説明

自動車用サンシェード

【課題】運転者が直接接触するステアリングホイール及び自動車用運転席に、直接日光が照射して高温になるのを防止することができるサンシェードを提供する。
【解決手段】主として、日除けの機能を有するシェード部材10と、このシェード部材10に設けられるヘッドレスト収納部20と、ステアリングホイールを収納するステアリングホイール収納部30と、使用後に折り畳んだ状態を保持する保持部材40とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステアリングホイール及び自動車用運転席に直接日光が照射するのを防止する自動車用サンシェードに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の車内に日光が照射することによって、ステアリングホイールや自動車用運転席が高温になるのを防止するために、自動車のフロントガラスの内側に立て掛けるか若しくは吸盤等で取り付けることができるサンシェードが提案されている。
【0003】
しかし、フロントガラスにサンシェードを取り付けたとしても、サイドガラスやリアガラスから入り込む光を防止することができないため、ステアリングホイールや自動車用運転席に日光が照射されるのを完全に防止することができなかった。そのため、ステアリングホイールや自動車用運転席が高温になることがあった。
【0004】
このような点を解消したものとして、特許文献1に記載の車窓用カーテンがある。この車窓用カーテンは、車窓を被包するためのカーテン生地と、カーテン生地を車窓へ取付ける着脱自在な取付部材と、該車窓の窓幅及び形状の違いに応じてカーテン生地の一部分を相互に係着させ、又はこの係着を解除することによりカーテン生地の幅を調整するためのカーテン幅調整部材とを備えているものである。この車窓用カーテンを使用すれば、2以上の車窓の全域を被包可能であるため、自動車のすべての車窓を覆うことにより、ほぼ自動車内に日光が入り込むのを防止することができ、ステアリングホイールや自動車用運転席が高温になるのを防止することができる。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の車窓用カーテンを使用してステアリングホイールと自動車用運転席の両方に日光が照射するのを防止するためには、全部の車窓を覆う必要があるため、複数のカーテンを用意しなければならないという課題があった。また、自動車から降車する度にすべての車窓のカーテンを取り付けなければならず、面倒であったという課題もあった。
【特許文献1】特開2003−112522号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、こうした課題を鑑みてなされたものであり、特に運転者が直接接触するステアリングホイール及び自動車用運転席に、直接日光が照射して高温になるのを防止することができるサンシェードに関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の目的を達成するために、以下の手段を採った。
【0008】
本発明の自動車用サンシェードは、ステアリングホイール及び自動車用運転席を覆うシェード部と、
前記シェード部の裏面側の一方端部に設けられた座席用ヘッドレストを収容可能なヘッドレスト収納部と、
前記シェード部の裏面側の他方端部又は他方端部より内側に設けられたステアリングホイール収納部と、を備え、
前記ヘッドレスト収納部と、前記ステアリングホイール収納部との間隔は、装着される自動車のステアリングホイールとヘッドレストとの間隔より長い間隔に設けられていることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る自動車用サンシェードによれば、ヘッドレスト収納部にヘッドレストを挿入し、ステアリングホイール収納部にステアリングを挿入することによって、運転者が直接接触するステアリングホイール及び運転車用座席を覆うことができる。よって、ステアリングホイール及び自動車用運転席が日光の照射によって高温になるのを防止することができる。また、シェード部が車窓ガラス近傍ではなく、ステアリングホイール及び自動車用運転席近傍に配置されるので、フロントガラス、サイドガラス等のいずれの車窓から日光が照射しても、ステアリングホイール及び自動車用運転席は影領域にすることができる。
【0010】
また、本発明に係る自動車用サンシェードとして、前記ステアリングホイール収納部は、他方端部より内側に設けられ、前記ステアリングホイール収納部より先端はダッシュボード用のシェード部であってもよい。
【0011】
かかる構成を採用することによって、シェード部をステアリングホイールより前方にあるダッシュボードまで到達させることができ、ステアリングホイール及び自動車用運転席に加えて、ダッシュボードに日光が直接照射することを防止することができる。
【0012】
さらに、本発明に係る自動車用サンシェードとして、シェード部の長さは、座席に沿って配置した際に、背面長さ+座面奥行き長さ以上、背面長さ+座面奥行き長さ+座面高さ以下であってもよい。
【0013】
かかる構成を採用することによって、ステアリング収納部からステアリングホイールを外して、少なくとも自動車用運転席の背面及び座面を覆うように、自動車用サンシェードを背面及び座面に沿って配置することができる。こうした状態で使用することによって、座席用のカバーとして運転中に使用することもできる。
【0014】
さらに、本発明に係る自動車用サンシェードとして、前記シェード部表面には、光反射素材を用いてもよい。
【0015】
かかる構成を採用することによって、シェード部材に照射した日光が反射されて、シェード部が熱を吸収する速度を遅くすることができる。結果として、その裏面側にあるステアリングホイール及び自動車用運転席が高温になるのを遅くすることができる。
【0016】
さらに、本発明に係る自動車用サンシェードとして、少なくともシェード部のうち、座面領域にクッション性を有する素材を有していてもよい。
【0017】
かかる構成を採用することによって、自動車用サンシェードを座席用のカバーとして使用した際の座り心地を向上させることができる。
【0018】
さらに、本発明に係る自動車用サンシェードとして、前記ヘッドレスト収納部の少なくとも一部に、伸縮性を有するシェード部材を取り付けてもよい。
【0019】
かかる構成を採用することによって、ヘッドレスト収納部にヘッドレストを挿入した際に、伸縮性を有するシェード部材によって、ヘッドレストをホールドするため、ヘッドレストを外れにくくすることができる。
【0020】
さらに、本発明に係る自動車用サンシェードとして、折り畳み可能であって、かつ折りたたんだ状態で保持可能な保持部材を備えていてもよい。
【0021】
係る構成を採用することによって、自動車用サンシェードを使用しない場合に、コンパクトなサイズに保持することができる。これにより、持ち運びに便利であり、かつ自動車内のボックスやポケットに収納しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1aは、実施形態に係る自動車用サンシェード100の構成の概略を示す平面図であり、図1bは、実施形態に係る自動車用サンシェード100の構成の概略を示す側面断面図である。
【図2】実施形態に係る自動車用サンシェード100をステアリングホイール及びヘッドレストに取り付けた状態を示す斜視図である。
【図3】実施形態に係る自動車用サンシェード100をヘッドレストのみに取り付けた状態を示す斜視図である。
【図4】実施形態に係る自動車用サンシェード100を折り畳んだ状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を実施するための形態について、図面に沿って詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態及び図面は、本発明の実施形態の一部を例示するものであり、これらの構成に限定する目的に使用されるものではない。なお、各図において対応する構成要素には同一又は類似の符号が付されている。
【0024】
図1は、実施形態に係る自動車用サンシェード100の構成の概略を示す平面図及び側面断面図である。本実施形態の自動車用サンシェード100は、主として、日除けの機能を有するシェード部材10と、シェード部材10に設けられるヘッドレスト収納部20と、ステアリングホイール130を収納するステアリングホイール収納部30と、使用後に折り畳んだ状態を保持する保持部材40と、を備えている。
【0025】
シェード部材10は、略長方形のシート状の部材であり、一方端部11近傍がヘッドレスト110の形状に適合するように台形形状をなしている。本実施形態において、シェード部材10の大きさは、長さが1500mmで、幅が600mmに形成してある。図3に示すように、座席に敷設した場合に座面の厚さA分だけ、先端が下方に垂れる長さとなるようにしている。素材については、特に限定するものではないが、本実施形態においては、2枚のポリエチレンシートの裏面側のシートに、成型した円柱状の突起の中に空気を閉じ込めた気泡緩衝材を使用し、さらに、表面側のシートにアルミ蒸着シートを採用した。これにより、シェード部材10全体がクッション性を有するとともに、表面のアルミ蒸着シートによって、日光を反射させることができる。また、柔軟性に優れるため、使用後に収納する際に折り畳み易いものとなる。シェード部材10の形状は、座席幅と同等又は若干大きく形成するとよい。本実施形態の自動車用サンシェード100は、自動車用運転席150の上方近傍に配置されるので、自動車用運転席150とほぼ同じ幅を有していれば、車窓から入力するあらゆる方向の日光を遮り、自動車用運転席150に影を形成することができる。さらに、シェード部材10は、6本の凹み12が設けられていて、その凹み部分で折り畳み易くなっている。端辺全体には、ほつれ防止のためにほつれ止めテープ15が貼り付けてあるか、或いは縫製されている。
【0026】
ヘッドレスト収納部20は、シェード部材10の一方端部11に塩化ビニル製のヘッドレスト収納部形成シート21を重ね合わせ、外周を縫製して内側が開口する袋状に形成してある。この開口からヘッドレスト110を挿入することになる。さらに、開口近傍かつ中央に雌の面ファスナー22が取り付けられている。
【0027】
ステアリングホイール収納部30は、シェード部材10の他方端部14から30cm程度内側に、ステアリングホイール130の形状と適合するように略半円形に切断された塩化ビニル製のステアリングホイール収納部形成シート31が重ね合わされ、外側の弧状の部分が縫製される。よって、ステアリングホイール収納部30は、内側に開口を有している袋状に形成される。また、他方端部14から30cm程度内側に配置してあるので、他方端部14とステアリングホイール収納部30との間にダッシュボード160を覆うダッシュボードシェード片13が設けられる。ヘッドレスト収納部20とステアリングホイール収納部30との間隔は、装着される自動車のヘッドレスト110とステアリングホイール130との間隔より長い間隔を有するように取り付ける必要がある。この間隔を変更することによって、自動車内に自動車用サンシェード100を取り付けた場合の自動車用座席150とシェード部材10との距離を調整することができる。ヘッドレスト収納部20とステアリングホイール収納部30との間隔を長くすれば、よりシェード部材10が座席に近くなる。
【0028】
保持部材40は、テープ状の部材からなり、一方端部11の中央の裏面側に縫い付けてある。保持部材40の先端には、折り畳み時に折り畳み状態を保持するために、雄の面ファスナー41が設けられている。
【0029】
以上のようにして作製された自動車用サンシェード100は、図2に示すように、ヘッドレスト収納部20にヘッドレスト110を収納し、ステアリングホイール収納部30にステアリングホイール130を収納して、自動車内に設置される。ヘッドレスト収納部形成シート21及びステアリングホイール収納部形成シート31は、伸縮性を有する塩化ビニル製であるので、収納する際に伸ばしつつ収納することで、ステアリングホイール130及びヘッドレスト110はそれぞれの収納部内にしっかり保持される。こうしてシェード部材10によって、ステアリングホイール130は直接覆われ、一方、自動車用運転席150は、直接又は上方にシェード部材10が配置される。このように設置されることで、ステアリングホイール130及び自動車用運転席150は日光の直接照射から遮られ、ステアリングホイール130が高温になるのを防止することができる。また、自動車用運転席150の上方にあるシェード部材10は表面がアルミ蒸着シートであるので、表面に照射した日光が反射して自動車用サンシェード100の温度が上昇するスピードを遅らせることができる。
【0030】
また、ステアリングホイール収納部30の先端に設けられた延設片13により、ダッシュボード160の上面を覆うことができる。直射日光に当たる場合と比較して、ダッシュボード160が高温になるのを防止することができる。
【0031】
一方、自動車に乗車する場合には、図3に示すように、ステアリングホイール130をステアリングホイール収納部30から外すことによって、座席用のカバーとして使用することができる。本実施形態においては、全体が気泡緩衝材でできているので、クッション性の有する座席用のカバーとして使用することができる。
【0032】
勿論、乗車時に自動車用サンシェード100をヘッドレスト110からも外して、完全に自動車から取り外してもよい。その場合には、図4に示すように、凹部12を利用して折りたたむことで、6分の1の大きさにすることができる。この状態で保持部材40の雄の面ファスナー41と雌の面ファスナー22を貼り合わせることによって、折り畳んだ状態を保持することができる。コンパクトで収納性に優れ、自動車座席背面のポケットに容易に収納することができる。
【0033】
なお、上記実施形態においては、シェード部材10として、2枚のポリエチレンシートの裏面側のシートに、成型した円柱状の突起の中に空気を閉じ込めた気泡緩衝材を使用し、さらに、表面側のシートにアルミ蒸着シートを採用しているが、これに限定するものではなく、適宜選択することができる。例えば、座席用カバーとしての機能を充実させるために、よりクッション性の高いウレタン発泡体等のスポンジ状に形成してもよいし、表面に起毛素材を使用してさらに座り心地のよい素材を使用しても構わない。
【0034】
また、上記実施形態においては、シェード部材10の大きさは、長さが1500mmで、幅が600mmに形成してあるが、これに限定するものではない。作製する場合には、シェード部材の長さは1200mmから1600mm、幅は500mmから800mm程度に作製することが好ましい。上記範囲であると、概ね背面長さ+座面奥行き長さ以上、背面長さ+座面奥行き長さ+座面高さ以下の範囲とすることができ、座席に設置した際に少なくとも背面及び座面の両方を覆うことができるからである。
【0035】
また、上記実施形態においては、シェード部材10全体が、気泡緩衝材で作製されているが、さらにクッション性を追加するために、座席用のカバーとして使用した際に座面領域にさらなるクッション性を有するようにクッション性を有する素材を追加してもよい。かかる構成を追加することによって、座り心地をさらに向上させることができる。
【0036】
また、上記実施形態においては、シェード部材10にダッシュボードシェード片13を設けて、ダッシュボード160の一部を日除け可能にしているが、必ずしもダッシュボードシェード片13は設けなくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0037】
上述した実施形態で示すように、自動車内のステアリングホイール及び自動車用運転席の日除けとして産業上利用可能である。
【符号の説明】
【0038】
10…シェード部材、11…一方端部、12…凹部、13…延設片、14…他方端部、20…ヘッドレスト収納部、21…ヘッドレスト収納部形成シート、22…面ファスナー、30…ステアリングホイール収納部、31…ステアリングホイール収納部形成シート、40…保持部材、41…面ファスナー、100…自動車用サンシェード、110…ヘッドレスト、130…ステアリングホイール、150…自動車用運転席、160…ダッシュボード。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアリングホイール及び自動車用運転席を覆うシェード部と、
前記シェード部の裏面側の一方端部に設けられた座席用ヘッドレストを収容可能なヘッドレスト収納部と、
前記シェード部の裏面側の他方端部又は前記他方端部より内側に設けられたステアリングホイール収納部と、を備え、
前記ヘッドレスト収納部と、前記ステアリングホイール収納部との間隔は、装着される自動車のステアリングホイールとヘッドレストとの間隔より長い間隔に設けられていることを特徴とする自動車用サンシェード。
【請求項2】
前記ステアリングホイール収納部は前記他方端部より内側に設けられ、前記シェード部の前記ステアリングホイール収納部より先端はダッシュボード用のシェード部であることを特徴とする請求項1に記載の自動車用サンシェード。
【請求項3】
前記シェード部の長さは、座席に沿って配置した際に、背面長さ+座面奥行き長さ以上、背面長さ+座面奥行き長さ+座面高さ以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の自動車用サンシェード。
【請求項4】
前記シェード部表面には、光反射素材が用いられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の自動車用サンシェード。
【請求項5】
前記シェード部のうち、少なくとも座面領域をなす部分にクッション性を有する素材を有していることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の自動車用サンシェード。
【請求項6】
前記ヘッドレスト収納部の少なくとも一部に、伸縮性を有する素材が用いられていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の自動車用サンシェード
【請求項7】
折り畳み可能であって、かつ折りたたんだ状態で保持可能な保持部材を備えていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の自動車用サンシェード。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−101579(P2012−101579A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−249336(P2010−249336)
【出願日】平成22年11月8日(2010.11.8)
【出願人】(391052585)株式会社ボンフォーム (13)