説明

自動車用雨除け具

【課題】自動車に任意に取り付けられて当該自動車への搭乗員の乗降時の雨除けをより確実に図ることができる自動車用雨除け具を提供する。
【解決手段】自動車に任意に取り付けられて当該自動車への搭乗員の乗降時の雨除けを図ることができる自動車用雨除け具であって、自動車における開状態のドアDと車体の屋根部Rとの間に敷設可能とされ、防水性を有するシート状部材1と、該シート状部材1の縁部に固定され、磁気を生じて車体の屋根部Rに吸着可能な磁気発生手段2とを具備したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車に任意に取り付けられて当該自動車への搭乗員の乗降時の雨除けを図ることができる自動車用雨除け具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
雨天においては、通常、運転者等の搭乗員が汎用の傘を片手に持ちつつドアを開状態とし、自動車への乗降が行われていた。然るに、乗降動作と傘の開閉動作とを同時に行わなければならないため、すばやい動作が必要であった。特に、乗車時は、体だけでなく濡れた傘を車内に入れるため、慌てて乗車すればする程、シートや衣服、車室内の思わぬ部分に傘が接触して濡れてしまうことがあり、不快な思いをすることとなる。尚、かかる先行技術は、文献公知発明に係るものでないため、記載すべき先行技術文献情報はない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記した不具合を解決すべく、本出願人は、自動車の乗降時、乗降動作と傘の開閉動作とを同時にすばやく行わなくても、通常の動作で、シートや体、車室内が濡れてしまうのを抑制することができる自動車用雨除け具を検討するに至った。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、自動車に任意に取り付けられて当該自動車への搭乗員の乗降時の雨除けをより確実に図ることができる自動車用雨除け具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明は、自動車に任意に取り付けられて当該自動車への搭乗員の乗降時の雨除けを図ることができる自動車用雨除け具であって、自動車における開状態のドアと車体の屋根部との間に敷設可能とされ、防水加工が施されたシート状部材と、該シート状部材の縁部に固定され、磁気を生じて前記車体の屋根部に吸着可能な磁気発生手段とを具備したことを特徴とする。
【0006】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の自動車用雨除け具において、前記磁気発生手段は、柔軟性を有する被覆部材で表面が覆われたことを特徴とする。
【0007】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の自動車用雨除け具において、前記磁気発生手段は、ゴムと磁性材料とを混ぜ合わせて成形して成ることにより柔軟性を有したものであることを特徴とする。
【0008】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3の何れか1つに記載の自動車用雨除け具において、前記シート状部材における前記磁気発生手段の固定位置と対辺側に吸盤が形成されたことを特徴とする。
【0009】
請求項5記載の発明は、請求項1〜4の何れか1つに記載の自動車用雨除け具において、前記シート状部材は、所定形状に形成された金属製の柔軟なフレームに最外縁部が固定され、折り畳み可能とされたことを特徴とする。
【0010】
請求項6記載の発明は、請求項1〜5の何れか1つに記載の自動車用雨除け具において、前記シート状部材における前記磁気発生手段が固定された側に目印が形成されたことを特徴とする。
【0011】
請求項7記載の発明は、請求項1〜6の何れか1つに記載の自動車用雨除け具において、前記シート状部材が遮光処理を施して成るものとされ、日除け具を兼用し得るものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、磁気発生手段を車体の屋根部に吸着させることによりシート状部材を自動車における開状態のドアと車体の屋根部との間に敷設可能とされたので、当該シート状部材の脱着をより容易とすることができ、自動車に任意に取り付けられて当該自動車への搭乗員の乗降時の雨除けをより確実に図ることができる。
【0013】
請求項2の発明によれば、磁気発生手段は、柔軟性を有する被覆部材で表面が覆われたので、磁気発生手段を車体の屋根部に吸着させる際、当該屋根部を傷つけてしまうのを抑制することができる。
【0014】
請求項3の発明によれば、磁気発生手段は、ゴムと磁性材料とを混ぜ合わせて成形して成ることにより柔軟性を有したものであるので、磁気発生手段を車体の屋根部に吸着させる際、当該屋根部を傷つけてしまうのを抑制することができるとともに、シート状部材の柔軟性を略全体に亘って維持させることができる。
【0015】
請求項4の発明によれば、シート状部材における磁気発生手段の固定位置と対辺側に吸盤が形成されたので、シート状部材を自動車における開状態のドアと車体の屋根部との間に敷設した状態で、車体の屋根部側を磁気発生手段にて固定させるとともに、ドア側を吸盤にて吸着固定させることができ、風等によりシート状部材が捲れてしまうのを回避することができる。
【0016】
請求項5の発明によれば、シート状部材は、所定形状に形成された金属製の柔軟なフレームに最外縁部が固定され、折り畳み可能とされたので、持ち運びの際の携帯が容易とされるとともに、折り畳んで別個の収納袋等に収納させることもできる。
【0017】
請求項6の発明によれば、シート状部材における磁気発生手段が固定された側に目印が形成されたので、当該目印がある部位を最適把持させることができ、自動車用雨除け具の車体への取付け作業をより容易且つ確実に行わせることができる。
【0018】
請求項7の発明によれば、シート状部材が遮光処理を施して成るものとされ、日除け具を兼用し得るものであるので、雨除け具と日除け具とを別個用意する必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態に係る自動車用雨除け具を示す平面図
【図2】同自動車用雨除け具を示す正面図
【図3】図1におけるIII−III線断面図
【図4】同自動車用雨除け具における磁気発生手段を示す断面模式図
【図5】同自動車用雨除け具を自動車に取り付けた状態を示す模式図
【図6】同自動車用雨除け具を自動車に取り付けた状態を示す拡大模式図
【図7】同自動車用雨除け具を折り畳んだ状態を示す模式図
【図8】同自動車用雨除け具を折り畳んだ状態であって目印の形成位置を示す模式図
【図9】本発明の他の実施形態(シート状部材の形状が異なるもの)に係る自動車用雨除け具を示す平面図
【図10】同他の実施形態に係る自動車用雨除け具を示す正面図
【図11】本発明の他の実施形態(磁気発生手段が柔軟性を有したもの)に係る自動車用雨除け具を示す平面図
【図12】同他の実施形態に係る自動車用雨除け具における磁気発生手段を示す断面模式図
【図13】本発明の他の実施形態(磁気発生手段が柔軟性を有したもの)に係る自動車用雨除け具を示す平面図
【図14】同他の実施形態に係る自動車用雨除け具における磁気発生手段を示す断面模式図
【図15】本発明の他の実施形態(磁気発生手段をシート状部材の全周縁に亘って形成したもの)に係る自動車用雨除け具を示す平面図
【図16】本発明の他の実施形態(吸盤が形成されたゴムバンドの両端がシート状部材の隣り合う2辺にそれぞれ固定され、当該吸盤の位置が可変とされたもの)に係る自動車用雨除け具を示す平面図
【図17】同他の実施形態に係る自動車用雨除け具を示す正面図
【図18】同他の自動車用雨除け具を自動車に取り付けた状態を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係る自動車用雨除け具は、自動車に任意に取り付けられて当該自動車への搭乗員の乗降時の雨除けを図ることができるものであり、図1〜4に示すように、可撓性を有したシート状部材1と、磁石から成る磁気発生手段2と、金属製のフレーム3(樹脂製等他の材質のものであってもよい)とを主に具備している。
【0021】
シート状部材1は、図5、6に示すように、自動車における開状態のドアDと車体の屋根部R(閉状態のドアD近傍における屋根部R)との間に敷設可能とされたもので、防水性を有したものである。然るに、シート状部材1は、自動車の開状態のドアDと屋根部Rとの間で広げられ得る大きさ及び形状とされている。尚、シート状部材1は、防水性を有していれば足り、当該シート状部材1の素材が防水機能を有したもの、或いは防水加工を施したものの何れであってもよい。防水加工を施すものとした場合、例えば防水塗料の塗布が挙げられる。
【0022】
磁気発生手段2は、シート状部材1の縁部(図1、2中右側縁部)に固定され、磁気を生じて車体の屋根部Rに吸着可能とされたものであり、本実施形態においては4つ固定されている。それぞれの磁気発生手段2は、図3に示すように、シート状部材1の表面に縫い付けられた覆い部1d内に収容されて固定されている。尚、覆い部1dとシート状部材1との接着は、本実施形態の如く縫合に限定されるものではなく、例えば熱溶着等による接着であってもよい。また、覆い部1dは、シート状部材1の表面又は裏面の何れに固定されるものであってもよい。更に、本実施形態における磁気発生手段2は、柔軟性を有する被覆部材2b(ゴムコーティング等)で表面が覆われた磁石2aとされている。従って、磁気発生手段2を車体の屋根部Rに吸着させる際、当該屋根部Rを傷つけてしまうのを抑制することができる。
【0023】
一方、シート状部材1には、ゴムバンド1a、1bがそれぞれ取り付けられており、そのうちゴムバンド1bの先端には吸盤4が形成されている。かかる吸盤4は、シート状部材1における磁気発生手段2の固定位置と対辺側(図1、2中左縁部)に形成されており、図5、6に示すように、シート状部材1が自動車に取り付けられた際、ドアDの窓ガラスの外側面(又は内側面)に吸着可能とされている。
【0024】
これにより、シート状部材1を自動車における開状態のドアDと車体の屋根部Rとの間に敷設した状態で、車体の屋根部R側を磁気発生手段2にて固定させるとともに、ドアD側を吸盤4にて吸着固定させることができ、風等によりシート状部材1が捲れてしまうのを回避することができる。また、吸盤4は、ゴムバンド1bを介してシート状部材1に取り付けられているので、当該吸盤4による吸着位置を所望位置まで伸ばすことができる。
【0025】
更に、シート状部材1は、所定形状に形成された金属製又は樹脂製の柔軟なフレーム3に最外縁部が固定され、図7、8に示すように、折り畳み可能とされている。かかるフレーム3は、図3に示すように、シート状部材1の縁端を覆うバイアステープ1c内に取り付けられた板状のものから成り、当該シート状部材1を広げた際の外輪郭を成すものとされている。これにより、持ち運びの際の携帯が容易とされるとともに、折り畳んで別個の収納袋等に収納させることもできる。尚、折り畳んだ状態をゴムバンド1aで保持させることができるよう構成されている。
【0026】
尚、図8に示すように、シート状部材1を折り畳んだ際、当該シート状部材1における磁気発生手段2が固定された側に目印5が形成されている。かかる目印5は、例えば所定の色でペイントされたペイント部、粘着テープ等を粘着させた部位等、目視にて判別できるものであれば、何れのものであってもよい。これにより、目印5がある部位を把持させることができ、乗車時の最適グリップ位置を明示して、片手で自動車用雨除け具の車体への取付け作業をより容易且つ確実に行わせることができる。即ち、折り畳んだ状態では、磁気発生手段2の形成部位(形成部位の中央近傍)を目視することができないため、これを明示して把持させることにより、目印5部を把持した片手を車外へ出して折り畳んだ状態から広げた状態とすれば、確実に磁気発生手段2を屋根部Rに取り付けることができるのである。
【0027】
また更に、本実施形態においては、シート状部材1が防水処理に加えて遮光処理を施して成るものとされ、日除け具を兼用し得るものとされている。かかる遮光処理として、例えば遮光塗料の塗布や暗色塗料の塗布等が挙げられる。尚、日除け具として使用する際には、フロントガラスの内側に固定させて使用するのが好ましい。これにより、雨除け具と日除け具とを別個用意する必要がない。
【0028】
上記実施形態によれば、磁気発生手段2を車体の屋根部Rに吸着させることによりシート状部材1を自動車における開状態のドアDと車体の屋根部Rとの間に敷設可能とされたので、当該シート状部材1の脱着をより容易とすることができ、自動車に任意に取り付けられて当該自動車への搭乗員の乗降時の雨除けをより確実に図ることができる。尚、吸盤4を具備しなくてもよく、その場合、ドアD側は当該ドアDの上縁部に載置させるものとするのが好ましい。
【0029】
シート状部材1の全体形状(平面形状)は、自動車における開状態のドアDと車体の屋根部Rとの間に敷設可能であれば何れのものであってもよく、例えば図9に示すように、略矩形状のものであってもよい。尚、磁気発生手段2は、4個に限定されるものではなく、単数、2〜3個、5個以上であってもよく、その形状は何れのものであってもよい。また、磁気発生手段2として、柔軟性を有した所謂ラバーマグネットを用いるようにしてもよい。
【0030】
例えば、図11〜図14に示すように、ゴムと磁性材料とを混ぜ合わせて成形して成ることにより柔軟性を有したラバーマグネット2’を用いた場合、磁気発生手段2を車体の屋根部Rに吸着させる際、当該屋根部Rを傷つけてしまうのを抑制することができるとともに、シート状部材1の柔軟性を略全体に亘って維持させることができる。尚、図11、12は、ラバーマグネット2’を2つ形成した平面図及びそのラバーマグネット2’の断面図を示しており、図13、14は、ラバーマグネット2’を1つ形成した平面図及びそのラバーマグネット2’の断面図を示している。
【0031】
以上、本実施形態に係る自動車用雨除け具について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば図15に示すように、磁気発生手段2をシート状部材1の全周縁に亘って形成するようにしてもよい。また、シート状部材1の大きさ及び形状、更には材質等については防水機能が保持されれば何れのものであってもよく、表面に文字や柄等を表示するようにしてもよい。
【0032】
また更に、例えば図16、17に示すように、吸盤4が形成されたゴムバンド1b’の両端がシート状部材1の隣り合う2辺にそれぞれ固定され、当該吸盤4が当該ゴムバンド1b’に沿って移動してその位置が可変とされたものとしてもよい。かかる自動車用雨除け具によれば、図18に示すように、自動車に取り付けた際、シート状部材1の2辺から延びるゴムバンド1b’に吸盤4が形成されているので、安定してドアDの窓ガラスに吸着させることができ、風が吹いてシート状部材1が捲れてしまうのをより確実に防止することができる。また、吸盤4が移動して吸着位置が可変とされているので、種々形態の自動車に適用させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
自動車における開状態のドアと車体の屋根部との間に敷設可能とされ、防水加工が施されたシート状部材と、該シート状部材の縁部に固定され、磁気を生じて車体の屋根部に吸着可能な磁気発生手段とを具備した自動車用雨除け具であれば、外観形状が異なるもの或いは他の機能が付加されたもの等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0034】
1 シート状部材
2 磁気発生手段
3 フレーム
4 吸盤
5 目印
D ドア
R 屋根部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車に任意に取り付けられて当該自動車への搭乗員の乗降時の雨除けを図ることができる自動車用雨除け具であって、
自動車における開状態のドアと車体の屋根部との間に敷設可能とされ、防水性を有するシート状部材と、
該シート状部材の縁部に固定され、磁気を生じて前記車体の屋根部に吸着可能な磁気発生手段と、
を具備したことを特徴とする自動車用雨除け具。
【請求項2】
前記磁気発生手段は、柔軟性を有する被覆部材で表面が覆われたことを特徴とする請求項1記載の自動車用雨除け具。
【請求項3】
前記磁気発生手段は、ゴムと磁性材料とを混ぜ合わせて成形して成ることにより柔軟性を有したものであることを特徴とする請求項1記載の自動車用雨除け具。
【請求項4】
前記シート状部材における前記磁気発生手段の固定位置と対辺側に吸盤が形成されたことを特徴とする請求項1〜3の何れか1つに記載の自動車用雨除け具。
【請求項5】
前記シート状部材は、所定形状に形成された金属製の柔軟なフレームに最外縁部が固定され、折り畳み可能とされたことを特徴とする請求項1〜4の何れか1つに記載の自動車用雨除け具。
【請求項6】
前記シート状部材における前記磁気発生手段が固定された側に目印が形成されたことを特徴とする請求項1〜5の何れか1つに記載の自動車用雨除け具。
【請求項7】
前記シート状部材が遮光処理を施して成るものとされ、日除け具を兼用し得るものであることを特徴とする請求項1〜6の何れか1つに記載の自動車用雨除け具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−184591(P2010−184591A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−29855(P2009−29855)
【出願日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(000102348)エイケン工業株式会社 (14)