説明

自動車運搬船の船首構造

【課題】本願発明は、自動車運搬船の船首部に適用することができるピッチング運動の低減装置であって、建造時に帯状突起部等の溶接作業が不要であり、船首部が海面下に突入した場合には復原力が増大する自動車運搬船の船首構造を提供する。
【解決手段】自動車運搬船の船首垂線よりも船首側の満載喫水線の上方には船首船底部から浮力体が垂設され、該浮力体は船体に一体化されてその両舷方向の断面は緩やかなV字を描くように形成され、船舷側から見た該浮力体の下面の線は該船首垂線と該満載喫水線との交点の上方略1%Lppを起点とし該満載喫水線との仰角が略35°の斜め上方向に向けた略直線であって、船首先端部が形成する略垂直な船首先端線と結ばれる構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車運搬船の船首の構造に関し、とくに船舶のピッチング運動の低減装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来例の自動車運搬船の船首部の形状について、図7を基に説明する。なお、図7は、従来例の自動車運搬船の船首部の形状図であり、図7(a)は側面図、図7(b)は正面線図である。
【0003】
従来例の自動車運搬船2の船首部10は、満載喫水線(L.W.L)下にバルバス・バウと呼ばれる球状船首23を有し、満載喫水線上はいわゆる舳先であって、舳先の先端部である従来例に係る船首先端部17は、船舶の垂線間長(Lpp)を基準値として、船首垂線(F.P)から2%Lpp〜2.5%Lpp突き出している。この船首先端部17は、船舷側から見て、略垂直線となっていて、当該垂直線は略係船甲板21の上部まで延伸し、その下端と満載喫水線と船首垂線(F.P)の略交点が直線的に結ばれて従来例に係る船首船底13の線が形成されていて、この船首船底13の線は、やや斜め船首先端側に傾いた略垂直に近い直線となっている。そして、この船首船底13の両舷方向の横断面はV字を描いている。
【0004】
ところで、自動車運搬船は積荷の固縛の関係から、波浪中を航走した際の船体運動、とくに進行方向に上下するピッチング運動の振幅は小さい方が望ましいが、このようなピッチング運動を始めとする船体運動を低減するための配慮はなされていなかった。
【0005】
一方で、「船首部において、満載喫水線よりも上方の船体外板面に、海水との相互作用で造波減衰力の増大をもたらす突起または溝部を適切に形成することにより、船体運動の低減を効率よく図れるようにした装置を提供する」ことを目的としたものが特開2004−136780号公報に開示されている。
この装置の概要を図8に基づいて説明する。なお、図8は、特開2004−136780号公報に開示の船体運動低減装置を備えた2つの実施例に係る船首部の側面図である。
船首部101において、満載喫水線102よりも上方の船体外板面101aに、船首端から左右両舷側部に沿いながら後方へゆくにしたがい低下するように傾斜した帯状突起部103が、相互に間隔をあけて設けられていて、各帯状突起部103の船体外板面101aからの突出高さは、後方へゆくにしたがい減少するように設定されている。その結果、波浪中を航行する際に帯状突起部103の海水との相互作用でもたらされる造波減衰力の増大により、船体運動の低減効果が得られるようになる、というものである。
【特許文献1】特開2004−136780号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特開2004−136780号公報に開示の装置は、外板に突起物を付加して波を散逸させることにより、運動の低減を図ることとしているため、建造時に帯状突起部を溶接する作業が増加するだけでなく、帯状突起部に作用する局所的な圧力についても十分な検討を行う必要がある、という強度上の課題を有している。さらに、大きなうねりの波により帯状突起部が海面下に没したときには、造渦影響により、船体の進行方向に対する船体抵抗が増加するおそれがある。
【0007】
そこで、本願発明は、自動車運搬船の船首部に適用することができるピッチング運動の低減装置であって、建造時に帯状突起部等の溶接作業が不要であり、船首部が海面下に突入した場合であっても、船体の進行方向に対する船体抵抗が増大するおそれのない自動車運搬船の船首構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願出願人は、「自動車運搬船の舳先の下に浮力体を垂設することによりピッチング運動が低減する」との仮説を立て、その仮説に基づいて、鋭意研究した結果、自動車運搬船の船首を所定の形状とすることにより船舶のピッチング運動が低減するとともに、航行中における船舶の抵抗増加を軽減し、燃料消費量を押えることができる、との知見を得た。本願発明は、この知見に基づくものである。
【0009】
このため、本願請求項1に係る自動車運搬船の船首構造は、満載喫水線下に球状船首を有する自動車運搬船の船首垂線よりも船首側の該満載喫水線の上方には船首船底部から浮力体が垂設され、該浮力体は船体に一体化されてその両舷方向の断面は緩やかなV字を描くように形成され、船舷側から見た該浮力体の下面の線は該船首垂線と該満載喫水線との略交点を起点とする斜め上方向に向けた略直線であって、船首先端部が形成する略垂直な船首先端線と係船甲板よりも下方で結ばれる、ことを特徴としている。
なお、浮力体とは、当該浮力体が水中に没したときに、船体に上向きの復原力が働く概ね内部が空洞の船舶の付属物をいう。
また、本願請求項2に係る自動車運搬船の船首構造は、請求項1に記載の自動車運搬船の船首構造であり、船舷側から見た前記浮力体の下面の線は、前記船首垂線と前記満載喫水線との交点の上方略1%Lppを起点とし該満載喫水線との仰角が略35°の斜め上方向に向けた略直線であって、該船首垂線から2%Lpp〜2.5%Lpp突き出した前記船首先端部が形成する略垂直な船首先端線と係船甲板よりも下方で結ばれる、ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本願発明は上記の構成により、以下の効果を奏する。
(1)船首船底部に浮力体を垂設することにより、満載喫水線の船首部の容積が増加する。このため、波浪の波長(λ)が船舶の垂線間長(Lpp)の1.2〜1.4倍(λ/L=1.2〜1.4、L:Lpp)となる同調点の近傍で、船体に比較的大きなピッチング運動が発生するときには、船首没水時に増加させた船首部の容積に相応する復原モーメントが作用することになる。そして、この復原モーメントは運動を抑制する方向に作用するため、結果として、ピッチング運動が小さくなり、さらにピッチング運動に起因する抵抗増加も低減される。なお、同調点は船速と関係していて、船速が遅くなるとλ/Lは1.0に近づき、船速が速くなるとλ/Lは大きくなる。
(2)水槽実験の結果、満載喫水線上の船首端部のみの船体形状変化により、平穏時の性能に影響を与えることなく、波浪時のピッチング運動を10〜20%低減することができるとともに、ピッチング運動が低減されることにより、このピッチング運動に起因する波浪中の抵抗増加もまた、同程度低減されることが判明した。
なお、水槽実験については、後述する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本願発明を実施するための最良の形態に係る実施例について、図1ないし図6に基づいて説明する。なお、図1は、実施例に係る自動車運搬船の船首構造図であり、図1(a)は船首部側面図、図1(b)は船首部正面線図、図2は、実施例に係る自動車運搬船の船体運動と波面形状の関係図であり、図2(a)はヒーブ運動と波面形状の関係図、図2(b)はピッチング運動と波面形状の関係図、図3は、実施例に係る自動車運搬船の船首部沈下時の船体運動と波面形状の関係図であり、図4は、実施例に係る自動車運搬船および従来例に係る自動車運搬船の復原モーメントの径時変化比較図であり、図5は、実施例に係る自動車運搬船および従来例に係る自動車運搬船の船体運動水槽試験結果を示す図であり、図5(a)は実施例に係る自動車運搬船の船体運動水槽試験結果を示す図、図5(b)は従来例に係る自動車運搬船の船体運動水槽試験結果を示す図、図6は、実施例に係る自動車運搬船および従来例に係る自動車運搬船の波浪中の抵抗増加の水槽試験結果を示す図であり、図6(a)は実施例に係る自動車運搬船の波浪中の抵抗増加の水槽試験結果を示す図、図6(b)は従来例に係る自動車運搬船の波浪中の抵抗増加の水槽試験結果を示す図である。
【0012】
図1ないし図3において、符号1は実施例に係る船首構造を備える自動車運搬船、符号10は船首部、符号11は浮力体、符号13は従来例に係る船首船底、符号15は実施例に係る船首船底、符号17は従来例に係る船首先端部、符号19は実施例に係る船首先端部、符号21は係船甲板、符号23は球状船首、符号25は波浪、である。また、L.W.Lは満載喫水線、F.Pは船首垂線、C.Lは船舶中心線、Gは船舶の重心、である。
なお、従来例の自動車運搬船について、図7および図8で説明した要素と同一の要素については、図1ないし図3においても同一の符号を付している。
【0013】
図1ないし図3に示すように、自動車運搬船1の船首部10は、従来例の自動車運搬船2と同様に、満載喫水線(L.W.L)下にバルバス・バウと呼ばれる球状船首23を有している。船首側の先端部である船首先端部19は、船舶の垂線間長(Lpp)を基準値として、船首垂線(F.P)から2%Lpp〜2.5%Lpp突き出している。
【0014】
この船首先端部19は、船舷側から見て、略垂直線となっていて、当該垂直線は略係船甲板21下部まで延伸している。そして、船首垂線(F.P)上にあって満載喫水線(L.W.L)と船首垂線(F.P)との交点の略1%Lpp上方の点をP点としたときに、このP点と船首先端部19が形成する船首先端線の下端が結ばれて船首船底15の船首船底線が形成される。船首船底15の船首船底線は略直線であって、満載喫水線(L.W.L)となす角が略35°となっている。
【0015】
すなわち、図1(a)に示すように、実線である実施例に係る船首船底15の船首船底線は点線である従来例に係る船首船底13の船首船底線よりも満載喫水線(L.W.L)となす角が小さくなるように構成されていて、主に、船首船底15の船首船底線と従来例に係る船首船底13の船首船底線とに挟まれた部分が、浮力体11を構成している。換言すると、従来例に係る船首船底13に浮力体11が垂設された状態となっている。
【0016】
この浮力体11についてさらに説明すると、図1(a)の線分cにおける正面線が図1(b)の線分cであるが、図1(b)に点線で示した線が従来例に係る船首先端部17の正面線を示していて、図1(b)における線分cと点線で囲まれた部分が浮力体11となっている。図1(b)に示すように浮力体11は船体に一体化されて、その両舷方向の断面は緩やかなV字を描くように形成されていて、外観上は船体と渾然一体となっている。
【0017】
つぎに、自動車運搬船1における浮力体11の効果について説明する。
船舶の進行方向に対する船体運動には、図2(a)に示すヒーブ運動と、図2(b)に示すピッチング運動とがある。ヒーブ運動は船舶全体が略水平を保持しながら、上下に揺れる船体運動であり、ピッチング運動は縦方向に揺れる船体運動である。このヒーブ運動およびピッチング運動は、波浪の波長(λ)と船舶の垂線間長(Lpp)との相関関係で決まり、波浪の波長(λ)と船舶の垂線間長(Lpp)との同調点(λ/L≒1.4)では、波浪25とヒーブ運動の位相差は0deg.となり、ピッチング運動の位相差は−180deg.〜−90deg.となる。また、同調点では、ヒーブ運動およびピッチング運動とも運動振幅は最大となる。
【0018】
ここで、ピッチング運動をしているときの自動車運搬船1のメカニズムについて、図3を基に説明する。なお、図3では、図の右側が船首側であり、図の左側が船尾側であって、自動車運搬船1は右方向に航行している。
【0019】
自動車運搬船1には、常に自動車運搬船1の重心Gに自動車運搬船1自体の荷重であるWが下向きに作用しているが、波浪25の波長(λ)が自動車運搬船1の垂線間長(Lpp)の略1.4倍となると、波浪25の波頂部251が船尾部分に達したときには、波浪25の次の波頂部252が未だ船首部分に達していないため、自動車運搬船1には波頂部251による船尾部分を上に押し上げる力が作用し、重心Gには右回りのモーメントMが働いて、自動車運搬船1の船首部10を押し下げる(以下「ステップ1」という。)。
【0020】
押し下げられた船首部10は波頂部252に没する(以下「ステップ2」という。)。
船首部10が波頂部252に没すると、浮力体11の大部分もまた波頂部252に没する(以下「ステップ3」という。)。ここで、自動車運搬船1と自動車運搬船2とを比較すると、図3において斜線を施した部分が自動車運搬船1にはあって自動車運搬船2にはない部分ということになる。このため、自動車運搬船1では、自動車運搬船2では存在しなかった図3における斜線を施した部分による浮力が上向きの力Fとなって作用し、重心Gには左回りのモーメントMが働く(以下「ステップ4」という。)。この左回りのモーメントMを復原モーメントMということにする。
【0021】
この復原モーメントMはモーメントMを打ち消すように作用するため、重心Gに働くモーメント全体としては、自動車運搬船2の重心に働くモーメントよりも小さくなる。
【0022】
復原モーメントMの径時的変化を示したものが図4である。図4では、縦軸を復原モーメントMの大きさ(自動車運搬船1の船首部10を押し上げる方向に作用するときを「+」としている。)とし、横軸を時間経過とし、自動車運搬船1の復原モーメントMを実線で表し、自動車運搬船2の復原モーメントMを点線で表している。図4に示すように、自動車運搬船2の復原モーメントMに比べて自動車運搬船1の復原モーメントMはマイナス側では同一であるものの、プラス側では大きくなっている。
【0023】
波浪25の波頂部251が船尾部分を通り過ぎると波頂部252が船首部分に達し、自動車運搬船1には波頂部252による浮力が作用して、重心Gを中心に左回りに回転し、船尾部を押し下げる(以下「ステップ5」という。)。
【0024】
このステップ1ないしステップ5を繰り返すことにより、船体運動であるピッチング運動が繰り返しおこなわれるが、ステップ4により、自動車運搬船1には自動車運搬船2よりも大きな復原モーメントMが作用して、結果としてピッチング運動が低減することになる。
【0025】
つぎに、水槽実験およびその結果について説明する。
当該実験では、実施例に係る船首構造を備える自動車運搬船の模型(以下、水槽実験においても「自動車運搬船1」という。)と従来例に係る船首形状の自動車運搬船の模型(以下、水槽実験においても「自動車運搬船2」という。)とを比較しながら、ヒーブ運動の振幅およびピッチング運動の振幅を測定するとともに、波浪中における船体の受ける抵抗についても測定した。
【0026】
まず、図5を基に、ヒーブ運動およびピッチング運動についての水槽試験結果を説明する。
図5(a)は自動車運搬船2の船体運動水槽試験結果を示す図であって、左図はヒーブ運動の水槽試験結果であり、右図はピッチング運動の水槽試験結果である。そして、左図の上段は縦軸をξ3/A(ξ3:ヒーブ運動振幅、A:入射波の波振幅)とし、横軸をλ/L(λ:波長、L:Lpp(垂線間長))としていて、左図の下段はヒーブ運動の位相差を示している。また、右図の上段は縦軸をξ5/kA(ξ5:ピッチング運動振幅、k:入射波の波数、A:入射波の波振幅)とし、横軸をλ/Lとしていて、右図の下段はピッチング運動の位相差を示している。
一方、図5(b)は自動車運搬船1の船体運動水槽試験結果を示す図であって、左図はヒーブ運動の水槽試験結果であり、右図はピッチング運動の水槽試験結果である。そして、左図の上段は縦軸をξ3/Aとし、横軸をλ/Lとしていて、左図の下段はヒーブ運動の位相差を示している。また、右図の上段は縦軸をξ5/kAとし、横軸をλ/Lとしていて、右図の下段はピッチング運動の位相差を示している。
【0027】
図5(a)と図5(b)を比較すると、ヒーブ運動では、自動車運搬船1と自動車運搬船2との有意な差は見当たらないが、ピッチング運動では、自動車運搬船2において、λ/L=1.4近傍で現れた同調現象(図5(a)の矢印部分)が、自動車運搬船1においては、図5(b)の矢印部分に示すように、明確に現れてはいない。また、全体的に、自動車運搬船1のピッチング運動振幅は自動車運搬船2のピッチング運動振幅よりも低くなっている。
この実験結果から、波浪時における自動車運搬船1のピッチング運動は、自動車運搬船2のピッチング運動を10〜20%低減していることになる。
【0028】
つぎに、図6を基に、波浪中における船舶の抵抗増加についての水槽試験結果を説明する。
図6(a)は自動車運搬船2の波浪中における抵抗増加水槽試験結果を示す図であって、縦軸をRAW/ρgζ(B/L)(RAW:波浪中抵抗増加量、ρ:密度、g:重力加速度、ζ:入射波の波振幅、B:船腹、L:Lpp)とし、横軸をλ/Lとしている。また、図6(b)は自動車運搬船1の波浪中における抵抗増加水槽試験結果を示す図であって、縦軸をRAW/ρgζ(B/L)とし、横軸をλ/Lとしている。
【0029】
図6(a)と図6(b)を比較すると、自動車運搬船2においては、波浪中の抵抗増加は、波との相対運動が最大となるλ/L=1.0近傍では、図6(a)では現れた抵抗増加(図6(a)の矢印部分)が、図6(b)の矢印部分に示すように現れず、λ/L=1.0をピーク値として、波浪中における抵抗増加が全体的に軽減している。すなわち、実施例に係る船首構造を備える自動車運搬船1では、λ/L=0.9〜1.5の範囲で運動が減少しており、抵抗増加は、λ/L=1.0近傍で顕著に現れており、したがって、フルード数が0.24〜0.25で航行する場合には、波浪時のピッチング運動が10〜20%低減するとともに、このピッチング運動の低減にともなって、波浪中における抵抗増加も同程度低減されることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1は、実施例に係る自動車運搬船の船首構造図である。
【図2】図2は、実施例に係る自動車運搬船の船体運動と波面形状の関係図であり、図2(a)はヒーブ運動と波面形状の関係図、図2(b)はピッチング運動と波面形状の関係図である。
【図3】図3は、実施例に係る自動車運搬船の船首部沈下時の船体運動と波面形状の関係図である。
【図4】図4は、実施例に係る自動車運搬船および従来例に係る自動車運搬船の復原モーメントの径時変化比較図である。
【図5】図5は、実施例に係る自動車運搬船および従来例に係る自動車運搬船の船体運動水槽試験結果を示す図であり、図5(a)は実施例に係る自動車運搬船の船体運動水槽試験結果を示す図、図5(b)は従来例に係る自動車運搬船の船体運動水槽試験結果を示す図である。
【図6】図6は、実施例に係る自動車運搬船および従来例に係る自動車運搬船の波浪中の抵抗増加の水槽試験結果を示す図であり、図6(a)は実施例に係る自動車運搬船の波浪中の抵抗増加の水槽試験結果を示す図、図6(b)は従来例に係る自動車運搬船の波浪中の抵抗増加の水槽試験結果を示す図である。
【図7】図7は、従来例の自動車運搬船の船首部の形状図であり、図7(a)は側面図、図7(b)は正面線図である。
【図8】図8は、特開2004−136780号公報に開示の船体運動低減装置を備えた2つの実施例に係る船首部の側面図である。
【符号の説明】
【0031】
1 実施例に係る船首構造を備える自動車運搬船
10 船首部
11 浮力体
15 実施例に係る船首船底
19 実施例に係る船首先端部
21 係船甲板
23 球状船首

【特許請求の範囲】
【請求項1】
満載喫水線下に球状船首を有する自動車運搬船の船首垂線よりも船首側の該満載喫水線の上方には船首船底部から浮力体が垂設され、
該浮力体は船体に一体化されてその両舷方向の断面は緩やかなV字を描くように形成され、
船舷側から見た該浮力体の下面の線は該船首垂線と該満載喫水線との略交点を起点とする斜め上方向に向けた略直線であって、船首先端部が形成する略垂直な船首先端線と係船甲板よりも下方で結ばれる、ことを特徴とする自動車運搬船の船首構造。
【請求項2】
船舷側から見た前記浮力体の下面の線は、前記船首垂線と前記満載喫水線との交点の上方略1%Lppを起点とし該満載喫水線との仰角が略35°の斜め上方向に向けた略直線であって、該船首垂線から2%Lpp〜2.5%Lpp突き出した前記船首先端部が形成する略垂直な船首先端線と係船甲板よりも下方で結ばれる、ことを特徴とする請求項1に記載の自動車運搬船の船首構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−201185(P2008−201185A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−37328(P2007−37328)
【出願日】平成19年2月19日(2007.2.19)
【出願人】(000146814)株式会社新来島どっく (101)