説明

自動車運搬船の荷役方法及び装置

【課題】 自動車運搬船側にランプウェイやスロープを備えることなく地上側から容易に自動車を乗下船できるようにする。
【解決手段】 自動車運搬船Iの搬出入口17に水密扉18を設ける。地上側である岸壁8上に、スロープ19,19a,19bを設置する。このスロープ19,19a,19bにランプウェイ20を装備させる。自動車16をスロープ19,19a,19bからランプウェイ20上へ移動させるようにする。ランプウェイ20を水密扉18のところの搬出入口17へ架け渡して、自動車16を直接船内の車両デッキ4へ乗り入れるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車運搬船への自動車の積み卸しを行わせるために用いる荷役方法及び装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車を海上輸送するために用いられる一般の自動車運搬船としては、数百台から数千台という多数台数の自動車を一度に積載して輸送する自動車専用運搬船(PCC船(Pure Car Carrier))や、貨物フェリー、旅客フェリー等が知られている。
【0003】
これらの自動車運搬船は、船体に地上側となる岸壁と間に架け渡して自動車を通過させるためのランプウェイ(ショアーランプウェイ)を備え、且つ船内の上層へ自動車を移動させるためのホールドランプウェイとしてスロープを船内に設けているものが多い。このような自動車運搬船の場合、自動車の荷役は、ロールオン、ロールオフ方式、すなわち、自動車をランプウェイから船内へ自走させて乗り入れ、船内を走行させて上層へ移動させて積み込みを行い、積み卸しのときは、上層から下層へ船内を移動させた自動車をランプウェイから下船させるという方法が採られているのが一般的である。
【0004】
上記の如きロールオン、ロールオフ方式の荷役を行う自動車運搬船のうち、上記した自動車専用運搬船(PCC船)には、一度に6000台以上の自動車を積載できる大型船もあり、現在就航していることが知られている。
【0005】
その概要は、図14に示すとおりのもので、船体1の船首側及び船尾側における片舷の2個所における上甲板上に搬出入口2を設けて、各搬出入口2に、岸壁との間に架け渡して自動車の出入路となるランプウェイとしてのショアーランプウェイ3を取り付けている。又、自動車を駐車させる艙内は、12〜13層の車両デッキ4を備え、各デッキ4間は、ホールドランプウェイとするスロープ5により連絡するようにし、各デッキ4上には、車両走行のための安全用具、航海中の積載車両を確実にデッキに固定しておくための固縛設備や器具(図示せず)が装備してある。更に、車両から排出される排気ガスを船外に排出するための大型換気設備(ベンチレータ)6が要所要所に装備されていると共に、デッキ上の車両走行、車両固縛作業、積み付け車両の輸出ナンバー確認作業等で必要な照明設備(図示せず)が装備された構成としてある(たとえば、非特許文献1参照)。
【0006】
一般の自動車運搬船で上記大型船以外のもの、たとえば、前記した貨物フェリー、旅客フェリーにおける自動車の荷役として、船体に装備させたランプウェイを用いて岸壁から自動車を乗り降りさせるようにしたものとしては、図15に示す如く、船体1の搬出入口部に昇降可能に昇降枠7を設け、該昇降枠7に基端部を回動可能に連結させて取り付けたランプウェイ3の先端部を岸壁8に架け渡すようにし、且つ船体1と岸壁8の高さの相対変位幅が大きくても自動車の荷役ができるようにしたものが提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0007】
又、カーフェリーにおいて、上部車両デッキと下部車両デッキに同時荷役ができるようにしたものとして、図16に示す如く、上部車両デッキ9と下部車両デッキ10を有するカーフェリー等のロールオン・ロールオフ船において、上記両車両デッキ9,10の中間レベルに設けられた車両搬出入甲板11に、左右1対の船外ランプ12,13と車両搬出入口をそれぞれ設け、更に、上記車両搬出入口の内側に、上部車両デッキ9と下部車両デッキ10に接続される左右1対の船外ランプ14,15を備えて、2層の車両デッキ9,10に同時荷役を行うことができるようにしたものが提案されている(たとえば、特許文献2参照)。
【0008】
更に、カーフェリーへの車両の搬出入時間を短縮させるようにしたものとして、ドックの両側をカーフェリーターミナルとして、該カーフェリーターミナル上に備えてある移動台車上に、複数の車両が収容してあるカプセルを置いて、ドック内に船体が入ってドック底に停船させられると、上記車両が収容してあるカプセルをカーフェリーターミナルから船体の上方へ移動台車により移動させ、しかる後、平らにしてある上甲板上のカプセル支持台にカプセルを支持させるようにして搬入させるようにしたものが提案されている(たとえば、特許文献3参照)。
【0009】
【特許文献1】特開平7−277272号公報
【特許文献2】特開平7−228290号公報
【特許文献3】特開2000−177680号公報
【非特許文献1】TECHNO MARINE日本造船学会誌 第873号(平成15年5月)p74〜p78
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところが、非特許文献1に記載されている6000台積の大型船の場合、専用ドライバーを含めて総勢75名で荷役作業を行うとされており、多くの荷役要員を必要としている。又、狭い船内での積み付け作業は、高度な運転技術が必要とされるものであり、積載台数を更に増加させるように自動車運搬船がますます大型化して来ると、更に多くの荷役時間を必要とすることになり、これまでの荷役方式は限界に近づきつつあることが容易に推測される。
【0011】
更に、上記非特許文献1に記載されたものでは、次のような多くの問題点がある。すなわち、
(a)ショアーランプウェイ3が船体1の搬出入口2に取り付けられている構成であるため、航海中は船体1内に格納して必要があると共に、航海中は機能しないものを搭載しておくために、無駄な重量を輸送していることになるという問題がある。
(b)ショアーランプウェイ3は、図14の如く、片舷にしかないため、片舷でしか荷役ができず、ショアーランプウェイ3を増やせばコストアップとなる問題がある。
(c)ショアーランプウェイ3を取り付けるために、搬出入口2の部分の甲板を図14に示す如く切り欠いており、この切り欠きの分だけ車両積載のスペースが減少すると共に、甲板の切り欠きにより、構造強度上問題となり、補強することによって補強重量が大きくなるという問題がある。
(d)船内には、上層への移動のためのホールドランプウェイとしてスロープ5が装備されているため、車両デッキ4に大開口を設ける必要があること、このスロープは航海中は機能せず、無駄な重量を輸送していることになること、スロープ5の設置に広いスペースを必要とすることになるため、該スロープ5上に自動車を載せておくようにしても、車両積載のスペースは減少して、車両積載効率が減少すること、又、スロープ5が狭いスペースに設置されると、スロープ5自体が狭隘となり、熟練したドライバーを必要とすること、上記のように車両デッキ4に大開口を設けると、大開口には補強を必要とすること、等の問題がある。
(e)必要な設備として、照明設備、換気設備6、車両固縛設備、器具等を備えているが、特に、換気設備6は、自動車からの排気ガスの船外排出と新鮮な空気の船内吸入のために大型通風パイプと電動ファンを設置するようにしているが、下層デッキの換気が難しい。又、換気設備6の設置が必要であると共に、換気設備6の設置部近傍には車両を積載できないため、車両積載効率が悪くなるという問題がある。
(f)船内には上下方向に貫通する閉鎖できないスロープ5や換気設備6があり、防火性能上問題がある。
【0012】
一方、カーフェリーについての図15に記載されているものは、船体1の搬出入口に、ランプウェイ3の基端部を回動可能に取り付けた構成としてあるので、航海中はランプウェイ3を格納しておく必要があると共に、航海中のランプウェイ3は機能しないもので、無駄な重量物を搭載していることになるという問題がある。
【0013】
又、図16に記載されているものは、2層同時に荷役できるようにしてあるが、船外ランプ12,13を備えているもので、航海中機能しない船外ランプ12,13を航海中も搭載していることに伴い、上記特許文献1の場合と同様の問題があると共に、船内には船内ランプ14,15を備えているので、前記非特許文献1の(d)と同様の問題がある。
【0014】
更に、特許文献3に記載されているものは、カーフェリーターミナルに置かれたカプセルに乗り込ませて収容させた複数の車両を、カプセルごと船体の上甲板上へ移動させて積み込むことにより、車両の搬出入時間を短縮するようにしたものであるが、カーフェリーターミナルから車両を1台ずつ多層のデッキ上に積み込むようにしたり、カーフェリーターミナルに設けたランプウェイで船内に車両を直接乗り入れるようにすることを示唆するものではない。
【0015】
そこで、本発明は、自動車運搬船にランプやスロープを備えたものの問題点を解消し且つ船体にランプウェイを備えたり、船内にスロープを備えたりすることなく、地上側としての岸壁から自動車運搬船への自動車の積み込み、積み卸しを容易に行えるようにしようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、上記課題を解決するために、地上側に備えたスロープ、ランプウェイを経て自動車を自動車運搬船へ直接積み込み、又、積み卸すようにしたり、地上側に備えたスロープを多層階構造として各階にランプウェイを装備して自動車運搬船の各層の車両デッキに自動車を同時に直接積み込み、又、自動車運搬船の各層の車両デッキから同時に積み卸すようにする自動車運搬船の荷役方法及び装置とする。
【0017】
又、自動車運搬船の各層の車両デッキごとの搬出入口に水密扉を設け、地上側のスロープを多層階構造として各階にランプウェイを装備した構成とする。
【0018】
更に、上記自動車運搬船の荷役装置におけるランプウェイをスロープに上下方向へ回動可能に取り付けて、ランプウェイを上下方向へ回動させる装置をスロープに備えるようにしたり、スロープのランプウェイ取付位置の高さを変える昇降機構を備えた構成とする。
【0019】
又、上記地上側のスロープを多層階構造とした構成において、リンクを伸縮できるようにしてなる昇降機構を多層階に組み付け、昇降駆動装置で所定の層階を上下方向に動かして多層階を昇降させるようにした構成としてもよい。
【0020】
更に、上記構成におけるスロープを直線状又は螺旋状とした構成とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明の自動車運搬船の荷役方法及び装置によれば、次の如き優れた効果を奏し得る。
(1)地上側にスロープとランプウェイを装備して、該地上側のスロープ、ランプウェイから自動車運搬船へ自動車を直接乗り入れることができるようにしてあるので、船内と比較してスペースの制約が比較的小さい地上にスロープ、ランプウェイを余裕をもって装備できる。
(2)上記(1)に伴い自動車運搬船にランプウェイやスロープを装備することがなくなるため、無駄な重量物を輸送していること、甲板に切欠きを設ける必要があって、強度上問題があること、車両デッキに大開口を設ける必要があること、等ランプウェイ及びスロープを装備している従来の自動車運搬船の問題を解決することができると共に、自動車搭載スペースを増大することができる。
(3)自動車運搬船には、水密扉を取り付けるだけであるため、自動車運搬船を大幅に改造する必要がなく、又、水密扉は多数個所に設置することができて、地上から荷役を任意の水密扉のところを使用して行うことができる。
(4)又、水密扉を利用して船内の換気を自然通風で行うことができ、これにより従来の如き大型換気設備の設置を省略できる。
(5)スロープを多層階にして各階にランプウェイを装備する構成とすることにより、多層の車両デッキへの自動車の同時乗り入れや、多層の車両デッキからの同時下船を行わせることが可能となり、柔軟な多港積み、多港卸しが容易となる。
(6)スロープの高さを変えたり、ランプウェイを上下方向へ回動可能としてあるので、潮位の変動、吃水の変化に対して容易に対応させることができると共に、各層の車両デッキ間の高さが異なる自動車運搬船に対しても容易にランプウェイの高さ位置を車両デッキ間の高さに合わせることができる。
(7)リンクを伸縮できるようにしてなる昇降機構を多層階に組み付け、昇降駆動装置で所定の層階を上下方向に動かして多層階を昇降させるようにすることにより、地上階としての最下層階を昇降駆動させることにより全体を昇降させることができて、1つの駆動装置でランプウェイの高さ位置を容易に変えることができる。
(8)スロープを直線状にすることにより自動車を容易に走行させることができ、又、スロープを螺旋状にすることにより、狭いスペースでも設置することができると共に、船側の車両デッキの数、高さに容易に対応させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0023】
図1は本発明の実施の一形態を示すもので、多層にデッキを備えている自動車運搬船Iの船体1の船首部及び船尾部の各両舷に、自動車16を搬出入させる搬出入口17を設けて、該各搬出入口17に、水密に閉鎖できるようにした扉(以下、水密扉という)18をスライド式あるいは外側への跳ね上げ式に開閉可能に取り付けるようにする。一方、地上側としての岸壁8側には、船体1内の各層の車両デッキ4の高さに対応させて直線状のスロープ19を岸壁8上に設置して、該スロープ19の上端部の海側端縁部に、ランプウェイ20の一端側を上下方向に回動可能に取り付け、岸壁8側のスロープ19、ランプウェイ20を利用して自動車16の船体1内の車両デッキ4への積込み積み卸しができるようにする。
【0024】
詳述すると、船体1の両舷の船首尾側に設けた水密扉18のうち、岸壁8側に位置する船首尾側の水密扉18の一方又は双方に対応させて(図1の場合は一方に対応させた場合を示している)、直線状のスロープ19を設置する。スロープ19は、船体1内の車両デッキ4の数に応じて各層の車両デッキの高さ位置に合わせて設置するようにし、車両デッキ4が一層の場合は、スロープ19は1つのみとする。図1は一例として、3方向から船尾側の水密扉18に対応させて直線状のスロープ19,19a,19bを設置して、3層の車両デッキの高さに合わせて各層の車両デッキ4に同時に荷役できるようにする。すなわち、図1において、たとえば、スロープ19aは一層目の車両デッキ4に対応させ、スロープ19bはその上層の車両デッキ4用とし、スロープ19は更に上層の車両デッキ4用とし、各スロープ19,19a,19bの上端部には、スロープ19,19a,19bと船体1との間に架け渡すランプウェイ20の一端側をそれぞれヒンジ結合等によって結合部21を中心に上下方向へ回動可能に取り付け、従来、船体1側に装備していたランプウェイ、スロープを全廃した構成とする。
【0025】
上記スロープ19,19a,19bの上端部に上下方向に回動可能に取り付けてあるランプウェイ20は、自動車16の積み込み時等では結合部21を中心に倒伏させて、その先端側となる端部を船体1の搬出入口17へ架け渡すようにし、船体1が離岸するときは引き上げて船体1に干渉しないようにする。
【0026】
図2、図3はその手段の一例を示すもので、図2に示すものは、ランプウェイ20の左右両側部のシーブ22にかけたワイヤロープ23をガイドシーブ24を介してウィンチ25に巻取るようにして、ウィンチ25によりワイヤロープ23を巻き取り、巻き戻すことによりランプウェイ20を結合部21を中心として上下方向へ回動させるようにしたものである。なお、ウィンチ25は、ランプウェイ20が取り付けてあるスロープ19,19a,19bのフロアに設置するようにしてもよいが、図示の如く、ランプウェイ20が取り付けてあるスロープ19a,19bの上方に位置するスロープ19b,19の下面、すなわち、天井面に設置するようにしてもよい。但し、最上層のデッキに対応させるスロープ(図1の場合はスロープ19)の場合は、当該スロープの上面に支柱等を立てて、該支柱上にガイドシーブ24やワイヤロープ端部の固定点を設けるようにし、ウィンチ25は当該スロープの上面に設置するようにすればよい。又、図3に示すものは、ウィンチ25による方式に代えて、流体圧シリンダ26によりランプウェイ20を結合部21を中心に上下方向へ回動できるようにしたもので、ランプウェイ20の左右両側部にロッド先端部を回動自在に連結した2本の流体圧シリンダ26を、該ランプウェイ20が取り付けてあるスロープ19a,19bの上方に位置するスロープ19b,19の下面、すなわち、天井部に枢着し、該流体圧シリンダ26の伸縮作動によりランプウェイ20を結合部21を中心にして上下方向へ回動させるようにしたものである。図3に示すシリンダ方式による場合も、最上層のデッキに対応させるスロープ(図1の場合はスロープ19)の場合は、当該スロープ19の上面に支柱等を立てて、該支柱に流体圧シリンダ26のヘッド側端部を取り付け支持させるようにする。
【0027】
上記構成としてあるので、自動車運搬船Iが岸壁8に接岸されて停泊された後に、自動車16を船内に乗り入れる(積み込む)場合は、岸壁8側に位置する船首側又は船尾側の水密扉18のうち、岸壁8に装備されているスロープ及びランプウェイの位置に対応するところの水密扉18を開放させる。
【0028】
次に、各スロープ19,19a,19bの各上端部に上下方向へ回動可能に取り付けられているランプウェイ20を倒して、上記水密扉18を開けた船体1の搬出入口17に、ランプウェイ20の先端部を架け渡し、スロープ19,19a,19bと船体1側とを往来できるようにする。
【0029】
かかる準備が整うと、ドライバーにより操縦される自動車16を目的の層の車両デッキ4へ積み込むようにするために、岸壁8から所定のスロープ19,19a,19b、ランプウェイ20を経て船体1内の車両デッキ4へ直接乗り入れるようにする。車両デッキ4上に乗り入れられた自動車16は、図1に示す如く、車両デッキ4を走行させて所定位置へ順次並べて駐車させて積み込むようにする。駐車された自動車16は、航海中のローリングやピッチング等の船体1の揺れに対しても安定しているようにするために、車両固縛器具を使用して、車両デッキ4に保持させておくようにする。
【0030】
すべての自動車16の積み込みが終了すると、ランプウェイ20を、図2に示すウィンチ25によるワイヤロープ23の巻き込みにより上方へ回動させ、あるいは図3に示す流体圧シリンダ26の短縮作動により上方へ回動させて、船体1の搬出入口17から引き上げ、スロープ19,19a,19b側へ格納するようにする。これにより、自動車運搬船Iは、直ちに水密扉18を閉じるだけでよく、従来の自動車運搬船Iの如きランプウェイ3を格納して搭載することなく出航することができる。航海中は、従来の自動車運搬船Iの如き無駄な重量物を輸送することもなく、又、水密扉18を適宜開閉調整することにより、大きい搬出入口17を利用した船内の換気を行わせることができ、大型換気設備を別途設ける必要をなくすことができる。
【0031】
一方、自動車運搬船Iに積み込まれている自動車16を下船させるときは、上述した積み込みの場合とは逆に、車両デッキ4を自走させて水密扉18がある搬出入口17まで移動させてから、岸壁8側のスロープ19,19a,19bから渡されたランプウェイ20を通り、スロープ19,19a,19bを経て下船させるようにする。これにより各層の車両デッキ4から同時に多くの自動車16を下船させることができる。
【0032】
上記において、潮位の変動、吃水の変化等によりスロープ19,19a,19bの高さと船体1側の車両デッキ4の高さが異なる場合、あるいは、船体1の車両デッキ4の高さがスロープ19,19a,19bの高さと異なる場合は、ランプウェイ20をウィンチ25又は流体圧シリンダ26により上下方向へ回動させることにより対応させることができる。
【0033】
次に、図4乃至図6(イ)(ロ)は本発明の実施の他の形態を示すもので、岸壁8に設置する車両走行用のスロープを、図1に示す実施の形態の直線状にしたものに代えて、螺旋状とし、且つ該螺旋状のスロープ27を自動車運搬船Iの各層の車両デッキ4に対応するよう多層構造とすると共に各層(各階)の高さを、自動車運搬船Iの車両デッキ間高さに合わせて調整できるようにし、更に、船体1の各搬出入口17との間に架け渡すようにランプウェイ20を、螺旋状スロープ27の各階に装備させたものである。
【0034】
図6(イ)(ロ)は、図5に示す螺旋状スロープ27をわかり易く示したものであり、螺旋状のスロープ27の一例として一重螺旋形状、すなわち、上の階と下の階との間(以下、層間という)を連絡するスロープ部28を1つのみとし、該1つのスロープ部28を通り上層階へ移動できる形状としたものを示す。
【0035】
詳述すると、自動車運搬船Iの車両デッキ4の数に合わせた多層構造となるように、図6(イ)に示す如く、左右方向の片側に切欠部29を形成したフロア30(図では一例として矩形状としてあるものを示している)を多数用意し、各フロア30のコーナ部に穿設した各ガイド用孔31を、岸壁8上に立てる別々のガイド支柱32に嵌めて多層構造とするようにする。上記ガイド支柱32をガイドとするように多層に組み付けられた各フロア30間には、各フロア30間の高さを変えることができる昇降機構として、スクリュージャッキ式昇降機構33を、たとえば、前側及び後側に設置する。
【0036】
上記スクリュージャッキ式昇降機構33は、図7に拡大して示す如く、パンタグラフ式に4本のリンク34を回動自在に結合して上下方向に伸縮できるようにした昇降体の中央部の結合部35にスクリュー36を螺合させて、駆動装置37によりスクリュー36を正逆回転させることにより伸縮動作できるようにしてあり、下端はフロア30の上面に、又、上端は上側のフロア30の下面にそれぞれ回動自在に取り付けるようにしてある。
【0037】
上記スロープ部28としては、一端側をスライドできるようにしたスライド式と、長手方向に伸縮できるようにした伸縮式を用いることができるが、この実施の形態では、伸縮式としたスロープ部28を用いたものとして示す。
【0038】
ガイド支柱32にガイド用孔31を通して多層に組み立てられ、且つ各層のフロア30間に昇降機構33が介装させられると、図6(ロ)に示す如く、各層のフロア30の切欠部29に、長手方向に伸縮できるようにしてある伸縮式のスロープ部28を位置させ、該各スロープ部28の前端部(長手方向の一端部)は、フロア30の切欠後端縁部38に、ヒンジ結合等の結合部40で上下方向へ回動可能にそれぞれ結合させるようにする。又、最下層のフロア30の切欠部29にあるスロープ部28を除き、上層側の各スロープ部28の後端部(長手方向の他端部)は、1段下の層のフロア30の切欠前端縁部39に、上記と同様の結合部40で上下方向へ回動可能にそれぞれ結合させるようにし、最下層のフロア30の切欠部29に位置させたスロープ部28の後端部は、岸壁8の上面に接地させ、岸壁8から螺旋状スロープ27への乗入れ口となるようにする。
【0039】
更に、上記各層のフロア30の前端部となる海側の中央部分には、海側へ突出するようにランプウェイ20をそれぞれヒンジ結合の如き結合部40で上下方向へ回動可能に取り付け、各層のランプウェイ20は、図1、図2に示した実施の形態の場合と同様にウィンチ25に巻取られたワイヤロープ23を介して回動(起倒)できるようにする。
【0040】
上記長手方向に伸縮できるようにした伸縮式のスロープ部28の一例は、図8(イ)(ロ)(ハ)(ニ)に示す如く、長手方向に矩形状の中空形状(図8(ハ))、あるいは両側部を内側に折り曲げてスライド可能な受け部を設けた形状(図8(ニ))のケース体28aと、該ケース体28a内へスライド自在に挿入する中空又は中実の摺動体28bとからなる構成として、自在に伸縮できるようにしてある。したがって、各層のフロア30の高さを自動車運搬船Iの各層の車両デッキ4の高さに合わせるために昇降機構33で変えたとき、これに伴い、下層フロア30の切欠前端縁部39と上層フロア30の切欠後端縁部38との間の間隔が変更したときでも、この間隔の変更に、スロープ部28が自在に伸縮して追従することができるようにしてある。41はフロア30のガイド支柱32に沿う部分に設けたガイドローラである。
【0041】
この実施の形態によれば、岸壁8に広いスペースを必要とすることなく、螺旋状スロープ27を利用して乗下船させることができる。先ず、自動車運搬船Iが接岸されて、自動車16を積み込むときは、螺旋状スロープ27の最下層のフロア30から岸壁8上に降ろされているスロープ部28を使用して自動車16を順次乗り入れて行く。
【0042】
岸壁8からスロープ部28を通り一層目のフロア30に上がると、該一層目のフロア30からニ層目のフロア30へスロープ部28を通り上がり、順次同様にして各フロア30の一側部にあるスロープ部28を通り上層のフロア30へ移動する。各フロア30の前側には、それぞれランプウェイ20が装備されているので、各ランプウェイ20を倒して先端を船体側へ架け渡しておき、各層のフロア30に移った自動車16は、順次各フロア30のランプウェイ20を通って船体1内の各層の車両デッキ4上に乗り入れるようにする。これにより各層間の1つのスロープ部28と通って来た自動車16を希望する各層の車両デッキ4へ同時に荷役することができる。
【0043】
荷役作業中に潮位の変動、吃水の変化が生じた場合に、その変動や変化が比較的小さいときは、ランプウェイ20の回動で船側と螺旋状スロープ27側との相対変位を吸収させることができるが、上記の変動や変化が大きくなると、螺旋状スロープ27の各層の高さ、すなわち、ランプウェイ20取付部の高さを変えるようにし、又、図5(イ)に示す如く、自動車運搬船Iの車両デッキ4の高さが低い場合は、その車両デッキ4の高さに合わせて螺旋状スロープ27の各層の高さを低くするようにし、図5(ロ)に示す如く、自動車運搬船Iの車両デッキ4の高さが高い場合は、その車両デッキ4の高さに合わせて螺旋状スロープ27の各層の高さを高くするようにする。このような場合には、図6(ロ)に示したスクリュージャッキ式昇降機構33を作動させて、各層のフロア30をガイド支柱32をガイドとして上下方向へ変位させることにより各フロア30の高さを変えるようにする。各フロア30の高さを低くするときは、昇降機構33を短縮させるように作動させることより上層のフロア30をガイド支柱32に沿わせて下げることができ、図9(イ)に模式的に示す如く、上下のフロア30の間隔を狭めることができる。このとき、スロープ部28は、伸縮式としてあるので、フロア30の下降に支障を来たすことはない。逆に、各フロア30の高さを高くするときは、昇降機構33を伸長させることにより、上層のフロア30は下層のフロア30を支持台としてガイド支柱32に沿い上げることができ、図9(ロ)に模式的に示す如く、上下のフロア30の間隔を広くすることができる。このとき、スロープ部28は、自在に伸縮できるので、フロア30の押し上げに支障を来たすことはない。
【0044】
又、各層間に介在させてある昇降機構33を各層ごとに任意に作動させることにより、任意の層間の高さを変えることができ、図9(イ)(ロ)の高さ変更により、荷役中に、潮位や吃水の変化で自動車運搬船Iの所定の車両デッキ4の位置が変動した場合にも容易に対応させることができることになる。
【0045】
又、上記説明では、昇降機構としてスクリュージャッキ式昇降機構33を採用した例を示したが、昇降機構としては、スクリュージャッキ式のほかに、図10(イ)に示す如く、駆動装置としての油圧ジャッキ42で伸縮させるようにした油圧ジャッキ式昇降機構43や、図10(ロ)に示す如く、ガイド支柱32に沿わせてラック44を取り付けると共に、該ラック44に噛合するピニオン45をフロア30上の駆動装置46の出力軸47に取り付けて、駆動装置46でピニオン45を正逆転させることによりラック44に沿ってフロア30を昇降させるようにしたラック・ピニオン式昇降機構48があり、これらをスクリュージャッキ式昇降機構33に代えて適宜採用することができる。
【0046】
更に、図11(イ)(ロ)は図4乃至図6(イ)(ロ)に示した実施の形態における螺旋状スロープ27の他の変形例として、二重螺旋形状とした一例を示すものである。
【0047】
すなわち、左右両側部に切欠部29,29aを形成したフロア30を、図6(イ)(ロ)の場合と同様に4本のガイド支柱32に沿い多層に配置し、左右両側部の切欠部29,29aのうち、片側の切欠部29では、図6(イ)(ロ)に示す場合と同様に、長手方向に伸縮できるような構成としてあるスロープ部28を取り付けて、下層のフロア30と上層のフロア30とを連絡させるようにする。反対側の切欠部29aでは、伸縮式としたスロープ部28の一端側を、各フロア30の切欠前端縁部39に、上下方向へ回動可能に結合すると共に、スロープ部28の他端側を、各フロア30の切欠後端縁部38に、上下方向へ回動可能に結合するようにする。その他の構成は図4乃至図6(イ)(ロ)に示す実施の形態の場合と同様であり、同一のものには同一符号が付してある。
【0048】
この実施の形態の場合には、同時に2つのスロープ部28を使用して自動車16を螺旋状スロープ27から自動車運搬船Iの各層の車両デッキ4へ積み込むことができ、前記した一重螺旋形式のものに比して多くの自動車16をより効率的に螺旋状スロープ27から自動車運搬船Iの車両デッキ4へ乗り入れさせることができる。
【0049】
又、上記の実施の形態において、最下層のフロア30と岸壁8との間を連絡させるスロープ部28のうち、海側から1階のフロア30へ上がるようにするスロープ部28は、図11(イ)に二点鎖線で示す如く、1階フロア30の後端部の左右両側部のいずれかに上下方向へ回動可能に取り付けるようにしてもよい。
【0050】
なお、図12は、スロープ部28をスライド式とした場合を模式的に示すもので、下端側がフロア30上をスライドできるようにしてある。
【0051】
又、図13は、本発明の実施の更に他の形態を示すもので、図6(イ)(ロ)に示す如き多層階構造で一重螺旋形状としたものにおいて、最下層を動かすことにより全体を同時に動かすことができるようにしたものである。
【0052】
すなわち、ランプウェイ20を前端縁部に上下方向へ回動自在に備えているフロア30を図12のように多層階状に配置し、各層階のフロア30の左右方向の片側に切欠部29を形成して、各切欠部後端縁部38に一端をヒンジ結合等の結合部40で上下方向へ回動可能にそれぞれ結合させたスロープ部28の他端側を、順次下層のフロア30上にスライド自在に載置させてある構成において、交差させて連結してなる複数組のリンク51と52の一端部同士を連結すると共に他端部同士を連結して自在に伸縮できるようにしたリンク式伸縮機構を、昇降機構49として、最上部のフロア30と地上側としての岸壁8との間に組み付け、地上階としての最下部のフロア30を上下方向に動かすことによって多層階のフロア30が同時に昇降できるようにする。
【0053】
詳述するに、地上側である岸壁8の所要個所に、リンク連結用ブロック50aを固定して設置すると共に、各フロア30の前端部の下面所要位置に、それぞれリンク連結用ブロック50bを固定して設置する。該各フロア30下面に固定されているリンク連結用ブロック50bには、最上部のフロア30に固定のリンク連結用ブロック50bを除き、所要長さとしてあるリンク51とリンク52の各一端部を1本の水平ピン53にて回動自在に連結して、最上部に固定のフロア30のリンク連結用ブロック50には、リンク52の一端部を水平ピン53にて回動自在に連結し、又、岸壁8上に固定のリンク連結用ブロック50aには、リンク51の一端部を水平ピン53にて回動自在に連結し、各々水平ピン53を中心に各リンク51,52の各一端部が回動できるようにする。
【0054】
一方、たとえば、各フロア30には、上下方向に貫通する開口部56を設けて、上記各リンク51と52を互に交差させて各フロア30の開口部56に通し、各フロア30の上下方向に突出するようにする。このようにした各リンク51と52の各他端部を、移動できるようにコロ55付きで移動できるようにしてある移動式リンク連結用ブロック54に、水平ピン53にて連結して、各フロア30側の移動式リンク連結用ブロック54は、フロア30の下面に沿い移動できるようにし、岸壁8側の移動式リンク連結用ブロック54は、岸壁8上を移動できるようにする。
【0055】
更に、上記各リンク51と52の中間位置の交差部は、水平ピン53にて回動自在に連結した構成とし、上記リンク連結用ブロック50aに枢着したリンク51の一端部と上記移動式リンク連結用ブロック54に枢着したリンク52の他端部との対峙間隔を狭めたり広げたりすることにより、マジックハンドの如くリンク51,52が伸縮でき、このリンク51,52の伸縮により各フロア30が同時に同一間隔幅で昇降できるようにしたものである。
【0056】
更に又、上記各フロア30の昇降駆動装置としての油圧ジャッキ57を、地上階としての最下部のフロア30と岸壁8との間に設置し、最下部のフロア30を上下方向に動かすことによりリンク51,52を用いた伸縮機構としての昇降機構49を介して多層階のフロア30が昇降できるようにしてある。
【0057】
58は最下部のフロア30へのスロープ部であるが、二点鎖線で示す如く最下部フロア30の切欠部後端縁部にヒンジ結合で取り付けるようにしてもよい。
【0058】
この実施の形態によれば、多層構造としてある各ランプウェイ20の高さ位置を変える場合に、最下部のフロア30を昇降駆動装置57により昇降駆動させることにより、多層階のフロア30全体を同時に昇降させて、各ランプウェイ20の高さ位置を容易に変えることができる。この際、地上階としての最下部のフロア30を昇降させるだけであるため、昇降駆動装置57としては、各フロア30の間に昇降機構を設置するものに比して、駆動装置の台数を減らすことができ、低コスト、高信頼性を図ることができる。
【0059】
なお、上記図13に示した実施の形態のものでは、一例として一重螺旋形式のものとして図示し説明したが、別の実施の形態として、たとえば、図11(イ)(ロ)に示す如く、二重螺旋形式、あるいは更に多重螺旋形式としたものにおいても同様に適用することができる。又、スロープ部28はスライド方式を例として説明したが、スロープ部を伸縮式として下端側を下層のフロア30にヒンジ結合するようにしたものでもよい。
【0060】
又、別の実施の形態として、図13に示すものにおいて、図6(イ)(ロ)に示すようにガイド支柱32を用いて、各フロア30をガイド支柱32に沿わせて昇降させるようにすることもできる。
【0061】
なお、本発明は上記した実施の形態にのみ限定されるものではなく、たとえば、図1に示す実施の形態では、直線状のスロープ19,19a,19bを3つ組み合わせて1階、2階、3階用とした場合を示したが、直線状のスロープを、たとえば、スロープ19のみとして、自動車運搬船Iの車両用デッキが1層の場合に対応させるようにしてもよく、又、1つの直線状のスロープ19の上端側の高さを変更できるように昇降機構で上下動できるようにして、多層の車両用デッキに対応させるようにしてもよい。図4乃至図6(イ)(ロ)に示す実施の形態の場合には、螺旋状のスロープ27として一重螺旋形式の一例を、又、図11(イ)(ロ)では二重螺旋形式の一例をそれぞれ示しているが、更に、変形例として、三重螺旋形式として3デッキ同時荷役ができるようにしてもよい。又、螺旋状スロープ27に用いるスロープ部28としては、伸縮式としたものを図示し説明したが、図12に示す如く、下端側をフロア30上をスライドできるようにしたスライド式としてもよい。更に、螺旋状スロープ27の場合、ガイド支柱32を岸壁8に固定して定置式としたり、ガイド支柱32を岸壁8に固定しないで全体を移動式とすることができること、その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の実施の一形態を示す概略平面図である。
【図2】図1のスロープに装備させたランプウェイの支持方式の一例を示す概略側面図である。
【図3】図1のスロープに装備させたランプウェイの支持方式の他の例を示す概略側面図である。
【図4】本発明の実施の他の形態を示す概略平面図である。
【図5】図4に示す自動車運搬船と岸壁上の螺旋状スロープの関係を示すもので、(イ)は車両デッキの高さが低い自動車運搬船に対応して、螺旋状スロープの各階の高さを低くした場合の概略正面図、(ロ)は車両デッキの高さが高い自動車運搬船に対応して、螺旋状スロープの各階の高さを高くした場合の概略正面図である。
【図6】本発明における螺旋状スロープの一形態として、一重螺旋形式とした一例を示すもので、(イ)は概略正面図、(ロ)は一部の概略側面図である。
【図7】本発明における螺旋状スロープの各階の高さを調整する昇降機構としてスクリュージャッキ式の例を示す概略側面図である。
【図8】本発明における螺旋状スロープに用いられているスロープ部を示すもので、(イ)は平面図、(ロ)は側面図、(ハ)は(ロ)のA−A方向から見た一例の断面図、(ニ)は(ロ)のA−A方向から見た他の例の断面図である。
【図9】本発明における螺旋状スロープの各階のフロアの高さを変更した状態を模式的に示すもので、(イ)は図5(イ)のように各階の高さを低くした状態図、(ロ)は図5(ロ)のように各階の高さを高くした状態図、(ハ)は任意に高さを変えた状態図である。
【図10】図7に示した昇降機構の他の例を示すもので、(イ)は油圧ジャッキ式とした場合の概略側面図、(ロ)はピニオン・ラック式とした場合の概略側面図である。
【図11】本発明における螺旋状スロープの他の形態として二重螺旋形式とした例を示すもので、(イ)は全体の概略斜視図、(ロ)は一部の概略側面図である。
【図12】螺旋状スロープに用いるスロープ部をスライド式とした例を示す模式図である。
【図13】地上階としての最下層階を昇降駆動させて全体を昇降させるようにする実施の形態の一例を示す概略側面図である。
【図14】従来の自動車運搬船への自動車の積み付け積み卸しの状態を示す概略平面図である。
【図15】従来の船体側にランプウェイが取り付けられている例を示す側面図である。
【図16】従来の船体にランプウェイを装備し、更に船内にスロープを備えている自動車運搬船の概略側面図である。
【符号の説明】
【0063】
I 自動車運搬船
1 船体
4 車両デッキ
8 岸壁(地上)
16 自動車
17 搬出入口
18 水密扉
19,19a,19b 直線状のスロープ(スロープ)
20 ランプウェイ
25 ウィンチ
26 流体圧シリンダ
27 螺旋状スロープ(スロープ)
33 スクリュージャッキ式昇降機構(昇降機構)
43 油圧ジャッキ式昇降機構(昇降機構)
48 ラック・ピニオン式昇降機構(昇降機構)
49 昇降機構
51 リンク
52 リンク
57 油圧ジャッキ(昇降駆動装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地上側に備えたスロープ、ランプウェイを経て自動車を自動車運搬船へ直接積み込み、又、自動車運搬船から積み卸すようにすることを特徴とする自動車運搬船の荷役方法。
【請求項2】
地上側に備えたスロープを多層階構造として各階にランプウェイを装備して自動車運搬船の各層の車両デッキに自動車を同時に直接積み込み、又、自動車運搬船の各層の車両デッキから同時に積み卸すようにすることを特徴とする自動車運搬船の荷役方法。
【請求項3】
自動車の搬出入口を開閉できるようにしてある自動車運搬船に対し、地上側にスロープとランプウェイを装備して、地上側のスロープ、ランプウェイから自動車運搬船への自動車の乗下船を行わせて積み込み、積み卸しを行わせるようにした構成を有することを特徴とする自動車運搬船の荷役装置。
【請求項4】
自動車運搬船の各層の車両デッキごとの搬出入口に水密扉を設け、地上側のスロープを多層階構造として各階にランプウェイを装備した請求項3記載の自動車運搬船の荷役装置。
【請求項5】
ランプウェイをスロープに上下方向へ回動可能に取り付けて、ランプウェイを上下方向へ回動させる装置をスロープに備えた請求項3又は4記載に自動車運搬船の荷役装置。
【請求項6】
スロープのランプウェイ取付位置の高さを変える昇降機構を備えた請求項3、4又は5記載の自動車運搬船の荷役装置。
【請求項7】
リンクを伸縮できるようにしてなる昇降機構を多層階に組み付け、昇降駆動装置で所定の層階を上下方向に動かして多層階を昇降させるようにした請求項4記載の自動車運搬船の荷役装置。
【請求項8】
スロープを直線状又は螺旋状とした請求項3、4、5又は6記載の自動車運搬船の荷役装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2006−124047(P2006−124047A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−310842(P2004−310842)
【出願日】平成16年10月26日(2004.10.26)
【出願人】(502422351)株式会社アイ・エイチ・アイ マリンユナイテッド (159)
【Fターム(参考)】