説明

自然に分解する成形材料を作るための合成物とその製造方法

【課題】 自然に分解する成形材料である合成物とこの合成物を作る製造方法を提供する。
【解決手段】 合成物は穀類の外皮から取る粉末基体とカルシユーム炭酸塩の充填剤とポリビニール アルコール(PVA) の結合剤とを含む。結合剤は基体と充填剤を水によりペースト状の塊に結合する。前記合成物は媒体として水を使用することによって通常の周囲温度でカレンダー又はプレスにより望みの形状に成形されることが出来る。材料は非毒性で、自然に分解されて、有機肥料又は魚の餌にも使用される。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は成形材料の合成物とそれを作る製造方法に関する。より具体的には、大量の使い捨ての器具又は道具を作るのに適した成形が容易で、使用後に自然の有機物により容易に分解される、毒性のない、環境に優しい合成物とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】環境保護基準を満足するために器具や道具を作るための自然材料の研究と開発が数年にわたり科学者又は業界により行われてきた。幾つかの成果が発表されており、例えば米国特許5,500,089 号には、有機物又は草木でお盆や茶碗を作る方法が開示されている。米国特許5,500,089 号に開示されている材料は麦、砂糖きび、まぐさのような繊維の多い草木である。繊維質は細断されて、糊状のものと水で混合されてペースト状にされる。ペーストはへらで取り出され、網で乾燥され、熱で押し付けられて、お盆や茶碗が形成される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記工程はかなり複雑である。繊維質から作られる材料はもろく、構造上穴があきやすいので、製品は熱、薬品、溶剤、水に対する抵抗力が弱い。もう一つの周知の方法は基体として穀物材料を使用し、糊と水を混合するが、製品は厳しい高圧と高熱のスチーム工程で作られなければならず、前述の糊についての欠陥が依然として存在する。先行技術の別の問題は工程で使用される大量の水と、環境を汚染する可能性のある排水である。また排水工程は製造原価を上げることになる。
【0004】本発明は成形材料の合成物とそれを作る製造方法に関連する。材料は成形が容易で、毒性がなく、使用後に自然の有機物により容易に分解される。従って大量の使い捨て器具をつくるために適していて、環境の要求を満たしている。環境に優しい、成形が容易な合成材料を提供することが本発明の主目的である。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の合成材料は穀物外皮より作る粉末状の基体と、カルシウム炭酸塩の充填剤と、基体と充填剤とを結合して水によりペースト状の塊にするポリビニールアルコール(PVA)の結合剤を含んでいる。媒体として水を使用することによって、前記合成物は通常の周囲温度でカレンダー又はプレスにより望みの形状に成形される。
【0006】材料は毒性がなく、自然により分解される。本発明の別な目的は従来の材料より安く、環境に優しい材料を提供することである。本発明の主要な材料は穀物の外皮であり、従来の木から取られるいわゆる環境保護材料より大量に存在し(通常は穀類の廃棄物)、安く、入手が容易である。樹木は今日徐々に減少しつつあり、経済的ではなく、間接的に環境を害する。
【0007】本発明の合成材料では製造工程においてペースト状の塊を成形する時に使用される水の量が少なく、排水も大量に発生しない。従って環境を保護して、コストを下げる点で役立つ。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の合成材料は以下の材料を含む。すなわち、穀物外皮からとられる粉末基体と、合成物のすき間を埋める充填剤と基体と充填剤とを結合する結合剤である。粉末の基体は米又は小麦の様な穀類の外皮から取られて、1インチ当たり80メッシュの網を通ることが出来る粉末に粉砕される。
【0009】充填剤は合成物のすき間を埋めるカルシユーム炭酸塩(CaCO3 )で出来ていて、合成物の密度を上げる。結合剤はポリビニール アルコール(PVA) 粉末で作られて、媒体としての水を使用することによって、基体と充填剤とを結合してペースト状の塊にする。ペースト状の塊は多少ねばつき、器具又は道具を希望の形状に容易に成形できる。PVAの特性を表Aに示す。
【0010】
【表1】


【0011】色々な成形方法によって、本発明の合成材料は以下の実施例のように製造することが出来る。
第一の実施例本発明の合成材料を製造するための工程のフローチャートが図1に示されている。合成材料は成形可能なペースト状の塊にされて、それからプレスによって任意の形状にプレスされる。
【0012】この工程は以下のステップを含む。
a)穀物の外皮を100メッシュ以上の粉末基体に粉砕する。
b)粉末基体と充填剤と結合剤とを適宜混合して合成物を作る。三つの重量比は5:2.8:2.2である。許容される公差はそれぞれ約プラスマイナス0.5である。
c)ステップb)の合成物に重量比約1:2.5で(許容される公差は約プラスマイナス5%)水を加えて、ペースト状の塊に練り合わせる。
【0013】合成物のペースト状の塊は油圧式プレスの様なプレス成形に適している。モールド製品は時として厚くなり、モールドからの小さな抜き勾配角度をもっている。モールドから製品の離脱を改善するために、油又はほう酸(ほう酸の水溶液)の様な適当な離脱剤をモールドに適用することが出来る。
【0014】第二の実施例本発明の平面合成材料を作る工程のフローチャートが図2に示されている。合成材料は成形可能な板につくられて、それから望みの形状に成形される。
【0015】この工程は以下のステップを含む。
a)穀物の外皮を80〜120メッシュの粉末の基体に粉砕する。
b)粉末基体と充填剤と結合剤とを適当に混合して、合成物を作る。この三つの重量比は約5:2.8:2.2である。許容される公差はそれぞれ約プラスマイナス0.5である。
c)ステップb)の合成物に重量比約1:2.5(許容される公差は約プラスマイナス5%)で水を加えて、ペースト状の塊に混合する。
d)ペースト状の塊を厚さ約0.8から`1.3ミリメートルの板にカレンダーする。
【0016】合成板に含まれる水分はカレンダー工程で減少する。板は使い捨てのお盆や茶碗のような道具の形状に成形される真空モールドの様なモールデイングに適している。モールドされた製品は乾燥させて固定形状にする。製品に水分を含ませるためには、膜又は油の様な適当な防水材料を水分に接触する表面に使用することが出来る。その結果自然環境に晒される時に、防水過程なしで表面から自然に分解されるので、製品は環境に優しくなり、実用的である。
【0017】現実の実施にあたっては、前記合成板又はペースト状の塊は水分を含んでいたほうが容易に変形される。従って、器具又は道具を製造するモールド工程は合成物を作成する工程の直ぐ後に行われる。望ましい実施例に関連して発明が記述されてきたが、その範囲内で種々の変更が出来ることは当業者が理解するところである。
【0018】
【発明の効果】1)合成物は環境に優しく、有用な器具又は道具を成形することが容易である。合成物は自然の毒性のない材料から作られている。合成物は容易に成形したり、延ばしたり出来るので、プレス又は真空モールデイングの成形工程により容易に変形される。
2)材料は容易に入手できて、安価である。合成物の主材料は穀物の外皮であり、それはまぐさに使用される以外は通常は廃棄されるので、大量に存在して、入手が容易で安価である。先行技術の木の様な他の原材料と比較すると、本発明の原材料ははるかに安価である。
3)環境に対するごみの害を減少するために、大量の使い捨て道具を作ることに適している。本発明の合成物は使い捨ての食器や短時間使う容器を容易に成形できるので、それは溶解不可能なごみを無くすか、その量を減少する。
4)使用後は、合成物で作られた製品は自然に分解して、肥料になるか、魚類の餌にもなりうる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施例の製造工程を示すフローチャート。
【図2】本発明の第二の実施例の製造工程を示すフローチャート。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 穀類の外皮から取れる粉末状の基体と、すき間を埋めるためのカルシウム炭酸塩の充填剤と、基体と充填剤とを結合するための、媒体として水を使用するポリビニールアルコールの結合剤と、を含む自然に分解可能な成形材料である合成物。
【請求項2】 請求項1に記載の分解可能な合成物において、前記合成物が水分を含む板状のものであることを特徴とする合成物。
【請求項3】 請求項1に記載の分解可能な合成物において、前記合成物が水分を含むペースト状の塊であることを特徴とする合成物。
【請求項4】 a)穀類の外皮を粉砕して、粉末状の基体にするステップと、b)粉末状の基体をカルシウム炭酸塩とポリビニールアルコールと混合して、適正に混合された合成物を作るステップと、c)前記合成物に水を加えて、混ぜあわせ、ペースト状の塊をつくるステップと、を含むペースト状の塊の形態の合成材料を作成する製造方法。
【請求項5】 請求項4に記載の分解可能な合成材料をつくる製造方法において、前記ステップa)の粉末状の基体が80〜120メッシュ以上であることを特徴とする製造方法。
【請求項6】 請求項4に記載の分解可能な合成材料をつくる製造方法において、前記ステップb)の粉末基体とカルシウム炭酸塩とポリビニールアルコールの重量比が約5:2.8:2.2であることを特徴とする製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2000−159966(P2000−159966A)
【公開日】平成12年6月13日(2000.6.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平10−333923
【出願日】平成10年11月25日(1998.11.25)
【出願人】(597158654)
【Fターム(参考)】