説明

自己撮影用カメラ器具

【課題】カメラ撮影者がいなくとも撮影者自身を撮影することが可能であり、かつ撮影準備に時間と労力がかからず、被写体の調整も容易に行うことができる自己撮影用カメラ器具を提供する。
【解決手段】自己撮影用カメラ器具本体2は第1湾曲板4と第2湾曲板5の2枚の湾曲した平板からなり、第1湾曲板の一端にカメラ支持板3を挿入する挿入スペースを備え、第2湾曲板の一端に鏡6を備えており、第1湾曲板の他端と第2湾曲板の他端とが固着されており、カメラ支持板はカメラを取り付けるためのボルト9が設けられたカメラ載置部22と、第1湾曲板の挿入スペースに挿入する挿入面23からなり、第1湾曲板又は第2湾曲板の一方には把持棒先端を固定及び取り外し可能とするための着脱機構が設けられており、カメラを取り付けたカメラ支持板を第1湾曲板の挿入スペースに挿入した際に、鏡面にカメラのバックモニタが反射して映るように鏡面位置が調整される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカメラ操作者がいなくとも撮影者自身を撮影することを可能とする自己撮影用カメラ器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
昨今、デジタルカメラの小型化や低価格化に伴い、デジタルカメラを所持しカメラ撮影を楽しむ者が増えている。しかしながら、カメラで撮影するためにはカメラを被写体に合わせ、シャッターを押す操作をする者が必要となる。そのため、例えばカメラ所持者が自分を被写体として撮影したいと考えた場合などに、カメラを操作する第三者がいなければ撮影ができなかった。
このような問題を解決するために、従来からカメラを支持する様々な三脚が開発されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平08−285178号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
確かに昨今のカメラには一定時間経過後にシャッターがおりるセルフタイマー機能が備わっており、カメラ用三脚を用いれば、カメラを操作する者がいなくとも自己を撮影することは可能である。
【0005】
しかしながら、カメラ用三脚を用いた撮影方法には大きく二つの問題がある。一つ目の問題点は、撮影準備に時間がかかるという点である。撮影者が撮影したいと考え撮影準備に入った場合、鞄からカメラと三脚を取り出し、カメラと三脚とを組み立て、自己から離れた場所にカメラを設置し、セルフタイマーを起動させた上で、カメラから数メートル離れて撮影を行う、という手順を踏まなければならない。すべての作業を行うには時間と労力を必要とする。
二つ目の問題点は、撮影範囲の調整ができないという点である。三脚による撮影の場合、予めカメラと三脚をセットした後、ファインダー越しに撮影できる範囲を定めた後にセルフタイマーを起動させ、被写体となる自己が撮影位置へと移動しなければならない。このとき、自己がイメージ通りの場所で撮影できているかどうかは撮影後の写真を見るまでは分からない。そのため例えば自己が画面中央となるように撮影したいと考えても、実際には自己の立ち位置がずれてしまうということがあった。
【0006】
本発明は上記従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、カメラ操作者がいなくとも撮影者自身を撮影することが可能であり、かつ撮影準備に時間と労力がかからず、撮影範囲の調整も容易に行うことができるようにするための自己撮影用カメラ器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の課題を解決するために、本発明に係る自己撮影用カメラ器具は、自己撮影用カメラ器具本体と、カメラ支持板と、把持棒とからなる自己撮影用カメラ器具であって、自己撮影用カメラ器具本体は平面視長方形状の平板からなり、長手方向中央近辺で折り曲げられており、一端にカメラ支持板を挿入する挿入スペースを備え、他端に鏡を備えており、カメラ支持板はカメラを取り付けるためのボルトが設けられたカメラ載置部と、自己撮影用カメラ器具本体の挿入スペースに挿入する挿入面からなり、自己撮影用カメラ器具本体の裏面には把持棒先端を固定及び取り外し可能とするための着脱機構が設けられており、カメラを取り付けたカメラ支持板を自己撮影用カメラ器具本体の挿入スペースに挿入した際に、鏡面にカメラのバックモニタが反射して映るように鏡面位置が調整されていることを要旨とする。
【0008】
また、本発明に係る自己撮影用カメラ器具は、自己撮影用カメラ器具本体と、カメラ支持板と、把持棒とからなり、自己撮影用カメラ器具本体は第1湾曲板と第2湾曲板の2枚の湾曲した平板からなり、第1湾曲板の一端にカメラ支持板を挿入する挿入スペースを備え、第2湾曲板の一端に鏡を備えており、第1湾曲板の他端と第2湾曲板の他端とが固着されており、カメラ支持板はカメラを取り付けるためのボルトが設けられたカメラ載置部と、第1湾曲板の挿入スペースに挿入する挿入面からなり、第1湾曲板又は第2湾曲板の一方には把持棒先端を固定及び取り外し可能とするための着脱機構が設けられており、カメラを取り付けたカメラ支持板を第1湾曲板の挿入スペースに挿入した際に、鏡面にカメラのバックモニタが反射して映るように鏡面位置が調整されていることを要旨とする。
【0009】
また、本発明に係る自己撮影用カメラ器具は、上記構成においてさらに、第1湾曲板のカメラ支持板挿入スペースを有さない側の端部は水平面に対し下方手前側に約35°、略U字型に湾曲しており、かつ第2湾曲板は正面方向へと緩やかに湾曲しており、第1湾曲板の湾曲した端部と、第2湾曲板の鏡が設けられていない側の端部とが固着されることで、カメラ支持板を第1湾曲板に挿入した場合に鏡面がカメラ支持板の後方上側に位置することとなり、第2湾曲板の裏面に把持棒先端を固定及び取り外し可能とするための着脱機構が設けられており、把持棒は伸縮自在であり、かつ把持棒の断面は円形以外であることを要旨とする。
【0010】
また、本発明に係る自己撮影用カメラ器具は、上記構成においてさらに、第1湾曲板の下方に底面プレートを固定することでカメラ支持板を挿入するための挿入スペースが設けられ、底面プレートにはコの字に切れ込みを入れることで、挿入スペース方向へと湾曲した係止板が設けられており、係止板の上側には、係止板を押し下げるための係止板押圧部を備えた係止解除板が第1湾曲板の外側に設けられており、カメラ支持板の挿入面には中空部が設けられており、カメラ支持板の挿入面を第1湾曲板の挿入スペースへと挿入した際に、該中空部に係止板が嵌入することで、自動的にはカメラ支持板が抜けず、係止解除板を下側に押すことで係止板が押し下げられ中空部から外れることで、カメラ支持板の抜脱が可能となるカメラ支持板ストッパーを備えたことを要旨とする。
【0011】
また、本発明に係る自己撮影用カメラ器具は、上記構成においてさらに、側面視において、第1湾曲板のカメラ支持板を挿入する側の端部から鏡面中心まで、奥行きが約14cm、高さが約10cmとなり、かつ第1湾曲板の水平面に対する鏡面の角度が約75°となるように鏡面を設けたことを要旨とする。
【0012】
また、本発明に係る自己撮影用カメラ器具は、上記構成においてさらに、把持棒を自己撮影用カメラ器具本体に固着させた状態で、固着部分を軸に自己撮影用カメラ器具本体が回動可能としたことを要旨とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る自己撮影用カメラ器具によると、自己撮影用カメラ器具本体とカメラ支持板と把持棒とからなり、自己撮影用カメラ器具本体とカメラ支持板、及び自己撮影用カメラ器具本体と把持棒とはそれぞれ容易に着脱できる。そのため、予めカメラをカメラ支持板に取り付けておくことで、実際に撮影準備に入った場合、カメラを取り付けたカメラ支持板と把持棒を自己撮影用カメラ器具本体に取り付け、把持棒を伸ばすことで撮影準備が完了する。三脚を用いた場合に比べて、大幅に撮影準備及び撮影後の片付けにかかる時間を短縮することができる。
【0014】
また、自己撮影用カメラ器具本体の後方には、鏡面が撮影者側に向くように鏡が取り付けられている。そして、カメラを取り付けたカメラ支持板を自己撮影用カメラ器具本体に挿入した場合にカメラのバックモニタが鏡面に反射するように鏡面位置が調整されている。これにより、本自己撮影用カメラ器具を用いて撮影者が自己を撮影する場合、鏡面に映るバックモニタを見ながら撮影範囲を調整することが可能となり、撮影範囲がずれる、あるいはピントが狂うといったことがなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1の実施形態に係る自己撮影用カメラ器具の六面図である。(a)は正面図であり、(b)は背面図であり、(c)は平面図であり、(d)は底面図であり、(e)は左側面図であり、(f)は右側面図である。
【図2】第1の実施形態に係る自己撮影用カメラ器具の斜視図である。
【図3】第1の実施形態に係る自己撮影用カメラ器具の使用状態を示す参考斜視図である。
【図4】第1の実施形態に係る自己撮影用カメラ器具の使用状態を示す参考斜視図である。
【図5】第1の実施形態に係る自己撮影用カメラ器具の使用状態を示す参考右側面図である。
【図6】第1の実施形態に係る自己撮影用カメラ器具のカメラ支持板ストッパーの仕組みを示した参考図である。(a)はカメラ支持板挿入前の参考図であり、(b)はカメラ支持板挿入時の参考図であり、(c)はカメラ支持板抜脱時の参考図である。
【図7】第2の実施形態に係る自己撮影用カメラ器具の参考斜視図である。
【図8】第3の実施形態に係る自己撮影用カメラ器具の参考右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る自己撮影用カメラ器具の好ましい第1の実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1は本実施形態に係る自己撮影用カメラ器具の六面図であり、(a)は正面図、(b)は背面図、(c)は平面図、(d)は底面図、(e)は左側面図、(f)は右側面図である。図2は本実施形態に係る自己撮影用カメラ器具の斜視図であり、図3は使用状態を示す第1の参考斜視図であり、図4は使用状態を示す第2の参考斜視図であり、図5は使用状態を示す参考右側面図である。図6は本実施形態に係る自己撮影用カメラ器具におけるカメラ支持板ストッパーの仕組みを示した参考図である。
【0017】
本実施形態に係る自己撮影用カメラ器具は主に、自己撮影用カメラ器具本体(2)とカメラ支持板(3)と把持棒(12)からなる。カメラ支持板はカメラを着脱するために用いるものであり、自己撮影用カメラ器具本体はカメラを取り付けたカメラ支持板を着脱し、本体に取り付けられた鏡によってカメラのバックモニタの映像を確認するために用いるものであり、把持棒はカメラ器具本体に取り付けて離れた位置からカメラ器具本体を移動させるために用いるものである。
【0018】
図2、図5に示すように、自己撮影用カメラ器具本体(2)は主に2枚の長方形状の平板からなり、一端(33)が水平面に対し下方手前側に約35°(∠δ)、略U字型に湾曲した第1湾曲板(4)と、全体的に緩やかに手前側に湾曲した第2湾曲板(5)とからなる。それぞれ一定の強度を保持でき、かつ軽量であれば材質は限定されないが、曲げ加工が容易で安価な汎用金属が好ましいことから、本実施形態ではアルミニウムを用いている。その他の金属や熱可塑性樹脂、又は熱硬化性樹脂などで成形してもよい。また、曲がり具合を微調整できるよう、力を加えることで曲げることができる材質が好ましい。
また、本実施形態では第1湾曲板及び第2湾曲板の長手方向両端において、端部から3mm程度垂直に折り曲げている。このようにすることで、板状部材を薄くして(例えば厚さ0.5mm程度として)軽量化を図った場合でも、強度を保つことができる。
【0019】
そして第1湾曲板のU字型に湾曲させた側の端部と第2湾曲板の一方の端部とを複数のボルトで固定している。これにより、第1湾曲板の水平面に対して上側後方に傾くようにして第2湾曲板を固定している。器具部材の固着方法はボルト固定に限定されず、例えばカシメ加工や粘着素材による固定、熱融着、その他の既知の方法を用いるとよい。
また、第2湾曲板のもう一方の端部には、正面に鏡面(18)がくるようにして鏡(6)が設けられている。本実施形態における鏡は一辺が約5.5cm程度の矩形状平面鏡を用いているが、鏡面の大きさや形状はこれに限定されるものではない。他に円形や多角形の鏡を用いてもよいし、凸面鏡や凹面鏡を用いてもよい。
【0020】
ただし、鏡面の角度と位置は非常に重要であり、側面から見た場合に第1湾曲板の水平面に対して鏡面の角度(∠θ)は約75°が最も好ましく、第1湾曲板の垂直面に対して鏡面を約20°前方(∠λ)に傾斜させることが好ましい(図5参照)。また、鏡面中心(20)の位置は、第1湾曲板のカメラ支持板を挿入する側の端部(19)から奥方向(α)に約14cm、高さ方向(β)に約10cmとすることが最も好ましい。
鏡面をこのように位置取ることで、本実施形態に係る自己撮影用カメラ器具を用いて自己を撮影する場合に、鏡面にカメラのバックモニタの映像が最も鮮明かつ外れることなく映るためである。出願人は市販されている様々なデジタルカメラを用いて、かつ様々な鏡面の位置取りを試すことにより、上記位置取りが最も効果的であることに想到したものである。
【0021】
カメラを着脱するためのカメラ支持板(3)は図3に示すように平面視で凸型の平板である。カメラを置くためのカメラ載置面(22)と、自己撮影用カメラ器具本体側の第1湾曲板に設けられたカメラ支持板挿入口(15)に挿入される挿入面(23)とから形成される。また、挿入面には矩形の中空部(14)が設けられている。
カメラ載置面には下方から上方にかけてボルトが貫通している。ボルトは市販されているカメラの三脚用ネジ穴に嵌まるよう、1/4−20インチネジを用いている。また、カメラの底面がカメラ支持板と接触して傷つかないように、ドーナツ状のクッション材(11)をカメラ載置面に貼り付けている。
カメラ載置部の大きさはカメラ器具本体(2)の横幅にあわせて約3.0cm四方としているが、これに限定されるものではない。カメラによっては底面の奥行きが3.0cm以上あるものも存在する。したがって、設置するカメラにあわせてカメラ載置部の大きさは決めればよい。
【0022】
自己撮影用カメラ器具本体(2)の第1湾曲板(4)には、カメラ支持板(3)を挿入した際に該支持板を着脱自在とするためのカメラ支持板ストッパー(7)が設けられている。このストッパー機構によって、カメラ支持板を挿入した場合に自然には抜けなくなり、支持板を抜く際はボタンを押すような感覚で簡単に抜くことができる。
【0023】
このカメラ支持板ストッパーの機構について、図6を参照しながら詳述する。図6はカメラ支持板ストッパーの側面断面図である。図1(d)や図6(a)に示すように、カメラ器具本体を構成する第1湾曲板(4)の下方には底面プレート(21)が固着されており、第1湾曲板と底面プレートでカメラ支持板を挿入するスペース(30)が設けられている。
そして該底面プレートには図1(d)に示すようにコ字状に切り込みが入れられており、図6(a)に示すように切り込みが入れられた部分を挿入スペース方向(上方向)に傾斜させて係止板(26)が形成されている。
【0024】
一方、係止板の上方には係止解除板(27)が設置されている。係止解除板は図3に示すように、カメラ器具本体(2)を構成する第1湾曲板(4)の表面に上方に反るようにして固着される平板状の部材である。一端が第1湾曲板に固着され、他端は上下に移動する。また、係止解除板の固着されていない端部は、垂直方向に曲げ加工がなされており、係止板(26)を押圧するための係止板押圧部(28)が設けられている。そして第1湾曲板にはこの押圧部がカメラ支持板挿入スペースへと入るための押圧部貫通孔(29)が設けられている。
【0025】
図6(a)に示すように係止板(26)の湾曲部分の上方に係止解除板(27)の押圧部(28)が位置するよう構成されており、押圧部を上側から下側に向けて指で押すことで、押圧部によって係止板は下側に押されることとなる。
【0026】
以下、ストッパー機構の作用について図6の(a)から(c)を参照して説明する。
まずカメラ支持板(3)の挿入面(23)が、第1湾曲板(4)に設けられたカメラ支持板挿入スペース(30)へと、挿入口(15)を通して挿入される。
次に、図6(b)に示すように、カメラ支持板には上下に貫通した中空部(14)が設けられており、上側に反った係止板(26)が中空部に嵌まることで支持板が固定され、抜けなくなる。
そして支持板を抜く際には係止解除板(27)を指で下側に押し下げ、係止板(26)を下方へと押し下げる。すると図6(c)に示す状態となる。
あとはこの状態でカメラ支持板を挿入スペースから引き抜くと、係止板(26)の湾曲部分は中空部からは外れているためストッパーが解除され、支持板を引き抜くことができる。なお、係止板押圧部は中空部一端に設けられた斜面(25)に沿って移動することから、該押圧部が支持板の抜脱を阻害することはない。
【0027】
自己撮影用カメラ器具本体(2)を構成する第2湾曲板(5)の裏面下端には、図1(a)(b)(d)〜(f)に示すように、把持棒を挿入固定するための把持棒ストッパー(8)が設けられている。本発明に係る自己撮影用カメラ器具は、自己撮影用カメラ器具本体に伸縮機能を有する把持棒を取り付け、該把持棒を持つことで離れた位置から自己撮影用カメラ器具の位置を移動させ調整する。把持棒ストッパーは把持棒の先端部分を挿入固定できればどのような形状でもよく、本実施形態では円柱状の貫通孔を有するクリップ状のストッパーを用いている。また、把持棒の先端を挿入後、把持棒を固定できるように把持棒固定ボルト(10)が通されている。
【0028】
なお、把持棒を把持棒ストッパーに挿入した後、反対側の孔から把持棒先端が飛び出さないよう、把持棒ストッパー貫通孔の後端部の孔の直径を小さくすることが好ましい。
また、把持棒をストッパーに着脱する操作をワンタッチでできるようにすると、より好ましい。
【0029】
把持棒(12)は、図4に示すように一端(13)に自己撮影用カメラ器具本体(2)を取り付けることができ、かつ他端に握ることができる把持部(17)を備えたものであればどのような形状のものでもよい。また、自己撮影用カメラ器具本体に取り付けたカメラが撮影者から80cm〜100cm程度離れた位置にくることが撮影上好ましく、把持棒は最大で80cm〜100cm程度まで伸びる、伸縮自在のものが好ましい。また、所定の長さで固定するストッパー機能を有することが好ましい。
本実施形態に係る把持棒は、縮めた場合の全長が約25cm、最大まで伸ばした場合の全長が約80cmとなる伸縮自在の棒を用いており、途中に3箇所長さを固定するためのストッパーを有している。
【0030】
また、把持棒は切断面が円形であっても構わないが、切断面が円形だとカメラの重さによって左右に回転してしまう場合がある。従って、把持棒の切断面は円形以外が好ましい。例えば切断面を多角形としてもよいし、長手方向に溝を設けてもよい。把持棒ストッパーの挿入孔の形状も、把持棒の切断面の形状に合わせる。本実施形態に係る把持棒では断面図が略楕円となるように加工されており、本体側のストッパー挿入孔の形状も、把持棒の断面に対応させて略楕円としている。
このように、把持棒の切断面及び把持棒ストッパーの挿入孔を非円形とすることで、カメラを支持する自己撮影用カメラ器具本体がカメラの重さにより左右に回転してしまうことを防ぐことができる。
【0031】
以下、本実施形態に係る自己撮影用カメラ器具(1)の使用例につき図3、図4を参照しながら説明する。
まず、自己撮影用カメラ器具本体(2)とカメラ支持板(3)とは予め分離しておき、カメラ(C)をカメラ固定ボルト(9)によってカメラ支持板に取り付けておく。カメラの後ろ側(バックモニタが設置されている面)がカメラ支持板の挿入面(23)の方向を向くように取り付ける。この状態でカメラ支持板を取り付けたカメラ、カメラ器具本体、把持棒の三点を持ち歩く。なお、カメラにストラップを取り付けて首に吊り下げ、カメラ器具本体と把持棒とは別々に、または把持棒をカメラ器具本体に取り付けた状態で鞄などにいれておいてもよい。また、把持棒は縮めておくとよい。
【0032】
次に、例えば所定の風景を背景にして自分を正面から撮影するとなった場合は、カメラ支持板に取り付けられたカメラと、自己撮影用カメラ器具本体(2)を用意する。そして図3に示すように、カメラ支持板の挿入面(23)をカメラ器具本体のカメラ支持板挿入口(15)に挿入する。
上述したカメラ支持板ストッパー(7)の働きにより、カメラ支持板が自動的に抜けることはない。
【0033】
そして、図4に示すように把持棒先端(13)を自己撮影用カメラ器具本体裏側に設けられた把持棒挿入口に挿入し、保持棒ストッパー(8)により固定する。その後、把持棒の把持部(17)を持ちながら、把持棒を80cm程度まで伸ばす。
以上で、撮影準備は完了する。実際に撮影を行う際は、把持棒を伸ばした状態でカメラのセルフタイマー機能を作動させ、シャッターがおりるまでの数秒間で把持部に持ち直し、カメラ位置を調整して撮影する。これにより、カメラを操作する者がいなくても、撮影者本人を撮影することが可能となる。
【0034】
さらに、本実施形態に係る自己撮影用カメラ器具では、カメラ器具本体後ろ側に鏡面(6)が設けられている。上述の通り、カメラを載置するカメラ支持板と鏡面との距離及び角度を所定の値に設定することで、撮影可能状態に入った際に、撮影者は鏡面に映るカメラのバックモニタの映像を確認することができる。
したがって、セルフタイマーを起動させシャッターがおりるまでの間に、鏡面に反射するバックモニタを見ながら撮影範囲を調整することができる。これにより、被写体の位置がずれたり、ピントが合わないといった問題はなくなる。
【0035】
一般に市販されているカメラ用三脚を用いて撮影する場合、カメラに三脚を取り付け、三脚を伸ばし地面に固定し、カメラのファインダーやモニタを通して撮影範囲を調整した上でセルフタイマーを起動し、撮影者は撮影範囲内に移動するといった手順を踏む必要がある。これにはどれだけ早く作業を行ったとしても、最低でも2〜3分は必要となる。
これに対し本実施形態に係る自己撮影用カメラ器具を用いて撮影を行った場合は、撮影準備から実際に撮影するまで、1分以内で行うことができる。最短では30秒程度での撮影が可能である。
撮影後は同じ手順を逆に行って撮影器具を鞄等にしまわなければならず、三脚を用いる場合はやはり2分程度はかかってしまう。本実施形態に係る自己撮影用カメラ器具の場合は鞄等にしまう作業も30秒程度で行うことができるため、撮影準備から片付けにいたるまでの総時間は、三脚を用いる場合と比較して少なくとも5分の1程度に抑えることができる。
【0036】
以下、本発明に係る自己撮影用カメラ器具の好ましい第2の実施形態について、図面を参照しながら説明する。図7は本実施形態に係る自己撮影用カメラ器具に係る参考斜視図である。
【0037】
本実施形態に係る自己撮影用カメラ器具(31)は主に自己撮影用カメラ器具本体(2)、カメラ支持板(3)、把持棒(12)からなり、それぞれの構成自体は第1の実施形態に係る自己撮影用カメラ器具と同様である。
【0038】
しかしながら、第1の実施形態に係る自己撮影用カメラ器具では、自己撮影用カメラ器具本体と把持棒とは完全に分離しており、本体裏側に把持棒の先端を挿入固定するための把持棒ストッパーを設けることで、本体と把持棒とを着脱可能としていた。
【0039】
これに対し、本実施形態に係る自己撮影用カメラ器具では、自己撮影用カメラ器具本体と把持棒とは分離しておらず、図7に示すように把持棒の先端部分(13)が、自己撮影用カメラ器具本体を構成する第2湾曲板(5)の裏面に予め固着されている。
また、把持棒先端部分と第2湾曲板とは回動自在な回動軸(32)を介して取り付けられており、把持棒に対して第2湾曲板(自己撮影用カメラ器具本体)は少なくとも180°回動する。
【0040】
この工夫により、本実施形態に係る自己撮影用カメラ器具を利用しない場合は、把持棒を縮めた状態で本体に取り付けられた鏡が把持棒保持部側(17)にくるように回動させることで、カメラ器具本体と把持棒とを含めた全体の長さを短くでき、コンパクトにまとめることができる。
【0041】
ただし、本実施形態に係る自己撮影用カメラ器具では、使用状態、すなわち把持棒を手前にして持った場合に、鏡面が把持棒側を向いた状態で回動しないようにするためのストッパー機能を備える必要がある。このストッパーがなければ、実際にカメラを取り付けて撮影する際にカメラ器具本体が回動してしまい、撮影できないためである。
ストッパーは回動軸(32)を中心とした回動を止めることができればどのような構成を用いてもよいが、例えば把持棒先端部とカメラ器具本体との固定具合を強めたり弱めたりするためのボルト(又はネジ)を取り付け、該ボルトによってカメラ器具本体を使用可能状態に回動させた状態でそれ以上回動しないよう固定する方法が考えられる。
【0042】
本実施形態に係る自己撮影用カメラ器具を使用する場合は、まず自己撮影用カメラ器具(31)を鞄などから取り出し、カメラ器具本体(2)を回動させて鏡面が把持部(17)側を向くようにした状態でストッパー又はボルトにより固定する。次にカメラを取り付けたカメラ支持板(3)をカメラ器具本体(2)に挿入し取り付ける。そして把持棒を伸ばせば、撮影準備が完了する。
【0043】
本実施形態に係る自己撮影用カメラ器具では、自己撮影用カメラ器具本体と把持棒とが分離していないため、鞄などから取り出す際に、二つの物品を探す必要がなくなり、例えば一方が見当たらないといった事態を回避することができる。
また、第1の実施形態の自己撮影用カメラ器具のように把持棒先端部分をカメラ器具本体に設けられた把持棒挿入口に挿入して固定する方式に比べて、本実施形態のカメラ器具ではカメラ器具本体を回動させて固定させるだけなので、撮影準備をより楽に行うことができる。
【0044】
以下、本発明に係る自己撮影用カメラ器具の好ましい第3の実施形態について、図面を参照しながら説明する。図8は本実施形態に係る自己撮影用カメラ器具に係る参考右側面図である。
【0045】
上記第1及び第2の実施形態では、自己撮影用カメラ器具本体は湾曲した2枚の板状部材を組み合わせることで構成されている。このように2枚の部材を組み合わせることで、カメラの自重は主に第1湾曲板にかかり、鏡が設けられた第2湾曲板には自重がかかりにくいことで、カメラ器具本体全体が安定し、鏡が揺れることが少なくなるためである。
しかしながら、カメラ支持板の挿入位置と鏡面の位置が同じであれば、カメラ器具本体を2枚の板状部材の組み合わせにより構成しなくとも本願発明の目的を達成することは可能である。
【0046】
本実施形態に係る自己撮影用カメラ器具(34)は図8に示すように、カメラ器具本体(2’)は1枚の長方形状の平板部材からなる。該平板部材の一端(19)にカメラ支持板(3)の挿入スペースを設け、他端に鏡(6)を設けている。
そしてカメラ器具本体の長手方向の略中間位置において、鏡が設けられた側の端部が上方に位置するよう、曲げ加工が施されている。ただし、本実施形態にかかるカメラ器具本体では、板状部材に湾曲加工は施されていない。
カメラ支持板を挿入する側の端部(19)から曲げ加工が施されている中間部(35)までの面を水平面とした場合に、水平面に対して鏡面の角度(∠θ)は約75°が最も好ましく、該水平面に対する垂直面に対して鏡面を約20°前方(∠λ)に傾斜させることが好ましい(図8参照)。また、鏡面中心(20)の位置は、カメラ支持板を挿入する側の端部(19)から奥方向(α)に約14cm、高さ方向(β)に約10cmとすることが最も好ましい。
上記の条件を満たす範囲であればカメラ器具本体の曲がり角度は任意であるが、本実施形態に係るカメラ器具本体では、前記水平面に対する鏡側の板状部材の曲がり角(∠ω)は約135°としている。
【0047】
本実施形態に係る自己撮影用カメラ器具によると、カメラ器具本体は1枚の板状部材からなることから、部材点数が少なくなり、製造する際の工程を減らすことができる。
【0048】
なお、上記各実施形態に係る自己撮影用カメラ器具において、カメラ器具本体(2、2’)と鏡(6)とを回転軸(33)を介して取り付けてもよい(図8参照)。回転軸によって鏡が前後に移動することで、鏡面の傾き角を調整することが可能となる。任意の傾き角で止まるようにしてもよいし、数段階の調整角度を定めた上で、所定の角度で止まるようにしてもよい。
また、カメラ器具本体表面まで回転し折り畳まるようにすることで、器具を使用しない際は鏡を折り畳み、よりコンパクトにした状態で持ち運ぶことが可能となる。
【0049】
また、上記実施形態に係る自己撮影用カメラ器具の使用説明においては、カメラのセルフタイマー機能を用いた使用方法を記載したが、その他、シャッターボタンをカメラ本体から延長するコードを用い、手元でシャッターボタンを操作できることとしてもよい。また、リモコン等により手元でシャッターを操作できることとしてもよい。この場合、撮影準備が整った後、鏡面に映るカメラのバックモニタを見ながら撮影位置を調整し、セルフタイマーに頼ることなく任意のタイミングで撮影することが可能となる。
【0050】
また、上記各実施形態の記述は本発明をこれに限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更等が可能である。
【符号の説明】
【0051】
1 自己撮影用カメラ器具
2、2’ 自己撮影用カメラ器具本体
3 カメラ支持板
4 第1湾曲板
5 第2湾曲板
6 鏡
7 カメラ支持板ストッパー
8 把持棒ストッパー
9 カメラ固定ボルト
10 把持棒固定ボルト
11 クッション材
12 把持棒
13 把持棒先端
14 中空部
15 カメラ支持板挿入口
16 凸部先端
17 把持部
18 鏡面
19 端部
20 鏡面中心
21 底面プレート
22 カメラ載置面
23 挿入面
24 ガイド板
25 斜面
26 係止板
27 係止解除板
28 係止板押圧部
29 押圧部貫通孔
30 カメラ支持板挿入スペース
31 自己撮影用カメラ器具
32 回転軸
33 鏡回転軸
34 自己撮影用カメラ器具
35 中間部
C カメラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自己撮影用カメラ器具本体と、カメラ支持板と、把持棒とからなる自己撮影用カメラ器具であって、
自己撮影用カメラ器具本体は平面視長方形状の平板からなり、長手方向中央近辺で折り曲げられており、一端にカメラ支持板を挿入する挿入スペースを備え、他端に鏡を備えており、
カメラ支持板はカメラを取り付けるためのボルトが設けられたカメラ載置部と、自己撮影用カメラ器具本体の挿入スペースに挿入する挿入面からなり、
自己撮影用カメラ器具本体の裏面には把持棒先端を固定及び取り外し可能とするための着脱機構が設けられており、
カメラを取り付けたカメラ支持板を自己撮影用カメラ器具本体の挿入スペースに挿入した際に、鏡面にカメラのバックモニタが反射して映るように鏡面位置が調整されていることを特徴とした自己撮影用カメラ器具。
【請求項2】
自己撮影用カメラ器具本体と、カメラ支持板と、把持棒とからなる自己撮影用カメラ器具であって、
自己撮影用カメラ器具本体は第1湾曲板と第2湾曲板の2枚の湾曲した平板からなり、第1湾曲板の一端にカメラ支持板を挿入する挿入スペースを備え、第2湾曲板の一端に鏡を備えており、第1湾曲板の他端と第2湾曲板の他端とが固着されており、
カメラ支持板はカメラを取り付けるためのボルトが設けられたカメラ載置部と、第1湾曲板の挿入スペースに挿入する挿入面からなり、
第1湾曲板又は第2湾曲板の一方には把持棒先端を固定及び取り外し可能とするための着脱機構が設けられており、
カメラを取り付けたカメラ支持板を第1湾曲板の挿入スペースに挿入した際に、鏡面にカメラのバックモニタが反射して映るように鏡面位置が調整されていることを特徴とした自己撮影用カメラ器具。
【請求項3】
前記自己撮影用カメラ器具において、第1湾曲板のカメラ支持板挿入スペースを有さない側の端部は水平面に対し下方手前側に約35°、略U字型に湾曲しており、
かつ第2湾曲板は正面方向へと緩やかに湾曲しており、
第1湾曲板の湾曲した端部と、第2湾曲板の鏡が設けられていない側の端部とが固着されることで、カメラ支持板を第1湾曲板に挿入した場合に鏡面がカメラ支持板の後方上側に位置することとなり、
第2湾曲板の裏面に把持棒先端を固定及び取り外し可能とするための着脱機構が設けられており、
把持棒は伸縮自在であり、かつ把持棒の断面は円形以外であることを特徴とした請求項2に記載の自己撮影用カメラ器具。
【請求項4】
前記自己撮影用カメラ器具においてさらに、第1湾曲板の下方に底面プレートを固定することでカメラ支持板を挿入するための挿入スペースが設けられ、
底面プレートにはコの字に切れ込みを入れることで、挿入スペース方向へと湾曲した係止板が設けられており、
係止板の上側には、係止板を押し下げるための係止板押圧部を備えた係止解除板が第1湾曲板の外側に設けられており、
カメラ支持板の挿入面には中空部が設けられており、カメラ支持板の挿入面を第1湾曲板の挿入スペースへと挿入した際に、該中空部に係止板が嵌入することで、自動的にはカメラ支持板が抜けず、係止解除板を下側に押すことで係止板が押し下げられ中空部から外れることで、カメラ支持板の抜脱が可能となるカメラ支持板ストッパーを備えたことを特徴とする請求項3に記載の自己撮影用カメラ器具。
【請求項5】
側面視において、第1湾曲板のカメラ支持板を挿入する側の端部から鏡面中心まで、奥行きが約14cm、高さが約10cmとなり、かつ第1湾曲板の水平面に対する鏡面の角度が約75°となるように鏡面を設けたことを特徴とする請求項2から請求項4の何れか1項に記載の自己撮影用カメラ器具。
【請求項6】
把持棒を自己撮影用カメラ器具本体に固着させた状態で、固着部分を軸に自己撮影用カメラ器具本体が回動可能としたことを特徴とする請求項1から請求項5の何れか1項に記載の自己撮影用カメラ器具。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−242403(P2012−242403A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−108797(P2011−108797)
【出願日】平成23年5月13日(2011.5.13)
【特許番号】特許第4818479号(P4818479)
【特許公報発行日】平成23年11月16日(2011.11.16)
【出願人】(311006168)
【Fターム(参考)】