自動車窓ガラス用ダム
【課題】 二枚のパネルの長手方向の末端部同士を上下に重ねて接合したことにより、その接合部分に段差部が形成されている受け面に、窓ガラスを接着剤によって固定するにあたり、その接着剤の漏出を防止するダムを提供する。
【解決手段】
このダム10は、微発泡スポンジ材で形成された断面逆台形状で、その下面に凹部12を形成した本体部11を備える。また、高発泡スポンジ材で形成され、略上半部が前記本体部11の凹部12に収納された状態で一体成形されると共に、略下半部が露出し、パネル3の受け面2に当接して接着剤5の露出を防止するシール部13を備える。段差部が形成されている箇所においては、シール部の下端部を段差部に密接させて隙間をなくし、接着剤の漏出を防止する。
【解決手段】
このダム10は、微発泡スポンジ材で形成された断面逆台形状で、その下面に凹部12を形成した本体部11を備える。また、高発泡スポンジ材で形成され、略上半部が前記本体部11の凹部12に収納された状態で一体成形されると共に、略下半部が露出し、パネル3の受け面2に当接して接着剤5の露出を防止するシール部13を備える。段差部が形成されている箇所においては、シール部の下端部を段差部に密接させて隙間をなくし、接着剤の漏出を防止する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のフロントガラスやリヤガラスなどの窓ガラスを、ボディパネルなどに固定する際に使用するダムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図1乃至図6を参照して説明する。自動車の例えばフロントガラスやリヤガラスなどの窓ガラス1には、ボディパネルの受け面2に接着剤5によって取付けられるものがある。こうした構成においては、接着剤5が接着箇所から漏出するのを防止するためにゴム製や樹脂製のダム20が設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このダム20は、通常の(微発泡または高発泡ではない(以下同じ))ゴム製または樹脂製で断面矩形状に形成し、その両側面の中間部に凹所21を設けると共に、下面に二つの脚部22を設けている。こうした形状に設定することによって、接着剤5の漏出を防止すると共に、図3に示すように、窓ガラス1に両面接着テープ7で接着した断面矩形状のダム30がコーナー部Cにおいて、その内周側Nが外周側Gに向かって斜め方向に傾倒するという、いわゆる転びの発生を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3301661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、この従来技術にあっては、図1の窓ガラス1の周縁において図4に示すように、窓穴周縁のボディパネル3の受け面2に段差部2aが発生した場合の対処については何らの考慮もされていない。すなわち、この受け面2は、窓ガラス1の外周端部(周縁)に沿って配置され、かつ、所定箇所で二枚のパネル3の長手方向Lの端部同士を上下に重ねて接合して形成されることがあるため、ボディパネルの上側に位置する上側パネル3bと、その下の下側パネル3aとの間で段差部2aが形成されることもある。
【0006】
こうした場合、従来のダム20は通常のゴム製または樹脂製であるため、その段差部2aに十分に対応することができず、図5および図6に示すように、受け面2との間に隙間Sが生じ(あるいは受け面2に対するシール性が低下してしまい)、そこから接着剤5が漏出してしまうといった問題が発生し易い。
【0007】
また、この従来技術では、ダム20を通常のゴム製または樹脂製としているために、例えば、自動車が悪路を走行した際の連続する振動によってダム20と受け面2との間でキシミ音が発生し易い。この現象は、受け面2に段差部2aが存在している場合と存在していない場合の双方において生じる。
【0008】
さらに、この従来技術は、ダム20に凹所21を形成することによって、コーナー部Cにおける転びを抑制しているものの、必ずしも十分ではなく、改善の余地が残されている。
【0009】
本発明は、こうした問題に鑑み創案されたもので、段差部が形成されている受け面に、窓ガラスを接着剤によって取付けるにあたり、その接着剤の漏出を未然に防止することができ、受け面との間でキシミ音が発生せず、さらに、コーナー部において転びが発生することのない自動車窓ガラス用のダムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
図1および図7乃至図11を参照して説明する。請求項1に記載の自動車窓ガラス用ダム10は、窓穴周縁のボディパネル3の受け面2に、窓ガラス1を接着剤5によって固定するにあたり、その接着剤5の漏出を防止するために前記受け面2と窓ガラス1との間に水密に設けられるものである。
【0011】
このダム10は、その受け面側の長手方向に沿って凹部12を形成した本体部11を備える。また、高発泡スポンジ材で形成され、前記本体部11の凹部12に収納された状態で一体成形されると共に受け面側に露出し、その露出部が受け面2に当接して、前記接着剤5の漏出を防止するシール部13よりなるものである。
【0012】
請求項2の発明に係る自動車窓ガラス用ダムは、請求項1の発明において、前記ダム10の本体部11が比重0.5〜1.4のソリッド材製又は微発泡スポンジ材製であり且つ断面四辺形で、その下面が受け面2に当接するものである。
【0013】
請求項3の発明に係る自動車窓ガラス用ダムは、請求項1または2の発明において、前記凹部12が断面台形状,逆台形状,矩形状のような四角形状や半円形状,半楕円形状,三角形状のいずれか一つである。
【0014】
請求項4の発明に係る自動車窓ガラス用ダムは、請求項1,2または3の発明において、前記凹部12は、前記ダム10の高さの1/5以上であることを特徴とするものである。
【0015】
請求項5の発明に係る自動車窓ガラス用ダム10は、窓周縁の二枚のボディパネル3の長手方向Lの末端部同士を上下に重ねて接合したことにより、その接合部分に段差部2aが形成されている受け面2に、窓ガラス1を接着剤5によって固定するにあたり、その接着剤5の漏出を防止するために前記受け面2と窓ガラス1との間に水密に設けられるものである。
【0016】
このダム10は、受け面側の長手方向に沿って凹部12を形成した本体部11を備える。また、高発泡スポンジ材で形成され、前記本体部11の凹部12に収納された状態で一体成形されると共に、受け面側に露出し、その露出部が、前記二枚のパネル3の内の下側に位置する下側パネル3aとオーバーラップする長さに設定されたシール部13を備える。
【0017】
そして、前記段差部2aが形成されている箇所においては、前記シール部13の下端部を前記段差部2aに密接させて隙間Sをなくし、前記接着剤5の漏出を防止するものである。
【0018】
請求項6の発明に係る自動車窓ガラス用ダム10は、窓穴周縁の二枚のボディパネル3の長手方向Lの末端部同士を上下に重ねて接合したことにより、その接合部分に段差部2aが形成されている受け面2に、窓ガラス1を接着剤5によって固定するにあたり、その接着剤5の漏出を防止するために前記受け面2と窓ガラス1との間に水密に設けられるものである。
【0019】
このダム10は、ソリッド材,より好ましくは微発泡スポンジ材で形成された断面逆台形状で、その受け面側の長手方向に沿って凹部12を形成した本体部11を備える。また、高発泡スポンジ材で形成され、略上半部が前記本体部11の凹部12に収納された状態で一体成形されると共に、受け面側に露出し、その露出部が、前記二枚のパネル3の内の下側に位置する下側パネル3aとオーバーラップする長さに設定されたシール部13を備える。
【0020】
そして、前記段差部2aが形成されている箇所においては、前記シール部13の下端部を前記段差部2aに密接させて隙間Sをなくし、前記接着剤5の漏出を防止するものである。
【0021】
また、前記凹部12を、前記本体部11の幅方向Wの全長または略全長にわたって形成し、さらに、前記シール部13を、前記本体部11下面の幅方向Wの全長または略全長にわたって設けている。
【発明の効果】
【0022】
請求項1に記載の自動車窓ガラス用ダム10は、本体部11の受け面側に設けたシール部13をパネル3に水密に弾接させることによって、接着剤5の漏出を未然に防止することができる。
【0023】
また、このダム10は、シール部13を高発泡スポンジ材で形成しているので柔軟性に富み、従って、自動車が悪路を走行する際の連続振動によっても、受け面2との摩擦に起因するキシミ音を発生させることがない。
【0024】
さらに、本体部11の下面に凹部12を形成したことにより、転びを効果的に防止することができる。これは、凹部12を形成したことによって本体部11の下部がさらに細くなって肉薄となるので、当該下部が受ける反力がさらに小さくなり、固定されていない下部の変形が小さくてすむ。この結果、図3のように外周側へ転ぶのではなく、下部の内周側は外周方向へ、そして下部の外周側は内周方向へ各々が反力を失う方向へ移動し下部の断面両端が近づくように変形する。
【0025】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、ダム10の本体部11が比重0.5〜1.4のソリッド材又は微発泡スポンジ材製で,好ましくは比重0.7〜1.1の微発泡スポンジ材製で且つ断面四辺形状で、その下面が受け面2に当接しており、優れたシール性を発揮する。
【0026】
請求項3の発明は、請求項1または2の発明において、前記凹部12が断面台形状,逆台形状,矩形状のような四角形状や半円形状,半楕円形状,三角形状のいずれか一つにしたもので、優れたシール性を発揮し且つ転びを効果的に防止することができる。
【0027】
請求項4の発明は、請求項1〜3の発明において、前記凹部12は、前記ダム10の高さの1/5以上としたもので、優れたシール性を発揮する。なお、好ましくは1/5〜4/5で、更に好ましくは1/4〜1/2である。この場合、1/5より低いとダムが転びやすく、4/5よりも高いと接着剤の漏出が起きやすく、ガラス1とパネル3の間隔をばらつかせてしまい好ましくない。
【0028】
請求項5の発明は、請求項1の発明の効果に加え、本体部11の下面に設けたシール部13を、その下端部が下側パネル3aとオーバーラップする程度の長さに設定したので、二枚のパネル3を上下に重ねて接合したことにより形成される段差部2aに、当該シール部13の下端部を侵入させて充填部Fを形成し、これを段差部2aに水密に弾接させることによって隙間Sの発生を阻止している。これにより、接着剤5の漏出を未然に防止することができる。
【0029】
また、このダム10は、シール部13を高発泡スポンジ材で形成しているので柔軟性に富み、従って、自動車が悪路を走行する際の連続振動によっても、受け面2との摩擦に起因するキシミ音を発生させることがない。
【0030】
請求項6に記載の自動車窓ガラス用ダム10も、請求項5に記載の発明と同様に、受け面2の段差部2aが存在する部分においても、接着剤5の漏出を未然に防止することができる。また、悪路走行におけるキシミ音を防止することができる。さらに、コーナー部Cにおけるダム10の転びを未然に防止することができる。
【0031】
また、このダム10は、凹部12を、本体部11の幅方向Wの全長または略全長にわたって形成し、シール部13を、本体部11下面の幅方向Wの全長または略全長にわたって設けているので、受け面2に密接する材料の全てまたは殆どを、当該シール部13を形成する高発泡スポンジとすることができ、これにより、受け面2に対する弾接をより水密なものとすることができる。従って、接着剤5の漏出をさらに確実に防止することができると共に、キシミ音の発生もさらに効果的に防止することができる。
【0032】
さらに、凹部12を、本体部11の幅方向Wの全長または略全長にわたって形成したことにより、本体部11の下部をより肉薄とすることができるので、コーナー部Cでの追従性をさらに高めることができ、ダム10の転びをさらに効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】ダムを取付けた自動車を示す斜視図である。
【図2】従来例に係るダムを示すもので、図1のX−X線断面図である。
【図3】他の従来例に係るダムの転びを説明する図である。
【図4】段差部が形成された受け面を示す断面図である。
【図5】従来例に係るダムを、段差部が形成された受け面に取付けた状態を示す図2のY−Y断面図である。
【図6】従来例に係るダムを、他の形態の段差部が形成された受け面に取付けた状態を示す断面図である。
【図7】本発明の実施形態に係るダムを示すもので、図1のX−X線断面図である。
【図8】本発明の実施形態に係るダムのシール部と下側パネルとのオーバーラップを示す断面図である。
【図9】本発明の実施形態に係るダムを、段差部が形成された受け面に取付けた状態を示す図7のZ−Z相当断面図である。
【図10】本発明に係るダムを、他の形態の段差部が形成された受け面に取付けた状態を示す図7のZ−Z相当断面図である。
【図11】本発明に係るダムの他の実施形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明に係る自動車窓ガラス用ダム10の実施形態を、図1、図7乃至図10に示す。このダム10は、二枚のパネル3の長手方向Lの末端部同士を上下に重ねて接合したことにより、その接合部分に、上側に位置する上側パネル3bと、その下側に位置する下側パネル3aとの間で段差部2aが形成されている受け面2に、窓ガラス1を接着剤5によって固定するにあたり、その接着剤5の漏出を防止するために受け面2と窓ガラス1との間に水密に設けられるものである。
【0035】
このダム10は、本体部11と、それに一体押出成形されたシール部13を備える。本体部11は、ゴム様弾性体、例えばEPDM製やウレタン製の比重0.5〜1.4程度で形成された断面形状が左右対称の逆台形状で、その下面に凹部12を備える。本実施形態における凹部12は、本体部11の幅方向Wのほぼ全長にわたって形成しており、その断面形状をほぼ半円状としている。
【0036】
シール部13は、同じくゴム様弾性体、例えばEPDM製やウレタン製の高発泡スポンジ材(比重0.05〜0.4程度)で形成され、そのほぼ上半部を本体部11の凹部12に収納した状態で一体成形すると共に、ほぼ下半部を露出させ、本体部11下面の幅方向Wの全長にわたって一体的に設けている。また、このシール部13は、その露出部が、段差部2aを形成する下側パネル3aとオーバーラップする長さに設定している。さらに、このシール部13は、その下半部もほぼ半円状としており、全体として断面形状が左右対称のほぼ円形状としている。
【0037】
本実施形態のダム10が配置される受け面2は、前記した構成に起因して、本体部11の直下に段差部2aが形成されている。また、本体部11と窓ガラス1とは両面接着テープ7によって接着している。接着剤5は、受け面2と、それに隣接するパネル3の縦壁部3vと、本体部11と、窓ガラス1との間に充填される。接着剤5の直下にも段差部2aが形成されている。窓ガラス1の周縁と、パネル3の縦壁部3vとの間は、モール材6によって密閉している。
【0038】
本実施形態におけるダム10は、微発泡スポンジ材製の本体部11の凹部12に、下端部が、段差部2aを形成する下側パネル3aにオーバーラップする長さを備えた高発泡スポンジ材製のシール部13を設けているので(図8参照)、そのシール部13が段差部2aに侵入して充填部Fを形成し、従来発生していた隙間Sをなくしている。これにより、接着剤5がダム10とシール面との間から漏出するのを未然に防止することができる。
【0039】
また、本実施形態では、凹部12を断面略半円状とし、シール部13を断面形状がほぼ円形状を成すように形成しているので、本体部11の断面両側端及びシール部13の最下点である幅方向Wの中間部分を段差部2aに集中的に強く密接させることができ、これによりシール性をさらに高めて接着剤5の漏出をより未然に防止することができる。
【0040】
また、高発泡スポンジ材であり柔軟性に優れたシール部13が受け面2に接しているので、例えば、悪路運転中における連続振動によっても、シール部13と受け面2との間のキシミ音は発生しない。なお、本体部11も微発泡スポンジ材で形成しているので、その下端部が部分的に受け面2に密接していても、同様に、キシミ音は発生しない。
【0041】
さらに、本実施形態におけるダム10は、その本体部11を断面逆台形状としているので、肉薄で撓み易い下部が、肉厚で撓み難い上部の反力によって受け面2に押し付けられることになる。これによって、本体部11はコーナー部Cの湾曲形状に良好に追従することができるため、ダム10の転びが発生しない。なお、ダム10の転びを防止することよっても、接着剤5の漏出を防止することができる。
【0042】
なお、コーナー部Cあるいは直線部において、想定外の外力によって本体部11が上方向に変形することがあったとしても、シール部13を下側パネル3aにオーバーラップする長さに設定しているので、受け面2に対するシール力は低下せず、よって、接着剤5の漏出を確実に防止することができる。
【0043】
また、本実施形態のダム10は、本体部11の下部に凹部12を形成してさらに肉薄としているので、より弾性変形し易く、従って、コーナー部Cにさらに確実に追従させることができる。これにより、転びの発生をさらに確実に防止して、接着剤5の漏出防止にも貢献する。
【0044】
なお、本実施形態における本体部11は微発泡スポンジ材で形成しているので、通常のゴム材や樹脂材と比較して、両面接着テープ7によって窓ガラス1に、より密に接着することができる。従って、窓ガラス1と本体部11との間から接着剤5が漏出するといった事態も未然に防止することができる。また、本体部11とそれに一体成形したシール部13を共に同一材料(ウレタン)で形成しているので、両者を強固に一体化させることができる。
【0045】
なお、本発明に係るダム10は、フロントガラスの取付けのみならず、リヤガラスやその他の固定タイプの窓ガラス1を取付ける際に使用することができる。 また、本発明における本体部11に形成される凹部12およびシール部13の形状は、上記実施形態のものに限定されるものではなく、例えば、図11に示すような形状とすることができる。
【0046】
図11(a)に示す凹部12は、本体部11下端部の中央部に断面半円状に形成したものであり、また、シール部13は、その上部を凹部12に収納した状態で、かつ、露出する下部を断面半円形状として本体部11の下端面全体を覆った状態で本体部11と一体成形している。図11(b)に示す凹部12は、同様に本体部11の下端部中央部に形成した断面矩形状としている。また、シール部13は、その上部が凹部12に収納され、露出する下部も矩形状を成し、本体部11の下端面を覆った状態で、本体部11と一体成形している。図11(c)に示す凹部12は、長方形状本体部11下端部の略全幅に半楕円状に形成したものであり、また、シール部13は、その上部を凹部12に収納した状態で、かつ、露出する下部を断面半楕円形状又は楕円の一側面が露出するようにして本体部11と一体成形している。図11(d)に示す凹部12は、断面逆台形状の本体部11の下端部に形成した断面隅を丸めた長方形状としている。また、シール部13は、その上部が凹部12に収納され、露出する下部も角を丸めた長方形状を成し、本体部11の下端面の少なくとも中央部分を覆った状態で、本体部11と一体成形している。図11(e)に示す凹部12は、断面逆台形状本体部11下端部の中央部に断面半円状に形成したものであり、また、シール部13は、その上部を凹部12に収納した状態で、かつ、露出する下部を断面半円形状としている。図11(f)に示す凹部12は、断面半台形状本体部11の下端部に形成した断面半楕円形状としている。また、シール部13は、その上部が凹部12に収納され、露出する下部は中央に半円状凸部を設け、本体部11と一体成形している。いずれも本体部11は断面四角形であり矩形,台形,逆台形のどれであってもよい。更に、図11の(a),(b)以外は、本体部11の断面両側端が受け面に接するよう設計されており、シール部13は少なくともその断面(幅方向)の中央部分が受け面に接する程度に露出していれば、本実施例の通りに限定されない。
【符号の説明】
【0047】
1 窓ガラス
2 受け面
2a 段差部
3 ボディパネル
3a 下側パネル
3b 上側パネル
3v 縦壁部
5 接着剤
6 モール材
7 両面接着テープ
10 ダム
11 本体部
12 凹部
13 シール部
20 ダム
21 凹所
22 脚部
30 ダム
C コーナー部
F 充填部
G 外周側
L 長手方向
N 内周側
S 隙間
W 幅方向
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のフロントガラスやリヤガラスなどの窓ガラスを、ボディパネルなどに固定する際に使用するダムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図1乃至図6を参照して説明する。自動車の例えばフロントガラスやリヤガラスなどの窓ガラス1には、ボディパネルの受け面2に接着剤5によって取付けられるものがある。こうした構成においては、接着剤5が接着箇所から漏出するのを防止するためにゴム製や樹脂製のダム20が設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このダム20は、通常の(微発泡または高発泡ではない(以下同じ))ゴム製または樹脂製で断面矩形状に形成し、その両側面の中間部に凹所21を設けると共に、下面に二つの脚部22を設けている。こうした形状に設定することによって、接着剤5の漏出を防止すると共に、図3に示すように、窓ガラス1に両面接着テープ7で接着した断面矩形状のダム30がコーナー部Cにおいて、その内周側Nが外周側Gに向かって斜め方向に傾倒するという、いわゆる転びの発生を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3301661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、この従来技術にあっては、図1の窓ガラス1の周縁において図4に示すように、窓穴周縁のボディパネル3の受け面2に段差部2aが発生した場合の対処については何らの考慮もされていない。すなわち、この受け面2は、窓ガラス1の外周端部(周縁)に沿って配置され、かつ、所定箇所で二枚のパネル3の長手方向Lの端部同士を上下に重ねて接合して形成されることがあるため、ボディパネルの上側に位置する上側パネル3bと、その下の下側パネル3aとの間で段差部2aが形成されることもある。
【0006】
こうした場合、従来のダム20は通常のゴム製または樹脂製であるため、その段差部2aに十分に対応することができず、図5および図6に示すように、受け面2との間に隙間Sが生じ(あるいは受け面2に対するシール性が低下してしまい)、そこから接着剤5が漏出してしまうといった問題が発生し易い。
【0007】
また、この従来技術では、ダム20を通常のゴム製または樹脂製としているために、例えば、自動車が悪路を走行した際の連続する振動によってダム20と受け面2との間でキシミ音が発生し易い。この現象は、受け面2に段差部2aが存在している場合と存在していない場合の双方において生じる。
【0008】
さらに、この従来技術は、ダム20に凹所21を形成することによって、コーナー部Cにおける転びを抑制しているものの、必ずしも十分ではなく、改善の余地が残されている。
【0009】
本発明は、こうした問題に鑑み創案されたもので、段差部が形成されている受け面に、窓ガラスを接着剤によって取付けるにあたり、その接着剤の漏出を未然に防止することができ、受け面との間でキシミ音が発生せず、さらに、コーナー部において転びが発生することのない自動車窓ガラス用のダムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
図1および図7乃至図11を参照して説明する。請求項1に記載の自動車窓ガラス用ダム10は、窓穴周縁のボディパネル3の受け面2に、窓ガラス1を接着剤5によって固定するにあたり、その接着剤5の漏出を防止するために前記受け面2と窓ガラス1との間に水密に設けられるものである。
【0011】
このダム10は、その受け面側の長手方向に沿って凹部12を形成した本体部11を備える。また、高発泡スポンジ材で形成され、前記本体部11の凹部12に収納された状態で一体成形されると共に受け面側に露出し、その露出部が受け面2に当接して、前記接着剤5の漏出を防止するシール部13よりなるものである。
【0012】
請求項2の発明に係る自動車窓ガラス用ダムは、請求項1の発明において、前記ダム10の本体部11が比重0.5〜1.4のソリッド材製又は微発泡スポンジ材製であり且つ断面四辺形で、その下面が受け面2に当接するものである。
【0013】
請求項3の発明に係る自動車窓ガラス用ダムは、請求項1または2の発明において、前記凹部12が断面台形状,逆台形状,矩形状のような四角形状や半円形状,半楕円形状,三角形状のいずれか一つである。
【0014】
請求項4の発明に係る自動車窓ガラス用ダムは、請求項1,2または3の発明において、前記凹部12は、前記ダム10の高さの1/5以上であることを特徴とするものである。
【0015】
請求項5の発明に係る自動車窓ガラス用ダム10は、窓周縁の二枚のボディパネル3の長手方向Lの末端部同士を上下に重ねて接合したことにより、その接合部分に段差部2aが形成されている受け面2に、窓ガラス1を接着剤5によって固定するにあたり、その接着剤5の漏出を防止するために前記受け面2と窓ガラス1との間に水密に設けられるものである。
【0016】
このダム10は、受け面側の長手方向に沿って凹部12を形成した本体部11を備える。また、高発泡スポンジ材で形成され、前記本体部11の凹部12に収納された状態で一体成形されると共に、受け面側に露出し、その露出部が、前記二枚のパネル3の内の下側に位置する下側パネル3aとオーバーラップする長さに設定されたシール部13を備える。
【0017】
そして、前記段差部2aが形成されている箇所においては、前記シール部13の下端部を前記段差部2aに密接させて隙間Sをなくし、前記接着剤5の漏出を防止するものである。
【0018】
請求項6の発明に係る自動車窓ガラス用ダム10は、窓穴周縁の二枚のボディパネル3の長手方向Lの末端部同士を上下に重ねて接合したことにより、その接合部分に段差部2aが形成されている受け面2に、窓ガラス1を接着剤5によって固定するにあたり、その接着剤5の漏出を防止するために前記受け面2と窓ガラス1との間に水密に設けられるものである。
【0019】
このダム10は、ソリッド材,より好ましくは微発泡スポンジ材で形成された断面逆台形状で、その受け面側の長手方向に沿って凹部12を形成した本体部11を備える。また、高発泡スポンジ材で形成され、略上半部が前記本体部11の凹部12に収納された状態で一体成形されると共に、受け面側に露出し、その露出部が、前記二枚のパネル3の内の下側に位置する下側パネル3aとオーバーラップする長さに設定されたシール部13を備える。
【0020】
そして、前記段差部2aが形成されている箇所においては、前記シール部13の下端部を前記段差部2aに密接させて隙間Sをなくし、前記接着剤5の漏出を防止するものである。
【0021】
また、前記凹部12を、前記本体部11の幅方向Wの全長または略全長にわたって形成し、さらに、前記シール部13を、前記本体部11下面の幅方向Wの全長または略全長にわたって設けている。
【発明の効果】
【0022】
請求項1に記載の自動車窓ガラス用ダム10は、本体部11の受け面側に設けたシール部13をパネル3に水密に弾接させることによって、接着剤5の漏出を未然に防止することができる。
【0023】
また、このダム10は、シール部13を高発泡スポンジ材で形成しているので柔軟性に富み、従って、自動車が悪路を走行する際の連続振動によっても、受け面2との摩擦に起因するキシミ音を発生させることがない。
【0024】
さらに、本体部11の下面に凹部12を形成したことにより、転びを効果的に防止することができる。これは、凹部12を形成したことによって本体部11の下部がさらに細くなって肉薄となるので、当該下部が受ける反力がさらに小さくなり、固定されていない下部の変形が小さくてすむ。この結果、図3のように外周側へ転ぶのではなく、下部の内周側は外周方向へ、そして下部の外周側は内周方向へ各々が反力を失う方向へ移動し下部の断面両端が近づくように変形する。
【0025】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、ダム10の本体部11が比重0.5〜1.4のソリッド材又は微発泡スポンジ材製で,好ましくは比重0.7〜1.1の微発泡スポンジ材製で且つ断面四辺形状で、その下面が受け面2に当接しており、優れたシール性を発揮する。
【0026】
請求項3の発明は、請求項1または2の発明において、前記凹部12が断面台形状,逆台形状,矩形状のような四角形状や半円形状,半楕円形状,三角形状のいずれか一つにしたもので、優れたシール性を発揮し且つ転びを効果的に防止することができる。
【0027】
請求項4の発明は、請求項1〜3の発明において、前記凹部12は、前記ダム10の高さの1/5以上としたもので、優れたシール性を発揮する。なお、好ましくは1/5〜4/5で、更に好ましくは1/4〜1/2である。この場合、1/5より低いとダムが転びやすく、4/5よりも高いと接着剤の漏出が起きやすく、ガラス1とパネル3の間隔をばらつかせてしまい好ましくない。
【0028】
請求項5の発明は、請求項1の発明の効果に加え、本体部11の下面に設けたシール部13を、その下端部が下側パネル3aとオーバーラップする程度の長さに設定したので、二枚のパネル3を上下に重ねて接合したことにより形成される段差部2aに、当該シール部13の下端部を侵入させて充填部Fを形成し、これを段差部2aに水密に弾接させることによって隙間Sの発生を阻止している。これにより、接着剤5の漏出を未然に防止することができる。
【0029】
また、このダム10は、シール部13を高発泡スポンジ材で形成しているので柔軟性に富み、従って、自動車が悪路を走行する際の連続振動によっても、受け面2との摩擦に起因するキシミ音を発生させることがない。
【0030】
請求項6に記載の自動車窓ガラス用ダム10も、請求項5に記載の発明と同様に、受け面2の段差部2aが存在する部分においても、接着剤5の漏出を未然に防止することができる。また、悪路走行におけるキシミ音を防止することができる。さらに、コーナー部Cにおけるダム10の転びを未然に防止することができる。
【0031】
また、このダム10は、凹部12を、本体部11の幅方向Wの全長または略全長にわたって形成し、シール部13を、本体部11下面の幅方向Wの全長または略全長にわたって設けているので、受け面2に密接する材料の全てまたは殆どを、当該シール部13を形成する高発泡スポンジとすることができ、これにより、受け面2に対する弾接をより水密なものとすることができる。従って、接着剤5の漏出をさらに確実に防止することができると共に、キシミ音の発生もさらに効果的に防止することができる。
【0032】
さらに、凹部12を、本体部11の幅方向Wの全長または略全長にわたって形成したことにより、本体部11の下部をより肉薄とすることができるので、コーナー部Cでの追従性をさらに高めることができ、ダム10の転びをさらに効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】ダムを取付けた自動車を示す斜視図である。
【図2】従来例に係るダムを示すもので、図1のX−X線断面図である。
【図3】他の従来例に係るダムの転びを説明する図である。
【図4】段差部が形成された受け面を示す断面図である。
【図5】従来例に係るダムを、段差部が形成された受け面に取付けた状態を示す図2のY−Y断面図である。
【図6】従来例に係るダムを、他の形態の段差部が形成された受け面に取付けた状態を示す断面図である。
【図7】本発明の実施形態に係るダムを示すもので、図1のX−X線断面図である。
【図8】本発明の実施形態に係るダムのシール部と下側パネルとのオーバーラップを示す断面図である。
【図9】本発明の実施形態に係るダムを、段差部が形成された受け面に取付けた状態を示す図7のZ−Z相当断面図である。
【図10】本発明に係るダムを、他の形態の段差部が形成された受け面に取付けた状態を示す図7のZ−Z相当断面図である。
【図11】本発明に係るダムの他の実施形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明に係る自動車窓ガラス用ダム10の実施形態を、図1、図7乃至図10に示す。このダム10は、二枚のパネル3の長手方向Lの末端部同士を上下に重ねて接合したことにより、その接合部分に、上側に位置する上側パネル3bと、その下側に位置する下側パネル3aとの間で段差部2aが形成されている受け面2に、窓ガラス1を接着剤5によって固定するにあたり、その接着剤5の漏出を防止するために受け面2と窓ガラス1との間に水密に設けられるものである。
【0035】
このダム10は、本体部11と、それに一体押出成形されたシール部13を備える。本体部11は、ゴム様弾性体、例えばEPDM製やウレタン製の比重0.5〜1.4程度で形成された断面形状が左右対称の逆台形状で、その下面に凹部12を備える。本実施形態における凹部12は、本体部11の幅方向Wのほぼ全長にわたって形成しており、その断面形状をほぼ半円状としている。
【0036】
シール部13は、同じくゴム様弾性体、例えばEPDM製やウレタン製の高発泡スポンジ材(比重0.05〜0.4程度)で形成され、そのほぼ上半部を本体部11の凹部12に収納した状態で一体成形すると共に、ほぼ下半部を露出させ、本体部11下面の幅方向Wの全長にわたって一体的に設けている。また、このシール部13は、その露出部が、段差部2aを形成する下側パネル3aとオーバーラップする長さに設定している。さらに、このシール部13は、その下半部もほぼ半円状としており、全体として断面形状が左右対称のほぼ円形状としている。
【0037】
本実施形態のダム10が配置される受け面2は、前記した構成に起因して、本体部11の直下に段差部2aが形成されている。また、本体部11と窓ガラス1とは両面接着テープ7によって接着している。接着剤5は、受け面2と、それに隣接するパネル3の縦壁部3vと、本体部11と、窓ガラス1との間に充填される。接着剤5の直下にも段差部2aが形成されている。窓ガラス1の周縁と、パネル3の縦壁部3vとの間は、モール材6によって密閉している。
【0038】
本実施形態におけるダム10は、微発泡スポンジ材製の本体部11の凹部12に、下端部が、段差部2aを形成する下側パネル3aにオーバーラップする長さを備えた高発泡スポンジ材製のシール部13を設けているので(図8参照)、そのシール部13が段差部2aに侵入して充填部Fを形成し、従来発生していた隙間Sをなくしている。これにより、接着剤5がダム10とシール面との間から漏出するのを未然に防止することができる。
【0039】
また、本実施形態では、凹部12を断面略半円状とし、シール部13を断面形状がほぼ円形状を成すように形成しているので、本体部11の断面両側端及びシール部13の最下点である幅方向Wの中間部分を段差部2aに集中的に強く密接させることができ、これによりシール性をさらに高めて接着剤5の漏出をより未然に防止することができる。
【0040】
また、高発泡スポンジ材であり柔軟性に優れたシール部13が受け面2に接しているので、例えば、悪路運転中における連続振動によっても、シール部13と受け面2との間のキシミ音は発生しない。なお、本体部11も微発泡スポンジ材で形成しているので、その下端部が部分的に受け面2に密接していても、同様に、キシミ音は発生しない。
【0041】
さらに、本実施形態におけるダム10は、その本体部11を断面逆台形状としているので、肉薄で撓み易い下部が、肉厚で撓み難い上部の反力によって受け面2に押し付けられることになる。これによって、本体部11はコーナー部Cの湾曲形状に良好に追従することができるため、ダム10の転びが発生しない。なお、ダム10の転びを防止することよっても、接着剤5の漏出を防止することができる。
【0042】
なお、コーナー部Cあるいは直線部において、想定外の外力によって本体部11が上方向に変形することがあったとしても、シール部13を下側パネル3aにオーバーラップする長さに設定しているので、受け面2に対するシール力は低下せず、よって、接着剤5の漏出を確実に防止することができる。
【0043】
また、本実施形態のダム10は、本体部11の下部に凹部12を形成してさらに肉薄としているので、より弾性変形し易く、従って、コーナー部Cにさらに確実に追従させることができる。これにより、転びの発生をさらに確実に防止して、接着剤5の漏出防止にも貢献する。
【0044】
なお、本実施形態における本体部11は微発泡スポンジ材で形成しているので、通常のゴム材や樹脂材と比較して、両面接着テープ7によって窓ガラス1に、より密に接着することができる。従って、窓ガラス1と本体部11との間から接着剤5が漏出するといった事態も未然に防止することができる。また、本体部11とそれに一体成形したシール部13を共に同一材料(ウレタン)で形成しているので、両者を強固に一体化させることができる。
【0045】
なお、本発明に係るダム10は、フロントガラスの取付けのみならず、リヤガラスやその他の固定タイプの窓ガラス1を取付ける際に使用することができる。 また、本発明における本体部11に形成される凹部12およびシール部13の形状は、上記実施形態のものに限定されるものではなく、例えば、図11に示すような形状とすることができる。
【0046】
図11(a)に示す凹部12は、本体部11下端部の中央部に断面半円状に形成したものであり、また、シール部13は、その上部を凹部12に収納した状態で、かつ、露出する下部を断面半円形状として本体部11の下端面全体を覆った状態で本体部11と一体成形している。図11(b)に示す凹部12は、同様に本体部11の下端部中央部に形成した断面矩形状としている。また、シール部13は、その上部が凹部12に収納され、露出する下部も矩形状を成し、本体部11の下端面を覆った状態で、本体部11と一体成形している。図11(c)に示す凹部12は、長方形状本体部11下端部の略全幅に半楕円状に形成したものであり、また、シール部13は、その上部を凹部12に収納した状態で、かつ、露出する下部を断面半楕円形状又は楕円の一側面が露出するようにして本体部11と一体成形している。図11(d)に示す凹部12は、断面逆台形状の本体部11の下端部に形成した断面隅を丸めた長方形状としている。また、シール部13は、その上部が凹部12に収納され、露出する下部も角を丸めた長方形状を成し、本体部11の下端面の少なくとも中央部分を覆った状態で、本体部11と一体成形している。図11(e)に示す凹部12は、断面逆台形状本体部11下端部の中央部に断面半円状に形成したものであり、また、シール部13は、その上部を凹部12に収納した状態で、かつ、露出する下部を断面半円形状としている。図11(f)に示す凹部12は、断面半台形状本体部11の下端部に形成した断面半楕円形状としている。また、シール部13は、その上部が凹部12に収納され、露出する下部は中央に半円状凸部を設け、本体部11と一体成形している。いずれも本体部11は断面四角形であり矩形,台形,逆台形のどれであってもよい。更に、図11の(a),(b)以外は、本体部11の断面両側端が受け面に接するよう設計されており、シール部13は少なくともその断面(幅方向)の中央部分が受け面に接する程度に露出していれば、本実施例の通りに限定されない。
【符号の説明】
【0047】
1 窓ガラス
2 受け面
2a 段差部
3 ボディパネル
3a 下側パネル
3b 上側パネル
3v 縦壁部
5 接着剤
6 モール材
7 両面接着テープ
10 ダム
11 本体部
12 凹部
13 シール部
20 ダム
21 凹所
22 脚部
30 ダム
C コーナー部
F 充填部
G 外周側
L 長手方向
N 内周側
S 隙間
W 幅方向
【特許請求の範囲】
【請求項1】
窓穴周縁のボディパネル(3)の受け面(2)に,窓ガラス(1)を接着剤(5)によって固定するにあたり,その接着剤の漏出を防止するために前記受け面と窓ガラスとの間に水密に設けられるダム(10)であって、その受け面側の長手方向に沿って凹部(12)を形成した本体部(11)と高発泡スポンジ材で形成され,前記本体部の凹部に収納された状態で一体成形されると共に,受け面側に露出し,受け面に当接して、前記接着剤の漏出を防止するシール部(13)よりなることを特徴とする自動車窓ガラス用ダム。
【請求項2】
前記ダム(10)の本体部(11)が比重0.5〜1.4のソリッド材製又は微発泡スポンジ材,好ましくは比重0.7〜1.1の微発泡スポンジ材製であり且つ断面四辺形で、その下面が受け面(2)に当接する請求項1に記載の自動車窓ガラス用ダム。
【請求項3】
前記凹部(12)が断面台形状,逆台形状,矩形状のような四角形状や半円形状,半楕円形状,三角形状のいずれか一つであることを特徴とする請求項1又は2に記載の自動車窓ガラス用ダム。
【請求項4】
前記凹部(12)は、前記ダム(10)の高さの1/5以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の自動車窓ガラス用ダム。
【請求項5】
窓穴周縁の二枚のボディパネル(3)の長手方向(L)の末端部同士を上下に重ねて接合したことにより,その接合部分に段差部(2a)が形成されている受け面(2)に,窓ガラス(1)を接着剤(5)によって固定するにあたり,その接着剤の漏出を防止するために前記受け面と窓ガラスとの間に水密に設けられるダム(10)であって、その受け面側の長手方向に沿って凹部(12)を形成した本体部(11)と、高発泡スポンジ材で形成され,前記本体部の凹部に収納された状態で一体成形されると共に,受け面側に露出し,その露出部が,前記二枚のパネルの内の下側に位置する下側パネル(3a)とオーバーラップする長さに設定されたシール部(13)と、を備え、前記段差部が形成されている箇所においては,前記シール部の下端部を前記段差部に密接させて隙間(S)をなくし,前記接着剤の漏出を防止することを特徴とする自動車窓ガラス用ダム。
【請求項6】
窓穴周縁の二枚のボディパネル(3)の長手方向(L)の末端部同士を上下に重ねて接合したことにより,その接合部分に段差部(2a)が形成されている受け面(2)に,窓ガラス(1)を接着剤(5)によって固定するにあたり,その接着剤の漏出を防止するために前記受け面と窓ガラスとの間に水密に設けられるダム(10)であって、ソリッド材,より好ましくは微発泡スポンジ材で形成された断面逆台形状で,その受け面側に長手方向に沿って凹部(12)を形成した本体部(11)と、高発泡スポンジ材で形成され,略上半部が前記本体部の凹部に収納された状態で一体成形されると共に,受け面側に露出し,その露出部が,前記二枚のパネルの内の下側に位置する下側パネル(3a)とオーバーラップする長さに設定されたシール部(13)と、を備え、前記段差部が形成されている箇所においては,前記シール部の下端部を前記段差部に密接させて隙間(S)をなくし,前記接着剤の漏出を防止するものであり、前記凹部を,前記本体部の幅方向Wの全幅または弱全幅にわたって形成し、前記シール部を,前記本体部下面の幅方向Wの全幅または弱全幅にわたって設けたことを特徴とする自動車窓ガラス用ダム。
【請求項1】
窓穴周縁のボディパネル(3)の受け面(2)に,窓ガラス(1)を接着剤(5)によって固定するにあたり,その接着剤の漏出を防止するために前記受け面と窓ガラスとの間に水密に設けられるダム(10)であって、その受け面側の長手方向に沿って凹部(12)を形成した本体部(11)と高発泡スポンジ材で形成され,前記本体部の凹部に収納された状態で一体成形されると共に,受け面側に露出し,受け面に当接して、前記接着剤の漏出を防止するシール部(13)よりなることを特徴とする自動車窓ガラス用ダム。
【請求項2】
前記ダム(10)の本体部(11)が比重0.5〜1.4のソリッド材製又は微発泡スポンジ材,好ましくは比重0.7〜1.1の微発泡スポンジ材製であり且つ断面四辺形で、その下面が受け面(2)に当接する請求項1に記載の自動車窓ガラス用ダム。
【請求項3】
前記凹部(12)が断面台形状,逆台形状,矩形状のような四角形状や半円形状,半楕円形状,三角形状のいずれか一つであることを特徴とする請求項1又は2に記載の自動車窓ガラス用ダム。
【請求項4】
前記凹部(12)は、前記ダム(10)の高さの1/5以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の自動車窓ガラス用ダム。
【請求項5】
窓穴周縁の二枚のボディパネル(3)の長手方向(L)の末端部同士を上下に重ねて接合したことにより,その接合部分に段差部(2a)が形成されている受け面(2)に,窓ガラス(1)を接着剤(5)によって固定するにあたり,その接着剤の漏出を防止するために前記受け面と窓ガラスとの間に水密に設けられるダム(10)であって、その受け面側の長手方向に沿って凹部(12)を形成した本体部(11)と、高発泡スポンジ材で形成され,前記本体部の凹部に収納された状態で一体成形されると共に,受け面側に露出し,その露出部が,前記二枚のパネルの内の下側に位置する下側パネル(3a)とオーバーラップする長さに設定されたシール部(13)と、を備え、前記段差部が形成されている箇所においては,前記シール部の下端部を前記段差部に密接させて隙間(S)をなくし,前記接着剤の漏出を防止することを特徴とする自動車窓ガラス用ダム。
【請求項6】
窓穴周縁の二枚のボディパネル(3)の長手方向(L)の末端部同士を上下に重ねて接合したことにより,その接合部分に段差部(2a)が形成されている受け面(2)に,窓ガラス(1)を接着剤(5)によって固定するにあたり,その接着剤の漏出を防止するために前記受け面と窓ガラスとの間に水密に設けられるダム(10)であって、ソリッド材,より好ましくは微発泡スポンジ材で形成された断面逆台形状で,その受け面側に長手方向に沿って凹部(12)を形成した本体部(11)と、高発泡スポンジ材で形成され,略上半部が前記本体部の凹部に収納された状態で一体成形されると共に,受け面側に露出し,その露出部が,前記二枚のパネルの内の下側に位置する下側パネル(3a)とオーバーラップする長さに設定されたシール部(13)と、を備え、前記段差部が形成されている箇所においては,前記シール部の下端部を前記段差部に密接させて隙間(S)をなくし,前記接着剤の漏出を防止するものであり、前記凹部を,前記本体部の幅方向Wの全幅または弱全幅にわたって形成し、前記シール部を,前記本体部下面の幅方向Wの全幅または弱全幅にわたって設けたことを特徴とする自動車窓ガラス用ダム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−225135(P2011−225135A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−97668(P2010−97668)
【出願日】平成22年4月21日(2010.4.21)
【出願人】(000196107)西川ゴム工業株式会社 (454)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月21日(2010.4.21)
【出願人】(000196107)西川ゴム工業株式会社 (454)
[ Back to top ]