自動車用ホイールハウスアウタの結合構造
【目的】 スポットフランジ部の後退量の小さいホイールハウスアウタの結合構造を提供すること。
【構成】 フルバンパーAの先端部A1 が配置される車内方向内側への折曲部101を有するリヤフェンダ100と、ホイールハウスアウタ1とがスポットフランジ部106/4,107/5を介し、前記折曲部101を含んで結合されている自動車用ホイールハウスアウタの結合構造であって、前記ホイールハウスアウタ1に、前記スポットフランジ部4,5に連続し、かつ前記折曲部101を含むリヤフェンダ100の側面形状に沿う側縁部3b、3g、及び3cを形成し、前記折曲部101を含むリヤフェンダ100と前記ホイールハウスアウタ1の側縁部3b,3g及び3cとが前記スポットフランジ部106/4,107/5から連続するメタルシールaを介して面結合している。
【構成】 フルバンパーAの先端部A1 が配置される車内方向内側への折曲部101を有するリヤフェンダ100と、ホイールハウスアウタ1とがスポットフランジ部106/4,107/5を介し、前記折曲部101を含んで結合されている自動車用ホイールハウスアウタの結合構造であって、前記ホイールハウスアウタ1に、前記スポットフランジ部4,5に連続し、かつ前記折曲部101を含むリヤフェンダ100の側面形状に沿う側縁部3b、3g、及び3cを形成し、前記折曲部101を含むリヤフェンダ100と前記ホイールハウスアウタ1の側縁部3b,3g及び3cとが前記スポットフランジ部106/4,107/5から連続するメタルシールaを介して面結合している。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、フルバンパーの先端部が配置される折曲部を有するリヤフェンダに対する自動車用ホイールハウスアウタの結合構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、車両には図6に示すように高級感を付与することを目的の一つとしてフルバンパーAを装着する場合が多い。このときフルバンパーAの先端部A1 が配置されるリヤフェンダ100の部分はL字状に内側に折曲されて折曲部101を形成している。この折曲部101には通常換気用ドラフター102が設けられている。
【0003】このリヤフェンダ100の内側にはホイールハウスアウタ103(図8参照)が結合され、かつこのホイールハウスアウタ103にホイールハウスインナ104(図10参照)が結合されてホイールハウスが形成されている。
【0004】リヤフェンダ100は図7に示すように起立壁105の下端部に折曲部101が形成されており、起立壁105及び折曲部101の垂直壁101bには車巾方向内側へ直角に折曲され、かつホイールハウスアウタ103の前後方向の弯曲度合に合致するように弯曲させてフランジ部106及び107が形成されて構成されている。このときフランジ部107はフランジ部106からDだけ後退した位置に設けられている。
【0005】一方、ホイールハウスアウタ103は図8に示すように巾広部と巾狭部を有する板体を車体の前後方向に弯曲させると共に車巾方向に緩やかに弯曲させて形成した本体103aと、この本体103aの一側縁に沿って起立形成したフランジ部103bと、本体103aの他側縁部108から内方へ直角状に折曲形成したフランジ部103c,103d及び103eとから形成されている。この他側縁部108はフランジ部103bとは逆方向へ折曲して形成されており、本体103aの巾広部に形成された側縁部108aと、その巾狭部に形成された側縁部108c、側縁部108aと108cを連続させる側縁部108bとからなり、前記したフランジ部103c,103d及び103eはそれぞれ側縁部108a,108b及び108cに形成されている。
【0006】そしてホイールハウスアウタ103は図7の2点鎖線で示すようにそのフランジ部103c,103d及び103eをそれぞれリヤフェンダ100のフランジ部106、折曲部101の水平壁101a、及びフランジ部107上にメタルシールを介して重ね、フランジ部106,103c、及びフランジ部107,103eの各重ね部分をスポット溶接してリヤフェンダ100に結合されている。この結合部分は図9に示す通りとなり、波線で示す部分にメタルシールaが施されている。このとき折曲部101の水平壁101aとフランジ部103dの重ね部分はスポット溶接されることなくメタルシールのみとなっている。また、図10はホイールハウスアウタ103をリヤフェンダ100に組付けた状態の断面図を示し、ホイールハウスアウタ103はそのフランジ部103bをフランジ部104aに結合させてホイールハウスインナ104に結合している。
【0007】このように従来のホイールハウスアウタ103はその側縁部108の全周に形成されたフランジ部103c,103d、及び103eをリヤフェンダ100に結合される結合構造となっている。
【0008】なお、組付後のフランジ部106及び107はホイールハウスオープニングのフランジ部を構成する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら従来のホイールハウスアウタ103は図8に示すように方向の異なるフランジ部103cと103dの交差部b及びフランジ部103dと103eの交差部cとを有し、この交差部b,cを良好に加工するためには両交差部b,cを連続するフランジ部103dを大きく弯曲させて、交差部b,c間(図7の距離D)をできるだけ離隔させる必要がある。これは交差部b,cの部位は方向の異なるフランジ部をたてる為めプレス成形時に曲げ成形が局部的に集中し、交差部b,c間距離Dが短いと複雑な形状に成形されてしぼりきれないからである。
【0010】このため従来のホイールハウスアウタ103の結合構造は図11に示すスポットフランジ部の後退量(交差部b,c間の距離Dに相当)が大きくなり、■スポット溶接Sの間隔Lが広がって結合剛性、耐久性が劣り、これを解決しようとすればホイールハウスアウタ103あるいは/及びリヤフェンダ100の板厚を厚くする必要があり、コスト及び重量アップを招くこと、■メタルシールaの全長がスポットフランジ部の後退量分だけ長くなると共に作業性も劣り、ひいてはコストアップを招くこと、及び■換気用ドラフター102をフルバンパーAの先端部A1 の裏側の折曲部101あるいはフロアサイドに設定する場合、その大きさ及び設定位置が制約され、換気、エアタイト、ドア閉じ性能が悪化し、これを解決しようとすれば換気用ドラフター102を左、右2箇所に設定する等の対応が必要となり、ひいては重量アップ及び工程上の工数アップを招き、コスト及び作業性の点でも難点があること、等種々の不具合いを生じていた。
【0011】本発明は、このような従来の問題点に着目してなされたものであり、その目的はスポットフランジ部の後退量を小さくして上記問題点を解決した自動車用ホイールハウスアウタの結合構造を提供するにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は前記した目的を達成するため、フルバンパーの先端部が配置される車巾方向内側への折曲部を有するリヤフェンダと、ホイールハウスアウタとがスポットフランジ部を介し、前記折曲部を含んで結合されている自動車用ホイールハウスアウタの結合構造であって、前記ホイールハウスアウタに前記スポットフランジ部に連続し、かつ前記折曲部を含むリヤフェンダの側面形状に沿う側縁部を形成し、前記折曲部を含むリヤフェンダと前記ホイールハウスアウタの側縁部とが、前記スポットフランジ部から連続するメタルシールを介して面結合していることを特徴としている。
【0013】
【作用】本発明は、フランジ部を有しないホイールハウスアウタの側縁部を、折曲部を含むリヤフェンダに面結合させるようにしたので、方向の異なるフランジ部同士の交差部が無くなりホイールハウスアウタの成形性が向上し、スポットフランジ部の後退量を小さくしても容易に成形できる。
【0014】また、本発明はホイールハウスアウタの側縁部と、折曲部を含むリヤフェンダとの結合がスポットフランジ部から連続するメタルシールを介して面結合としたので結合部分のシール性を向上させることができる。
【0015】
【実施例】以下、本発明を図示した実施例に基づいて具体的に説明する。
【0016】図1は一実施例としてのホイールハウスアウタ1を示す。このホイールハウスアウタ1は巾広部2aと巾狭部2bとを有する板体を車体の前後方向に弯曲させると共に車巾方向に緩やかに弯曲させて形成した本体2と、この本体2の一側縁部を折曲させて巾広部2a部分に形成した側縁部3a,3b及び巾狭部2b部分に形成した側縁部3c,3dと、これら側縁部3a,3b及び3c,3dに略直角に形成されたスポットフランジ部としてのフランジ部4及び5と、本体2の他側縁部に形成したフランジ部6とを有して構成されている。このとき側縁部3bは段差部3eを介して側縁部3aよりも外方へ突出して形成されており、側縁部3dは段差部3fを介して側縁部3cよりも内方へ引き込まれて形成されている。そして側縁部3bと側縁部3cは巾広部2aと巾狭部2bとの境界部に形成された側縁部3gで連続して、これら側縁部3b,3g及び3cの連続した側面が折曲部101を含むリヤフェンダ100の側面形状、すなわち起立壁105、水平壁101a及び垂直壁101bの連続した側面形状(図2参照)に沿うように形成されている。
【0017】また、フランジ部4と5は不連続に形成されており、フランジ部4と5の間の側縁部3b,3g及び3cにはフランジ部が切欠かれている。
【0018】一方、リヤフェンダ100は図2に示すように前述した従来のリヤフェンダと略同一となっており、同一符号を付して説明する。
【0019】すなわち、リヤフェンダ100にはその起立壁105の下端部にフルバンパーAの先端部A1 が配置される折曲部101が水平壁101aと垂直壁101bとを有して略L字形に形成されており、かつ起立壁105及び垂直壁101bにはホイールハウスアウタ1の前後方向の弯曲度合いに合致するように弯曲させてスポットフランジ部としてのフランジ部106及び107がそれぞれ形成されている。このときフランジ部107は水平壁101aに連続するフランジ部106の終端106aから小さな後退量d(<<従来の後退量D)だけ後退して形成されている。
【0020】そしてホイールハウスアウタ1は図2の2点鎖線で示すようにそのフランジ部4及び5をそれぞれリヤフェンダ100のフランジ部106及び107上にメタルシールを介して重ね、かつその側縁部3b,3g及び3cをそれぞれリヤフェンダ100の起立壁105、水平壁101a及び垂直壁101b上にメタルシールを介して重ね、フランジ部4,106及びフランジ部5,107の各重ね部分をスポット溶接してリヤフェンダ100に結合される。このとき側縁部3a及び3dはそれぞれ従来のホイールハウスアウタ103の側縁部108a及び108cと同一位置に位置しており、他の側縁部3b及び3cはそれぞれ段差部3e及び3fを介してリヤフェンダ100側へ寄った位置に形成されて側縁部3gと併せて折曲部101を含むリヤフェンダ100の側面形状に沿うように形成されている。
【0021】これらフランジ部及び側縁部の重ね部分は図3に示す通りとなり、波線で示す部分にメタルシールaが施されている。このときリヤフェンダ100の起立壁105、水平壁101a及び垂直壁101bに沿うホイールハウスアウタ1の側縁部3b,3g及び3cの重ね部分はスポット溶接されることなくメタルシールを介した面結合となっている。このように面結合することにより、側縁部3b,3g及び3cの重ね部分のシール性を向上させることができる。
【0022】また、図4はホイールハウスアウタ1をリヤフェンダ100に組付けた状態の断面図を示し、ホイールハウスアウタ1のフランジ部6にホイールハウスインナ104のフランジ部104aをスポット溶接により結合してホイールハウスが構成されている。
【0023】以上のように構成されたホイールハウスアウタ1はフランジ部4と5との間がフランジ部を切欠かれて不連続となっているので、方向の異なるフランジ部の交差部が無くなり、両フランジ部4,5間の設定距離d(図2参照)を小さくしても、フランジ部4,5を容易にたてることができる。
【0024】このためホイールハウスアウタ1の組付け後のスポットフランジ部の後退量dは図5に示すよう従来の後退量Dに比べて顕著に小さくすることができ、スポット溶接Sの間隔lが狭くなって結合剛性、及び耐久性が向上するので、リヤフェンダ100の板厚を低減してコストダウン及び軽量化を達成できる。
【0025】また、メタルシールaの全長がスポットフランジ部の後退量dが小さくなった分短かくなるので、作業性の向上と共にコストダウンを図ることができる。
【0026】さらに、換気用ドラフター102の設置スペースがスポットフランジ部の後退量dが小さくなった分拡大し(図面上従来のドラフタースペース102の左限を点線で示す)、換気、エアタイト及びドア閉じ性能の向上が図れると共に、ドラフターを片側のみに設置したりあるいは小型化することも可能となり、コスト及び重量の低減をも可能となる。
【0027】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、フルバンパーの先端部が配置される車巾方向内側への折曲部を含むリヤフェンダと、フランジ部を有しないで前記折曲部を含むリヤフェンダの側面形状に沿うように形成されたホイールハウスアウタの側縁部とがメタルシールを介して面結合した結合構造となっているので、前記ホイールハウスアウタの側縁部には、方向の異なる2つのフランジ部の交差部が現出することがなく、前記側縁部の両側に形成されるスポットフランジ部の間隔を狭く(スポットフランジ部の後退量を小さく)設計しても両フランジを容易にたてることができる。
【0028】これにより本発明の結合構造は、スポットフランジ部の後退量の小さい結合構造とすることができ、■スポット溶接の間隔が狭くなって結合剛性及び耐久性が向上するので、リヤフェンダの板厚を低減してコストダウン及び軽量化が可能となること、■メタルシールの全長が短かくなって作業性の向上と共にコストダウンを図ることができること、及び、■換気用ドラフターの設置スペースが拡大し、換気、エアタイト及びドア閉じ性能の向上が図れると共に、ドラフターを片側のみに設置したりあるいは小型化することも可能となり、コスト及び重量の低減をも可能となること、等の効果を奏する。
【0029】また、本発明の結合構造によれば、ホイールハウスアウタの側縁部が折曲部を含むリヤフェンダにスポットフランジ部から連続するメタルシールを介して面結合しているので、この結合部分がシール性の向上したものとなっている。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施例のホイールハウスアウタの部分斜視図である。
【図2】一実施例のリヤフェンダの部分斜視図である。
【図3】図1及び図2のホイールハウスアウタ及びリヤフェンダの重合部分の概略説明図である。
【図4】図3のIV−IV線に沿う組付構造の断面図である。
【図5】一実施例のホイールハウスアウタの結合構造の概略説明図である。
【図6】フルバンパーの先端部が配置されるリヤ部分の概略説明図である。
【図7】従来のリヤフェンダの部分斜視図である。
【図8】従来のホイールハウスアウタの部分斜視図である。
【図9】図7及び図8のリヤフェンダ及びホイールハウスアウタの重合部分の概略説明図である。
【図10】図9のX−X線に沿う組付構造の断面図である。
【図11】従来のホイールハウスアウタの結合構造の概略説明図である。
【符号の説明】
1 ホイールハウスアウタ
3a,3b,3c,3g 側縁部
4,5 フランジ部(ホイールハウスアウタ側のスポットフランジ部)
100 リヤフェンダ
101 折曲部(リヤフェンダの)
106,107 フランジ部(リヤフェンダ側のスポットフランジ部)
A フルバンパー
A1 先端部(フルバンパーの)
a メタルシール
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、フルバンパーの先端部が配置される折曲部を有するリヤフェンダに対する自動車用ホイールハウスアウタの結合構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、車両には図6に示すように高級感を付与することを目的の一つとしてフルバンパーAを装着する場合が多い。このときフルバンパーAの先端部A1 が配置されるリヤフェンダ100の部分はL字状に内側に折曲されて折曲部101を形成している。この折曲部101には通常換気用ドラフター102が設けられている。
【0003】このリヤフェンダ100の内側にはホイールハウスアウタ103(図8参照)が結合され、かつこのホイールハウスアウタ103にホイールハウスインナ104(図10参照)が結合されてホイールハウスが形成されている。
【0004】リヤフェンダ100は図7に示すように起立壁105の下端部に折曲部101が形成されており、起立壁105及び折曲部101の垂直壁101bには車巾方向内側へ直角に折曲され、かつホイールハウスアウタ103の前後方向の弯曲度合に合致するように弯曲させてフランジ部106及び107が形成されて構成されている。このときフランジ部107はフランジ部106からDだけ後退した位置に設けられている。
【0005】一方、ホイールハウスアウタ103は図8に示すように巾広部と巾狭部を有する板体を車体の前後方向に弯曲させると共に車巾方向に緩やかに弯曲させて形成した本体103aと、この本体103aの一側縁に沿って起立形成したフランジ部103bと、本体103aの他側縁部108から内方へ直角状に折曲形成したフランジ部103c,103d及び103eとから形成されている。この他側縁部108はフランジ部103bとは逆方向へ折曲して形成されており、本体103aの巾広部に形成された側縁部108aと、その巾狭部に形成された側縁部108c、側縁部108aと108cを連続させる側縁部108bとからなり、前記したフランジ部103c,103d及び103eはそれぞれ側縁部108a,108b及び108cに形成されている。
【0006】そしてホイールハウスアウタ103は図7の2点鎖線で示すようにそのフランジ部103c,103d及び103eをそれぞれリヤフェンダ100のフランジ部106、折曲部101の水平壁101a、及びフランジ部107上にメタルシールを介して重ね、フランジ部106,103c、及びフランジ部107,103eの各重ね部分をスポット溶接してリヤフェンダ100に結合されている。この結合部分は図9に示す通りとなり、波線で示す部分にメタルシールaが施されている。このとき折曲部101の水平壁101aとフランジ部103dの重ね部分はスポット溶接されることなくメタルシールのみとなっている。また、図10はホイールハウスアウタ103をリヤフェンダ100に組付けた状態の断面図を示し、ホイールハウスアウタ103はそのフランジ部103bをフランジ部104aに結合させてホイールハウスインナ104に結合している。
【0007】このように従来のホイールハウスアウタ103はその側縁部108の全周に形成されたフランジ部103c,103d、及び103eをリヤフェンダ100に結合される結合構造となっている。
【0008】なお、組付後のフランジ部106及び107はホイールハウスオープニングのフランジ部を構成する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら従来のホイールハウスアウタ103は図8に示すように方向の異なるフランジ部103cと103dの交差部b及びフランジ部103dと103eの交差部cとを有し、この交差部b,cを良好に加工するためには両交差部b,cを連続するフランジ部103dを大きく弯曲させて、交差部b,c間(図7の距離D)をできるだけ離隔させる必要がある。これは交差部b,cの部位は方向の異なるフランジ部をたてる為めプレス成形時に曲げ成形が局部的に集中し、交差部b,c間距離Dが短いと複雑な形状に成形されてしぼりきれないからである。
【0010】このため従来のホイールハウスアウタ103の結合構造は図11に示すスポットフランジ部の後退量(交差部b,c間の距離Dに相当)が大きくなり、
【0011】本発明は、このような従来の問題点に着目してなされたものであり、その目的はスポットフランジ部の後退量を小さくして上記問題点を解決した自動車用ホイールハウスアウタの結合構造を提供するにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は前記した目的を達成するため、フルバンパーの先端部が配置される車巾方向内側への折曲部を有するリヤフェンダと、ホイールハウスアウタとがスポットフランジ部を介し、前記折曲部を含んで結合されている自動車用ホイールハウスアウタの結合構造であって、前記ホイールハウスアウタに前記スポットフランジ部に連続し、かつ前記折曲部を含むリヤフェンダの側面形状に沿う側縁部を形成し、前記折曲部を含むリヤフェンダと前記ホイールハウスアウタの側縁部とが、前記スポットフランジ部から連続するメタルシールを介して面結合していることを特徴としている。
【0013】
【作用】本発明は、フランジ部を有しないホイールハウスアウタの側縁部を、折曲部を含むリヤフェンダに面結合させるようにしたので、方向の異なるフランジ部同士の交差部が無くなりホイールハウスアウタの成形性が向上し、スポットフランジ部の後退量を小さくしても容易に成形できる。
【0014】また、本発明はホイールハウスアウタの側縁部と、折曲部を含むリヤフェンダとの結合がスポットフランジ部から連続するメタルシールを介して面結合としたので結合部分のシール性を向上させることができる。
【0015】
【実施例】以下、本発明を図示した実施例に基づいて具体的に説明する。
【0016】図1は一実施例としてのホイールハウスアウタ1を示す。このホイールハウスアウタ1は巾広部2aと巾狭部2bとを有する板体を車体の前後方向に弯曲させると共に車巾方向に緩やかに弯曲させて形成した本体2と、この本体2の一側縁部を折曲させて巾広部2a部分に形成した側縁部3a,3b及び巾狭部2b部分に形成した側縁部3c,3dと、これら側縁部3a,3b及び3c,3dに略直角に形成されたスポットフランジ部としてのフランジ部4及び5と、本体2の他側縁部に形成したフランジ部6とを有して構成されている。このとき側縁部3bは段差部3eを介して側縁部3aよりも外方へ突出して形成されており、側縁部3dは段差部3fを介して側縁部3cよりも内方へ引き込まれて形成されている。そして側縁部3bと側縁部3cは巾広部2aと巾狭部2bとの境界部に形成された側縁部3gで連続して、これら側縁部3b,3g及び3cの連続した側面が折曲部101を含むリヤフェンダ100の側面形状、すなわち起立壁105、水平壁101a及び垂直壁101bの連続した側面形状(図2参照)に沿うように形成されている。
【0017】また、フランジ部4と5は不連続に形成されており、フランジ部4と5の間の側縁部3b,3g及び3cにはフランジ部が切欠かれている。
【0018】一方、リヤフェンダ100は図2に示すように前述した従来のリヤフェンダと略同一となっており、同一符号を付して説明する。
【0019】すなわち、リヤフェンダ100にはその起立壁105の下端部にフルバンパーAの先端部A1 が配置される折曲部101が水平壁101aと垂直壁101bとを有して略L字形に形成されており、かつ起立壁105及び垂直壁101bにはホイールハウスアウタ1の前後方向の弯曲度合いに合致するように弯曲させてスポットフランジ部としてのフランジ部106及び107がそれぞれ形成されている。このときフランジ部107は水平壁101aに連続するフランジ部106の終端106aから小さな後退量d(<<従来の後退量D)だけ後退して形成されている。
【0020】そしてホイールハウスアウタ1は図2の2点鎖線で示すようにそのフランジ部4及び5をそれぞれリヤフェンダ100のフランジ部106及び107上にメタルシールを介して重ね、かつその側縁部3b,3g及び3cをそれぞれリヤフェンダ100の起立壁105、水平壁101a及び垂直壁101b上にメタルシールを介して重ね、フランジ部4,106及びフランジ部5,107の各重ね部分をスポット溶接してリヤフェンダ100に結合される。このとき側縁部3a及び3dはそれぞれ従来のホイールハウスアウタ103の側縁部108a及び108cと同一位置に位置しており、他の側縁部3b及び3cはそれぞれ段差部3e及び3fを介してリヤフェンダ100側へ寄った位置に形成されて側縁部3gと併せて折曲部101を含むリヤフェンダ100の側面形状に沿うように形成されている。
【0021】これらフランジ部及び側縁部の重ね部分は図3に示す通りとなり、波線で示す部分にメタルシールaが施されている。このときリヤフェンダ100の起立壁105、水平壁101a及び垂直壁101bに沿うホイールハウスアウタ1の側縁部3b,3g及び3cの重ね部分はスポット溶接されることなくメタルシールを介した面結合となっている。このように面結合することにより、側縁部3b,3g及び3cの重ね部分のシール性を向上させることができる。
【0022】また、図4はホイールハウスアウタ1をリヤフェンダ100に組付けた状態の断面図を示し、ホイールハウスアウタ1のフランジ部6にホイールハウスインナ104のフランジ部104aをスポット溶接により結合してホイールハウスが構成されている。
【0023】以上のように構成されたホイールハウスアウタ1はフランジ部4と5との間がフランジ部を切欠かれて不連続となっているので、方向の異なるフランジ部の交差部が無くなり、両フランジ部4,5間の設定距離d(図2参照)を小さくしても、フランジ部4,5を容易にたてることができる。
【0024】このためホイールハウスアウタ1の組付け後のスポットフランジ部の後退量dは図5に示すよう従来の後退量Dに比べて顕著に小さくすることができ、スポット溶接Sの間隔lが狭くなって結合剛性、及び耐久性が向上するので、リヤフェンダ100の板厚を低減してコストダウン及び軽量化を達成できる。
【0025】また、メタルシールaの全長がスポットフランジ部の後退量dが小さくなった分短かくなるので、作業性の向上と共にコストダウンを図ることができる。
【0026】さらに、換気用ドラフター102の設置スペースがスポットフランジ部の後退量dが小さくなった分拡大し(図面上従来のドラフタースペース102の左限を点線で示す)、換気、エアタイト及びドア閉じ性能の向上が図れると共に、ドラフターを片側のみに設置したりあるいは小型化することも可能となり、コスト及び重量の低減をも可能となる。
【0027】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、フルバンパーの先端部が配置される車巾方向内側への折曲部を含むリヤフェンダと、フランジ部を有しないで前記折曲部を含むリヤフェンダの側面形状に沿うように形成されたホイールハウスアウタの側縁部とがメタルシールを介して面結合した結合構造となっているので、前記ホイールハウスアウタの側縁部には、方向の異なる2つのフランジ部の交差部が現出することがなく、前記側縁部の両側に形成されるスポットフランジ部の間隔を狭く(スポットフランジ部の後退量を小さく)設計しても両フランジを容易にたてることができる。
【0028】これにより本発明の結合構造は、スポットフランジ部の後退量の小さい結合構造とすることができ、
【0029】また、本発明の結合構造によれば、ホイールハウスアウタの側縁部が折曲部を含むリヤフェンダにスポットフランジ部から連続するメタルシールを介して面結合しているので、この結合部分がシール性の向上したものとなっている。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施例のホイールハウスアウタの部分斜視図である。
【図2】一実施例のリヤフェンダの部分斜視図である。
【図3】図1及び図2のホイールハウスアウタ及びリヤフェンダの重合部分の概略説明図である。
【図4】図3のIV−IV線に沿う組付構造の断面図である。
【図5】一実施例のホイールハウスアウタの結合構造の概略説明図である。
【図6】フルバンパーの先端部が配置されるリヤ部分の概略説明図である。
【図7】従来のリヤフェンダの部分斜視図である。
【図8】従来のホイールハウスアウタの部分斜視図である。
【図9】図7及び図8のリヤフェンダ及びホイールハウスアウタの重合部分の概略説明図である。
【図10】図9のX−X線に沿う組付構造の断面図である。
【図11】従来のホイールハウスアウタの結合構造の概略説明図である。
【符号の説明】
1 ホイールハウスアウタ
3a,3b,3c,3g 側縁部
4,5 フランジ部(ホイールハウスアウタ側のスポットフランジ部)
100 リヤフェンダ
101 折曲部(リヤフェンダの)
106,107 フランジ部(リヤフェンダ側のスポットフランジ部)
A フルバンパー
A1 先端部(フルバンパーの)
a メタルシール
【特許請求の範囲】
【請求項1】 フルバンパーの先端部が配置される車巾方向内側への折曲部を有するリヤフェンダと、ホイールハウスアウタとがスポットフランジ部を介し、前記折曲部を含んで結合されている自動車用ホイールハウスアウタの結合構造であって、前記ホイールハウスアウタに、前記スポットフランジ部に連続し、かつ前記折曲部を含むリヤフェンダの側面形状に沿う側縁部を形成し、前記折曲部を含むリヤフェンダと前記ホイールハウスアウタの側縁部とが、前記スポットフランジ部から連続するメタルシールを介して面結合していることを特徴とする自動車用ホイールハウスアウタの結合構造。
【請求項1】 フルバンパーの先端部が配置される車巾方向内側への折曲部を有するリヤフェンダと、ホイールハウスアウタとがスポットフランジ部を介し、前記折曲部を含んで結合されている自動車用ホイールハウスアウタの結合構造であって、前記ホイールハウスアウタに、前記スポットフランジ部に連続し、かつ前記折曲部を含むリヤフェンダの側面形状に沿う側縁部を形成し、前記折曲部を含むリヤフェンダと前記ホイールハウスアウタの側縁部とが、前記スポットフランジ部から連続するメタルシールを介して面結合していることを特徴とする自動車用ホイールハウスアウタの結合構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図10】
【図11】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図10】
【図11】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開平7−17433
【公開日】平成7年(1995)1月20日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平5−166843
【出願日】平成5年(1993)7月6日
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【公開日】平成7年(1995)1月20日
【国際特許分類】
【出願日】平成5年(1993)7月6日
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
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