説明

自己保持縦振動穿孔装置とその工具

【課題】使用切削工具の詰まりの危険なく穿孔を行うことを目的に、工具に自己保持軸方向振動を生じさせることで、穿孔装置が穴から除去されるその素材切削屑をその排出を容易にするためばらばらにすることを旨とする手段が採用される。
【解決手段】自己保持軸方向振動を生じさせるための手段はまた工具軸が工具の回転駆動用に利用される手段の回転軸とは目に見えて異なる方向を持てるようにも対応される。この装置は深穴の製作かつまた非対称の切削応力を生じる切削工具の利用時にも特に便利である。特別便利な実施形態例では、切削工具の部分は自己保持軸方向振動を生じさせると同時に工具回転軸が駆動手段の回転軸とは目に見えて異なる方向を持てる手段により構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は材料の穿孔の分野、さらに特に切削工具を用いた深穴の穿孔に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ドリルなどの切削工具を用いた材料の穿孔時には、前記切削工具により材料から排出される素材の切削屑が発生する。
【0003】
これらの切削屑はこれによる切削工具の詰まりを避けるために穿孔中に穴から排出されなくてはならないことはよく知られており、この詰まりは工具の切削特性を急速に悪化させると同時に、製作中の穴の端面状態の仕上がり精度が低下する結果を招く。最も不都合な場合には詰まりにより穿孔中の部品や前記部品の製作サイクルにとって深刻な結果を伴う工具の停止や破損を生じる。これらの問題は切削屑の自然排除が困難となる深穴の製作時に特に大切である。
【0004】
これらの危険を減らすためいくつかのテクニックが使われる。
【0005】
特に、切削屑の分別に努めることで切削工具の螺旋状帯策溝や工具芯を通る空気吹き込みあるいは潤滑剤などの従来の手段を利用して排出促進を行うことが知られている。
【0006】
切削工具により生ずる切削屑を分別するため、工具は穿孔方向への送り再開前に穿孔進行方向に対して後退する軸方向運動により定期的に素材から取り出されなくてはならない。
【0007】
第1のテクニックは、穿孔進行方向運動と工具の定期的な後退軸方向運動とが重なるよう強いられて順応される機構からなるが、この強制運動は、工具が穿孔継続のために素材と接触状態に戻るときに、繰り返し衝撃を発生させ工具特性の急速な低下を招く原因となる。
【0008】
第2のテクニックは特許文献1に説明されており、これは、穿孔頭部支持材に関する工具保持具の軸方向誘導手段を含む穿孔頭部に結合される工具保持具上、また穿孔により発生する応力作用のもとで工具が軸方向に沿って振動可能であるように軸方向平行移動状態の変形が可能な平行移動状態の連結手段上への工具の固定からなる。変形可能な部品特性を切削工具と工具保持具の質量ならびに切削パラメーターに適合させることで、軸方向変形が穿孔稼動自体により発生させられる励起により維持される。
【0009】
この軸方向誘導手段により穿孔頭部軸と重なった工具の軸を固定して工具の振動に関係する軸方向変位を確保する。これらの手段は穿孔頭部軸に沿って間隔をおいて配置される2個のリングの形態をとるとともに、穿孔頭部軸に関して半径方向の変位も工具の軸方向の振動もさせずに軸方向に沿って変形する。提案された別の実施形態では、これらの軸方向誘導手段にはこれもまた工具軸方向と穿孔頭部軸の方向との間に差異を許さずに工具保持具が回転軸方向に沿って滑動する穿孔頭部と結合されるボールベアリングが含まれる。
【0010】
このような手段は機械的に複雑であるばかりか、特に、装置により継続される振動や半径方向応力に対する軸方向誘導手段の感度が原因でサイズや穿孔頭部の脆弱性を相当に増すことになる。また、これらの誘導手段は装置パラメーターの修正に極めて微妙な自己保持振動機能を乱す摩擦の原因でもあると同時に、前記誘導手段は穿孔に関係する穿孔装置と機械加工の範囲に関する大きな変更が要求されうる特殊な穿孔頭部の製作を必要とする。
【0011】
螺旋ドリルの利用では、このタイプのドリルにより穿孔頭部に加えられる半径方向応力のため、半径方向応力により軸方向誘導手段内に導入される摩擦応力の抑制が可能となる。
【0012】
単一の切削刃、すなわち3/4ドリルからなるドリルが利用される場合、あるいは穿孔がその穿孔直径に比べて深い場合にこの感度が常に大きくなる。3/4ドリルの場合、誘導は、穿孔稼動により生ずる工具上の半径方向応力がもはや対称ではないので穿孔頭部により正確に確保されない。3/4ドリルは、例えば航空機製造において強く要求される構造の組立に必要である高精度や高品質の穿孔ならびに中ぐりの実行のために利用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】仏国公開特許出願第2 765 505号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明では、高精度の穿孔実施を目的として、特に問題なく刃3/4の利用を可能にすると同時に、このタイプの穿孔用の既存の大部分の機械に適用できる単純かつ頑強な手段が含まれる短い切削屑生成用の自己保持軸方向振動による穿孔装置が提案される。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記の穿孔頭部手段は既存の穿孔ユニットにその穿孔ユニットの大した変更をしないでも適用できる点が便利である。
【0016】
この自己保持振動穿孔を実施するため、穿孔装置には、
‐軸廻りに回転駆動される出力軸棒を含む回転駆動ユニットと、
‐回転軸付き切削工具と、
‐出力軸棒付き切削工具結合手段と、
が含まれる。
【0017】
結合手段は切削工具への駆動トルク伝達に適すると同時に、穿孔稼動時に切削工具の自己保持軸方向振動の発生用に設けられる弾性手段を含む。また、結合手段は、工具軸方向が駆動軸方向に関して強制されることで工具取付により生ずる超静圧構成を回避するよう、穿孔稼働中に切削工具に加わる半径方向応力作用下で切削工具の軸方向と出力軸棒の方向との間に角度のずれを許容するために設けられる。
【0018】
前記工具の方向を強いることのない回転工具駆動のためには、結合手段には駆動ユニットの出力軸棒への結合部分を備えた第1端部部分、工具固定手段を備えた第2端部部分が含まれると同時に、前記第1および第2端部部分間に軸方向に沿って捩じり剛性がありかつ弾性もありなおかつ曲げにも柔軟性のある中間区域が含まれる。
【0019】
この中間区域の特別な形態では、捩れ剛性があって軸方向に柔軟性がありかつ曲げ柔軟性もある第1手段が含まれると同時に、これとは別に軸方向に沿う弾性のある第2手段が含まれる。
【0020】
穿孔中のトルク伝達を確保すると同時にその軸に沿った変位と出力軸棒に対する工具軸の角度変位の余地を残すため、中間区域の第1手段には第1端部部分と結合される第1リングと第2端部分と結合される第2リングとの間で非半径方向に設けられる少なくとも3本のアームが含まれる。
【0021】
第1および第2端部部分の支持面と間に圧縮に適するばね手段により工具の自己保持軸方向振動が起こされる。第1および第2端部部分と中間区域の複数手段は穿孔稼動時に第1および第2の端部部分間の直接接触が回避されるよう構成される点が便利である。
【0022】
別の実施形態では、中間区域に前記工具軸が出力軸棒の軸とは異なる任意の方向を持てるようにするため工具の回転方向に沿う弾性部分が含まれる。
【0023】
工具が駆動軸と直線に並ばない場合に、軸に沿うと同時にこの工具の運動伝達に適する弾性部分には、ほぼ同じサイズを有すると同時に山積みに重ねられて設けられる弾性材料製の少なくとも3個の同軸リングが含まれる点が便利である。各リングは各隣接リングと間隔をおいて配置されると同時に、リングの半径に沿ってかつ半径方向に対向して配置される2個の結合部分を使って前記隣接リングに接合され、そこで、リングの片面に配置されるこれら2個の結合部分は、さらにリングの他方の面に配置されるこれら2個の結合部分により定められる半径にほぼ垂直に半径に沿って配置される。リング軸に一致する軸の廻りに捩れ剛性があるこの構成では、リングの変形により結合部分に曲げ変形が許容されても必要な軸方向の弾性は得られる。
【0024】
ある代替実施形態では、中間区域では、同軸に固定されると同時に突き通される少なくとも2個の結合部分が間隔をおいて配置される弾性材料製の少なくとも2個のリングが含まれ、各結合部分は前記結合部分端部を通じて第1リングに固定されるとともに、第1端部が第1リングに固定される地点のリング軸の廻りのリング回転角度に一致する角度だけずれた地点で前記結合部分の第2端部を通じて第2リングに固定される。この場合に、結合部分の曲げ変形により軸に沿って必要とされる弾性と曲げの変形に必要な柔軟性が確保される。
【0025】
スチールなどの金属材料が弾性材料や中間地域としての特性向けに利用されると同時に、端部区域は素材塊からの機械加工により単一部分だけで製作されることが都合良い。
【0026】
本発明は、
‐穿孔素材の切削屑除去を通じて穿孔を行うのに適する回転軸を含む第1切削端部と、
‐前記軸廻りの回転駆動手段の結合に充てられる回転軸を含むと同時に2端点間に、
‐穿孔捩れ応力伝達に適し、
ほぼ工具軸に目に見えて沿う弾性変形ならびに穿孔稼動による発生応力作用下のその軸に沿う前記工具端部の自己保持振動の生成に適し、
‐前記工具の切削端部軸ならびに第2端部軸がある角度を形成できることで工具回転中の曲げ変形に適する結合区域を含む第2端部
‐が含まれる穿孔用切削工具にも関連する。
【発明の効果】
【0027】
このように、本発明は特定の駆動手段を利用せずに自己保持軸方向振動穿孔を行うと同時に従来の駆動手段に適用可能な切削工具を有しうる。結合区域の諸特性が切削工具に適用されることで調節手段の使用回避が可能となる。
【0028】
本発明の実施例の詳細説明が図面を参照して行われる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】切削工具が結合されると同時に工具の送り装置を含む駆動手段の基本構成の例を示す図である。
【図2a】切削工具の駆動手段の出力軸への結合手段の第1実施形態例に関する組立てられた結合手段の断面図である。
【図2b】前記結合手段の部分の分解斜視図である。
【図3a】穿孔稼動により生じた素材切削屑の金属組織を示す写真である。
【図3b】本発明による装置を採用した穿孔稼動により生じた素材切削屑の形状を示す写真である。
【図4a】前記手段の斜視図による結合手段の第2実施形態例を示す斜視図である。
【図4b】前記手段の中間区域の詳細斜視図である。
【図4c】前記中間区域の外側面開口部の例を示す前記中間区域表面の展開図である。
【図4d】前記中間区域の変形が除外された四分の一部分の断面図解図である。
【図5a】前記手段の中間区域の斜視詳細図による中間区域の第2形態例を示す斜視図である。
【図5b】前記中間区域の外側面にある開口部形状の例を示す前記中間区域表面の展開図である。
【図6】本発明による工具の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
自己保持軸方向振動穿孔装置には、回転軸3廻りの前記駆動手段により回転駆動される出力軸棒2を含む駆動手段1が含まれる。
【0031】
回転軸6の切削工具5は、工具軸6が出力軸棒軸3の延長内にほぼ存在すると同時に工具5が出力軸棒2の回転により回転駆動されるように、出力軸棒2の出入り可能な端部4に工具支持材7を利用して固定される。
【0032】
穿孔稼動の間、工具5は軸方向動作により移動して前記工具の端部51が穿孔の行われるべき部品8内に貫通される。この変位Dまたは送り動作は、駆動手段の支持構造11に対する出力軸棒2の端部4の移動制御を確保する駆動手段の送り装置9により行われる。
【0033】
送り動作は部品8と駆動手段1間の相対移動によっても行える。
【0034】
工具支持材7には、回転駆動用の駆動手段1の出力軸棒2の端部712を通じた固定に適する第1部分71が含まれると同時に、部品8内を貫通する端部51と向かい合う端部724を通じた切削工具5の端部固定に適する第2部分72が含まれなくてはならない。
【0035】
第1および第2部分71、72は少なくとも3個のアーム76により接合される外側リング74と内側リング75を含む第3部分73を利用して協働する。外側リング74は、例えばねじ731を利用して第1部分71と固定されると同時に内側リング75は、例えば締付ナット732を利用して第2部分72と固定される。
【0036】
静止位置では、組み立てられた装置が何ら特別な外部応力を受けない場合、出力軸棒2の軸3は、第1部分71の端部412が前記出力軸に固定される場合ならびに工具5の軸6が第2部分72の端部724に固定される場合、ほぼ直線に並ぶ。
【0037】
リング74,75を接合する少なくとも3本のアーム76は、目に見えて半径が異なるように構成される。言いかえると、これらは、第1部分71の回転時にアーム76により第2部分72を回転駆動に適するように共通する1点に向けて集まらず、前記アームが伝達トルクを増すために実質的に引張状態に引きずり込まれる。同時に、第2部分72が一方で第1部分71に関する軸方向平行移動運動に沿って変位できて他方で角度運動に沿って変位できることで、工具が前記第2部分に取り付けられる時に工具軸7が、また、前記第1部分が前記軸棒に接続される時に出力軸棒の軸3が、前記出力軸棒と工具の軸3,6の廻りの回転運動中に異なる方向を持ちえる。リング74,75間のこれらの設置のほかに、少なくとも3本のアームは、例えば、スチール製の材料で製作され回転応力を伝達するための力学強度と柔軟性に関する特性を示すと同時に、軸方向と角度運動について求められる振幅が考慮された必要な変形を受ける。
【0038】
第1部分71に対する第2部分72の軸方向と角度の振幅はアーム76の形状と寸法により限定されるが、求められる振幅が小さいので、実用的には前記アームを含む第3部分73の製作による問題は起きない。装置のサイズによって変動する前記振幅は、軸方向変位について十分の数ミリメーター程度でかつ角度変位については1度未満である場合が一番多い。
【0039】
弾性手段77は、例えば圧縮で作用するばねが第1と第2の部分71,72間に配置される。前記弾性手段は第1部分面711と第2部分面721に支持が取られる。
【0040】
圧縮が穿孔稼動時の工具5に作用する場合、工具に固定される第2部分72は第3部分73のアーム76を変形させて工具の前方にDだけ反対方向に変位すると同時に、第1および第2部分の支持面711,721間の弾性手段77を圧縮する。
【0041】
弾性手段77は突起部、例えば廻りに弾性手段が設置される前記部分のほぼ軸内の第2部分72の突起部722を利用して第1および第2部分71,72のほぼ軸内の位置に固定されるのが都合よい。
【0042】
形状722の構造とサイズでは第1および第2部分間の軸方向および角度の平行移動相対運動が自由に許される。軸方向平行移動運動が摩擦なく行われると同時に角度移動により噛み込みの危険が全く生じないよう遊び723が第1および第2部分71,72間に特別に残される。
【0043】
駆動手段によって、強制されない切削工具5の軸6の方向には工具の軸方向誘導は全く含まれず、穿孔部品8側の工具端部51が誘導される。
【0044】
この誘導は例えば、穿孔格子(図示されず)などの支持材を利用する穿孔部品8に対して配置される穿孔筒10を利用して行われる。代案としては、この誘導は芯合わせを可能にする部品の部分的穿孔や後で製作中の穴を通じて穿孔中に誘導される切削工具5の最初の誘導を利用して行われる。
【0045】
穿孔を行わなくてはならない与えられた切削工具と材料に関して、切削パラメーター、工具の回転速度や特に送り、そして弾性手段77に適用される剛性の選択により、切削応力と穿孔の自然な不安定性により維持される切削工具の軸方向振動が起動される。
【0046】
あらゆる振動機械装置におけるように、全体移動質量は振動上の状況に影響する1つのパラメーターであると同時に、軸方向振動運動が起こると同時に特定の穿孔稼働中に自己保持されるように、切削工具や振動全体の質量の調整が、例えば、付加質量を利用して必要である場合があり得る。
【0047】
自己保持軸方向振動の振幅によりその端部51において切削工具により排出される素材の切削屑が分別されるように仕向けられる。
【0048】
切削屑の分別は、工具が瞬間的に部品素材から解放されるようになる程度の小さいけれども十分な切削屑の軸方向振動の振幅により行われ、この程度の振幅は、工具が軸方向振動サイクル中のほぼ工具送り装置による送り間隔以上の振幅を伴ってその軸に沿って振動するときに生ずる。
【0049】
切削屑の分別は、また、工具が素材内への噛み込みが最も少なく穿孔稼動時に脆弱化した切削屑が自然にばらばらになる位置にある場合に、切削屑の密度が十分に減るように小さくても十分な振動の振幅を利用して得られる。この振動機能形態の利用は軸方向振動の各サイクルにおいて部品の素材内に入ることによる工具の損傷の回避のために好ましい。
【0050】
図3bの写真には、本発明に沿った自己保持軸方向振動装置を使って行われた穿孔稼動時に生じた分別され、従来の穿孔稼動時に行われたほぼ同じ拡大率の図3aの写真の切削屑と比較された切削屑が示される。
【0051】
別の実施形態では、工具7の支持材はほぼ円筒形状の特殊部分12を使って製作される。特殊部分12には、駆動手段1の出力軸棒2への固定手段の端部121の片端とその他端122に切削工具5の固定手段が含まれる。
【0052】
前記固定手段は駆動手段と既存工具のものと併用可能であるのが便利である。
【0053】
端部121、122間の工具12の支持材には、特に切削工具5に作用する応力作用下で、工具の振動軸方向変位に関連する弾性手段に求められる圧縮弾性特性、ならびに工具軸が角度に沿ってずらされうるために求められる曲げ柔軟性特性が得られるよう対応される中間区域123が含まれる。
【0054】
この中間区域123はさらに捩れ応力も伝達しなくてはならず、図4bに示されるように、弾性材料、例えばスチールで製作される円形断面の中空円筒状セグメントにより製作されるのが便利である。同時に、この区域の仕切壁130には、2個のリングの間に直径方向に対向して置かれるセットにより取り付けられると同時に、リングの両面間に90度で配置されるスペーサー126が間隔をおいて配置され固定される山重ねリング125に匹敵する中間区域123の構造を定める開口部124が含まれる。中間区域123はその端部121、122もまた機械加工される素材塊から機械加工により製作されるのが好ましい。図4cには中間区域123が平面上に展開された外側外観が示される。
【0055】
この構成により、
‐中間区域123の構造が捩れに対する剛性が極めて大きくなることによる駆動手段1のトルクの切削工具5への伝達、
‐図4dの断面の例で示されるように特にその剛性が前記リングの数と厚みによって決定される、小区画126間のリング125の変形による出力軸棒の軸あるいは工具軸の方向への弾性連結の実現、
‐この場合中間部分がジンバルタイプの取付けのように機能する工具の軸6が正確に出力軸棒の軸3の方向でない場合の回転運動の伝達、
が可能となる。
【0056】
中間区域123の別の形態は、これが、穿孔トルク、工具軸に沿う弾性、ならびに駆動軸棒軸と工具軸との間の角度変位の可能性の3種類の伝達要求に応ずる限り利用可能である。
【0057】
図5aと5bの図面では、中間区域123に求められる能力の再構成に適する該中間区域の仕切壁130の開口部127について考えられるもう一つ別の構成が示される。図5bは平面により展開される中間区域の外面の開口部の形状を示す。この特殊な実施形態では、中間区域123には素材129のブリッジ部により接合される少なくとも2個のリング128a、128bが含まれる。各素材ブリッジ部129は第1端部129aを通じて第1リング128aに接合されると同時に、第2リング128bには、連結地点に対して駆動軸廻りの回転角度に一致する角度、例えば90度だけ前記第1リングとずれた前記第2リングの地点におけるその第2端部129bを通じて接合される。
【0058】
素材ブリッジ部129の弾性特性、その製作に利用される材料機能ならびにそれらの形状により求められる剛性の入手が可能となる。必要によっては、ブリッジ部により接合される複数のリングが中間区域123の構造を通じて並置される。
【0059】
本装置の特殊な実施形態では、工具保持具は従来の剛性のある連結手段であると同時に、工具の軸方向かつ角度方向の変位を可能にする手段が切削工具の必須な部分となっている。
【0060】
この切削工具5は図6に示されるとともに、軸6aの廻りの回転による素材の切削屑除去により穿孔実施に適する端部5aならびに駆動手段による軸6b廻りの回転駆動に適する端部5bの間に、例えば、図1に示されたもののような連結区域5cを含み、これらは次のものに適するものである。
‐工具5の切削端部5aの自己保持軸方向振動を起こさせる弾性変形、
‐工具5の駆動に必要なトルクの伝達、
‐工具切削端部5aの軸6aと回転駆動手段が駆動される端部5bの軸6bに角度δの形成を可能にするための曲げ変形。
【0061】
連結地域5cには先に説明した工具支持材の中間区域123のものと類似の手段が含まれると便利である。
【0062】
この実施形態は既存の駆動手段の変更が不要で、一方でその中間区域123が工具の特定の特性と予定される切削パラメーター、工具の自己励起振動挙動に影響する特性に応じて製作され、他方では、中間区域123の継続使用時間は切削工具の寿命時間により限定されることで、穿孔稼働中に大きな振動状態ならびに応力状態が要請されることによって、前記中間区域の疲労破損の危険が回避されるかまたは抑制される結果となる点が特に都合が良いものである。
【0063】
中間区域123は工具5の製作時に機械加工で製作可能である。工具はまた様々な部分の組立、例えば溶接による製作も可能である。
【0064】
ある特定の実施形態では、図示はされてないが、先に説明された工具支持材の中間区域123に類似した中間区域が工具の支持材あるいは工具が接合される端部近傍の出力軸2上に構成される。
【産業上の利用可能性】
【0065】
こうして本発明により回転工具の駆動手段に関して工具の軸方向誘導を行わずに、単一切削刃を含むドリルすなわち3/4ドリルなどの穿孔軸に関して非対称の切削応力を生じさせることで、ドリルと一緒に含まれる例えば吹き込みあるいは吸引の従来手段により排出の容易な分別された切削屑を生じる穿孔が行える。
【0066】
また、本発明により既存の駆動装置を変更せずに工具の自己保持軸方向振動穿孔を行うことができる。
【符号の説明】
【0067】
D 駆動手段の支持構造に対して出力軸棒端部の移動制御を確保する駆動手段の送り装置により行われる送り変位量
δ 曲げ変形により工具の切削端部軸と回転の駆動手段が駆動される端部との間に形成される角度
1 駆動手段
2 出力軸棒
3 (回転)軸
4 端部
5 切削工具
5a (第1切削)端部
5b (第2切削)端部
5c 連結区域
6 工具(回転)軸
6a (回転)軸
6b (回転)軸
7 工具支持材
8 穿孔部品
9 送り装置
10 穿孔筒
11 支持構造
12 特殊部分
51 工具端部
71 第1端部部分
72 第2端部部分
73 第3部分(第1弾性手段)
74 第1外側リング
75 第2内側リング
76 アーム
77 (第2)弾性手段
121 第1端部部分
122 他端(第2端部部分)
123 中間区域
124 開口部
125 (山重ね)リング
126 小区画(連結部分)
127 開口部
128a 第1リング
128b 第2リング
129 素材ブリッジ部
129a 第1端部
129b 第2端部
130 仕切壁
412 端部
711 第1支持面
712 端部
721 第2支持面
722 突起部
723 遊び
724 端部
731 ねじ
732 締付ナット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸(3)廻りの駆動出力軸棒(2)を含む回転駆動ユニット(1)、回転軸(6)付き切削工具(5)、該切削工具(5)の該出力軸棒(2)付き結合手段(7)を含み、該結合手段(7)に駆動トルクの該切削工具(5)への伝達に適すると同時に穿孔稼動時に前記切削工具の自己保持縦振動を起こすのに適する弾性手段(73,77)(123)を含む穿孔装置において、穿孔稼働中の該切削工具(5)に加わる半径方向応力作用のもとで、前記結合手段(7)が該切削工具(5)の軸方向(6)と該出力軸棒(2)の軸方向(3)との間の角度にずれを許容するよう構成されることを特徴とする穿孔装置。
【請求項2】
前記結合手段(7)が前記駆動ユニット(1)の前記出力軸棒(2)への結合手段を備えた第1端部部分(71)(121)と前記工具(5)の固定手段とを備えた第2端部部分(72)(122)を含むと同時に、前記第1と第2端部部分との間に中間区域を含み、該中間区域が捩れ剛性があり軸方向に沿う弾性があると同時に曲げ柔軟性があることを特徴とする請求項1に記載の穿孔装置。
【請求項3】
前記中間区域が捩れ剛性があり軸方向柔軟性と曲げ柔軟性がある第1手段(73)を含むと同時に、軸方向に沿う弾性のある第1手段(73)とは別の軸方向に沿う弾性のある第2手段(77)を含むことを特徴とする請求項2に記載の穿孔装置。
【請求項4】
前記中間区域の前記第1手段(73)に前記第1端部部分(71)と結合される第1リング(74)と第2端部部分(72)と結合される第2リング(75)との間に非半径方向に構成される少なくとも3本のアーム(76)を含むことを特徴とする請求項3に記載の穿孔装置。
【請求項5】
前記中間区域の該第2手段(77)に前記第1および第2端部部分(71,72)の支持面(711,721)間に圧縮に適するばね手段が含まれることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の穿孔装置。
【請求項6】
前記第1および第2端部部分(71,72)ならびに中間区域の前記手段(73,77)が穿孔稼動時に前記第1および第2端部部分間の直接接触を回避するよう構成されることを特徴とする請求項2から請求項5のいずれか1項に記載の穿孔装置。
【請求項7】
前記中間区域(123)に軸方向に沿う弾性部分が含まれ、前記弾性部分が穿孔時の捩れ応力伝達に適すると同時に前記工具軸(6)が前記出力軸棒(2)の軸(3)とは異なる方向となるように前記部分が該工具(5)回転中の曲げ変形に応じることができることを特徴とする請求項2に記載の穿孔装置。
【請求項8】
前記中間区域(123)に重ね積みされる弾性材料製の少なくとも3個の同軸でほぼ同じ寸法のリング(125)が含まれ、該各リングは隣接リングと間隔を置いて配置されると同時に、該リングの半径に沿いかつ半径方向に対向して配置される2個の連結部分(126)を使用して前記隣接リングに接合されるとともに、該リングの片面に配置される2個の該連結部分が、さらにリングの他方の面に配置される2個の該連結部分により定められる半径にほぼ垂直な複数リングの半径に沿って配置されることを特徴とする請求項7に記載の穿孔装置。
【請求項9】
前記中間区域(123)に弾性材料製ではめ込まれる少なくとも2個の連結部分(129)により間隔をおいて配置されて同軸に固定される少なくとも2個のリング(128a,128b)が含まれ、該各連結部分が、前記連結部分の片端(129a)に通じて第1リング(128a)に固定されると同時に、該第1端部(129a)が該第1リング(128a)に固定される地点からこれらの軸廻りのリングの回転角度に対応する角度だけずれた地点にある前記連結部分の第2端部(129b)に通じて該第2リング(128b)に固定されることを特徴とする請求項7に記載の穿孔装置。
【請求項10】
前記弾性材料がスチールなどの金属材料であることを特徴とする請求項8または請求項9に記載の穿孔装置。
【請求項11】
前記中間区域(123)と前記端部区域(121,122)が原料塊の切削により単一部品で製作されることを特徴とする請求項8、請求項9または請求項10に記載の穿孔装置。
【請求項12】
穿孔材料の切削屑を排除して穿孔を行うのに適切な回転軸(6a)を含む第1切削端部(5a)と、前記軸(6b)廻りの回転駆動手段に結合される回転軸(6b)を含む第2端部(5b)が含まれる穿孔用切削工具(5)において、2ヵ所の該両端部(5a,5b)間に、穿孔のねじれ応力の伝達に適する連結区域(5c)が含まれ、該区域(5c)が該工具(5)の該軸(6a)にほぼ沿った弾性変形ならびに穿孔稼動により生じる応力作用下の軸(6a)に沿う前記工具端部(5a)の自己保持振動の発生に適し、該工具(5)の回転中に曲げ変形するのに適することで前記区域(5c)が前記工具(5)の切削端部(5a)の軸(6a)と該第2端部の該軸(6b)とがある角度を形成し得ることを特徴とする切削工具。
【請求項13】
前記連結区域(5c)に請求項8から請求項11までのいずれか1項に記載の中間区域(123)と一致する区間が含まれることを特徴とする請求項12に記載の穿孔用切削工具(5)。
【請求項14】
前記連結区域(5c) の弾性特性が切削パラメーターと穿孔素材の個別の条件毎に定められることで、前記個別条件毎に工具の前記切削端部(5a)の自己保持縦振動を発生させることを特徴とする請求項12または請求項13に記載の穿孔用切削工具(5)。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図4d】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−545456(P2009−545456A)
【公表日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−510417(P2009−510417)
【出願日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際出願番号】PCT/EP2007/054531
【国際公開番号】WO2007/131936
【国際公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(507346236)ユーロピアン エアロノティック ディフェンス アンド スペース カンパニー イーズ フランス (10)
【氏名又は名称原語表記】EUROPEAN AERONAUTIC DEFENCE AND SPACE COMPANY EADS FRANCE
【出願人】(508339138)
【出願人】(508339149)
【Fターム(参考)】