】
【0003】
現在では、自動車のウインドシールドは、一般に合わせガラスからなる、僅かに丸みを帯びた1枚のガラス板によって作られる。現在においては、運転者及び乗客が最大限の視界を得られるように、車室内の明るさを増加する傾向にある。これは、少なくとも部分的に透明なルーフによって実現される。この明るさは、ウインドシールドの面積を増加することによって増大させることができる。
【0004】
問題は、これらのウインドシールドのサイズが、ウインドシールドを製造するために合わせガラスを使用することに起因する、物理的拘束によって制限されることにある。
【特許文献1】US 5 601 050 A
【特許文献1】US 2 761 729 A
【特許文献1】US 5 941 596 A
【特許文献1】US 2004/160082 A1
【特許文献1】US 5 060 440 A
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、現在存在しているものよりも大きなパノラマ式のウインドシールドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は、自動車のルーフの上に載置するための少なくとも1つの湾曲した側部を含み、同一面をなす少なくとも2つの部分に分割されたガラス板を含み、上記部分は、フレームを介して互いにほぼ突合せて接続される必要があり、上記フレームの中へ、2つのうちの1つの上記部分が嵌め込まれ、上記フレームは、2つのうちの少なくとも他の1つの上記部分を支持する、パノラマ式のウインドシールドを提供する。
【0007】
このようにして、本発明のこの構想は、合わせガラスの物理的拘束によって制限されることなく、自動車のルーフの上のウインドシールドの面積を拡大することを可能にする。
【0008】
この構想によって、2つの側方突出部を形成する湾曲した2つの側部と、自動車のルーフの上に載る他の1つの湾曲した面とを有するパノラマ式のウインドシールドを得ることが可能である。
【0009】
更に本発明は、上述したパノラマ式のウインドシールドを含む自動車を対象とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、添付図面を参照して、非限定的な例としてのみ示される実施の形態の説明を読むことによって明らかとなるであろう。これらの図面において:
−図1は、本発明に特有の1実施の形態による、自動車とパノラマ式のウインドシールドの部分斜視図を示し;
−図2A〜2Cは、本発明に特有の3つの実施の形態による、図1と類似のパノラマ式のウインドシールドの部分縦断面図を示し;
−図3は、図1と類似のパノラマ式のウインドシールドを含む自動車の部分縦断面図を示し;
−図4Aと4Bは、本発明に特有の2つの実施の形態によるパノラマ式のウインドシールドの部分縦断面図を示す。
【0011】
図1は、本発明の対象である自動車1を部分的に示す。同じく本発明の対象であるパノラマ式のウインドシールド2も、この図1に示されている。
【0012】
図1に見られるように、パノラマ式のウインドシールド2は、互いにほぼ突合せ接合される、同一面をなす少なくとも2つの部分3、4に分割されたガラス板を有する。この例においては、2つの部分、すなわち、下の部分として表示された第1の部分3と、上の部分として表示された第2の部分4がある。
【0013】
図1に示された例においては、ウインドシールド2は、側方突出部、すなわち「側板」を形成する湾曲した2つの側部5、6を有する。ウインドシールドが所定の位置に配置されたときには、これらの側方突出部は、自動車の側部の上に載置される。側方突出部は、ガラス板の第1の部分3に設けられ、側方突出部の寸法は、自動車の型に応じて調整される。したがってウインドシールド2は、その側部上で、これらの側方突出部の寸法に応じて、多かれ少なかれ湾曲している。
【0014】
ウインドシールド2は、自動車1のルーフ7の上に載置するための、もう1つの湾曲した面も有する。このウインドシールド2のガラス板の第2の部分4は、ウインドシールド2に追加の湾曲を与える。第2の部分4は、例えば、球面の一部分の形状をなすことができる。
ガラス板は、少なくとも部分的に透明である。第1の部分3は、合わせガラスで作ることができ、第2の部分4は、図1〜4における例のような合わせガラス、強化ガラス、またはポリカーボネートのような合成材料で作ることができる。
【0015】
ウインドシールド2は、フレーム8も含む。フレーム8は、第2の部分4を嵌め込み、少なくとも第1の部分3を支持することを可能にする。第1の部分3と第2の部分4との2つの部分は、フレーム8を介して互いに接続される必要がある。本発明に特有の1実施の形態を図1に示す。フレーム8は、横方向部材9と弓形部材10を有する。弓形部材10は、横方向部材9の両端部13、14に接続される。横方向部材9は、第1の部分3と第2の部分4との間の、それらの一端部11、12に沿う接合部を形成する。嵌め込まれない第1の部分3も、この横方向部材9に取り付けられる。
【0016】
様々なタイプの横方向部材9を構想することができる。横方向部材9の幾つかの例を図2A〜2Cに示す。
【0017】
図2Aに示す第1の実施の形態においては、横方向部材9は、その対向する縁に2つのフランジ18、19を有する。2つのフランジ18、19の各々に、第1の部分3と第2の部分4の一方がそれぞれ取り付けられる。この取り付けは、接着剤またはその他の適当な接着部品によって実施することができる。図2Aにおいて、接着剤の2つのビード20、21が、第1の部分3と第2の部分4の端部11、12を横方向部材9へ取り付ける。美観上の理由から、通常は不透明なライニング22によって、横方向部材9を全長に亘って覆うことができる。ライニング22は、自動車1の車室の内側に配置され、第1の部分3と第2の部分4との2つの部分の凹面38に位置する、横方向部材9の主要領域37を覆う。
【0018】
ウインドシールドに沿って約58mmの幅を有するこのタイプの横方向部材9は、運転者の視界に約5°で現れ、運転者から約78mmの幅として見られる。
【0019】
図2Bに示す第2の実施の形態においては、横方向部材9は、フランジ18または段差を有する第1の縁を有する。フランジ18または段差に、第1の部分3の端部11が取り付けられる。この取り付けは、従来の接着剤または適当な接着部品によって実施することができる。この固定は、少なくとも1つの接着部品20´によって実施される。横方向部材9は、第1の縁と対向する第2の縁に溝23を有する。溝23の中に第2の部分4が嵌め込まれる。この嵌め込みは、第2の部分4の端部12に沿って実行される。この場合も、先に述べたように、不透明なライニング22によって、横方向部材9を全長に亘って覆うことができる。ウインドシールドに沿って約42mmの幅を有するこのタイプの横方向部材9は、運転者の視界に約4°で現れ、運転者から約61mmの幅として見られる。横方向部材9のこの例は、第1の部分3と第2の部分4を取り付けるために使用される接着剤または接着部品のビードの数を減少することを可能にする。このことは、接着剤または接着部品のビードは、時間とともに劣化する可能性があるので有利である。
【0020】
図2Cに示す第3の実施の形態においては、横方向部材9は、対向する2つの縁に、底が互いに対向する2つの溝23、24を有する。これらの溝の中へ第1の部分3と第2の部分4がそれぞれ嵌め込まれる。第1の部分3と第2の部分4の嵌め込みは、第1の部分3の端部11と第2の部分4の端部12に沿って実行される。この場合も、先に述べたように、不透明なライニング22によって、横方向部材9を全長に亘って覆うことができる。この横方向部材9の第3の例においては、接着剤または接着部品のビードの使用は必要でない。
【0021】
横方向部材9と同様に、弓形部材10もさまざまな様式で作ることができる。弓形部材10は、内側の縁39に、図1に示す、横方向部材9のフランジ18と類似のフランジ25を有することができる。第2の部分4は、接着剤またはその他の適当な接着部品によってこのフランジ25へ取り付けられる。あるいは、弓形部材10は、内側の縁39に、横方向部材9の溝23と類似の溝26を有することができる。第2の部分4は、弓形部材10の溝26の中と、例えば横方向部材9の溝23の中へ嵌め込まれる。
【0022】
従って、先に言及した3例の横方向部材9は、内側の縁39にフランジ25または溝26を有する弓形部材10とともに用いることができる。弓形部材10に、第2の部分4ではなく、第1の部分3を取り付けることも考えられる。
【0023】
ウインドシールド2の第1の部分3と第2の部分4は、フレーム8を用いて互いに一体に組み立てられ、この組立体は、次いで、図3に示すように、自動車へ取り付けられる。この取り付けは、フレーム8と自動車のルーフ7との間の、例えば、接着27、ネジ止め、または溶接によって実行される。この取り付けは、ルーフ7の溝28または窪みの箇所で行われる。ウインドシールド2と自動車1との間の取り付けは、図1に示す自動車のウインドシールドピラー16、17の箇所でも行うことができ、この場合、フレームは、ルーフ7への取り付けと同様に実行される。次いで、第1の部分3が、ウインドシールドピラー16、17と、ルーフ7と対向する自動車1のフード(図示しない)の箇所で、車体構造15へ直接接着される。
【0024】
図3に見られるように、運転者の視界を妨げることをできるだけ少なくするために、横方向部材9の幅は、使用される横方向部材9の様式に係わりなく、できるだけ狭くすることが望ましい。図1〜2Cにおける実施の形態においては、横方向部材9の幅は、運転者の視界において、多くとも垂直方向に数度にしかならない。
【0025】
図4Aに、特有の第4の実施の形態を示す。ウインドシールド2の第2の部分4は偏向板40として機能する。偏向板40を形成するのは、ウインドシールド2のフレーム8へ嵌め込まれる部分である。図4Aにおいて、自動車1のルーフ7の上へ上がるのは第2の部分4である。先に述べたように、横方向部材9が存在し、横方向部材9に、第1の部分3と弓形部材10が取り付けられる。第1の部分3は、接着剤またはその他の適当な接着部品によって横方向部材9へ取り付けられる。横方向部材9と弓形部材10は、それぞれ、フランジ部分が互い違いに取り付けられ、共通の側壁を有する、2つのアングル形鋼29、30の形状をなす。フレーム8の外側の縁の、横方向部材9のアングル形鋼29に、少なくとも2つのヒンジ32が設けられる。各ヒンジ32にヒンジピン33が設けられ、ヒンジ32は、ウインドシールド2の第2の部分4と横方向部材9との双方へ取り付けられる。
【0026】
ヒンジ32の1つと第2の部分4との間の取り付け装置は、図4Aに示すように凹面側に設けてもよいし、第5の実施の形態を表す図4Bに示すように、凸面側に設けてもよい。ヒンジ32は、第2の部分4を回動可能にする。この実施の形態においては、第2の部分4は、ヒンジ32によって、「閉鎖」状態と、1または複数の「開放」状態をとることができる。各「開放」状態は、第2の部分4の開度によって規定することができる。フレーム8を縁取りするシール継ぎ手(シール手段)31が、フレーム8のアングル形鋼30に取り付けられる。「閉鎖」状態においては、第2の部分4はこのシール継ぎ手31の上に支持され、フレーム8がシール状態で「閉鎖」されることを可能にする。
【0027】
これらの5つの実施の形態において、フレーム8を製作するために使用される材料は、スチールまたはアルミ合金のような金属材料でも、複合材料でも、プラスチックでもよい。
【0028】
勿論、当業者によって、自動車1と、非限定的な例としてのみ上に記載したウインドシールド2に、様々な変更をもたらすことが可能である。
【図1】

【図2A】

【図2B】

【図2C】

【図3】

【図4A】

【図4B】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
パノラマ式のウインドシールド(2)において、自動車(1)のルーフ(7)の上に載置するための少なくとも1つの湾曲した側部を含み、同一面をなす少なくとも2つの部分(3、4)に分割されたガラス板を含み、上記部分は、フレーム(8)を介して互いにほぼ突合せて接続される必要があり、上記フレーム(8)の中へ、2つのうちの1つの上記部分(4)が嵌め込まれ、上記フレーム(8)は、2つのうちの少なくとも他の1つの上記部分(3)を支持することを特徴とする、パノラマ式のウインドシールド。
【請求項2】
側方突出部を形成する湾曲した2つの上記側部(5、6)が設けられた第1の部分(3)と、上記自動車の上記ルーフ(7)の上に載置するための第2の部分(4)とを含むことを特徴とする、請求項1に記載のパノラマ式のウインドシールド。
【請求項3】
上記第1の部分(3)は、合わせガラスで作られ、上記第2の部分(4)は、合わせガラス、強化ガラス、またはポリカーボネートを含む合成材料で作られることを特徴とする、請求項2に記載のパノラマ式のウインドシールド。
【請求項4】
上記第2の部分(4)は、球面の一部の形状をなすことを特徴とする、請求項2または3に記載のパノラマ式のウインドシールド。
【請求項5】
上記フレーム(8)は、横方向部材(9)と弓形部材(10)とを含み、嵌め込まれない上記第1の部分(3)は上記横方向部材(9)に取り付けられることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかの1つに記載のパノラマ式のウインドシールド。
【請求項6】
2つの上記部分(3、4)は、1つの凹面(38)を有し、上記フレーム(8)の上記横方向部材(9)は、上記凹面(38)側に主要領域(37)を含むことを特徴とする、請求項5に記載のパノラマ式のウインドシールド。
【請求項7】
上記横方向部材(9)の上記主要領域(37)を覆う不透明なライニング(22)を含むことを特徴とする、請求項6に記載のパノラマ式のウインドシールド。
【請求項8】
上記弓形部材(10)は、内側の1つの縁(39)に、フランジ(39)を有することを特徴とする、請求項5〜7のいずれかの1つに記載のパノラマ式のウインドシールド。
【請求項9】
上記弓形部材(10)は、内側の1つの縁(39)に、溝(26)を有することを特徴とする、請求項5〜7のいずれかの1つに記載のパノラマ式のウインドシールド。
【請求項10】
上記横方向部材(9)は、第1の縁にフランジ(18)を有し、上記第1の縁と対向する第2の縁に溝(23)を有することを特徴とする、請求項5〜9のいずれかの1つに記載のパノラマ式のウインドシールド。
【請求項11】
上記横方向部材(9)は、それぞれフランジ(18、19)を有する、対向する2つの縁を含むことを特徴とする、請求項5〜9のいずれかの1つに記載のパノラマ式のウインドシールド。
【請求項12】
上記横方向部材(9)は、それぞれ溝(23、24)を有する、対向する2つの縁を含むことを特徴とする、請求項5〜9のいずれかの1つに記載のパノラマ式のウインドシールド。
【請求項13】
上記フレーム(8)は、上記自動車のウインドシールドピラー(16、17)と上記ルーフ(7)との少なくとも一方へ取り付けられるためのものであることを特徴とする、請求項1〜12のいずれかの1つに記載のパノラマ式のウインドシールド。
【請求項14】
上記フレーム(8)へ嵌め込まれる上記部分(4)が、閉鎖位置と、少なくとも1つの開放位置とをとることが可能な、偏向板(40)を形成することを特徴とする、請求項1〜13のいずれかの1つに記載のパノラマ式のウインドシールド。
【請求項15】
少なくとも2つのヒンジ(32)が、上記横方向部材(9)と、上記偏向板(40)を形成する上記フレーム(8)へ嵌め込まれる上記部分(4)とへ取り付けられることを特徴とする、請求項14に記載のパノラマ式のウインドシールド。
【請求項16】
上記フレーム(8)を縁取りするシール手段(31)を含み、上記シール手段(31)の上に、上記偏向板(40)を形成する上記フレーム(8)へ嵌め込まれる上記部分(4)が、上記閉鎖位置において支持されることを特徴とする、請求項14または15に記載のパノラマ式のウインドシールド。
【請求項17】
上記フレーム(8)は、スチールとアルミ合金を含む金属材料、またはプラスチック、または複合材料から作られることを特徴とする、請求項1〜16のいずれかの1つに記載のパノラマ式のウインドシールド。
【請求項18】
上記部分(3、4)の少なくとも1つの、上記弓形部材(10)と上記横方向部材(9)との少なくとも一方への取り付けは、接着剤のビード(20)または少なくとも1つの接着部品(20´)によって実施されることを特徴とする、請求項5〜17のいずれかの1つに記載のパノラマ式のウインドシールド。
【請求項19】
上記フレーム(8)は、ネジ止め、または接着、または溶接によって、上記自動車の車体構造(15)へ取り付けられるためのものであることを特徴とする、請求項1〜18のいずれかの1つに記載のパノラマ式のウインドシールド。
【請求項20】
請求項1〜19のいずれかの1つに記載のパノラマ式のウインドシールドを含むことを特徴とする、自動車。

【公表番号】特表2008−524062(P2008−524062A)
【公表日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−546135(P2007−546135)
【出願日】平成17年12月7日(2005.12.7)
【国際出願番号】PCT/FR2005/051054
【国際公開番号】WO2006/077296
【国際公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【出願人】(503041797)ルノー・エス・アー・エス (286)