説明

自動車電話

【目的】 周囲に騒音がある場合であっても良好な通話が行なえるようにする。
【構成】 周波数特性の違いから、音声信号のレベルとノイズ信号のレベルがレベル測定器5で測定される。そして、レベル測定器5の出力信号に基いて、聴感データがメモリ9から読み出され、その聴感データに基いて、音声信号に対して、周波数特性の補正およびレベルの補正がかけられる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、いわゆるハンズフリー機能に使用して好適な自動車電話に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、小ゾーン方式自動車電話(セルラー電話)が車内で用いられる場合、運転時の安全性を確保するため、いわゆるハンズフリー機能が付加されているのが一般的である。
【0003】この場合、スピーカから出力される音声信号のレベルは、車内の騒音(ノイズ)信号のレベルに従って、相対的に上下される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、単に音声信号のレベルが上下される構成では、場合によっては、使用者が聞き取りにくいという不都合がある。
【0005】本発明の目的は、周囲の騒音の影響が極めて少なく、良好な通話が行なえる自動車電話を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に係る自動車電話は、例えば図1に示されるように、音声信号とノイズ信号とが共に入力される入力手段1と、入力された音声信号とノイズ信号との周波数特性の違いに基いて、音声信号とノイズ信号のレベルが各々測定される測定手段5と、ノイズ信号のレベルに対応する所望の音声信号レベルに関するデータが記憶される記憶手段9と、測定されたノイズ信号のレベルに対応するとともに記憶されたデータに基いて、測定された音声信号のレベルおよび周波数特性が各々補正される補正手段7,13,15と、補正された音声信号が出力される出力手段17とを有することを特徴とするものである。
【0007】
【作用】本発明に係る自動車電話では、測定されたノイズ信号のレベルに応じて、測定された音声信号のレベルおよび周波数特性が補正されて出力される。
【0008】
【実施例】以下、本発明に係る自動車電話の好適な実施例を、図面に基いて説明する。図1において、マイク1からは、音声とノイズが集音され、マイク1から出力される音声信号とノイズ信号は、アンプ3で増幅されてレベル測定器5に入力される。
【0009】レベル測定器5は、例えばFFTが用いられ、入力された信号がフーリエ変換され、入力された音声信号とノイズ信号とは、それらの周波数特性の違いに基いて、各々レベルが測定される。
【0010】また、メモリ9には、ノイズ信号に対して、最適と考えられる音声信号に関するデータ(すなわち、ノイズがある場合であっても、使用者が明瞭に聞き取れる音声信号のレベルに関するデータ;聴感データ)が記憶されている。
【0011】そして、レベル測定器5の出力信号がCPU7に入力されるのに応答して、CPU7では聴感データがメモリ9から読み出され、その聴感データに基いて、電話出力回路11から出力される音声信号の周波数特性(f特)およびレベルが、各々f特補正回路13、レベル補正回路15で行なわれる処理が行なわれる。
【0012】このようにして、周波数特性およびレベルが補正された音声信号は、スピーカ17から出力され、使用者はスピーカ17からの出力音声を聴くことになる。
【0013】以上説明したように、この実施例では、レベル測定器5でノイズ信号のレベルが測定され、レベル測定器5の出力信号に応じて、メモリ9から読み出された聴感データに基いて、電話出力回路11の出力信号に対して、周波数特性とレベルの補正がかけられる。
【0014】従って、周囲にノイズがある場合であっても、使用者は、スピーカ17からの音声出力を良好に聞き取ることができる。
【0015】
【発明の効果】以上の説明で理解されるように、本発明に係る自動車電話では、測定されたノイズ信号のレベルに応じて、測定された音声信号のレベルおよび周波数特性が補正されて出力されるので、騒音の影響が極めて少なく、相手方の音声の聞き取りが良好となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る自動車電話の好適な実施例の要部回路構成図である。
【符号の説明】
1 マイク
5 レベル測定器
7 CPU
9 メモリ
13 f特補正回路
15 レベル補正回路
17 スピーカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 音声信号とノイズ信号とが共に入力される入力手段と、入力された音声信号とノイズ信号との周波数特性の違いに基いて、音声信号とノイズ信号のレベルが各々測定される測定手段と、ノイズ信号のレベルに対応する所望の音声信号レベルに関するデータが記憶される記憶手段と、測定されたノイズ信号のレベルに対応するとともに記憶されたデータに基いて、測定された音声信号のレベルおよび周波数特性が各々補正される補正手段と、補正された音声信号が出力される出力手段とを有することを特徴とする自動車電話。

【図1】
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【公開番号】特開平5−122121
【公開日】平成5年(1993)5月18日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−283208
【出願日】平成3年(1991)10月29日
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)