説明

自動車部品スマートカタログシステム

【課題】整備業者側及び/又は部品販売業者側(ユーザー側)が、交換の見込がある部品(注文もしくは販売する可能性のある部品)を直感的に容易に選択できる、自動車部品スマートカタログシステムを提供する。
【解決手段】或る特定車両の整備のための交換部品の注文を行おうとしている或るユーザー側からの指示・要求に対応して、「前記特定車両が属する車種に関して部品の交換の可能性のある複数の各共通部品コード等を一方の軸とし、その車両の各経過年を他方の軸とする一覧表であって、その一覧表の中の該当する部分に、前記車種における前記各共通部品コードに係る部品の各経過年毎の交換比率又はこれを示す記号等を表示する一覧表」を生成し、この一覧表の中で、今回の整備において交換の見込みがある共通部品コードに係る部品に対応するマス目に所定の強調表示を行う自動車部品スマートカタログシステムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、整備業者や部品商(部品販売業者)が交換部品を注文するときに交換部品の選択を容易にすることができる、自動車部品スマートカタログシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、エンドユーザーからの依頼を受けて自動車の整備(修理を含む。以下同じ)を行う整備業者やこの整備業者に部金を供給する部品販売業者からの要求に対応してネットワーク経由で必要な部品カタログを提供する、ネット上の自動車部品卸業(部品商)ビジネスが知られている。このような自動車部品卸業ビジネスでは、整備業者がエンドユーザー(カー・オーナー)から整備を依頼された車両の情報(車種、型式、フレーム番号など)を例えば部品卸業者側のサーバーに入力すると、その車種に関する複数の部品を一覧表示する画面が整備業者側に提示され、整備業者側は、その画面上で、一つ又は複数の部品を選択(指定)して必要な部品を発注する、という取引が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−334134号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述のように、従来の自動車部品卸業ビジネスにおいては、エンドユーザーから車両の整備を依頼された整備業者のために、卸業者側のサーバーから、その車両の車種に関係する多数の部品を一覧で提示して、整備業者が自分で故障箇所と判断している(部品交換が必要だと判断している)箇所の部品を整備業者が自分で選択・指定して注文するように促すことで、取引を行っていた。
【0005】
しかしながら、近年の自動車の電子化の流れの中で、各種のセンサーや電子基板などのブラックボックス的な部品が増えてきたため、外形的変化や機械的な作動状態などからは故障や劣化などによる交換の必要性の有無が判然としない部品の割合が増加してきた。その結果、従来のように、部品卸業者側が、整備の対象とされている車両の車種に関係する多数の部品を一覧で提示するだけでは、整備業者はどの部品が交換の必要性が高いのか分からない、そのためどの部品を注文したらよいのか分からない、という事態が増えてきた。
【0006】
本発明はこのような従来技術の問題点に着目してなされたものであって、特定の車両の整備を依頼された整備業者が、その整備のために部品販売業者への注文を検討すべき交換用部品(整備のために交換の必要性が高い部品=交換の見込のある部品)を直感的に容易に把握することができる、或るいは、部品販売業者が、前記整備のために購入したらどうかと前記整備業者に提案すべき交換用部品(整備のために交換の必要性が高い部品=交換の見込のある部品)を直感的に容易に把握することができる、自動車部品スマートカタログシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上のような課題を解決するための本発明による自動車部品スマートカタログシステムは、自動車の整備業者及び/又は部品販売業者(以下、前記整備業者及び/又は部品販売業者を「ユーザー」という場合がある)が利用する自動車部品カタログ画面を提供するシステムであって、過去に各ユーザーが整備(修理を含む)のための部品の交換、前記交換のための仕入れ、若しくは前記交換のための販売をした部品に関するデータに基づいて、前記整備が行われた車両の車種、前記整備のための交換、交換のための仕入れ、若しくは交換のための販売をした各部品、及びその各部品が前記交換、仕入れ、若しくは販売された経過年(車両の初年度登録からの経過年)を含む各整備対象車両毎の交換履歴データを、前記各整備対象車両の識別データと対応付けて記録しておく交換履歴記録手段と、前記各整備対象車両の整備の際に交換された若しくは交換され得る各部品と、或る車種に関して互いに互換性のある複数メーカーの部品を共通に纏めるための各共通部品コードとを、互いに対応付けて記録しておく共通部品記録手段と、前記交換履歴記録手段及び前記共通部品記録手段からのデータに基づいて求められる、各車種毎の各共通部品コード別の各経過年毎の交換比率(前記整備が行われた車両が属する車種に該当する全車両台数に対する、交換された各共通部品コードに係る全部品の数の割合)を、各車種毎の各共通部品コードと対応付けて記録しておく交換比率記録手段と、前記交換履歴記録手段及び前記共通部品記録手段からのデータに基づいて求められる、各整備が行われた車両毎の過去に交換された各共通部品コードに係る部品の、初年度登録時から最初の交換まで及び或る交換からその次の交換時までの期間の平均である平均交換期間を、各整備が行われた車両毎の各共通部品コードと対応付けて記録しておく平均交換期間記録手段と、これから整備を行おうとする或る特定車両のための交換部品の注文もしくはその販売を行おうとしている或るユーザー側からの要求の送信もしくは入力に対応して、前記交換履歴記録手段及び前記交換比率記録手段からのデータに基づいて、「前記特定車両が属する車種に関して部品の交換の可能性のある複数の各共通部品コードもしくはその各名称を一方の軸とし、その車両の各経過年を他方の軸とする一覧表であって、その一覧表の中の該当する部分に、前記車種における前記各共通部品コードに係る部品の各経過年毎の交換比率であって所定の率以上のもの又はこれらを象徴的に示す文字、記号もしくは画像を表示する一覧表」を生成する一覧表生成手段と、前記一覧表生成手段により作成された一覧表において、少なくとも「前記特定車両の現在の経過年に係る部分であって今回の整備において交換の見込みがある部品に対応する共通部品コードに係る部分」もしくはそこに表示された記号等が強調されるように、前記一覧表の表示を制御するための表示制御手段であって、(a)前記特定車両の現在の経過年に該当する部分であって、前記特定車両に対応する車種における前記各共通部品コードに係る部品の各経過年毎の交換比率であって所定の率以上のもの又はこれらを象徴的に示す文字、記号もしくは画像が表示された部分もしくはそこに表示された記号等を、原則として、今回の整備において交換の見込みがあることを示すものとして見込強調表示するように制御し、(b)前記平均交換期間記録手段からのデータに基づいて、前記一覧表の中で、前記特定車両の現在の経過年に該当する部分であって、前記車種の前記各共通部品コードに係る部品の各経過年毎の交換比率であって所定の率以上のもの又はこれらを象徴的に示す文字、記号もしくは画像が表示された部分に関して、「当該の特定車両における、その共通部品コードに係る部品に関する前回交換時から現在までの期間」が「当該の特定車両における、その共通部品コードに係る部品に関する前記平均交換期間」よりも短いときは、前記原則の例外処理として、その共通部品コードに係る部品に関する前記部分等の見込強調表示を中止するように制御し、(c)前記平均交換期間記録手段からのデータに基づいて、前記一覧表の中で、前記特定車両の現在の経過年に該当する部分であって、前記車種における前記各共通部品コードに係る部品の各経過年毎の交換比率であって所定の率以上のもの又はこれらを象徴的に示す文字、記号もしくは画像が表示されていない部分に関して、「当該の特定車両における、その共通部品コードに係る部品に関する前回交換時から現在までの期間」が「当該の特定車両における、その共通部品コードに係る部品に関する前記平均交換期間」よりも長いときは、その共通部品コードに係る部品に関する前記部分もしくはそこに表示された記号等を、今回の整備において交換の見込みがあることを示すものとして強調表示するように制御する、表示制御手段と、前記表示制御手段により強調表示された一覧表を、どの共通部品コードに係る部品についてその詳細情報を送信もしくは表示してもらうかをユーザー側が選択するための概略選択画面として、前記ユーザーのために送信もしくは表示する概略選択画面表示手段と、を備えたことを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明による自動車部品スマートカタログシステムにおいては、前記交換履歴記録手段からのデータに基づいて、前記一覧表生成手段により作成された一覧表に対して、前記特定車両の現在の経過年より前に交換された部品があるとき、その部品に対応する共通部品コードの軸とその過去の経過年の軸とが交差する部分もしくはそこに表示された記号等を、前記見込強調表示とは異なる形態で強調表示する交換実績強調手段、を備えたことが望ましい。
【0009】
さらに、本発明による自動車部品スマートカタログシステムにおいては、前記各共通部品コードと、複数のメーカーが製造している各部品に関する詳細情報(価格を含む)とを互いに対応付けて記録しておく部品詳細情報記録手段と、前記概略選択画面上で、前記ユーザー側による一つもしくは複数の各共通部品コードもしくはそれに対応する各名称を選択しての部品詳細カタログ要求の送信もしくは入力に対応して、前記部品詳細情報記録手段からのデータに基づいて、少なくとも前記選択された各共通部品コードもしくはその各名称に対応する複数のメーカーが製造している部品の価格、在庫の有無、及び納期などの詳細情報を含む部品詳細カタログを生成し、前記ユーザーのために送信もしくは表示する部品詳細カタログ生成手段、を備えたことが望ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明においては、「前記特定車両が属する車種に関して交換可能性のある複数の各部品に対応する複数の各共通部品コードもしくはその各名称を一方の軸とし、各経過年を他方の軸とする、一覧表」の中の該当する部分に、「前記車種における前記各共通部品コードに係る部品の各経過年毎の交換比率であって所定の率の値以上のもの又はこれらを象徴的に示す文字、記号もしくは画像」を表示し、しかも、前記一覧表において、前記特定車両の現在の経過年において、前記車種における前記各共通部品コードに係る部品の各経過年毎の交換比率であって所定の率の値以上のもの又はこれらを象徴的に示す文字、記号もしくは画像が表示された部分もしくはそこに表示された記号等を、原則として、今回の整備において交換の見込みがあるものとして強調表示するようにし、このように強調表示された一覧表をユーザー側に送信もしくは表示するようにしている。よって、ユーザー(交換するために注文すべき部品を選択しようとしている整備業者、もしくはこの整備業者に購入の提案をするために交換の見込みのある部品を選択しようとしている部品販売業者)は、前記一覧表中の複数の「前記車種に関連する前記各共通部品コードに係る部品」の中から、どの「共通部品コードに係る部品」を「価格等の詳細情報を送信もしくは表示してもらうことが必要な部品」(=交換の見込みがある部品)として選択するかを、直感的に容易に把握できるようなる。
【0011】
すなわち、本発明によれば、エンドユーザー(カー・オーナー)から特定の車両の整備を依頼された整備業者は、今回の整備のために交換の見込がある(そして、そのために価格等の詳細情報カタログが必要となる)交換用部品(共通部品コードに対応するレベルの部品名称)の選択を、直感的に容易にできるようになる。また、同様に、本発明によれば、前記の整備業者に前記整備のために購入を検討すべき交換用部品の候補を提案する部品販売業者は、今回の整備のために交換の見込みがあるので購入を検討すべきと前記整備業者に提案する(そして、そのために価格等の詳細情報カタログを前記整備業者に提供する)ために必要な交換用部品(共通部品コードに対応するレベルの部品名称)の選択を、直感的に容易にできるようになる。
【0012】
また、本発明においては、前記一覧表の中で、前記特定車両の現在の経過年において、前記車種における前記各共通部品コードに係る部品の各経過年毎の交換比率であって所定の率の値以上のもの又はこれらを象徴的に示す文字、記号もしくは画像が表示された部分に関して、その共通部品コードに対応する部品に関する前回交換時から現在までの期間が前記平均交換期間よりも短いときは、その共通部品コードに係る部品に関する前記部分等の見込強調表示を中止するようにしたので、ユーザーが前記一覧表において交換の可能性が低い部品を「価格等の詳細情報を送信もしくは表示してもらうことが必要な部品」(=交換の可能性が高い部品)と誤って判断して選択してしまうことを、防止することができる。
【0013】
また、本発明においては、前記一覧表の中で、前記特定車両の現在の経過年において、前記車種における前記各共通部品コードに係る部品の各経過年毎の交換比率であって所定の率以上のもの又はこれらを象徴的に示す文字、記号もしくは画像が表示されていない部分について、その共通部品コードに対応する部品に関する前回の交換時から現在までの期間が前記平均交換期間よりも長いときは、その共通部品コードに係る部品に関する前記部分もしくはそこに表示された記号等を、今回の整備において交換の見込みがある部品として強調表示するようにしたので、ユーザーが前記一覧表において交換の必要性が高い部品であるのに「価格等の詳細情報を送信もしくは表示してもらうことの必要がない部品」(=交換の可能性が低い部品)と誤って判断して選択し忘れてしまうことを防止することができる。
【0014】
さらに、本発明においては、前記一覧表において、前記特定車両の現在の経過年より前に交換された部品があるとき、その部品に対応する共通部品コードの軸とその過去の各経過年の軸とが交差する部分もしくはそこに表示された記号等を前記見込強調表示とは異なる形態で強調表示するようにしたので、ユーザーは、交換の必要性が高い部品(価格等の詳細情報を送信もしくは表示してもらうことが必要な部品)の選択を、その車両の過去の部品交換実績をも参照しながら、より適切かつ容易に行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施例1による自動車部品スマートカタログシステムを示す概念ブロック図である。
【図2】本実施例1において生成される一覧表(共通部品コードに係る商品の選択用画面)の画面の一例を示す図である。
【図3】本実施例1の動作の一例を示すフローチャートである。
【図4】本実施例1において生成される部品詳細カタログの画面の一例を示す図である。
【図5】本実施例1において使用される各種のデータベースの一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明を実施するための最良の形態は、例えば次の実施例1について述べるようなものである。
【実施例1】
【0017】
本発明の実施例1による自動車部品スマートカタログシステムを図1の概念ブロック図を参照して説明する。図1において、1は本システムのユーザーである整備業者側若しくはこれらの整備業者に部品を供給する部品商側(以下「ユーザー側」という)のパソコン、2はユーザー側に部品カタログの提供、部品の販売、その他のサービスを提供するセンター側のサーバー(ハードウェアとしては複数のサーバー群から成るものでもよい)、3は前記サーバー2が提供する自動車部品のカタログ販売などのサービスを受ける契約を前記センター側と結んでいるユーザー側のパソコン1との間を結ぶネットワーク(バーチャルプライベートネットワークなど)、である。
【0018】
また、図1において、4は、ユーザーが過去に各顧客の車両を整備(又はそのために部品を注文、もしくは販売)したときに、その車両の部品の交換履歴(その車両の整備の履歴であって、その車両の車種・型式・初年度登録・経過年・フレーム番号などの情報、整備の日時、整備時に交換した部品の情報などを含む)をネットワーク3経由でセンター側に提供してもらったデータを蓄積した交換履歴データベースである。この交換履歴データベース4は、過去に整備されたときの部品交換の実績データ、すなわち、過去に整備された各車両の車種、型式指定番号、類別番号、初年度登録年月日、型式・フレーム番号、その整備時の初年度登録からの経過年、その整備の日時、及びその整備時に交換した部品に関する詳細情報(メーカー名や、品名、品番など)などの情報を、互いに対応付けて記録しておくものである。前記交換履歴データベース4には、同じ特定車両の整備履歴として、或る整備業者からのデータ、他の整備業者からのデータ、或る部品販売業者からのデータ、及び、他の部品販売業者からのデータが重畳的に蓄積されるが、それらは、特定車両の識別コードと共通部品コードと車種と経過年データとに基づいて、互いに混同・混乱しないように整理して蓄積される。
【0019】
また、図1において、5は、自動車の各車種毎の各部品の名称、メーカー名、価格などの詳細情報を蓄積した部品カタログデータベースである。この部品カタログデータベース5は、各車種毎にその整備時に交換可能な部品であって、カーメーカーが販売する純正品及びサードパーティから販売される市販品のそれぞれについて、その名称、メーカー名、品名、品番、価格、及び、その部品が属する共通部品コード(後述)を互いに対応付けて記録しておくものである。
【0020】
また、図1において、6は、互いにメーカーが異なるが互いに互換性を有する部品を各車種毎に共通に纏めるための共通部品コードを、各部品と互いに対応付けて記録しておくための共通部品データベースである。この共通部品データベース6は、例えば、或る車種についてオイルフィルターは純正品と市販品とを含む複数のものが存在しているが、それらは互いに互換性を有しているので、或る車種について例えば経過年が5年目のときにオイルフィルターがどれくらいの頻度で交換されているかの統計をとろうとする場合は、「前記のオイルフィルターの純正品と市販品とを纏めた、或る車種についての1つのオイルフィルター」として統計をとる必要がある。そこで、本発明者において「前記の純正品と複数の市販品とを纏めた、或る車種についての1つのオイルフィルター」に対応する「1つの共通部品コード」を設定し、前記共通部品データベース6において、前記の純正品と複数の市販品の各部品を、それが属する共通部品コードと対応付けて記録しておくようにした。そして、このような記録処理を、前記オイルフィルターのみでなく、エアーフィルター、エアコンフィルター、Fディスクパッド、O2(酸素)センサーなどの各種部品について行った。すなわち、前記共通部品データベース6は、例えば、或る車種のオイルフィルターについて複数のメーカーからそれぞれ製品が販売されているとき、それらを纏めて1つの識別コードで扱えるようにするために、或る車種のオイルフィルターという概念に対応する共通部品コードを作成し、これを複数のメーカーからの各部品の識別コード(例えば品番コード)とそれぞれ対応付けて記録するようにしたものである。この共通部品データベース6では、同様に、エアーフィルター、エアコンフィルター、Fディスクパッド、O2センサーなどの各種部品の概念とそれぞれ対応する共通部品コードを作成して、それぞれと複数のメーカーからの各部品の識別データをそれと対応付けて記録するようにしている。
【0021】
また、図1において、7は、前記交換履歴データベース4からのデータと前記共通部品データベース6からのデータとに基づいて、「初年度登録からの経過年毎の、各共通部品コードに係る部品の交換比率(前記交換履歴データベース4に蓄積されている、各経過年における或る車種に属する全車両台数に対する、それぞれの経過年において交換された各共通部品コードに係る全部品数の比率)」を、車種(代表型式)毎に統計的に算出する交換比率算出部である。前記交換比率算出部7は、前記交換履歴データベース4からの交換された部品とその車種などのデータと、前記共通部品データベース6からの部品とその共通部品コードなどのデータとを、それらの中の共通部品コードを共通キーとして互いに比較・照合することにより、各車種毎の各共通部品コード別の各経過年毎の交換比率(前記整備対象車両が属する車種に該当する全車両台数に対する各共通部品コードに係る全部品の交換数の割合。各車種毎にどの共通部品コードに係る部品が整備履歴中の各経過年においてどれだけ交換されているかの交換頻度を示すもの)を求めるものである。
【0022】
すなわち、例えば、前記交換履歴データベース4に収録されている「或る車種に属しており、初年度登録から5年の経過年を過ぎている車両が100台」として、その5年の経過年を過ぎている車両の全100台の中で「前記或る車種の車両の5年目の経過年においてエアコンフィルターの共通部品コードに対応する部品を交換した件数(メーカーを問わず、エアコンフィルターの共通部品コードに対応する部品のトータルの件数)が3件」であるときは、その車種の車両の経過年が5年目のエアコンフィルター(共通部品コードに対応する部品としてのエアコンフィルター)の交換比率は3%(=3件÷100台)となる。
【0023】
なお、この場合において、前記交換比率算出部7は、前記の「前記或る車種の車両の5年目の経過年においてエアコンフィルターの共通部品コードに対応する部品を交換した件数(メーカーを問わず、エアコンフィルターの共通部品コードに対応する部品のトータルの件数)が3件」というデータを、次のようにして得る。すなわち、前記交換比率算出部7は、前記交換履歴データベース4からの「或る車種αの車両Xについて5年目の経過年にメーカーA社のエアコンフィルターが交換された、或る車種αの車両Yについて5年目の経過年にメーカーB社のエアコンフィルターが交換された、及び、或る車種αの車両Zについて5年目の経過年にメーカーC社のエアコンフィルターが交換された」というデータと、前記共通部品データベース6からの「メーカーA社のエアコンフィルターと、メーカーB社のエアコンフィルターと、メーカーC社のエアコンフィルターとは、互いに互換性を有しており互いに同一の共通部品コードβを有している」というデータとに基づいて、「或る車種αの車両については5年目の経過年に、共通部品コードβに係る部品であるエアコンフィルターが、計3件、交換された」というデータを得るようにしている。
前記交換比率算出部7は、このような算出動作(複数の各特定車両の整備履歴データ(特定車両の識別データとその車種データとその交換された部品のデータとその交換された経過年のデータ)及び共通部品データなどによりデータを統合的に整理しながら前記交換比率を算出すること)を繰り返すことにより、前記交換履歴データベース4の中に収録されている全ての車種に関してそれぞれの各経過年毎の各共通部品コードに対応する部品について、それぞれ、各経過年毎の交換比率を算出する。
【0024】
また、図1において、8は、前記交換比率算出部7で算出された交換比率を各車種、各経過年、及び各共通部品コードと対応付けて記録しておく交換比率データベースである。前記交換比率データベース8は、前記交換比率算出部7によって算出された交換比率を、その車種、その車種の各経過年、及び各共通部品コードと対応付けて記録しておくものである。また、前記交換比率データベース8は、前記交換比率の数値を象徴的に示す記号(例えば、1%以上なら三角印、2.5%以上なら丸印、5%以上なら二重丸印など。また、前記記号に代えて、文字(数字を含む)や画像などでもよい)を、前記交換比率の数値と互いに対応付けて記録しておくようにしている。
【0025】
また、図1において、9は、前記交換履歴データベース4からのデータと前記共通部品データベース6からのデータとに基づいて各車種別に各共通部品コードに係る部品についての初年度登録から交換までの期間及び前回の交換時から次回の交換時までの期間から平均的な交換期間(交換サイクル)を算出するための平均交換期間算出部である。前記平均交換期間算出部9は、前記交換履歴データベース4及び前記共通部品データベース6からのデータに基づいて、前記交換履歴データベース4に収録されている各車両毎の過去に交換された各共通部品コードに係る部品の平均交換期間(初年度登録時から最初の交換までの期間、及び或る交換からその後の交換時までの期間の平均)を算出するものである。すなわち、例えば、前記交換履歴データベース4から、或る車両に関してエアコンフィルターが経過年3年目に交換され、その後、経過年5年目に交換されていたときは、初年度登録から最初の交換(経過年3年目の交換)までの期間3年と、その後の経過年5年目の交換までの期間2年との平均である2.5年(=(3+2)÷2)を平均交換期間と算出する。
【0026】
また、図1において、10は、平均交換期間算出部9で算出された平均交換期間を各車種及び各共通部品コードと対応付けて記録しておく平均交換期間データベースである。前記平均交換期間データベース10は、前記平均交換期間を、各車両毎に、その車両の識別データ、各共通部品コード及び経過年と対応付けて記録しておくものである。
【0027】
また、図1において、11は、前記ユーザー側パソコン1(ログイン画面からの会員認証を受けたもの)から送信された概略選択画面(ユーザー側が、どの共通部品コードに係る部品についてその価格等の詳細情報を送信してもらうかを選択するための概略選択画面)の送信要求(整備をしようとする車両の車種を示すデータなどを含む)を受信するための概略選択画面送信要求受信部、12は前記送信要求(整備をしようとする車両の車種を示すデータなどを含む)に基づいて前記概略選択画面を生成するための一覧表生成部、13は前記一覧表生成部12で生成された一覧表(概略選択画面の情報)の表示に関して前記一覧表の一つ又は複数の部分(マス目)に対して所定の強調表示を行う(又は行わない)ように前記一覧表生成部12を制御するための表示制御部、14は前記一覧表生成部12及び前記表示制御部13により生成されその表示が制御された一覧表から成る概略選択画面情報をユーザー側パソコン1に送信するための概略選択画面送信部、15はサーバー2からユーザー側パソコン1に送信された概略選択画面上でユーザーが部品詳細情報を希望する1つ又は複数の共通部品コード又はその名称を選択したことに対応して、その選択情報を含む部品詳細カタログ送信要求を受信するための部品詳細カタログ送信要求受信部、16は前記部品詳細カタログ送信要求受信部で受信した部品詳細カタログ送信要求に基づいて、その中に含まれる選択された共通部品コードに対応する複数の各メーカーからの部品の詳細情報(価格など)を含む部品詳細カタログを生成するための部品詳細カタログ生成部、17は前記部品詳細カタログ生成部16で生成された部品詳細カタログをユーザー側パソコン1に送信するための部品詳細カタログ送信部、である。
【0028】
前記一覧表生成部12は、ユーザー側パソコン1からの概略選択画面の送信要求(これから整備をしようとする車種を特定するデータを含む)に対応して、前記交換履歴データベース4及び前記交換比率データベース8からのデータに基づいて、「前記の特定された車種に関して、部品が交換される可能性のある複数の各共通部品コードもしくはその各名称を一方の軸とし、その車両の各経過年を他方の軸とする、一覧表」(各車種毎に、例えば、交換の可能性がある約150〜300個程度の共通部品コードとその名称などを表示する一覧表)を生成するものである(図2はこの一覧表の一例を示す図である)。前記一覧表生成部12は、この一覧表の中の該当するマス目に、「前記車種に関して交換可能性のある各共通部品コードに係る部品の各経過年毎の交換比率であって所定の率以上のもの(例えば交換比率が1%以上、2.5%以上、もしくは5%以上など所定の率以上のもの)、又はこれらを象徴的に示す文字、記号(例えば、三角印、丸印、二重丸印など)もしくは画像」を表示する。例えば、前記一覧表生成部12は、前記交換履歴データベース4及び前記交換比率データベース8からのデータに基づいて、その車種において経過年が5年目である場合にはエアコンフィルター(共通部品コードに対応する名称としてのエアコンフィルター)の前記交換比率が2.5%であるときは、交換比率が2.5%以上と交換の頻度が比較的高いことを象徴的に示す記号(例えば「丸印」)又は前記交換比率の数値(例えば「2.5%」)を、エアコンフィルター(共通部品コードに対応する名称としてのエアコンフィルター)の行と経過年が5年の列とが交差するマス目の中に、表示する(図2参照)。
【0029】
また、前記表示制御部13は、前記一覧表生成部12により生成される一覧表の表示内容に関して、少なくとも「前記特定車両の現在の経過年に係る部分(図2のa参照)の中で、前記特定車両に対応する車種の前記各共通部品コードに係る部品の交換比率であって所定の率以上のもの又はこれらを象徴的に示す文字、記号もしくは画像が表示された部分」が強調表示されるように前記一覧表生成部12を制御する。すなわち、前記表示制御部13は、前記特定された車両の現在の経過年の列(図2のa参照)における、前記特定車両に対応する車種の前記各共通部品コードに係る部品の交換比率であって所定の率以上のもの又はこれらを象徴的に示す文字、記号もしくは画像が表示された部分を、原則として、今回の整備において交換の見込みがあるもの(交換の可能性がかなりあるもの)として強調表示するように制御する。すなわち、前記表示制御部13は、例えば、その車両に関して、現在の経過年(例えば8年目)におけるO2(酸素)センサーの交換比率が3%であり、前記一覧表においてO2センサー(共通部品コードに対応する名称としてのO2センサー)の行と現在の経過年(8年目)の列とが交差するマス目に丸印(交換頻度が比較的多いことを象徴的に示す記号など)が表示されているときは、今回の整備において交換の見込みがある(交換の可能性がかなりある)ことをユーザーが直感的に認識できるように、そのマス目の部分を黄色で着色するなどの強調表示を行う(図2のcの網掛け表示部分を参照。なお、図2のb,dの網掛け表示部分も同様)。
【0030】
また、前記表示制御部13は、前記平均交換期間データベース10からのデータに基づいて、前記一覧表の中で、前記特定された車両の現在の経過年の列(図2のa参照)の中で、前記特定車両の車種における前記各共通部品コードに係る部品の各経過年毎の交換比率であって所定の率以上のもの又はこれらを象徴的に示す文字、記号もしくは画像が表示されたマス目に関しては、前述のように原則として黄色での着色などの強調表示をするが、例外的に、そのマス目に関して、その共通部品コードに対応する部品に関する前回交換時から現在までの期間が前記平均交換期間よりも短いときは、前記マス目の強調表示を中止するように前記一覧表生成部12を制御する。すなわち、前記表示制御部13は、例えば図2の一覧表において、エアーフィルター(共通部品コードに対応する名称としてのエアーフィルター)の行と現在の経過年(8年目)の列とが交差するマス目に、エアーフィルター(共通部品コードに対応する名称としてのエアーフィルター)の交換比率が2.5%以上であること(交換頻度がかなりあること)を示す丸印が表示されている場合は、原則としてそのマス目を黄色で着色する強調表示をするようにしているが、本件の特定車両に関して、エアーフィルター(共通部品コードに対応する名称としてのエアーフィルター)が初年度登録から6年目に初めて交換された(詳しくは後述するが、図2の一覧表において幾つかのマス目に付されている斜線は当該車両において過去に該当部品が交換された実績を示している)ため、この車両に関するエアーフィルター(共通部品コードに対応する名称としてのエアーフィルター)の平均交換期間が6年と算出されており、前回(6年目)の交換時から現在の経過年までの期間がその平均交換期間(6年)よりも短くなっている場合は、(交換の見込が少ないため強調表示するのは適切でないので)、今回の整備において実際には交換の見込みがほとんど無いのに有るとユーザーが誤解することを防止できるように、そのマス目については強調表示を中止するように前記一覧表生成部12を制御する(図2のeを参照)。
【0031】
また、前記表示制御部13は、前記平均交換期間データベース10からのデータに基づいて、前記一覧表の中で、前記特定された車両の現在の経過年の列(図2のa参照)において、前記車両に対応する車種の前記各共通部品コードに係る部品の各経過年毎の交換比率であって所定の率以上のもの又はこれらを象徴的に示す文字、記号もしくは画像が表示されていない部分(マス目)についても、本件の特定車両に関して、その共通部品コードに対応する部品に関する前回の交換時から現在までの期間が前記平均交換期間よりも長いときは、その共通部品コードに係る部品に関する前記部分を今回の整備において交換の見込みがあるものとして強調表示するように前記一覧表生成部12を制御する(図2のfの網掛け表示部分を参照)。すなわち、図2の例では、エアコンフィルター(共通部品コードに対応する名称としてのエアコンフィルター)については、現在の経過年(8年目)については交換比率の表示がなく、過去の統計では交換頻度が無いか少ないことが示されている。しかしながら、本件の特定車両に関しては、図2に示すように、エアコンフィルター(共通部品コードに対応する名称としてのエアコンフィルター)は経過年が3年目と5年目に交換されている(エアコンフィルターの初年度登録から最初の交換までの期間は3年、その次の交換までの期間は2年となっている)ので、前記平均交換期間算出部9で算出され前記平均交換期間データベース10に記録された当該車両におけるエアコンフィルター(共通部品コードに対応する名称としてのエアコンフィルター)の平均交換期間は2.5年(=(3年+2年)÷2)である。よって、この図2の例の場合は、エアコンフィルター(共通部品コードに対応する名称としてのエアコンフィルター)に関する現在の経過年(8年目)のマス目には交換比率の表示はないが、前回交換時(5年目)から現在(8年目目)までの期間(3年間)が上記の平均交換期間2.5年よりも長いので、このマス目に、今回の整備において交換の見込みがある(交換の必要性がかなりある)ことをユーザーが直感的に認識できるように、黄色に着色する強調表示を行うように前記一覧表生成部12を制御するようにしている(図2のfの網掛け表示部分を参照)。
【0032】
また、前記一覧表生成部12は、前述のように、前記一覧表の前記特定された車両の現在の経過年の列(図2のa参照)の中で交換の見込がある共通部品コードに対応するマス目に対して黄色で着色する強調表示(図2のb,c,dの網掛け表示部分を参照)をするようにしているが、本実施例では、それだけでなく、前記交換履歴データベース4からのデータに基づいて、前記一覧表において、前記特定車両において現在の経過年より前に交換された部品があるとき、前記特定車両の現在の経過年より前の列の中の、その部品に対応する共通部品コードの軸とその経過年の軸とが交差する部分(マス目)を、過去に交換されたことをユーザーが直感的に認識できるように、前記見込強調表示とは異なる形態(例えば青色の着色)で強調表示するようにしている。すなわち、図2の例では、前記一覧表生成部12は、前記車両について過去に交換された部品(共通部品コードに対応する上位概念の部品)の行とその交換された経過年(現在より前の経過年)の列とが交差するマス目を前記の黄色とは別の色(例えば青色)で着色するなどの強調表示を行うようにしている(図2のgで示す、斜線を付した各マス目の部分を参照)。
【0033】
なお、図1において、前記の符号4−17で示す要素は前記サーバー(サーバーに管理されるハードディスクなどの外部記録装置を含む)2により実現されるものである。また、図1において、前記各データベース4,5,6,8,10はそれらの中の2つ以上が互いに同一のハードウェアにより構成されるものであってもよい。
【0034】
次に、本実施例の動作を図3を参照して説明する。図3は本実施例の動作の一例を示すフローチャートである。本実施例において、ユーザー側が交換部品の発注(若しくはその提案)を希望するときは、パソコン1からサーバー2にアクセスし、サーバー2が提供する画面からログインして会員認証を受けた後に、前記サーバー2からの自動車部品スマートカタログ提供用のWebページを受信する(ここまでは周知技術なので図3では省略している)。ユーザー側は、この受信したWebページの該当部分に、これから整備(若しくはそのための注文、販売の提案)をしようとする特定車両の情報を入力し、共通部品コード選択用画面(概略選択画面)の送信要求を送信する(ステップS1)。
【0035】
サーバー2側では、この送信要求を受信すると(ステップS2)、前記一覧表生成部12が、前記特定車両に関して交換可能性のある複数の部品に係る各共通部品コード及びその各名称を行とし、前記特定車両の各経過年を列とする一覧表(図2参照)を生成する(ステップS3)。このとき、前記一覧表生成部12は、この一覧表の中の各共通部品コードの行と各経過年の列とで決まる各マス目毎に、当該の特定車両と同じ車種に関して統計的に得られている交換比率を、前記交換比率データベース8から抽出して、その交換比率を象徴的に示す記号を、該当するマス目の中に表示させる(図2の一覧表の中のマス目の中の三角印、丸印、二重丸印など参照)。また、前記一覧表生成部12は、前記表示制御部13による制御に基づいて、この一覧表において、現在の経過年の列(図2のa参照)の中の前記交換比率が表示されているマス目(図2のb,c,d参照)を、(前記各マス目b,c,dに対応する各共通部品コードに係る部品が今回の整備において部品の交換の見込があることをユーザーが直感的に把握し易いように)原則として黄色で着色して強調表示する。
【0036】
また、前記一覧表生成部12は、前記表示制御部13による制御に基づいて、この一覧表において、現在の経過年の列(図2のa参照)の中に交換比率を示す記号が表示されているマス目に関して、前記平均交換期間データベース10からのデータに基づいて、本件の特定車両に関しては、その共通部品コードに係る部品の平均交換期間が前回交換時から現在の経過年までの期間よりも短いというときは、上記の原則の例外処理として、そのマス目については、(そのマス目の部分は今回の整備において実際には部品の交換の見込がほとんど無いのに有るとユーザーが誤解しないように)前記の黄色で着色する強調表示を中止する(図2のeで示すマス目の部分を参照)。
【0037】
また、前記一覧表生成部12は、前記表示制御部13による制御に基づいて、この一覧表において、現在の経過年の列(図2のa参照)において、交換比率を示す記号が入力されていないマス目についても、前記平均交換期間データベース10からのデータに基づいて、本件の特定車両に関して、その共通部品コードに係る部品の平均交換期間が前回交換時から現在の経過年までの期間よりも長いときは、(そのマス目の部分が今回の整備において部品の交換の見込があることをユーザーが直感的に把握し易いように)そのマス目(図2のfで示すマス目の部分を参照)を黄色で着色することにより強調表示する。
【0038】
さらに、前記一覧表生成部12は、前記表示制御部13による制御に基づいて、この一覧表において、その特定車両に関して過去に交換された部品があるときは、その共通部品コードに対応する部品の行とその交換された過去の経過年の列とが交差するマス目(図2のgで示す斜線部分を参照)に、前記黄色の着色とは別の形態(例えば青色の着色)での強調表示を行う(ステップS4)。そして、このようにして生成された一覧表を、共通部品コードに係る部品をユーザー側が選択するための概略選択画面の情報として、前記ユーザー側に送信する(ステップS5)。
【0039】
ユーザー側においては、前記一覧表を受信すると(ステップS6)、その一覧表の画面を見ながら、今回の整備のために交換が必要だと判断される共通部品コードに係る部品を、選択する。具体的には、図2の符号hで示すように、今回の整備車両の整備のために交換が必要と判断される共通部品コード(図2では「VBコード(KEY)」と表記)に対応するチェックボックスにチェックを入力する(ステップS7)。その際、前記一覧表においては、前述のように現在の経過年の列(図2のa参照)の中で今回の整備において交換の見込がある共通部品コードに係る部品を示すマス目の部分を黄色で着色する(強調表示する)ようにしている(図2のb,c,d,e,f参照)ので、ユーザーは、この一覧表を一瞥するだけで、どの共通部品コードに係る部品が今回の整備において交換の見込があるのか(注文もしくはその提案をする必要があるのか)を直感的に把握することができる。この選択を行ったら、その選択情報(ユーザーが前記チェック入力により選択した一つ又は複数の共通部品コードの情報を含む)をユーザー側からサーバー2側に送信する(ステップS8)。
【0040】
サーバー2側では、前記選択情報(ユーザーが選択した一つ又は複数の共通部品コードを含む)を受信する(ステップS9)と、前記部品詳細カタログ生成部16が、この選択情報に含まれている一つ又は複数の共通部品コードに基づいて、前記部品カタログデータベース5を参照して、前記各共通部品コードに対応する複数の部品の詳細データ(価格、在庫の有無、受注したときの納期などを含む)を抽出する(ステップS10)。そして、この抽出した複数の部品の詳細データに基づいて、部品詳細カタログを生成し(ステップS11)、送信する(ステップS12)。
【0041】
ユーザー側は、この部品詳細カタログを受信して自らのパソコン1に表示する(ステップS13)。図4は、この部品詳細カタログを表示した画面の一例を示す図である。図4に示すように、この部品詳細カタログには、1つの共通部品コード(図4ではVBコードと表記)に対応する複数の部品(純正品及び市販品)毎に、その品名、共通部品コード、品番、及び価格が表示されている(なお、図4においては、価格や品名の一部の表示を省略している)。ユーザー側は、このようなカタログ画面の中で希望する部品(個々の純正品や市販品の中の一つ)を選択して、注文情報をサーバー2に送信する(ステップS14)。サーバー2側では、この注文情報を受信した後、所定の受注処理を行う(ステップS15)。
【0042】
なお、図5は、本実施例1において使用される各種のデータベースの一例とそれらの関係を示す概略図である。図5において、VBコードは、共通部品コードとほぼ同じである。図5では、図示左側がユーザー側のシステム、図示右側がセンター側のサーバーによるシステムである。提供DBとは、ユーザー(整備業者もしくは部品販売業者である部品商)側がセンター側に提供する整備対象の車両について部品交換(もしくは、その交換のための注文又は販売)をしたときの履歴のデータベースである。この提供DBは、共通品番データベース(共通部品コードと各メーカーからの部品の識別データなどを対応付けて記録したデータベース)や売上累積データベース(部品商が交換部品を販売したり整備業者が交換用部品を仕入れてエンドユーザーに販売・提供した場合のその車両の車種や部品や売上などのデータベースであり、前記の交換履歴データベース4とほぼ同じものである)からのデータを蓄積して作成される。交換需要リストとは、過去の整備の中で交換した部品に関するリストである。出筋リストとは、過去の整備履歴などから交換の頻度が高い部品のリストである。
【0043】
また、図5において、部品カタログDBとは、各種部品に関する詳細情報のデータベースである。部品カタログDB中の検索DBは車両情報と共通部品コード(VBコード)とから各メーカーが出している部品の品番を求めるためのデータベースである。また、部品カタログDB中の車両DBは、型式指定番号と類型番号とから車種(代表型式)又は型式を求めるためのデータベースである。また、VBコードDBとは、共通部品コード(VBコード)と各部品の品名・品番との対応表などを含むデータベースである。また、図5において、交換需要データベースとは、前記部品カタログデータベースからのデータと前記提供DBと前記交換需要リストなどからのデータに基づいて、各車種毎にその共通部品コードに係る部品の交換の実績や交換の頻度(交換比率)を蓄積したデータベース(前記交換比率データベース8とほぼ同じもの)である。
【0044】
以上、本発明の各実施例について説明したが、本発明は前記の各実施例として述べたものに限定されるものではなく、様々な修正及び変更が可能である。例えば、前記実施例1においては、一覧表生成部12、表示制御部13、及び部品詳細カタログ生成部16をいずれもサーバー2により実現し、サーバー2側で生成された一覧表や部品詳細カタログをネットワーク経由でユーザー側に送信するようにしているが、本発明はこれに限られるものではなく、例えば前記一覧表生成部12及び表示制御部13をユーザー側(整備業者又は部品販売業者側)のパコソンにインストールされたプログラムにより実現する(前記プログラムにより、前記サーバー2側からネットワーク経由で取得された前記各データベース4,5,6,8,及び10からのデータに基づいて、前記一覧表や部品詳細カタログが生成される)ようにしてもよいし、同様に、前記部品詳細カタログ生成部16についてもユーザー側(整備業者又は部品販売業者側)のパコソンにインストールされたプログラムにより実現するようにしてもよい。また、前記実施例1もしくは本発明においては、本システムのユーザーとして、エンドユーザー(カー・オーナー)から特定の車両の整備を依頼された整備業者だけでなく、この整備業者に交換用の部品を供給する部品販売業者(前記整備業者に対して今回の整備のために購入すべき適切な交換用部品を提案する部品販売業者=部品商)なども含まれ得ることは前述のとおりである。
【符号の説明】
【0045】
1 ユーザー(整備業者又は部品販売業者)側のパソコン
2 センター側のサーバー
3 ネットワーク
4 交換履歴データベース
5 部品カタログデータベース
6 共通部品データベース
7 交換比率算出部
8 交換比率データベース
9 平均交換期間算出部
10 平均交換期間データベース
11 概略選択画面送信要求受信部
12 一覧表生成部
13 表示制御部
14 概略選択画面送信部
15 部品詳細カタログ送信要求受信部
16 部品詳細カタログ生成部
17 部品詳細カタログ送信部
a〜g 一覧表の各マス目
h 一覧表の選択チェックボックス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の整備業者及び/又は部品販売業者(以下、前記整備業者及び/又は部品販売業者を「ユーザー」という)が利用する自動車部品カタログ画面を提供するシステムであって、
過去に各ユーザーが整備(修理を含む)のための部品の交換、前記交換のための仕入れ、若しくは前記交換のための販売をした部品に関するデータに基づいて、前記整備が行われた車両の車種、前記整備のための交換、交換のための仕入れ、若しくは交換のための販売をした各部品、及びその各部品が前記交換、仕入れ、若しくは販売された経過年(車両の初年度登録からの経過年)を含む各整備対象車両毎の交換履歴データを、前記各整備対象車両の識別データと対応付けて記録しておく交換履歴記録手段と、
前記各整備対象車両の整備の際に交換された若しくは交換され得る各部品と、或る車種に関して互いに互換性のある複数メーカーの部品を共通に纏めるための各共通部品コードとを、互いに対応付けて記録しておく共通部品記録手段と、
前記交換履歴記録手段及び前記共通部品記録手段からのデータに基づいて求められる、各車種毎の各共通部品コード別の各経過年毎の交換比率(前記整備が行われた車両に対応する車種に属する全車両の台数に対する、前記交換された各共通部品コードに係る全部品の数の割合)を、各車種毎の各共通部品コードと対応付けて記録しておく交換比率記録手段と、
前記交換履歴記録手段及び前記共通部品記録手段からのデータに基づいて求められる、各整備が行われた車両毎の過去に交換された各共通部品コードに係る部品の、初年度登録時から最初の交換まで及び或る交換からその次の交換時までの期間の平均である平均交換期間を、各整備が行われた車両毎の各共通部品コードと対応付けて記録しておく平均交換期間記録手段と、
これから整備を行おうとする或る特定車両のための交換部品の注文もしくはその販売を行おうとしている或るユーザー側からの要求の送信もしくは入力に対応して、前記交換履歴記録手段及び前記交換比率記録手段からのデータに基づいて、「前記特定車両が属する車種に関して部品の交換の可能性のある複数の各共通部品コードもしくはその各名称を一方の軸とし、その車両の各経過年を他方の軸とする一覧表であって、その一覧表の中の該当する部分に、前記車種における前記各共通部品コードに係る部品の各経過年毎の交換比率であって所定の率以上のもの又はこれらを象徴的に示す文字、記号もしくは画像を表示する一覧表」を生成する一覧表生成手段と、
前記一覧表生成手段により作成された一覧表において、少なくとも「前記特定車両の現在の経過年に係る部分であって今回の整備において交換の見込みがある部品に対応する共通部品コードに係る部分もしくはそこに表示された記号等」が強調されるように前記一覧表の表示を制御するための表示制御手段であって、(a)前記特定車両の現在の経過年に該当する部分であって、前記特定車両に対応する車種における前記各共通部品コードに係る部品の各経過年毎の交換比率であって所定の率以上のもの又はこれらを象徴的に示す文字、記号もしくは画像が表示された部分もしくはそこに表示された記号等を、原則として、今回の整備において交換の見込みがあることを示すものとして見込強調表示するように制御し、(b)前記平均交換期間記録手段からのデータに基づいて、前記一覧表の中で、前記特定車両の現在の経過年に該当する部分であって、前記車種の前記各共通部品コードに係る部品の各経過年毎の交換比率であって所定の率以上のもの又はこれらを象徴的に示す文字、記号もしくは画像が表示された部分に関して、「当該の特定車両における、その共通部品コードに係る部品に関する前回交換時から現在までの期間」が「当該の特定車両における、その共通部品コードに係る部品に関する前記平均交換期間」よりも短いときは、前記原則の例外処理として、その共通部品コードに係る部品に関する前記部分等の見込強調表示を中止するように制御し、(c)前記平均交換期間記録手段からのデータに基づいて、前記一覧表の中で、前記特定車両の現在の経過年に該当する部分であって、前記車種における前記各共通部品コードに係る部品の各経過年毎の交換比率であって所定の率以上のもの又はこれらを象徴的に示す文字、記号もしくは画像が表示されていない部分に関して、「当該の特定車両における、その共通部品コードに係る部品に関する前回交換時から現在までの期間」が「当該の特定車両における、その共通部品コードに係る部品に関する前記平均交換期間」よりも長いときは、その共通部品コードに係る部品に関する前記部分もしくはそこに表示された記号等を、今回の整備において交換の見込みがあることを示すものとして強調表示するように制御する、表示制御手段と、
前記表示制御手段により強調表示された一覧表を、どの共通部品コードに係る部品についてその詳細情報を送信もしくは表示してもらうかをユーザー側が選択するための概略選択画面として、前記ユーザーのために送信もしくは表示する概略選択画面表示手段と、
を備えたことを特徴とする、自動車部品スマートカタログシステム。
【請求項2】
請求項1において、さらに、
前記交換履歴記録手段からのデータに基づいて、前記一覧表生成手段により作成された一覧表に対して、前記特定車両の現在の経過年より前に交換された部品があるとき、その部品に対応する共通部品コードの軸とその過去の各経過年の軸とが交差する部分もしくはそこに表示された記号等を、前記見込強調表示とは異なる形態で強調表示する交換実績強調手段、
を備えたことを特徴とする、自動車部品スマートカタログシステム。
【請求項3】
請求項1又は2において、さらに、
前記各共通部品コードと、複数のメーカーが製造している各部品に関する詳細情報(価格を含む)とを互いに対応付けて記録しておく部品詳細情報記録手段と、
前記概略選択画面上で、前記ユーザー側による一つもしくは複数の各共通部品コードもしくはそれに対応する各名称を選択しての部品詳細カタログ要求の送信もしくは入力に対応して、前記部品詳細情報記録手段からのデータに基づいて、少なくとも前記選択された各共通部品コードもしくはその各名称に対応する複数のメーカーが製造している部品の価格、在庫の有無、及び納期などの詳細情報を含む部品詳細カタログを生成し、前記ユーザーのために送信もしくは表示する部品詳細カタログ生成手段、を備えたことを特徴とする、自動車部品スマートカタログシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−164940(P2011−164940A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−27048(P2010−27048)
【出願日】平成22年2月9日(2010.2.9)
【特許番号】特許第4486165号(P4486165)
【特許公報発行日】平成22年6月23日(2010.6.23)
【出願人】(510037101)サンエポック株式会社 (2)
【Fターム(参考)】