説明

自浄性表面及びその製造法

【課題】担体を用いて表面上に固定された疎水性粒子により形成される自浄性表面の機械強度を高める。
【解決手段】凸部Eから成る人工的な少なくとも部分的に疎水性である表面構造を有し、その際、凸部Eが、担体を用いて表面上に固定された疎水性粒子Pの混合物により形成される自浄性表面において、混合物が、半金属酸化物又は金属酸化物、シリカ及び金属粉末から選択された構造を形成する粒子及びロウ粒子を有することを特徴とする自浄性表面。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改善された機械強度を有し、凸部から成る人工的な少なくとも部分的に疎水性である表面構造を有し、その際、凸部が、担体を用いて表面上に固定された疎水性粒子により形成される自浄性表面、その製造法並びにその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
極端に湿潤性の低い表面を有する物品は一連の経済的に重要な特徴を有する。この経済的に最も重要な特徴は、この場合、湿潤性の低い表面の自浄作用であり、それというのも表面の清浄化は時間並びにコストがかかるためである。従って、自浄性表面は経済的に極めて重要である。付着機序は一般に接触し合う2つの表面の間の界面エネルギーパラメータに依存する。この場合、この系はその界面自由エネルギーを低下させることが試みられる。2成分間のこの界面自由エネルギーが自発的にすでに十分低い場合には、一般にこの2成分間の付着は極端に弱い結果となる。この場合、界面自由エネルギーの相対的低下が重要である。高い界面エネルギーと低い界面エネルギーとのペアの場合にはしばしば相互作用の可能性が問題となる。例えば疎水性表面に水を塗布する場合、界面エネルギーの目立った低下を引き起こすことは不可能である。これは湿潤性が悪いことにより認識できる。塗布された水は極めて高い接触角を有する液滴を形成する。過フッ素化された炭化水素、例えばポリテトラフルオロエチレンは、極めて低い界面エネルギーを有する。しかしながら多くの場合、水による表面の湿潤は望ましくない。水による表面の湿潤によって、しばしば、流出後に、溶解されたか又は懸濁された固体の残留物が望ましくない残留物として表面上に残存する。この問題は、殊に雨水及び水の飛沫にさらされている表面で生じる。
【0003】
水による湿潤が困難である表面は公知である。良好な自浄効果を達成するためには、表面は疎水性の他にミクロの粗さを有する表面構造をも有していなければならないことは公知である。既に1947年には、CH268258Aにおいて「微粒子」表面と高い接触角との関連が記載され、金蓮花との類似が挙げられた。1982年には、A. A. AbramsonがKhimia i Zhizu 第11版, 第38-40頁において、粗さと疎水性との関連が例えばハスの葉において実現されていることを開示した。ハスの葉の上には微細構造を有する結晶性の凸部が存在しており、この凸部は相互に数μm離れている。水滴は本質的にこの凸部の先端でのみ接触するため、葉の表面と水滴との接触面積は極めて小さい。この結果、水滴の付着性は極めて低くなる。自然界において、他のそのような表面は、例えば金蓮花の葉、イチョウの葉又はコールラビにおいて公知である。
【0004】
US3354022から撥水性表面は公知であり、その際、表面は凸部と凹部とを有するミクロの粗さを有する構造を有し、かつ疎水性材料、殊にフッ素含有ポリマーから形成されている。特に、そのような表面構造の製造は、ロウ、ポリマー又はロウ状化合物を有する表面上に構造を刻印することにより行われる。更に、粒子の使用による表面構造の製造が記載されており、一方では、ロウ粒子が表面上に固定され、他方ではロウ(フルオロアルキルエトキシメタクリラートポリマーをベースとするフルオロ炭化水素ロウ)で被覆されたガラス粒子が溶融されたロウを用いて固定される。第一の場合、5〜80μmのサイズを有する粒子が使用され、第二の場合、15〜250μmのサイズの粒子に凝集する直径3〜12μmのガラス粒子が使用される。このような自浄効果を有する被覆の大きな欠点は、そのわずかな耐摩耗性である。
【0005】
刻印された構造の耐摩耗性の改善として、DE10138036には、凸部の間に凸部を結合する稜を有し、この稜が、稜によって結合された2つの凸部の間の中央で、凸部の高さよりも少なくとも10%小さい高さを有する、刻印された構造が提案されている。この措置により、そのような刻印された構造の耐久性は明らかに高められる。通常、DE10138036からの刻印、ひいては物品は、比較的軟らかい材料、例えばポリマー、UV硬化性塗料又はロウに限定される。
【0006】
DE10022246では、粒子は同様に被膜を形成するバインダー、特にロウを用いて表面に固定されて構造化表面が形成され、その際、粒子は被膜を形成するバインダーにより包囲ないし湿潤される。バインダーとして使用されるロウのために、この方法の場合にも、このように製造される自浄効果を有する被覆が比較的わずかな耐摩耗性を有するという問題が生じる。
【0007】
WO96/04123には、凸部及び凹部を有する人工的な表面構造を有する物品の自浄性表面が記載されており、その際、構造は5〜200μmの凸部間の間隔及び5〜100μmの凸部の高さで定義されている。この表面の製造は、例えば、微粉砕されたテフロンを接着剤で処理された表面に施与するか、又は構造を熱可塑性の成形可能な疎水性材料に刻印することにより行われる。粒子を接着剤を用いて固定することにより、ロウで固定した場合よりも良好な、構造の機械的負荷能力が達成される。
【0008】
DE10118352には、表面構造を発生させるための粒子の使用が記載されており、その際、有利にナノメートル範囲の微細構造を有する粒子が使用される。ナノメートル範囲の微細構造により、1を上回る、粒子上の凸部のアスペクト比(凸部の最大高さを最大幅で除したもの)が達成され、これはそれ以外では刻印のみにより達成することができる。表面上に構造を有しない粒子を使用するという従来公知である方法の場合、当然のことながら1を上回るそのようなアスペクト比を達成することはできず、それというのも、球状粒子の場合には最大高さと最大幅とが等しいためである。粒子の固定はDE10118352において担体系、例えば塗料又は接着剤の使用により行われる。そのように製造された表面は確かにより良好な自浄効果を示すが、依然として、構造の機械的応力に対して比較的弱い。特に別の表面との摩擦により、粒子は極めて迅速に表面から崩落し得る。
【0009】
DE10118351では、定着剤粒子とナノメートル範囲の微細構造を有する表面を有する粒子との混合物が使用され、その際、定着剤は、粉末塗料又は溶融接着剤から選択され、かつ固定は短時間の加熱により行われる。そのように製造された表面は確かに明らかにより良好な粒子の耐久性を示すが、しかしながらこの方法の場合、粒子の微細構造が定着剤粒子により塞がれる危険性がある。
【特許文献1】CH268258A
【特許文献2】US3354022
【特許文献3】DE10138036
【特許文献4】DE10022246
【特許文献5】WO96/04123
【特許文献6】DE10118352
【特許文献7】DE10118351
【非特許文献1】Khimia i Zhizu 第11版, 第38-40頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って本発明の課題は、構造化された表面の機械的安定性を高めることであり、その際、粒子自体の上に場合により存在する表面構造が維持されるのが有利である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
驚異的にも、表面上に担体を用いて固定される構造形成剤として疎水性金属酸化物粒子とロウ粒子との混合物を使用することにより、生じる表面構造の機械的安定性が明らかに高められることが見い出された。これは恐らく、金属酸化物粒子の間のロウ粒子がDE10138036の稜に類似した支持作用を発揮することにより説明することができる。
【0012】
従って本発明の対象は、凸部から成る人工的な少なくとも部分的に疎水性である表面構造を有し、その際、凸部が、担体を用いて表面上に固定された疎水性粒子の混合物により形成される自浄性表面において、混合物が、半金属酸化物又は金属酸化物、シリカ及び金属粉末から選択された構造を形成する粒子及びロウ粒子を有することを特徴とする自浄性表面である。
【0013】
同様に本発明の対象は、適当な、少なくとも部分的に疎水性である表面構造が、担体を用いた表面上への疎水性粒子の混合物の施与及び固定によりもたらされる、自浄性表面の製造法において、混合物が、半金属酸化物又は金属酸化物、金属粉末及びシリカから選択された構造を形成する粒子及びロウ粒子を有することを特徴とする自浄性表面の製造法である。
【0014】
同様に本発明の対象は、自浄性表面の製造に適当な粒子組成物において、組成物が、半金属酸化物又は金属酸化物、シリカ及び金属粉末から選択された構造を形成する粒子、及び1〜75質量%のロウ粒子を有することを特徴とする粒子組成物である。
【0015】
更に、本発明の対象は、物品の剛性又は非剛性の表面上に自浄性表面を製造するための本発明による方法の使用である。
【0016】
本発明による方法により、凸部と共に凹部から成る表面構造を有する自浄性表面が入手可能であり、その際、凸部は有利にナノメートル範囲の亀裂のある構造を有する粒子により形成される。構造を形成する粒子とロウ粒子との混合物を使用することにより、機械的応力、例えば摩擦又は引掻きに関して、構造化された表面の明らかにより高い強度が達成される。
【0017】
担体を用いて、疎水性熱分解法シリカ95質量%とPTFE変性されたポリエチレンロウ5%との粒子混合物を示すことができた実施例1による表面に基づく通り、<100サイクルの最大摩擦負荷を>2000サイクルに高めることができた。
【0018】
混合物は担体、特に塗料又は接着剤を用いて表面に堅固に固定される。本発明による効果は恐らくロウ粒子に起因するものと見なすことができる。ロウ粒子は恐らく、構造を形成する粒子が倒壊しないようにし、それと共に、担体による表面上での補強が柔軟性を有しない場合にはしばしばちぎれないようにするという支持体の機能を果たしていると考えられる。ロウにおいて通常存在する弾性又は可塑性によって、粒子は、機械的応力により構造に作用する圧力を所定の限界で回避することができる。
【0019】
ロウ粒子を使用しても、本発明による方法の場合、ナノメートル範囲の微細構造を有する構造を形成する粒子の使用により得られ、かつナノメートル範囲の凸部のアスペクト比に起因するものと見なすことができるプラスの効果はそのままであり、それというのも、接着剤又は塗料による固定によってロウ粒子又はその一部が微細構造を塞ぐことはないためである。これは特に、熱エネルギーが固定のために利用される必要がなく、従って微細構造を平滑化するロウの溶融が生じることができないことに依るものである。
【0020】
疎水特性を有するロウ粒子の使用によって本発明による表面の自浄特性が悪化することはない。むしろ、微小なロウ粒子を構造を形成する粒子として使用する場合、ロウ粒子と構造を形成する粒子との混合比に依存して、構造を形成する粒子により形成される最も高い凸部の間隔を極めて厳密に調節することができ、それというのも通常、粒子の単層(Monolage)のみが表面上で担体により固定され、従って最も高い凸部の相互の間隔は、最も近い隣としてこれらを包囲するロウ粒子の数により決定されるためである。
【0021】
本発明を以下に記載するが、本発明は記載された実施態様に制限されるものではない。本発明の意味において、粒子を表面上に固定するために使用される物質は担体と呼称される。
【0022】
以下の文面において、範囲の記載又は有利な範囲が記載された場合、これらは、この範囲又は有利な範囲内で形成されることができる全ての可能な下位範囲をも開示する。従って、記載を理解し易くするために、全ての可能な下位範囲の明確な列挙を省略する。
【0023】
以下の文面において、本発明又は本発明の特徴が、使用すべき物質、パラメータ又は条件の列挙又は選択により開示される場合、個々の、又は複数の物質、パラメータ又は条件の削除又は保護の請求の放棄により得ることができる部分集合も、以下の記載の開示内容に含まれる。従って、記載を理解し易くするために、削除又は保護の請求の放棄により得ることができる可能な部分集合の全ての実施態様の明確な記載を省略する。
【0024】
凸部から成る人工的な少なくとも部分的に疎水性である表面構造を有し、その際、凸部が、担体を用いて表面上に固定された疎水性粒子の混合物により形成される、本発明による自浄性表面は、混合物が、半金属酸化物又は金属酸化物、シリカ及び金属粉末から選択された構造を形成する粒子及びロウ粒子を有することを特徴とする。有利に、混合物は1〜75質量%、有利に2〜70質量%、殊に有利に3〜60質量%、極めて殊に有利に5〜25質量%のロウ粒子を有する。有利に粒子の単層が担体を用いて表面に固定されている場合に、粒径ないし構造を形成する粒子に対するロウ粒子の粒径の比に応じて、上記のような体積比を介して、構造を形成する粒子により形成される最も高い凸部の間隔が決定される。
【0025】
自浄特性を有する疎水性粒子により形成された表面構造は、有利に20nm〜25μmの平均高さ及び25μmまでの平均間隔、有利に50nm〜10μmの平均高さ及び/又は10μmまでの平均間隔及び極めて特に有利に50nm〜4μmの平均高さ及び/又は4μmまでの平均間隔を有する凸部を有する。極めて殊に有利に、本発明による表面は、0.25〜1μmの平均高さ及び1μm未満の平均間隔を有する凸部を有する。凸部の平均間隔とは本発明の意味では、凸部の最も高い突出部から最も近く最も高い突出部までの間隔であると理解される。凸部が円錐の形を有している場合、該円錐の先端が該凸部の最も高い突出部である。凸部が平行六面体である場合、該平行六面体の最上部の面が該凸部の最も高い突出部である。
【0026】
凸部の間隔の他に、存在するロウ粒子の数及びサイズによって、表面の構造も決定される。例えば、粒子の25%がロウ粒子であり、かつこのロウ粒子が構造を形成する粒子の0.5倍のサイズを有する表面は、凸部が4個毎に、これらを直接包囲している凸部の高さよりも50%低い構造を有する。ロウ粒子の割合が75%である場合、凸部は4個毎に、これらを直接包囲している隣の凸部の高さよりも100%高い高さを有する。有利に、本発明による表面は、凸部が2個毎〜100個毎に、これらを直接包囲する隣の高さよりも50%低い、有利に50〜10%低い、有利に30〜10%低い高さを有する構造を有する。
【0027】
表面構造の自浄特性は湿潤特性に起因するものと見なすことができ、これは水滴と表面とが形成する接触角により表される。ここで、接触角0度は表面の完全な湿潤を意味する。静的接触角の測定は、通常、接触角が光学的に決定される装置を用いて行われる。滑らかな疎水性表面上では、通常125゜未満の静的接触角が測定される。自浄性表面を有する本発明のシートは、有利に130゜を上回る、有利に140゜を上回る、極めて特に有利に145゜を上回る静的接触角を有する。その上、表面が最大10゜の前進角と後退角との差を有する場合にのみ表面は良好な自浄特性を有することが見出されたため、本発明による表面は有利に、10゜未満、有利に5゜未満、極めて特に有利に4゜未満の前進角と後退角との差を有する。前進角の決定のために、水滴は、細管を用いて表面上へ置かれ、かつ細管を経て水を添加することにより液滴は表面上へ拡大される。拡大の間に、液滴の縁部は表面上を滑り、かつ接触角は前進角として光学的に決定される。後退角は同じ液滴で測定されるが、但し、細管により液滴から水が取り出され、液滴の縮小の間に接触角が光学的に測定される。双方の角度の間の差異はヒステリシスと呼称される。差異が小さくなればなるほど、水滴と基体の表面との相互作用がより僅かになり、かつハス効果(自浄特性)がより良好になる。
【0028】
本発明による自浄性表面は、更に、有利に20°未満、有利に10°未満、殊に有利に3°未満の転がり角(Abrollwinkel)を有する。この場合、転がり角として、水平の表面上に施与される60μlの水滴が、表面の一面を持ち上げることにより、形成される傾斜面から自然と転がる傾斜角度が測定される。
【0029】
自浄特性を有する表面構造を有する本発明による表面は、有利に0.15を上回る凸部のアスペクト比を有する。有利に、粒子自体により形成される凸部は、0.3〜0.9、特に有利に0.5〜0.8のアスペクト比を有する。この場合、アスペクト比は、凸部の構造の最大幅に対する最大高さの商として定義されている。
【0030】
上記のアスペクト比を達成するために、粒子の少なくとも一部、有利に50%を上回る粒子が、該粒子の直径の90%までだけ、担体の中へ埋め込まれている場合に有利である。従って、表面は、平均粒径の10〜90%、有利に20〜50%、極めて特に有利に30〜40%が担体の中で固定されており、それと共にその少なくとも部分的に固有の亀裂のある表面の一部がなおシートから突出している粒子を有利に有する。このようにして、粒子自体により形成される凸部が有利に少なくとも0.15の十分に大きなアスペクト比を有することが保証されている。更にこのようにして、堅固に結合された粒子が極めて丈夫にシートの表面と結合されていることが達成される。ここで、アスペクト比は凸部の最大幅に対する最大高さの比として定義されている。担体から70%突出する理想的には球状であると仮定される粒子は、この定義によれば0.7のアスペクト比を有する。
【0031】
有利な疎水性の構造を形成する粒子は、0.02〜50μm、殊に有利に0.1〜25μm、極めて殊に有利に0.5〜10μmの平均粒径を有する。しかしながら、適当な粒子は500nm未満の直径を有するか、又は一次粒子から0.2〜50μmのサイズを有する凝結体又は凝集体へと集まってよい。
【0032】
凸部を表面上に形成する構造を形成する粒子は、有利に、珪酸塩、鉱物、金属酸化物、金属粉末、シリカ、顔料又はポリマーから選択され、極めて殊に有利に、熱分解法シリカ、沈降シリカ、酸化アルミニウム、混合酸化物、ドープされた珪酸塩、二酸化チタン又は粉末状ポリマーから選択される。
【0033】
構造化された表面の凸部を形成する殊に有利なマイクロ粒子は、ナノメートル範囲の不規則な微細構造を表面上に有する粒子である。ナノメートル範囲の微細構造とは、1〜1000nmの範囲内の高さ、幅及び/又は間隔を有する構造であると解釈される。有利に、凸部は平均で20〜500nm、有利に50〜200nm、殊に有利に50〜150nmの高さを有する。粒子上の凸部ないし凹部の間隔は、有利に500nm未満、有利に200nm未満、殊に有利に25〜175nm、極めて殊に有利に50〜150nmである。この場合、不規則な微細構造を有するマイクロ粒子は、有利に、1を上回る、特に有利に1.5を上回るアスペクト比を有する凸部ないし微細構造を有する。アスペクト比は再度凸部の最大幅に対する最大高さからの商として定義されている。図1において、粒子により形成される凸部と、微細構造により形成される凸部との差異が略示的に説明される。図1は、粒子Pを有する平面押出物の表面Xを示す(図の簡略化のために1つの粒子のみが示されている)。粒子自体により形成される凸部は、5である粒子の最大高さmHと(それというのも、平面押出物の表面Xから突出する粒子の一部のみが凸部に寄与するためである)、それに比較して7である最大幅mBとからの商として算出された約0.71のアスペクト比を有する。粒子の微細構造により粒子上に存在している凸部の選択された1つの凸部Eは、2.5である凸部の最大高さmH’とそれに比較して1である最大幅mB’とからの商として算出された2.5のアスペクト比を有する。殊に有利な構造を形成する粒子は、酸化アルミニウム、沈降シリカ又は熱分解法シリカの粒子から選択されており、かつナノメートル範囲の不規則な微細構造を表面上に有する。
【0034】
本発明により存在するロウ粒子は、有利に、フッ素化又は過フッ素化されていてもよいエチレン性不飽和ポリマーを有する。そのようなロウ状化合物は例えばCOPO-WAX 4110又はCOPO-WAX 4125 (Coating Products)の商品名で得ることができる。これはポリテトラフルオロエチレン変性されたポリエチレンロウである。純粋なポリエチレンロウは、例えばDegussa社からVESTOWAX、例えばVESTOWAX PM 3016 Vの商品名で市販されている。フッ素化ロウは例えばZonyl (Du Pont)又はDyneon TFM 1700 (Dyneon GmbH)の商品名で得ることができる。有利なロウ粒子は、構造を形成する粒子の平均粒径の0.5〜2倍の平均粒径を有する。有利なロウ粒子は、構造を形成する粒子の平均粒径の0.5〜20倍、有利に0.5〜1倍、殊に有利に0.5〜0.9倍、極めて殊に有利に0.7〜0.8倍の平均粒径を有する。ロウ粒子が、構造を形成する粒子よりも小さい粒径を有する場合に殊に有利である。これは、ロウ粒子対構造を形成する粒子の数比が1:1以下である場合に殊に有利であり、それというのもこの場合、ロウ粒子は構造を形成する粒子の相互の間隔をもたらし、その際、構造を形成する粒子の最も高い凸部が配置されるのが有利であるためである。
【0035】
粒子の混合物を表面に固定させる本発明により存在する担体は、有利に、熱エネルギー及び/又は光エネルギーにより硬化される塗料又は接着剤、2成分塗料系又は接着剤系又は他の反応性塗料系又は接着剤系であり、その際、硬化は有利に重合又は架橋により行われる。殊に有利に、硬化された塗料は、一価及び/又は多価不飽和アクリラート及び/又はメタクリラート又はその混合物からのポリマー及び/又はコポリマーを有する。他の塗料系は当業者にゆだねられる。混合比は広範囲で変動してよい。同様に、硬化された塗料が官能基、例えばヒドロキシ基、エポキシ基、アミン基を有する化合物又はフッ素含有化合物、例えばアクリル酸の過フッ素化エステルを有することも可能である。これは殊に、塗料と疎水性粒子、例えばエアロシル(Aerosile)R 8200との相溶性が、N−[2−(アクリロイルオキシ)−エチル]−N−エチルペルフルオロオクタン−1−スルホン酸アミドを用いて相互に適合される場合に有利である。塗料として、アクリル樹脂ベースの塗料のみでなく、ポリウレタンベースの塗料又はポリウレタンアクリラート又はシリコーンアクリラートを有する塗料も使用可能である。
【0036】
本発明による表面は、有利に、適当な、少なくとも部分的に疎水性である表面構造が、担体を用いた表面上への疎水性粒子の混合物の固定によりもたらされる、自浄性表面の製造法により得ることができ、これは、混合物が、半金属酸化物又は金属酸化物、金属粉末及びシリカから選択された構造を形成する粒子及びロウ粒子を有することを特徴とする。使用される構造を形成する粒子は、上記したような粒子から選択されていてよい。有利に、本発明による方法においても、ナノメートル範囲の微細構造を有する酸化アルミニウム、沈降シリカ又は熱分解法シリカから選択された構造を形成する粒子が使用される。殊に有利に、粒子はこの場合、例えばDegussa AG社からエアロシル(登録商標)VPR 411、エアロシル(登録商標)R202、エアロシル(登録商標)VPLE 8241又はエアロシル(登録商標)R 812Sの商品名で得ることができる熱分解法シリカである。この場合微細構造は上記の通りに定義されている。有利に使用されるシリカは有利にDIN53601に準拠した100〜350ml/100g、有利に250〜350ml/100gのジブチルフタラート吸収量を有する。構造を形成する粒子として、有利に20nm〜50μmの平均粒径を有する粒子が使用される。
【0037】
構造を形成する粒子はそれ自体が疎水性であってよく、例えばPTFEを有する粒子であることができるか、又は使用された粒子は疎水化されていることができる。粒子の疎水化は当業者に公知の方法で行うことができる。典型的な疎水化された粒子は、例えばシリカ粉末、例えばエアロシルR 8200 (Degussa AG)であり、これは市販されている。
【0038】
ロウ粒子として、上記の条件を満たすもの、特に構造を形成する粒子の平均粒径の0.5〜20倍の平均粒径を有するものが有利に使用される。ロウ粒子として、フッ素化又は過フッ素化されていてもよいエチレン性不飽和ポリマーを有するものが有利に使用される。
【0039】
有利に、使用される混合物は1〜75質量%、有利に2〜70質量%、殊に有利に3〜60質量%、極めて殊に有利に4〜50質量%、有利に5〜25質量%のロウ粒子を有する。粒子混合物は粒子の簡単な乾燥混合により得ることができる。温度中立で強力に混合する装置、例えばタンブルミキサーは有利である。他の適当な装置は当業者に公知である。
【0040】
本発明による方法は、有利に以下の工程
−担体としての硬化性物質を表面上に施与する工程
−粒子の混合物を担体に施与する工程、及び
−担体の硬化により粒子を固定する工程
を有する。
【0041】
硬化性物質の施与は、例えば吹き付け、ナイフ塗布、刷毛塗り又は噴霧により行うことができる。有利に、硬化性物質は1〜100μmの厚さで、有利に5〜50μmの厚さで施与される。硬化性物質の粘度に応じて粒子の施与の前に物質を初期硬化させるかもしくは初期乾燥させるのが有利である。硬化性物質の粘度は、施与された粒子が少なくとも部分的に硬化性物質中に沈み込むことができ、硬化性物質もしくはその上に施与された粒子が表面を垂直に立てた場合でももはや流れないのが理想的である。
【0042】
粒子の施与は通常の方法、例えば吹き付け又はパウダリングによって行うことができる。特に、粒子の施与は静電スプレーガンを用いた吹き付けにより行うことができる。粒子の施与後、過剰の粒子、即ち硬化性物質に付着しない粒子を、表面の振盪、ブラシ掛け又は吹き飛ばしにより除去することができる。これらの粒子を収集し、再度使用することができる。
【0043】
硬化性物質(担体)として、例えば少なくとも一価及び/又は多価不飽和アクリラート及び/又はメタクリラート及び/又はポリウレタン及び/又はシリコーンアクリラート及び/又はウレタンアクリラートからの混合物並びに他の当業者に公知の系を有する、有利に一価及び/又は多価不飽和アクリラート及び/又はメタクリラートからの混合物を有する塗料又は接着剤を使用することができる。混合比は広範囲で変動してよい。殊に有利に、熱的又は化学的エネルギー及び/又は光エネルギーにより硬化可能な塗料又は接着剤が使用される。
【0044】
有利に、硬化性物質として、疎水特性を有する塗料/接着剤又は塗料系又は接着剤系が選択され、それというのも、使用される粒子は同様に疎水特性を有することができ、粒子混合物の粒子の付着を保証することができるためである。
【0045】
塗料/接着剤として使用される混合物が官能基、例えばヒドロキシ基、エポキシ基、アミン基を有する化合物又はフッ素含有化合物、例えばアクリル酸の過フッ素化エステルを有する場合、有利である。これは殊に、塗料と疎水性粒子、例えばエアロシルVPR 411との(疎水特性に関する)相溶性が、N−[2−(アクリロイルオキシ)−エチル]−N−エチルペルフルオロオクタン−1−スルホン酸アミドを用いて相互に適合される場合に有利である。硬化性物質として、アクリル樹脂ベースの塗料のみでなく、ポリウレタンベースの塗料又はポリウレタンアクリラート又はシリコーンアクリラートをベースとする塗料も使用可能である。同様に、硬化性物質として2成分塗料系又は他の反応性塗料系を使用することができる。
【0046】
担体への粒子の固定は担体の硬化により行われ、その際、これは、使用される塗料系又は接着剤系に応じて、有利に熱的及び/又は化学的エネルギー及び/又は光エネルギーにより行われる。化学的又は熱的エネルギー及び/又は光エネルギーにより引き起こされる担体の硬化は、例えば塗料/接着剤ないし塗料系又は接着剤系の成分の重合又は架橋により行うことができる。特に有利に、担体の硬化は光エネルギーにより行われ、極めて特に有利に担体の重合はUV領域での中圧Hgランプの光により行われる。有利に、担体の硬化は不活性ガス雰囲気下で行われ、極めて特に有利に窒素雰囲気下で行われる。
【0047】
施与される硬化性物質の厚さ及び使用される粒子の直径に応じて、粒子の施与と硬化性物質の硬化との間の時間を制限し、硬化性物質中への粒子の完全な浸漬を回避することが必要である。有利に、硬化性物質は粒子の施与後0.1〜10分以内、有利に1〜5分以内に硬化される。
【0048】
本発明による方法において、有利に、組成物が、金属酸化物、シリカ及び金属粉末から選択された疎水性の構造を形成する粒子、及び1〜75質量%、有利に2〜70質量%、有利に3〜60質量%、特に有利に4〜50質量%、有利に5〜25質量%のロウ粒子を有することを特徴とする、自浄性表面の製造のために適当な粒子組成物が使用される。特に有利に、組成物は、ナノメートル範囲の微細構造を有し、かつ酸化アルミニウム又は沈降シリカ又は熱分解法シリカの粒子から選択されている構造を形成する粒子を有する。
【0049】
本発明により製造された表面を、担体への粒子の固定後に、表面に疎水特性を付与する材料で処理することが有利である。これは例えば、疎水性粒子を有する表面を、例えばDegussa AGで購入可能なアルキルシラン、ペルフルオロアルキルシランの群からの少なくとも1種の化合物で処理し、疎水特性を付与することにより行うことができる。有利に、処理は、有利に付加的に疎水化される疎水性の構造を形成する粒子を有する表面を、疎水化試薬、例えばアルキルシランを有する溶液中に浸漬し、過剰な疎水化試薬の液滴を切り、表面を出来る限り高い温度で温度処理することにより行われる。使用可能な最大の温度は、担体又は支持体の軟化温度により制限されている。
【0050】
本発明による方法は、平面又は非平面の物品、殊に非平面の物品の上に自浄性表面を製造するために特別に使用することができる。これは慣用の方法を用いた場合限定的に可能であるに過ぎない。特に、予め仕上げられた薄膜を表面上に施与する方法に関して、又は、構造を刻印により作成する方法の場合、非平面の物品、例えば彫像は入手不可能であるか又は限定的に入手可能であるに過ぎない。当然のことながら、本発明による方法は、平面的な表面を有する物品、例えば温室又は乗り物、特に自動車において自浄性表面を製造するために使用することもできる。特に、温室における自浄性表面の製造のための本発明による方法の適用は利点を有しており、それというのも、この方法を用いて、自浄性表面を例えば透明な材料、例えばガラス又はプレキシグラス(Plexiglas)(登録商標)上に製造することができ、かつ、自浄性表面は、温室内での植物の生長のために十分な太陽光が自浄性表面が付与された透明な表面を透過することができる範囲で少なくとも透明に形成されることができるためである。規則的に葉、塵、石灰及び生物学的物質、例えば藻類を清浄化しなければならない慣用の温室とは異なり、本発明による表面を有する温室はより長い清浄化間隔で運転されることができる。所定の高められた機械的負荷能力により、そのような温室又は室内庭園を歩いて通ることができ、これはこの温室又は室内庭園の築造の際のみならず修復又は折れた枝の清浄化作業の際にも有利である。
【0051】
本発明による方法は更に、物品、例えば傘の非剛性の表面又は柔軟性が保持されている他の表面上に自浄性表面を製造するために使用することができる。極めて特に有利に、本発明による方法は、衛生分野の柔軟性又は非柔軟性の壁面上に自浄性表面を製造するために使用することができる。そのような壁面は、例えば公衆トイレにおける分離壁、シャワー室、プール又はサウナの壁、及びシャワーカーテン(柔軟性のある壁面)であってよい。
【0052】
本発明を図1を基に詳説するが、本発明はこの実施態様に限定されるものではない。
【0053】
図1は、粒子Pを有する本発明により被覆された表面を略示的に示す(図の簡略化のために1つの粒子のみが示されている)。粒子自体により形成される凸部は、5である粒子の最大高さmHと(それというのも、担体材料の表面Xから突出する粒子の一部のみが凸部に寄与するためである)、それに比較して7である最大幅mBとからの商として算出された約0.71のアスペクト比を有する。粒子の微細構造により粒子上に存在している凸部の選択された1つの凸部Eは、2.5である凸部の最大高さmH’とそれに比較して1である最大幅mB’とからの商として算出された2.5のアスペクト比を有する。
【0054】
以下の実施例は本発明による表面ないしこの表面の製造法を詳説するが、本発明はこの実施態様に限定されるものではない。
【実施例】
【0055】
実施例1:
ポリメチルメタクリラートからの板の上に、ヘキサンジオールジアクリラート3質量部とペンタエリトリットテトラアクリラート2質量部との混合物から製造されたUV硬化性アクリラート塗料(この塗料に前記混合物に対して更に10質量%のRoehm社のPlex 4092 F、10質量%のメチルメタクリラート、10質量%の2−ヒドロキシエチルメタクリラート並びに2質量%のDarocur 1173(Ciba Spezialitaetenchemie)を硬化剤として混合した)の厚さ25μmの塗料層をナイフを用いて施与し、25μmとした。まだ湿潤している塗料層の上に、Nordson社の静電スプレー系を用いて、疎水化された熱分解法シリカ(Degussa AG社のエアロシルVPLE 8241)95質量%と粉末状ロウ(第1表を参照のこと)5質量%との混合物を施与した。塗料のUV硬化後に、得られた表面をその自浄特性に関して評価した。20μlの水滴が全ての処理された板からわずかな傾斜角で自然に転がる(粒状に滴り落ちる)ことを確認することができた。+++は、<10°と見積もられたわずかな傾斜角により液滴の転がりがもたらされることを意味する。+++!は、実質的に表面と液滴との間の相互作用を認めることができない場合の評価として与えられる。そのように評価された表面上で、液滴は既に慎重な担体の衝突の際にも転がる。
【0056】
引き続き、耐摩耗性を試験した。これを、10、20、30、50、150及び200サイクルの数の後に再度自浄特性を試験することにより行った。摩耗試験を、処理したPMMA板の試験した箇所を水により湿潤させ、水滴が水平に対して90°の角度でも流出しなくなるまで実施した。施与された水滴(20μl)が表面上に広がった場合に湿潤であるものとした。摩耗試験を、611gの重りで負荷された回転する円形の250g/mでかつ直径2cmのPET−フリースを用いて実施した。
【0057】
以下の第1表に、使用されたシリカ/ロウ粒子混合物の一覧並びに摩耗試験の結果を示す。10、20及び30回転サイクル後、なおも自浄特性の悪化を認めることはできなかった。
【0058】
【表1】

【0059】
実施例2:
ポリメチルメタクリラートからの板の上に、皮膜延伸フレーム(Filmziehrahmen)を用いて、付加的になお混合物に対して2質量%の流展助剤BYK 3700 (BYK)を有する実施例1によるUV硬化性アクリル塗料系からの厚さ25μmの層を施与した。なお湿潤している塗料層上に、手から茶こしを介して種々の粒子混合物を散布した。粒子混合物を疎水化された熱分解法シリカ(エアロシルVPLE 8241, Degussa AG)2gを、ロウ粒子Copo-Wax 4110又はCopo-Wax 4125と第2表に記載された量で30mlの小さな瓶の中で磁気撹拌機を用いて混合することにより得た。はたき落としにより、過剰の粒子を表面から除去した。塗料のUV硬化後に、得られた板又はその表面をその自浄特性に関して前記の通りに評価した。
【0060】
【表2】

【0061】
第2表に挙げられた結果から分かるように、全ての板又は表面は良好なハス効果を示していた。ロウ粒子のみを使用した場合を除き、ロウ粒子によるハス効果の妨害を認めることはできなかった。この場合、特性のわずかな悪化が認められた。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】粒子により形成される凸部と、微細構造により形成される凸部との差異を略示的に示す図。
【符号の説明】
【0063】
P 粒子、 X 担体材料の表面、 E 凸部、 mH 粒子の最大高さ、 mB 粒子の最大幅、 mH’ 凸部の最大高さ、 mB’ 凸部の最大幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
凸部から成る人工的な少なくとも部分的に疎水性である表面構造を有し、その際、凸部が、担体を用いて表面上に固定された疎水性粒子の混合物により形成される自浄性表面において、混合物が、半金属酸化物又は金属酸化物、シリカ及び金属粉末から選択された構造を形成する粒子及びロウ粒子を有することを特徴とする自浄性表面。
【請求項2】
担体が熱的又は化学的エネルギー又は光エネルギーを用いて硬化された塗料又は接着剤である、請求項1記載の自浄性表面。
【請求項3】
担体が、硬化された塗料として、一価及び/又は多価不飽和アクリラート及び/又はメタクリラート又はポリウレタンからの混合物を有する、請求項1又は2記載の自浄性表面。
【請求項4】
構造を形成する粒子が20nm〜50μmの平均粒径を有する、請求項1から3までのいずれか1項記載の自浄性表面。
【請求項5】
構造を形成する粒子が酸化アルミニウム、沈降シリカ又は熱分解法シリカから選択されており、かつナノメートル範囲の微細構造を有する、請求項4記載の自浄性表面。
【請求項6】
ロウ粒子が、構造を形成する粒子の平均粒径の0.5〜20倍の平均粒径を有する、請求項1から5までのいずれか1項記載の自浄性表面。
【請求項7】
混合物が1〜75質量%のロウ粒子を有する、請求項6記載の自浄性表面。
【請求項8】
適当な、少なくとも部分的に疎水性である表面構造を、担体を用いた表面上への疎水性粒子の混合物の固定によりもたらす自浄性表面の製造法において、混合物が、半金属酸化物又は金属酸化物、金属粉末及びシリカから選択された構造を形成する粒子及びロウ粒子を有することを特徴とする、自浄性表面の製造法。
【請求項9】
ナノメートル範囲の微細構造を有する酸化アルミニウム、沈降シリカ又は熱分解法シリカから選択された構造を形成する粒子を使用する、請求項8記載の方法。
【請求項10】
以下の工程
A)担体としての硬化性物質を表面上に施与する工程
B)粒子の混合物を担体に施与する工程、及び
C)担体の硬化により粒子を固定する工程
を有する、請求項8又は9記載の方法。
【請求項11】
担体の硬化を熱的又は化学的エネルギー及び/又は光エネルギーにより行う、請求項10記載の方法。
【請求項12】
硬化性物質として、一価及び/又は多価不飽和アクリラート及び/又はメタクリラート及び/又はポリウレタン及び/又はシリコーンアクリラート及び/又はウレタンアクリラートからの混合物を少なくとも有する塗料を使用する、請求項10又は11記載の方法。
【請求項13】
硬化性物質として疎水特性を有する塗料を選択する、請求項12記載の方法。
【請求項14】
20nm〜50μmの平均粒径を有する構造を形成する粒子を使用する、請求項8から13までのいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
構造を形成する粒子の平均粒径の0.5〜20倍の平均粒径を有するロウ粒子を使用する、請求項8から14までのいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
使用する粒子の混合物が、1〜75質量%のロウ粒子を有する、請求項8から15までのいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
フッ素化又は過フッ素化されていてもよいエチレン性不飽和ポリマーを有するロウ粒子を使用する、請求項16記載の方法。
【請求項18】
自浄性表面の製造に適当な粒子組成物において、組成物が、半金属酸化物又は金属酸化物、シリカ及び金属粉末から選択された構造を形成する粒子、及び1〜75質量%のロウ粒子を有することを特徴とする粒子組成物。
【請求項19】
物品の剛性又は非剛性の表面上に自浄性表面を製造するための、請求項8から17までのいずれか1項記載の方法の使用。

【図1】
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【公開番号】特開2006−198613(P2006−198613A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−372861(P2005−372861)
【出願日】平成17年12月26日(2005.12.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(501073862)デグサ アクチエンゲゼルシャフト (837)
【氏名又は名称原語表記】Degussa AG
【住所又は居所原語表記】Bennigsenplatz 1, D−40474 Duesseldorf, Germany
【Fターム(参考)】